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◆◆◆徴兵
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<◆軍事組織総記 目次
総記FAQ目次


 【link】

「FSM」◆(2010年 03月 19日)チャイルド・プレイ
>子供兵士についての書き流し

「kojii.net」■ (2012/06/18 09:10) 徴兵制のことをちょっと考えてみた
> 一般的にいわれる「志願制の有利な点」を否定するつもりは毛頭ないけれども,それがありとあらゆる場面に適用できるとは限らないのかもしれないね,というのが,今回の話の落としどころかなと思った.

「Togetter」◆(2011/08/25)徴兵制と志願制軍隊の境界

「Togetter」◆(2011/08/25)人は何故「徴兵制」という言葉に狂わされるのか

「おこじょの日記」◆(2013/03/18) 軍隊に入れればしゃんとするてのは,神話だな

「週刊オブイェクト」◆(2010年07月03日)スウェーデン軍が徴兵制を廃止

「とらっしゅのーと」◆(2010/04/17)諸君,私は軍隊が好きだ〜徴兵制時代の軍隊への意外な視線〜

「暇人」:もし今徴兵されたらどうする?

『子ども兵の戦争』(P・W・シンガー著,日本放送出版協会,2006.6)


 【質問】
 徴兵制度に関する本には,どんなものがありますか?

 【回答】
 意外とアメリカ辺りの徴兵制を俯瞰した本は見かけませんね.
 講談社メチエの『“玉砕”の軍隊,“生還”の軍隊』は,第二次大戦期までだし.

 学術研究データベース・リポジトリ(NII-DBR)は,方向性が出てますなぁ.
 見事に国内の徴兵制の歴史しかない.

 一方でJAIRO,これは素晴らしい.
 19世紀の英国,フランス,20世紀のドイツにスペイン等,見事にばらけて研究が存在する.

 ただ,アメリカはやはり記事単位がメインのようだ.
 ciniiには載ってるなぁ.
 どこでも読めそうなのだと,朝鮮戦争時にジュリストで書かれたもの,ベトナム期にリファレンスで2回と,80年頃法学セミナーで1回.

 ソ連の徴兵制についてはそれだけでという本が無いのは意外だな.
 防衛庁の資料を除けば,恐らくソ連軍制全般を解説した本の1章に紛れてるのか.

 逆にこれから研究する人にとって,詳しいのを書くのには,今が狙い目かな?

岩見浩造 ◆Pazz3kzZyM : 軍事板,2011/08/25(木)
青文字:加筆改修部分

 ただし,岩見浩造なる人物の情報は,(1)自作自演さえ行うなどして,(2)無意味で過剰な攻撃性を見せ,(3)事実無根の言いがかりも,無視できない数含まれる――といった点から考えて,バイアスが強いと推測されるため,鵜呑みは避けたほうが賢明な模様.
 その信頼性についての考察は,こちらを参照されたし.

 ソ連の徴兵制については
『ソ連軍 思想・機構・実力』(ハリエット・F. スコット著,時事通信社,1986.3)
に,ソ連がドクトリン制定と連動し,徴兵年齢を変えたあたりの解説があります.
 また,「ソ連地上軍」にも,平時充足率と徴兵/動員についての記述あり.

Lans ◆xHvvunznRc : 軍事板,2011/08/25(木)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 世界各国の軍隊で,徴兵制にしているところが分かるサイトはありますか?

 【回答】
 全世界の国と地域の網羅的な資料としては,CIA World Fact Bookがよい.

 同サイトの,Military/Military service age and obligation (軍事/兵役義務の年齢と期間)の項目を参照すれば,例えば…….

Azerbaijan アゼルバイジャン
18years of age for compulsory and voluntary military service; law passed December 2001 raises maximum conscription age from 28 to 35 (December 2001)
義務兵役,志願兵役ともに18歳以上.2001年の法改正で応召義務年齢が28歳から35歳に引き上げられた(2001.12)

徴兵検査の体重測定
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 国によっては,徴兵制廃止論を唱える軍があるのはなぜですか?
「根性無しのど素人やシャバ小僧なんか押し付けられても迷惑」
と考える軍隊も存在するのでしょうか?

 【回答】
 まあ,基本的にはそんなところ.

 現代の軍隊はプロフェッショナルの組織だから,若いだけで特に資格も技術もない素人が,一時的に入隊しても大して意味がない.
 兵役が終わったら大半は除隊して民間に戻るわけだし.

 純粋に平時の現場の立場からすると,徴兵制って新兵の教育に忙殺されるから,いいことない.
 戦争になって人手が必要になった時に,民間に戻ってた予備役を動員するために,無理して訓練しておくわけ.

 で,社会全体として見ると,その手の若者が必要な産業は,他に幾らでもあるし,社会で色々教育を施すべき社会人一年生を,一時的に軍隊に入れるのは無駄が多い.

 いわば徴兵制とは,平時の効率性を犠牲にして大規模戦・長期戦に備える制度である.

 組織としての軍の立場からしても,徴兵制を敷くなら相応の予算をつけてもらわないと困るわけで,自衛隊なんかは予算がないから,絶対に徴兵制すんなって思ってる.

 徴兵制維持にかかる事務コスト払うだけの予算が有るなら,コピー紙とトナーを買ってくれ,と言たいと思うぞ.

 イラク戦争程度の人手不足でも徴兵制復活なんてしないわけで,一旦徴兵制を放棄した国が徴兵制を復活させるには,世界大戦でも起きないと無理かもね
(起きても無理かもしれない.*カンボジアなどの特殊ケースは除く)

 ちなみに自衛隊は,専門職化の進展が進んでいることに合わせて,採用制度を変更しようとしている.
 曹士候補生(正社員)の枠を増やし,任期制(契約社員)は,若い奴が必要な陸上の普通科・特科ぐらいにとどめる方針.


 と言うか,「国によって」と言うより,先進国じゃ徴兵制ってもう主流じゃないぞ.

モッティ ◆uSDglizB3o(黄文字部分)他 in 軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 「日本も徴兵制をとるべきだ」って主張してた香具師がいたんですが,徴兵制のメリット・デメリットってどんなことがあるのか,よく分かんないんです.
 兵隊の数が増えれば強くなって安心かなあ,とか思うんですが,ほかにどんなことがありますか?
 そして日本も徴兵制にすべきなんでしょうか?

(ニュー速厨 ◆P1AWcg9OTs)

 【回答】
   メリット
 人が一杯来てウマー.国が兵隊を強制的に徴募するんだから,慢性的な定数割れが防げる.
 国民の国防上の意識改革が可能(と言われてる)
 なんか道徳とか集団生活のための躾に期待する奴も居る.

   デメリット
 徴兵で只みたいな値段で人が手に入っても,結局教育やら何やらで人件費が掛かる.人は喰わにゃ生きてはいけないからね.
 例えば仮想敵国の脅威が薄れたりして,多少国防をおろそかにしても,経済や文化,技術,学問の発展に力を注ぐべき時に若者の力が軍に持ってかれる.
 軍事教育を受けた若造が街に溢れて,かえって物騒になってしまうこともある.

 基本的に国防上,陸戦を重視してる国は徴兵制は結構メリットがある.何故かと言うと,どちらかと言うと陸戦は兵士の質より頭数が重要だから.
 逆に空海を重視してる場合は,量より質となるため,メリットよりデメリットが多い.

 また,メリットデメリットはその者が国防をどう言う観点で捉えてるかで,主張にバイアスかかるから,日本が徴兵制にすべきか?の問題は,意見が割れ易い.


