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小林源文・画
【質問】
小林よしのりは正しいの?
【回答】
では,本人に答えていただきましょう.
「幸運なことにわしには応援してくれる女が次から次に現れる.
だから日本の男たちがわしをバッシングしても何ともない.
なにもかも神の仕業だろう.
運命と言ってもいい.
わしが間違ったことをしていない証拠だろうと思う」
(小林よしのり from SAPIO 2003/8/30 & 9/3合併号,小学館,p.62)
……だそうです.
ギャグですよね? ギャグですよね??
【質問】
前に
「よしりんの言うことは難解だ」
とかコヴァ板で書いていた奴がいたんだけど,小林よしのりって難解?
【回答】
最近,サピオの漫画とかを眺め読みした時,
「小林の主張したいことが解らない」=「難解だ」
と彼らは脳内変換しているんではないかと思いはじめている.
「〜は難解だ」
っていう話の起源は西部だよね.
要するに自分が支離滅裂な言説を言って,それを正当化するために用いる完全な詭弁.
コヴァ〔小林信者〕は西部の劣化コピーの漫画家の発言を真似ただけだと思われ.
難解というより,よしのり氏自身が持論の辻褄を整理出来てないだけかと思います.
まず,彼の主張どおり独立が至高の価値ならば,独立を失うような形で戦争する事は選択できません.
そして,彼の主張どおり誇りを至高の価値観にするなら,誇りが傷つけられるような敗北の選択はできません.
リスキーな選択が原因で自らの誇りを傷つける結果を招き寄せたり,選択者を窮地に追いやる場合は往々にして有りますが,そういうリスクについて彼はあまり言及しません.
自説が矛盾の重みに耐えかねて崩壊しますから.
敵が自国よりも強大な場合,その場で我意を通すより,臥薪嘗胆のほうが誇りを守る結果に繋がります.
対立要因が消滅して敵ではなくなったり,情勢が有利に変化して自国の意思を通せる状況に転ずる場合が有ります.
たとえば同僚や級友が気に食わないからといって,即罵倒・殴打なんて事を続けてれば身の破滅です.
よほど実力で他者を圧倒していない限り,寂しい自己満足と誰にも言えない後悔を抱えて孤立する結果になります.
逆に,その場は堪えて実績を積めば,昇進やら成績向上やらで見かえせる可能性が出てきます.
すぐに拳を振るったり罵倒を始めたりする人間は基本的に堪え性が無いので,その場の憂さを晴らす事はできても結局は何も生み出せません.
歴史にも当てはまります.
日清戦争直後の三国干渉にブチ切れ,日英同盟締結を待たずに日露戦争を始めていたら,日本は太平洋戦争を待たずに完敗を喫して,プライドをズタズタにされ,独立を喪失するという最悪の結果を招来したかもしれません.
------------
私が考える健全なナショナリズム,その健全さの目印(メルクマール),分岐点は何かと言うと,まず事実に立脚していることだと思う.
事実を突きつけられたときにグラグラしてしまうのは,健全でない.
そこにはどこか欺瞞があると思うんです.
また,事実を突きつけられると,そういう事実はなかったことにせざるをえないという場合もあります.
これもかなりまずい.
だから,事実が何であるかについて,周到に自分で調査をする.
初めに言ったジャーナリズムと同じですけれど,人間は,自分に都合のいい事実ばかり集めてくるものです.
だからこそ,都合の悪い事実をどれだけ集めたかということが,一つの試金石になるのではないかと思うんです.
------------(橋爪大三郎 from 「正義・戦争・国家論」,径書房,1997/9/10,p.183)
以上の文章は,小林と橋爪らの対談本からの引用なのですが…….
どうやら小林およびその信者には馬耳東風だったようですね.
【珍説】
「わしズム」も,ちょっと内容が難解になると部数が落ちていくから,凄くむずかしいよ.
しかも,なおかつ幻冬舎が株式を上場しちゃって,それ以降,商業主義が凄まじい状態になっちゃっているから,二〇万部,三〇万部売れるような本じゃないと相手にしてくれない.
小林よしのり「本日の雑談5」
【事実】
どの分野でも超一流は,門外漢にも届くモノを発信する能力もまた凄い,という事実を忘れてるような.
