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ロシアFAQ目次


 【link】

「FLOT.com」◆(2011/03/22) Атомный ледокольный флот поможет России сохранить лидерство в Арктике
原子力砕氷船隊は,ロシアが北極のリーダーシップを維持するのに役立ちます

「FLOT.com」◆(2011/10/05) ロスアトム,原子力砕氷船船隊商業化を準備へ

「VOR」◆(2012/11/11) ロシア,世界最大の原子力砕氷船建造へ
> 建造されるのは60MW規模の原子炉を2基搭載した170m級の原子力砕氷船で,完成すれば世界最大の多目的原子力砕氷船となる.
> 建造には少なくとも70億ルーブルがかかるとされている.


 【質問】
 イワン・スサーニン級国境警備艦「ネヴァ」について教えられたし.

 【回答】
 ロシア国境警備隊(ロシア連邦保安庁)の国境警備艦(ПСКР)「ネヴァ」
Пограничный Сторожевой Корабль "Нева"
は,砕氷能力を有する国境警備艦プロジェクト97P(イワン・スサーニン級)の1隻です.

レニングラード市のアドミラルティ造船所で建造

1977年11月14日起工
1978年7月28日進水
1978年12月27日就役

 就役後は極東方面へ回航され,カムチャツカへ配備されました.
 当時は,KGB(国家保安委員会)に所属していました.
 そして30年後の今,ロシア連邦保安庁・極東連邦管区地域国境局・北東沿岸警備国境局に所属し,オホーツク海で活動しています.

 現在,ロシア連邦保安庁所属のプロジェクト97Pは,極東方面に4隻が配備されています.

1枚目:国境警備艦ネヴァ

4枚目:オホーツク海のネヴァ(2000年2月27日撮影)

6枚目:オホーツク海のネヴァ(2008年4月撮影)

Небесный бытьネベスニィ・ビィチ〜ロシア・ソ連海軍〜
2008/7/6(日) 午前 8:22


 【質問】
 ロシアが保有する原子力砕氷船は?

 【回答】
 2012年
現在,ロシアは,6隻の原子力砕氷船を運航しています.

 『ロスアトム公式サイト』より
【原子力砕氷船隊】

原子力砕氷船「ロシア」(アルクチカ型,23000t):1985年就役
原子力砕氷船「ソヴィェツキー・ソユーズ」(アルクチカ型,23000t):1989年就役
原子力砕氷船「タイミール」(タイミール型,21000t):1989年就役
原子力砕氷船「ヴァイガチ」(タイミール型,21000t):1990年就役
原子力砕氷船「ヤーマル」(アルクチカ型,23000t):1992年就役
原子力砕氷船「50リェート・ポべードゥィ」(アルクチカ型,25168t):2007年就役

 この他,砕氷能力を有する原子力艀コンテナ輸送船「セヴモルプーチ」(1989年就役,61880t)が運航されています.

 アルクチカ型の1,2番船は既に退役しています.

アルクチカ型2番船「シヴィーリ」

新「六課」◆(2012/08/07)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 「アルクチカ」級について教えられたし.

 【回答】
 ロシア海軍艦艇ではありませんが,原子力砕氷船プロジェクト10520「アルクチカ」級 (Атомный-Ледокол Проект-10520"Арктика")

 ロシア側の分類も,Атомный-Ледокол(原子力砕氷船)です.

 本級はムルマンスク船舶公社「アトムフロート」に所属していますが,西側では海軍の補助艦艇として扱われており,実際,海軍用のレーダーが装備され,戦時にはすぐに武装できるようになっていました.
 ロシア(ソ連)の砕氷船で,本級だけが海軍のプロジェクト番号を付与されています.

 海軍用ではない「民間」の原子力船は,西側でも何隻か建造されましたが,原子力機関は民間用としては採算が取れず,短期間しか運用されませんでした.
(アメリカの貨客船「サヴァンナ」,旧西ドイツの鉱物運搬船「オットー・ハーン」)

 日本でも,原子力機関のテスト船として「むつ」が建造されましたが,原子力機関を撤去してディーゼルに換装し,1997年,海洋研究船「みらい」として再就役しました.

 一方,ロシア(ソ連邦)においては,原子力機関搭載の民間船は,北極海方面で使う砕氷船としての需要があり,西側とは違って建造が継続されました.

 いちいち燃料を補給する手間の要らない原子力機関搭載の砕氷船は,長期間に渡って北極海で砕氷活動を継続できるというメリットが有ります.

 ちなみに,ロシア・ソ連の最初の原子力艦船は,1959年に就役した砕氷船「レーニン」でした.

 本級は,最初の原子力砕氷船「レーニン」の運用実績というか苦い経験(原子炉事故を何度も起こしている)を取り入れて改良されたタイプであり,1970年代前半から長期間に渡って合計6隻が竣工しました.

 建造所は全てレニングラード(サンクトペテルブルク)のオルジョニキーゼ工廠(バルチースキィ・ザヴォート)です.

・アルクチカАрктика:1975年就役
・シヴィーリСибирь:1977年就役
・ロシヤРоссия:1985年就役
・ソヴィエツキー・ソユーズСоветский Союз:1990年就役
・ヤーマルЯмал:1993年就役
・50リェート・ポベードゥイ50 лет Победы:2007年就役

 ただしシヴィーリは,予備役係留状態されています.

 ソヴィエツキー・ソユーズは,当初の予定名がレオニート・ブレジネフЛеонид Брежнев,
ヤーマルは,オクチャーブリスカーヤ・レヴォリューツィヤОктябрьская Революцияでしたが,就役後に改名されました.

