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◆◆◆◆◆◆デルタ型
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<◆ロシア海軍 目次
ロシアFAQ目次

海軍旗を掲げるデルタ4型原潜

(画像掲示板より引用)


 【link】

「FLOT.com」◆(2010/08/06) Ленинградской области будет установлена рубка АПЛ "Оренбург"

「FLOT.com」◆(2010/08/23)Ракетный подводный крейсер К-51 "Верхотурье" сегодня прибудет на "Звездочку" для ремонта и модернизации
ミサイル水中巡洋艦 K - 51 " Verhoturie"は,修復と近代化のため,本日,"星"に到着

「六課」:デルタIV型戦略原潜「カレリア」,近代化改装後の航海試験プログラムを全て完了

「六課」◆(2010/1/22)デルタIV級戦略原潜「カレリア」,艦隊に復帰

新「六課」◆(2012/03/16)デルタIV級戦略原潜「ヴェルホトゥリエ」は造船台を出る

新「六課」◆(2012/03/26)全てのデルタIV級戦略原潜は寿命を35年に延長する

新「六課」◆(2012/04/14)デルタIV級戦略原潜エカテリンブルクの修理は2012年末に開始される

新「六課」◆(2012/04/23)デルタIV級戦略原潜エカテリンブルクの修理費用は減少する

新「六課」◆(2012/06/25) デルタIV級戦略原潜エカテリンブルクは修理の為,セヴェロドヴィンスクへ到着した

新「六課」◆(2012/07/13) デルタIV級戦略原潜ノヴォモスコフスクは近代化改装後の航海試験を終えた

新「六課」◆(2012/08/13) デルタIV級戦略原潜ノヴォモスコフスクは2022年までロシア海軍に就役する

新「六課」◆(2012/08/13) デルタIV級戦略原潜ノヴォモスコフスクは常駐基地へ戻った

新「六課」◆(2012/08/29) 戦略原潜エカテリンブルクはドック入りした

新「六課」◆(2012/10/19) ロシア太平洋艦隊の戦略原潜はオホーツク海から弾道ミサイルを発射した

新「六課」◆(2012/10/22) 2013年,ロシア太平洋艦隊の2隻の戦略原潜は同時に弾道ミサイルを発射する

「六課」ACS◆(2012/11/08) デルタIII級戦略原潜シヴィャトイ・ゲオルギー・ポベドノーセッツは11月9日に帰港する

新「六課」◆(2012/11/25) デルタIII級戦略原潜シヴィャトイ・ゲオルギー・ポベドノーセッツの乗員チームは解散する

「六課」ACS◆(2013/01/13) デルタIV級戦略原潜ヴェルホトゥリエはロシア海軍へ復帰した

「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/6/6) デルタIV級戦略原潜エカテリンブルクは造船台を出渠した

「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/11/8) デルタIII級戦略原潜「聖大致命者凱旋者ゲオルギィ」は11月9日に帰港する

「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/11/25) デルタIII級戦略原潜「聖大致命者凱旋者ゲオルギィ」の乗員チームは解散する

「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/11/23) デルタIV級戦略原潜ヴェルホトゥリエは修理後の試験の為に出航した

「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/12/29) ロシア海軍太平洋艦隊の戦略原潜スヴャトイ・ゲオルギー・ポベドノーセツは任務遂行後に基地へ戻った

「ロシア海軍情報管理局」◆(2014/12/30) ロシア海軍のデルタIV級戦略原潜エカテリンブルクは北方艦隊原潜基地ガジエヴォに到着した

「ワレYouTube発見セリ」:Delta 4 Russian Submarine


 【質問】
 なぜデルタ型原潜には4つものサブ・バリエーションがあるのか?

 【回答】
 ミサイルの改良に従って,船体が大型化するなどしたため.

デルタI型:R-29(SS-N-8)ミサイル搭載=単弾頭,発射筒12基
   ↓
デルタII型:R-29Uミサイル搭載.発射筒が16基に.北極海対応.
   ↓
デルタIII型:R-29R(SS-N-18)ミサイル=弾頭3個.
   ↓
デルタW型:R-29RM(SS-N-23)ミサイル=弾頭4個.

 以下は,岡部いさくによる解説.

 ソ連海軍のSSBNにとっては,西側の強力な対潜哨戒網をかいくぐって,ミサイルの射程まで西側本土に接近するのは容易ではなく,より安全なソ連本土に近い海域から西側主要目標を射程内に収めうる,長射程の水中発射弾道ミサイルが必要とされた.
 そこで開発されたのが,1973年から実用配備になったR-29(SS-N-8ソーフライ)ミサイルである.
 R-29は相変わらず液体燃料で単弾頭だったが2段式で,射程は4300浬に伸び,精度も向上し,新型の発射システムにより,ヤンキー型のR-27よりも戦力としての効率は2.5倍に強化されたとされている.

 これを搭載するSSBNがデルタ Delta I型で,1970〜76年に18隻が建造され,1973〜78年に就役した.
 デルタI型は基本配置はヤンキー型を踏襲しているが,さらに大型とされ,静粛性も向上し,電子装備も強化・合理化された.
 デルタI型はミサイル区画の背が高く,フェアリング部分はセイルの高さの半分ほどにまで達しているのが外形上の特徴である.
 そのミサイル区画には12基の発射筒が並び,ヤンキー型よりもミサイル搭載数は減っているが,ミサイルと発射システムの性能向上により,戦力としてはむしろ強化されていると評価されたようである.

 18隻のうち8隻は,さらに射程4400浬に延長したR-29Uミサイルを搭載した.
 このミサイルの搭載を前提に,デルタI型の拡大改良型として,デルタII型4隻が1973〜74年に起工され,1975〜76年に就役した.
 デルタII型ではミサイル区画が延長されて発射筒が16基となり,静粛性が向上し,さらに,主な作戦海域となる北極海での運用を考慮して,セイルの潜舵は90度に回転できるようになった.

