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FM翻訳プロジェクト

朝目新聞」●可憐な殺戮者  (of 夢美坂)
>戦闘関連のマニアックな蘊蓄が入る場面も多し.

朝目新聞」:●先生「はーいそれじゃ一個小隊つくってー」  (of SLPY)

基礎講座 no.1 ミリタリーシンボルの解説

「ワレYouTube発見セリ」:RUSSIA vs USA - Battle of the Special Forces

 【book】

『Scout Out』

 騎兵,偵察部隊の今後について論ずるもの.
 戦史で先例を探して跡づけて,結論に援用するスタイルは,CSIの他の小論と共通.
 騎兵と歩兵の各階梯での機動力にほぼ差異が無くなったことが,偵察兵科の先の見通しが混乱している原因と見ているように思われる.

――――――軍事板

『機甲戦の理論と歴史』(葛原和三著,芙蓉書房出版,2009.6)

 あとがきで著者が書いていることが極めて重要と思うので,まず紹介します.

<日本陸軍はドイツの用兵思想を基礎とした西洋兵学を受容したが,「主義」としての確立はあったものの「理論」としての評価,批判,改革において限界があったと思われる.
 この原因については,「学術」のうち「学」よりも「術」の修練に熱心で,その背景となる歴史や思想史を含めた戦史研究が,不十分であったからではないだろうか.
 では,諸外国の軍事思想を受容するにあたって,なぜ,日本は「理論」的思考が少ないか,と言えば,運用者自身が,「理論」に基いた思想を持たなかったことにあったといえる.
 このことは旧軍だけではなく,警察予備隊から発足し,米軍の理論を受容した自衛隊にとっても,いえることであろう.
 よって思想や理論の研究は,一般の大学や学会での学問的な研究と,軍としての組織的学習の両者の交流によって,総合的に築かれていくべきものであるべきである.
 なぜこのように,歴史研究の取組が不十分な理由はといえば,それは我が国が最も歴史に恵まれてきたがゆえともいえる.
 なぜなら,日本人が民族的な単一性,同一性によって理論を不要とする歴史的な風土によって成り立ってきたことにも改めて気づかされるのである.(後略)>

 主力戦車同士の激突というスタイルが起こる可能性は遠のいた.
 しかし,人間社会が存在する限り,軍事は残り,陸戦も永遠に残りつづける.
 今必要な新しい陸戦理論を編み出すために必要な要素,エッセンスは何か?
……という問題意識から,機甲戦理論の歴史とその発展についてまとめたのが,この本です.

 ちなみに監修者である,戦略研究学会常任理事の川村康之さんは
<機甲戦理論は,現代では陸上戦理論と同義語ともいうことができ・・・>
とかかれています.
 著者には,
21世紀の用兵の核となる「統合軍」の中核として即応しうる
「機動展開グループ」のための新たな理論形成に資する
目的もあると推察します.

 〔略〕

■本著のベネフィット

 「理論形成に資する素材の提供」というべき内容の本です.
 ですから理論がかかれているものではありません.
 過去の理論がどういう経緯を経て形成されてきたのか?,という点がテーマで,機甲戦の歴史から養分を吸収できる有機的な機甲啓蒙書となっています.
 最大のベネフィットは,軍人である著者の戦史評価・批判がついていることだと思います.
 だから信頼でき,だから時間をかけることなく陸戦理論のエッセンスを吸収しやすいです.

 「各国軍のドクトリン(教義)」が紹介されている点も重要と考えます.
 ドクトリンは戦史から有機的につむぎ出された教訓を通じて,生気を発するものです.

 著者は本著で機甲戦理論の構築には至りませんでしたが,それに資する貴重な資料を提供してくれたと考えます.
 出来れば次回作で,現代日本の機甲理論を打ち出していただきたいですが,宿題は,次代のわが軍人さんと研究者に委ねられたといえましょう.

 別の面から見れば本著は,「軍事の近代化」を解説した本ともいえます.
 現在が,歴史的な世界的な軍近代化の真只中にあることを改めて感じさせてくれる本です.

 文章も読みやすいです.
 絵や写真もたくさん載ってますし,圧迫感を感じません.
 総ページ数は178ページです.

■概略と印象
 第1章では古代の戦史から機甲戦にいたる戦史を紐解く中で,その根底に流れている「機動戦の思想」をくみ上げ,「優勝劣敗の定理」からみて「勝者の何が敵に優越したか?」を解説しています.
 古代ギリシャから現在にいたるまでの機甲戦史を概観し,軍事専門家としての評価と批判を行っています.

 読み進める中で感じた利点は,戦史で読むべきポイントを抽出してまとめてくれていることです.
 把握するべきポイントを絞りぬき,その本質,理由が丁寧に記されています.
 非常に分かりやすいです.

 「機動戦序説」では,「用兵思想」「ドクトリン」「機動」「機動戦の戦い方」等に関する詳細な解説がなされています.
 これまでいろいろの書を見てきましたが,ここまで陸戦用語を本格的に分かりやすく解説したものはないと思います.
 個人的には,この部分を読むだけで,求める価値があると考えます.
 陸戦の本質は機動である,ということが良く分かりますね.

 第2章からは,第二次大戦で機甲理論の対決を行なったドイツとソ連をはじめとする,近現代の各国機甲戦史がはじまります.
 ちなみに,第二次大戦で機動戦を復活させ,勝敗を決したのは独自の機甲戦理論をもったドイツとソ連でした.

 各国がどういう経緯を経てどういう戦訓を抽出し,それを次の時代にどう活かしたか?がコンパクトではあるが要領よくまとめられています.

 個人的に興味深かったのはソ連赤軍の「縦深戦略理論」形成の過程です.
 1918年に諸国の包囲下で誕生した赤軍が内戦を通じて学んだのが,「内線作戦における機動の価値」でした.
 これが縦深戦略理論にまとまってゆく過程は,非常に興味深いです.

 「5ドイツ軍と赤軍の機甲戦理論の相違」では,「力学的な原理による相違」「作戦における指揮の相違」「機動の方式による相違」という,3つの側面から両軍の理論を評価・批判しています.

 イギリスとフランスも取り上げられています.
 イギリスでは「戦車が機動の主役.歩兵は補助者」という考えです.

 フランスの項では,普仏戦争敗北後,攻勢主義をプロイセンから学んだフランス軍が,攻勢を絶対化してゆくなかで,
<戦術が精神主義に向かって以来,軍人の思考は,抽象のまた上の抽象へと向かいだした.
 実戦から遊離した教義が,非現実的なドクトリンへと変貌し始めた>(P80)
と,精神主義の度合がますますひどくなっていったことが記されています.
 しかし第一次大戦で,過度の攻勢主義により未曾有の出血を出した仏軍は,その後一転して火力の信奉者となります.
 フランスでは,歩兵が機動の主役.戦車はその補助という考えです.
 帝国陸軍はフランスから戦車を輸入しており,運用思想はフランスのそれが自然に入ってきたと考えるべき,と著者は指摘します.

 英仏機甲戦史で欠かせない軍人であるイギリスのフラーとリデルハート,フランスのド・ゴールがいずれも,自国の国防政策に焦燥の念を持っていたというのも,なんとも奇妙な一致です.
 ドイツ軍近代化の本質が,「新たな機甲戦理論」にあることを,彼らが見抜いていたためでしょうか.
 本著でも取り上げられていますが,ド・ゴールは著書『職業軍の建設を』(1933)のなかで,数年後のドイツ軍の電撃作戦を絵に書いたように予言しています.
 近代化にのり遅れていた米軍は第一次大戦に参戦し,貴重な教訓を得ます.
 それをきっかけに騎兵部隊から機械化部隊への近代化に着手しますが,
 その後20年ほど経った1938年時点でも馬は残ってたそうです.

