c

「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ   サイト・マップへ

◆◆◆日本と国際法
<◆◆国際法
<◆国際組織&国際法
総記FAQ目次

「無防備マン」をからかったパロディ・コラージュ


 【link】

D.B.E. ミニ型」(2010.2.10)◆「わが村,無防備都市宣言してみては.地方から国を動かし,世界中の市民が新しい常識を共有」…中川村村長が提言/情報源STAR LIGHT PARADE

「沖縄発・何でもあり」:ついに再び動いたか:無防備地域宣言@沖縄

「思ったことをいろいろと・・・」:無防備マンをぶっ飛ばせ

「市民運動観測所スレまとめWiki」:ジュネーブ諸条約第一追加議定書,第58・59条,ならびに同コメンタリー2263・2269・2283・2295・2296(対訳)

「週刊オブイェクト」:沖縄県那覇市で無防備条例案が反対多数で否決

「探偵ファイル」◆(2011/01/01)ニュースウォッチ〜/森永卓郎,日本解体宣言?「侵略され滅んでもいい」/探偵T
 原出典;2011年1月1日の「東京スポーツ」紙

無防備マン 画像保管庫

『国際法と紛争解決論』(稲原泰平著,信山社,2013/1/10)


 【質問】
 国際法とも関わりを持ちそうな国内法の解釈は,どのような基準で臨むのが妥当なのか?

 【回答】
 上智大学教授,村瀬信也によれば,国際司法裁判所その他の国際裁判所の判例は,国際法における有権的解釈の基準を提示し,各国に対して対外的な行動基準を示すものであるから,政策担当者は言わば「影の国際裁判所」を常に意識して,「もしこの案件が国際裁判にかかった場合,どのように判断されるか」を考えながら行動すべきだという.
 武力行使,自衛権,法執行活動,平和維持活動といった問題については,関連の国際判例があるので,これらを踏まえて議論することが必要であるという.
 安全保障に関する議論において現在,国会の審議では日本でしか通用しない論理が「法理」としてまかり通っており,安全保障に関する議論においては,国際法と国内法との距離を,可能な限り縮めていく努力が何よりも望まれると,村瀬は述べている.

 詳しくは
『ジュリスト』,2008.2.1号,p.92-93
を参照されたし.


 【質問】
 自衛隊は実質は軍隊なのに,国内政治上は軍隊でない扱いになっていますが,国際法上では日本軍∴オいなんでしょうか?

 【回答】
 ハーグ陸戦条約を批准している国からは,その条約が定める範囲において「軍隊」扱いされる.
 他の国際条約についても同様.

 戦時国際法だと,軍隊に加えて民兵とかも扱わないといけない場合が多いので,もっと大枠でしか定義を定めていないものが大半.
 例えばジュネーブ第一条約だと,第13条を参照のこと.
 かなり幅広い.
http://www.mod.go.jp/j/library/treaty/geneva/geneva1.htm

 もともと国際法なんて最低限のことしか定めてないけどさ.
 うざったい問題がはっせいするのは主に国内法.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 「軍」という単語が含まれていない「自衛隊」と言う名称のままでは,国際的に軍隊と認められず,仮に捕虜になっても軍人として扱われない可能性がある,というのは本当でしょうか?

 【回答】
 間違いです.

 その手の質問については,IDFとJDFをペアで並べる回答が基本かと.
IDF (Israel Defense Forces)
JDF (Japan Defense Forces / Japan Self-Difence Force):後者の訳は,海外の文献ではあまり一般的ではない.

 イスラエル軍を国際的に軍隊と認めない,という主張はなかなか興味深いものがありますし.一応国際的には少なくともIDFは軍隊です.
 また, ドイツのブンデスヴェーアだって,直訳すれば「連邦防衛隊」です.

 翻訳の問題はさておくとしても,ジュネーヴ条約における定義,

第四条〔捕虜〕A この条約において捕虜とは,次の部類の一に属する者で敵の権力内に陥ったものをいう.
(1) 紛争当事国の軍隊の構成員及びその軍隊の一部をなす民兵隊又は義勇隊の構成員
(2) 紛争当事国に属するその他の民兵隊及び義勇隊の構成員(組織的抵抗運動団体の構成員を含む)で,その領域が占領されているかどうかを問わず,その領域の内外で行動するもの.但し,それらの民兵隊又は義勇隊(組織的抵抗運動団体を含む)は,次の条件を満たすものでなければならない.
 (a) 部下について責任を負う一人の者が指揮していること.
 (b) 遠方から認識することができる固着の特殊標章を有すること.
 (c) 公然と武器を携行していること.
 (d) 戦争の法規及び慣例に従って行動していること.
(3) 正規の軍隊の構成員で,抑留国が承認していない政府又は当局に忠誠を誓ったもの

により,条約上は何ら問題ありません.


 【珍説】
しんぶん赤旗
陸自帰国に民間機イラク部隊チャーター便“国際条約違反だ”航空連など申し入れ

あつこば(小林アツシ) in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)

 【事実】
国際民間航空条約(シカゴ条約)
のchapter.5においては,軍需物資や兵器の輸送は禁じられているが,人員の輸送は禁じられていません.

 また,chapter.18において,当条約は戦争時,国家非常時において,条約締結国の行動を何ら妨げるものではない,としています.
 よって,有事法における民間機の徴用は何ら国際法違反では無いようですね.

ポポフ in mixi

 赤旗ったら,平気な顔して嘘を吐いて・・・
 知らずに書いているんじゃなくて,知ってて敢えて書いているんだから性質が悪い.
 あそこは何十年も前からそうだ.こんなやり方ばっかり!

JSF in mixi


 【質問】
 米国への弾道ミサイル攻撃を,日本が「個別的」自衛権の延長上で撃ち落すことができるという政府見解は,国際法的には妥当なのか?

 【回答】
 上智大学教授,村瀬信也によれば,そのような「法理」は,国際的は通用しないという.
 なぜなら個別的自衛権はあくまでも武力攻撃を受けた国が反撃する権利であり,その挙証責任は自衛権を行使する被害国自身にあるが,国際裁判所が求めるものはあくまで武力攻撃があったという事実であるからだという.
 すなわち,組織性・計画性は要件ではなく,その証明は無意味であり,集団的自衛権でしかそれは正当化することはできない,と村瀬は述べている.

 詳しくは
『ジュリスト』,2008.2.1号,p.105-106
を参照されたし.


◆◆◆◆非武装中立論


 【質問】
 非武装中立というのは可能ですか?

 【回答】
 不可能です.
 国際法上は,中立とは,非戦争当事国が交戦国に対して有する国際法上の地位を言います.
 中立は交戦国に対して黙認義務と公平義務を負うこととなります.
 非武装では,その義務を果たせません.

(ドクトル斎木 in 某BBS)

      黙認義務
 中立国は,交戦国が中立国の船舶などを臨検し,戦時禁制品を没収するなどの措置を執ることを,黙認しなければならない.

      公平義務
 中立国は,すべての交戦国に対し,同じ扱いをしなければならない.

 で,黙認義務の方はともかく,公平義務の方は,ある程度の実力がないと果たせません.
 交戦国の一方が,「お前の国の港を自由に使わせろ,さもなければ武力占領する」などと言い出したときに,それを跳ね返すのは困難ですから.

軍事板

 余談ですが,1970年代,社会党最大派閥の領袖であった向坂逸郎元九州大学教授は,こう主張してました.
 社会主義政権が樹立出来た暁には,自衛隊は解散せずに,ワルシャワ条約に加盟すると!
 社会党の非武装中立論も,9条堅持の主張も実態はこんなものだと.
 西側に,日本が属する時は,武力も持たずに,社会主義陣営に属するなら武力を持つことは良いと.

 向坂逸郎は,経済学者です.こうも主張しておりました.
「将来的に日本は,コメコンにも加盟すると」.

 とんだ学者馬鹿の典型ですな!

 通称「白旗赤旗論」というのもありました.
 マルクス経済学者の森嶋通夫が唱えたもので,もしソ連が攻めてきたら白旗を出し,そして赤旗を掲げれば日本は助かるという考えだそうです.
 なんのための「非武装」であるかが,よく理解できますね.

軍事板

 (選挙演説)
「軍備は戦争の原因になります! 私は軍備増強に断固反対します!」

 (中国の建国50周年”軍事”パレードに招待され帰国後,空港でのインタビュー)
記者「自らの信条として,中国の軍拡に反対の意は表明してきましたか?」
土井「・・・・・・(シカト)」

 ・・・・・・これだもんよ(笑)

軍事板



 【珍説】
↑ちょっと見てわろたw
非武装中立がトンデモなのは同意だがこれは理屈になってない,というか非武装中立論をわかってないw
「公平義務」で侵略を跳ね返すって何よwwwトンデモ国際法www

新新FAQでくわしくつっこまれてるよ

軍事板
青文字:加筆改修部分

 【事実】
>「公平義務」で侵略を跳ね返す

 どこをどう読めばそのような解釈になるのか理解できません.
 誤読をもとに難癖をつけられても困ります.

>「公平義務」で侵略を跳ね返すって何よwwwトンデモ国際法www

 公平義務と言うのは中立の条件と,上述回答文の中にも書いてあるだろ?

http://ja-tec.com/C/C02/content11637.html
>中立とは,交戦国が中立国を戦争に巻き込まない法的義務を負うことを
>本質とするものであった.そして,中立国が負う公平義務は,中立国が
>戦争に巻き込まれない法的権利を享受するための対価・条件と位置づ
>けられたのである.

 東大の報告書にも書いてある,中立国の基本条件.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 非武装中立論は,いつごろ現れたの?

 【回答】
 上住充弘・元社会党調査部長によれば,1965年の石橋提案から.
 それ以前の社会党の政策は,国連憲章第51条にある集団自衛権を基に,日米中ソを主要参加国とする集団安保体制を北東アジアに作り,それと並行して日米安保条約など,北東アジアの軍事条約を全てなくするというものだった.
 しかし石橋政嗣(のちの社会党委員長)の提案では,最初に日米安保を廃止し,同時に自衛隊を解体するというものだったという.

 【参考ページ】
『週刊文春』 1992.7.16号,p.43-44

【ぐんじさんぎょう】,2010/10/26 21:20
を加筆改修


 【質問】
 非武装中立論を言い出す以前の社会党の防衛政策は,どのようなものだったの?

 【回答】
 上住充弘・元社会党調査部長によれば,社会党の1955年政策大綱のそれは,おおよそ以下の通りだったという.

-----------------------------
 日本の安全は,最終的には国連の平和維持機能,そして国連警察部隊を支持する.
 そういう体制ができるまでの間は,国連憲章第51条にある集団自衛権に基づく集団安全保障体制を北東アジアで作る.
 すなわち日米中ソを主要参加国とする集団的不可侵安全保障条約である.
 その条約との見合いにおいて,日米とか米韓,中朝といった2国間安保条約を同時になくす.
 それまでは世界の現状に鑑み,安保も自衛隊も全部認める.
−−こういう政策でした.

 自衛隊についても,アメリカの援助で再軍備するのはいけない.
 それには反対して軍縮を主張するが,国内治安を守るための「機動力ある警備組織」を持つというものでした.
 これは入党したてのころに叩き込まれたので,今でもよく覚えています.

 大学時代に佐々木惣一先生(京都大学名誉教授・故人)の講義で,日本国憲法第9条はクラウゼヴィッツの国家意思貫徹のための国権発動,つまり外交の延長としての武力の行使,保持は禁止してある.
 しかし,国家意思貫徹のためではない自衛力は当然,国家の固有の権利であると聞き,感銘を受けていました.
(中略)
 この政策を,「自主独立の外交」と言っていました.
 「非武装中立」だとか「非同盟中立」なんて言葉はどこにもありませんでした.
 これこそが本来の社会党の「固有の政策」だったのです.

-----------------------------『週刊文春』 1992.7.16号,p.43-44

 上住はこの政策を,「実に目配りのきいたいいものでした」(同,p.43)と評価しているが,国連中心外交という点,「日米中ソの集団不可侵条約」などの点で,やはり非現実的であるように思われる.

