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(画像掲示板より引用)


 【link】

John J. Mearsheimer

「アラスカ物語」:「クラウゼヴィッツ信者vsリデルハート信者」でありがちな事

「スパイ&テロ」◆(2011/04/22)戦場カメラマンの死

「地政学を英国で学んだ」◆(2013/04/08) ジョン・ボイドの参考資料

「地政学を英国で学んだ」◆(2013/05/21) ウォルツの死亡記事

「日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信」◎(2013/10/16) 【アメリカ通信】ピーター・ドラッカー VS コリン・グレイ("現代の三大戦略家")

『戦争の達人たち 孫子・クラウゼヴィッツ・ジョミニ" マイケル・ハンデル』書評 < 「FSM」

●孫子

D.B.E. ミニ型」(2010/09/18)◆(以下,情報元かーずSP) 孫子ちゃんの兵法 「前代未聞!“兵法界”驚愕の萌え本!」

『あらすじとイラストでわかる孫子の兵法 戦いに「勝つ」条件とは?』(知的発見!探検隊著,イースト・プレス,2012.4)

『決定版 知れば知るほど面白い!孫子の兵法』 (松下喜代子著,西東社,2012.4)

『図解でビビッとわかる孫子の兵法』(クリエイティブ・スイート編,宝島社,2011.11)

『孫子』(孫子著,フランシス・ワン仏訳,小野繁訳,重松正彦註記,葦書房,1991.8)

 まだ読み終えてないけど書いておこう.
 まさしく軍オタの為の孫子というべき一冊.
 註釈者が旧軍の士官で,参考文献に十一家註孫子を使っているので,他の孫子より納得できる.
 軍部の批判で結構なページを割いたりしているので,読むのが飽きる所があるのが難点.
 ただ,言ってる批判自体はハッとさせられるから飽きるかは個人次第かもしれん.
 もし欲しい人がいたら,版元の葦書房に,「表紙がちょっと汚れてる」のが数冊あるよ.
 表紙が綺麗なのは,重版しない限りないみたい.

-----------------軍事板,2011/11/19(土)

『孫子の思想史的研究』(佐藤賢司著,風間書房,1962)

『孫子の兵法』(守屋洋著,三笠書房文庫,2012.1)

『孫子の兵法の数学モデル』(木下栄蔵著,講談社,1998.2)
『孫子の兵法の数学モデル 実践篇』(木下栄蔵著,講談社,1998.11)

 孫子は関係ない.
 ゲーム理論的な計算式に,勘や経験など,人間的な要素の項を加えて算出するソフトの解説書.
 経営的/ビジネス的な側面が強く,孫子とか軍事とか全く関係なかった2冊.

――――――軍事板,2011/01/09(日)

『「孫子」を読む』(浅野裕一著,講談社現代新書,1993/9/16)

 講談社文庫『孫子』の訳者による解説本.
 訳書に盛りこんだ自説(それ自体はいいものだと思う)に,都合のいい戦例を拾って付け足した.
 その付けたし部分が,俺には辛かった.
 その付け足しを除けば,あとは講談社『孫子』を薄めた本論が残る.

 結論;『孫子』を読め.

------------軍事板,2002/09/28

『萌訳☆孫子ちゃんの兵法』(福田晃市著,総合科学出版,2010.10)

 はっきり言って期待外れ.
 萌訳でもなんでもない.
 孫子を普通に翻訳して,それに4コマ漫画を申し訳なさそうにつけただけじゃないか.

――――――軍事板,2010/11/23(火)

 【質問】
 よく,テレビで軍事評論家なる人が出てますが,あの人たちって凄いの?

 【回答】
 まぁ,ピンキリですな.

 軍事には詳しいけど政治に詳しくない人,知識も戦場経験もあるのだが,個人的感情で語るのでバイアスがかかりまくりな人,知識も経験もない人,まぁ色々.