 どの国の軍でも,新しい動きの歯車が動き出すには長時間かかるという教訓ですね.

 第3章はわが陸軍の機甲史です.
 わが国でも米同様第一次大戦の分析結果を通じ,大正八年に騎兵廃止論がでました.
 しかしこの論議は,騎兵局長の抗議の割腹で幕を下ろしてしまいます.

 しかしその後も調査研究は続き,宇垣軍縮によってはじめて帝国陸軍は近代化をスタートさせたと著者は言います.
 軍からひどく憎まれた宇垣軍縮の目的が,第一次大戦で明らかになった軍事近代化にわが軍が対応するためのものであったことが理解できます.

 著者はこれに関連して,教義の硬直化,教条化についてこう述べています.
<本来保守的である軍人の教範に対する批判を,将来にわたり戒めたことは,じ後の改善の芽を摘み,制定した条文を無誤謬化することになった.
 このようにして既成の条文に依拠し,戦闘者としての現実感を失っていったといえる.
 これは第一次大戦における機械化や機動力についての現実認識が希薄であったことに要因があったものと考えられる.>

 帝国陸軍が主敵として認識していた赤軍近代化の実態を,うまく認識できなかった理由としては,次の3点を挙げています.
・軍指導者が日露戦争と第一次大戦を通じた帝政ロシア軍の印象を拭えなかった
・赤軍をロシア軍と同一視し「民族的特性は不変」と評価していた
・革命後の赤軍は粛正により,将校の質が大幅に低下していたことが,実態把握を困難にしていた

 帝国陸軍では機械化への動きが続きますが,けっきょく各兵科の装備奪い合いという結果に終わり,装甲兵団創設にはつながりませんでした.

 その後,満州事変をきっかけに陸軍は軍備近代化に本格的にかかります.
 それなのに,シナ事変を契機に機械化は遅延してしまいます.
 陸軍がシナとの戦を「長期消耗戦になるのは必至」と,当初から反対していたのはこのためなんですね.

 そして起こったのがノモンハン事変です.
 国家指導部の誤りにより,シナでの戦争に足をとられてしまった陸軍は,シナ本土でシナ軍を相手にするレベルの装備でよしとし,もはや改革への切迫感を失っていました.

 そのあとは,昭和15年に行なわれた騎兵トップ吉田中将の意見具申と,昭和16年の機甲本部設立,戦車連隊編成など読み応えある歴史が続きます.

 著者は帝国陸軍の機械化が遅れた要因として,
・敵はシナ軍,大陸の地形は自動車化に適さないなどという,あまりにも現状
を基準とした認識にこだわり,将来生起する蓋然性に対応できなかった
・戦車は誰のもので誰が使うかという組織上の主体性がないため,運用者が自らの軍事思想に基いた運用理論を持たなかった
としています.

 第4章は現代の機甲戦について記された章です.
 ソ連赤軍(ロシアも引き継いでいると見られる),米陸軍,西ドイツ陸軍,イスラエル陸軍,わが陸自のそれが紹介されています.

 著者は現代の戦争を,情報が決定的役割を果たす「情報戦」と捉えます.
 平時有事問わない「情報の確度の優越」をめぐる戦いが続いているということです.
 ここでキモとなるのが「情報通信能力」で,機動戦では,あらゆる部隊レベルで情報通信能力の進化が求められている,と著者は主張します.
 イスラエルの中東機甲戦史,湾岸戦争,イラク戦争の機甲戦史も面白いですが,ここでつかんで欲しいのは「トランスフォーメーション」という言葉で知られる「軍再編」の本質が,本著全体を通じて流れている「軍事の近代化への対応」そのものだという点です.
 いまのそれは内燃機関ではなくIT技術でしょう.
 当然,国家としての情報保全への取組も重要となります.

 本章で取り上げられているのは最近の歴史なので,現在が軍事の世界にとって歴史的転換点の真っ只中だということが,頭に入りやすいと思います.

■オススメします

 最初に書いたとおり,本著は機甲戦理論構築に資する素材を有機的に提供するものです.
 その意味で,軍人さんや専門研究者にとって最も有益な資料といえましょう.

 しかし,陸戦のなんたるか,軍事近代化のなんたるかを本著を通じて知っておくことは,それだけでも,わが軍事力整備にあたって必要なことばをつむぎだす根源になること,国防を考える際の視野の広さを保つことにつながります.

 いってみれば一生ものの廃れることのない資産です.

 あわせて重要なのは,戦史・軍事史理解は真の歴史理解につながるということです.
 普通の国では戦史や軍事史こそが歴史です.

 本著の帝国陸軍に関連するところだけ拾い読みしても,大東亜戦争前後の真実と,戦後日本の歪んだ歴史観の相違点をお感じになることでしょう.

 機甲戦理論が発展してきた道すじを,有機的に分かりやすく解説した本著.
 ぜひご高覧下さい.
 オススメです.

 追伸
 時代に伴う任務の多様化と,軍事力構成・軍事戦略との間には,基本的に関係はないと感じます.
 古来から続く伝統的な武装と用兵理論は,今後も永遠に進化を続け,なくなることはないでしょう.

――――――おきらく軍事研究会

 大きく概観した書籍ですが,第1章2「機甲戦序説」1~4は機甲戦術を理解するに必須項目を上手く纏めているので,非常に良いです.
 ちなみに葛原先生はボードSLG好きの一面があるのは秘密です.

――――――Lans ◆xHvvunznRc in 軍事板,2009/07/05(日)

『機甲戦の理論と歴史』(書評) < 「FSM」

 【質問】
 現代戦,銃,白兵戦についてそれぞれ詳しく書いてある本ありますかね?
 それ一点だけに絞っているような内容の濃いやつあったらお願いします.
 読んだ本はクリス・マクナブの『最新コンバットマニュアル』(原書房,2008.5)ぐらいで,いつもはネットで情報漁っているんですけど,自分の収集能力じゃ少し限界が・・・・・・

 【回答】
 これ一冊読めばOK,なんて都合のいい本は無い.
 現代戦の戦術面なら河津幸英が割と良かった.

軍事板
青文字:加筆改修部分

 現代陸戦の戦術面ならば,
 基礎には上田信著『コンバットバイブル』1~2(日本出版社,3~4は特殊部隊やエージェント編)と松村さんの『戦術と指揮』(PHP文庫,2006.3)
 それと原書房の『米陸軍戦闘マニュアル』(無印と2の2冊)が米FMの抄訳です.
 あと,『コンバットスキルズ』1~3(HJ)が各国教本の抄訳.
 ソ連式なら『ソ連地上軍』(デービッド・C・イズビー著,原書房,1987.1)
 副読本に『ザ・ソ連軍』正・続(スヴォーロフ著,原書房,1983.10)

 米ソの概要把握には,『歴史群像アーカイブス3 現代戦術への道』(学研,2008.6)も吉.

 中東戦争なら
『図解中東戦争』(ハイム・ヘルツォーグ著,原書房,1990.12)
『イスラエル地上軍』(ダビッド・エシェル著,原書房,1991.5)
『ゴランの激戦 第四次中東戦争』(高井三郎著,原書房,1982.5)
『シナイ正面の戦い 第四次中東戦争』(高井三郎著,原書房,1981.7)
『砂漠の戦車戦』上下(アブラハム・アダン著,原書房,1991.2)

 湾岸なら
『熱砂の進軍』(トム・クランシー著,原書房,1998.12)
『砂漠の嵐作戦』(F N. シューベルト他編,東洋書林,1998.10)
 河津さんの
『湾岸戦争データファイル』(アリアドネ企画,2001.5)
『図説イラク戦争とアメリカ占領軍』(アリアドネ企画,2005.7)
『図説アメリカ軍対テロ戦争部隊の戦い』(アリアドネ企画,2004.9)

 あとは「野外令」や「戦術との出会い」あたりをばんばって探してみてみると良いかもしれません.