カール・セーガンや竹内均みたいに,当代トップクラスの科学者が,中高生にも読み易く,なおかつ中身の詰まった科学啓蒙書を著した例とか,
あるいは漫画でも「スラムダンク」など,バスケットボールの試合ルールが分からない読み手も,問答無用で引き込んでのけた作品とか,
あるいは,超一流はともかく,物事の本質を突きまくった作品とかもね.
俺は牌の読み方も知らんけど,阿佐田の小説は普通に面白い.
盲信者に囲まれて満足しちゃうと,そういう感覚は退化しちゃうんだろうな,きっと...
ちょっと前,戦争論3発売直前あたりまで,売り上げ至上主義的な事を語って優位を誇っていましたが,売り上げ落ちたら基準を変えて負けを認めません.
世間から見た場合の勝ち負けは明白ですが,小林の脳内では違うようです.
軍事板
>「わしズム」も,ちょっと内容が難解になると部数が落ちていくから,凄くむずかしいよ.
上記のような考えを小林自身が批判した文章を見つけましたので,紹介させて頂きます.
下記の文章は福田和也を批判する文脈で話されたものです.
-------引用----------------------------------------------
――――ところで福田氏は「小林よしのりさんのいう物語ってのは,要するにジャンプ式システムの中できたえられたプロットとしか見えない」と言っていますが…….
小林――「ジャンプ式システム」ってのを説明してくださいよ.どんなものなの,それ.
――――「『少年ジャンプ』の読者投票の結果で容赦なく連載を切られるシステムで育った人ですからね.バカにはわからんというメンタリティとはほど遠い.
僕見たいな半端な商売人とは違う」と福田氏は発言していますので,そのことでしょうね.
小林――バカいっちゃいかんよー,何遍でも切られてんだから,わしは(笑).
何遍でも連載打ち切られたし,人気投票でビリになったことだってあるんだからさー.
ただその時に「読者はバカだ」って言ってしまったらおしまいだってだけの話で,結局は自分の言いたいことしか描いてないよ.
読者におもねってないよ,全然.
――――自分の書くものは高級で,読者におもねってないから半端にしか売れないと言いたいんですかね,福田氏は.
小林――ただそれだけでしょ.自分が売れない理屈,受け入れられないひがみの理屈でしかない.
「弱者の論理」だよね(笑).こっちは「強者の論理」だからねー.
-------引用終わり----------------------------------------------
『「個と公」論―新ゴーマニズム宣言SPECIAL』(小林よしのり著,幻冬舎,2000/5/5),305-306ページ
小林氏には御自分の過去の発言を一度読み返してみることをお勧めしたいところです.
さらに,自分のアシスタントからさえ批判されています(笑).
大月隆寛って,歴史教科書運動の時,本人の臆病さから神経性の病気にかかって早々と脱落したくせに,いつまで「小林よしのりの元・盟友」をネタに小銭稼ぎする気かね?
漫画家は言論から降りろって?
一般庶民の信頼を獲得できない言論人・知識人こそ言論から降りろ!
〔略〕
小林よしのりアシスタント in 『SAPIO』 2005/3/9号,p.66
>一般庶民の信頼を獲得できない言論人・知識人こそ言論から降りろ!
まさか「小林よしのりだけは例外」とは言わないでしょうな?
【珍説】
白人の加害者のスケールは,有色人種を「動物」の範疇に入れる割り切りの冷酷さに由来している.
「加害力」が違うのだ.「加害力」が!
(小林よしのり「戦争論」3,P.192)
【事実】
上記の結論のある章では,「白人の残虐さ」をピックアップして延々と並べているわけですが,そういう
「自説にとって都合のいい事実だけ並べ,そうでないものは完全無視」
というトリックを利用すれば,どの人種だってそうだと主張することが可能なわけで.
ギャグですよね? ギャグで言ってんですよね??
ちなみに,かつて小林は竹田青嗣・橋爪大三郎両氏からこのようなレクチャーを受けたわけですが,……馬耳東風だったんですね(哀).
橋爪――〔略〕
さっき,日露戦争で日本人が頑張ったから,我々も白人にやっつけられているばかりじゃないぞとアジアの人々が思った,という話を聞くとほっとする,と小林さんがおっしゃった.