 また原彬久は,安全保障問題以外の55年統一綱領の問題点として,左派に配慮して,綱領が「永久政権」論寄りであることを挙げている.※
 「永久政権」論とは,社会党分裂時代に左派社会党が綱領としていたもので,議会制民主主義と現行憲法を否定し,議会で絶対多数を占めた後は,この「絶対多数」を「恒久化」するとしており,その時点で複数政党制は廃されることを意味する.
 そして,社会主義の原則に従って憲法改正を行い,行政・教育・新聞・出版などの諸機関を「社会主義の方向に適応」させるという,報道の自由をも否定するものになっている.
 要するに中国や,かつてのソ連と同じ体制.

 したがって社会党や,その後身の社民党が「護憲政党」を自称するのは,看板に偽りありといって差し支えないかと.

 それにしても,もし社会党が一回でも選挙に大勝していたら,そのときに一気に赤化する可能性が,本当にあったとは……

 ちなみに,前出の上住によれば,1986年の「新宣言」後も,社会党は一党独裁を目指す方針を捨ててはいないという.
 以下引用.

-----------------------------------------------
 これは制定過程の討議記録を見れば一目瞭然です.
(中略)
「社会党単独政権論を放棄するようなことがあってはならない」(山口農漁民局長・社研)
(中略)
 結局は新宣言は,従来の「科学的社会主義」(共産主義)の発展として,以前の綱領である「日本における社会主義への道」を再確認したに過ぎないのです.
 その後,91年党大会で採択された現在の党規約では,
「私たちは社会主義の最も民主的な姿である,社会民主主義を選択する」
とも言っています.

 当然,ここで言う社会主義とは科学的社会主義,つまり共産主義です.
 ですから党規約は,「科学的社会主義」(共産主義)と社会民主主義という全く相反するものが同居する,奇妙なものになってしまったのです.

 鳴り物入りで宣伝されたシャドーキャビネットも,まやかしに過ぎません.
 91年2月の党大会で,党規約が改正されました.
 そこで議員の立法,および政策活動は,党の政策審議会のもとで行うことになり,国会議員の組織は政策決定権を全く持たないことになってしまったのです.
 国民の請託を受けた議員が,党の機関の下でしか動けない,まだに一党独裁理論以外の何物でもありません.
 今年の2月末に,影の防衛大臣だった上原康助が,現実的な防衛予算の修正案を持ってきました.
 すると政策審議会の連中は,
「シャドーキャビネットは政策決定機関ではない.
 政策審議会で討議して決定せよ」
と言うんです.
 しかし政策審議会の外交政策委員長は,極左派の矢田部だから,通るわけがありません.

--------------------------『週刊文春』 1992.7.23号,p.52-53

 【参考ページ】
『戦後史のなかの日本社会党 その理想主義とは何であったのか』(原彬久著,中公新書,2000.3.25),p.109-114

【ぐんじさんぎょう】,2011/02/07 21:25
を加筆改修


 【質問】
 「講和問題に対する党の一般的態度」とは?

 【回答】
 1949.12.4,社会党中央執行委員会が決定したもので,論旨は次の4点から成る.
1) 日本国憲法が「非武装」と,国際紛争に対する「中立」とを命じている点を確認すべきこと
2) 米ソ冷戦体制の中,社会党は一方の陣営との「単独講和」(編者注:太平洋戦争の講和条約であるサンフランシスコ講和条約のこと)ではなく,「全面講和」を要望すること
3) 特定国家群との間に「基地提供」などの軍事的・政治的協定を結ぶのに反対であるということ
4) 社会党は,関係各国ないし国連集団安全保障による「中立」を欲するのだが,「中立」確保のための自国兵力の提供はしない
 これは,「全面講和」「中立」「軍事基地反対」という「平和3原則」発祥の文書となった.
 社会党左派が右派に対して優位に立っていた中で作られた,この「一般的態度」は,社会党右派の曾禰益(渉外部長)の起草によるものだったが,曾禰の回想によれば,
「一度投げ出した政権を再び手に入れるためには,理想的なことを言ったほうが得だというタクティクス(戦術)があった」
ための産物だったという.
 その後,社会党右派は,「3原則」否定に多大なエネルギーを裂きながら,それに失敗したというから,軽率な判断だったことは否めない.

 【参考ページ】
『戦後史のなかの日本社会党 その理想主義とは何であったのか』(原彬久著,中公新書,2000.3.25),p.67-68

【ぐんじさんぎょう】,2011/02/20 21:20
を加筆改修


 【質問】
 そもそも,日本社会党の「右派」「左派」って,いったい何なの?

 【回答】
 元々,社会党は無産勢力の右派から中間派,左派までを取り込んだ寄り合い所帯だった.
 むしろマルクス主義勢力(戦前の日本無産党の系統)は客分的立場だったが,これは西尾末広ら右派は,「日無系は少数派だから,これは抑えていけるだろう」として左派も受け入れることにしたのだという.
 ところが,右派と左派は党の分裂まで引き起こすような対立を延々と続け,しまいに「ひさしを貸して母屋を取られた」状態になるのは,現状を見た通り.

 【参考ページ】
『戦後史のなかの日本社会党 その理想主義とは何であったのか』(原彬久著,中公新書,2000.3.25),第1章

【ぐんじさんぎょう】,2011/02/22 21:00
を加筆改修


 【質問】
 「平和4原則」って何?

 【回答】
 上述の「平和3原則」に「再軍備反対」を加え(1951.1.19,党大会で可決),「全面講和」「中立」「軍事基地反対」「再軍備反対」としたもので,以後,社会党の安保・外交政策を導く最重要指針となった.
 旧日無系の鈴木茂三郎が委員長に選ばれるなど,左派優位の中でこれは可決されたもので,鈴木は再軍備反対,すなわち非武装に関しては,吉川栄治を引用して,
「剣聖と言われたような人の殆どの究理の結果は,要するに『無刀』というところに尽きる」
と新聞に寄稿したというから,どうも鈴木は「天然」だったらしい.
 鈴木はまた,その寄稿にて
「アメリカその他が,西ドイツに再軍備を要求したように日本には要求しないと考える私の一つの根拠は,日本は,かように天然の防壁(海のこと,引用者注)をめぐらしているからである」
とも書いたが,アメリカが日本に再軍備を要求したのは,それから間もなくのことだった.

 【参考ページ】
『戦後史のなかの日本社会党 その理想主義とは何であったのか』(原彬久著,中公新書,2000.3.25),p.75-76

【ぐんじさんぎょう】,2011/03/18 21:39
を加筆改修


 【質問】
 佐藤昇の中立論は,どのようなものだったのか?

 【回答】
 佐藤昇は,いわゆる「構造改革派」の理論的指導者だが,その「中立」理論は60年代以降の安保・外交政策の一つの典型を示している.
 佐藤は,米ソ冷戦を3つの次元
1) 体制間
2) 政策間
3) 軍事ブロック間
の闘いから成っていると論じ,(1)(2)については中立はありえないが,(3)については中立は可能だと主張した.
 また佐藤は,資本主義の政策は戦争政策であり,社会主義の政策は平和政策であるとし,社会主義軍事ブロックの結集は,「帝国主義の侵略政策によって余儀なくされたもの」,すなわちあくまで「防衛的」なものだと主張した.

 【参考ページ】
『戦後史のなかの日本社会党 その理想主義とは何であったのか』(原彬久著,中公新書,2000.3.25),p.202-203

【ぐんじさんぎょう】,2011/03/06 20:50
を加筆改修


 【質問】
 佐藤昇の中立論の問題点は?

 【回答】
 彼の理屈では,平時には社会主義体制に味方することで,「平和政策」を追求し,資本主義体制の「戦争政策」と戦う側に立ちながら,ひとたび戦争になれば,その闘いを放棄するという,

------------
およそ現実にはありえない"虫のよさ"(原彬久)
------------
 一般に中立国は,自国に火の粉が降りかからない限り,第三者の軍事的・政治的対立には敢えて無関心を装うもの(同上:すなわち無関心を装っていない社会党が,中立であるなどありえないということ)
------------

だと指摘されている.
 それ以前に,
>資本主義の政策は戦争政策であり,社会主義の政策は平和政策である
とする決めつけが,すでに現実離れしている.
 佐藤が論文を発表したのは『思想』 1961年10月号の誌上でのことだが,すでに1956年にはハンガリー動乱が起きている.
 また,そもそも1945年に日ソ不可侵条約を無視して侵攻してきた国の名前を忘れている.
 1950年には北朝鮮の侵攻で,朝鮮戦争が始まって……ああ,そういえば日本社会党は,ずっと長いこと「朝鮮戦争は韓国が起こした」と言い張っていましたね.

 【参考ページ】
『戦後史のなかの日本社会党 その理想主義とは何であったのか』(原彬久著,中公新書,2000.3.25),p.203-204

【ぐんじさんぎょう】,2011/03/17 21:27
を加筆改修


 【質問】
 石橋政嗣の非武装中立論は,どのようなものか?

 【回答】
 これは,のちに日本社会党委員長となる石橋が,党外交防衛政策委員長だった頃の1966年5月に発表したもので,
1) 「絶対平和」を掲げ,「非武装中立」を基本的国是とするよう主張していること
2) 「護憲・民主・中立」の社会党政権実現の暁には,「直ちに日米安保条約の海相を(アメリカに)通告し,外交交渉を経て条約を廃棄する」と謳っていること
3) 社会党政権誕生後,直ちに自衛隊解体に着手する旨を宣言していること
を特徴とする.
 自衛隊解体に当たっては,社会党政権の安定度,平和中立外交の進展度などの諸条件を考慮しつつ,これを実施.
 自衛隊は国内治安維持のための「国民警察隊」に切り替えると共に,災害派遣などに対処する「平和国土建設隊」,国際貢献のための「平和共栄隊」を新設するとしていた.

 もちろん佐藤昇の中立論の,「資本主義の政策は戦争政策であり,社会主義の政策は平和政策である」という認識が,石橋の非武装中立論にも継承されていたことは,言うまでもない.

 社会党の言う「民主」が実際には一党独裁に非常に近いものであったことから考えると,この「国民警察隊」なるものは……

 【参考ページ】
『戦後史のなかの日本社会党 その理想主義とは何であったのか』(原彬久著,中公新書,2000.3.25),p.205-208

【ぐんじさんぎょう】,2011/03/21 21:00
を加筆改修


 【質問】
 石橋政嗣らの「降伏論」とは?

 【回答】
 彼が非武装中立論の中で述べているもので,おそらくは森嶋道夫が1979年に発表した「降伏論」の受け売り.
 石橋曰く,
「そうはいってもとにかく,不安だ.もし攻めてくる国があったら『降伏』せよというのかと,さらに執拗に迫ってくる人たちがいることも事実です.
 このような人たちは,『攻めるとか,攻められるとかいうような,トゲトゲしい関係にならないように,あらゆる国,特に近隣の国々との間に友好的な関係を確立して,その中で国の安全を図るのだ』
といくら言っても聞こうとはしないものです.
 私は,こういう人たちには誤解を恐れず,思い切って
『降伏したほうがよい場合だってあるのではないか』
ということにしています.
 事実,我々は1945年8月15日に降伏した経験を持っているのです.
 あれは間違いだったというものが殆どいないのも,事実ではないでしょうか」

 また,非武装中立論を持ち上げた小林直樹(憲法学者)は,以下のように述べている.
「仮に2,30万人のソ連軍隊が――そういうことは実際には生じないと思うけれども――日本を占領すると仮定する.
 しかし,日本の社会に文化が花開いており,自由が満ちあふれ,そして日本人が毅然とした自主的な姿勢を持って,不正な支配に屈従しない国民として生きていたならば,彼らは占領者として自らを恥じ,ひいては日本から学ぶようになるだろう.
 いわば日本が自由学校になることによって,ここで彼らが自由の良さを学んだならば,本国に帰ってソ連のシステムに飽き足らなくなり,これを変えるように努力するということになるだろう.
 そうなれば,向こうは公費で日本に留学生を送ってきたのと同じ結果になります」

 これらは詭弁の特徴
2:ごくまれな反例をとりあげる(降伏後,被占領国が過酷な状況に置かれる事例のほうが,圧倒的に多い)
3:自分に有利な将来像を予想する(およそ現実的展開とは思えない「ソ連占領後でも平和な日本」を夢想)
に該当する.
 実際にはそんな生易しい占領にならないだろうことは,ソ連自身の歴史が証明しており,彼らの詭弁は,「夢想主義」の一言で片付けることができるだろう.