 軍事評論家はある程度浅く広くという知識が求められるから,技術者とか科学者にはその分野では勝てないだろう.
 必要なのは専門家から巧く知識を得る事であって,別に勝つ必要もないのだが.

 それに,軍事問題は基本的に機密だから,情報があいまいになってミスも起こりがち.
 TVでも複数の軍事評論家を同時に出して,大幅なミスが起こらないようにしている気がするな.


 【質問】
 ニクソンやキッシンジャーに代表される「リアリスト」と,モンテスキューやカントに代表される「リベラリスト」は,どちらがより「現実」に即しているのか?

 【回答】
 どちらも正しくあり,どちらも間違っている.

 リアリストは,リベラリストに対して「ユートピアを夢見る夢想家」だと思うし,リベラリストはリアリストに対して「過去の呪縛にとらわれた冷笑主義者だ」と言う見方をする.
 しかし,現実は,それほど面白くもなく,また白黒をつけられるようなこともない.

 21世紀は,リアリストの「継続」とリベラリストの「変化」との「奇妙なミックス」であり,国際政治というものは,結局,人間のさまざまな行動が絡むので,物理学の様な,決定的な結論は出ない,
 それは状況次第であることを留意しなければならないだろう.

 詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授「国際紛争」(有斐閣,2005.4)1章を参照されたし.

 この本の後ろに良いことが書いてありました
「これは酸いも甘いも噛み分けた国際政治の教科書である.
 真のリベラルたらんとすれば真のリアリストたれ,
 理念は現実から,とナイ教授は説く.
 これこそ日本外交を再構築する際に必要な戦略理念の理論的足場であるだろう」

 真のリベラルたらんとすれば,真のリアリストたれ
 理念は現実から.


 これは至言だと感じました.

 もっとも,リアリストも「現実から理念」を見つける考え方でしょうから(悲観的な非難しかしないのは,リアリストではなくニヒリスト),ある一定のレベルに達すると手法はともかく,考えはあまり変わらないのかも知れません.

 以下の報道に見られるように,超党派で動ける・・・これが本当のリベラルでしょうね.

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20071107i111.htm

 共和党のリチャード・アーミテージ元国務副長官と民主党のジョゼフ・ナイ元国防次官補(ハーバード大教授)を中心とする超党派の米有識者グループは6日,米国の安全保障・外交政策に関する報告書を発表,国際協調や途上国開発を通じ,米国に対する世界の信頼を取り戻すよう提案した.

 同盟関係に関しては,一国主義や有志連合より,条約に基づく同盟や国際機構の重要性を強調し,来年の米大統領選で選出される新たな指導者が,日本を含む東アジア諸国との同盟と,北大西洋条約機構(NATO)を通じた欧州との同盟に改めて本腰を入れて取り組むよう促した.
 また,国連の改革を進め,平和維持活動やテロ防止などの分野で国連が「米国の意思を実現するうえで積極的な役割を果たす」と期待感を表明している.

[/quote]

ますたーあじあ in mixi

真のリベラルたらんとすれば,真のリアリストたれ
理念は現実から.

それが理解できる人物が日本にどれだけいるか・・・

JSF in mixi

 少なくとも,日本国内で言う「リベラル」には,絶対に言えない言葉だろうなと思いまする.

 いつも思うのですが,向こうのリベラルって「自国にとって有利なこと」を前提に話を進めるんですよね.
 その手法として「国際協調」や「ソフト・パワー」を組み込むというだけの話で.

 このあたりが,日本の所謂リベラルとまったくアプローチが違うと思います・・・.

ますたーあじあ in mixi


 【質問】
 シンクタンクはどんなことをしているのか?

 【回答】
 以下,某有名シンクタンクに行った人が,そのときに同シンクタンク研究員に聞いたときの話.

〔略〕
この研究員の人は,シンクタンクの仕事として主に三つある,と教えてくれました.以下,それを並べてみると,

(1)研究・論文,記事などを書いて出版する.

(2)会合・研究会・セミナーなどのセットアップ.