Lans ◆xHvvunznRc in 軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 どうして教官は必要以上に口が悪いの?

 【回答】
 「フルメタルジャケット」とかのアレなら,新兵となる人間の「一般的社会常識を破壊する」ため.

 アメリカ軍は第2次世界大戦/朝鮮戦争の分析から,
「市民としての常識や良識が残っている人間は優秀な兵士になれない」
事を発見した.
 「市民としての常識」が残っていると,例え「敵」であっても撃ち殺すことが出来ないし,戦場の苛酷な環境であっという間に心を病んで,廃人になってしまう.

 それでは困るので,「一般社会では異常とされる状況がむしろ日常である」状況で24時間生活させて,「市民としての常識」を解消させておく.
 そうすれば,「良識」が邪魔して無意識に人が殺せなくなる事も,人間同士が平然と殺し合ってる環境に耐えられなくなくなることもないだろう,と考えられ,実際それはかなりの成功を収めた.

 その替わり,一旦そういった訓練を受けた兵士達は,今度は退役しても一般社会に復帰する事が困難になってしまったし,「同じ人間を殺す事をためらわない」人間は,ちょっとしたトラブルでも平然と「仲間」を殺す様になってしまった.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 「フルメタル・ジャケット」や「愛と青春の旅立ち」を見ていて気になったのですが,これらの映画に出てくるような先任軍曹の教官は,どのような過程を経て養成されるのでしょうか?
 あの独特の口調も,何かの過程で訓練されるのでしょうか?

 【回答】
 各部隊で勤務している下士官の中から,有能な者をピックアップして訓練教官に充てています.
 下士官そのものは兵隊が経験値積んでレベルアップしたってことです.無能な兵隊は下士官になる前に退役します.
 あの独特な口調その他教育のテクニックは,マニュアル化されたもの,口伝で代々の教官に引き継がれていくものなどがあります.
 口調なんかは,聞き取りやすく,インパクトがあるということで,あのあたりに落ち着いているのでしょう.

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 【質問】
 兵卒であれば銃を撃てるだけでいい,というのはどうなのでしょうか?
 話をした人が言うには,
「下士官が付けば,銃を扱える程度の練度でも十分である」ということでした.「指示に従い,銃を撃てればいい」,と.

 【回答】
 それだと下士官の声が届く範囲でしか戦えない.
 近世まではそれが通用して,声が届くように密集した陣形で戦っていた.
 しかし現代では,機関銃や砲撃でなぎ倒されるだけなので,散開して戦えるだけの判断力が欲しい.

 まあ,戦争というものは思い通りに行かないもので,数週間から数か月の短期育成で戦場に投入されることは,普通にあること.
 でも,補給物資及び人命の無駄遣いなので出来るだけ避ける.
 あまりに予備自衛官が少なすぎて,一般人を10日~1ヶ月で予備役にする日本と言う国もあるが(笑)
(よく広報活動の一環と言われるが,それは目的の一つにすぎない.
 現役出身だろうが公募だろうが,数字の上では予備役に違いないから多少の抑止力になるし,有事の際に部隊を補助し,訓練機関を短縮できる)

モッティ ◆I3HMmYDdlE in 軍事板
青文字:加筆改修部分

撃つだけなら誰でもできる
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 敵を撃ったら敵も撃ち返してくるので撃ちにくいと思うんですけど,軍隊の練習ではそういう状況はどうやって再現するんですか?

 【回答】
 一例だが,判定官というのが見ていて,
「機銃に撃たれたら確実にアウトな身の晒し方」
をしていた迂闊な奴に死亡判定を与える,というのもある.

 最近は銃にレーザー等を出す送信機と,兵士側の体にその受信機を付けて,それで発砲時の命中判定をする(相手側のレーザーを受信すると撃たれた事になる)といった機材を使って演習している事もある.

 あとは,野外演習ではあまりやらないが,電動ガンのBB弾等で再現っていうのもある.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 兵隊さんというのはどんなに訓練されても,やはり女性や幼い子供が相手だと攻撃をためらってしまうのですか?

 【回答】
 ちくま学芸文庫『戦争における「人殺し」の心理学』(デーヴ・グロスマン著,2004.5)を読んでみるとよろし.

 ほとんどの人間は,相手が子供だろうがムサいオサーンだろうが人種差別対象者だろうが,「殺人」に対して先天的に激しい抵抗感を持つ.
 ある程度,躊躇せずに発砲するための訓練を受けるが,それでも相手が人だとためらう場合も多いし,精神的ショックやPTSDは緩和されない.

 ちなみに,米でこの手の訓練が導入されたのはWW2後のことであり,WW2では敵兵士が実際に目で見える距離での発砲率は20%を切っていた.
 ベトナム戦争では90%に上昇.

軍事板,2005/11/19(土)
青文字:加筆改修部分

「躊躇せずに発砲できました」
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 チェチェンとかユーゴのような,そういう「敵を殺すのに躊躇いがない」状況では,現代の軍事訓練(条件付け)できてなくてもしっかり撃てるのかね?

 【回答】
 ボスニア・コソヴォの場合宗教が違うし,チェチェンに至っては民族も違うからな.

 例の『戦争における「人殺し」の心理学』は,基本的にはアメリカ軍兵士の戦闘における行動が,主張の根拠たりうる考察の対象だった様に記憶してるが,同じ「多民族国家」とはいえ,旧ソ連やユーゴの様に,民族分布が地理的にも歴史的にもある程度はっきり分かれてる国と異なり,アメリカの場合,諸民族は半ば人為的に「シャッフル」され,更に英語やアメリカ的価値観その他により文化的にも均質化されてるので,「人種」レベルでの対立に比べ,文化や宗教を巡る対立は比較的少ない.
 だから「旧世界」特有とも言える,民族対立への考察は薄いままで終わったんだろう.

軍事板,2009/06/03(水)
青文字:加筆改修部分

▼ 人を撃たない人,がどの程度の比率いるのか,ってのは大元の本(大元の説)の信憑性と合わせて,正確なところは分からないけど(分かりようがないだろう),「できない人」は決して少数派ではない,というのは確かみたいよ.

 で,全員が「空に向けて撃つ」わけではなく,
「敵の方」には向けて撃ってるけど絶対当たらない方に撃ってる(意図的に狙い外して撃ってる)」
「積極的に戦闘する以外の行動を率先して取る」(弾薬取りにいくとか負傷者救護するとか)
といった形で「人を狙って撃つ」という行為を回避する」兵士はみんなが考えるより多い,ってのは大元の本にも書かれてる.

 そういう「敵を撃たない人」なら,そう不思議でもないのでは.

 あと,
>「積極的に戦闘する以外の行動を率先して取る」(弾薬取りにいくとか負傷者救護するとか)
っていう行動は,
「人間を人間と分かって撃つ(殺す)のは絶対に嫌だけど,でも戦えない臆病者と言われたくない」
人がとりがちで,むしろ自分や味方にとって危険な行為をしてしまう(ガンガン弾が飛び交う中に飛び出していって助かりそうもない重傷者を担いでこようとしたり,「もう弾がねぇ!」と誰かが叫ぶと隠れてるとこから飛び出して弾を届けようとしたりする.
(結果的に本人も死ぬし,「隠れていたとこ」に敵の銃撃が集中するので,飛び出した本人以外にも危険が及ぶ)
 本人にも他の人にも危険で,全体としては部隊のためにならない,ということになるらしい.