 その一方,ソ連は水中発射ミサイルの多弾頭化を進め,1979年に射程3600浬のR-29R(SS-N-18 スティングレイ)ミサイルを実戦化した.
 このミサイルの初期型は単弾頭だったが,改良型は3個,さらに7個の個別誘導再突入弾頭を装備するようになった.
 ただしSTART I条約の制限により,7個弾頭装備型は実際には配備されなかった.
 このミサイルの搭載艦として,さらに大型化したデルタIII型が,1977年から82年にかけて14隻就役した.
 デルタIII型は水中排水量が1万tを超え,ミサイルの全長が大きくなったのに伴い,発射筒も長くなり,ミサイル区画の高さはセイルの半分以上に達することとなった.
 静粛性や居住性にも改良が加えられており,単弾頭ミサイルを搭載するデルタI,II型の殆どが退役しているのに対し,こちらはまだ現役にとどまっている.

 1987年には,R-29Rに続くミサイルとして,射程を4,600〜5,100浬に延長し,精度を向上させ,4個の弾頭を装備する新型,R-29RM(SS-N-23 スキッフ)が実戦化され,それを搭載するデルタW型が,1987〜90年に7隻就役した.
 デルタW型はミサイル区画の高さがさらに増し,静粛性の向上のために機関のラフト装備などを施して,船体はまた大型化し,水中排水量18,200tと,アメリカのオハイオ級に匹敵する巨艦となった.
 船尾の形状も,推進器周辺の水流の整流のために延長されている.
 デルタW型は現在のロシア海軍の主力SSBNで,1998年にはK-407が史上初めて水中からの人工衛星打ち上げに成功している.
 しかし2隻は予算難から修理に長くかかっており,事実上現役を離れている.
 さらにK-64は海洋調査潜水艦への改造途中のままとなっている.

(岡部いさく from 「世界の艦船」2004年10月号,p.85-86)

 以下の写真は,セヴェロドヴィンスク市のズヴェズドチカ工廠でオーバーホール中の667BDRM(デルタIV)型戦略原潜.
 K-18カレリアと推定されます.

 ロシア海軍の667BDRM型は,昨年(2006年)1月にK-114ツーラが,10月9日にK-117ブリャンスクが,それぞれオーバーホールを終えて艦隊に復帰しております.



Морские Силы〜ロシア・ソ連海軍〜
2007/4/6(金) 午後 8:50


 【質問】
 デルタ型(667B/667BD/667BDR/667BDRM型)原潜の原子炉について教えられたし.

 【回答】
 同型の原子炉については,『ソ連/ロシア原潜建造史』でも言及は少なく,断片的である.

 同書および
http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/40630650.html
によれば,以下のような型式の原子炉が搭載されていたという.

・VM-4B(ВМ-4Б):プロジェクト667B/667BD
・VM-4S(ВМ-4С):プロジェクト667BDR
・VM-4SG(ВМ-4СГ):プロジェクト667BDRM

 いずれも加圧水型原子炉で,各艦はこれら原子炉を2基搭載していた.
 デルタ型の稼働率は高かったことから,前世代のものに比べて原子炉の信頼性も高かっただろうと推測できる.
 また,667BDRから搭載された新型原子炉は,それまでのものが核燃料を毎年交換しなければならなかったのに対し,5.5年に延長され,出力も高くなり,安全性や操縦装置も改善されたという.
 667BDRMからは静粛性向上の一環として,原子炉やタービンなどの主要装置は,区画ごとにフローティング構造のデッキに載せられている.

 【参考ページ】
『ソ連/ロシア原潜建造史』(A.V.ポルトフ著,海人社,2005.11.15),p.128-133

「デルタ」IV型原潜内部図解
7-й区画が原子炉
(こちらより引用)

【ぐんじさんぎょう】,2010/01/30 23:00
に加筆改修

 うーん,私個人の情報ソースは『ソ連/ロシア原潜建造史』のみですので,それ以上のことは言えないところですね.
 なお,667BDRから搭載の新型原子炉については,ドンガラは別としても,性能的には「全く別物」とすべきでしょう.
 恐らくウラン濃縮度の他に,炉心内のウラン密度(要はトータルのウラン重量)を大幅に変えている物と考えられますが,それを実現するためには核燃料側で大幅な変更が必要となり,それに伴う各特性(安全性他)も大幅に異なるのは必然ですので.

へぼ担当 in mixi,2010年01月30日 01:42


 【質問】
 デルタI型(667B型)原潜K-171の原子炉事故について教えられたし.

 【回答】
 1978年12月,パトロールから帰投した,太平洋艦隊のK-171において,原子炉管理班の不備により,ターボ発電機が故障,冷却水が大量に漏洩した.
 1978年12月,パトロールから帰投した,太平洋艦隊のK-171において,原子炉管理班の不備により,蒸気タービン発電機が故障,冷却水が大量に漏洩した.
 社会主義政権下における経歴上の減点を恐れた同艦のロモフ艦長とトブツノフ中佐は,事故を司令部へ報告せず,自分たちで修理しようと試みた.
 中佐以下3人が原子炉区画に入り,修理を始めたが,漏れていた高圧蒸気により,区画内の気圧が急激に高まって,ハッチを開けられなくなり,3人とも死亡した.

 【参考ページ】
『ソ連/ロシア原潜建造史』(A.V.ポルトフ著,海人社,2005.11.15),p.128
http://www.geocities.jp/aobamil/KL.html
http://www.johnstonsarchive.net/nuclear/radevents/1978USSR8.html
http://militarynuts.com/ar/t573.htm

【ぐんじさんぎょう】,2010/01/27 23:04
に加筆改修

 内容確認しました.
 「ターボ発電機」→「(蒸気)タービン発電機」との修正のみでよいかと考えます.
 なお,本来「ターボ発電機」とすると,真っ先に思い浮かぶのが「ガスタービン発電機」なのですが,この文脈からすると「(蒸気)タービン発電機」とするのが正解でしょう.
(なお,外国語ではターボとタービンを区別しなかったりする場合もあるそうです.文脈ではもちろん区別できますが.)

へぼ担当 in mixi,2010年01月27日 00:11

 フランスの原潜やアメリカ海軍のタリビーなんかの方式が,turbo-electricと書かれていますね.

ROCKY in mixi,2010年01月28日 14:12

> turbo-electric

 フランスの原潜などがこだわっている方式ですが,この場合,正確には「turbo-electric driven(タービン発電・電動機駆動)」と行うべきでしょう.
 原文が英語で言うturbo generatorでしたら,訳語は「ターボ発電機」で良いのでしょうが,通常の用語としては区別を付けやすくするために (nuclear steam) turbine generatorが一般的に用いられるところであり,「(原子力蒸気)タービン発電機」との訳語が用いられるのが,日本国内では一般的です.