それは,自分がどういう系譜に属するかという背景が確認されて,自分の「個」のあり方が分かったという意味で,ほっとするのだと思う.
だけど,そこに危険な要素があるのは,「白人」というものを外部の敵としておくことで,日本とかアジアとかいう共同性に人々を回収しようと考えているからです.
本当に「個」ということを考えるのであれば,白人も「個」なのだから,彼らを排除してはいけないはずです.
そういう意味で,自分のルーツを明らかにしながら,可能な限り相手の「個」,全ての「個」を認めていくという方法論を持たないと,ナショナリズムは危険なものになっていく.
編集部――しかし,排外主義を含まないナショナリズムは,成り立ちにくいんじゃないでしょうか?
橋爪――たしかに非常に成り立ちにくいです.国家は戦争をするという性能を持っている社会装置ですからね.
A国とB国が戦争を始めた途端に,仮に相手国に友人がいたとしても,そういうことは一切関係なくなって,敵と味方という戦闘モードに入る.
これが国家というものの約束だから,「個」が国家に属する限り,全ての「個」を認めていくことはとても難しいんです.
しかし,我々の知恵としては,国家は世俗のものだから戦闘行為には入るけれど,そのことを宗教とは関係させない,科学技術とは関係させない,芸術とも家族とも関係させない.色々なものと関係をなくして,仕方なしに国家を作ったということを思い出そう.国家が戦闘行動に入ってしまった場合は,「仕方がない」という枠に押し込める.とりあえずできることはこれしかない.
それを,例えば宗教戦争にしてしまうと,許すことができない無条件の戦いになってしまうんです.
だけど,世俗の行動ならば停戦ができる.妥協ができる.
小林――なるほど.しかし,今は「徹底的な個人主義」というところにどんどん向かっていく風潮があって,「公共性」というものが芽生えにくくなっているでしょ.
わしは,これでいいと全然思わない.
竹田――僕の考えでは,むしろ市民的な個人は,「共同性」ではなくて「公共性」に結びついている.
日本人だから日本という国家(共同性)に結びついているのではなくて,自分が属しているこの社会がいい国であってほしいという自然な感覚(公共性)に結びつくべきものだと思うんです.
そういう意味での個人主義と,小林さんが言われた徹底的な個人主義というのはちょっと違う気がする.
市民社会での自今の概念は,自分の権利だけはとことん主張するという,いわゆる自分中心主義とは違う.
今は一応自由主義の社会で,自由な競争が許されているので,そこからいわゆる自分中心の個人主義もどうしても出てくる.
だけどそのことは,ルールに対する社会的な感度の問題で,自分の属している社会に対する自然な愛着というのは当然あっていいんだけれど,共同性を取り戻そうということではないと思うんです.
(竹田青嗣・橋爪大三郎・小林よしのり対談「正義・戦争・国家論」,
径書房,1997/9/10,p.)
【珍説】
だって狩猟民族じゃん,あいつらは.
零戦 in コヴァ = 推定林間
【事実】
俺は歴史専攻の人間だったらから答えるけど,農耕民族に対比する言葉が狩猟民族だと思ってる人多いけど違うよ.
もともと農業をやる前はみーーんな狩猟民族だよ.日本人だって同様.
んで文明を築いてしまえば,みんな農耕民族になってるよ.
ローマ人もギリシャ人も白人の最初の文明からして農耕民族なんだけどね.
ちなみに農耕民族に対比するものは牧畜や放牧,早い話が遊牧民だわ.
狩猟民族だからうんぬん・・・.農耕民族だからうんぬん・・・.ってのはもはや廃れた考えですよ.
▼
古代ローマでもギリシャでも,基盤産業は農業だった.
ゲルマン民族も,牧畜を行っていたが,正しくは半農半牧であり,すでに農業を知っていた.
狩猟民族と言えば,古代ローマ時代と同じ時期の日本でも,文献によれば洞窟に棲み,狩猟採集生活を送っていた,縄文人の末裔のような人たちがいたことが分かっている.
どうして欧米だけ「野蛮」になるのですか?
軍事板,2003/12/18
青文字:加筆改修部分
▲
▼
また,以下のような指摘もある.
――――――
日本人は農耕民族で欧米人は狩猟民族という根拠は何なんだ.