 【参考ページ】
『「悪魔祓い」の戦後史』(稲垣武著,文春文庫,1994.8.15),p.152-161
+++

【ぐんじさんぎょう】,2011/04/11 20:00
を加筆改修

 【関連リンク】
「ストパン」■(2010-08-10)[ロシア][歴史]ロシアの同化政策?――zapiska o rossijskoj imperie


 【質問】
 なぜ社会党は,非武装中立論に転換したのか?

 【回答】
 一般的には,「サンフランシスコ講和条約の世論の広範な支持を受けて,「全面講和」を降ろした」と考えられている.

 また,上住充弘・元社会党調査部長も,それについては特に何かを明言しているわけではない.
 ただ,
・その前年,ソ連におけるスースロフ演説において,中国の言う第三勢力論は間違いだと批判したこと,
・中ソ代理戦争が社会党内に起こり,中国派が空中分解したこと,
・ソ連からの援助金が,秘密裏に党内に流れるようになったこと,
を,その前後で述べている.※
 彼が何を示唆しようとしているかは,容易に想像できるだろう.

 ソ連からの秘密援助について,社会党は全面否定していたそうだが,ソ連側の共産党極秘文書があったとなっては……

 なお,『戦後史のなかの日本社会党 その理想主義とは何であったのか』(原彬久著,中公新書,2000.3.25)
では,

----------------------------------
 60年安保以降,社会党は安保・外交の重心を,「平和4原則」あらむしろ「非武装中立」へと移していく.
 日ソ国交回復(1956年)によって曲がりなりにも全面講和に向かう道筋ができたためか,安保改定後の社会党における対外政策の表看板は,全面講和を含む「平和4原則」から,「非武装中立」へ収斂されていったかのようである.
 しかも「非武装中立」そのものの正当性に関しては,党内で特に異論が起こるということはなかった.
 再軍備を主張し,「反共」の立場から日本防衛体制を支持する西尾末広ら党内最右派が離党した60年安保以後,社会党内には「非武装中立」そのものに関する大きな論争は見られない.
 例えば60年代から70年代のける党内抗争の対立軸となった「構革」と「反構革」との間にさえ,安保・外交に関する限り,基本的な相違はなかったと言ってよい.
----------------------------------p.201

と,「なぜ転換したのか」については曖昧な憶測を記すにとどまっている.

 ちなみに筆者は社民党サイトのメールフォームにて,また,福島党首に直接,この件を尋ねた
http://twitter.com/post_tokorozawa/status/29139266126741504
http://twitter.com/post_tokorozawa/status/31617502135984128
http://twitter.com/post_tokorozawa/status/32049278322999297
が,返信はなかったことを付記しておく.

 【参考ページ】
※『週刊文春』 1992.7.16号,p.41-44

【ぐんじさんぎょう】,2011/02/11 21:20
を加筆改修


 【質問】
 ソ連による日本社会党への資金援助の始まりは?

 【回答】
 上住充弘・元社会党調査部長等によれば,中ソ対立のあおりを受けて,また,核拡散防止条約に反対したことで,日本共産党がソ連と決裂したため,日本における足がかりを失ったソ連は,社会党へ浸透工作をかけてくることになったという.
 原水協(原水爆禁止日本協議会)も分裂して,社会党は原水禁(原水爆禁止日本国民会議)を結成するが,ソ連はこれを全面的に支持.
 ソ連のフロント組織である世界平和協議会(世評)が,大量の外国代表を派遣し,400万円を寄付したという.

 なお,本件について社民党党首にも直接質問したが,回答はなかった.

 【参考ページ】
『週刊文春』 1992.7.16号,p.43
&http://ja.wikipedia.org/wiki/原水爆禁止日本国民会議

【ぐんじさんぎょう】,2011/02/14 21:10
を加筆改修


 【質問】
 ソ連はどのような方法で,日本社会党を資金援助したのか?

 【回答】
 1992.6.24の新聞各紙によれば,1972年,成田委員長時代に選挙資金として,ソ連共産党に対し10万ドルの資金援助を要請し,ソ連側は日ソ貿易の帳簿を操作することで,秘密資金を提供したという.
(社会党は報道を全否定)

 また,上住充弘・元社会党調査部長によれば,
1) 日ソ貿易の仲介斡旋料という名目で,取引額の15〜20%が日ソ貿易協会通じて
2) 党の機関紙誌にソ連の原稿を載せるという方法で
中ソ対立の時代以降,援助が続いてきたという.
 以下引用.

------------------
私に言わせれば,こういう類の話は党内では周知の事実でした.
 社会党の名誉のために,もっと正確な言い方をすると,この場合のソ連からのカネというのは,社会党の会計に入ったのではなく,石橋政嗣・元委員長の率いる派閥の懐に納まっていると,党内では見られていました.
 石橋は当時,書記長の要職にありました.
 和田,勝間田,石橋,伊藤茂と続くこの派閥は,国際局,国民運動局と下部組織の日ソ特別委員会,日ソ議員連盟,日ソ友好協会などを全て掌握していました.
 そしてさらに,問題の『日ソ貿易協会』という組織を党の外部に作り,牛耳っていたわけです.
 そして,こういう要職を利用して,日ソ貿易協会が様々な商業取引をソ連側と行うのを,側面的に協力していた,というのが党内の「常識」でした.
 その結果,あちらの沿海州地域の会社と日本の中小商社が取引する際の面倒を,協会が見ることになります.
 その仲介斡旋料という名目で,取引額の15%とか20%がリベートとして日ソ貿易協会,ひいては石橋派の懐に転がり込んでくる仕組みになったと聞いています.

 カネは石橋派の派閥資金として使われたと思いますが,具体的な数字はあえて今回申しません.
 しかし新聞報道を見たとき,やっと氷山の一角が明らかになったと思いました.
 社会党全体では,この程度のものではないはずです.

 むろん党内でも,この件は当時から表沙汰になっていました.
 そのころ私は党の企画室にいて,毎朝会議をやっていたのですが,
「石橋派だけがソ連とくっついて金儲けしているのはおかしいじゃないか.
 日ソ貿易協会は党の機関にすべきだ!」
という議論さえ出ていました.
 年末になると党本部の書記局員の中の,石橋派系のメンバーが,ボーナスとして十万円も貰っていることが分かり,他のメンバーがうらやましがったこともあります.

 党の機関紙誌,『社会新報』や『月刊社会党』にソ連の原稿を載せる方法でも,資金援助が行われていました.
 これは1964年秋に『社会新報国際版』が刊行されたのが最初で,当時は1回に40万円が提供されていました.
 『月刊社会党』には,ごく最近までこの手の文書が載っていたくらいです.

[中略]

 ソ連崩壊後もロシア共和国連邦会議で40%の反対派を組織している保守派と,社会党親ソ派との関係は,今も続いています.
 92年度の党大会にも,未だに旧ソ連共産党のゴリゴリの保守派であるA.V.ユージン・ロシア共和国最高会議議員が招待され,現在の国際部長がつきっきりで接待していたほどです.

-------------------------『週刊文春』 1992.7.16号,p.42

 なお,本件について社民党党首にも直接質問したが,回答はなかった.

【ぐんじさんぎょう】,2011/02/17 21:00
を加筆改修

▼ 旧社会党にソ連から資金が流れてたってのは,この辺で解説されてるな.
http://space.geocities.jp/mitu_fugen/bunnshun.html
http://www2s.biglobe.ne.jp/~mike/nagosi.htm

 どっちもネタ元は,中公の「クレムリン秘密文書は語る」みたいだ.

ニュース極東板,2011/03/07(月)


 【質問】
 非武装中立論に対する中国の反応は?

 【回答】
 1957年の第1次訪中団以来,日本社会党は中国へのアプローチを続けてきたが,野党でしかない社会党に対し,終始中国はリアリズムをもって対応する.
 特にニクソン訪中以降は,中国の主敵はアメリカからソ連へ変わった為,それまで敵視してきた日米安保体制に対しても,中国は支持する側へと急変.
 1970年10月の第5次訪中団に対し,孫平化・中国人民対外友好協会常務理事は「非武装中立」論を批判.
 また,1975年5月の第6次訪中団は,中国側から,
「米帝国主義だけを憎んで,社会帝国主義(ソ連)を憎まないのは,人民の支持を失うことになります.
 アメリカが直ちに朝鮮(韓国)と日本から引き上げることは,そうたやすくないと思います」
と批判されるにいたる.

 中国から正論を説かれてしまう日本社会党って……

 【参考ページ】
『戦後史のなかの日本社会党 その理想主義とは何であったのか』(原彬久著,中公新書,2000.3.25),p.236-238

【ぐんじさんぎょう】,2011/04/04 20:20
を加筆改修


 【質問】
 非武装中立論は,いつ頃,どのようにして放棄されたのか?

 【回答】
 1994.6.30,社会党が自民党,新党さきがけと連立して政権与党となった後,7.21の衆院本会議において,村山富市首相(社会党)が,冷戦構造崩壊の今,社会党の党是とも言うべき非武装中立は,「その政策的役割を終えた」と明言することによって放棄された.
 そしてそれは,1995年5月の第62回臨時社会党大会において追認された.
 これは3党の政策合意(6.30未明)を反映したものだが,「初めに連立ありき」で,政策協議は置き去りだったという.

 逆の見方をすれば,社会党にとって非武装中立はしょせん,その程度のものだったと言えよう.

 【参考ページ】
『戦後史のなかの日本社会党 その理想主義とは何であったのか』(原彬久著,中公新書,2000.3.25),p.316-320

【ぐんじさんぎょう】,2011/04/08 20:50
を加筆改修

 社民党が連立与党を離れたら,また元の木阿弥になりましたけどね.

バルセロニスタの一人 in mixi,2011年01月09日 05:53

 この時,左の人々のかなりの部分が社会党を見放して戻ってこないわけで,元の木阿弥よりさらに酷いですよ.

唯野 in mixi,2011年01月09日 08:26


 【質問】
 社会党の非武装中立論は,なぜあんなにトンデモになってしまったのですか?

 【回答】
 原彬久によれば,端的に言えば社会党の「理想主義」は,「現実」の中から「理想」を汲み上げ,その「理想」に現実を近づけていこうとするプログラムの欠けた,単なる夢想主義だからだという.
 そして,他国が「侵略するかしないか」は,他国の意思にかかっていることであるにも関わらず,社会党は「他国からの侵略はない」と,主観だけで思い込んでいたと指摘する.
 さらに,「軍備を持てば,必ず軍国主義化する」などという,ゼロか百かの単純な二元論に足をとられてもいたためだ,と原は述べている.

 【参考ページ】
『戦後史のなかの日本社会党 その理想主義とは何であったのか』(原彬久著,中公新書,2000.3.25),p.330-338

【ぐんじさんぎょう】,2011/04/14 20:30
を加筆改修


◆◆◆◆無防備マン関連


 【質問】
 この宣言を出したところで,成功した実例とかあるんですか?

「無防備地域」へ 来月署名を開始 大阪市の市民団体

 戦争の際,国際条約で攻撃が禁じられる「無防備地域」に大阪市がなるよう,市民グループが4月24日から,条例制定を直接請求するための署名集めを始める.1カ月間に5万人の署名を目指す.
 「無防備地域宣言をめざす大阪市民の会」が3日,明らかにした.
 市内全区の街頭に署名のための拠点を設けたり,戸別訪問をしたりして署名を集める.
 直接請求には有権者の50分の1以上の署名が必要で,大阪市の場合,約4万2千人になる.