へぼ担当 in mixi,2010年01月28日 18:58


 【質問】
 デルタII型原潜「リャザン」について教えられたし.

 【回答】
タス通信,(2007年12月13日10時56分付によれば,弾道ミサイル原潜リャザン(戦術番号K-44)は,セヴェロドンヴィスクのセヴマシュ造船所で1982年に建造された.

 プロジェクト667BDR「カリマール」弾道ミサイル原子力潜水艦(NATOの分類では「デルタII」)は,
全長155m,
水上排水量10,600t,
水中速力24ノット(44.5km/h),
兵装は,弾道ミサイル発射筒16基.

 2007年12月,「リャザン」は,セヴェロドンヴィスクの「ズヴェズドチカ」造船所で定期整備の後,テストの為,洋上に去った.

Морские Силы〜ロシア・ソ連海軍〜
2007/12/14(金) 午後 5:07

 【関連リンク】

「ロシア・ソ連海軍」:デルタIII型戦略原潜「リャザニ」,弾道ミサイル試射


 【質問】
 デルタIII型原潜K-223「ポドリスク」について教えられたし.

 【回答】
 プロジェクト667BDR「カリマール」(デルタIII級)戦略原子力潜水艦K-223「ポドリスク」は,1979年11月27日に就役しました.
1980年1月23日に北方艦隊に編入され,ヤーゲリナヤ湾(ガジェーヴォ)に配備されました.
1980年12月11日に太平洋艦隊へ転属し,ヴィリチュンスク基地へ回航されました.
1989年12月8日から1992年4月28日まで沿海地方ボリショイ・カーメニのズヴェズダー工場でオーバーホールを受けました.
1998年7月18日,「ポドリスク」と命名されました.

 現在,太平洋艦隊には3隻のデルタIII級戦略原潜が在籍しています.

K-223「ポドリスク」(1979年11月27日就役)
K-433「常勝聖人ゲオルギー」(1980年12月15日就役)
K-44「リャザン」(1982年9月17日就役)

 「ポドリスク」は,ロシア海軍の現役潜水艦(原子力,通常動力を含む)の中で最古参(艦齢32年)です.

 2011年12月,ロシア海軍太平洋艦隊所属の戦略任務ロケット水中巡洋艦K-223「ポドリスク」,戦闘勤務を終えてカムチャツカ半島のヴィリチュンスク基地に帰港しました.
 艦長セルゲイ・エフショニン1等海佐以下の「ポドリスク」乗員は,太平洋艦隊潜水艦部隊司令官ニコライ・エフメロフ少将などの出迎えを受けました.
 今回の「ポドリスク」の戦闘勤務航海では,ロシア正教会の神父オレグが同乗しました.
 原潜に神父が同乗するのは,今回が初めてです.

ヴィリチュンスクに入港するK-223「ポドリスク」

右端が神父オレグ

艦長セルゲイ・エフショニン1等海佐

ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課
2011/12/26(月) 午後 8:48

青文字:加筆改修部分


 【質問】
 デルタIII型戦略原潜「ボリソグレブスク」について教えられたし.

 【回答】
 戦略任務ロケット水中巡洋艦K-496「ボリソグレブスク」(プロジェクト667BDR,NATO分類「デルタIII」)は,1975年11月23日にセヴェロドヴィンスクの「セヴマシュ」で起工された.
 約2年後の1977年11月11日,艦に軍艦旗が掲揚され,受領書への署名が行なわれ,同年12月30日,艦は就役した.

 艦は,2度に渡って艦船修理センター「ズヴェズドーチカ」で修理され,2008年末,解体の為,同社へ戻ってきた.
〔2009年〕8月14日,"ズヴェズドーチカ"と"セヴマシュ"において,巡洋艦の乗組員と,白海海軍基地司令官と"ボリソグレブスク"で勤務した,異なる世代の海軍退役将兵が参加する,艦との告別式が執り行われました」
広報部は伝えた.
 モスクワ時間11時,艦長ニコライ・エレゾフ1等海佐は,アンドレイ旗と国籍旗を降ろした.
 間もなくこれらの旗は,「ズヴェズドーチカ」博物館の展示室の名誉ある場所を占める.
 艦旗降納は,解体の準備をする艦船修理センター「ズヴェズドーチカ」の民間人乗員への,艦の移籍を示すものである.

 K-496解体の資金拠出業務は,国家営団「ロスアトム」の資金と外国の援助によって達成される.
 潜水艦の原子炉からの核燃料撤去作業はカナダの資金,ロケット発射筒の解体と船体の3ブロックへの切断は,アメリカの資金によって行なわれる.

 艦の解体は,計画的な特性により実施される事を広報は強調した.

 「ボリソグレブスク」が除籍された事により,ロシア海軍に在籍するデルタIII型(プロジェクト667BDR)原潜は,以下の6隻だけになりました.

<太平洋艦隊>
K-506ゼレノグラード(1978年就役)
K-211ペトロパヴロフスク・カムチャツキー(1979年就役)
K-223ポドルスク(1979年就役)
K-433シヴャトイ・ゲオルギー・ポベドノーセッツ(1980年就役)
K-44リャザン(1982年就役)

<北方艦隊>
KS-129オレンブルク(1981年就役,1994〜1996年,特殊用途原子力潜水艦に改造)

 今後しばらくの間は,北方艦隊のデルタIV型6隻,太平洋艦隊のデルタIII型5隻が,ロシア海軍の戦略核戦力を構成する事になります.

 アメリカなどの西側諸国は,ロシア(旧ソ連)の除籍原潜解体に資金を拠出していますが,その資金は,主として比較的新しいクラスの艦の解体に拠出されています.
(例えばタイフーン型とかヴィクターIII型とか)

1999年に撮影された「ボリソグレブスク」

「ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課」
2009/8/15(土) 午前 5:07

青文字:加筆改修部分

▼ 2009年8月14日,「ボリソグレブスク」は除籍された.▲


 【質問】
 デルタIV型戦略原潜「ヴェルホトゥーリエ」について教えられたし.

 【回答】
 K-51「ヴェルホトゥーリエ Верхотурье Verhoturie 」は,デルタIV型戦略原潜の1番艦です.
 同艦は,
1981年2月23日に起工,
1984年3月7日に進水,
1984年12月28日にソ連海軍へ引き渡されました.