農耕無しに繁栄した文明は世界中にどこにもない.
欧州でも農耕文明は栄えたし,インドでも中東でも農耕文明は栄えた.
フランス人やポーランド人は,立派な農耕民族といえるだろう.
それを狩猟民族などと決め付けるのは如何なものか.
それとも農耕とは水稲作のことであって,小麦や大麦,燕麦の栽培は農耕ではないとでも言うのか.
――――――塩津計 in bk1,2010/02/03 20:20:30
▲
【珍説】
ヨーロッパでは冬が長く,日照時間が少ない.雨も少ない.
地面は硬質な岩盤で,牧草しか生えないが,土地は広い.
日本のように人間が直接食べられる穀物が育たないから,農耕が発達せず…
牧草を動物に食べさせて育ててから,殺して食う.
(小林よしのり「戦争論」3,P.160)
【事実】
そりゃ,どのパラレル・ワールドの「ヨーロッパ」ですか? 北欧・東欧・南欧などから,ネガティヴな地理条件だけを抜き出してミクスチュアしてませんか?
それと「小麦」って知ってますか?
ギャグですよね? ギャグで言ってんですよね??
【小林主体思想】(別名:マルチ・スタンダード)
注意すべきは,彼ら〔白人〕の「動物」の概念は,キリスト教徒である白人以外の「有色人種」まで含まれる可能性があったことである!
(小林よしのり「戦争論」3,2003/7, p.161)
【ツッコミ】
それが何か? 有色人種もスラブ人等を奴隷として扱っていますが.
まさか「奴隷扱いと動物扱いは違う」などとは言わんでしょうな?
人権が無いのはどっちも一緒.単純作業に使われるのはどっちも一緒(ローマとかは別として).
それにまた,日本でも「非人」呼ばわりされ,差別された身分の人々がおりましたな.
それどころか,一時期の英国人などは,ポルトガル,スペイン,アメリカまで「半文明国」と蔑視していた事実もあります.
そこからは,「白人」意識など微塵も感じられません.
クリミア戦争直後のロシアは,自国が危険なまでに弱いのに対し,パーマストンのイギリスは世界中で攻勢に出ていると見ていた.
パーマストン自身は
「中国やポルトガル,スペイン,アメリカといった半文明的な国は,きちんと秩序付けておくために,8年から10年ごとに打撃を与えることが必要だ」
と述べた.
パーマストンがロシアをどう見ていたかを知っていれば,ロシアもこれらの国々と同じ部類に入るとパーマストンが思っていたことを,誰も疑わないだろう.
Dominic Lieven著「帝国の興亡」(日本経済新聞社,2002/12/16)下巻,p.39
ヨーロッパ人がロシアを軽蔑し,半文明人としてしか扱ってくれないことを,敏感なロシア人は知っていた.
例えば,カーゾン卿も,ロシアによる中央アジアの征服を「東洋人による東洋人の征服である」と述べた.40
〔原注〕
40 Curzon, Russia, p.392.
同,p.47
結局のところ,国家間競争は以下の記述に見られるように「極めて冷酷かつ競争の激しい」ものであり,勝者が敗者を蔑んでいただけ,というのが妥当でしょう.
そして勝者による敗者への蔑みは,(自称『勝者』を含め,)今日でも世界各地で見られることです.
ヨーロッパ国家体制において,全ての大国は,極めて冷酷かつ競争の激しい世界で自国の利益を確保するため,熱心に国力を高めようとした.
領土の拡張も,国家がバランス・オブ・パワーを自国にとって有利にする最も伝統的な方法の一つだったのだ.
ホーエンツォレルン家もハプスブルク家も,地理的要因のためにロマノフ家ほど自由にはいかなかったものの,同じゲームのプレイヤーだ.
イギリスも同様だ.中でも19世紀から20世紀にかけて,イギリスは金融・貿易の力を借りて,ラテンアメリカなどの地域で,直接的な政治的・軍事的支配なしに,かなりの影響力を振るうことができた.
Dominic Lieven著「帝国の興亡」(日本経済新聞社,2002/12/16)下巻,p.120
【小林主体思想】(別名:マルチ・スタンダード)
温厚な農耕民族の日本人は,一般的には肉食は明治になってから.
