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◆◆◆イエメンにおけるアル・カーイダ系組織
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テロリズムFAQ目次


 【link】

「Blogs of War」◆(2013/05/20) Two suspected militants killed in Yemen drone strike

「Guardian」◆(2010/06/20) Gunmen raid Yemen intelligence HQ

「IISS」:06 Jan 2010 - - Channel 4 News - Is Yemen becoming a terrorist hotbed?

「LA Times」◆(2011/10/16)Al Qaeda militants killed in U.S. drone strike, Yemen says

「Strategy Page」◆(2010/04/18)YEMEN: Doing The Math

「Strategy Page」◆(2010/05/07)YEMEN: Terrorized Terrorists Run For Cover

「Strategy Page」◆(2013/04/09) YEMEN: War Without End

「Strategy Page」◆(2013/04/17) YEMEN: Something To Die For, Someone To Blame
 改革を迫られていたイエメン,サレハ一族を権力から除外

「Strategy Page」◆(2013/05/02) YEMEN: Al Qaeda Dies Hard

「Strategy Page」◆(2013/05/18) YEMEN: Death Squads Gone Wild

「Strategy Page」◆(2013/06/03) YEMEN: Al Qaeda Comes Down From The Mountains To Play

「VOR」◆(2012/01/16)アルカイダ,イエメンの刑務所を襲撃

「VOR」◆(2012/01/31)米国無人機,イエメンで15名の戦闘員を殺害

「VOR」◆(2012/02/13)イエメンでアルカイダはスパイ罪で3人を「処刑」

「VOR」◆(2012/02/25)イエメンで爆発 26人が死亡
「VOR」◆(2012/02/25)イエメンの爆発 アル・カイダが犯行声明

「VOR」◆(2012/03/05)イエメン南部での戦闘犠牲者 100名を超える

「VOR」◆(2012/03/18)米国人 イエメンで殺害

「VOR」◆(2012/04/02)「アルカイダ」,イエメン軍を分裂させる

「VOR」◆(2012/04/03)イエメン「アルカイダ」の戦闘員40名死亡

「VOR」◆(2012/04/19)CIAの無人機 イエメン爆撃 パキスタンと同じ

「VOR」◆(2012/05/07)イエメン アルカイダの攻撃で兵士40人死亡

「VOR」◆(2012/05/07)イエメン最重要テロリスト10名のうち1人が殺害
>イエメン西部のシャブワ州で2000年に発生した米駆逐艦コール爆破事件などに関与し,FBIが最重要指名手配としたテロリスト10名のうちの1人,モハメド・アフメド・アル=クソが殺害される.
>ある部族長によると,米軍の襲撃で死亡したとしている.

「VOR」◆(2012/06/15)イエメン軍 南部のアルカイダ拠点を襲撃

「VOR」◆(2012/08/05)イエメンで葬列が爆発 40人以上が死亡

「VOR」◆(2012/09/04)イエメンでガスパイプライン爆破される

「VOR」◆(2012/09/11)イエメン 国防大臣殺害を目的とした爆破テロ発生

「VOR」◆(2012/11/28)イエメンの首都でサウジの外交官殺害

「VOR」◆(2013/04/04) イエメン,テロ対策支援をロシアに求める

「VOR」◆(2013/07/06) イエメン 首都で自動車爆発2人死亡

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/04/12)イエメン  混乱に乗じて拡大するアルカイダ勢力 戦略的要衝ソコトラ島をめぐる動き

「スパイ&テロ」◆(2012/05/08) 爆弾魔=イブラヒム・アルアシリ
AQAPの爆弾専門家

「中東の窓」◆(2012/05/08)イエメン情勢(対テロ戦争)

「中東の窓」◆(2012/06/29)イエメン情勢(アデン県庁に対する攻撃)

「中東の窓」◆(2012/07/12)イエメンのテロ

「中東の窓」◆(2012/08/19)アデンでのテロ攻撃(イエメン)

「中東の窓」◆(2012/08/21)ガス輸送管の爆破(イエメン)

「中東の窓」◆(2012/09/11)国防大臣の暗殺未遂(イエメン)

「中東の窓」◆(2012/09/12)イエメン情勢(11日)

「中東の窓」◆(2012/10/18)対テロ戦争(イエメン)

「中東の窓」◆(2012/11/06)サウディ国境警備隊員2名の死亡(イエメンとの国境)

「中東の窓」◆(2012/11/11)アルカイダと関係する部族長の外出禁止(イエメン)

「中東の窓」◆(2013/04/09) 送電線,石油・ガスパイプラインに対する破壊活動(イエメン)

「中東の窓」◆(2013/04/18) アルカイダ指導者の死(イエメン)


 【質問】
 「アラビア半島のアル・カーイダ」とは?

 【回答】
 2009年1月,イエメンとサウジアラビアのアル・カーイダが結成した新グループ.
 指導者は,米国籍のアンワル・アウラキ師だとされている.
 イエメンでは過激原理主義者が1000人を超えるとされ,アル・カーイダは政情不安につけ込む形で勢力を拡大している,と報じられている.※1
 同年12月にはイエメン政府軍が,米軍の支援を受けて,アル・カーイダ掃討作戦を展開した.

▼ また,政府当局者が2010.9.21に明らかにしたところによれば,同様の掃討作戦は,2010年9月にも開始されている.
 当局者が匿名で語ったところでは,これは武装勢力が液化天然ガスを輸送するパイプラインを,その先週に攻撃したことを受けたもので,政府は山間部を包囲するため,兵器やジェット機,ヘリコプターなどで武装した部隊を送り込んだという.
 当局者はまた,武装勢力が民家を占拠して立てこもっていると述べたが,8万人が避難したという情報は否定した.
 米政府高官によれば,攻撃にあたって米軍は情報を提供し,監視や偵察を支援したという.
 しかし,計画と実行を主導したのはイエメン軍だとしている.※3▲

 2009年現在CNNのアナリストを務めるマクローリン元米中央情報局(CIA)副長官は2009.12.27,ロンドンでアル・カーイダが新たな構成員を募っている証拠は度々確認されていると指摘.
「ムタラブはイエメン人との接触を自供しており,イエメンにはアル・カーイダが進出しつつある」
とコメントしている.※2

 【参考ページ】
2009年12月28日7時56分,産経新聞(ロンドン=木村正人)※1
2009年12月28日10時51分,CNN※2
CNN,2010年9月22日(水)10時42分※3


 【質問 kérdés】
 アンワル・アル=アウラキって誰?
 3行以上で教えて!
Ki az Anwar al-Awlaki?
Kérem, mondja mega 3 vagy több sorokban.