(3)財団などから資金を調達するための企画書などの政策.

と簡潔に教えてくれました.

 じゃあ,時間の割り振りはどうしているんですか?と聞くと,

◎ 40%が企画書を書いたりする時間

◎ 30%がミーティングのセットアップなど.

◎ 30%をリサーチ・研究にあてる.

と教えてくれました.

 なかなか仕事は忙しいようなのですが,彼からはとても充実している様子が伝わってきました.なんだかうらやましいですな.

 その代わり,純粋な学者としての仕事ではなくて,かなりビジネス的な面のほうのスキルも要求されることは言っておりました.
 記事よりも企画書を書いて,政府要人にアポとりする,という部分ですね.

 このシンクタンクはとにかく政策重視で実際の政治に影響を与えていくというのが主な仕事なので,研究成果もかなり実際的になることが多い,と申しておりました.

「地政学を英国で学ぶ」,2005-03-0506:27

 一方,小川和久著『「頭脳なき国家」の悲劇』(講談社,1993.6)によると,日本では「情報を中心に据えて戦略を組みたてる態勢ができていない」とのことなので,シンクタンクと政府との関わり方も,これとはかなり異なるだろうと思われる.


 【質問】
 20世紀の軍事理論で重要な人物を10人ほど教えて!

 【回答】
A・マハン
リデル・ハート
G・ドゥーエ
W・ミッチェル
M・N・トハチェフスキー
J・フラー
H・ゼークト
H・グーデリアン
毛沢東
R・マクナマラ

 ……んな所でしょうか?

新所沢の三等兵◆UkUFfcwWIs

817:名無し三等兵:2006/06/08(木)17:29:29ID:???

 ヴォー・グエン・ザップが入っていないのは米帝の陰謀!!1!1


819:名無し三等兵:2006/06/08(木)17:30:27ID:???

 エルネスト・ゲバラも入ってない!
 CIAの陰謀!!11

 【質問】
 戦略家には芸術愛好家が多いの?

 【回答】
 「地政学を英国で学ぶ」,2005-01-25-08:03付によれば,どうやら多いらしい.
 以下のような例が挙げられている.

[quote]

 普仏戦争で参謀本部長だった大モルトケは芸術を好んでいたという話を聞きましたし,最近ではアルバート・ホルステッターなどが詩を論じていたということもあるそうです.

うちの先生も核戦略でブイブイ言わせた人なのですが,どうやら詩とかが好きらしいですね.一体これってどういうことなのでしょうか.

[/quote]

 この原因について同ブログでは,戦略というものはドライなものだから,精神的なバランスを心のどこかで求めてのことではないか,と推測している.

 まあ,厳密に統計を取った上での分析ではないが.


 【質問】
 世界の軍事評論家で,有名な人物って,誰かいますか?

 【回答】
 まず日本人でも知っている有名な人:

クレフェルト 最近,補給戦がめでたく復刊されました.イスラエルの人だったかな.
リデルハート イギリスの人.第二次世界大戦前後から著名.間接戦略という言葉を作った.
オハンロン ブルッキングス研究所というシンクタンクの人.新聞の解説記事に登場する.

 軍オタなら知っておくといいかも,な人:

クルラック : three blocks warを書いた人 米海兵隊の退役大将
Huba Wass de Czege : airland battle doctrineの構想者の一人 米陸軍准将
Dupuy active defenseの構想者の一人 TRADOC司令官だった.

軍事板

 アメリカの若手ではオハンロンがトップかも知れません.彼は防衛分析官というか,戦略学(strategic studies)をしっかりやった人ですねぇ.
 アメリカではやはりエリオット・コーエン,イギリスではローレンス・フリードマンということになるでしょうか.

(Kbk)


◆◆◆孫子


 【質問】
 『孫子』って何?

 【回答】
 中国春秋時代の呉に仕えた,孫武という人物が書いたとされる兵法書.

 兵法書の中では,古典中の古典.