1985年3月4日,赤旗北方艦隊の第13潜水艦師団へ編入.

▼ 1985〜1986 弾道ミサイルR-29RMの発射試験に従事.[3]

 1987年,潜水艦は,同型艦としては初めて,艦内にミサイルを搭載して北極圏への航海を完遂.[1]▲

1993年3月1日,オーバーホールと近代化改装の為,セヴェロドヴィンスクへ回航.

1999年2月9日,「ヴェルホトゥーリエ」と命名されました.

1999年11月,オーバーホールと近代化改装を完了,翌12月,ロシア海軍の戦闘編制へ復帰しました.

 以下,ロシア北方艦隊ポータルサイト『北方艦隊は期待を裏切らない!』より.

――――――
北方艦隊の水中ミサイル搭載艦「ヴェルホトゥーリエ」は,セヴェロドヴィンスクで定期整備を行なう

 北方艦隊のロケット水中巡洋艦K-51「ヴェルホトゥーリエ」は,2010年に就役期間延長の為の定期整備をセヴェロドヴィンスクで行なう.

「同艦の修理着手は,来年に延期されました.
 この決定は,ロシア海軍により下されました.
 理由についての説明は有りませんでした」
と,株式会社「艦船修理センター"ズヴェズドーチカ"」広報サービスは説明した.

 以前の計画では,潜水艦は12月中旬に同社へ到着する予定だった.

 アルムス・タスは,プロジェクト667BDRM「デルフィン」(NATO分類「デルタIV」)戦略用途ロケット水中巡洋艦「ヴェルホトゥーリエ」は,1999年,同シリーズの艦で最初に「ズヴェズドーチカ」におけるオーバーホールと近代化改装を行なったと報じた.
 巡洋艦の就役期間は10年延長された.
(2009年12月30日配信)
――――――

「ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課」
2009/12/30(水) 午後 8:40

青文字:加筆改修部分

▼ 2010.8.23,機器復旧及び艦の就役期間を5年間延長する第2次近代化改修工事のため,艦船修理センター「ズヴェズドーチカ」にて入渠.[1]
 しかし予算難のため,工事着工はそれから後のことになった.[2]
 2012年3月,船体,外部装備品,バラストタンク,各種機器,推進軸ユニットグループ,その他艦載システムの修理を完了し,出渠.[1]

[要目][1]
水上速力:14ノット
水中速力:24ノット
通常潜航深度:320〜400メートル
限界潜航深度:550?650メートル
自立航海期間:90日
乗組員:135〜140名

[寸法][1]
水上排水量:11740トン
水中排水量:18200トン
全長(吃水線上で):167.4メートル
最大幅:11.7メートル
平均吃水:8.8メートル

[兵装][1]
潜水艦には4門の533mm魚雷発射管が装備されている.
装弾数-12発の魚雷.魚雷の代わりに24基の機雷を搭載できる.
ミサイル-16基の弾道ミサイルR-29RMの発射装置.
兵装の構成には,携帯高射ミサイル複合体9K310「イグラ-1」/9K38「イグラ-1」(装弾数8基)が在る.

 【参考ページ】
[1]新「六課」,2012/11/23
[2]Верхотурье (подводная лодка) - Википедия
[3]К-51 "Верхотурье" - FLOT.com


 【質問】
 デルタIV型原潜「エカテリンブルク」について教えられたし.

 【回答】
 原子力戦略用途水中巡洋艦K-84「エカテリンブルク」は,プロジェクト667BDRM(NATOコード名デルタIV級)の2番艦です.

 ロシア・ソ連潜水艦総合情報サイト『シトルム・グルビニィ』(ディープストーム)
【プロジェクト667BDRM(NATOコード名デルタIV)】
【K-84「エカテリンブルク」】
によれば,
1982年2月17日にセヴェロドヴィンスク市の「セヴマシュ」(当時は第402造船所)で起工され,
1984年9月に進水,1985年12月30日に就役しました.

1985年12月31日にオレーニヤ(ムルマンスク62基地)に配備されました.
1993年7月,ヤーゲリナヤ湾(ムルマンスク130基地,ガジェーヴォ)へ配置換えされました.
1998年12月3日からセヴェロドヴィンスク市の艦船修理工場「ズヴェズドーチカ」でオーバーホールを開始しました.
1999年2月9日,「エカテリンブルク」と命名されました.
2003年1月15日にオーバーホールと近代化改装を完了し,試験後,2003年7月8日にガジェーヴォ基地へ戻りました.

2011年5月20日,弾道ミサイル「シネーワ」の改良型R-29RMU2.1「ライネル」の発射試験に成功しました.

原子力戦略任務水中巡洋艦K-84「エカテリンブルク」

ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課
2011/12/30(金) 午前 9:13

青文字:加筆改修部分

▼ 2011年12月29日16時20分(モスクワ時間),ムルマンスク近郊ロスリャコヴォの,「第82艦船修理工場」の大型浮きドックで修理中に,火災が発生しました.
 12月30日1時40分,火災は沈静化されました.
[ロシア海軍戦略原潜「エカテリンブルク」で火災]
[ロシア原潜「エカテリンブルク」火災事故・続報]
[戦略原潜「エカテリンブルク」は修理後に復帰する]

 この火災により,「エカテリンブルク」は,艦首の水中音響探知ステーション(スカート-BDRM)が損傷.
 また,潜水艦船体の軽量ゴム製カバーが,重大な損傷を被りました.
[デルタIV級戦略原潜エカテリンブルクの修理費用は減少する]
[デルタIV級戦略原潜エカテリンブルクの修理は2012年末に開始される]

 2012年6月22日,セヴェロドヴィンスクに到着しました.
[デルタIV級戦略原潜エカテリンブルクは修理の為,セヴェロドヴィンスクへ到着した]

 8月29日,修理の為にドック入りしました.
[戦略原潜エカテリンブルクはドック入りした]
l
 「エカテリンブルク」の艦首水中音響複合体の上には,魚雷発射管(533mm発射管4門)が有りますが,以下の記事によると,魚雷発射管はそのまま使えるとの事です.
 『イタルタス』より2013年5月30日10時18分配信
【火災で損傷した原子力潜水艦「エカテリンブルク」は海上へ復帰する】

「六課」ACS◆(2013/05/30) デルタIV級戦略原潜エカテリンブルクの修理作業は進んでいる
より再構成

▼ 修理と共に第2次近代化改装工事も行なわれ,これまでの「シネーワ」に代わる新たな弾道ミサイル「ライネル」を搭載.