 【回答 válasz】
 アンワル・アル=アウラキ(1971年4月21日 - 2011年9月30日)はアメリカとイエメンにおけるイマームであり,イスラーム講師.
Anwar al-Awlaki (1971. április 21. - 2011. szeptember 30.) amerikai és jemeni szélső imám és iszlám előadó.
(写真1)
 「アラビア半島のアル=カーイダ」(AQAP)の宗教指導者であり,ネットを通じて啓蒙活動やテロの指南を行ったため,ついた綽名が「インターネットのウサマ・ビン=ラーディン」.
 2011年,アメリカの無人機攻撃により殺害された.

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 世間の一部には,
「テロリストは貧困層が起こす」
というウソを信じている人がいる.
 しかし,連合赤軍事件などを見ても分かるように,実際にはテロは高学歴者が主導していることが多い.
 アンワル・アル=アウラキも,そうした高学歴テロリストの一人である.

 アンワルは1971年,ニューメキシコ州ラスクルーセスでイエメン出身の両親の元に生まれた.
 そのため,彼はアメリカとイエメン両国の国籍を持つ.
 彼の父親はミネソタ大学に勤務した後,アンワルが7歳の時に一家でイエメンに帰国し,首都のサナアにあるサナア大学の学長を務めている.
 つまりアンワルは,「貧困層から這い上がった高学歴者」ですらなく,富裕層の出であることが分かる.
 ビン=ラーディンもそうであったように.

 1991年,アンワルは学生ビザでコロラド大学に入学.
 同大学学内のムスリム学生連盟議長.
 同年夏,アフガーニスタンで元ムジャヒッディーンから軍事訓練を受けた模様.
 当時,パキスタン軍諜報部はイスラーム過激原理主義者と結託して,アフガーンにそうした訓練キャンプを設けていた.
 当のアフガーン人にとってはいい迷惑である.

 1993年,世界貿易センター爆破事件発生後,アンワルは再びアフガーニスタンに渡る.
 そしてアブドゥッラー・アッザームに影響を受けたためか,アメリカ帰国後,政治活動を開始.

 1994年,結婚.
 デンバー,次いでサンディエゴのムスリム協会でイマームを務める.

 1996年と1997年に,サンディエゴで買春容疑で2度逮捕.
 アンワルは有罪を認め,罰金を支払った.

 その後,サンディエゴ州立大学で修士号を取得.

 同地で,2000年の米艦コール襲撃事件の首謀者たちと接触していた模様.

 2001年,アンワルはジョージ・ワシントン大学の博士課程に進んだ.
 同年発生したのが9.11テロである.
 航空機ハイジャック犯らも,サンディエゴでアンワルと接触していたことを当局に知れる.
 それ以前にもFBIは,ハマスの資金を追っている過程でアンワルの捜査を行ったことがあった.
 そのためFBIは,アンワルに尋問を4度行ったが,逮捕までには至らず.

 現実に逮捕の可能性が高かったのは,買春容疑のほうだった.
 アンワルの動きを追跡していたFBIは,2001年11月から2002年2月の間,ワシントンDC地区で少なくとも7回,売春婦と会ったとしていたことが,後にリークされた文書に記述されている.
 ワシントンだけで2,300ドルを買春に費やしたという.
 高尚なことを説教していながら,自分自身は下半身にだらしない他罰的性格というのは,テロリストなどにはありがちな話.

 アンワルもこれは逮捕必至と見たのか,2002年にイギリスに移住.
 ロンドンやアバディーンなど各地で説教をした.

 2004年,アンワルはイエメンに帰国し,表向きは大学講師となって,一族の故郷であるアタクで妻と5人の子供と暮らし始める.
 他方,AQAPの前身組織に参加.
 後に,同組織の宗教的指導者となった.

 しかし誘拐事件を起こしたとしてイエメン警察に逮捕され,18ヶ月間投獄.
 もはやすっかり常習的犯罪者になっていたらしい.

 2007年に釈放されると,シャブワ県の山岳地帯の寒村に移住した.
 イスラーム過激原理主義思想の説教を辞めたわけではもちろんない.
 たとえば2009年11月に発生した米陸軍基地銃乱射事件のニダル・マリク・ハサン,同年12月のデルタ航空機爆破テロ未遂事件を起こしたウマル・ファルーク・アブドゥルムタッラブ Umar Farouk Abdulmutallab も,アンワルの説教を受けていた.

 2010年,AQAPはアル=カーイダ系で初となるオンライン英字機関誌「インスパイア」を発刊.
 同誌は「家庭での簡単な爆弾製造法」や幹部インタビュー,テロ犯の功績などを紹介するものだった.

 もはや看過できず.
 同年4月,バラク・オバマ大統領は,アメリカ国家安全保障会議の同意の下,アンワルの殺害計画を承認する.
 後に公開された内部文書によれば,米政府はAQAPを「敵対勢力」と認定するとともに,指導者のアンワル師を拘束することは不可能と判断.
 アル=カーイダに対する武力行使を正当とする判断は,米国民である同師にも適用できると結論付けたという.
 アメリカ国籍保有者がCIAの暗殺リストに載ったのは,彼が初めてだった.

 同年5月,ニューヨークのタイムズスクエアで爆弾テロを起こそうとして男が逮捕されたが,彼もアンワルと接触があった.

 同年11月,アンワルはイエメンにおいて外国人殺害容疑で被告人不在のまま起訴.
 イエメンの裁判所はアンワルの逮捕命令を出した.

 2011年5月,アメリカ軍はアンワルの乗っていると思われる車にミサイルを発射したが,殺害失敗.
 その後,アンワルはイエメン南西部に潜伏していた模様.