それまでは牛馬は人間と共に働く仲間だった.
(小林よしのり「戦争論」3,2003/7, p.161)
【ツッコミ】
「だから,日本人は白人と違って残酷ではない」
と言いたいようですが,まあ,「飛躍し過ぎ」の一言ですな.
同じく農耕民族である中国人の残虐さは,世界拷問辞典などを見れば際立っているのが判かります.文明の長さという事も考えれば,仕方の無い事でしょうが.
カンボジアも農業国ですが,ポル・ポト派という世界史上,類を見ない残酷な集団を生み出しています.
また,日本人が,というより,世界のどの民族も,いきなり農耕民族であったわけもなく,狩猟採集→農耕というステップを経ています.
小林の「論」は,欧州については狩猟採集のほうをクローズ・アップし,日本人については農耕のほうをクローズ・アップしているに過ぎず,つまり,姑息なトリックを使っているに過ぎません.
しかも,
>温厚な農耕民族の日本人は,一般的には肉食は明治になってから.
という点も間違いです.
「日本における肉食の歴史」によれば,古墳時代には既に食肉用の家畜として豚を飼っていたそうです.
仏教伝来によって,牛馬を含む肉食禁止例が676年に出されます――つまり,当時から牛馬も食用とされていたことを意味します――が,これも禁止期間を農耕期に限っています.
まあ,貴重な労働力だった牛馬を,そんなに頻繁に食用にする機会はなかったでしょうが,鹿や猪や猿はよく食べていたそうです.
時代は下って,江戸時代になっても,多くの人が獣肉を食べていたそうです.
当時の『料理物語』によると,シカは汁,煎焼,イノシシは汁に田楽,そしてウサギ,タヌキ,クマ,カワウソ,イヌなどを汁や,貝焼,田楽にして喰べています.
上記サイト記述者は,
「明治以前の日本社会は全国的に獣肉食に対する強いタブーがあった.ようやく明治維新によって,奈良時代以降行われていなかった肉食が解禁された.」と言う一般的な理解は修正されねばならないようである」
と,結んでいます.
日本史板・世界史板他
▼ というか
農耕の始まり=戦争の始まり
なのです.
以前はマルクス史観のおかげで,
「農耕によって富を貯めた一部の人間が,暴虐に振舞ったから戦争になった」
だの,
「蓄えた富を奪うために」
などという見方が一般的でした.
だが本当は
「本来養える人間を,天災や公害で農作物が育たず,それが為に飢えた人間が,集団で他の村を襲った」
というのが戦争の始まりです.
だから農耕民族は戦争ばっかりして,遊牧民族は略奪をします.
居住する土地の奪い合いを戦争と呼ぶなら,土地に定着しない遊牧民同士では戦争は起こりません
(が,だからって
「遊牧民は平和的に暮らしてました」
なんてお花畑な話はやめてくださいね.
力を誇示するために,部族の縄張りの周囲数十キロに他民族の死体を転がしとく,なんてことはザラでしたから)
実際,古代の日本人も戦闘的民族でした.
武断政権のヤマトなんて,かなりでかい勢力だったといいます.
世界史板
青文字:加筆改修部分
▲
だいたい,これのどこが「戦争」論なのか,と.
ところで,鯖田豊之『肉食の思想』(中公新書)が,「戦争論3」におけるこの章のネタ元のようです.
この本は,ヨーロッパの自文化中心主義を肉食を例に挙げて述べているものであって,「肉食の白人は残酷!」などと主張するトンデモ本ではありませんので,誤解のないように.
余談ですが,禁酒主義者,かつ菜食主義者として有名な人物に,アドルフ・ヒトラーがおります.
日本史板・世界史板他
元末期,権臣のバヤン(南宋滅ぼしたのとは別人)が趙・劉・王・李(後一つ忘れた)の五姓の漢人を皆処刑しようと提案した,なんて例もある.流石に却下されたが.
なんでその五姓か?だが,単に漢族で一番ポピュラーな姓だったからと思われ.
まあ元(モンゴル)はオゴタイ時代にも,華北の漢人を皆殺しにして牧草地にしようと暴論出ているし,当時のモンゴル人の対漢民族観は虫けら程度.