 あと「危険を顧みず行動した英雄」として表彰される人は実は,こういう「人を撃つ(殺す)よりはマシなのでもっと危険なことをした」結果であることが多く,あとで英雄扱いされたこと(周囲の評価)と自分の内心(「兵士の義務」からの逃亡行為だったのに…)のギャップが,その後の精神疾患や各種の依存症,PTSDといったものの元凶になる,って研究結果もある.

 研究としての正確性や信憑性はともかく,ある程度真実ではありそうだ.▲

軍事板,2018/04/01(日)
"5 csatornás" katonai BBS, 2018/04/01(vasárnap)

青文字:加筆改修部分
Kék karakter: retusált vagy átalakított rész

(『チャーリーとチョコレート工場』より引用)


 【質問】
 先進国の陸軍では,兵,下士官,士官比率はどういうのが理想なの?
 陸軍20万人と仮定して表してくれたら嬉しいです.

 【回答】
 国ごとに師団の編成とかが違うため,誤差が出るのでそれも何とも.

 大雑把に言うなら小隊は4~5個分隊,30~40名からなり,仮に分隊長を勤めるのが曹(下士官)だけで,あとは士(兵卒)とした場合,小隊長(尉官),補佐の先任陸曹,下士官4~5名,残り兵卒って事になる.
 そこから中隊・大隊~って計算していけばいい.

 でも,分隊長以外の兵士も全員曹って部隊も別に珍しくもおかしくも無い.
 ぶっちゃけ,士官の数が異様に多くて役職ポストにあぶれているとか,下士官や兵卒が全然足りてないなんて極端な事態でもなければ,あとは人事調整で結構どうとでもなる.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 今,世界で主流になっている参謀本部の制度って,よく分からないんですが….
 要するに,軍事に関してど素人の文民政府に対して,軍事のプロが戦術を助言するための機関ですか?
 でも,戦場で指揮をとっている師団長は,参謀とはいいませんよね?
 では,誰が師団長等の人事を握っているんでしょうか?
 ちょっと困惑しています….

 【回答】
 参謀とは簡単にいって,組織の指揮管理と作戦立案を分業する制度で,近代ではドイツのプロイセンではじまった.
 部隊の参謀は指揮官に対して,作戦面で助言するが決定権は持たず,一方で指揮官は部隊機能の維持をマネージメントする業務を中心にすることができる.
 また,参謀本部とは簡単にいえば,中央に人材を集めて一括して作戦立案するもので,出来上がった作戦案は統幕や安全保障会議,国王や大統領などその国で最終的な権限を握る所に,助言として上げられる場合が基本.
 つまり参謀とはアドバイス専門の,作戦の専門家集団だと思ってもらえれば大丈夫かと.
 ……例外あるけど.

 参謀は人事に関して一般に権限をもたず,参謀本部も参謀に対してのみこれをもつので,例えば参謀の命令で下級部隊の指揮官更迭という事になった場合,たとえ形式上でも参謀の助言→指揮官が承認という経路を辿ったことにされ,省の人事局など本来その権限を持っている部署に由来する人事として,書類上処理されねばならない.

軍事板,2009/08/19(水)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 指揮所はどう移動するのですか?

 【回答】
 通常連隊本部とか師団司令部とかの指揮機関は,その場所を移動する際にはまず要員の一部をもって「前方指揮所」を構築,そこに指揮官や作戦/情報幕僚が移動します.
 この間,元の「指揮所」には副指揮官や後方/人事幕僚が残り,指揮を継続します.
 前方指揮所が機能し始めると,「指揮所」は撤収して後を追います.
 この繰り返しです.
 また,部隊の縦深が長くなってしまう場合なども,「指揮所」と「前方指揮所」を分けて設置して柔軟な戦闘指導を行う場合もあります.

(ドカン・オオカミ ◆s6tJH5.VuA)


 【質問】
 指揮通信車は移動しながらの指揮などが可能なのでしょうか?

 【回答】
 指揮する部隊の規模によります.
 移動中の指揮のネックは情報の取得で,もっぱら無線機のみに頼ることになります.
 要は指揮官に対して戦況を分析した情報が伝わり,それを基に下した指揮官の構想が部下に伝わらねばなりません.
 中隊規模なら掌握する情報もそれほどではなく,指揮する小隊も少ないですから,ジープに乗ったまま無線機片手に指揮することも可能ですが,部隊が大きくなればそれも難しくなります.
(根本的に車載無線機の通話距離を超えたりしますし・・・)

(ドカン・オオカミ ◆s6tJH5.VuA)


 【質問】
 伝令将校って何?
 将校なのに伝令なの?

 【回答】
 無線の無い時代に伝令がどんだけ大切だったと思ってるんだ?
 ナポレオンだって最後の最後に伝令で泣かされてるぞ.

 日本の戦国時代でも,伝令として有力御家人の子弟で編成された「母衣衆」という,伝令将校とも言える組織を組織してる.
 それだけ信頼できる伝令は大事という事.

 特に重要な情報だと,秘密保持の関係で将校以外扱えない場合もあるしね.
 現在でも,将校が伝令役を務めることはある.

軍事板


 【質問】
 戦車に随伴する歩兵は,戦車が発砲音した時に耳がどうにかなってしまいそうな気がするのですが,そんなにぴったりと随伴しているのですか?

 【回答】
 映画などに出てくるような,戦車にぴったりと随伴する歩兵というのは,意外に実用性に乏しい戦術.フィクションに近い.
 なぜなら,戦車は戦場で非常に目立つ上,最優先で撃破するべき目標.
 従って敵の弾がそこへ集まる.
 そんなところに歩兵は居たくないでしょ?

 味方の戦車に轢かれる可能性も高い.戦車は前にだけ進むわけじゃない.
 質問のように,戦車砲の発砲の際の爆風や音で犠牲も出てしまう.
 ちなみに,120mm砲発射による歩兵の危険範囲は,以下の通りとされている.

-------------
A 範囲90度,距離200m以内
発砲時の強烈な爆風・爆圧(死の危険)

B 前方200~1000m,幅400m以内
APFSDS徹甲弾から分離される装弾筒の破片(死傷の危険)

C 戦車の周囲50m 
発砲時の猛烈な爆圧・轟音(危険)

D 戦車の周囲504m
発砲時の発射音(留意)

-------------「図説イラク戦争とアメリカ占領軍」(河津幸英著,アリアドネ企画,2005.7),P249

歩兵の危険範囲

 ソ連が使ったタンクデサントという戦術は,歩兵の犠牲が非常に多く,人命軽視もいいところだった.

 戦車と歩兵は協力しつつもある程度距離を置いて展開するのが正しい.
 それを守らなかった場合,歩兵の犠牲は当然大きくなる.
 協力する歩兵の居なくなった戦車は,近接対戦車兵器の犠牲になる.

軍事板 & CRS in FAQ BBS


 【質問】
 最近発売された戦争系ゲームのレビューで
「チームが一期一会的なのも軍隊っぽくていい」
と書かれていたのですが,実際の軍隊って一期一会的なのでしょうか?
 自分のイメージだと,仲間と何度も死線をくぐり抜けて団結力が生まれ,歴戦の友になる・・・とか想像していたのですが.

 話のゲームというのは「フロントミッションオンライン」というネットゲームでして,ロビー(集合広場)でメンバーを募集して戦場マップへ行き, 勝利or敗北したらロビーに戻って, チーム解散or続行するか決める・・・というものです.