 2011年9月30日,イエメン中部マーリブ州でCIAの無人機による攻撃を受け,死亡した.
 アンワルはアメリカ国内においていかなる罪についても逮捕状が出ておらず,人権団体の中には政府の決定に疑問を投げかける者もいる.
 批判的な人々は,米国籍を持つテロ容疑者を米国外で殺害する場合の法的な基準を公にするようオバマ政権に求め,そうしない限り,そのような殺害は米国法と国際法に違反する裁判手続きによらない死刑に当たると指摘した.

 一方,ネット上に拡散したアンワルの説教ビデオは,彼の死後も影響を持ち続け,たとえば2015年の「シャルリー・エブド」紙本社襲撃事件の実行犯も,その影響を受けていたという.

 【参考ページ Referencia Oldal】
http://www.dailymail.co.uk/news/article-2353860/Al-Qaeda-leader-Anwar-al-Awlaki-spent-thousands-prostitutes.html
http://www.afpbb.com/articles/-/2678132
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A2%A5%F3%A5%EF%A5%EB%A1%A6%A5%A2%A5%A6%A5%E9%A5%AD
https://www.cnn.co.jp/usa/35049858.html
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2011/11/post-2336.php
http://www.sankei.com/world/news/150111/wor1501110033-n1.html
https://newsphere.jp/world-report/20130524-3/
http://blog.livedoor.jp/intel_news_reports/archives/18759076.html
http://blog.livedoor.jp/abu_mustafa/archives/3068783.html
http://blogos.com/article/20720/
https://www.npa.go.jp/archive/keibi/syouten/syouten279/p02.html
http://www.afpbb.com/articles/-/2831882?pid=7852794
http://www.moj.go.jp/psia/ITH/organizations/ME_N-africa/AQAP.html

【ぐんじさんぎょう】,2017/10/21 20:00
を加筆改修


 【質問】
 サイード・シャハリって誰?

 【回答】
 サイード・アリ・アル=シャハリ Saeed Ali al-Shehri は,「アラビア半島のアル=カーイダ」(Al-Qaeda in the Arabian Peninsula,AQAP)のナンバー2.[1][2]

 サウジアラビア出身.[1]
 おそらく中卒[3]

 米国防総省によれば,2000年,アフ【ガ】ーンに渡り,2ヶ月間,カーブル北方のリビア人キャンプにて訓練を受けたという.[3]
 ただしシャハリ自身は,彼の家族の家具事業のため,カーペットを購入しに渡ったとしている.[3]
(編者の私見では,当時のアフ【ガ】ーンの絨毯産業は,長期の内戦によって著しく技術が低下しているため,彼の話は怪しい可能性のほうが,そうでない可能性のほうが高い)

 2001年,彼はサウディを出国してバーレーンに渡ったが,このとき,アフ【ガ】ーンのイスラーム過激原理主義者に資金を渡した疑いをもたれている.[3]

 同年12月,スピンボルダク近くのパキスタン国境で逮捕.[3]

 キューバのグアンタナモ米海軍基地に収容されていたが,2007年にサウジへ引き渡された.[1]
 そして同国で矯正教育を課され,出国を禁じられていたにもかかわらず,その後イエメンへ渡ってAQAPに参加.[1][2]
 テロ実行などに深くかかわっていたとされる.[1]

 2011年9月20日,イエメン南部のアビヤン(Abyan)州にて,数回にわたって米軍無人機から攻撃されたが,死を免れた.[2]

 2012.9.10,イエメン国防省はシャハリを殺害したと発表.[1]
 AFPやイエメン国営サバ通信によると,シャハリは同日,東部ハドマラウト渓谷での作戦で殺害されたという.[1][2]
(ただしAFPはシャハリ死亡を独自には確認していない)[2]
 イエメン軍による作戦と発表されたが,複数の地元治安当局者はCNNに,米軍の無人機が攻撃を仕掛けたと話した.[1]
 匿名の米国防総省当局者は「数週間前から居場所を把握し,作戦を実行するタイミングを計っていた」と述べた.[1]

 【参考ページ】
[1]CNN,2012年9月11日(火)10時54分
[2]AFP=時事,2012年9月11日(火)7時39分
[3]http://en.wikipedia.org/wiki/Said_Ali_al-Shihri

サイード・シャハリ
(こちらより引用)

【ぐんじさんぎょう】,2012/09/27 20:40
を加筆改修


 【質問】
 アル・ジンダニとは?

 【回答】
 Abd Al-Majid Al-Zindaniはイエメンのイスラーム法学者で,アル・カーイダ・シンパ.
 現在,アル・イマン・イスラム大学(Al-ImanIslamic University)学長.
 彼の引き渡し問題を巡り,イエメンと米国の間で国際問題となっている.

 以下引用.

 アル・ジンダニは,2004年2月以来国連とアメリカのテロ資金援助者リストにのせられており,アメリカ政府は,「オサマ・ビン・ラーデンに忠誠を誓い,アル・カイーダを支援する人物」として,引渡しを求めている※1.

 アメリカ政府は,2006年2月正式にアル・ジンダニの逮捕を求め,更にイエーメンの大統領サーレハ(Ali Abdullah Saleh)を批判した.
 2005年12月メッカで開催されたOIC(イスラム会議機構)首脳会議への正式代表団に,本人を加えたのは国連決議に違反するとして批判したのである※2.
※1
http://www.treas.gov/press/releases/js1190.htm

※2
http://www.arabnews.com/?page=4&section=0&article=78287&d=24&m=2&y=2006,

 2006年2月24日現在で,イエーメンはアル・ジンダニの引渡しを拒否している.
 或るイエーメン政府高官は「何が起きても我々は彼をアメリカに引渡さない.引渡しは,我々の憲法に違反する」と語った由である.

MEMRI


 【質問】
 サレ・ライミとは?

 【回答】
 サウジアラビア在住のイエメン人.
 「アラビア半島のアルカイダ」によるイエメンでのテロ行為に資金を提供したとして手配され,2010.10.15,首都サヌアの国際空港で拘束された.
 イエメンではその先週,同勢力によるとみられる攻撃が3件続発し,政府当局者によると少なくとも治安要員2人が死亡した.