さらに言えば,帝国主義時代の植民地政策は,アジア人蔑視と言うより,その当時の「啓蒙主義」「自由主義」の概念によるもの.
------------
プロテスタンティズムは,帝国の任務を遂行するというイギリス人全体の感覚にとって不可欠だった.
16世紀から20世紀まで,イギリス人の殆どはプロテスタントの良心こそ,あらゆる進歩の中核であると信じてきた.
彼らは,プロテスタントには責任感の他にも,自らを高めて人生で成功するための強い動機があると確信していた.
プロテスタントは聖書を読み,救済への道を必死で模索しながら,自らを鍛錬し,目的や道徳上の原則をしっかり持って生きているのだ.
例え,個人として神への信仰を失うことがあったとしても,18世紀の啓蒙主義,19世紀の自由主義が,プロテスタントの伝統から生まれたものであったのは間違いない.
これとは対照的に,カトリック教徒は情緒,伝統,儀式,無知の奴隷であると見なされた.
ムスリムはもっと悪く,ヒンドゥー教徒や仏教徒は最悪だとされた.
19世紀末のアフリカ人を対象にした人種差別的な紋切り型の表現は,彼ら自身のためにも,無理矢理にでも働かせる必要がある,というものだった.
〔略〕
このような見方がイギリス人帝国主義者の根強い文化的優越感,また,先住民を文明化する使命の背後にはあった.
16世紀のアイルランドで初めて表明された「無主の地 テラ・ナリアス」の原則も,こうした見方で説明できる.
そのような原則があれば,後れた先住民社会が無駄にしている人材や天然資源を,文明的な人間が侵略し,それらを取り上げて利用することも正当化できるわけだ.
こうした原則で武装しておけば,先住民の土地を取り上げたり,土着の文化を根絶したりしても,進歩という大義名分の下で簡単に正当化できた.
怠惰なアフリカ人を生産的な奴隷へと変えたり,中国政府に阿片の輸入を強制的に認めたりすることですら,イギリス主導の国際経済の発展にとって不可欠だとか,イギリスは進歩を引っ張る原動力であるなどとして,いざとなれば正当化することもできたのだった.
------------Dominic Lieven著「帝国の興亡」(日本経済新聞社,2002/12/16)上巻,p.201-202
今日としてはとうてい賛成できない見方だが,「現代史観で過去を裁いて」も無意味だということは,小林よしのり自身もかつて述べている.
にも関わらず,裁いてしまっている小林の行為は明らかに矛盾.
------------
我々はあまりにも視野が狭い.
人間は皆同じだと思い込んでいる.
その地理によって,その歴史によって,運命付けられた「公共性」の違い,「不文のルール感覚」の違いというものが全く分かっていない.
------------小林よしのり「戦争論」3,2003/7, p.163
せめて,同じ本の中でくらい矛盾をなくす努力をしなよ.
牛
(画像掲示板より引用)
【珍説】
神話の時代から,日本では人間と動物が会話した.
神は人にも動物にも森羅万象に宿った.
(小林よしのり「戦争論」3,P.161)
【事実】
神話を論拠に持ち出すなんて,正気とは思えませんが.
ギャグですよね? ギャグで言ってんですよね??
【珍説】
フセインのあのぼけっとした様子は,ひょっとするとガスか薬物で感覚を麻痺させられた状態なのかもしれない.
アメリカは,そういうでっち上げや情報操作を平気でやるからな.
(小林よしのり「新ゴー宣」199章,from SAPIO)
【事実】
印象論お疲れ様.
そういえば,SAPIOで,「印象」だけで先導する人/マスコミを批判している人物がおりましたので,その言葉を引用しましょう.
「印象」だけ!
「印象」だけでずるずると日本の構造を壊滅させるように大衆を先導しているのは,結局,マスコミである!
(小林よしのり from 「SAPIO」,2003/6/25, p.60-62)
【質問】
「アフ【ガ】ーンに関する小林の主張したトンデモ」ってどんなの?
抜き書け.
リンク先なんて絶対見ない.
(推定林間)
【回答】
よかろう.
アフ【ガ】ーンに関する小林の主張したトンデモ,というか疑問点
・チャダル(ブルカ)はアフ【ガ】ーンの伝統
(不正確.南部パシュトゥン人の伝統でしかなく,また,アミール・アマーヌラー〜ダウド独裁政権下で自由化がある程度進んでいた――断続的にだが――着用率は低下していた.