 2014年6月6日,「ズヴェズドーチカ」の造船台から出渠.
https://www.youtube.com/watch?v=ud5LOz5iNL0


 同年7月27日,進水.

 同年11月14日,修理後の点検の為,海洋試験へと出航.

 しかし,海洋試験の最中,同艦に乗っていた「ズヴェズドーチカ」の従業員が足に重傷を負い,この為,「エカテリンブルク」は急遽試験を中断してセヴェロドヴィンスクへ帰港.

 同年11月24日,再び出航し,海洋試験(工場航行試験)を再開.

 同年12月19日,ロシア海軍へ引き渡された.

 【参考ページ Referencia Oldal】
http://rybachii.blog84.fc2.com/blog-entry-1931.html
http://rybachii.blog84.fc2.com/blog-entry-1451.html▲

mixi, 2017.12.21


 【質問】
 デルタIV型原潜「エカテリンブルク」にて起きた火災について教えられたし.

 【回答】
 2011年12月29日16時20分(モスクワ時間),ムルマンスク近郊の浮きドックで同艦を修理中,火災が発生しました.
 『TV-Zvezda』より.

--------------------------------------------------------------------------------
モスクワ時間2011年12月29日22時35分配信
【原子力潜水艦「エカテリンブルク」の火災は鎮火する】(動画あり)

 ムルマンスク地域の原子力潜水艦「エカテリンブルグ」船体外部で火災が発生した.
 潜水艦は,ロスリャコヴォ村の浮きドックで修理中だった.
 消火には62名と12台(の消防車)が関わっている.
 負傷者は居ない.
--------------------------------------------------------------------------------

 『イタルタス通信』より;
【原子力潜水艦「エカテリンブルク」火災事故特設ページ】

 第一報
・モスクワ時間2011年12月29日18時22分配信
【ムルマンスク地域の軍事工場で原子力潜水艦「エカテリンブルク」に火災が発生した】

 ロシア非常事態省は,負傷者は無く,放射能汚染の危険は無いと発表しました.
 同時に
「ロシア非常事態省報道サービスによる公式発表以外から出た情報は,正確ではない」
と釘を刺しています.

・モスクワ時間2011年12月29日19時22分配信
【非常事態省は,潜水艦「エカリンブルク」火災に起因する放射能汚染の脅威は無いと発表した】

 火災はモスクワ時間で12月29日16時20分頃に発生したとの事です.
 この火災による放射能汚染は無いとの事です.
 火災は船体の外で発生しましたから,当然ですが.

 第一,デルタIV級の船体は「複殻式」と呼ばれる二重船体構造なので,船体外側で火災が起きても,艦内に燃え移る可能性は,限りなくゼロです.

・モスクワ時間2011年12月29日20時45分配信
【原子力潜水艦「エカテリンブルグ」の火災は,事前点検を開始した際に起こった】
 修理作業の事前点検開始時に,火災が発生したとの事です.

・モスクワ時間2011年12月30日01時20分配信
【消防士は,原子力潜水艦「エカテリンブルク」火災に発泡消火剤を注ぐ】
 消防士は,発泡消火剤で火災鎮火に努め,原潜「エカテリンブルク」船体に,ジェット水流を注いで船体を冷却しています.
 火災の原因は,修理作業開始の際,潜水艦の周りに組み立てられた木製の足場に引火した為との事です.

 ロシアの原子力潜水艦の船体外部には,騒音を減少させる為のゴム製の吸音タイルがびっしりと貼り付けられており,これに引火した為,船体外部(の吸音タイル)が燃えているわけです.

・モスクワ時間2011年12月30日01時56分配信
【ムルマンスク地域の原子力潜水艦「エカテリンブルグ」の火災は鎮火される】
 モスクワ時間12月30日01時40分頃,火災は沈静化されました.
 放射能汚染は無く,負傷者も居ないとの事です.

---

 原潜「エカテリンブルグ」火災事故が起こったのは,ムルマンスク近郊ロスリャコヴォ村にある,第82船舶修理工廠の超大型浮きドックPD-50です.
 もともとは空母などの大型水上艦を修理する為,1979年にスウェーデンから購入したものです.
[浮きドックPD-50(ロスリャコヴォ工廠)]

 通常,ロシア海軍北方艦隊所属の原子力潜水艦が大規模な修理や整備を行う際は,セヴェロドヴィンスク市の「ズヴェズドーチカ」工場まで行くのですが,ロスリャコヴォの浮きドックに入渠していたという事は,それほど大規模ではない修理や整備だったという事でしょう.

ロスリャコヴォ村

第82船舶修理工廠

超大型浮きドックPD-50

ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課
2011/12/30(金) 午前 9:13

青文字:加筆改修部分

▼ 12月30日01時40分,火災は沈静化されました.

 派手に燃えていますが,これは,ロシアの原子力潜水艦は騒音低減の為,船体外部にゴム製の吸音タイルを貼り付けており,それに引火した事によるものです.

 この件に関するロシア側報道機関による続報.
 『イタルタス通信』より.

・モスクワ時間2011年12月30日09時31分
【原子力潜水艦「エカテリンブルク」の火災の鎮火中に9名が負傷した】
 イタルタス通信が地元警察に電話で問い合わせたところによると,緊急事態省の2名と軍人7名が負傷(一酸化炭素中毒)したとの事です.

・モスクワ時間2011年12月30日10時10分
【原子力潜水艦「エカテリンブルグ」乗組員の一部は艦内に居る】
 原潜「エカテリンブルグ」乗組員の一部は艦内に留まり,艦内外の温度と二酸化炭素の濃度を監視しているとの事です.

モスクワ時間2011年12月30日11時03分
【潜水艦「エカテリンブルク」は,1年以内に再び(ロシア海軍の)編制に加入する】
 原潜「エカテリンブルク」船体外部の火災の結果,潜水艦の機器設備などの損傷は皆無であり,修理の後,2012年中には現役に復帰できるとの事です.