 市民の会の条例案は,市民が平和に生きる権利を謳った上で,市は 戦争の危機に際して,戦時の住民保護を定めたジュネーブ条約の第1追加議定書に基づく無防備地域宣言をすると規定している.http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200403040011.html

 【回答】
 ありません.

 まず,戦時でもないのに「無防備都市宣言」を出したら世界中から笑われます.「何処の国に降服する気なんだい?」と馬鹿にされるでしょう.「無防備都市」ってのは,戦時国際法で“降伏した都市”と見なされるわけなので…….

 法的にも問題があります.
【日本政府公式見解】
「ジュネーヴ諸条約の第一追加議定書においては,敵対する紛争当事国による占領のために開放し,特別な保護を受ける地域として「無防備地域」の規定が置かれていますが,その宣言は,当該地域の防衛に責任を有する当局,すなわち我が国においては,国において行われるべきものであり,地方公共団体がこの条約の「無防備地域」の宣言を行うことはできません」

 基本的に無防備地域宣言が為される場合というのは,侵攻してくる敵野戦軍を防ぎきれないと当局が判断した場合です.
 政府中枢が全滅した場合は地方公共団体が宣言を出す事は出来ますが,自国政府が機能している限り勝手に宣言しても無意味です.
 自国政府とその軍隊に抗戦の意思がある限り,軍隊がそのままその場で活動を続ければ無防備宣言は無効です.
 無防備宣言とは開放宣言であり,降服宣言です.
 勝手に地方自治体が宣言した場合,「反乱,裏切り」と見なされても仕方ありません.
 なお,日本の国内法では,内乱罪もしくは外患誘致罪に問われた場合には死刑が適用されます. 

 ところでこの運動は何がしたいんやろね?

 ジュネーブ条約追加第1議定書59条では,無防備地域はこう規定されています.

1.紛争当事国が無防備地域を攻撃することは,手段のいかんを問わず禁止する.
2.紛争当事国の適当な当局は,軍隊が接触している地帯の付近またはその中にある居住地で,敵対する紛争当事国による占領のために開放されているものを無防備地域と宣言することができる.無防備地域は,次のすべての条件を満たさなければならない.
 a.すべての戦闘員ならびに移動兵器及び移動軍用設備が撤去されていること.
 b.固定した軍用の施設または営造物が敵対的目的に使用されていないこと.
 c.当局または住民により敵対行為が行われていないこと.
 d.軍事行動を支援する活動が行われていないこと.

「軍隊が接触している地帯で,敵対国に占領されるために開放されている地域」
・・・無防備宣言をする場合には大前提としてこのような条件があります.すなわち空襲には何の意味もありません.すぐにでも敵野戦軍に侵攻される情勢でなければ無防備宣言は出せないのです.

 現状では殆どありえない話(現状,大規模な日本上陸・侵攻を行うことができる,日本に対する非友好国は存在しない)ですが,仮に大阪一帯が地上戦になりえたとしても,大阪が包囲された後で無血占領とかはあるかも知れませんが,現実にそこだけポッカリと穴があいた様に非戦闘地域になる事はありえないでしょう.
 また,弾道ミサイルが飛んでくるような状況でこれを宣言しても,効力はありません.
 本気で無防備地域宣言をしたいのなら,いかなる武装も無く,他戦力の影響も受けてない事を明確に示す必要があります.
 したがって,大阪人民共和国として日本から独立でもしない限り無理でしょう.

 敵野戦軍が目の前に迫っているわけでも無いのに,戦時条約に基いて無防備宣言なんかしたら世界中の物笑いの種だし,戦争になったら自動的に無防備宣言するように市の条例を整備するのだったら,それは日本国からの反乱宣言と何も変わらない.

 ……大阪だけに,ツッコミを待っているボケ?

(軍事板, 軍事板出張スレッド in コヴァ板 & JSF

 「全国無防備地域宣言運動」は大阪市の市民団体が発端となって,その後は大阪府枚方市,奈良県奈良 市,北海道苫小牧市,東京都国立市および荒川区,神奈川県藤沢市,兵庫県西宮市,滋賀県大津市,愛媛県御荘町にまで広がっています.
 大阪市の団体が7月,実際に大阪市議会に平和条例の制定を請求しましたが, 議会は当然にこれを否決しています.
 全国無防備地域宣言運動のHPには即日, さながら逆ギレの声明が書き殴ってありました.
 さて,無防備地域宣言とは何なのか.あらためて説明しておきますと,有事 の際にジュネーブ条約に定める一定の条件を満たして「無防備都市宣言」をす れば一切の攻撃が禁止される――という内容です.
 すなわち,
「日本が有事の際に無防備都市宣言をして,法的に攻撃できない状態をつくれば平和が保たれる」
と,運動家たちは信じて疑わないのです.

 参考までに,無防備都市宣言運動を行なっている団体のURLを,分かっているところだけ挙げておきます.
 ぜひとも読者ご自身でブログに投稿するなり, 代表者にメールを送るなりして,運動の趣旨について説明を求めていただきたく願うしだいです.

全国無防備地域宣言運動  http://peace.cside.to/map.htm
平和都市をつくる会・ふじさわ  http://comcom.jca.apc.org/peacecity/index.html
つくろう! 藤沢市無防備条例  http://comcom.jca.apc.org/peacecity/muboubi/index.html
枚方市非核平和・戦争非協力(無防備)都市条例を実現する会  http://peace.cside.to/muboubi_hirakata/

軍事情報別冊 ひらやんのブツクサ独り言(60)

Non-defended localities(無防備地域)を定めたジュネーブ条約追加第1議定書第59条全文

 Protocol Additional to the Geneva Conventions of 12 August 1949, and relating to the Protection of Victims of International Armed Conflicts (Protocol I), 8 June 1977.【International Committee of the #ffff00 Cross 】


--------------------------------------------------------------------------------
Art 59. Non-defended localities

1. It is prohibited for the Parties to the conflict to attack, by any means whatsoever, non-defended localities.
2. The appropriate authorities of a Party to the conflict may declare as a non-defended locality any inhabited place near or in a zone where armed forces are in contact which is open for occupation by an adverse Party.
Such a locality shall fulfil the following conditions:
(a) all combatants, as well as mobile weapons and mobile military equipment must have been evacuated;
(b) no hostile use shall be made of fixed military installations or establishments;
(c) no acts of hostility shall be committed by the authorities or by the population; and
(d) no activities in support of military operations shall be undertaken.

3. The presence, in this locality, of persons specially protected under the Conventions and this Protocol, and of police forces retained for the sole purpose of maintaining law and order, is not contrary to the conditions laid down in paragraph 2.

4. The declaration made under paragraph 2 shall be addressed to the adverse Party and shall define and describe, as precisely as possible, the limits of the non-defended locality. The Party to the conflict to which the declaration is addressed shall acknowledge its receipt and shall treat the locality as a non-defended locality unless the conditions laid down in paragraph 2 are not in fact fulfilled, in which event it shall immediately so inform the Party making the declaration. Even if the conditions laid down in paragraph 2 are not fulfilled, the locality shall continue to enjoy the protection provided by the other provisions of this Protocol and the other rules of international law applicable in armed conflict.

5. The Parties to the conflict may agree on the establishment of non-defended localities even if such localities do not fulfil the conditions laid down in paragraph 2. The agreement should define and describe, as precisely as possible, the limits of the non-defended locality; if necessary, it may lay down the methods of supervision.

6. The Party which is in control of a locality governed by such an agreement shall mark it, so far as possible, by such signs as may be agreed upon with the other Party, which shall be displayed where they are clearly visible, especially on its perimeter and limits and on highways.

7. A locality loses its status as a non-defended locality when its ceases to fulfil the conditions laid down in paragraph 2 or in the agreement refer#ffff00 to in paragraph 5. In such an eventuality, the locality shall continue to enjoy the protection provided by the other provisions of this Protocol and the other rules of international law applicable in armed conflict.

▼ ジュネーブ条約で定められた無防備地域宣言を地方自治体の条例として制定しようとする運動の矛盾点は以前にも紹介しましたが,簡単に纏めるとこうなります.

条件的問題:敵軍が接触した地帯の付近で占領の為に開放されている地域.宣言先は敵軍.
権利的問題:地方自治体は自国軍への指揮権が無いので,合意が無い限り宣言はできない.

 この通り,平時に条約として宣言できる性質のものではないし,宣言には自国軍との全面的な合意が必要であり,そもそも航空機による空爆やミサイル攻撃には無力です.
 ところが,無防備宣言運動家の間では,ミサイル攻撃にも有効だとする解釈を唱える者もあります.
 「軍隊が接触した地帯」の部分を,長射程のミサイルや火砲で攻撃できる範囲と捉えれば,弾道ミサイルにだって有効だ―――そんな主張です.

 さて,それでは「軍隊が接触した地帯」とは,具体的にどれくらいの距離を指すのか調べてみる事にします.
 ジュネーブ条約第1追加議定書26条によれば,「軍隊が接触した地帯」とは「地上から直接砲火に晒されている地域をいう」となっています.

ジュネーブ条約第1追加議定書 [赤十字国際委員会(英語)]

--------------------------------------------------------------------------------
"Contact zone" means any area on land where the forward elements of opposing forces are in contact with each other, especially where they are exposed to direct fire from the ground.
--------------------------------------------------------------------------------
 "接触地帯"とは,敵対する軍隊の先遣部隊が互いに接触している陸上の地域,特に先遣部隊が地上から直接砲火に晒されている地域をいう.
--------------------------------------------------------------------------------

 この条文を「地上から直接,砲火に晒されている」と途中で勝手に読点を打って読んだ場合なら,地上から発射される全ての兵器を指す解釈も出来ます.
 しかしそれは誤りです.

 『直接砲火』(direct fire)とは直接照準射撃を意味し,間接照準射撃(indirect fire)を含まないという事を意味するのです.
 故に間接射撃である弾道ミサイルは,条約の定める地上からの直接砲火ではありません.

 間接射撃とは山なりの弾道で,目標を直接視認できない遠くの目標も味方や障害物を飛び越えて攻撃できます.(榴弾砲,迫撃砲など).
 直接射撃とは近くの目標を直接視認して射撃するもので,弾道は水平に近くなります(戦車砲,自動小銃など).直接照準で最も有効射程の長い戦車砲(戦車砲に限らず平射砲全般)でも直接視認という条件上4〜5kmほどが限界なので,「軍隊が接触した地帯」とは数km以内に接近した場合を指す事になります.

 このように無防備地域宣言を出すには,軍隊がすぐそばまで近付いて迫っているという条件が必要になります.
 「付近」という言葉の解釈については必要無いでしょう,
 これを拡大解釈して数百km離れていても「付近」と言い張るのは無理があります.

 権利的問題についてはこちらを参照.

ICRC:Commentary(赤十字国際委員会による注釈)
--------------------------------------------------------------------------------
' Who must send the declaration? '

2283 In principle the declaration must be sent by the authority capable of ensuring compliance with the terms of the declaration. In general this will be the government itself, but it may happen that in difficult circumstances the declaration could come from a local military commander, or even from a local [p.704] civil authority such as a mayor, burgomaster or prefect. Of course, if the declaration comes from a local civil authority, it must be made in full agreement with the military authorities who alone have the means of ensuring that the terms of the declaration are complied with.
--------------------------------------------------------------------------------

 赤十字国際委員会による説明では,
「基本的に宣言を行う事ができるのは政府.
 しかし困難な状況ならば地方自治体が宣言する事もできます.
 もちろん地方自治体が宣言する場合,軍当局との完全な合意を得なければなりません」
となっています.

 注)ジュネーブ条約は赤十字国際委員会が提唱して作られたものですので,本家本元の見解です.