 チームに関しては,知り合い同士でずっと同じチームを組んだり,1~数戦毎にチームを変えたりと様々です.
 前者が自分の中の軍隊イメージで,後者が「一期一会的」なものだと思いました.
 で,実際の軍隊はどうなのか・・・と思って質問した次第です.

 【回答】
 それは,その国の軍隊がどのように部隊を充足させるかという方針と,その国の軍隊が置かれている状況次第でしょう.
 例えば,映画プラトーンでは,新米の兵隊が戦地にいる小隊に二人送り込まれるシーンがあります.
 このように部隊を戦地に置いたまま,交代要員だけを送り込む方法をとっている国もあります.
 人員の交代率が何らかの事情で激しければ,一期一会のような感覚になることもあるでしょう.
 
 また,例えば第2次世界大戦の欧州戦線でのアメリカの歩兵も人員交代が激しく,100%を越える率で交代するのは珍しくなかったようです.
 つまり,ある時点からある時点の間に部隊長から兵卒に至るほぼ全員が1度以上,場合によっては複数回交代する状況がありました(中には運命か生き延びる人もいる).

 逆に,戦地から消耗した部隊を引き上げては,後方で充足,訓練をしてから再度送り込む場合もあります.
 これは戦地では人の和が頭数よりも重要という発想です.

 ちなみに「ラスト・オブ・カンプグルッペ」で取り上げられてる米第28歩兵師団(ヒュルトゲンの森とアルデンヌで大損害を蒙ったことから,赤い台形の部隊記章にちなんで「血のバケツ」と綽名された)では,1944年7月の戦線投入から1945年6月の占領任務終了までの約11ヶ月間で,直接戦闘での損害が
戦死2,146名
負傷9,893名
捕虜・行方不明5,154名
計17,193名
非直接戦闘による戦線離脱者8,893名
 合計すると師団定員数14,043名の約2倍の26,186名の損失となりました.
 また米軍でもっとも戦死者の高かった師団は第3歩兵師団で,その死傷率は補充兵を含めて176%.ある中隊では北アフリカ上陸時に235名いた兵員の内,1945年1月まで部隊に残っていたのが2名.

 だから,損耗率の高い部隊では,兵士同士が(どうせすぐにいなくなるから)あまり親しくならないようにしていたとか.

軍事板,2005/06/13(月)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 二等兵から陸軍に入隊して4年で退役したとして,4年間で一通りの知識って教えてくれるのでしょうか?
 銃の撃ち方や分解の仕方組み立て方や格闘術など,4年でマスターできるのでしょうか?

 【回答】
 大抵の陸軍は一期二年という場合が多い.
 つまり二期四年ということは,一通り使える兵隊になって下士官(曹)を目指そうと言う段階.
 一通りの知識というのがどの程度の事を指すのかわからないけど,兵隊としては十分に訓練されたレベルにあると思う.

 例えば日本陸軍の場合だと,歩兵は入営してから約4ヶ月間(「第1期」)で基本的な教育は終了する.

第1期(約4ヶ月)の教育課目
(術科) 各個教練,体操,射撃予行演習,距離測量,狭窄射撃,小隊教練,射撃,野外演習,銃剣術
(学科) 勅諭,読法,各種兵の識別及び性能,団体編制の概要,上官の官姓名,武官の階級及び服制,勲章の種類及び起因,軍隊内務書の摘要,陸軍刑法及び懲罰令の摘要,射撃教範の摘要
【連隊長の検閲】

第2期(約1ヶ月半)の教育課目
(術科) 第1期の課目,中隊教練,工作
(学科) 第1期の課目,衛兵勤務,赤十字条約の大意,救急法の概要
【連隊長の検閲】

第3期(約1ヶ月半)の教育科目
(術科) 第1期・第2期の課目,大隊教練
(学科) 第1期・第2期の課目,連隊歴史の概要
【連隊長の検閲】

第4期(約3ヶ月弱)の教育課目
(術科) 第1期~第3期の課目,遊泳及び漕艇術
(学科) 第1期~第3期の課目,連隊教練
【旅団長の検閲】

第5期(約1ヶ月)の教育課目
(学科) 第1期~第4期の課目
(術科) 第1期~第3期の課目,旅団教練
【師団長の検閲】

第6期(約1ヶ月強)
秋期演習

 また,自衛隊で言えば,銃の撃ち方や分解の仕方組み立て方といったものは,格闘術は別として新隊員前期教育レベル.
 そして格闘術は,普通の兵隊には要らない技術だ.

軍事板
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 【質問】
 なんかの戦争映画で,歩兵が泥地を匍匐し,頭上を機関銃で掃射するという訓練があったのですが,これって本当にあるんですか?
 途中でびびって立ち上がった兵士が,蜂の巣になってましたが,同様の事故は現実にありますか?

 【回答】
 米軍など,昔はやった事がある.
 今もやってるかどうかは知らない.
 探せば動画などがYoutubeに上がっている時がある.
 事故例については寡聞にして知らない.

 ドイツの武装SSも,実弾を使った訓練をやって,死傷者も出ている.

 あるいは,空砲が大半だがたまに実弾が混じっている,という状態で緊張感を増し,絶対に頭や尻,踵などを上げないように体に覚えこませるという訓練も実在する.
 これも,現在もやってる軍があるかどうかは不明.

 プラスチック製(?)の,怪我はしないものの当たるとえらく痛い弾を使って,訓練に使ってる所があるという話も,どっかで読んだ事がある.
 実際にビュンビュン弾が飛んできて,当たると痛いってのは,訓練生の真剣味が全然違ってくるらしい.

 実弾を兵士の体の近くを通過させる系統の訓練は,他にもあり,実弾の恐怖心を兵士に実感させ覚えこませるという意義と,ある程度慣れさせて,実戦で撃たれた時に過剰なパニックにならず,冷静に退避行動をとれるようにする意義の,両方の目的があるが,これらの場合どちらも自制,精神コントロールの修練と言う事になる.

 アメリカなんかでは,火薬で実銃と同じような反動・ノズルフラッシュで高速ペイント弾(当ると激痛)を発射する銃で訓練させていた.
 尤も,軍隊全体でやるとかなり金がかかるから,もっぱらそれを採用している民間のトレーニングセンターを借りて利用しているようだが.

 自衛隊はエアガンによる市街戦訓練.
 このためにマルイに資料提供して,89式の電動エアガンを作ってもらった.
 まー,口でパンパン言って訓練するよりも,はるかにましだからなー.

 レーザー使って体中に受信機付けて,兵士から車両までコンピュータで被弾判定する評価システムというものもあるが,お金が高くつくし,各国軍隊の間にはなかなか普及していない.
 一部の教導隊しか配備できない.

軍事板,2011/04/23(土)~04/24(日)
青文字:加筆改修部分

▼ なお,自衛隊でも,実弾下で訓練しているので念のため.
 以下引用.


http://www.mod.go.jp/gsdf/neae/neahq/pastevent/sennyu.htm
>上空を実弾が通過する中,突撃地点まで最後のほふく

in FAQ BBS,2011/8/9(火) 2:7
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 【質問】
 部隊に配置されたばかりの新兵は,最初から危険な任務や実戦に投入されることはあまりないのですか?

 【回答】
 部隊全部が新兵の集団とかだと,勝ち戦ならある程度考慮されることもあるが,もともと前線にいる部隊に新兵が補充兵としてきて,いきなりその日の夜に戦闘とか良くあること.
 劣勢の防御側で新編部隊がいきなり前線に投入されるのも良くあること.