 【参考ページ】
CNN,10月17日(日)10時51分


 【質問】
 イエメン爆弾事件とは?

 【回答】
 ビン・ラーディンが米軍を狙ったと言われている事件の一つ.
 黒井文太郎によれば,経緯は以下の通り.

 1992年12月,ソマリア上陸作戦準備中の米軍を狙い,アデンのホテルで爆弾テロが2件,連続発生した.米兵に被害はなかったが,イスラーム過激派が米軍を標的にしているということを明確に示した事件として注目された.

 犯行声明を出したのは「イエメン・イスラーム戦線」という実体のないダミー組織だが,その背後に,当時イエメンでイスラーム過激勢力「イスラーム復興党」を率いていたアブドル・マジド・ジンダニがいたのではないかという疑惑が囁かれた.
 真相は不明だが,もしジンダニの一派ならば,そのスポンサーであるビン・ラーディンの関与も十分考えられる.

(黒井文太郎〔『軍事研究』誌アナリスト〕 「イスラムのテロリスト」,
講談社,2001/10/20,p.174,抜粋要約)


 【質問】
 コール号事件とは?

 【回答】
 2000/10/12,イエメンのアデン港に停泊中の米イージス駆逐艦「コール」が自爆攻撃され,17人が死亡した事件.
 パレスチナでの衝突が激化,イスラエル軍が自治政府を攻撃して「内戦」化していたさなかの出来事であり,翌13日には,イエメンの首都サヌアでも英国大使館が爆弾攻撃を受けている.

 コールへの自爆攻撃は,若者2人(3人説もあり)によって実行されたが,背後で動いたアフ【ガ】ーン帰還兵グループが判明,6名がイエメン当局に逮捕された.
 首謀者はアフ【ガ】ーニスタンに逃亡したという情報もある.

 アメリカ当局は,背後にビン・ラーディンがいるものと考えているが,ビン・ラーディンは事件直後,本拠地だったカンダハールから,ヒンズークシ山脈が連なる中央山岳地帯のオルズガン県の秘密基地に身を隠したと伝えられた.
 しかし2001/1/9には,カンダハールでの息子の結婚式に出席.その映像が翌日,カタールの衛星テレビ「アル・ジャジーラ」で放送された.

 なお,実は2000/1/3にも米軍艦への自爆攻撃は試みられていたが,このときは爆弾を満載した小船が,爆弾が重過ぎたために沈みかけ,失敗に終わっていたことが判明している.アメリカ側には気付かれていなかったので,日を改めて再実行されたわけである.

 イエメン事件後の2000年10月~11月には,クウェイトやトルコでのビン・ラーディン配下の痕跡が報道されている.未確認情報では,そのメンバーにはイエメン人,シリア人,エジプト人,さらにはクウェイト人警察官も含まれるということだ.
 2001/4/5には,アル・カーイダのメンバーと見られるアフリカ人(国籍不明)5人が,イタリア捜査当局によりミラの北方で逮捕.
 同年6/25には,スペイン南東部で,アル・カーイダのメンバー,ムハマド・ベンサクリア(アルジェリア国籍)が逮捕.ベンサクリアは,ストラスブールの欧州議会襲撃未遂(2000年2月に決行予定)で,他のメンバー3人と共に,99年12月にフランクフルトのアジトで逮捕されたが,脱獄してフランス当局より国際指名手配されていた男である.

 詳しくは,黒井文太郎〔『軍事研究』誌アナリスト〕著 「イスラムのテロリスト」(講談社,2001/10/20),p.177-183-185を参照されたし.

 また,以下にAP通信記事を引用する.

U.S. Ship in Yemen Port Rammed
by ROBERT BURNS
AP Military Writer


WASHINGTON (AP) -- A U.S. Navy ship in port on the Arabian Peninsula was struck Thursday by a small boat on what U.S. officials described as a suicide mission, killing at least four Americans and injuring at least 30, the Defense Department said.

The registry of the boat was not immediately known, and no one has claimed responsibility, U.S. officials said.

The destroyer USS Cole, with a crew of about 350 sailors, was in port at Aden, Yemen, when it was rammed and an explosion followed, according to Lt. Cmdr. Daren Pelkie, spokesman for the Navy's 5th Fleet headquarters in Manama, Bahrain. The Cole had just arrived in Aden for a scheduled four-hour refueling stop.

At about 12:15 p.m. local time, or 5:15 a.m. EDT, a U.S. Army major who works at the U.S. Embassy in Aden saw a small patrol boat of unknown nationality ram the destroyer, tearing a 20-foot-by-40-foot hole in the port side, Pelkie said.

The spokesman said that in addition to four Americans killed, five were seriously injured and a total of 31 suffered some form of injury. He said one American also was missing.

Flooding aboard the Cole was contained and no fires were reported, the spokesman said.

The Cole is a ship of the Aegis class and its home port is Norfolk, Va. It was en route to the Persian Gulf.

Yemen is on the southern tip of the Arabian Peninsula on the Red Sea.

AP-NY-10-12-00 0813EDT< 

 直訳ではなく,多少意訳しました.10分程度なので,かなりいい加減な訳かも知れません.

米軍艦,イエメンの港で激突される
ROBERT BURNS AP軍事記者

 ワシントン(AP) -- アメリカ国防総省によると木曜日,アラビア半島の港で米軍艦が小型船により,(アメリカ高官によると)特攻と思われる攻撃を受け,少なくとも4人の死者と30人の負傷者を出した.
 アメリカ高官によれば,船籍はその時点で不詳であり,またどこからも声明は出されていないという.
 バーレーンのマナマにあるアメリカ第5艦隊司令部の報道官Daren Pelkie海軍少佐によれば,350人の乗組員を持つ駆逐艦「コール」(DDG-67)は,激突と直後の爆発にさらされたときには,イエメンのアデン港に停泊中であった.
 コールは,4時間の燃料補給のために,ちょうどアデンに到着したところでした.
 現地時間午後12時15分,東海岸の午前5時15分,アメリカ大使館の陸軍少佐が,国籍不明の小型哨戒艇がコールに激突し,幅6メート・長さ12メートルの穴が左舷に開くのを見たとPelkie報道官は,語った.
 報道官は,4人の死者以外に,5人が重傷,31人が様々な程度の負傷をしたと語った.また,一人が行方不明である.
 コールの浸水は落ち着いており,火災も見られないと報道官は言った.
 コールは,ノーフォーク(バージニア州)を母港とするイージス艦であり,ペルシャ湾への途上であった.
 イエメンは,紅海に面したアラビア半島の南端の国である.
 AP-ニューヨーク-2000年10月12日 8時13分(東海岸)

USA TODAY(ヘッドラインだけなら読みやすいが,全文は多い.報道官の声が聞ける)
http://www.usatoday.com/news/washdc/navy.htm

 行方不明が,12人に増えてる・・・.負傷者36人は,APと同じ.