「週刊オブイェクト」,2005年12月11日

朝日新聞御用達の「専門家」,田岡俊次すら,以下のような見解.


 【珍説】
 「無防備地域」は,4つの条件を満たしていれば自治体が宣言できます.

 ジュネーブ諸条約第一追加議定書の第59条に「無防備地域」の規定があります.
 それは,戦争が差し迫った時,武器や軍隊を持たない地域を「無防備地域」として宣言できる規定です.
その「宣言」をすると,地域全体がまるごと攻撃禁止になり,違反すると戦争犯罪になります.

 「無防備地域」は,次の4つの条件を満たしていれば自治体が宣言できます.
(a) すべての戦闘員が撤退しており並びにすべての移動可能な兵器及び軍用設備が撤去されていること.
(b) 固定された軍事施設の敵対的な使用が行われないこと.
(c) 当局又は住民により敵対行為が行われていないこと.
(d) 軍事行動を支援する活動が行われていないこと.

Q&A 「無防備地域」ってなに?品川無防備平和条例の会

 Q.現在,ジュネーブ条約第1追加議定書第59条にある無防備地域宣言を行うような紛争状態になっていないのにもかかわらず,いまなぜ無防備地域宣言運動を行うのですか?
 A. この議定書の第59条の文言によれば,無防備地域宣言はどこかの国と戦争になったときに「宣言することができる」とされています.

無防備地域宣言をめざす大阪市民の会

 【事実】
>それは,戦争が差し迫った時,武器や軍隊を持たない地域を「無防備地域」として宣言できる規定です.

>無防備地域宣言はどこかの国と戦争になったときに「宣言することができる」とされています.

嘘だ!

 「戦争が差し迫ったとき」なんて条件じゃない.「どこかの国と戦争になったときに」でもない.
 「敵軍が目の前に迫っていて占領されるとき」という条件なのに.それ以外の状況で宣言しても,物笑いの種にされるだけ.
 この宣言は,敵国軍に向けて出す降伏宣言であり,条例として「平和都市宣言」的に掲げるものではないのです.
 この運動はジュネーブ条約に対する誤った認識を広めており,なぜ運動当事者達が疑問を持たないのか不思議です.運動の根拠となる条約を読めば誰にでも矛盾点に気付く筈です.

 特に軍事や歴史を勉強しなくても,読んだ時点で判るはずですが・

<以下,コメント欄>

無防備運動は「平時からの無防備宣言」が目的ではありません.

・有事に即,宣言するには,宣言に必要な「4条件」を平時から整えておく必要がある.

・そのためには4条件の整備を条例化し,自治体に義務付けさせるべきだ.
(最終目標:無防備条例を世界に広げて軍備全廃)

−で,その条例案ですが,

・自治体に「平和事業」の実施を義務付ける条文が必ずある.

・一部団体の示す案は,平和事業の義務付け条文中に,
「住民,NGO等が実施する平和事業への 援 助 ・ 助 成 」
 を自治体が行なう旨を明記している.

・一部団体の示す案は,平和事業の企画立案に際しては,
「市民の代表を交えた委員会を設立し,内容を審議,審査させる」
旨を義務付ける条文を設けている.

 まあ,住民を条件の3,4に従わせるには,
「常日頃から「平和意識」を高めておかねばならない」
という発想から来てるんでしょうがね.

 でもなぜだろう?,「利」と「権」の二字が脳裏に浮かび上がるのは.

Stefan

 そもそも地方自治体は,国家が戦争をすることに対して反対する権能を持っていない,ってことをこの国はなぜか教えてないからね,国民に.
 その上国民の国防義務は存在しない扱いになってるしさ.

 やっぱり変だよこの国.
 マスゴミはなんでこの点指摘しないんだろ.
 最近,東アジア共同体がどうたら言ってるけど,EU各国はEU内においてそれぞれ対EU国家に対する軍事的オプションを未だ放棄していないよ.
 それぞれの国軍解体なんて誰も言い出さないんだから.

名無しT72神信者

 リンクを辿っていって読んでいたら,
http://blog.kansai.com/chankei/55
こちらのブログ主は,署名運動をしている人と話しをされたそうです.
 すると,署名運動をしていた人は,ジュネーブ条約の本文を知らず,特に59条の内容などまったく理解していなかったそうです.
 ……怖いですね.

名無しT72神信者

(週刊オブイェクト,2005/11/13)

▼ 無防備地域宣言についての論争は赤十字の解説(ICRC:Commentary)により全ての決着を見ることになるでしょう.
 赤十字の解説に「地方自治体が宣言する場合,軍当局との完全な合意を得なければならない」とある以上,自衛隊との合意を得ていない宣言は無効であり,条約違反となります.

--------------------------------------------------------------------------------
“Of course, if the declaration comes from a local civil authority, it must be made in full agreement with the military authorities who alone have the means of ensuring that the terms of the declaration are complied with.”
--------------------------------------------------------------------------------

 ジュネーブ条約とは赤十字国際委員会(ICRC)の提唱により締結されたものです.
 そしてICRCはジュネーブ条約の番人と言える存在で,同条約が履行されているか監視する立場にあります.
 ICRCの解説は条約の公式見解です.
 "Commentary"とは解説,注釈であり"解釈"ではありません.
 他の意味を捻り出す余地は無いのです.

「週刊オブイェクト」,2005年12月14日付
青文字:加筆改修部分

 今日,JR蒲田駅西口で無防備宣言活動家が街宣.
「兵隊に誘導されて避難すると攻撃の対象になります.
 無防備宣言地域になればジュネーブ条約によって攻撃される事は無くなるのです」
と発言してました.
 避難する民間人を攻撃する(ジュネーブ条約違反の)軍隊が,無防備宣言地域の場合は条約を守ると考えているようです.
 苦笑いするしかありませんでした.

Posted by 名無しT72神信者 at 2006年05月28日 18:57:15

>兵隊に誘導されて避難すると攻撃の対象になります

 たとえ兵隊に誘導されていても,民間人は攻撃対象外なんだが・・・
 こいつら絶対,ジュネーブ条約を読んで無いな,こりゃ.

Posted by 名無しT72神信者 at 2006年05月28日 23:04:34

「週刊オブイェクト」コメント欄,2005年12月14日付
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 いわゆる「無防備都市宣言運動」への反駁として,
「先の大戦で.ドイツのドレスデンは無防備都市宣言を行ったにも関わらず,米英ソの猛爆を受け壊滅した」
というのがテンプレート化していたかと思います.
(FAQにも無防備マンのコラが載っています)
 これについて,Wikipediaのノート欄に気になる記述を見つけました.

 私は残念ながらこのあたりは専門外なのですが,事実はどうなのでしょうか?

Shaul in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

「無防備マン」をからかったパロディ・コラージュ

 【回答】
 おそらく鍵になる情報は,一体何時誰がそのような宣言を行ったかということになると思うのですが,検索した限りそういう具体的情報は一切出てこないです.
 以前,私が紹介した米空軍の報告書でもドレスデンは無防備とはいえないと書いてありましたし.

――――――
米空軍がドレスデン空爆の正当性を主張する報告書を作成しています(エラーを無視しないと見れません).
https://www.airforcehistory.hq.af.mil/PopTopics/dresden.htm

 いろいろな数値を用いて,ドレスデン空爆が他のドイツの都市の空爆と比べて苛烈であったとは言えないことを証明しています.
 長いので,Conclusionだけ読めばいいと思いますが,それも長いので,Wikipediaが要点を書き出してくれています.

1.空爆は正当な軍事目標に基づくものである.
2.軍部隊や防空施設が近くにあったので無防備都市とは言えない.
3.他の諸都市との比較において空爆は過剰であったとは言えない.
4.空爆は通常の指揮系統に基づいて行われた.
5.空爆は不必要な民間人犠牲者を出さずに,軍事目的を達成した.

――――――バグってハニー in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

ドレスデンは無防備都市宣言したのに〜,というのはミスリーディングじゃないですかね.

 それで,この手の例でもっと好例なのはローマですね.
 こちらでは無防備都市宣言をめぐる,ローマ法王ピウス12世とルーズベルト大統領の交渉は不調に終わるのですが,その後,連合軍の爆撃が止んだ1943年8月14日に,イタリア守備軍が一方的に無防備都市宣言します.
 これはナチス・ドイツ,連合軍双方に無視されて,後にローマは両者から爆撃に遭っています.

 とりあえず,無防備マンたちはロッセリーニの『無防備都市』でも見て,無防備都市の現実を知るのが先決ですね.

バグってハニー in 「軍事板常見問題 mixi支隊」


 【質問】
 無防備都市宣言運動をしている人達は,実生活でもそれを実践しているの?

 【回答】
 していない.

 例えば,
kojii.net
の報告によれば,ネットで同運動を展開しているブログは,コメント欄を受けつけているところは一件もなく,
「トラックバックを受け付けているところも半分しかない」(kojii.net).

「『無防備宣言すれば攻められない』と主張するなら,まずは自分たちのところで『無防備blog宣言』をして,主張の正当性を実証してみればいいと思うのだが.
 それで実績が上がれば,(ジュネーブ条約を曲解している問題は残るにしても,)根本の主張の部分では,みんな納得してくれるのではないか」
とは,kojii.netの弁.

 それと,家にも鍵をかけず,警察も呼ばず,無防備を貫いてね〜〜〜.

-------------------
【社会】 「平和願う市民を無視,怒りでいっぱい」…"占領OK"無防備都市条例否決で,奈良市民ら★2
http://news19.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1137417647/

8 名前:名無しさん@6周年[] 投稿日:2006/01/16(月) 22:24:45 ID:BBl0ZOLf0

 平和願ってるのに,怒りでいっぱいとは穏やかじゃないな.
-------------------

 ワロタ.

――――――Posted by 名無しT72神信者 at 2006年01月16日 23:29:36

「週刊オブイェクト」コメント欄,2005年11月13日付
青文字:加筆改修部分

それどころか,こんなに重防備


 【質問】
 無防備都市宣言が出された都市が占領された後, その都市の住民が兵士として駆り出されるなんて,本当にありえるんでしょうか?
 ちょっと前まで敵国の国民だった人間に兵器を与えるなんて,考えられないんですど.

 【回答】
 背中に爆薬背負わせて、戦車に突っ込ますとか,後ろから、機関銃で督戦するとか、やり方はいろいろありますけど.
 荒っぽい所だと,一列に並べて地雷原を歩かせたり.
 アフリカあたりだと,一時的に占領した村の子供たちをかっさらって,薬漬けにして兵士に仕立てているわけだが.

 まあそこまでしなくても,前線での穴掘りとかに動員するとかは,普通に行うでしょうね.

 要は,人に命令を強制するには,やりようは色々あるってことさ.

478 :緑装薬4 ◆8R14yKD1/k :2007/12/01(土) 14:42:51 ID:6s4WSDqu

 そらあるだろうねえ.

 2・3人殺して
「さあ,義勇軍に自発的に志願しない奴はいないよなあ?しないようなゲリラはおらんよなあ?」
とかいって,忠誠心を誓わせる方法もあるだろうしなあ.

 占領されるということは,そういうことです,はい.

 ま,平時とかに災害派遣とか行かなくていいし,今ある部隊とかも移駐せにゃならんから移転費用たんまり出してもらえて再編できるから,自衛隊としちゃあ,無防備都市宣言どんどん出してもらったほうが楽っちゃあ楽だがのお(笑)
 しかも国民保護法制で,「自衛隊」が入れないから,地方自治体でなんとかするしかないしねえ.

 戦術的に必要になりゃ,「自衛隊が占領」すりゃええハナシだし.

 無防備都市宣言万歳っ!


479 :名無し三等兵:2007/12/01(土) 14:45:27 ID:???

Ω<「つまり無防備都市宣言運動は防衛省の陰謀だったんだよ!!!!11!!!」


481 :緑装薬4 ◆8R14yKD1/k :2007/12/01(土) 14:48:34 ID:6s4WSDqu

 まあ,陰謀かどうか知らんが・・・(笑)

 〔自衛隊にとっては〕案外利益があるんだよねえ,無防備都市宣言は.
 その地方自治体に住んでる人は不利益だろうがね.