 あまりにも大雑把といえば大雑把な内容ではある.
 それに断片的な記述がしてあるだけともいえる.

 しかし,こと戦略について,これ以上の知恵がつまっている本は,いまだあらわれていないともいえよう.

 ナポレオンが,読んでいなかったことを後悔して嘆いたことでも有名.

軍事板,2001/02/16(金)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 「孫子の兵法」は英訳では「art of War」だが,なぜ「Art」?

 【回答】
 奥山真司によれば,「術」という意味で「art」と呼ばれて,「科学」とはとは区別されているからだという.
では,なぜ区別されているのか?
 そもそも戦略自体,それを現場で実行している政治家や将軍/提督は,知識や経験で「直観的に」判断しているため,主観ベースであると考えられているから.
 もちろん戦略学専門の研究家は,戦略を科学的に分析しようとしているが,前述の現場の実行者たちには,よほどの時間的余裕がない限り,そこまで科学的に細かくデータを調べて判断するようなことがないという.
 詳しくは,奥山真司著『世界を変えたいなら一度「武器」を捨ててしまおう』(フォレスト出版,2012),p.84-85を参照されたし.

 まあ,「現場」には即決が求められるから,直観もやむを得ないのだろうが,しかし…

【ぐんじさんぎょう】,2015/04/05 20:00
を加筆改修


 【質問】
 孫子は色々な出版社から出ていますが,一番おすすめなのは,どこの出版社から出ているものですか?

 【回答】
 戦略論体系か講談社学術文庫がいいね.
 軍事初心者なら,知的生き方文庫の守屋洋訳は,実例もあるから分かりやすいと思う.
 中公は原文が無くて書き下し文と現代語訳.
 岩波は原文+書き下し文+現代語訳.
 内容に特に差は無かったとは思うが,訳文は中公のほうが好き.
 ただし中公のは,新しく発見された竹簡の孫子を参照していない,古いやつだって聞いたことがある.

軍事板,2009/09/03(木)
青文字:加筆改修部分

▼金谷治・訳注 『孫子』 岩波文庫
 新版が2000年に出た.
 旧版は,最近でてきた竹簡が反映されていない.
 神経質になることはないと思うが,買うなら新しい方がいいだろう.
 訳は忠実で,良いものだ.

浅野裕一・訳注 『孫子』 講談社文庫
 訳文には訳者の解釈(というより既に解説)が入っているが,原文,読み下し文がついているので心配することはない.
 その解釈も,著者の真意かどうかは別として面白い.

 上の二冊が一般的な選択だろう.
 もっと高額なものもある.
 だからといって内容が比例するわけではない.

その他歴史本
 孫子と銘打ったものでなくてよいなら,中国史の中での孫子という本,孫子の思想に触れたものはある.
 が,軍事的関心からのものは見当たらない.
 残念だ.

加地伸行・編 『孫子の世界』 中公文庫
 これも軍学というより,『孫子』という本の歴史を扱った論文集.
 唯一,浅野裕一「二人の孫子とその時代」に,一読の価値がある.

チープな解説本
 本屋の店頭で見つけると溜息が出る.

軍事板,2002/09/11
青文字:加筆改修部分

▼ 訳自体はどれもそんなに変わらないはず.

 一番おすすめは岩波.
 たぶん註が一番豊富.
 当然文献学の註だよ.
 ビジネス云々はない.

 一番おすすめしないのは,戦略論大系の孫子.
 あれは英語版からの重訳だから読みにくい.
 英文もついてるから,興味があるならどうぞ.

 異色なのは葦書房.
 仏語版からの重訳.
 読みにくいというわけではない.
 仏文が載ってないのが残念.

 注目は『孫子ちゃんの兵法』.
 早く読みたいけど,何故か後回しにしてしまう不思議.

 なお,70年代に見つかった竹簡のは,浅野祐一さんが書いた講談社学術文庫が,注で触れている.
 まぁ,個人的には岩波のが薄いし簡略だから好きだけど.講談社学術文庫のはちょっと煩雑というか.