アメリカCNNの記事
http://www.cnn.com/2000/US/10/12/ship.rammed.ap/index.html

コール:DDG-67
http://www.spear.navy.mil/ships/ddg67/

修理のため,運搬される「コール」
faq061221.jpg
faq39d05v04.jpg

軍事板


 【質問】
 コール号事件にスーダン政府は関与していたのか?

 【回答】
 米バージニア州ノーフォークの連邦地裁は,2007/3/17の判決の中で,スーダンが実行犯に対し,訓練や保護を与えたことが被害を招いたと認定している.
 これは遺族がスーダン政府に対し,賠償を求めて起こした裁判の判決で下されたもの.
 裁判資料を読むことができれば,それがどのような根拠に基づいているかも分かるだろうが,本サイトでは未確認.

 【参考ページ】
2007年3月17日16時37分,産経新聞(by 山本秀也)


 【質問】
 サヌア刑務所脱獄事件とは?

 【回答】
 2006年年2月,アル・カーイダ・メンバーの服役囚23人が,掘ったトンネルから脱獄した事件.
 脱獄犯の中には,米駆逐艦爆破テロ攻撃に関与したジャマル・バダウィも含まれる.
 イエメン当局はこれまでに4人を殺害.
 また,9名が当局に投降している.

 以下引用.

脱獄のアルカイダメンバー2人を射殺 イエメン治安当局

 【アルジャジーラ特約1日】イエメン治安当局の発表によると,同国治安部隊は1日未明,首都サヌアの民家を急襲,脱獄反のアルカイダメンバーら2人を射殺した.
 殺害されたのは今年2月,サヌアの刑務所を脱獄したファワズ・ラバイ死刑囚とムハンマド・ダイラミ服役囚で,2人はいずれもアルカイダメンバーとされる.
 発表によると,当局は同死刑囚ら2人がサヌア市内の民家に潜んでいるとの情報を得て,この日の急襲となった.

 ラバイ死刑囚は2002年にフランスの大型石油タンカーに対する爆弾テロ攻撃に関係したことと,駐イエメン米国大使の暗殺を企てたことなどで,04年に死刑判決を受けていた.
 テロ攻撃では,自爆犯2人が爆弾を積み込んだボートでタンカーに突っ込み,ブルガリア人の乗組員1人が死亡,12人が負傷した.
 また,爆発でタンカーの船腹に穴が開き,原油9万バレルがアデン湾に流出した.

 一方,ラバイ死刑囚は今年2月,他の服役囚22人と共に,掘ったトンネルを使って脱獄に成功した.脱獄犯の中には,2000年10月12日,イエメンのアデン港で起きた米駆逐艦爆破テロ攻撃に関与したジャマル・バダウィ服役囚も含まれていた.

 脱獄事件では,治安当局が23人のうちラバイ死刑囚を含め4人を殺害,また,9人がこれまでに当局に投降してきた.
 治安当局は残り10人の行方を追っている.
(翻訳・ベリタ通信=志岐隆司)

2006年10月02日03時13分 アルジャジーラ


 【質問】
 イエメン情報当局本部攻撃事件とは?

 【回答】
 複数の海外報道とイエメン国営サバ通信,および現地からの話によれば,2010/06/12,アルカイダ系武装勢力がイエメン南部の港町アデンで,イエメン情報当局の本部を攻撃.
 イエメン側に11名(うち民間人4名)の被害が出たようです.
 ここへの攻撃はあらかじめ予想されており,かなり重度の警備体制が敷かれていたためか,イエメンの内務相は「テロリストによる攻撃が深刻に過激化している事実を示す出来事」と述べています.

 その他詳細は以下のとおりです.

1.イエメン治安当局は「テロリストによる犯行」と断定した
1.攻撃は,本部建物正面から行われた
1.武装集団は軍服を着ており,攻撃は手投げ弾と銃撃によるものだった.
1.武装集団は現場からバスで逃走し,その際人質を連れ去った模様
1.攻撃はよく練られた作戦計画の下で行われたと見られる
1.武装集団に若者はいなかった

⇒ イエメンは,ビンラディン家系の出自です.
 そのためかこれまで,アルカーイダによるさまざまな重要攻撃が行われてきました.
 2000年の高速ボートによる米駆逐艦「コール」への自爆攻撃はアデン湾で,2002年の仏船籍の巨大タンカーへの自爆ボート攻撃は南東部のアシュシル港(アデンの東)で,それぞれ発生しています.

◎ 昨年9月時点で専門家は,
 「アラビア半島のアルカーイダ(AQAP)」(サウジとイエメンのアルカーイダ勢力が一緒になったもの)は米の強力な圧力のもと,困難な状況に陥っているが,存在そのものがイエメンを「テロ訓練・攻撃基地」にしてしまいかねない.との懸念を示していた.

◎ 2009年のクリスマスに発生した AQAP指導による米航空機爆破未遂を受け,イエメン政府は,地域の武装勢力掃討に乗り出している.
 今年5月には,イエメンと米の共同作戦による空襲で,AQAPの指導者が腹心4名と共に死亡している.

◎ この11日金曜日に,現地の情報収集を実施している米は,
「AQAPが先週,イエメン東部の部族に対し,空襲で政府から脅されていることに報復・反抗するよう訴えた」
ことを明らかにした.
 内容は
「アラーの思し召しは,不義の専制君主である(イエメンの大統領)アリ(アブドラ)サレハと彼を手助けするものたち(アメリカ)の圧制下にある我々が,わが地を炎で照らすことにある」
というものだったらしい.