 【質問】
「志願兵制度では人民と軍部の利益が不一致を起こし軍部の暴走を起こす可能性があるので,コストとしては割高でも徴兵制で一般の人民の意思を軍部に反映させる必要がある」
みたいな話を,憲法の本で読んだのですが,妥当な意見なんでしょうか?

 【回答】
 日本じゃ馴染み無いかもしれんが,欧米じゃあ志願兵制に対する反対論として一般的だよ.

 リベラルな立場からの徴兵制推進論って,海外でも結構あるぞ.
 自分の息子や弟が徴兵で取られれば,安易な武力行使賛成論にはブレーキがかかるだろうって理由で.

 現在のアメリカですら,貧困層中心に兵士(予備役含めた将校じゃくて)が入隊して戦場に赴くのではなく,国民が国防を担うって意味からも国民各層から兵士を集めるためにも,徴兵制の復活をって話があるな.

 というかフランス革命なんて,徴兵制による国民軍VS君主の常備軍(傭兵)だし.アメリカがWW2あたりまで何であれだけ常備軍を忌避してたのかとか考えれば,別に奇妙な意見では無いでしょ.

 日本でも,私の友人だった左翼活動家は,徴兵制にそのような利点があることを理解していた.
 後年,ただ理解するだけではなく,それを主張するようになった時,多くの活動家仲間から批判を受けるようになってしまったが.

軍事板,2009/06/09(火)
青文字:加筆改修部分

※類似項目との比較は未実行


 【質問】
 人類の長い戦いの歴史の中で徴兵制ができたのって比較的最近なんですよね.
 でも,兵力を増やすため国民を徴兵するなんて発想,誰でも思うことと思うんですけど・・・
 近代までどういう理由で徴兵制ができなかったんですか?

 【回答】
 その「国民」がいなかったから.

 今でこそ普通だけど,近代の意味での「国民」「国家」という概念自体はそう古いものではないっちゅうことです.
 例えば日本だって,人々が自分は「日本国」の「国民」「臣民」であって,国家という単位の成員として兵士となるという感覚を持ったのは明治からでしょ.

 昔から,封建領主がその領民を動員するということはよく行なわれていたわけ.
 でも,半農半兵だから兵農分離が進んでプロフェッショナルな兵士が生まれると,段々戦力として当てにならなくなってきた.もともとも士気も低いし.
 つうことで,軍備は常備軍が中心となってあまり一般人の動員が行なわれなくなった,

 しかし近代になると中央政府の権力が,地方領主とかを通さず直接及ぶようになり,かつ徴兵される側の国民に「国民」という意識が生まれ,一定の愛国心が育つことで,戦場から逃亡する恐れが低くなる,という風に環境が整ったの.
 そこで戦役の間だけでなく,一定の期間一般人を兵役につかせ,訓練を施してプロフェッショナルにすることで,たくさんの人員を戦闘員にすることができるようになったわけ.

 というか,ある意味では,国家がいわゆる「徴兵」というのを行なえるようになる社会的条件を「近代」っていうんですよ.

 で,軍事面での「近代」が劇的に進んだのがフランス革命.
 フランス革命の熱狂状態が,「革命を防衛するためなら死んでも構わん」という「国民」を生み出した.
 これによって,「義務」としての徴兵に応ずる人間が爆発的に増えた.

 フランス革命以前の軍隊は「王様の軍隊」で,当時の戦争は「王様同士の喧嘩」だったんだわ.
 どっちが勝とうが負けようが領民達は無関係だった.
 国の利益は支配階級が独占していて,領民とは無縁だったから,どーでも良かった訳だね.
 だから,領民には,戦争に参加する意義も利益もなかったのだ.

 国民国家の場合,国の利害は国民生活に直結するようになり,国民が政治に参加するようになった.
 当然,国民は自分たちの利益を守るために戦争に参加するようになった訳だ.

 やがて民主的な革命としてのフランス革命は失敗するけど,ナポレオンというカリスマが登場し,「国民」の熱狂状態はさらに加速.近代的な「ナショナリズム」が定着し,他の国にも伝播し,「自分たちの国を防衛することは義務だ」と考える「国民」が各国に誕生した.

 こうして徴兵制が有効なシステムになっていったわけ.
 「国民」抜きに,徴兵をやろうとしても,素直に応ずるわけがない.
 兵役を義務として受容する「国民」あってこそ,はじめて徴兵制は有効なシステム足りえる.


 【珍説】
 この程度の知識〔常備軍に関する大雑把な概史〕を仕込むだけでも,

「昔から,どこの国民も,一度は軍隊に入って国防の義務を果たすのが当然だった」
「市民とは,兵役の任を果たす者のことだ」

などという嘘には引っかからなくなる.
 現在,我々がイメージするような,国家(国民国家)とか軍隊(国民軍)は,たかだか200年くらいの歴史しか持っていないのである.

 〔略〕

 古代の都市国家では,貴族と奴隷との中間に市民という階級があって,兵役の義務を課せられていたが,それは特権と裏腹なものであった.
 もっと分かりやすく現代の例を挙げれば,アパルトヘイト時代の南アフリカでは,白人にだけ兵役の義務があったが,その代わり黒人には選挙権などがなかったのである.
 こうした事実や,フランス革命が国民軍を生んだことを知ったならば,
「市民とは,自らの権利を守るために戦うもののことであり,世襲の権力など認めない者のことである」
というのが正しい定義だと思い至るだろう.

林信吾著『反戦軍事学』(朝日新聞社,2006/12/30),p.28-29

 【事実】
 フランス革命による国民皆兵制度は,「市民とは兵役の任を果たす者を指す」好例のはずだ.
 この徴兵制度が出るまでのフランス革命政権は,義勇兵による募兵が中心であったのだが,思うように集まらずに徴兵制度に切り替えた経緯がある.
 この点で留意されたいのが,この徴兵制度を決めたのは,フランス王政を打破した共和制政権を担うブルジョワ=都市市民階級であり,王政による身分制度が無い以上,革命政権の指導者も国民にあたる.
 にもかかわらず,徴兵制度を敷いたのは革命政権での話し合いで
「フランス国民は兵役の義務を負う」
と決めたのではないか.
 これを正反対に
「市民は兵役の任を果たす者ではない」
とはいえないだろう.
 また,国民国家と国民軍の成立がたとい200年が歴史だというのなら,国家が国民を守る概念すら例外だろう.
 国家が国民の生活を守れない場合,自然権の範囲として国民が旧国家を打倒し新しい国家を打ち立てる革命権が存在するのは,人権を勉強すれば学ぶ権利だが,この権利はジョン=ロックによって考え出された17世紀終盤の思想であり,それまでは王権神授説による絶対王政であり,国民が国家=王様に反抗することは当然の権利ではなかった.
 またこれ以前の政権が「国民の生活を守る」国家であったかは,歴史が証明しているように,現代にそのような政権が残っているところは極めて少数である.
 このような国民と国家の関係を無視した上で「例外的」と指摘したのはどういう事なのか.
 専制国家は歴史上長い歴史があるから良いとでもいうのだろうか.

 更に追記すれば,同じ時期に生み出された概念には私有財産制度の確立やメートル法もだが,それも例外だからと主張されるのだろうか.