 なにせ,部隊の移動すら認められないからのお.
 場所によっちゃあ,それ〔無防備都市宣言を出しているところ〕以外の地方自治体にすら災害派遣にいけなくなる可能性だってあるわけでねえ.

 あと,あれだ.
「自分の町は戦場にならないが,他の町で自衛隊が敵を食い止めてくれ.」
ちうエゴ丸出しちう見方も出来るわけだがな.

 まあ,好きにすりゃええさ.
 自衛隊は,なーんにも困らん.
 住民が決めればええだけだあ.

 無防備都市宣言万歳っ!


483 :名無し三等兵:2007/12/01(土) 14:54:15 ID:???

 自衛隊が居ると,〔その自治体の〕税収が良くなるのになあ.


(「無防備マン」をからかったパロディ)

軍事板


 【質問】
 自治体は都道府県軍を創設するか,無防備宣言を出すか選択すべきなのでは?

 【回答】
291 :名無し三等兵:2008/06/09(月) 14:18:03 ID:???
 そ〜だそ〜だ!!
 自治体は都道府県軍を創設するか,無防備宣言を出すか選択しろ!!

 無防備都市宣言万歳ッ!


294 :名無し三等兵:2008/06/14(土) 07:15:09 ID:???

 各省庁が行政機能を自前の戦力で維持するように構造改革すれば解決するぜ?

・財務省霞ヶ関方面隊 戦車大隊1 機械化歩兵大隊3 砲兵大隊3
・農林水産省 山岳監督隊 空中機動師団4
・警視庁 首都防衛師団 戦車大隊3 装甲車化歩兵大隊3 砲兵大隊3 中SAM大隊3



296 :名無し三等兵:2008/06/14(土) 07:28:51 ID:???

 MADを成立させる為,農林水産省傘下に戦略原潜艦隊も必要だな.


297 :緑装薬4 ◆8R14yKD1/k :2008/06/14(土) 07:34:34 ID:kNdm018n

 毎年の予算折衝でMAD理論が働くわけですね!!!


299 :名無し三等兵:2008/06/14(土) 13:20:51 ID:???

国土交通省 独立自動車道防衛旅団(ストライカー旅団)
        整備新幹線警備隊(装甲列車装備)

科学技術省 第666実験大隊(プラズマ砲,レールガン等を装備)

内閣府 首相警護師団


300 :名無し三等兵:2008/06/14(土) 13:25:27 ID:???

北海道開発局(北部方面軍)
 第二機械化狙撃兵師団・第五機械化狙撃兵旅団・第七戦車師団・第十一自動車化狙撃兵旅団


302 :名無し整備兵:2008/06/14(土) 21:23:45 ID:???

文部科学省 各職種学校及び教導連隊,防衛研究所,研究本部,技術研究本部,防衛大学校,
       少年工科学校

林野庁 アルピニ旅団(司令部:松本)

資源エネルギー庁 第2砲兵

国税庁 特殊作戦部隊(編成・装備等公表されず)

 この辺りはデフォですね.


303 :名無し三等兵:2008/06/15(日) 01:11:52 ID:???

厚生労働省 医療施設警備隊10個群 中央労働委員会労働監督師団
社会保険庁 基金運用警備群
海上保安庁 航空打撃艦隊4個 海中保安艦隊:原子力潜水艦24隻
気象庁   気象ロケット師団 同隷下ロケット警備連隊4個


304 :名無し三等兵:2008/06/15(日) 01:19:40 ID:???

各都道府県警に装甲警察師団


305 :名無し三等兵:2008/06/15(日) 10:52:08 ID:???

警察庁航空警察総隊
警察庁水上警察地方隊×5個
警察庁高射警察群15個
47個都道府県警察機動師団
海上保安庁機動艦隊×7個
海上保安庁航空集団
海上保安庁特別警備軍団
消防庁陸上救難飛行団
消防庁海上救難飛行団
消防庁特殊救難旅団
47個都道府県消防師団
公安調査庁情報本部
公安調査庁警戒群28個
公安調査庁海洋群
内閣調査兵団
内閣特殊作戦軍団
内閣空挺集軍
内閣西部方面軍
内閣対馬防備旅団
内閣南西航空集団
内閣潜水艦隊


307 :緑装薬4 ◆8R14yKD1/k :2008/06/15(日) 12:11:09 ID:lMlmr0E4

 無防備都市宣言万歳っ!

軍事板

 広島には三矢部隊もいますが,なんか名前が騒ぎを起こしそうな香り.

寄星蟲

 それをいうと,埼玉には栗鼠部隊と引きこも(マスコット的に…うわあああ何をするやめ(ry

ぎんなんそう

 東京には宮内庁サーヤ部隊がうわなに (ry

井上@Kojii.net

 有明兵30万ですね.わかります.

ゆきかぜまる

 第801宣伝部隊がワタクシモフシニサフデスの伝単を撒いて,敵がマジ凹みするんですね.わかります.

zen

 有明兵30万及びその予備役は秘密裏のうちに米軍根幹のneldを骨抜き・隷下に納めることに成功し,米軍だけではなく第801宣伝部隊とともに世界浸透作戦を遂行しているのですね.
 下手をすれば核より破壊力があり,心理的継戦能力に打撃を与えるのですね.分かります.<マテ
 ただ,軍事的に見ても,30万の軍勢をたった3日間で年2回も動員.
 事故無しに捌ききる能力は,他国から脅威に思われても不思議はないところ.

へぼ担当

 すると国土交通省の別働隊 PMF・小田急電鉄の「はるひ」が対抗して登場するわけですね.

井上@Kojii.net

 矢張り今必要なのは,外務省グリーンベレー(海外援助トラブルシューティング特殊部隊)ではないか.

消印所沢

 水産レコンの方が強い(捕鯨問題的な意味で

zen

 むしろ水産庁に,海洋生物生態調査のための捕鯨艦隊を置いてですね・・・.

 あ,もちろん武装はハープーン(銛)で(ry

白い狐

 まあ,ぶっちゃけ水産庁には特攻船部隊が(コラ)

ぎんなんそう

 もちろんフラッグシップは,戦後の逸話にちなんで長門な訳ですね.
 捕鯨戦艦「長門」

椋鳥

 財務省内にはコンビニが有りまして,靴や鞄やネクタイ等を取り扱うお店も有って,半地下となっている東側の建物の一階には外食店が数店舗入っていて,昼時になりますと,警視庁や文部省,(民営化前でしたが)郵政公社の職員が昼食や買い物をしにやってくるのです.

 なので,財務省はさしずめ補給処ではないかと思うのです.

近所の遠吠えするいぬ

>財務省内にはコンビニが有りまして

 北海道庁の地下も,そんな状態だった気が.

 そういえば,北海道庁って取締船,試験調査船,実習船など何隻かあったはずだが.
 それから機甲科と施設科(土木現業所),衛生科(道立病院)etc…何げに自己完結能力整ってるんじゃね?
 予算的なものはともかく…

ぎんなんそう

> 財務省はさしずめ補給処

 あちこちに政治将校ならぬ財務将校を派遣しているのかと思いましたが.
「これ以上の進撃は予算を超過するおそれがあるので中止せよ」
とか言いそうな気がしましたので・・・

クローム・ツァハル

>「これ以上の進撃は予算を超過するおそれがあるので中止せよ」とか言いそうな気がしましたので・・・

 うぬ,それは一体どこのゲドー社!
 財務将校の統括本部長はシモーヌ・トレファン女史ですね!!

鉄底海峡

 それなんて片山さつき ?

井上@Kojii.net

>政治将校ならぬ財務将校

「同志財務将校,この予算ではとても足りないです!」
「アナタは祖国から与えられた予算に不満なのですか?
 倹約精神に欠けていますね.
 浪費家は祖国の敵です」
 zip!zip!zip!

 こうですか,わかりません!><

如月

 リアルで内閣府法制局が最強だと思うのです.
 法務官その他の形で法務将校を派遣しているのですから.<マテ
 某A省もその限りにあらず.
 言うことを聞かないと,正当防衛どころか標的にされた上に,シベリア送りより酷い下記の取り扱いを受けるのですから.>ガクガクブルブル

参照先:「霞が関官僚日記」:霞が関を大いに盛り上げるための官僚の団

>「ま,そういうことだから,これから終電後,タコ部屋に集合ね.
> 絶対来なさいよ!
> 来ないと,外務省で主意書専従だから!」>ひぎぃ(悲鳴を止め...)

へぼ担当

以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より
青文字:加筆改修部分

 石破氏が農水省の大臣に抜擢されるそうです.
 過去の自衛隊の不祥事における対応が評価されたのでしょうか.

 軍オタ的には新たなジャンルの話のネタが出来そうですね.

近所の遠吠えするいぬ

 農業用トラクターと称して新型戦車を導入するのですね,わかります.

井上@Kojii.net

 どこのオデッサ戦車ですか.

クローム・ツァハル

 屯田兵に重トラクターと軽トラクターを割り当て,後者を機動的運用します.
 軽トラクターは泥濘地でも時速3kmで前進し,兵站活動の基礎を支えます.

 なお指揮官機(車か)は赤く塗装されます.

くるりん★ポポフ

 深海の水産資源探査と称して,新型潜水艦を導入.
 母船型遠洋まぐろ漁の実証実験船と称して,空母を導入.
 森林調査と称して,新型ヘリコプター導入.

 水産資源調査と称して,農林水産省の特別会計から,潜水艦乗組員に対して時給1,000円〜の長期水産資源調査手当を別途支給する.

 さらには「食の安全保障」と称し,水産自衛隊,林野自衛隊,農耕自衛隊,牧畜自衛隊を創設し,防衛省と農水省を統合した国家安全保障省の初代大臣にゲル.

しまだ(´ω` )

 さらにライフラインの安全保障ということで,交通自衛隊・電力自衛隊・水道自衛隊・ガス自衛隊も希望.

井上@Kojii.net

 漁船の無駄な燃料消費を抑えるために,低燃費無人ラジコン機によって魚群を捜索,追跡探知する技術の研究.

 農家林業家の高齢化による作業の負担軽減の為に,1日の作業が連続可能な作業補助機器(パワードスーツ)技術の研究.

近所の遠吠えするいぬ

 しかも経済上の安全保障ということで経済自衛隊,産業自衛隊,財務自衛隊を創設.
 いっそのこと省庁再編で全部まとめて防衛府に.

 初代石破防衛大将軍就任
(「征夷大将軍」は侵略的なのでこうなりました)

くるりん★ポポフ

 財務自衛隊の国税部隊が主力なわけですね!! わかります.

スコップダンディ

 じゃあ,今度からはゲル将軍で.

鉄底海峡

 特生自衛隊はいつできるんですか!!!

島の人

 宣伝部門として東宝を国有化して東宝自衛隊ですね!!

ヨシフ

 角川戦車は失業かあ・・・

島の人

 ゴジラ・ガメラに対応できる東宝自衛隊に一日の長ありですね,分かります.

bernoulli

以上,「軍事板常見問題 mixi支隊」より
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 無防備地域について質問

 地方自治体に無防備地域宣言をさせる条例を作ろうとしている連中があっちこっちにいるのだが,そいつらが
「第一追加議定書は条約なんだ.
 憲法98条にも条約を遵守しろと書いてある.
 地方自治体に条例に基づく無防備地域宣言をさせない日本政府が問題なのだ」
という主張をしているのだが,こんな主張ってありなのですかね?
 これとは別に憲法では94条で
「条例は法律の範囲内でのみ制定可能」
とあり,たとえば自衛隊の指揮権を定めた自衛隊法,国民保護法と無防備地域条例とは真っ向からぶつかることになるのですが.

 【回答】
>これとは別に憲法では94条で「条例は法律の範囲内でのみ制定可能」とあり,たとえば自衛隊の指揮権を定めた自衛隊法,国民保護法と無防備地域条例とは真っ向からぶつかることになるのですが.