おきらく軍事研究会,平成22年(2010年)6月21日(月)


 【質問】
 マーリブ自動車爆弾テロ事件とは?

 【回答】
 2007/7/2,イエメンの首都サヌアの東150キロにあるマーリブ州で,観光名所の寺院を出発した観光客を狙った,自爆攻撃とみられる車が爆発した事件.
(毎日新聞のみ,事件は「シバ王国の有名な女王で旧約聖書にも記述のあるベルキス女王の宮殿跡近くで発生した」としている)
 スペイン人観光客7人,イエメン人運転手2人の計9人が死亡し,6人が負傷.

 国営サバ通信が内務省関係者の話として報じたところによると,「初期情報では今回のテロ攻撃の背後にアルカイダの動きがみられる」という.

 また,治安当局者もロイター通信に対し,国際テロ組織アルカイダが関係している可能性があるとの見方を示したという.
 それによれば事件前,アルカイダが獄中の仲間を釈放するよう要求する声明を出し,受け入れられなければ何らかの行動を取ると警告する声明を出していたという.

 イエメンはアルカイダの指導者,ウサマ・ビンラディン容疑者の父の出身地で,マリブを中心とする地域にはアルカイダの思想に共鳴する複数の強力な部族が存在.
 イエメン政府は9.11テロ以降,米国の意を受け,テロ組織掃討作戦を継続しているが,伝統的な部族社会に根ざした地域には,政府の力は及ばないのが実態だという.

 【参考文献】
2007年7月3日1時22分付,読売新聞(長谷川由紀)
2007年7月3日1時31分付,毎日新聞(高橋宗男)
2007年7月3日2時0分付,時事通信
2007年7月3日6時35分付,ロイター
2007年7月3日10時25分付,時事通信

自動車爆弾の残骸
(こちらより引用)


 【質問】
 連続航空便爆弾テロ未遂事件とは?

 【回答】
 2010.10.29,イエメンから米宛に発送された航空便荷物2つに,爆発物が仕掛けられていたことが,オバマ大統領の発表を通じて明らかになりました.
 プリンターのトナーカートリッジに高性能爆薬を詰めた手製爆弾で,携帯電話やタイマーで起爆する仕組み.
 ブレナン米大統領補佐官がCNNに語ったところによると,2つの爆発物はいずれも,起爆操作なしで自動的に爆発する仕組みだったそうです.
 そして,2009年12月のデルタ航空機爆破テロ未遂事件で,犯人が機内に持ち込んだものと同じ,「PETN」という爆薬が使用されていたそうです.
 英イーストミッドランズ空港の貨物は,湾岸地域を経由して独ケルン空港へ運ばれ,米貨物機に引き継がれたとみられます.

 また,ドバイでも貨物から爆発物が発見されています.
 この貨物も,イエメンから旅客機で運ばれた可能性も指摘されています.


 さらに2010年11月1日(月),米国のシナゴグに送られた2つの爆弾が,途中で旅客機により運ばれていたことが判明しています.
 爆発すれば大惨事になった可能性もあったとされています.(Y,H,P)

 事件を受け,イエメン当局は1日,国内の全空港で警備を強化すると発表.
 同日,英国とドイツは,イエメンからの航空貨物便,旅客便を停止する方針を明らかにしました.

 また,経由地となったイギリスでは,爆破装置としてインクカートリッジが使われていたことから,イギリス発の旅客機では,500g以上のインクカートリッジの機内持ち込みを,2日から禁止しました.
 乗り継ぎのため,イギリスの空港を利用する場合も適用されます.
 英国のメイ内相は,「新たなテロが差し迫っているわけではなく,予防措置としての判断だ」としています.

⇒ ▼9.11テロ以降,航空機の荷物や貨物のチェックは強化されているが,今回の小包爆弾は荷物検査で発見されたわけではありません.
 今回は,
▲サウディアラビア当局からの情報をきっかけに発見されたようです.
 ▼2010年10月,「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」幹部,ジャビル・ファイフィが投降しました.
 その彼から情報を得て,サウディ情報機関が小包の具体的な追跡情報を欧米に通告したのです.

 イエメンはアラビア半島南端にある国で,現在「国際テロの聖域」にある恐れがあると見られているところです.
 米は,アルカーイダ系テロ勢力を掃討しているサレハ政権を側面支援していますが,深入りするのは避けています.

 ちなみに27日,米のFBIは,ワシントン圏の複数の地下鉄駅を同時爆破するテロ計画に関与したとして,パキスタン出身の米国人を逮捕,訴追しています.

 また,イエメン治安当局は30日,この爆発物の発送にかかわったとして,首都サヌアの大学で工学(医学という報道もあり)を学ぶ20代の女性と,その母親を逮捕しましたが,翌日釈放したということです.
 アラブ首長国連邦(UAE)の高官級情報筋によると,ドバイで見つかった爆発物の明細書に,この学生の名前が記載されていたそうです.
 伝票には,女子学生の携帯電話の番号が残されていましたが,治安当局は別人が彼女の名前や電話番号を使った可能性が高いとしています.


 さらにロイター通信によれば,イエメン治安当局は2日,同国発米シカゴ向けの航空貨物に爆発物が見つかった事件で,重要容疑者とされる,AQAP(アラビア半島のアル・カーイダ)構成員の爆弾製造専門家,イブラヒム・ハッサン・アシリ(28)の捜索を本格的に開始したそうです.
 彼は2009年末の米ノースウエスト航空機爆破未遂事件で爆弾製造を担当したとみられています.
 今回発見された爆発物は,同事件でアブドゥルムタラブが下着に縫い付けていた爆発物と共通点があり,同一人物が製造した可能性が高いとみられています.
 アシリはサウジアラビア人でイエメン在住とされ,サウジ当局が2009年2月に公表した指名手配リストの上位に掲載されています.
 現在はAQAPの主要メンバーとともに,中部マアリブ,シャブア両県の山岳地域で移動を繰り返しているとみられ,治安部隊は両県に展開し,潜伏場所の特定を目指すそうです.