軍事板,2010/10/31(日)
青文字:加筆改修部分

826 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 2009/09/03(木) 13:27:51 ID:???

 そのうちどっかが「萌える孫子」出すから,それまで待ちな.


827 名前: Lans ◆xHvvunznRc [sage] 投稿日: 2009/09/03(木) 13:35:15 ID:???

 他に「萌えるクラウゼヴィッツ」とか,「萌える戦略論体系」とか.
 そしてヴィッツたんとか孫たんとか論争するんですね.
 あと,リデルたんとトハたんが大喧嘩したりすりするんですね.
 わかります><


828 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 2009/09/03(木) 13:56:24 ID:???

 腐女子向けだったりして.


829 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 2009/09/03(木) 14:06:09 ID:???
>>827
 エンゲルスは出ますか?


830 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 2009/09/03(木) 14:08:51 ID:???

 孫子を祭る神社に,萌え絵札が鈴なりになる予感.
 同じことが東郷元帥で起きりゃ東郷神社が,乃木大将で起きりゃ乃木神社が,凄いことになるんだろうな.
 大村益次郎でおきりゃ,靖国神社がえらいことになりそうだ.
 で,大村益次郎が翻訳した外国の軍事理論書やら教練書が復刻されたりすると.めでたしめでたし.


831 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 2009/09/03(木) 15:52:52 ID:???
>>827
 マルクスや毛沢東も出るのか?


832 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 2009/09/03(木) 16:16:40 ID:???

 「まるくすタン」ってのはあったな,エロ小説で.


軍事板,2009/09/03(木)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 孫子は西洋的には,どのように解釈されているのか?

 【回答】
http://geopoli.exblog.jp/1225871/
によれば,西洋人というのはあくまでも徹底的に分解して分析しないと気がすまない性質の人たちが多いので,自然に孫子も細かく分解して教えられることになるという.

 たとえば,中国の書物一般については
@歴史の感覚
Aあまりものごとをハッキリさせない
B歴史の連続性がある
という特徴があり,この三つが孫子の「兵法」に入っているために,注意して読むようにと言われるという.
 また,現在のような「非対称」の紛争(ゲリラ・テロなど)が起こりやすい世界の情勢では,孫子のいう「心理戦」という部分が極めて重要になってくるという.
 その他にも,中国では敵がもたらす害というのは世の中の調和(ハーモニー)を乱すものだ,という感覚があり,これを調和させるために「限定」戦争をする,というアイディアが多く見られると解されている.

 詳しくは同ブログを参照されたし.


 【質問】
 孫子の考え方が西洋と異なる点は?

 【回答】
http://geopoli.exblog.jp/1225871/
によれば,孫子においての戦争は,すべて「限定戦争」(limited)戦争であり,西洋の思想とは違い,むしろ「戦うな,武力行使は最終手段だ」としているという.
 たとえば,戦いで勝ち続けることは西洋では尊ばれますが,東洋ではまったくそれが逆であり,むしろ戦わなかったほうが皇帝になれる,と書いてある中国の戦略書もある,とのこと.
 ようするに,百戦連勝より,むしろ決定的な負けをしないということのほうが重要だと考えているのだという.

 詳しくは同ブログを参照されたし.

 戦勝はしたものの,国力を消耗してボロボロになった国家の例が,歴史上多いことを考えると,孫子のほうが真理といえるかもしれない.


 【質問】
 孫子は古代人だから,RMAとかJDAMとか知らないよね?

 【回答】
情報 百斤を惜しんで敵の情をしらずは不仁の至りなり
指揮 銅鑼の音
行動速度の向上 〜兵は拙速を尊ぶ 〜侵略すること火の如し
敵組織の破砕  〜上計は謀を撃つ,次は交を断つ,次は戦う,城を攻めるは下策なり
             能ありといえども不能を示し〜逸にしてこれを労し,その不意に出でて不意に出ずる

十分RMAだよ.