HN「早稲田の論客だった人」 in mixi,2007年02月18日18:04

 また,名古屋大学の大屋准教授のブログ
ひたぶるにうら悲し.(1)
では,
・そもそも
「昔から,どこの国民も,一度は軍隊に入って国防の義務を果たすのが当然だった」
なとと主張している政治家・実務家がどれだけいるのか疑問.
・国民軍の歴史はたかだか200年だと言うが,古代ギリシャ・ローマを忘れてやいないか?
・古代ローマでも,裕福な奴隷もいくらでもいたが,彼らは軍事動員の対象にされない代わり,政治参加も認められなかった.
 南アフリカでも有色人種には徴兵もない代わり,政治参加も認められなかったし,フランス革命でさえ,女性は徴兵の対象外である代わり,政治的権利は認められていなかった.
 在日韓国人男性も韓国からは徴兵されない代わり,韓国に対する政治的権利がない.
 ゆえに,「市民とは兵役の任を果たす者のことだ,というのは間違い」とは言えないだろう.
等の点も指摘されているので,参照されたし.

※ なお,韓国人女性には兵役の義務がない.

消印所沢

▼>アパルトヘイト時代の南アフリカでは,白人にだけ兵役の義務があったが,
>その代わり黒人には選挙権などがなかったのである.

 これ違います.
 アパルトヘイト体制下の南アフリカでは,アパルトヘイト政策史上,最も悪質な人種隔離政策「バントゥースタン(南ア名・ホームランド)」がありました.
 ホームランドとは,南ア政府が部族ごとに「国家」を作らせ,「独立」させたものです.
 そして南アに住む黒人は,このバントゥースタン「国家」の「国民」とされ,南ア国籍を剥奪されたのです.
 つまり南ア政府にとっては,黒人は「外国人」とされていたので,徴兵の義務も無いし,参政権も与えられませんでした.
 南アの黒人は,徴兵されないから権利もなかったという理由ではなく,「外国人」だからという理由から,徴兵の義務も参政権も無かったのです.
南アフリカのホームランド:世界飛び地領土研究会

 余談ですが,反アパルトヘイトを訴えたアーティストが,
「こんなリゾートでは演奏しない!」
と訴えた曲の舞台となった,南アのリゾート地・サンシティは,このバントゥースタンのボプタツワナにありました.
(曲PVへのリンクは,著作権法に抵触する疑いがあるため,割愛させていただきました−−編者)

 バンドゥースタンの大半は,農業や牧畜業に向いていない荒れた土地で,鉱業はあったものの,これは南アフリカの政府や企業が管理をしていたので,「国民」には還元されませんでした.
 全てのバンドゥータウンは,1994年の総選挙でANC(アフリカ民族会議)のネルソン・マンデラ氏が大統領になった事で,「独立」を取り消され,南アに再統合されました.
バントゥースタン - Wikipedia

 しかし,無理矢理痩せた土地に国家を作って,「そこの国民だから,お前は今までの国籍は剥奪」って・・・
 そりゃねえわ.

バルセロニスタの一人 in 「軍事板常見問題 mixi別館」
2010年12月31日 22:07


 【質問】
 韓国の在外投票に関する法制度が未整備で,在外(日本も含む)韓国人が投票できないだけじゃないでしょうか?

 【回答】
 違います.
 韓国では過去に在外投票制度がありましたが,廃止されています(つまり「未整備」ではない).
 また,2002年には在日韓国人の原告によって,選挙権が認められていないことを不服とする訴訟が起こされましたが,2003年9月に控訴審でも敗訴し,その後の報道がないのでおそらく確定したものと思います.
 そのことを報じた朝鮮日報によれば,判決理由には
「納税,兵役など,国民の義務を履行しない在外同胞に選挙権を認め[る]のは難し」
いというものが最初に来ています.

おおや in FAQ BBS


 【珍説】
 現在日本での徴兵制復活のおそれについてはどのような考えでしょうか.
 私は今のこの状況は間違いなく徴兵制の復活は近いと危惧するものです.
 国際貢献活動なるものが,その一つではないでしょうか.
 徴兵制の復活は,とりもなおさず日本が自発的に戦争を開始できる,侵略行為を正当化できることに繋がるとに他なりません.
 イラク出兵にしても,この期に及んでもまだ「人道復興支援」なる題目を信じている人が軍板にいるとは思えないのですが.

 【事実】
 現代の軍隊は,徴兵制をそれほど必要としていません.
 志願した職業軍人による,少数精鋭の軍隊ってのが,世界的なトレンドです.

 軍隊を批判するのは結構ですけど,軍事に関してもっと勉強しないと,的はずれな批判に終わってしまいますよ.

・徴兵制問題まとめサイト【徴兵制 復活?】

 ちなみに,「唐沢俊一の裏モノ日記(2004/02/02)」では,「徴兵制復活の恐怖」をいまだに煽る知識人を以下のように考察しています.

 いまの日本にも,なお徴兵制を主張する意見はある.
 しかし,その大部分は,軍事目的で言っているのではなく,現在の若者のだらしなさに憤慨するあまり,徴兵して芯からたたき直してやれ,というスパルタ教育の一種,戸塚ヨットスクールの同類として軍隊をとらえているに過ぎない.
 そんな非論理的な感情的意見におびえる必要など,全くないことは,すぐわかる.

 …にも関わらず,今の知識人,ことに若手の知識人の間には,この徴兵制復活に対する神経症的恐怖感を表明する者がやたらと多い.
 これは何故か.おそらく,彼ら若手知識人は,オトナたちが徴兵制を真面目に復活させようとしているのだ,キミたちはアブナイのだ,と言い続けて,自分と同世代,またはそれより下の世代を煽動しなくてはならぬ,商売上の必要性を常に持っているのだろう.
 下の世代をタキツケて年寄り連中との抗争を起こさせ,自分はその若者たちにかつがれて,著作印税や講演収入で飽食しようというのが彼らのハラである.
 そのためには徴兵制という文句は,実に今時の若者に嫌悪感を抱かせる,いい語彙なのだ.
 若者たちよ,こういう奴らに騙されてはいけない.彼らは幻影で君たちをおびえさせ,いいカモにしているのである..

――――――

▼ ただし,唐沢俊一検証blogによれば,唐沢の信頼性も低いそうなので,その点は留意されたし.▲


 【珍説】
「現在の軍事システムのハイテク化が進むにつれ,兵の熟成期間が以前とは比べ物にならないほど長くなってる」
どころか,逆.兵器の自動化によって扱いは非常に楽になっている.

 特に戦車戦や航空戦では,操縦者の技能よりも,兵器の性能の方が遥かに重要.
 湾岸戦争では,アメリカのエイブラムスはイラクのT72やT64を数百両撃破しているが,アメリカ側は十数両(しかも,半分が同士討ち)の損害を被ったのみ.
 F15は,レバノン侵攻などで数十機以上のmig23やF4を撃墜しているが,被撃墜数は0.
 人並み以上の体力と,数ヶ月の訓練機関さえあれば,志願兵とほぼ同じように戦える.

http://blog.livedoor.jp/rediscover_myswlf/archives/50079611.html#comments

 【事実】
 そのblogで本人がいみじくも語っている様に,「世間知らずの高校生の戯言」に過ぎません.
 M1-A1にしろ,F-15Cにしろ,その操縦者は長時間の厳しい訓練を経て,それらを扱い,目覚しい戦果を上げているのです.
 例えば,空自でF-15のパイロットに成る為には,最短で4年半は掛かります.地上準備課程だけでも半年かかります.
 それでも,まだヒヨッ子ですので,使い物に成るまでは,あと500時間の飛行時間は必要です.
 つまり,戦力に成るまでは,入隊してから6年以上は絶対に必要です.