・モスクワ時間2011年12月30日11時49分
【原子力潜水艦「エカテリンブルク」の火災を完全に鎮火するまでに6時間を要した】

 ムルマンスク地域の放射線量は,以下の通りです.
・ロスリャコヴォ村近郊:9毎時マイクロレントゲン(0.09毎時マイクロシーベルト)
・ロスリャコヴォ村:11毎時マイクロレントゲン(0.11毎時マイクロシーベルト)
・セヴェロモルスク海上:9毎時マイクロレントゲン(0.09毎時マイクロシーベルト)
・セヴェロモルスク市内:5〜8毎時マイクロレントゲン(0.05〜0.08毎時マイクロシーベルト)

 この数値は,完全に自然界に存在する放射線量の範囲内に収まっています.
 ちなみに,0.1毎時マイクロシーベルト=10毎時マイクロレントゲンです.

・モスクワ時間2011年12月30日12時35分
【原子力潜水艦「エカテリンブルク」の火災は実質的に終息した】
 原潜「エカテリンブルク」の火災は終息に向かっており,緊急事態省は現場からの撤収準備を始めています.
 緊急事態省長官セルゲイ・ショイグによると,負傷者(一酸化炭素中毒)は9名で,うち2名の緊急事態省職員は入院の必要が無く,乗組員7名は数日間入院するとの事ですが,命に別状は有りません.
 ロスリャコヴォ村の放射線量は,0.10〜0.12毎時マイクロシーベルトです.

 参考までに,日本の放射線量
【放射線情報】
 愛知県名古屋市中区錦3丁目で,12月30日20時24分時点で,0.131毎時マイクロシーベルトです.

 『ロシア通信社ノーボスチ』より.

・モスクワ時間2011年12月30日10時18分
【軍参謀本部総長マカロフは,原子力潜水艦火災が起きたロスリャコヴォに到着した】
 ロシア連邦軍参謀本部総長ニコライ・マカロフ上級大将と,連邦国防省の職員は,モスクワ時間08時40分にロスリャコヴォ村に到着しました.
 ロシア連邦海軍総司令官ウラジーミル・ヴィソツキー大将と,海軍総司令官第一代理アレクサンドル・タタリノフ大将は,前日(12月29日)夜に現場に到着しているとの事です.

 今回の火災で,150平方メートルが燃えました.

ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課
2011/12/30(金) 午後 8:48

▼ そして,複数の関係者は,原潜「エカテリンブルク」は修理後に現役復帰すると発言しました.

 『TV-Zvezda』より.

12月30日22時42分配信
【ドミトリー・メドヴェージェフは,潜水艦「エカテリンブルク」火災の調査をイーゴリ・セチンとドミトリー・ロゴージンに指示した】(動画あり)

 イーゴリ・セチンとドミトリー・ロゴージンはロシア連邦副首相です.
 動画の冒頭(0:06)で,火災を起こした原潜「エカテリンブルク」の隣に水上戦闘艦が入渠しているのが見えます.
 プロジェクト1155(ウダロイ級)大型対潜艦のようですが,艦名(舷側番号)が分かりません.

 『ロシア通信社ノーボスチ』より.

12月30日13時15分配信
【原子力潜水艦の魚雷発射管区画の温度は30度である】
 原潜「エカテリンブルク」は船体外部での火災により,潜水艦の船体内部温度が上昇し,魚雷発射管区画の温度を下げる為,船体の外殻と内殻の隙間に海水を注入したとの事です.
(デルタIV級の船体は「複殻式」と呼ばれる二重船体構造)
 12月30日13時現在,魚雷発射管区画の温度は30度です.

12月30日14時20分配信
【ショイグは,原子力潜水艦火災に関する噂の根絶を強硬に要求する】
「あらゆる誤報は,厳しく根絶する必要があります.
私たちは,決して情報を秘匿しようとしているわけではありません」
 非常事態省長官セルゲイ・ショイグは,こう語った.

 セルゲイ・ショイグ氏が言う「誤報」「噂」は,原子炉と放射能汚染に関する事でしょう.
「原子力潜水艦の事故イコール原子炉事故イコール放射能汚染」
と短絡的に考える馬鹿は,どこの国にも居るようです.
 今回のケースでは,「物理的に」原子炉事故は起きようがないのですが・・・

12月30日16時04分配信
【専門家:原子力潜水艦「エカテリンブルク」は水中音響複合体の修理後に復帰するだろう】
 ロシアの軍事専門家ミハイル・バラバノフ(軍事雑誌『Moscow Defense Brief 』編集長)は,原潜「エカテリンブルク」は火災で水中音響複合体(ソナー)が損傷しただろうから,新品と交換する必要があり,艦の修理には長期間を要するだろうと見ています.

------------
「結果としてエカテリンブルクは,水中音響複合体の外部アンテナ機構が完全に燃えており,潜水艦の水中音響複合体は丸ごと交換する必要があるでしょう.
 それは明らかに,火災後の潜水艦の修理作業において主要部分を占めるでしょう」
 バラバノフは,こう述べた.
 専門家によると,原潜は,それを終えた後でなければロシア連邦海軍の編制に復帰する事は無いだろう.
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 ただしこれは,あくまでもミハイル・バラバノフ氏個人の推測です.

12月30日17時01分配信
【原子力潜水艦「エカテリンブルク」火災は,艦隊の戦闘即応性を低下させない】
 ロシア連邦副首相ドミトーリー・ロゴージンは,原潜「エカテリンブルク」は数か月の修理の後,艦隊に復帰すると発言しました.
 複数の専門家は,原潜「エカテリンブルク」の修理と復帰には長期間を要すると分析しています.
(2013年まで掛かるという情報もあります)

12月30日19時11分配信
【火災を起こした潜水艦「エカテリンブルク」は軍務に復帰する】
 ムルマンスク地域の原潜火災事故処理チームの報道センターは,原子力潜水艦「エカテリンブルク」が北方艦隊の原隊に復帰すると発表しました.
 原潜の火災の鎮火の為,総計で408名の人員と72輌の車両が投入され,この内,172名と30輌はロシア緊急事態省所属でした.

プロジェクト667BDRM(デルタIV級)

 艦首の上部に533mm魚雷発射管4門が有り,下部の赤い部分に水中音響複合体(ソナー)が収められています.
 今回の火災では,艦首部分(の外側)が燃えました.