 WW2の時だと,米軍の場合は前線の欠員が出た部隊に,ホヤホヤの新兵を送り込むシステムだったので,いきなり危険な任務に(部隊ごと)投入されて,戦争慣れしてない新兵だけがどんどん死んでいったりと言った事があって結構問題があった.

 ドイツ軍は余裕がある頃は,部隊がある程度損耗すると後方に下げて,新兵と古兵のすりあわせというか慣熟を行ったので,その辺はあまり深刻な問題にはならなかった.
 いわゆる野戦補充部隊.
 休暇,傷病明けの兵士,補充で送られた新兵は,まずこの部隊に配属されてから一線の部隊に配属されたよう.
 連隊ごとに大隊規模で存在したようだ.

 あと,旧ドイツ陸軍は新しい師団を編成するとき,既存の師団から抽出した部隊や壊滅した師団の残余を基幹にし,それに新兵や補充兵を加える形をとっていた.
 部隊を抽出された師団は一時的に戦力が低下するけど,すぐに回復できたし,新師団は経験を積んだ将兵が中核となっているので,最初からある程度高い戦力を持つことができた.
 ノルマンディ上陸作戦の時,海岸を守っていた第352歩兵師団を,「どうせ補充兵ばかりのヘタレだろう」と甘く見てかかった米軍が,実はヴェテランが多い部隊だったもんで苦戦したって例もある.
 ただ戦争末期には,兵員不足でドイツの動員・補充システムが崩壊したため,未経験の新兵や兵役に耐えられないような傷病兵で編成された師団が作られ,大損害を出している.

 現代だと,湾岸やイラク戦争の時のアメリカ軍は,兵士のほとんどが実戦経験がなかったが,後方の訓練キャンプで徹底的に実践に即した訓練を施してから実戦に投入している.
 砂漠の暑さ寒さに慣れさせたりとか,実際に塹壕や鉄条網で防備された陣地を作って,そこで模擬戦闘訓練を行ったりとか.
 装備の差ももちろんあるけど,そうやって「戦場慣れ」させてから戦わせたからわずかな損害で勝てたとも言える.

軍事板


 【質問】
 航空機が何らかのミサイル等の攻撃を行う際には「FOX ○」などのコールサインがあると思うのですが,地対空ミサイルなどの陸上部隊にも,同様のコールサインが存在するのでしょうか?

 【回答】
 まず「コールサイン」は無線局(各機体,基地等)の個体識別のための呼称.
 で,「FOXn」は単一のコールサイン(機体)が複数の攻撃手段を持ち,それを区別して僚機に知らせるための識別符号(コード)なので,コールサイン単位で端から単一の攻撃手段しか持たない兵種の場合は,特に必要無い.


 【質問】
 ラッパの音に合わせて突撃するのは,いつごろまで行われてたんですか?

 【回答】
 中華人民共和国人民解放軍は朝鮮戦争の時も,隊長付き鼓笛手の吹くチャルメラで統率されていた.
 なので慣れて来ると,「次に何をしてくるか」が国連軍の兵には丸分かりりだったとか.

 この「チャルメラ突撃」,中越紛争やダマンスキー(珍宝)島紛争の時までやってたらしい.
 人民解放軍恐るべし.

 さすがに今はやってないようだ.

軍事板


 【質問】
 旅順の203高地みたいに,標高で○○高地と呼ぶことがよくあるようですけど,同じ高さの地点が近くにあったり,あるいは標高差が微妙で間違えたりするようなことはなかったんでしょうか?

 【回答】
 今すぐ地図を出して見てみろ,大抵数字が書き込んであるから.
 地図の読み方と現在位置の推定は重要なスキルで,読み間違えたりそもそも地図が間違ってたりすることはよくある.

モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板
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 203高地などといった名称はピークの標高から名づけられるが,地形図には主なピークの位置に標高が記載されている.
 だからそれを見れば,地図上のあるピークが標高いくつかは判る.
 地図と実際の地形を一致させるには,尾根筋をコンパスで確認,といったランドナビゲーションの技術を使う.

 地形図に標高の載っていない小ピークや,近くに同じ標高のピークがある場合は,標高以外の名前をつける.

軍事板
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 【質問】
 ソ連・ロシアとフィンランドには秘密都市又は閉鎖都市と呼ばれる,外人はもちろん,自国人でも関係者以外立ち入り禁止の都市があった(今でもある)そうですが,日本には戦後はもちろん,戦前もそのような秘密都市があった話は聞きません.
 米英仏独にも同様にあったという話は聞きません.
 これは日本や欧米には秘密都市はなかったということでしょうか?

 日本や欧米に秘密都市がないとすると,なぜ,ソ連ロシアは多数の秘密都市を必要としたのでしょうか?
 逆に言うと,なぜ,日本欧米は秘密都市を必要としなかったのか?

 もちろん,日本や欧米も軍事施設・軍事工場・原子力関連施設敷地内そのものへの立ち入りは厳しく制限されていますが,都市まるごと立ち入りを制限してしまう例は無いように思えまして.

 【回答】
 アメリカの核開発拠点,ロスアラモス国立研究所は戦争中は存在が秘匿されてた.
 施設の規模,正確な位置等のちゃんとした資料が公開されたのは,ずいぶん後のことだ.

 ドイツのロケット開発拠点,ペーネミュンデも無関係な人は近づけないし,地図にも記載されていない(ペネミュンデ,と言う小さな魚村があったころの記載内容のまま)隔離地域だった.
 航空偵察で,そこに秘密の開発基地があるのはバレバレだったが.

 広大な土地のあるアメリカやソビエト(ロシア)と違って,日本や欧州では「誰も近づけない場所にある秘密都市」というものがそもそも作り難い.
 だから,アルマザス(アルザマスだっけ?)のような存在を構築するのが困難である,というのがまずある.

軍事板
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 また,西側は民主政なのでそんな政策は困難.

 日本欧米でも軍事基地・施設・研究所等は関係者以外立ち入り禁止.
 (無断)写真撮影も禁止されてる事が多いかな.
 それを都市規模に拡大したのが閉鎖都市.

 たとえば,佐世保住民に身分証携帯の上に旅行を禁止したり,外部からの旅行客を締め出すのは無理だろ?
 東側は共産主義なので土地は全部国家のものだし,近隣住民や報道機関の権利の制限がしやすく,一般に機密性は高く保てる.

モッティ ◆I3HMmYDdlE in 軍事板
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 すなわち,秘密都市というものを成立させうる地理的・都市制度的条件には,面積の他,都市村落の形(集村・散村型とかタウンシップ型とか)も関係してくるはず .

 アメリカのように広大な土地があって都市間距離が数キロとかある場所なら,「秘密都市」と「他の都市・周辺村落」が一定の隔離状態も可能だが,日本のように狭い土地では隔離とか制限とか実質的に無理で,やろうとすればほんとに法律や強権でガチガチにするしかないが,それも民主政治的に難しいので実質的に無理くさい.