 これは議論の要点(と,彼等が主張する部分)を勘違いしてる.
 確かに憲法には
>第94条 地方公共団体は,その財産を管理し,事務を処理し,及び行政を執行する権能を有し,法律の範囲内で条例を制定することができる.
と,あるが,彼等が根拠にしてるのはこちら.

>第98条 この憲法は,国の最高法規であつて,その条規に反する法律,命令,詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は,その効力を有しない.
>2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は,これを誠実に遵守することを必要とする.

 つまり,「第一追加議定書に反する法令そのものが違憲だ」って主張な.
 学説的にもこの主張は裏付けられていて,日本国は
・確立された国際法規には無条件に従わねばならない
・締結した条約についても,国内法の整備をもって尊守しなければならない
ってのが主流な説となっている.
 簡単にいえば
「国際的な基本ルールは守りましょう.条約に参加したら実行しましょう」
って事な.
 まあ,条約と憲法含めた国内法との優劣や実際の効力等に付いては諸説あるが,ここでは省略する.

 ただ,ぶっちゃけジュネーヴ諸条約第一議定書は,軍組織の指揮権が所属国家の中央政府に独占される事なんて全く否定してないので,無防備条約推進団体の主張は前提が根本的に間違ってる.

 ついでにいっとくと,日本の平和団体は,日米安全保障条約はサンフランシスコ平和条約と同時に締結された旧条約の頃から,それ自体が憲法違反だと主張する事が多い.
 憲法9条は日本以外の国の事なんて何も書いてないし,憲法草案も立憲作業もアメリカの意思と同意の下に進められて,そのアメリカによる庇護も始めから視野に入ってたというのにね.

 で,それに伴って制定された安保条約刑事特別法も憲法違反なんだってさ.
 条約を守る為に制定した法律なのに.

「矛盾? なにそれ美味しいの?」

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【珍説】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051210-00000298-mailo-l25
「地域住民の安全に責任を持つ自治体が宣言を行えば,政府と自衛隊はそれを認め同意しなければならない」

 【事実】
 「地域住民の安全に責任を持つ」って,おまえら,他国の軍隊に対して何ができるのだと問い詰めたい.

Posted by むーちゃ at 2005年12月12日 07:03:42

 何時から自治体は,政府や自衛隊に命令できるようになったんだ?
 凄いギャグだな.

 それに大津市は陸上自衛隊の駐屯地があった筈だろ.
 何を考えてるんだ・・・

Posted by 名無しT72神信者 at 2005年12月12日 12:21:21

 つーか,無防備地域宣言できるのは,「紛争当事者の適当な当局」なんで,まず宣戦布告しないと.
 って,何処に?

Posted by 鰯揚 at 2005年12月12日 14:04:01

 大津市の“市民グループ”の方々は,大津市から自衛隊部隊を排除したいんでしょうね.
 彼らは「地域住民の安全に責任を持つ」ことはしないんでしょうか?
 敵軍が大津市に空挺降下してきたら,彼らは自らの身の安全のために,進んで敵軍の道案内をしそう.
 日頃のポーズが「反体制」でも,実際には新たな支配者に迎合する,そんなイメージ.

Posted by 非絶対者 at 2005年12月12日 20:25:39

 大津市在住の俺が来ましたよ.orz

こっちに,さらに詳しく載ってた.
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/shiga/news/20051201ddlk25070653000c.html

 頭痛ぇ・・・

>誤解されがちですが,無防備地域は軍隊のない地域であって,
>「無抵抗の地域」ではありません.侵略に対して何もしない,という意味ではなく
>自らを守ったり,地域の治安を守る権利を放棄するものではありません.

 おのれの条例案の第2条を読み返せと.
 「有事には軍事施設の機能停止を求める」そうだし.
 んな運動は,琵琶湖の真ん中ででもやってくれ・・・

Posted by 名無しT72神信者 at 2005年12月12日 23:40:04

 おいおい,他国の正規軍に対してどうやって「自らを守る」んだ?
 コスタリカじゃあるまいに,警察で軍隊に勝てるとでも思っているのか?
 それとも市民が抵抗しろと?
 ゲリラと見なされて,町ごと虐殺されて終了なんだが.

Posted by むーちゃ at 2005年12月13日 13:19:44

 占領されるので,当然その都市の治安維持は占領軍が行う.
 抵抗運動なんぞやったら,鎮圧される可能性大.
 鎮圧される場合,機動隊がやってるレベルの対応じゃないだろうけどな.

 まあ,運動やってる連中の本音は,占領軍じゃなくて日本政府と自衛隊の活動を押さえることなんで,占領されたら大喜びで弾圧するほうに回るだろうけどね.

Posted by 名無しT72神信者 at 2005年12月13日 12:34:10

 この手の運動は具体的な成果を求めておらず,騒いで世間の関心を集めること自体が目的なので,こういう場所で話題になった時点で,半ば彼等の思惑に乗ってしまっているかと・・・.
 出来れば『自称「平和団体」必死だな(藁』と,一笑に付して捨て置ければいいのですが,まぁネットですから相手も広報戦を仕掛けてくるし,良くも悪くも話題になってしまうと・・・.
 『無防備地帯宣言』の解説をする際は,騒いで世間の関心を集めるという運動団体側の目的の方も,強調しておいた方が良いと思います.

Posted by 名無しT72神信者 at 2005年12月13日 21:46:09

>騒いで世間の関心を集めること自体が目的

 そして団体側の無知と無恥が世間に知れると.
 相変わらずMな方々ですな.

Posted by 名無しT72神信者 at 2005年12月14日 08:20:41

 先程「テクノラティ」というものの存在を知ったので,試しに「無防備都市」で検索して,こんな所を見つけました.
デジタルのあるくらし

 ここのブログ主さんが,「平和・無防備都市条例を実現するつどい」の会場に行ってみたところ,受付で
「住所を書かないのなら二度と来るな!」
と言われて参加を断念したそうです.
 〔略〕
 「騒いで世間の関心を集める」ことには熱心でも,同志を募ることには熱心でないようです.
 一般人にこんな態度を取って,「組織の維持という至高の目的」が果たせるのでしょうか?

 ああ,彼らは常識人ではなかったですね(笑)

Posted by 非絶対者 at 2005年12月15日 18:49:23

「週刊オブイェクト」コメント欄,2005年12月11日付


 【珍説】
 自衛隊は軍隊(military)ではないから,自衛隊当局は「軍事当局 (military authorities)」ではない.
 故に存在しない軍事当局の了解を得る事無く,無防備宣言する事が可能

 【事実】
 当たり前の話だが国際法上,自衛隊は軍隊として扱われる.
 国際社会は日本国内の特殊事情(言葉遊び)など考慮してくれない.

 そもそもジュネーブ条約には,"military"という単語が頻繁に見受けられ,第一追加議定書だけでも100個近く存在する.
 もしこれら全てについても,「自衛隊は軍隊ではないので従う必要が無い」とした場合,条約に参加している意味そのものが無くなってしまう.
 こんな主張は通用しない.
 条約不履行と見なされてしまうだろう.

 一つの無茶を通そうとする余り,全てを失ってしまうのは本末転倒と言わざるを得ない.

 ちなみにこのような主張は,どうやら無防備宣言推進派の間では定番らしく,『Another Type of "Letter from Ceylon": 無防備都市宣言 その3』でも紹介されていました.
 以下は明治大学政治経済学部助教授の,生方卓氏の見解です.

--------------------------------------------------------------------------------
 次にthe military authorities の問題ですが,この追加議定書は,the military authoritiesを持っていない国もありえるということを想定しておりません.
 日本は憲法上はthe military authoritiesを持っていないのですから,宣言のために「軍事当局の了解」を不必要とするのではないでしょうか?

 他方,自民党の今度の憲法改訂案のように,日本が「軍」を持つことになれば,事態は一変します.
 だからこそ,この改訂案は大変危険なのだということになるのではないでしょうか.

 換言すれば,第9条とジュネーブ条約とはむしろ相互補完的な関係にあるということだと考えておりますが,いかがでしょう?
--------------------------------------------------------------------------------

 生方氏は更に発展させて,憲法九条改正問題とのコラボレーションを行っています.
 しかし,いかがでしょうかと言われても・・・
 もし改憲案通りに「自衛隊」が「自衛軍」になったとしても,「Self Defence Force」という英語表記は全く変わらないであろう事に何故気付かれないのでしょうか.

 それ以前の問題として,現在の自衛隊当局も国際法的には軍事当局と見なされます.
 そうでなければ,そもそもジュネーブ条約自体に参加できていないのです.

「週刊オブイェクト」,2005年12月14日付
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 無防備宣言運動の中心となっている政治勢力は?

 【回答】
日本法務省外局公安調査庁「平成18年「内外情勢の回顧と展望」
より
第3 平成17年の国内情勢
3 共産党・過激派等 (3) 市民層への浸透に力を注いだ過激派

によれば,以下の通り.

--------------------------------------------------------------------------------
〈MDSは,イラク民主化勢力支援や「無防備地区宣言」運動を通じて,市民を結集〉

 社会主義社会の実現を標榜する「民主主義的社会主義運動」(MDS)は,イラクの「民主化勢力」代表を招いて反戦集会を開催するなど,独自の存在感を示した.
 特に,MDSが進めるイラク反戦運動では,市民層の結集を図る受け皿として,各地に「イラク市民レジスタンス連帯委員会」を立ち上げ,イラク市民の戦争被害などを紹介する各種イベントを実施して,同連帯委員会の会員拡大に努めた.

 また,MDSは,政府の有事体制づくりに反対する運動として,ジュネーヴ諸条約追加議定書を根拠に,「無防備地区宣言」条例の制定運動に取り組み,東京・荒川区など8自治体の住民らで運動体を組織し,それぞれ条例制定の直接請求に必要な法定数を超える署名を集めた.
 さらに,MDSは,各地の運動体で構成する全国ネットワークが,著名人らを呼び掛け人として運動推進を呼び掛ける「1,000人アピール」への賛同人集約や学習会に取り組むなど運動の伝播に努める中,運動に協力した市民に,傘下団体の集会への参加を呼び掛けたり,機関紙の購読や組織への加盟を働き掛けた.
--------------------------------------------------------------------------------

 無防備宣言運動の中心となっているのは「左翼過激派MDS」ということが,公安の報告書に載りました.

 とはいえこの事は以前から指摘されていた事です.平成16年10月号「正論」で時沢和男氏が「中核を担うのは新左翼セクト」で詳しく述べています.
 公安の報告書に載った事で,これが裏付けられたと言えます.

 「市民層への浸透に力を注いだ過激派」と名指しされたMDS.
 これが無防備宣言運動の正体です.

<以下,コメント欄>

〜/  ´・ω)ミ<「MDS」と目に入った瞬間「ミサイル防衛システム?」と誤読したおいらは兵器馬鹿ですかそうですか(笑)
〜/  ‘ω)ミ<むぼーびマンもかげきはだったのかー
〜/   ´ω)ミ<攻撃はあり!ってか(笑)>無防備

―――――Posted by 名無し鰭脚類神信者 at 2006年03月20日 01:43:34


 週刊MDSなんてあるんですね.
 一応h抜きでttp://www.mdsweb.jp/

――――――Posted by 名無しT72神信者 at 2006年03月20日 19:39:47


 大体四トロで無防備地域運動を奨励してることくらい,ブラックジョークなことは無いんだが(棒読み)(笑)

――――――Posted by KY at 2007年09月09日 23:22:03

「週刊オブイェクト」,2006年03月19日
青文字:加筆改修部分

 ただし野田敬生の著書によれば,公安調査庁の調査能力は決して高いとは言えないので,その点には留意すべし.


 【質問】
 無防備都市運動の連中って,非武装中立論者なの?

 【回答】
 Yes.