軍事板,2010/01/13(水)
青文字:加筆改修部分

 RMAの根本である,情報,指揮,行動速度の向上および,敵組織の破砕という部分ですが,その萌芽というか方向性は古代から見え隠れしてたりして(笑)
 JDAMなどは兵器の違いでしかないし,考え方や戦理を変える程のものじゃないし.

……と朝からマジレス(笑)

 JDAMによるピンポイント爆撃にしたって

目標(指揮重心)の補足確認
 JDAM→衛星,J-STARS,SOF
 古代 →間者,スパイ

目標(指揮重心)の破砕
 JDAM→高空からの爆撃
 古代 →暗殺者

……とまあ,手法は違えど,

・指揮重心を発見補足し,それを破砕する

 結局やるこた同じなわけで(笑)

 ローマの編制や指揮手法などは,部隊編成による指揮・行動速度の上昇の走りとも見てとれます.
(編成単位の明確化や,ユニットの均整化,小型化による柔軟な指揮統制の概念も含む)
 その時代だけ見ていると,見過ごしそうな事も,時代をまたいで変遷や経過を見ると,結局,今も昔も考え方は変わらないなぁ……と思うことしきり・・・

 WW1の4単位師団→3単位師団のへの移行も,作戦単位を増やす事での,作戦面への柔軟性を増やす意図がありましたし,旧ソ連型編成が西側にくらべ小型なのも,迅速な展開を意図した部分が非常に大きいわけでして…
 現在の西側に見られる,RMA化による作戦単位の旅団化も同じ……と,あくまでも編成オタ方面から書いてみたりするテスト.

Lans ◆xHvvunznRc in 軍事板,2010/01/13(水)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 『新・戦争のテクノロジー』(河出書房新社,1992.7)の著者,ジェイムズ・F・ダニガンってどうよ?

 【否定的見解】
 この本もこの人も日本では過大評価.
 本国では,
「大衆向けにまあまあのこと書いてるね.それから奇を衒い過ぎ」
って感じの評価です.
 私の印象もそれに近いです.
 とにかく分析とかが浅い.
 付け足すと,このひと(ダニガン)の本はやたら多いんですが,
「退屈」
「新発見なし」
「資料の検証が甘く間違いが多い」
という共通点があります.

軍事板

▼ 【肯定的見解】
 広く一般に紹介する力量,エピソードを拾って全体像に纏め上げる構成などは素晴らしいと思います.
 今でも現役でstrategy pageで活躍しています.
 ダニガン本は陸海空を網羅し,少なくとも本筋に関する限りで大きく間違った場所がないってのが個人的な考え です.

 個々の内容について,たとえばDPICMを戦争のテクノロジーで称賛していましたが,今振り返ると些か過剰だったかもと思います.

 信頼度とかアメリカでの扱いについては,これまた詳しくないですが,一つの目安は議会証言などで登場するか,或いは戦争の戦略指針見直しで発言するかとか,軍の機関紙や外交評論誌などに登場するかなどではないかと思います.

 活動範囲を元々ゲームやコンシューマー向けに絞っているきらいがあるゆえ,見解についてどうのということは特にいえないでしょう.

 細部について言えば,
「AK47がドイツのStg43を基に造られた」
とか書いてあって,あれれ?って思った記憶があります.
 カラシニコフ翁の自伝ではM1ガーランドを参考にしたって書いてありましたから.
 ただこれは,長い間,「Stg43を基に造られた」と言われ続けていたとですよ.

 他に,74式戦車の記述にも違和感のある部分がありました.

 しかし
仮に74式などの記述がおかしいとしても,本の本質(現代正規戦の解説)に影響はありませんし,国内で手に入るものとしてあれ以上のものはそうそうありません.
「どこか間違っているのを見つけると,全体が間違っているのではと疑ってしまう」
というのも,確かに一理あります.
 しかしどんな専門家として神ではありません.
 細部に言及すればするほど,地雷を踏む可能性は増えます.
「一箇所間違ってるから全体が怪しい」
なんて言い出すと,せっかくの良書をみすみす遠ざける結果になるのでは?と愚考いたします.