 ちなみに,弾道ミサイル区画は艦中央の出っ張っている部分(セイルの後ろ),原子炉区画は,出っ張り部分後方の斜め後ろに下がる部分の下あたりに有ります.
 デルタIV級の原子炉はVM-4SGと呼ばれるタイプであり,これを2基搭載しています.

ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課
2011/12/31(土) 午後 4:04


 【質問】
 デルタIV型原潜「カレリア」について教えられたし.

 【回答】
 プロジェクト667BDRM原子力弾道ミサイル潜水艦(暗号名「デリフィン」)「カレリア」は,▼セヴェロドヴィンスクのセヴマシュ造船所で建造され,1989年にロシア海軍へ就役した.
1987年2月にセヴェロドヴィンスクのセヴマシュ造船所で起工され,
1989年にロシア海軍に編入された.▲

 北方艦隊配属.
 1994年,潜水艦は北極ヘの航海を完了し,国旗およびアンドレイ旗を打ち立てた.
 この航海により,60人の乗組員が,国家から栄誉と報酬を与えられた.

 2000年4月,同艦は,ウラジーミル・プーチンを乗せて出港した.

▼ 14回のミサイル発射を実施し,140,000海里を航行した後,▲
2006年11月,セヴェロドヴィンスクの艦船修理センター「ズヴェズドーチカ」で中規模修理と近代化改装が始められた.

 2009年に再就役の予定.
 2010.1.22,艦隊に復帰.

 公式データによれば,
排水量約12,000トン,
全長167m,
幅12m
最大潜航深度400m,
水中速力24ノット(44,5km/h),
乗組員 140人.
SLBM16基搭載.

 詳しくは
イタル・タス,2008/11/5付,
ノーボスチ,2008/11/22付
および,その翻訳である
「ロシア・ソ連海軍」,2008/11/6付
「ロシア・ソ連海軍」,2008/11/23付
を参照されたし.

 【関連リンク】
「ロシア・ソ連海軍」:デルタIV型戦略原潜「カレリア」,造船台を出渠

「六課」:デルタIV型戦略原潜「カレリア」は10月に海洋試験を行なう

「六課」:デルタIV型戦略原潜「カレリア」,近代化改装後の航海試験第二段階を終了


 【質問】
 「カレリア」(?)破損事故について教えられたし.

 【回答】
 ロシア海軍報道官イーゴリ・ディガロ大佐の発表によれば,ズヴェズドチカ造船所の乾ドックで修理されていた原潜が,高圧エア・システムの使用中,空気圧が過度になった結果,メイン・バラストタンクの内の1つが破損した事故.
 2007/7/26発生.
 死傷者はいないという.

 以下引用.

ロシアの原子力潜水艦は,修理中に破損した
モスクワ,2007年7月27日(インタファクス-AVN)


 ロシア海軍報道官イーゴリ・ディガロ大佐は,木曜日,造船所で修理中の原子力潜水艦が,高圧エア・システムの使用中,空気圧が過度になった結果,船体を破損した事を公表した.

 ディガロは,インタファクス-AVNに対し,潜水艦は,北部ロシアのセヴェロドヴィンスク市ズヴェズドチカ造船所の乾ドックで修理されていると伝えた.
(2007年7月27日,午後3時24分)

[/quote]

 ズヴェズドチカで修理中の原潜のタイプや艦名までは公表されていませんが,667BDRM(デルタIV)型戦略原潜K-18カレリアの可能性が高いと思われます.

Морские Силы〜ロシア・ソ連海軍〜
2007/7/28(土) 午前 5:49

 RIAノーボスチでも報じられています.

ロシア海軍は,原子力潜水艦の「爆発」を否定する
モスクワ,2007年7月27日(RIAノーボスチ)


 ロシア海軍当局は,木曜日に白海のセヴェロドヴィンスクで修理中の原子力潜水艦で起こった「爆発」に関するメディア報道を否定した.
 ロシア海軍総司令部副官イーゴリ・ディガロは,
「造船所において,潜水艦のメイン・バラストタンクの内の1つが"過度の気圧"により破損したが,これは,造船所では"日常の出来事"として扱っている」と語った.
 ディガロは,誰もその"出来事"で負傷しておらず,損傷したタンクは修理されると付け加えた.

 〔略〕

(2007年7月27日17時13分)
[/quote]

Морские Силы〜ロシア・ソ連海軍〜
2007/7/28(土) 午後 5:48

(青文字は加筆部分)

 タンクが破裂した,ということか?


 【質問】
 原子力潜水艦「トゥーラ」について教えられたし.

 【回答】
 ノーボスチ,2007年12月25日15時16分付によれば,原子力潜水艦K-114「トゥーラ」(デルタIV型)は,1987年建造.
 その後,アルハンゲリスク州セヴェロドヴィンスク市のズヴェズドーチカ(小さな星)工廠で近代化改装.

 同艦は,16基の「シネーワ」弾道ミサイルおよび12基の魚雷を装備しているという.

 2007年12月17日&25日,「シネーワ」弾道ミサイルの発射テストを行なった.
 RSM-54「シネーワ」(NATOコード名SS-N-23スキフ)は,2007年6月にロシア海軍へ就役した第3世代の液体燃料推進大陸間弾道ミサイル.
 5,500マイルの射程距離を有し,4個の核弾頭を搭載する.

***

 補足説明すると,本文中に登場する「シネーワ」Синеваは,以前から配備されていたRSM-54(R-29RM)の最新改良型です.

Морские Силы〜ロシア・ソ連海軍〜
2007/12/26(水) 午後 4:52


 【質問】
 デルタIV型原潜「ノヴォモスコフスク」について教えられたし.

 【回答】
 弾道ミサイル原子力潜水艦K-407「ノヴォモスコフスク」は,プロジェクト667BDRM「デリフィン」(NATOコード名 「デルタ-IV」).
 セヴェロドヴィンスクのセヴマシュ造船所で建造され,1990年に艦隊へ就役した.
 K-407は,1984年から1990年までに建造された同型シリーズの水中巡洋艦7隻の7番目であり,そして最終艦となった.

1991年,ロシア海軍で最初に,水中位置から全ミサイルの一斉発射を遂行.
1998年には水中位置から,初めて弾道ミサイルを使って人工衛星を打ち上げた.