 自動化云々ですが,自動化で簡単になったが,別の問題が,ではなく
「すげぇシステムになっちまったので,自動化しないと動かせない」
が本質.
 例えば静安定性のない航空機なんか,自動化してなければ,熟練パイロットでも飛ばすのが精一杯.
 センサーや警報装置や妨害装置や火器管制やら山積みの現代の兵器は,自動化してやっと訓練した兵士なら使える状態,ということです.

 つまり,
「自動化で戦争が楽になった」
って前提がそもそも間違ってる訳で.

 戦闘の高度化による兵士への要求の増大に対する回答が
「人間の能力への自動化による補完」.
 つまり,自動化して人間への負担を機械が軽減してやらないと生き残れないって事です.
 兵士への要求は増大する一方で,それを自動化やシステム化で補ってる状態.此処の兵員の負担は軽くなどなっていません.
「自動化で操作がほら!こんなにカンタンに!」
ってのは家電の発想に過ぎませんよ.

 更に,訓練云々と「操作」はまるで別の話.
 クルマだって,操作ができる様になっても,法規走行習わなきゃ路上に出してもらえませんね?
 たしかにAT車はマニュアル車よりはるかに運転がラクチンだが,実際の教習期間はせいぜい2〜3時間の差.
 例えば,戦車の動かし方だけ知ってても,地形に合わせて素早く隊形を変化させたり,敵を先に発見したり,待ち伏せに適した地点を決めたりするetcが出来なきゃ意味ない.
 そういうのも含めて「訓練」.
 それに,戦場ではその「AT車」のメンテナンスや応急修理技能も求められる,
 いざとなれば「MT車」にも乗らなきゃならない.
 やはり兵器の扱いも重要.
 ハイテク兵器ならなおさら.

---

 自動化と訓練時間短縮の件はこう例えてみると解りやすい.
 オフィスへのパソコンの導入で,事務作業は飛躍的に楽になった.
 かつて1時間かかった仕事が今では10分でできる.
 よってアルバイトでも十分に仕事がこなせる.

 確かにペンとメモ,電卓を使っていた時代に比べて仕事の能率は上がったが,逆に訓練時間は増大した.パソコンの扱いを覚えなきゃならんからね.
 派遣社員(傭兵)に仕事を任せるならともかく,いつ辞めるかも解らんアルバイト(徴兵)を一から訓練して使う,なんていかに非効率的か解るだろ.

 最近の高校生は,アニメかなんかの影響で,道端に落ちているモビルスーツや戦車,戦闘機でも,コクピットに座ったら,即座に手足の如く使いこなせるとでも妄想しているんじゃないの(笑),
 車の免許も持っていないくせに,「頭文字D」ごっこやって自爆する高校生が後を絶たないのが,21世紀の日本だからなあ.


 【珍説】
 一般的な国民がビデオ録画もできない機械音痴ばかりではない.
「先端兵器は高価で熟練に時間が掛かる.必然的にプロ化せざるをえない」
なんて,いつの時代の話だよ.

 それに,ハイテク兵器こそ初心者向けだろ. 「目標をターゲットに入れてスイッチ」だけだからな.
 74式戦車より90式,カールグスタフより軽対戦車誘導弾のが,ベテランと初心者の差は小さいはず.

 【事実】
 ハイテク兵器が「目標をセンターに入れてスイッチ」でよし,というのは確かにそういう一面があるでしょう.
 しかし,その整備について全く考えていない意見です.
 前線では極力,操作する当事者がメンテナンスを行うものです.工場に送り返すような重大な故障はともかく.
(90式戦車の場合,74式に比べて乗員が減った分,一人当たりの作業量が増加したことがかなりの負担になっています)

 簡単に言えば,
「プレステのプレーヤーに,本体の分解掃除・組立ができるのか?」
ということです.
 兵士というのは技術者の集団なんです. ただ引き金を引くだけじゃないんです.
 つまり,「目標をセンターに入れてスイッチ」の機能を維持するための作業は操作する兵隊の仕事なんです.
 手入れ・調整はもちろんのこと,故障したのであれば,
「どこがどう壊れたのか?」
を把握し,報告することも求められます.

 ただ最近のハイテク兵器は,「そこらの兵隊じゃ手に負えない部品が多すぎる」ことが深刻な問題になりつつあります.

 また,確かに最近の兵器は過激な操作熟練者を必要としていません.熟練の必要な制御の一部を兵器自体が行うので.
 しかし,スイッチ一つで機動から照準から攻撃から回避からって全てやってくれるではありません.
 自動車の免許持ってるからって,いきなり戦車に乗せられて,即戦力になる筈がありません.
 戦車の運転は免許があればできますが,戦車長の支持に従って戦闘機動ができる事とは次元が違います.
 ハイテク兵器であれ,それなりの習熟は必要です.
 徴募兵じゃ,ハイテク兵器が習熟出来るかどうか怪しいような短い期間しか,軍隊で教育できません. 徴兵した兵士が出来るは精々,「銃が撃てる」と「命令に従う」程度です.

 そういうものに若い上質の労働力を軍隊に拘束されるって事に,多くの近代国家は意味を見出してないってことです.
 上述のような珍説は,工業化の進んだ国で就業年齢の人間を10年兵隊に取る事が,国家経済にどれだけ悪影響を与えるか想像した事がないゆえの意見と言えます.
 韓国のように,ある日突然国境線の向こうから敵国が侵略してくるかもしれないって国には,意味がまだそれなりにあるやも知れませんが.


 【珍説】
 工業化の進んだ国は,生産の主体がロボットだから,10年の兵役には何の問題ない.
 今の日本でオート化が進行してないように見えるのは,ロボット買うより,中国で奴隷的低賃金で作らせた方が安上がりだから,という経済性原則によるだけ.

 【事実】
 勉強不足もいいところですね.
 工場のロボット化は一人頭の生産力を増やすために行なうものであり,人間が不要になるわけではありません.
 また,若年労働力が慢性的に不足するであろう今後の日本において,若者を兵役という非生産的労働に従事させるのは,無駄以外の何者でもないです.
 日本は世界一ロボット化が進行した工業国です.
 それでも,10年の徴兵制を敷いたら,経済が崩壊するでしょう.端的に言えば,兵役中のそいつらの給料で.


 【珍説】
 世界最高のハイテク軍備を誇る米国において徴兵制復活の議論が起こっている事についてはどう思われますか?

 【事実】
 アメリカで徴兵制が復活するぞと煽っているのは反戦活動家.
 そして議会に徴兵制復活法案を提出したのは民主党の反戦議員.
 つまり,ただのマッチポンプ.

 ブッシュ政権は「徴兵制なんて全く必要ない!!」と否定している.
 特にラムズフェルドは少数精鋭機動軍が信念の男だから,奴が国防長官である限り,徴兵制復活なんて有り得ない.


 【珍説】
 「日本が守備すべき場所の狭さ」を徴兵制復活を否定する論拠にされる方がおられますが,最早この論理は現在通用しません.これから日本が守備すべきはイラクにとどまらない.のでは?

 海外派遣したら,自己意思で入隊する人々の数を維持できない.
 自衛隊の隊員数が激減したら,自衛隊を維持存続するために徴兵制になる.

(ポンボ)

 【事実】
 なりません.
 日本が単独で他国を占領しに行く事は無いので,大兵力は必要ではありません.
 また,むしろ海外派遣したほうが入隊希望者が増えるでしょう.自衛隊のイラク派遣では希望者は募集人員を大きく上回りました.