 あと自分の手元にある資料を絶対視して,それと異なる事実の表記を「誤記・誤認」と断定するのも ,第三者から見れば問題ありです.
 「××によると…」と出典明記しての反論なら有益です.
 つまり数集めて読みこめ,ということですな,結局は.
 そうすりゃその間違いが神浦的なスカポンタンなのか,「エヴァも筆の誤り」なのか分かるだろうと.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 いくつかの掲示板で,
ジョセフ・ナイ著「対日超党派報告書」
というタイトルのコピペを読んだのですが,
 内容は,アメリカのエネルギー利権のために,日本と中国を戦争させるって内容でしたが,信憑性はあるとでしょうか?

 【回答】
 信ぴょう性は全くナイな.
 ナイは日米安保重視,台湾独立反対(名より実をとるべきという立場)

 こんなものがあるのでちょっと目を通してみてくれ.
 PDFなのでグーグルのhtml版のリンク.

 この2ページ目には,こう書かれている.

――――――
Nye:
No.
It is important to keep a strong U.S.-Japan defense relationship as a hedge against a China that potentially could become aggressive. But this should be combined with an approach that welcomes China and encourages it to become a “responsible stakeholder,”

ナイ:
いいえ.
中国がこの先aggressiveになるかもしれないことを考えると,その防衛策として日米の安全保障関係を強化しつづけるのは重要なことです.
 でもそれは,中国を国際的な利害関係の枠組みに引き寄せて,その中で責任をはたしてくれるよう働きかけていく,そういうアプローチと併せてやっていかなくてはなりません.
――――――

 ナイの対アジア政策のコンセプトはこんな感じ.

「戦争屋ナイが日本と中国を戦わせようとしている!!!!!11!!!」
って話は,オルタナンや阿修羅掲示板で流通してる話みたいだな.
 中国と共闘してアメリカと戦おうとかなんとか.

――――――
http://www.asyura2.com/08/idletalk34/msg/1057.html

 理由は日中戦争を画策しているからで充分でしょう.
 これを日中人民の共同の闘争として行うのです.
 日本で働いている中国人と共闘するのです.
 まずは第一段階として小沢一郎に,ジョセフ・ナイ氏の駐日大使罷免をオバマに要求するように言いましょう.

> 一時の摩擦は大きいだろうが,それを乗り越えてでも,日米安保の廃棄に向けて
>動き出した方が良いかもしれない.

 まずはジョセフ・ナイの罷免要求からでしょう.
「戦争屋を日本に寄こすな!」
という要求です.
――――――

 あいつらは本当にバカだな・・・



 【質問】
 なんで「アグレッシブ」をそのままにする?????????

「攻撃的」
「威圧的」
でいいだろ?

 【回答】
 変なとこに突っ込むんだな・・・
 「攻撃的」「威圧的」じゃ意味通じねーだろうが.

 「agglessive」は,質問の"China's military buildup"をうけてんだ.
 面倒だったのでそのまま書いた.
「アジアで中国が軍事力の拡大に積極的になる」
って読み替えてくれ.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 サミュエル・ハンチントン「文明の衝突」の問題点は?

 【回答】
 彼の理論は,バランス・オブ・パワーの論理を8つの文明にわけ,その相違からくる紛争要因を分析しているが,各文明における「内なる対立」を軽視しすぎている.
 ハンチントンは,紛争の要因としての文化に着目しているが,トインビーのやや恣意的な文明の分類を援用したため,ハンチントンの議論は単純化しすぎたものとなった.

 ナイ教授は以下のように分析している.