軍事板
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 【質問】
 パイロットの戦果ってわかりやすい
(撃墜数は誰がカウントしてるのかな?ってのはある.自己申告?)
からいいんですけど,陸軍の兵士とかの個人の戦果ってどうなってるんですかね?
 だれがどういう基準でなにを認定して昇進させるんだろう・・・
 勲章とかで済ませちゃってスルーの時もあるし
(昇進したほうがいろいろ権利も増えてうれしそうだし)
それ以上にブリッジ・クルーやメカニック系の整備担当は,昇進の基準や可能性ってあるんですか?
 極端な話,艦船とかの艦長やってる連中だって,最初から艦長じゃなくて,なんかしらの仕事をしてきて昇進したはずで,何をやって誰が評価してってのは謎なんですが・・・

 同じ後方でも,軍指揮の将軍とかだと作戦成功→昇進ってかんじで,なんとなくわかるんだけど・・・

 【回答】
 まず,戦果と昇進は直接関係がない.
 空戦において操縦士に戦果を確認する(撃墜数を聞く)主目的は,状況を明確にするため.
 陸戦において戦果は,「○○を占領した」「敵を撃退した」というように明確であるため,歩兵一人一人に個々人の戦果の確認はしない.
(戦車の場合だとスコアを申告することはあるが)

 では,昇進はどうやって行われるのか?
 昇進させるのは,昇進に値する人物だ.
 この「値する」というのが千差万別であり,二等兵なら何の問題も起こさなければ一定の期間がすぎれば一等兵になる.
 逆に将官になるには,さまざまなハードルを超えねばならない.

 どんな仕事だって上手くやれるかどうかは,その人の力量次第なわけで,実力のある兵士がいれば,直属の上官にはそれがわかる.
 例えばWW1の時のヒトラーは負傷者を担いで戦場を駆け抜けて勲章をもらってるし,その後も伝令兵として危険な場所を走り回り,それを評価されて昇進してる.
 これは「勇気」を示して昇進した極端な例な.

 下士官や士官にはまた別の昇進原理が働くわけで,単純に仕事が出来たり勇気が示せるだけじゃなく,人を扱う能力が必要.
 さらに現代の軍隊なら,ところどころに試験があって,例えば尉官から佐官になったり,将官になったりするには試験を突破する必要がある.
 基本的には,直属の上官の評価が一番影響する.
 平時なら士官学校のときの成績とかも.
 海軍の艦長とかになるような人は,兵学校時代から艦長になることが決まってるような人も多い.

 あと,一応言っておくけど兵士と下士官,士官の間には海よりも深いがあって,兵士が戦功だけで下士官に昇進したり,下士官が士官に,などということはまず無い.
 相応の教育を受け,試験を突破して初めてこの差が越えられる.
 とはいえ,現代はほとんどの兵士が高等教育を受けてるから,そこまで大きな溝じゃ無いんだけどね(先進国の場合).

 で,戦果も昇進を判断するときの要素の一つに加えられる.
 他にも勇気ある行動や味方を救った,といったことも考慮される.
 だがそれらは参考材料であり,戦果を上げたから即昇進とはならない(例外はあるが).

 なお,戦場にて上級者が戦死した等の理由で,その下の者が一時昇進することがあるが,それらはその場限りの戦時昇進として,戦後は元に戻すことが多い.

軍事板
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九段下の編集部に立ち寄った帰りに神保町の古本街で見つけた,昭和16年度の「アサヒグラフ」

 右はM36服に角形肩章を付けたドイツ国防軍下士官のクリアな写真が良く,左は多摩川での軍事教練写真で南部式教練機関銃の写真を見つけたから.
 「アサヒグラフ」のドイツ国防軍の軍曹写真は,襟ホックまでクリアに写り,軍装マニアとして食指が伸びました(^^;

 襟章や角形肩章の兵科色が黒く見えるところから,突撃工兵でしょうか?
 ピプ上の縫い取りが修正で潰されていますが,何となくGD(大ドイツ師団)に見えます.
 M36型ヘルメットの側面ベントのブッシングが取れている様に見えるのも,戦闘の激しさを想像させてくれますね.

よしぞうmaro' in mixi,2007年03月18日02:33
~11:01


 【質問】
 ある漫画で
「戦場における士官の死因の2割が,部下に殺されたものらしいですよ」
と言われて准将の指揮官が味方に殺されてしまいました.
 こう言った事が実際に起こりうるのでしょうか?
 また,こんな高位の指揮官が戦場で部下に殺されたケースは実際にあるのでしょうか?

 【回答】
 支那戦線じゃ無能な指揮官が見殺しにされて実質殺されたってケースが多い.
 例えば大戦末期のし(くさかんむりに止)江じゃ無能な大隊長が下士官,兵に,
「この大隊長と一緒にいたら,とても敵中突破とか,脱出は覚束ない」
「大隊長,いくら待っても兵隊は来ませんよ」
とか言われ,見捨てられる有様.
 負傷した中隊長に手榴弾を渡して置き去りにしたり,下士官の指揮の下に独自の行動を取って脱出したりとかグダグダ.
 所属する各中隊でも指揮を取れた中隊長はおらず,掌握できたのは大隊本部だけ.
 しかも隙あらば本部からも兵が逃げ出しているという有様.
 最終的に部下の大部分に見捨てられた大隊長の小笠原大尉は,惨めな最期を遂げる事に.

軍事板


 【質問】
 兵士たちは戦場でウンコしたくなったらどうするんですか?

 【回答】
 衛生の問題があるので,便所はきちんと整備します.
 でも,実戦の初戦だとちびるやつもいるとか.

 あと,戦闘中は野ぐそだが一応は穴掘って埋め,また,水辺にはしないことになってます.
 バケツや缶にため,暇な時に下水溝に流こむ,あるいは適切に処理というのもありです.

 ただ,特殊部隊だとそこにいた痕跡を残さないために,排泄物をビニル袋に入れて持ち帰り,ということも .
(ギャズ・ハンター著『SAS特殊任務』の中に,そういう記述がある)

 特殊な例としては,地雷にする為に保管するということも.
 南方は熱帯の為に猛烈に匂うので,米軍を「うんこ地雷」で撃退できた例もあるそうです.

軍事板
青文字:加筆改修部分

(画像掲示板より引用)


◆◆◆陸戦兵站



 【質問】
 よく戦史とか見ると,港を確保しろとか言うけど,例えば師団が活動するには,1日にどれくらいの荷揚げ能力が必要なんですか?

 【回答】
 1個師団が行動するには1日数千トン~の物資・燃料・弾薬が必要とされる

 例えば1980年代の米軍歩兵師団では,師団の必要補給量は
攻撃 3300t/day
防御 4000t/day
追撃 1400t/day
準備  750t/day

 【質問】
 準備が一番物資消費が少ないのは分かるのですが,防御が最も多いのは何故でしょうか.
 攻撃・追撃のほうが大量の弾薬を消耗するように思えますし,追撃ならば大量の燃料が必要だと思うのです.
 防御戦では何を大量に消費するのでしょうか? 陣地構築資材とか?

 【回答】
 防御の場合は敵の攻撃を火力殲滅するので,弾薬消費が増えます.
 攻撃時なら計画射撃で効率が良いので,弾薬消費はそれほど大幅に増えません.
 一番の物資食いは砲兵です.

 以下はNATO軍の事例.

 NATOの資材の分類の公式用語では,
Class1:食料
Class2:主用装備品以外の装備品 事務用品など
Class3:燃料
Class4:築城資材 丸太,コンクリート,鉄筋など
Class5:弾薬
Class6:日用品
Class7:主用装備品 戦車など
Class8:医薬品など
Class9:整備部品
Class10:地図 水
と呼ばれる.

 そして,それぞれの作戦における補給内訳は(Class1,3,5,9についてのみしか手元資料ないけど),

.   Class1 Class3 Class5 Class8
攻撃 51    660    2500  55
防御 49    366    3500  50
追撃 50    816    410   44
準備 48    240    438   20

とされている.

 【質問】
 補給の流れについてですが,国や時代,状況によって異なるとは思いますが,以下の流れで不自然はないでしょうか?