 ・・・それと自衛隊の募集倍率とか,見たことありますか? 不況のせいもあるけど,一般幹部候補生で50倍の倍率.2等陸士でも5〜10倍.今や狭き門です.

アメリカやイギリスは志願制ですが,新兵の募集が減って困っているという話は聞きません.またドイツは軍の縮小,人員削減を打ち出した上に徴兵制廃止も視野に入れていますが対外派兵を積極的に行う決定を降しています.ドイツ軍は今後,世界中に展開します.ですが軍隊の人員を減らしています.

これらの例からして,例え自衛隊の海外派兵が多くなっても募集人員が減って困るようなことにはなりません.

(JSF)


 【珍説】
 軍板としては「今や軍隊は高度な知識が要求される専門職となっており,昔のような徴兵制が要求されることはあり得ない」ということですね.大変参考になりました.
 わたしの恐れはますます倍増しました.

 それはなぜか.戦争においては
「いやーおれんところもう本職軍人いなくなったんでもう降参.ヤメヨヤメヨ」
こんな事は成り立つんでしょうか.
 ひとたび国家が戦争に踏み込めば人材が払底しようと勝算があろうと無かろうと国が止めるというまでは戦争は続けなきゃならんものでしょう.
 プロのパイロットが次々撃墜され,ろくに操縦桿も握った事の無い十代の若者が,わずかの訓練で戦地に飛び立たなければいけなかった,敗戦前の日本の過去があります.

 【事実】
 現在,先進国間で全面戦争が起こる可能性は非常に低い.
 仮に全面戦争になったら核兵器で一瞬で終わる.
 どちらにしろ長期戦にはなりそうもなく,徴兵制は要らない.
 現代戦はハイスピード戦争.イラク戦争は3週間でバクダッドが陥落した.今残ってる抵抗勢力も多くて総勢5000人ほどであり,徴兵制であるかどうかは問題にならない.



 【珍説】
 敢えて苦言を呈しますが,ハイテク兵器や戦争のオートメーション化を受けて徴兵制はあり得ないと結論するのは,やはり現実を見る眼が足りないというしかありません.

 【事実】
 現実問題として世界の先進国はそれを理由に徴兵制の廃止,兵力数削減,兵器の近代化を図っている.
 このことを無視するのならば,それこそ明らかに現実を見ていない証左.

 また,核兵器の存在が徴兵制不要論の大きなウェイトを占めているわけだが,それは無視ですか?



 【珍説】
 繰り返しになりますが,例えば戦時国家が専門職軍人が不足して戦争続行が難しくなりました.さて国家はこれをどうするでしょうか.戦争終結とはいきませんよね.
経験の浅い者,技術に通じていない者も関係なく動員されていくのは明らかです.

 【事実】
 繰り返しになりますが,大量破壊兵器とハイテク兵器の存在がそのような旧来型の戦争の形を過去のものにしました.
 現代戦はハイスピード戦争です.

 アフリカ諸国のような,旧世代兵器しか持たない国家同士なら,だらだらと続くことはあえりえますが,日本がそのレベルに退化するのはとても難しいでしょう.



 【反論】
>近代軍隊において,徴兵が無意味あるいは有効でない

 これは正確ではない.
 どの国の軍隊でも,技能習得に何年もかかる兵科(職種)もあれば,数ヶ月で習得できる兵科もある.
 経済学的にいえば前者は高技能労働者,後者は低技能労働者となる.
 基本的に徴兵制にすれば,労働市場において民間企業との競合が無いため,一定コストで定員を集めることが出来るメリットがある.

 また,(国によっては)徴兵制により社会福祉コストを抑えることができる.
 例えば総志願制のアメリカ軍の場合,勤続20年で年金の受給資格を得る事ができ,退役時の基本給の半額を一生受け取ることが出来る.
 このため,早い者なら38歳で退役して年金生活に入るため,社会福祉コストを増大させているという指摘もある.
 徴兵制ならば,日本で問題となってる派遣社員や期間工のように,兵士を短期間で使い捨てることが出来るため,社会福祉コストが削減できるというわけだ.

 上記のメリットは,低技能労働者の多いローテクの労働集約型軍隊ほど多い.
 逆に高技能労働者の比率が高い,ハイテク化した近代の軍隊は,装備コストの高い資本集約型の傾向が強く,「徴兵制のメリットは比較的少ない」というのが正確.

 また,ドイツの場合,徴兵制といっても良心的徴兵拒否によって福祉活動に就いている者の方が多く,社会福祉のコストを抑えるというメリットもある.

 なお,徴兵制は単に軍事的,経済的合理性からのみ行われているのではない.
 「市民」は公共財の維持に参加すべきであるというのが,民主主義の原則.
 逆に参加せず,公共財へただ乗りする者は,フリーライダーとして批判される.
(これは右翼の愛国主義とは全く異なる脈絡からの批判であることに注意)

経済板住人 ◆ebHA.RI.WI in 軍事板,2008/10/26(日)
青文字:加筆改修部分

 【再反論】
 徴兵でも任期制でもネックなのは,「一人前」に育てるのと,任期切れがちょうど同じに来てしまうこと.
 そして,そもそも数ヶ月で習得できる低技能労働者ってのは,「アルバイター」のことだ.
 バイトでない正社員を育てるのに,最低限の新人教育が半年.
 使いものになるまで仕事をやらせて経験積ませるのに2年.
 仕事にすっかり慣れてベテランになるのに4年というのは,軍隊でも全く同じ.
 人間の教育にかかる期間ってのは変わらない.
 でもって,自衛隊の場合1任期が2年,2任期終わってベテランになってくれると,曹に昇格して定年雇用の「職業軍人」になる試験を受けてもらうか,除隊を選択する.
(居残り試験的な3任期目も,あるにはある)

 で,お前さんの言ってるような低技能労働者に相当するのは,「徴兵」じゃなく「予備自衛官補制度」な.

 あと,派遣社員や技術工というのは,募集する内容にもよるが「低技能」では無いぞ.
 育てる必要の無い即戦力(として使える技能や能力を持っている),ヘルパーとして,必要な時,必要な期間だけ居てくれればいいから,需要があるという業種だ.
 つまり,「傭兵」あるいは「元軍人で構成された民間軍事会社」に近い.

 それから,ドイツのは良心的徴兵拒否による福祉活動の利益に「頼らないと福祉活動が困る」というくらい依存,あるいは制度的に癒着してしまっているので,止める事ができないというデメリットのが,年々というか時代が進むにつれ,上回りつつある.
(あとどのくらい,持つのか不明)

 なんかご高説を賜ると,軍事にも経済学にも福祉制度にも全然疎いようにしか思えないのだが,お前さん,経済板住人とか名乗るのはたんなるハッタリかい?

軍事板,2008/10/27(月)
青文字:加筆改修部分

 なんか徴兵制,脱線してんな(笑)
 繰り返すが徴兵制は,軍事費用を安くするための仕組みじゃない.
 動員可能な兵員数を多くするために,軍を教育機関的に使う仕組み.

 企業経営的な費用対効果でいえば,2年程度といわず,教育投資を回収できるまで勤務してもったほうがいい(徴兵制以前の軍)
 社会的なコストの面から言っても,あらゆる人を一律2年程度拘束すんのはいろいろ損だ.
 徴兵制ってのは平時の効率性を犠牲にして,長期戦・大規模戦争に備える制度なんだよ.

 利潤を目的とした企業の視点で,お役所の軍隊を理解した気になるから変になるんだよ.
 利潤を目的とする私企業の反対は,国の行う公共サービスであり,警察と軍はその代表格.
 特定利用者に金銭を要求できない仕事だ.
 利益受諾者は国民全体.