-------------------------------------------------------------------------
 第7章でみたように,文化は平均的でも静的でもなく,重複し流動的なものである.
 ハンティントンの世界地図が示す大「文明」間よりも,「文明」の内側(たとえば,アフリカやイスラム内部)で,より多くの紛争が発生してきた.
 オサマ・ビン・ラディンによるテロ攻撃と西洋に対するイスラムの聖戦の呼びかけは,ハンティントンの議論が正しかったことを証明するものだ,と見る向きもあるが,2001年9月11日以降の出来事を過激な原理主義者と穏健派によるイスラム内での内戦とみなすことも十分可能である.
 多くの穏健なイスラム教徒は,オサマ・ビン・ラディンよりも,穏健なキリスト教徒やユダヤ教徒と,より多くの共通点を有している.
-------------------------------------------------------------------------

 「文明の衝突」の問題は,「内なる対立」を軽視しすぎると言うことか.
 私も「文明の衝突」は読みました,
 確かに各文明の分析や衝突要因などには見るべきところも多いものの,冷戦崩壊後,多くの紛争は「内戦型」なので,「文明間の衝突」だけでは紛争要因を説明できないと思う.

 詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第9章を参照されたし.

ますたーあじあ in mixi


 【質問】
 サミュエル・ハンチントン,フランシス・フクヤマ双方に共通する問題点は?

 【回答】
 「冷戦後」の世界を,一つのパターンに押し込めようとしているところ.

 冷戦後の世界は,むしろ冷戦前よりも複雑化しており,多様な文化,多様な経済的な近代化のパターンが存在する.

 これについて,ナイ教授は以下のような見解を示している.

-------------------------------------------------------------------------
 フクヤマの賛美する自由主義的資本主義や民主主義的平和は,ほとんどの脱工業化社会にうまく該当する.
 前工業化段階の国々と工業化段階の国々との関係では,リアリズムの説明能力の方が高い.
 文化的対立に焦点を当てたハンティントンの議論は,前工業化段階の世界と他の世界のとの関係では,より説得力をもっているのである.
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 やはり,最大の問題点は「一つの型」にすべてのパワーを押し込めようとしたところだろう.

 詳しくは,ジョゼフ・S・ナイ教授『国際紛争』(有斐閣,2005.4),第9章を参照されたし.

ますたーあじあ in mixi


 【質問】
 リデル=ハートってだれでつか?

 【回答】
 ベイジル・ヘンリー・リデル=ハート Basil Henry Liddell-Hart 1895〜1970

 スコットランド系の牧師の子としてパリで生まれ,ケンブリッジ大で歴史学を専攻.
 在学中の1914年,第一次世界大戦勃発と同時に陸軍に志願.
 負傷して英本国に帰還後,軍事研究/評論活動に入る.
 1927年,大尉で退役後は,「デーリー・テレグラフ」後に「ザ・タイムズ」の軍事記者として活躍.

 20世紀を代表する戦略思想家として知られており,ドイツの電撃戦に代表される近代機械化戦争理論の開拓者である.
 また,代表的著書である『戦略論−間接的アプローチ』において述べられた「間接アプローチ戦略」 は,今日にいたるも評価が高い.

名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE :軍事板,2005/07/21(木)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 俺は石津朋之さんの『リデルハートとリベラルな戦争観』を読んで,勝者と敗者の共同作業――そうか戦争はいくら圧倒的に勝っていても相手が妥協してくれないと大変なのかとか.色々面白いなーと思ったんだけど,あれはどんな感じ?
 自分は軍事系は初心者なのでいいとは思ったんだけど,それであれはいい本と言うには修練を積んでないので.

 【回答】
 リデルハートの理論や思想や性格を理解する上では非常に良い本.
 ただし,ある程度の基礎知識が必要になるから,初心者向けというにはやや厳しい.
 リデルハート系戦略思想そのものの是非については,「場合による」としか言い様がない.
 個人的には,机上の空論的な所が多分にあるように思うが.

軍事板,2010/03/14(日)
青文字:加筆改修部分


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