後方の部隊
 │
 │(戦闘師団/後方支援連隊/輸送隊)
 ↓
戦闘師団/後方支援連隊/補給隊
 ↓
戦闘師団/戦闘大隊/本部管理中隊/補給小隊
 ↓
戦闘師団/戦闘大隊/戦闘部隊

(補給屋 ◆ZA3g9myNTI)

 【回答】
 補給の流れは「持ってきて貰う」ではなくて「取りに行く」が基本.
 各級の部隊単位で補給処/集積所それに段列等を開設して隷下部隊の管理/補給小隊等がそこまで車を走らせて物資を受領して戻ります.

 あと,補給面での物資の輸送は基本的に補給部隊自身が担当します.
 輸送部隊も物資の輸送に任ずる場合もありますが,基本的には兵員や重器材の輸送が主になります.
(タンクローリーや保冷車なんかは補給部隊の装備です)

 米軍の軽旅団でも自分で取りに行くのが基本だそうです.
 大隊とかが自分でトラックを持ち,他の輸送の都合とあわせながら,補給を切らさないように取りに行くそうです.
 ちなみにこのあたりは今ストライカー旅団という奴で実験して,補給を旅団でまとめて前線まで送る形+電子化で効率よくできるか探っている模様.

 取りに行く場合はこんな感じ.
 戦闘部隊は,師団の段列(後方支援部隊が集まっているところ)までメシと燃料を取りに行く.
 弾薬はさらに後方の弾薬補給所まで取りに行く.

 戦闘部隊の本部が取ってきた物資を,前線の大隊は本部まで取りに行く.
兵たん基地
  ↓
(弾薬補給所)
 ↓   ↑
 師団段列(燃料補給処,糧食補給処,整備所)
 ↓   ↑
 戦闘部隊本部
 ↓   ↑
 戦闘部隊

 補給に関わる係数には,もう一つ【倉庫の能力】があります.
 野外に積んであるドラム缶よりも,ガソリンスタンドの方が能率的に給油できる.
 ただの倉庫よりも,フォークリフトがあった方が荷出しが速い.
 感覚的には,より後方の方が保管能力が高く,より高性能な設備があるってところかな.
 前線近くに膨大な物資を集積しても,倉庫の能力が追いつきません.

 ガソリンのドラム缶1億本が野積みになっている師団段列っていやでしょ?

(ドカン・オオカミ ◆s6tJH5.VuA他)


 【質問】
 創作上,優勢に戦局が進んでいるのに,勝っている側が末期独軍のような最貧前線の状態に描くには,どのような状況設定が良いでしょうか?

 【回答】
 それは,負けてると思われてた側が,密かに蓄えていた,巨大な反撃戦力が,大打撃(大反抗の狼煙か,最後のやけっぱちかはともかく)を開始する寸前のフラグでは.
 大打撃の例としてはモスクワのナポレオン軍/ナチスドイツ軍,スターリングラードのドイツ軍,やけっぱちのとばっちりを食らった例としては,アルデンヌの米軍第28歩兵師団かな.

 前者はどこでも調べられるだろう.
 後者は「ラスト・オブ・カンプグルッペ」に詳しいが,要約すると,作戦上の必要で,予め1個師団が立てこもってる森経由で,町を攻略しなければならない第28師団が,森に塹壕掘って立てこもる1個師団と,こんなこともあろうかと控置されていた1個師団と,たまたま通りすがった1個戦車師団の三個にボコられて,戦力半数を喪失.
 戦線の一番静かな位置で,17000人の定員と定数の戦車を回復したと思ったら,11万人の将兵と,米軍の五倍の戦車(しかも豹と虎メイン)を備えた独軍が押し寄せてきた…てな話.
 後は察して.

 極論すれば,敵の司令官と参謀を,軒並みアホウにしてしまえばいい.
 敵軍が,それこそ中世の軍隊並の発想で動いてればなんとでもなる.
 ルーデルの1/10モデルくらいの英雄がいれば,戦争をひっくり返せるだろう.

694:名無し三等兵:2006/05/22(月)22:33:41ID:???

 Sir! 0.1ルーデルでも「なにこのご都合展開!!」と編集さんに怒られそうな気がします,Sir!


695:名無し三等兵:2006/05/22(月)22:39:26ID:???

 「0.1ルーデル」(笑)
 聞いたところによると,ライト・ノベル方面で作家に「ルーデル的活躍は禁止」と言い放った編集は実在するそうだ(笑).

軍事板

 ちょっとルーデル様の戦績を置いておきますね.

出撃回数…2530回
戦車…519台破壊
装甲車・トラック…800台以上破壊
火砲(100mm口径以上)…150門以上破壊
戦艦…1隻撃沈
巡洋艦…1隻撃沈
駆逐艦…1隻撃沈
上陸用舟艇…70隻以上撃沈
戦闘機…2機撃墜
爆撃機…5機撃墜
その他航空機…2機撃墜

(被撃墜回数30回)
(戦闘による負傷5回)

 禁止でしょう,これは(笑).

Shaul in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

 しかも片方が義足だしな.
 なんか憑いてたんじゃないの?

ヘリックス in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

697:名無し三等兵:2006/05/22(月)22:42:31ID:???

「ルーデルだから」
 それがルーデル・クオリティ.

軍事板

 ルーデル以外の対地攻撃エースも紹介しとこうか.

 オスプレイ社の「ドイツ空軍 地上攻撃飛行隊」によると,戦車撃破数の第二位は「アントーン・ヒプシュ上級曹長」
 ルーデルと同じで第二地上攻撃航空団所属で,撃破数は120両以上 総出撃数 1060回 騎士鉄十字章授与.

 第三位が「アロイス・ヴォスニッツ上級曹長」
 撃破数は104両 総出撃数 1217回   騎士鉄十字章授与

 あれっ? おかしいなぁ・・・ 出撃回数でも撃破効率でも二位以下を引き離し,異様に突出しているルーデル……

CRS in 「軍事板常見問題 mixi支隊」

ルーデル「ククク…よくぞこの私を倒した.しかしこれで終わりではない! 必ず私の遺志を継ぐ第二第三のルーデルが(以下略

Shaul in 「軍事板常見問題 mixi支隊」


 【質問】
 映画「ブラックホークダウン」見て疑問に残ったことなんですが,劇中で「30分で戻る」と,暗視装置を携帯しなかった兵士が居ました.
 実際には作戦に持っていく個人装備は,本人の意思で決められるものなんでしょうか?

 【回答】
 見たのが随分前でそのシーンを覚えてないが,上官の命令を無視して置いていくのはもちろん許されない.
 ただ,上官が自由裁量を認めてくれたり,意見具申して許可が出たりすれば問題ない.
 あと上官に指示を仰げない状況で,火急の事態だったりすると,独断専行も許される事がある.

unknown

▼ 原作本を読んだ僕が来ましたよ.
 あのときレンジャーは,暗視装置の携行は各自に任せると指示されていました.
 チョーク1と共に行動し,地上のレンジャーを率いたスティール大尉についての記述を引用します.

――――――
 月が昇ったとき,スティールは部下にNOD(夜間暗視装置)を持たせなかった自分を責めた.
 おれは融通のきかない,「規則一点張り」のレインジャー部隊の独裁者なのだ.
 そのおれが,今回に限ってじゅうぶんな根拠ありとみなし,その作戦要領を緩めたばかりに,夜間,敵に対してもっとも大きな利点となるはずだった科学技術の恩恵を得ることなく,部下たちは命を賭けて戦っている.
 これこそ,作戦要領をないがしろにしてはいけないという,完璧な実例ではないか.

――――――
※「」内は傍点

woynary in 「軍事板常見問題 mixi別館」
2011年05月04日 05:16


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