 理解したアプローチとして,いろんな視点で見るのは意味のあることだけどさ.

モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板,2008/10/27(月)〜10/28(火)
青文字:加筆改修部分



 【反論】
> 徴兵制ってのは平時の効率性を犠牲にして長期戦・大規模戦争に備える制度なんだよ.

 一般的にはそうなんだが,必ずしもそうではないって話をしてるんだろ?
 戦争に徴兵制は必ず必要というわけではないのだけど,戦争の懸念がない状態なのに徴兵制を必要とする場合もある.
 政治的な状況,財政的な状況上,そういう国もある.

 カンボジアは軍縮を行い正規軍を解体縮小するために徴兵制を導入した.
 マレーシアは徴兵制をしいているが,軍事教練の類いは全く行っていない.

軍事板,2008/10/28(火)
青文字:加筆改修部分

 【再反論】
 そんなレアケースを例にあげられても困る.
 俺の言ってるのは,欧州および日本でとられてたような近代徴兵制だ.

 繰り返すけど思考実験として,経済板住民みたいな視点は悪くないと思うよ.
 でもそれが本流で本スレ>>220が傍流かというと違う.

 でも,確かに徴兵制なんていろいろあるから,こうといいきれるようなもんじゃないわな.
 「どっちも正しい」でいいや.

モッティ ◆uSDglizB3o in 軍事板,2008/10/28(火)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 近代軍隊において徴兵が無意味あるいは有効でない,というのであれば,ではなぜドイツや韓国,北欧諸国では徴兵制が続いてるんですか?

 【回答】
ドイツ他欧州諸国:
 冷戦の名残り.
 既に形骸化してる.
 まあ一応そういう社会的なルールみたいな?
 ドイツの場合は
「兵役は処罰されることなく拒否できる.
 その替わり,福祉ボランティアに志願する義務がある」
という制度になっているので,その”強制ボランティア制度(矛盾した言葉だな)”を変えなければ,徴兵制も変えられない.
 福祉予算の増大化を強制ボランティア制度が食い止めている側面があるので,改正の目処はあまりない.

韓国:
 地続きの北朝鮮とガチで睨み合い中.
 人海戦術とってくるだろう北に備えるには,ある程度の量が必要.
 未だに朝鮮戦争は「休戦中」であって終わってはない.

 北欧は,WW2にてアメリカ,イギリス,フランスに見捨てられた事によるトラウマ.
 また,ソビエト(現ロシア)という強大な仮想敵国が隣にある上,人口が少ない.
 志願制では最低限度の兵力を確保出来ない恐れがある.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【珍説】
 スイスが武装中立なのは,自国防衛という目的だけでも徴兵制を敷かないと成り立たないということですかね?
 それとも他国戦争への介入も辞さないという政策転換なんでしょうか?

 【事実】
 政策転換などしていない.
 永世中立国は全て発生時点から武装中立.そして国防は自分一国で行わなければならない,だからこそ徴兵制.
 孤立無援の状況下で援軍を期待してはならない中立国家の国防は非常に困難な事であり,スイスは冷戦期には核武装まで模索していた.平和とは武器を棄てることによりもたらされるものではありません.

・スイスの国防政策が良く分かる≪スイス民間防衛≫


 【珍説】
http://obiekt.hp.infoseek.co.jp/peacemaker/draft_0.html
を参考にさせて頂きました.
 わたしの疑問のすべてを再確認することに役立ちました.
<平和を望むものは戦争を理解せよ>
 まあ実質「戦争を欲せよ」ということなんですけどね.
 私と敵対する陣営がいかなるものかを勉強させてもらいました.

 すいませんできたらアメリカ徴兵制復活はデマだったという本国ソース出してもらえたらありがたいんですが.いや全く信じないというわけではなくて.一応情報を提示するにはそれをフォローする上でも無駄ではないと思ってるだけで.

 なんというか,みなさん反戦論者を甘くみているようにもおもえますね.
 はっきりいって現実主義的なはずの皆さんの,とても能天気なのがとても怖いです.いっそのこと
「貴様は国防をなんと心得ているか!」
と突っかかって来る方がよっぽどマシです.
 あと,今になっても国防の論理を盾に戦争に賛成させようとおもっても通用することはないでしょうね.
 反戦論者を変人扱いするのもあまり有効ではないと思いますよ.
 紹介されたサイトにしても,戦争を望まない人に対して戦争を入り込ませようとしているだけなのがバレバレなんだけど.

 うーんそうかあ.皆さんは首相が
「自衛隊は武力行使しにいくわけではないのです」というのも
その通りに受け取っていらっしゃるのかなあ.
「首相はおかしな事を言ってるぞ」
とか少しも思ったりしないのでしょうか.

 【事実】
 参考になったのでしたら幸甚に存じます.
 しかし,訊ねる前に答えはご自身の中にすでにお持ちだったようですね.些か失望を禁じえません.
 じつは戦争を欲している軍オタはそう多くはありません.大切な兵器が壊れたらどうするんですか!?
 ……と,(コレは冗談にしても,敵対する陣営,と軍事板自体の共通思想か何かを想定なさっているようですが,そんなものはありません.

 一次ソースは,そのURLにヒントが載っておりますので,ご自分でお調べくださるとよろしいかと思います.

 それに,この板にも戦争行動自体を嫌っているものは少なくありません.その意味では「反戦主義者」を甘く見るどころか,「反戦主義者」もこの板の中の一勢力と言ってもいいかもしれません.
「負ける戦争は絶対に反対だ」
という反戦主義はこの板では強い賛同を得られておりますゆえ.

 現実主義は薔薇色の,あるいは空疎な理想を持たぬがゆえに,能天気に思えるかもしれません.
 とりわけ世界を現実の目ではなく,かくあるべしというバイアスによって認識している人々には現実主義者に対し,そういった印象を抱きがちです.

 戦争に賛成する,しないというのはイデオロギーではなく実利によって国民が選択することでありますので,多くの国民がその必要性を感じたならば,戦争という選択肢を選ぶこともあるかもしれませんね.
 しかしそれは政治の問題であり,軍事には直接的には関わりのないことです.
 しかし,国民として正しい選択をするためには軍事システムについての知識を持つのは,決して無駄ではないでしょう.

 【珍説】
 わたしが言うのは「現実をわかっているのなら,今の日本がいつでも徴兵制に移行できる体制を作ろうとしている事ぐらいは承知してるはずだ」という事なのです.

 【事実】
 意味不明.そのような動きとやらがあるなら具体的に教えて欲しい.また仮にあったとしても別に問題ではない.

 例えばコスタリカ憲法にはこうあります.
「有事の際は徴兵制軍隊を復活できる」
 しかしコスタリカが徴兵制に移行する可能性は低い.

 ・・・むしろ,徴兵制に絶対移行できない体制があるのなら教えて欲しい.

 【珍説】
 現在の日本において,専守防衛の建前を堂々と踏み越えた自衛隊が,これから自衛官を募集しても,なり手があるのでしょうか.
 その意味でも,徴兵制復活のおそれは見当違いでもなんでもないと言ってるのです.

 【事実】
 むしろ海外派兵をした方が人気出るんじゃないか?
 自衛隊のイラク派遣では希望者が殺到したよ.

 それと自衛隊の募集倍率とか,見たことありますか? 不況のせいもあるけど,一般幹部候補生で50倍の倍率.2等陸士でも5〜10倍.今や狭き門です.