 最終船「50リェート・ポベードゥイ」は1989年に起工されたのですが,ソ連邦解体後の財政難で建造工事は停滞し,就役は2007年にまでずれ込みました.
 なお,本船の当初の船名は「ウラル」でしたが,1995年に改名されました.
 船名は「(大祖国戦争)勝利50周年」という意味です.

 本級の原子炉は,OK-900A型と呼ばれるタイプであり,ロシア・ソ連の艦船用原子炉としては第二世代になります.
 本級の機関は「原子力ターボエレクトリック」という形式であり,原子炉で発生させた蒸気でタービンを回し,それによって電動機を回し,スクリューを回転させます.
 第二世代原子炉OK-900Aは,第一世代の「レーニン」の原子炉よりも炉の圧力を下げ,冷却用循環ポンプの数も減らしてメンテナンスを簡略化することによって,寿命と安全性を向上させています.

 本級の主要任務は,北極海の砕氷活動ですが,35名の船客を乗せる事も出来ます.
 ヤーマルやソヴィエツキー・ソユーズは,1990年代から,北極海観光クルーズ船としても活動しており,外国人観光客をターゲットにしています.

 本級は,今後も長期間に渡って運用される予定であり,最終船以外の退役予定年は,以下の通りです.

アルクチカ:2008年
シヴィーリ:2020年
ロシヤ:2017年
ソヴィエツキー・ソユーズ:2018年
ヤーマル:2019年

 予備役のシヴィーリは,改装工事を実施して復帰予定です.

Морские Силы〜ロシア・ソ連海軍〜
2007/11/5(月) 午後 8:11

 「アルクチカ」級は,
1,2番船が全長148m,幅30m,
3,4,5番船が全長150m,幅30m
最終船が全長159.6m,幅30m
 したがって,L/B比(全長÷幅)は5.0前後になります.

Морские Силы〜ロシア・ソ連海軍〜
2007/11/8(木) 午後 9:36

 "Google Earth"でサンクト・ペテルブルク市にあるバルチースキィ・ザヴォートを見ると,艤装中の最終船「50リェート・ポベードゥイ」50 лет Победыが確認できます.

 http://blogs.yahoo.co.jp/rybachii/26455727.htmlで紹介した,ムルマンスクに停泊する「アルクチカ」級と比べると,船首形状が違います.

 「50リェート・ポベードゥイ」は,船体が初期型より延長され,全長159.6m,幅30mとなっております.
(1,2番船は全長148m,3,4,5番船は全長150m)

 「50リェート・ポベードゥイ」は,1989年に起工され,1994年に進水,しかし,その後の工事は遅れに遅れ,2007年4月,ようやく就役しました.

Морские Силы〜ロシア・ソ連海軍〜
2007/11/11(日) 午後 1:20

1枚目:アルクチカ

2枚目:シヴィーリ

3,4枚目:ロシヤ
faq39m10520r.jpg
faq39m10520r02.jpg

ソヴィエツキー・ソユーズ

ヤーマル

50リェート・ポベードゥイ

Морские Силы〜ロシア・ソ連海軍〜
2007/11/5(月) 午後 8:11

 【関連リンク】
「ロシア・ソ連海軍」:"Google Earth"で見た原子力砕氷船「アルクチカ」級


 【質問】
 ロシアの砕氷艦が原子力なのは,どういう理由から?

 【回答】
 アレは「流氷に取り囲まれて身動きがとれなくなると燃料が無くなって乗員全員凍死」
という北極圏ならではの恐怖によって建造されたわけで.

つか,軍艦じゃないよ.

軍事板


 【質問】
 プロジェクト22220原子力砕氷船について教えられたし.

 【回答】
「中央海軍ポータル(フロートコム)」◆(2012/08/06) 【「バルチースキー・ザヴォード」は新世代原子力砕氷船を建造する】
によれば,ロシアが建造を計画している,世界最大の砕氷船.
 2012年7月3日,連邦国家単一企業「アトムフロート」は,新型の核動力装置RITM-200を搭載するプロジェクト22220原子力砕氷船のトップ船の建造の為の入札を行なうと発表した.
 契約額は369億5900万ルーブル.
 2012年8月3日(金曜日),ロスアトム取締役会は,有限会社「バルト工場-造船」を,出力60メガワットの新世代原子力砕氷船のトップ船の建造契約履行会社として承認した.
 入札申請で認可されたのは,有限会社 「バルト工場-造船」ただ一社のみだったため,連邦政府法No.94-FZにより,8月3日,競争入札は不成立と判断され,唯一の会社との契約締結が発表された.
 言わば「出来レース」だが,そもそも,今のロシアで,原子力砕氷船の建造が可能な造船所が「バルト工場-造船」しか存在しないので,当然の結果だろう.
 承認されたスケジュールによれば,砕氷船の起工は2013年11月,進水は2015年11月の予定.

 全長は173.3m,幅34m,設計吃水10.5m,最少作業吃水8.55m,計画排水量33540t.
 出力175メガワットの,新開発の原子炉RITM-200のペアを主動力源とする,原子力動力装置2基.
 2012年現在,ロシア海軍は,新世代の原子力駆逐艦(14000t級)や原子力航空母艦(60000t級)の建造計画を立案中だが,これらの原子力水上艦にも,RITM-200の改良型が搭載される可能性がある.

 北極圏エリア,更には,極地の河川の双方に適応しており,北極海西方:バレンツ海,ペチョラ川及びカーラ海,更には,より浅いエニセイ川及びオビ湾の河口付近でも作業を行なえるとされている.

プロジェクト22220完成予想図

RITM-200原子炉
faq120401ic2.jpg
faq120401ic3.jpg

新「六課」◆(2012/08/07)より再構成
青文字:加筆改修部分


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