また,たとえ伝統であろうと,ターリバーンがこれを暴力を用いて強制したことは問題であり,小林はこの点に一切触れていない.
田中宇の本から引用したときは,暴力の部分を隠蔽した引用文になっている)※
・アフ【ガ】ーン人は親日※2
(疑わしい.殆ど知らないというのが実情.アメリカ人に比べれば,程度の話と考えられる)
・アフ【ガ】ーン紛争において,アメリカはパキスタンを使い捨てにした
(和平交渉のど真ん中にパキスタンはいたわけだが.
むしろ,対ソ紛争ではパキスタンはいいようにアメリカの援助を利用し尽くしている.いちばん役に立たなかったヘクマチァール派に一番多く援助した点とか)
・バーミヤン遺跡破壊はクルァーン(コーラン)の教えに沿ったもの
(アズハル大学の有力法学者が皆,これをトンデモ認定していますが何か?
NHKの「大仏破壊」に詳しいが,これはアルカーイダのトンデモ解釈の産物.オマル自身,アルカーイダに感化される前は,「大仏は保護されるべきである」との布告を発している)
・ターリバーン政権時代でも,女子の教育は黙認されていた
(そもそもオマルの教育観はパキスタンの過激思想マドラサの受け売りなので,女子の教育の自由と言っても小学生まで.
オマルがアルカーイダに共鳴しだしてから後は女子教育全否定)
・アフ【ガ】ーンの女性達は表面,家畜のように扱われながらも,実は内助の功を期待され,家の中でかなりの実権を振るい得る
(これ,中村哲医師の空想の産物.全く根拠なし)
・アメリカだって,村一つ全滅させるくらいの「誤爆」は平気でやってます
(ソース不明.過激原理主義者のプロパガンダを真に受けているだけの可能性大)
・ブルカを脱がされボディチェックされたアフ【ガ】ーン女性が,米兵を射殺! すると米軍は村ごと空爆した!(同上)
・買収作戦はアメリカ原理主義
(ターリバーンもやっている.つーか,アフ【ガ】ーンでは昔からある作戦)
・ターリバーンがいなくなって,エロ写真が巷に氾濫するようになった
(肖像画禁止のターリバーンがいなくなって,女性の写真を壁に飾れるようになったというだけの話)
・米軍はアフ【ガ】ーンでベトナム以上に負けている
(中村医師の話を紹介したものだが,自分のマンガや雑誌に載せるなら,最低限ウラ取りくらいしろよ)
・そもそも,なぜ小林は「非武装中立憲法ばんじゃーい.中国様マンセー」な中村哲医師をあれほどまでに鵜呑みにしたのか分からん.いくら編集者の紹介(噂では)だと言っても,下調べくらいはするもんだろうが.
まあ最近中村医師の話もアフ【ガ】ーンの話も全然しなくなったところを見ると,さすがに「あの医者はやばい」と気付いたんだろうが,それならそれで,訂正や絶版を行うのが,表現者としての最低限のマナー.
中村医師の主張を垂れ流したことのあるNHKも,問い合わせに対する釈明ぐらいはしている.
それができないなら,田舎に帰んな.
余談だが,今号のサピオ,父親の死因についてまで不審を持って暗に医療過誤のせいにするようじゃ,人間としてそうとうヤバイん所まできてるんじゃないかと思われ.※3
※ チャダル(ブルカ)についてはこちらにおいて論証しているので各項目を参照されたし.
中でも注目すべきは,
・ブルカは移入語であって,ターリバーンによる強制と共に,パキスタンからやってきたものであること
・チャダルは農村の伝統(中村医師)というよりは,かつては都市部の,上流階級の女性の習慣だったこと
・中村医師と仲の良い千田悦子(元国連職員)までがそう証言していること
の3点.