 「専守防衛の建前を堂々と踏み越えた」というのも,首を傾げたくなる見解ですし.他国での治安維持・復興支援活動が,どう日本の防衛戦略を変更したことになるのかと小一時間問い詰めたいですな.


 【珍説】
 わたしは正しい戦争にも,良い戦争にも,「われわれは平和を愛する」といって爆弾と食料を落とす戦争にも反対です.
 そして何よりあなたが犬死にするために国家権力から引っ張り出されることに反対です.
 そのためなら「やたらと反戦平和をがなりたてる迷惑な人」に喜んでなるつもりです.
 戦争は反対だけど,条件付でこれこれこういう場合はいい戦争だから賛成とかいうのは,バランスのとれた判断とは言わない.中立中道なる政治的判断は存在しない.
 どちらかに与することに結果としてなるのだ.

 【事実】
 このスレッド(●初心者歓迎 スレを立てる前に此処で質問を 130)は貴方の政治的主張を垂れ流す場所ではありません.スレッドの趣旨を良く御読み下さい.

 あらかじめ自分の中で答えを持っていながらも質問する,あるいは自分の望む答えが得られるまで粘るというスタンスの人は,心理学用語で言う『確証バイアス』の一種だと思われます.

 ですが,貴方がいくら粘っても無駄でしょう.貴方の主張には具体的な根拠も何もなく,ただ貴方の妄想でしか無いからです.

「軍事についてちょっとでも知っている人なら,日本で徴兵制が復活する可能性は当面,非常に低いと認識している.徴兵制はメリットがない」
 貴方はこの場所でこの意見が大勢である事を知りました.それ以上の何を望むのです?

 というか,徴兵制の何がいけないんだ?
 日本国っつー共同体の利益を守るのに,ソレが必要だったら,徴兵制でもなんでも敷くべきだろ.
 そりゃ戦争になんか行きたくないがね.

 「質問者」が徴兵制が悪だという前提で話してることのほうが,徴兵制がコスト的に見合うかどうか,将来的にありうるかどうか,よりもよっぽど問題だろ.

 軍板住民のほとんどは,コスト的に無意味だから徴兵制に反対してるのであって,徴兵制そのものに反対してる人は少ないだろ.
 徴兵制が志願制より圧倒的にコストがかからなかったり,徴兵制を敷かないと国防がどうにもならんかったりするのであれば,徴兵制に対して反対はしないと思うが.

 むしろ,徴兵制に絶対移行できない体制ってのがあるんなら教えて欲しいよな.
 コスタリカも有事の際は徴兵制軍隊を復活できると憲法に書いてある.
 反戦運動家が大好きなコスタリカ平和憲法にね.
 軍板住人が言う「メリットがないから」ってのは,説得力のある答えだと思うんだが.

 そもそも,「質問者」は徴兵制がどんなものか分かってるんだろうか?
 今年の「日本の論点」にも載ってるから,基礎知識を仕入れるという意味でも,一度読んで見ることをお薦めする.
けっこう発見があると思うぞ.

 単にこの「質問者」は,若者に徴兵制復活の恐怖を煽って政権打倒とか憲法改正を阻止したいだけなんじゃないの?
 だから「徴兵制が復活しそうだ!」じゃないと困る,と.
 左側の政治勢力がよく取る詭弁.徴兵されるのが嫌って感情を,政権批判に向けたい人々の.


 【珍説】
 人件費抑制のために徴兵なんだよ.
 常時兵員には給料支払わなきゃならんだろ.
 そこは抑えておいて,臨時徴兵ならば,これは税とおなじで国民の義務なので,給料らしい給料は払わなくてよい.
 難しい兵器は職業軍人に,銃を担がせて量を求める歩兵には徴兵兵員で充分.

 【事実】
 はっきりいって金はかかります.
 最低限当然の給与払わなけりゃいけないし,徴兵されたやつでも腹はへるし,電気も使うし制服,戦闘服いろいろ支給しなきゃいけないし,徴兵専門の教育隊も作らないといけないし,それを教育するためには,もっと維持するのに金のかかる下仕官を助教として大量に迎えないといけないし,当然教官の仕官もいる.

 しかも,徴兵した兵士に最低限教え込まないといけないことは,これだけあります.

自分が使う兵器の整備分解組み立て.
上官の命令に従うこと.
自軍と敵の見分け方.
捕虜になったときのアレ…つーか捕虜関係.

 とりあえずこれぐらいは教えとかないと自軍の邪魔になります.
 さて,これを臨時徴兵して,そして教え込んでから戦争に行く閑はあるでしょうか.

 徴兵制の大きいメリットは,ちょっと再訓練したら使い物になる兵士になる一般国民がいる,ということです.
 戦争時だけ徴兵なんて意味無いです.
 失業者が大勢いてどうしようもない国とかなら,徴兵制のメリットも,失業対策の一環として無くはありません.
 しかしこの場合の「失業率が高い」っていうのは,30%とかそういうレベルの話です.

---

 たとえ話をしましょうか.

 あなたの会社では警備員を雇っています.
 しかし警備員に払うお金がもったいないので,警備員の数を減らして,その分を社員に警備させることにしました.
 もちろん社員は,警備している間,それ以外の仕事はできません.
 さて考えてみましょう.

1,本当に経費削減になると思いますか?
2,本当に警備のレベルは変わってないと思いますか?


 【珍説】
 私は,軍隊を維持するために徴兵制になると言っているのではありませんよ.
 私は軍隊の効率を言っているのではなく,道義的な意味で,軍隊を持つなら徴兵は当然であろうと申し上げているのですよ.

ぼたんの花

 【事実】
 「道義的な意味」って何?……

 軍隊は効率性が全てです.そうでなくては戦争で勝てないからです.
 故に効率性が悪く必要性の低いものは採用しません.⇒more

 ところで貴方は以前,「ブッシュ共和党は徴兵制復活を画策している!」と,ソースも無く非難していたのに,今では「道義的な意味で軍隊を持つなら徴兵は当然」ですか.
 ちなみにアメリカの議会で徴兵制復活法案を提出したのは,民主党の,しかも反戦運動に携わってきた議員です.

 要するに反戦運動の見地から,「徴兵制はあったほうが反戦運動がやりやすい」という事なのでしょうか?

 ちょっと前まで徴兵制復活の恐怖を煽っていた人が,どうやら徴兵制は復活しそうにない・・・と気付いた途端に「道義的に軍隊は徴兵制であるべきだ」と言い出すのは,あまりに節操が無いというかなんというか・・・

(JSF)


 【質問】
 とある本を読んでいて,
「徴兵制の確立した近代の軍隊ならともかく,(日本の)戦国時代の戦争ではそんな消耗戦はできない」
という記述に当たりました.
「戦国時代も強制的に兵隊集めていたんじゃないの?」
という疑問がわき,自分で調べてみたところ,
1 ナポレオンが徴兵した時のようには,国家に対する帰属意識がないため,消耗戦をしかけると嫌がる.
2 複数の諸侯の所有物である兵隊の寄せ集めであるため,消耗戦をすると家臣である諸侯が嫌がる.
3 近代の徴兵による兵士は職業軍人であるのに対し,戦国時代の徴兵による兵士は民兵であるため,消耗すると即生産に支障がでる.
という理由を考えるに至りました.
 同じ強制的な募兵でありながら,消耗戦が可能になる,ならないの要因はなんでしょうか?