 2008年に修理開始.
 艦艇修理センター「ズヴェズドーチカ」でオーバーホールおよび近代化改装を実施し,2010年にロシア海軍へ復帰する予定.
 この「ノヴォモスコフスク」を以って,ロシア海軍のプロジェクト667BDRM( 「デルタ-IV」型)6隻の近代化改装工事は全て終了する.

 株式会社艦船修理センター「ズヴェズドチカ」(アルハンゲリスク州セヴェロドヴィンスク)総取締役ウラジーミル・ニキーチンの発言によれば,2011年にオーバーホールおよび近代化改装を終え,艦隊編制に戻される予定▼だったが,実際には再就役は2012.7.27のこととなった.▲
 近代化により,艦の戦術的および技術的な特性は,かなり改善され,ミサイル複合体は換装された.

 同型の弾道ミサイル原子力潜水艦は,水上排水量11,740トン,水中排水量18,200トン,水中速力26ノット,最大潜航深度400m.
▼ 自立行動日数90日.▲
 乗組員は,▼40名の士官を含む▲135名.

▼ 弾道ミサイル原子力潜水艦の兵装は,16基の潜水艦弾道ミサイルと4門の魚雷発射管で構成される.
 兵装は16基の弾道ミサイル「シネーワ」と,魚雷及びロケット魚雷を発射できる4基の533mm魚雷発射管,加えて携帯高射ミサイル複合体「イグラ」▲

 2009年10月現在,全てのプロジェクト667BDRM潜水艦は,北方艦隊の編制に在籍している.

 詳しくは
2008年11月27日付,イタルタス
および
「ロシア・ソ連海軍」,2008/11/30付(画像も)
「ロシア・ソ連海軍報道・情報管理部機動六課」2009/10/9(金) 午後 0:21
新「六課」,2012年7月30日(2013.3.19追記&改訂部分)
を参照されたし.


 【質問】
 デルタIV型原潜「ブリャンスク」について教えられたし.

 【回答】
 イタル・タス,2007/11/30付によれば,K -117「ブリャンスク」 はプロジェクト667BDRM「デリフィン」型の戦略任務ロケット巡洋潜水艦(NATOの分類では「デルタ-IV」).
 この型の艦は,
全長167m
幅12m,
水上排水量12,000t,
最大潜航深度400m,
水中速力24ノット(44km/h),
乗組員140名,
潜水艦用弾道ミサイル16基.

▼ K -117は,セヴェロドンヴィスクのセヴマシュ造船所で1989年に建造された.
 K-117は1985年4月20日にセヴェロドヴィンスクの「セヴマシュ」造船所で起工さた.
 1988年2月8日に進水し,同年10月6日に就役した.▲

 1985年から1992年までの期間に,セヴマシュは7隻の同型艦を海軍へ引き渡した.

▼ 1998年1月27日,「ブリャンスク」と命名された.▲

▼ 戦闘任務を10年間に渡って遂行した後,修理のため,2002年7月に「ズヴェズドチカ」へ到着した.
 戦闘任務を10年間に渡って遂行した後,2002年8月10日,修理及び近代化の為,セヴェロドヴィンスクの艦船修理工場「ズヴェズドーチカ」へ到着した.▲

 広報室によると「ブリャンスク」の修理及び近代化改装は,艦の戦術上及び技術上の問題を改善する為,83ヶ所に渡って実行され,
「潜水艦の騒音レベルは敵に探知される可能性を低くする程に低下し,戦闘力および原子力機器の安全性の保証は,かなり高められた」
という.

 2007年11月30日,「ブリャンスク」は,セヴェロドンヴィスクの「ズヴェズドチカ」工廠で近代化改装後の最初の洋上テストを完了し,弾道ミサイル原潜は停泊地へ戻った,と企業の広報室長ナデジェダ・シェルビニナは発表した.

▼ 「ブリャンスク」は2008年初頭に艦隊へ復帰.
[デルタVI型戦略原潜「ブリャンスク」は,近代化改装後のテスト航海を終えた]
[デルタVI型戦略原潜「ブリャンスク」,復帰(イタルタス)]

 2009年には2度に渡り,弾道ミサイル発射試験を行なった.
[デルタIV型原潜,再び弾道ミサイル「シネーワ」発射]
[デルタIV級原潜「ブリャンスク」,弾道ミサイル発射]

 2010年10月28日にも,弾道ミサイルを発射している.

 2013年7月,「ブリャンスク」は3ヶ月間の海洋任務を終えて基地へ戻った.

-----------------------------------------
 『ロシア通信社ノーボスチ』より.
2013年7月17日12時45分配信
【原子力潜水艦「ブリャンスク」は3ヶ月間の航海からムルマンスクの基地へ戻った】
モスクワ,7月17日-ロシア通信社ノーボスチ

 原子力潜水艦「ブリャンスク」は,3ヶ月間に渡る戦闘任務を成功裏に終えて,ガジエヴォ基地へ戻ってきた.
 水曜日,北方艦隊広報サービス・情報管理部長ワジム・セルガ1等海佐は,記者団に伝えた.

「北方艦隊の戦略用途ロケット水中巡洋艦ブリャンスクは,遠距離航海任務を成功裏に遂行し,基地へ戻りました.
 戦略用途ロケット水中巡洋艦ブリャンスクの遠距離航海は,2013年の北方艦隊潜水艦乗員の,最も長期に渡る航海の1つです.
 約3ヶ月間に渡り,ロケット水中巡洋艦はアレクサンドル・マルコフ1等海佐の指揮の下,浮上する事無く潜航状態のまま,様々な世界の大洋エリアにおいて与えられた任務を遂行しました」
 セルガは話した.

 ロケット水中巡洋艦の艦長は,一連の水中遠距離航海の結果について報告し,国家からの褒賞及びロシア国防省からの勲章が与えられたと,北方艦隊の代理人は指摘した.

[後略]
---------------------------------------

 今回の「3ヶ月間に渡る戦闘任務(浮上せずに潜航状態のまま)」の詳細は明らかにされていないが,戦略パトロール任務以外には考えれない.
 おそらくは,潜航状態のまま,北極海で戦略パトロールを行なっていたのだろう.▲

「ブリャンスク」

「Морские Силы〜ロシア・ソ連海軍」◆2007/12/2(日)
「六課」ACS◆(2013/07/17) デルタIV級戦略原潜ブリャンスクは3ヶ月間の海洋任務を終えて基地へ戻った(2013.12.07追記分)
を元に,文章を再構成


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