なお,中村医師が「ブルカはアフ【ガ】ーン全体の伝統」であるかのごとく錯覚した(小林よしのりの記述はほぼ100%中村医師の受け売りに過ぎない)のは,
・ペシャワール会の活動地域が主に南部パシュトゥン地域であり,そこではまさにチャダルが伝統であることから,アフ【ガ】ーン全体がそうであるかのように勘違いした
・ペシャワールではターリバーンと遜色ないイスラーム過激原理主義政権が誕生しており,その影響力は強く,ペシャワール会も相当感化されている(ペシャワール会の最近の会報を読むと,過激原理主義者のプロパガンダを鵜呑みにしているケースが多い)
ためであると推測される.
※2 アフ【ガ】ーンの親日の度合いについては,こちらで論証しているので参照されたし.
中でも留意すべきは,
・大野盛雄来訪の際の地元長老達の言動
・日露戦争の知名度
・ヒロシマ・ナガサキがパキスタン(またパキスタンか……)によって,自国の核兵器保有を正当化するための政治宣伝に使われているため,これをもって知日の尺度とはできないこと
・アラブ社会でのネット掲示板に見られる知日度(アフ【ガ】ーンがアラブ社会に比して圧倒的に知識人が少ないことは,識字率を比較してもいうまでもなかろう)
の諸点.
なお,中村医師自身,かつては
「日本があまりに遠すぎて,ファンタジーしか沸かないのである.我々が中央アジアの血生臭い歴史を忘れてシルク・ロードに夢を馳せるようなものである」
と発言しており,今日の彼の発言とは大きな食い違いを見せている.
例えばイラク戦争後は,上記の中村医師発言は,
――イラク派兵によって日本は変わりましたか?
「日本」というブランドが大きく揺らぎました.
世界の多くの人達は,日本人が考えている以上に日本に対して親近感を持っています.
〔以下,自衛隊イラク派遣反対論を展開〕
(from「週刊金曜日」,2005/6/10号,p.23)
と,いつのまにか「親日」規模が大きくなっており,こういうブレにブレている発言者を信頼することはとうていできないと考える.
【補足】
>自分の雑誌に載せるなら,最低限ウラ取りくらいしろよ
小林氏はかつて「裏なんか取りません」と宣言してます.
ゴー宣は,世の中の情報を受け取った者(小林氏)の印象批評であって,その元となる情報の裏取りなんか一々しないんだそうです.
普通,こんな事宣言するような人の言説なんか,誰も信用しなくなるんですが,当時の支持者は気にもしなかったですね.
彼らにとっては,自分らに都合が良い内容なら,言説の質なんかどうでも良かったんでしょう.
>それならそれで,訂正や絶版を行うのが,表現者としての最低限のマナー
裁判で確定した事すら,訂正もしないお人ですから.
>父親の死因についてまで不審を持って暗に医療過誤のせいにするようじゃ,
>人間としてそうとうヤバイん所まできてるんじゃないかと思われ.
今さらですよ.小林氏は基本的に批評批判への耐性が弱く,悪い事は全て他人のせいにしたがるタイプです.
ある意味繊細だったんでしょうね.
【珍説】
むしろわしが驚くのは,あれほど支那との朝貢貿易を続けながら,沖縄にはついに,仏教が根付かなかったことだ.
沖縄では,僧侶は民衆に尊敬される存在にならなかった.
〔略〕
本来,対立するものだった神道と仏教は,やがて神仏習合し,沖縄敵に言えばチャンプルーな日本人の宗教心を形成してしまう.
だが沖縄には,本居宣長が批判した「漢心(からごころ)」が,そもそも入ってこなかったのだ!
したがって沖縄には民族・宗教・言語などにおいて古代大和の要素が色濃く残っている.
小林よしのり in 『SAPIO』 2005/3/23号,p.71
【事実】
ブログ版「目からウロコの琉球・沖縄史」によれば,
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沖縄は仏教の影響をほとんど受けなかったという考えがありますが,それは全くの誤解です.むしろ琉球王国は「仏教王国」といえるほど仏教が盛んだった時代があった
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という.
その根拠の一つとして,玉陵などにある地蔵菩薩の彫刻の存在が指摘されている.
遺跡という証拠がある以上,小林の言説は虚偽であると言わざるを得ない.
……小林の場合,むしろ本当のことを書いてある部分を見つけるほうが難しいんだけどね.
ちなみに小林,同じ号でこんなことも書いています.
>日本の知識人は沖縄の歴史や文化について,ほとんど無知である.(p.67)
鏡見ろ.