 さらにまた,フランス通信(AFP)によれば,イエメン当局は2日,外国人殺害を扇動したとして,AQAP幹部のイスラーム説教師,アンワル・アウラキ師(39)を被告不在のまま訴追したそうです.
 イエメンと米国の二重国籍を持つアウラキは,インターネットなどを通じ,英語によって米欧などに対する「ジハード(聖戦)」を唱道.
 米欧に住むイスラム圏からの移民の2世や3世の世代に,強い影響力を持つとされ,2009年11月に米テキサス州の陸軍基地で銃乱射事件を起こした軍医や,同年12月の米機爆破テロ未遂事件の実行犯とも交流しています.
 現在は出身部族の地盤である,イエメン南部に潜伏しているともいわれるそうです.

 5日,「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)は,事件への関与を認める声明を,複数のイスラム過激派系のウェブサイトに載せました.
米国とその同盟者の利益に対する攻撃は今後も続けるとし,西側諸国の旅客機や貨物機への攻撃も拡大すると宣言しています.

おきらく軍事研究会,平成22年(2010年)11月1日(月)
青文字:加筆改修部分

 【参考ページ】
読売新聞,11月3日(水)1時1分(カイロ=田尾茂樹)
産経新聞 11月2日(火)20時23分(カイロ=大内清)
CNN,11月2日(火)20時3分
日本テレビ系(NNN) 11月2日(火)8時27分
時事通信,11月2日(火)6時12分
TBS系(JNN),11月1日(月)18時44分
CNN,2010年11月1日(月)10時42分
時事通信 11月1日(月)0時7分
CNN,2010年11月6日(土)14時33分
ニューズウィーク日本版,2010年11月8日(月)17時39分


 【質問】
 シャブワ州石油パイプライン爆破事件とは?

 【回答】
 2010.11.2午前,イエメン・シャブワ州の石油探査第4鉱区で起きた,韓国石油公社が所有する石油パイプラインの一部が爆発した事件.
 爆発したのは,全長204kmのパイプライン区間のうち,シャブワからマリブ州方向に31.5km離れた地点.
 現場周辺に爆発物の残がいがあることから,何者かが故意に爆発させたものとみられる.
 アラブ圏の衛星報道チャンネル「アルアラビア」が報じたところによると,イエメン保安当局関係者は,タイマー付き爆発物による爆発で,アル・カーイダが関与したとみられると話している.

 石油公社は2007年からイエメン第4鉱区で石油ボーリングを行っており,石油探査に成功した場合の石油輸送に備え,パイプラインを設置している.

 【参考ページ】
聯合ニュース,2010年11月2日(火)23時12分


 【質問】
 アデン刑務所脱獄事件とは?

 【回答】
 イエメン南部アデンの治安当局によると,2011.12.12,同市中心部の刑務所から,アル=カーイダ系組織のメンバー8人を含む,少なくとも16人の受刑者が脱獄した事件.
 施設の地下にトンネルを掘って逃走したという.
 アル=カーイダ系組織のメンバーの中には,治安当局者の暗殺や爆弾攻撃などで収監されていた者も含まれている.

 【参考ページ】
ロイター,2011年12月13日(火)9時30分
時事通信,2011年12月12日(月)22時5分


 【質問】
 大統領宮殿自爆テロ事件とは?

 【回答】
 2012.2.25,イエメン南東部ハドラマウト州の州都ムカラにて起きた,爆発物を積んだトラックによる自爆テロ事件.
 イエメン軍関係者によると,大統領宮殿のゲートに,爆発物を積んだトラックが突っ込み,爆発したという.

 ロイター通信などによると,警備兵ら少なくとも26人が死亡したという.

 アル・カーイダが犯行を認めた.

 テロ発生に先立ち,イエメンではこの日,サレハ前大統領が帰国.
 21日の大統領選で選出されたマンスール・ハディが,暫定大統領に就任した.
 ハディは国民に向けた演説で,政権が取り組むべき優先課題としてアル・カーイダとの戦いを挙げ,
「治安を回復できなければ,混沌が待っている」
と述べていた.
 今回のテロは,武装勢力の力を誇示するとともに,ハディ暫定政権の出鼻をくじき,混乱を拡大させる狙いがありそうだ――と,産経新聞は見ている.

 【参考ページ】
読売新聞,2012年2月25日(土)21時30分【エルサレム=井上亜希子】
産経新聞,2012年2月25日(土)23時26分【カイロ=大内清】


 【質問】
 イエメン・ジンジバル近郊政府軍基地襲撃の状況は?

 【回答】
 2012.3.4,イエメン南部アビヤン州のジンジバル近郊で4日,政府軍基地が,「アラビア半島のアル・カーイダ」(AQAP)とつながりを持つ武装組織「アンサルシャリア」の襲撃を受けた.
 ある当局者が匿名で語ったところによると,犯行グループは最初に基地の東側から攻撃し,部隊の注意を引き付けておいて,反対方向から攻め込んだ.
 住民や地元当局者によると,軍事施設の付近で車両が爆発.その後,政府軍と武装勢力の間で銃撃戦になったという.
 また,治安当局内部に協力者がいたとみられ,ロケット弾発射装置や迫撃砲,装甲車,戦車などが大量に盗み出された.
 武装勢力は,奪った兵器と共に,2011年5月以来支配しているジンジバルに引き揚げていったという.

 軍当局者は,武装勢力側の死者が少なくとも20人に上ると発表した.
 一方,病院関係者によると,少なくとも35人の政府軍兵士が死亡,数十人が負傷したという.

 5日もアルバイダ州の軍施設が一時的に占拠され,アデン州では警察幹部の暗殺未遂で警護要員1人が死亡するなど,武装勢力の攻撃が相次いだ.
 複数の同国当局者がCNNに語ったところによると,死者は6日までに184人に上ったという.

 治安当局者らによれば,政府軍はこれに対し,5日から6日にかけ,同組織の拠点や車を空爆し,少なくとも42人のメンバーを殺害.
 内務省によると,同州には6日夜までに1000人近い規模の部隊が送り込まれるという.