 無防備マンの本になった方読んでみ?
 書き下ろし文の漫画の中で
「『九条を改正し,自衛権の否定と不保持を明記しよう』
というような意見は戦争をしたい人達に利用されるから今は言うべきではない」
と,確かこんな感じの主張だったはず.

週刊オブイェクト・コメント欄 at 2007年01月24日 03:01


 【質問】
 無防備活動家による殺人未遂事件について教えてください.

 【回答】
http://www.sankei-kansai.com/2009/07/14/20090714-012279.php
>車の通行トラブルになった大学生の腹をナイフで刺したとして,
>大阪府警箕面署は13日,殺人未遂容疑で箕面市桜ケ丘の自称会社役員,
>中井多賀宏(たかひろ)容疑者(36)を緊急逮捕した.

http://www.asahi.com/national/update/0713/OSK200907130147.html
>現場から約40メートル東の市道交差点で,2人の車が出合い頭に衝突しそうになったことから,
>中井容疑者が大学生の車を追いかけて口論になり,所持していたナイフで大学生の腹を数カ所刺した疑いが持たれている.

 なぜかWikipediaに項目があったり.
 出身と年齢が一致.
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E4%BA%95%E5%A4%9A%E8%B3%80%E5%AE%8F
>中井 多賀宏(なかい たかひろ,1973年6月17日 - )は,詩人,憲法活動家,ミュージシャン,.大阪府大阪市生まれ,大阪府箕面市出身.

箕面9条の会
http://www.hcn.zaq.ne.jp/minoh9jyo/
>よびかけ人 中井多賀宏

箕面市平和のまち条例案
http://minoo-heiwa-j.hp.infoseek.co.jp/jourei.htm
>第4条(無防備地区宣言)

「箕面市平和のまち条例」制定請求書
http://minoo-heiwa-j.hp.infoseek.co.jp/syusi4.html
>箕面市桜ケ丘*-*-** 中井多賀宏

 住所が桜ケ丘まで一致してるし,同一人物と見てほぼ間違いないか.
 しかし,護憲派で無防備宣言を推す運動家が,ナイフで武装して先制攻撃っすか.自らを全否定ですね.

 ちなみに,先にあげた産経関西の記事を見た限りでは,さすがに法律書(?)を出版してるだけあって,心神喪失の線を狙うための伏線張りがうかがえる.

>当初「にらみ合いになり刺した」と認めていたが,
>その後の調べに「頭が真っ白で覚えていない」と否認している.

 ちなみに本人のサイト(http://nakai.petit.cc/pineapple1/)によると,パニック障害・強迫性障害・境界性人格障害とのことだから,これを武器に法廷で争うのかも.
 もっとも,統合失調症の被告人でさえ,責任能力有りと認定されることが多々あるのだから,この程度で無罪になるなど有り得ないだろうが.
 まあ,このへんは私の邪推なんですけどね.

フナムシ in mixi,2009年07月14日21:44

▼※ なお,刑法の「傷害罪」もしくは「殺人罪」において,被告人の「思想」は一切勘案されない.(cf:山岳ベース事件判例)
 刑法事件において,被告人の「思想」は問われるべきでなく,またそれを問うことは,極端な場合「思想信条の自由」を犯す恐れがある.

 該当項目中には,「平和主義者が他者を攻撃したら,普通の場合より罪の軽重が変わる」というような意味合いのことは,何も書かれておらず,指摘されているのは,あくまでも「無防備を主張する平和主義者」が,「武器を用いて他人を攻撃した」ことは言動と行動が矛盾しているという一般的なロジックの点である.
 別に,思想を以って「法」的に「有罪」,と書いてあるわけではなく,それどころか,この一文には刑法・裁判・有罪無罪・量刑に関して何かを想起させるような記述は一切ない.
 この一文を「刑法上の問題」と取り上げるのは無理がありすぎる
が,もしかしたらそのように勘違いする人が稀にいるかもしれないので,念のため.

 元レスにはその後,
> ちなみに,先にあげた産経関西の記事を見た限りでは,
>さすがに法律書(?)を出版してるだけあって,
>心神喪失の線を狙うための伏線張りがうかがえる.
というように裁判を想起させる記述があるが,その文頭には「ちなみに」という接続詞があり,この二つの文は全く異なる文脈にあることは明らか.
 「ちなみに」以降の記述(裁判を想起させる部分)では,被告人の思想云々は問題にされていない.

七師三等兵,
名無しクルセイダー信者(黄文字部分),
代替○港(緑文字部分),
バグってハニー(灰色文字部分)
in FAQ BBS,2009年8月11日(火)〜8月15日(土)

青文字:加筆改修部分

 【関連リンク】
「週刊オブイェクト」:9条ナイフ滅多刺し男の件に関する的外れな反論へのお返事
「週刊オブイェクト」:みのお9条の会が殺人未遂容疑の中井多賀宏を除名「今後,呼びかけ人としては扱わず」
「FSM」:わたしの正義を受けてみよ!


 【珍説】
自衛官の犯罪もまずいのではないか?

(前略)
 しかるに,暴力を管理・運用する立場にある人間が暴力を私的に行使するということは,暴力に反対している人間が暴力を用いることと同等か,場合によってはそれ以上に強い批判がなされるでしょう.
 反戦平和を訴える運動家は単に個人の信念でやっているのに対して,自衛官は国民がその力を厳粛に信託しているものであって,それを私的に運用したとなれば,あるいは信頼に値しないことを示したとすれば,単なる主張に対する信義の問題としてではなく,重大な背信行為であると見做されます.
(後略)

<引用終わり>

 【事実】
「ガキの論理を大人の言葉で飾れば,ガキの論理にならないとでも思ったか.
 えせ平和主義者の犯罪を批判するものの中で,誰が自衛官の犯罪を肯定しているか今ここで言って見ろ!」
 よし,本音終わり.

 さて,自衛官の犯罪に問題がないとは誰も言ってませんし,自衛隊の「暴力装置」は,システムとしての自衛隊のことを指しているのであって,個人個人の責任において取れる行動のことを指しているのではありません.
 で,自衛隊において,「それ(=暴力システム)を私的に運用した事例」は,これまでにどれだけの数があったのでしょうか.

 「それ(=暴力システム)を私的に運用した事例」というのは,部隊まるごとの抗命や無許可離隊などといった,国民の信託にオーソライズされた命令に反すること,すなわち反乱のことを言っているのであって,隊法に「汝,盗むなかれ」なんて書いているわけじゃありません.
 書いているのは,「起訴されたら休んでもらうからな」とか,「禁固以上の刑を食らったらクビだからな」,「法律とか守りますって約束だからな」ということです.

 翻って,実は信念に基づく行動を取り続けるということは,非常に大変なことで,信念への挑戦に負けないこと,信念を投げ出さないこと,信念から逃げ出さないこと,そして信念を信じ抜くことというのは,一時の激情に対して余りにも無力であることの方が多いわけです.
 だからダメになりそうな時にこそ,こうして踏みとどまることが光るのです.
 そして信念が,世界の真実を突いたロジカルな思考と結びつけば,時にすべてを圧倒するパワーを手に入れることすら出来るのです.
 これが知恵とか人類の英知の結晶と呼ばれるもの,そして物語の化学反応の一つですから,覚えておきましょう.

 しかしながら,進んで茨の道を選んだ人間が,こうした些細なことで,己が信念のために己自身が決めた(あるいはその事実に無自覚であったかもしれない)規則を,真っ向から否定するような行為を行ったわけですから,その人も,その人の信念も,もはや誰にも信用されないでしょう.

 もしかすると,ただ一つ彼らが真実を表しているとすれば,
「ゲイリー・オールドマンは,どんな役回りでも無様に死ぬ」
というアレではありませんが,物理的事実を大きくゆがめた信念や主義というものは,人間の性質や行動を規定できないということかもしれません.
 知恵を見つけられなければ,どんなところにいたって,furukatsuは欺瞞に満ちた言動を取り続け,無防備ナイフの男は人を刺したのかもしれません.

 言葉は万能ですが,孤独でもあります.
 だからこそ,それに背く生き方は出来ればしたくないと,本職は考えます.

(しらせしんいち 作家,技術者,元自衛隊員)

in mixi,2009年07月20日20:34

▼ furukatsuは喩え話は精密に論を展開したい時は御法度って知らないのかな?
 何処を類似点と見るかコンセンサスが無いので,いくらでも議論を発散可能だから.

「九条の会発起人が武装していて先制攻撃で殺人未遂を行った」
 これだけの話だね.
 どれだけ内々の理論で「おかしくない!」って言い張っても,「バカじゃない?」って言われるだけだよ.

 それにそもそも,自衛隊は主義主張で集まった集団じゃないんだから,根本が少しに違う.
 フルカツだって言ってるが,自衛隊員の暴力行為は組織としての背信だが,九条の会の暴力行為は組織としての背信だけでなく,自己否定が加わる.
 自衛隊の暴力行為も同様に批判されるべきとしているが,自分の主義を自分で否定したわけじゃないんだから,同様に捉えるのはおかしい.

ニュース極東板,2009/07/21(火)
青文字:加筆改修部分

 ※上記引用ブログのブログ主の,コメント欄への対応に鑑み,珍説と認定した.


 【質問】
 無防備都市宣言運動は外患誘致未遂罪にはなりませんか?

――――――
http://www.houko.com/00/01/H07/091.HTM

 (外患誘致)
 第81条 外国と通謀して日本国に対し武力を行使させた者は,死刑に処する.
【中略】
 (未遂罪)
 第87条 第81条及び第82条の罪の未遂は,罰する.
 (予備及び陰謀)
 第88条 第81条又は第82条の罪の予備又は陰謀をした者は,1年以上10年以下の懲役に処する.
――――――

 【回答】
 未遂になるためには犯行の着手が必要なので,条例制定だけでは十分ではないでしょう(予備にとどまる).
 その後に具体的に,外敵を引き入れる工作(外敵との接触・交渉など)を進め,実際に外敵の侵入が起きる危険性が増大して以降が,未遂になると思います.

Posted by おおや at 2005年12月16日 18:51:45

「週刊オブイェクト」コメント欄,2005年12月14日付
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 京都・奈良における「非武装都市」推進運動について教えられたし.

 【回答】
 1952年,朝鮮戦争の傷痍軍人のための保養施設が,奈良に設置され,また,京都に空軍基地ができるという噂が流れると,同地で「武力紛争の際の文化財の保護のための条約(ハーグ条約,1954年採択)を根拠とした「非武装都市」推進の動きがあった.
 両都市を「文化財集中地区」と指定されることにより,「特別保護」を受けようというもの.
 しかし「特別保護」を受けるためには,
・軍事目標たりうる施設が近くにあってはならない
・軍事要員を載せた列車やトラックが通過してはならない
といった大変厳しい条件があり,また,
・「特別保護」を担保するためには,戦時下に於ける鉄道・道路・放送局の用途を転換・制限する法律を定めなければならないが,各省庁の反対が強く,成立が見こめなかった
・「特別保護文化財」から軍事施設までの「妥当な距離」,また,登録すべき文化財の数と価値の基準が曖昧
・アメリカが批准していない以上,日米安保の関係で,日本が先に批准するのは支障をきたすことになりかねない
といった理由により,日本は同条約を批准していない.
 また,現実に特別保護を受けているのは現状,ヴァチカンだけとなっている.

 これは無防備マンのルーツではないか?とも想像される.
 長い年月をかけて受け継がれるうち,上記ハーグ条約と,ハーグ戦時法規とを混同するなどの「情報の劣化」が発生して,今日の無防備マンのようないい加減な主張に劣化したのではないかと想像する次第.

 なお,ハーグ条約批准を求める,日本国内での運動は現在も続いている.
 2005.1.16には,朝日新聞紙上で新聞ダネともなった.
 文化財保護自体は大切なことなので,どうか政治に悪用されませんように.

 【参考ページ】
斉藤英俊(筑波大学大学院教授) in 『人類の歴史を護れ』(西浦忠輝編,クバプロ,2005.10.30),p.123-127


目次へ

「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ   サイト・マップへ

inserted by FC2 system