 【回答】
 戦国時代でも農民は兵士にされた.
 ただそれは「奉公」「兵役」であって,近代以後の「徴兵」とは異なる.
 君が挙げているような理由から,例えば越後の上杉謙信はいつもあと1歩のところで戦争を切り上げなければならなかったし,織田信長はそれを嫌って傭兵を主力にしていた.

 フランスが近代徴兵制を確立して以降は
「国が負けたら自分達の生活もなくなる」
という「主権者意識」を兵士となる国民に植え付けた事が大きい.

 そういう意味で近代徴兵制は「強制募兵」とは言えない,とも言える.

 あと,近代になったら爆発的に人口が増えた,というのも大きい.
 特に第一次大戦までは「頭数が多く人命が安い」時代だったから,「使い捨て」が可能だったわけで.

 フランスでは王政時代から民兵組織があり,徴兵を行っている.
 兵役4年,徴兵数は人口比,社会階級に関係なく独身者が対象というもの.
 こいつらは革命期の国民志願兵の母体になった.
 ナポレオンが行ったのは動員の効率化.
 それでも末期には人的資源が枯渇,動員に対応出来なくなってしまっているが.
 士気に関しては,初期の国民志願兵は敵と出会っただけで敗走している.

 フランス革命によって,世界で初めて国民国家がフランスにできた.
 それまで国は,王様や貴族のものだったが,国家は国民のものに変わった.
 国民国家の特徴は,戦争にベラボウに強いことだった.
君主制→国家は君主のもの→君主の私兵が国家を守る
民主制→国家は人民のもの→人民の軍隊が国家を守る
だから,士気が段違い.
 そのため,世界中が真似をし始めた.いや,真似をせざるを得なかったと言うべきか.
 日本の明治維新もこの流れの中にある.
 ナポレオンやヒトラーがいかに独裁者であろうとも,フランスやドイツが国民国家であることに変わりなく,国民国家出現以前の国とは根本的に違う.
 ナポレオンは民衆に,自己を独裁者じゃなくて統率者であると信じ込まさせることができたから,あれだけのことをやれた.


 【質問】
 チャイルド・ソルジャーとは?

 【回答】
 貧しい発展途上国などで戦闘に従事させられている,15歳以下の少年兵を指す.
 以下引用.

[quote]

 ジュネーブ協定により「15歳以下の子供の徴兵」は禁止されているが,抜け道が多過ぎるため,国際社会は2002年2月,「18歳以下の子供を徴兵禁止(15歳以上の自発的な入隊を除く)」とする「子供の権利条約」を発効した.

 しかし,大人と比較して子供は思想刷り込みがた易く,脅かしにも弱い.
 さらに近年,軽火器軽量化が進み,子供でも十分扱えるようになったため,兵力不足を解消する格好の新戦力として,アフリカ・中南米・中東・アジアなど多くの国に,現在も30万人以上のチャイルド・ソルジャーが存在すると言われる.

[/quote]
―――下村靖樹, a photo jouanalist, 『SAPIO』 2003/4/9号, P.95

▼ 『子ども兵の戦争』(P・W・シンガー著,日本放送出版協会,2006.6)は,世界中で主流になってしまった「子供の兵隊」にスポットを当て,その実情を書いている.

 映画「ブラッド・ダイアモンド」もこの本をモデルにした表現が散見される.

 例:

1.村を襲って子供を誘拐し,兵隊にする.

2.さらってきた子供を最初は暴力で脅し,恐怖で縛る,その後,子供に人を殺させ,また麻薬や教化で,組織の一員であることを自覚させる.

等・・・・.

 また,貧困から子供達が自発的に兵隊になることもあるし,場合によっては,親達が自分達の就職の便宜を図ってもらうために,子供を兵士に差し出すところもある.

 そして,子供兵はモラルを教育されていないのと,小さい頃から実戦を経験することによって,優れた兵隊になるという・・・.
 イラクでも,子供を使った攻撃によって,米軍兵士に被害が出ている.

 また,ウガンダだったか・・・SASが子供のいる組織に奇襲攻撃を掛けたが,奇襲自体は完全な成功だったにも拘らず,SAS側に数十人規模の損害が出たそうな(死亡は一名)

 これはかなりゾッとしない話だ.
 日本などの先進諸国ではあまりイメージできないが,世界では「子供が戦場にいること」が常識となっている,
 いたたまれない話ではあるが・・・.

 この本はかなり面白いので,ご一読をお勧めする.

ますたーあじあ in mixi,2008年01月28日15:54▲

 片や,先進国ではロボット化(リモコン化).
 片や,失敗国家ではチャイルド・ソルジャー.
 両者が合いまみえたときのことを想像するに,空恐ろしい.

 【関連動画】
まだ幼いうちから格闘技訓練を受ける子供兵士(「ひろぶろ」より)

(画像掲示板より引用)


 【質問】
 「インターネット中毒によって徴兵免除されたケースがある」というのは本当か?

 【回答】
 本当.フィンランドでの話.

 CNN〔リンク切れ〕によれば,軍の徴兵担当者は,
「一晩中,インターネット・ゲームで遊び,友達もなく趣味も持たない若者にとって,入隊は大きなショックのようだ.何人かが調子を崩して医師の元へ駆け込み,軍にはいられないと主張している.
 医師は,インターネット中毒だと判断した」
と述べている.

 新手の徴兵忌避の手口に使えるかも.


 【質問】
 よく映画や小説などで天才的な能力を持つ犯罪者に対して,罪を不問にする代わりに,その能力を生かして軍事作戦や諜報活動に参加させるという内容が多く見られますが,実際に近代国家でそのような作戦をとったことってあるのでしょうか?
(江戸時代の同心が,博徒や咎人を目明かしや密偵に利用していたことで思ったのですが)

 【回答】
 満州浪人であるとか剣匪・馬賊,
 アメリカのギャング,ラッキー・ルチアーノ,
 ドイツ占領下でナチ/レジスタンス双方が利用した犯罪者,
 フランス軍がインドシナ紛争で雇用したドイツ人兵士(戦犯の可能性がある親衛隊出身者含む),
 当初のフランス外人部隊,
 コンゴ動乱時にCIAが暗殺者として雇った犯罪者
など,公的に認められたものも都市伝説的な者もいくらでも枚挙できます.

 有名どころではかのオスカー・ディルレワンガーが作ったオラニエンブルク密猟者コマンド.
 パルチザンやゲリラ討伐にはその道のプロにやらせるのが有効と提唱して,刑務所から密猟者や犯罪者をかき集めて部隊を編成した.
 後に強制収容所に収容されていた政治犯,軍法会議で有罪となった兵士,ロシア兵捕虜などと兵員を増強してSS突撃旅団「ディルレワンガー」へと拡大.
 ワルシャワ蜂起では戦闘そっちのけで虐殺・暴行・掠奪を行い悪名をはせた.
 その後名前のみだが第36SS所属武装擲弾兵師団に昇格.
 大戦末期には第9軍所属となり,ハルベ脱出戦で赤軍に降伏し捕虜となったが,その後全員消息不明になったといわれている.
 ディルレワンガー自身は45年始めに負傷して師団から,離れ西側の捕虜となったが,その後フランスの捕虜収容所で何者かに撲殺された.

 ラッキー・ルチアーノについては,ジャック・ヒギンズがこのネタで「ルチアノの幸運」(早川文庫,1987/10)という小説を書いている.
 ただし,本人はシチリアには行っておらず,米軍は彼がシチリアに持っているコネクションを利用して,マフィアにドイツ軍の活動のスパイや道案内をさせていたらしい.


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