 【参考ページ】
CNN,2012年3月7日(水)16時33分
ロイター,2012年3月5日(月)9時42分
時事通信,2012年3月5日(月)1時0分
読売新聞,2012年3月4日(日)19時15分【カイロ=田尾茂樹】


 【質問】
 タイズ米国人教師射殺事件とは?

 【回答】
 イエメンの国防当局者らによれば,2012.3.18,同国南部タイズにて,現地の学校に勤めていた米国人の男性教師が,武装した2人組に撃たれて死亡した事件.
 男性は出勤途中,オートバイに乗った2人組に襲われ,銃弾8発を受けた.
 同市内で欧米人が殺害された事件は,初めてとされる.

 地元治安責任者によると,男性は2010年から,同市内にあるスウェーデン系の語学学校で教えていたという.

 「アラビア半島のアル・カーイダ(AQAP)」が,国内報道機関に犯行声明の文字メッセージを送り付けた.
 同メッセージにおいてAQAPは,殺害された男性はイエメンにキリスト教を広めようとしていたと主張した.

 【参考ページ】
CNN,2012年3月19日(月)14時51分


 【質問】
 アビヤン州での兵舎襲撃について教えられたし.

 【回答】
 イエメン軍当局者によれば,2012.4.9明け方に発生した,イエメン南部アビヤン州における,アル=カーイダ系武装勢力「アンサル・アルシャリア(イスラム法の支持者,の意味)」による軍兵舎襲撃事案.[1][2]
 武装勢力は検問所を占拠.[2]
 軍との戦闘となり,軍による空爆も行われたという.[2]
 また,軍を支援するため,地元部族も戦闘に参加.[2]
 部族兵士の1人は「街は死ぬまで渡さない」と述べた.[2]
 住民らによると,午後は断続的に銃声が聞こえたという.[2]

 当局者や住民によると,武装勢力側の32人,軍兵士ら19人,地元部族民6人が死亡したという.[2]

 一方,治安当局者によると,南部の港湾都市アデンでも,軍の検問所が武装集団に襲撃され,軍兵士2人が死亡した.[2]

 住民や当局者によると,その後,戦闘アビヤン州はラウダルから約10km離れた山地に移行.[3]
 軍の攻撃により「アンサル・アルシャリア」兵30人が死亡.[3]
 さらにその後に発生した,部族民との衝突でも,同武装勢力側でさらに27人の死者が確認されたという.[3]
 部族民側の死者は3人.[3]

 地元当局者は,ラウダルから約10km離れたUmm Aynでも,空爆により同武装勢力の5人が死亡したと明らかにした.[3]
 一方,「アンサル・アルシャリア」は声明でこれを否定し,サウジアラビアの戦闘機が民間人所有の倉庫を空爆したと発表した.[3]
 同勢力側の死者についても,2人のみとしている.[3]
 声明が本物であるかどうかは確認できていない.[3]

 このほか複数の住民は,ラウダル周辺の地域で空爆があり,「アンサル・アルシャリア」兵10人が死亡したと述べた.[3]

 「アンサル・アルシャリア」は,サレハ大統領退陣を求める抗議デモの混乱に乗じ,アビヤン州を広範囲にわたり制圧している.[2][3][4]

 【参考ページ】
[1]時事通信,2012年4月10日(火)0時29分
[2]ロイター,2012年4月10日(火)16時4分
[3]ロイター,1012年4月12日(木)15時32分
[4]読売新聞,2012年4月14日(土)17時58分【エルサレム=井上亜希子】


 【質問】
 AQAP・米航空機爆破テロ未遂事件とは?

 【回答】
 2012.5.7,米国家安全保障会議(NSC)当局者が明らかにしたところによれば,米国行き航空機爆破テロ計画を,米情報・治安当局が阻止したとされる事件.
 本事案はオバマ大統領にも4月に報告され[1][2],報告を受けたオバマ大統領は,情報,捜査当局に適切な対応をとるよう指示を出したという.[4]

 米情報機関は爆弾1個を押収.[2]
 米メディアによれば,この爆発物は下着に隠せるほど小さく,また,金属を使わないため,空港の通常の保安検査での探知は困難だという.[1][3][4][5][6]
 4月下旬に外国で押収され,連邦捜査局(FBI)が分析を行っているが,イエメンを拠点とする「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」が使ってきた爆発物に酷似しているという.[1][2]
 関係者によれば,この爆破装置には「PETN」と呼ばれる爆薬が使われていた.[8]
 PETNは過去にも,AQAPで爆弾製作を担当するイブラヒム・アル・アシリが使用した例がある.[8]
 すなわち,2009年12月25日に起きた航空機爆破テロ未遂事件で使われたものと同様の手製爆弾で,自爆テロを想定した作りだったという.[2]
 FBIは,この爆弾が空港や航空機の近辺に持ち込まれることはなかったとしている.[2]

 米当局は爆弾が見つかった具体的な場所や,誰から押収したかについての詳細は明らかにしていないが,イエメンもしくはその近隣諸国で発見されたことを示唆.[5]
 また,5/8の米主要メディアは,自爆テロ志願者を装った米中央情報局(CIA)などのスパイがAQAPに潜入し,新型の爆発物を持ち出す形でテロを防いでいたと報じた.[6]
 米メディアの報道を総合すると,サウジアラビア情報当局とCIAが協力し,内通者をイエメンに派遣.[6][7]
 内通者はAQAP拠点で数週間滞在した後,AQAPの爆弾専門家が開発していた新型の爆発物を託され,4月に米国行きの航空機を爆破する自爆テロの「任務」に出発した.[6]
 内通者はアラブ首長国連邦(UAE)を経由し,爆発物をCIAに手渡した.[6]
 内通者の素性や国籍は明らかにされていないが,サウジ国内で安全を保証されているという.[6]

 5/6にはイエメンで,AQAP幹部ファハド・クソが,米国の無人偵察機による攻撃で殺害されているが,この攻撃も,二重スパイから提供された情報が発端になっていたという.[7]

 他方,サウジの反テロ対策当局者からの話として,2人の米政府関係者がCNNに匿名で明かしたところによれば,彼はCIAの二重スパイではなく,サウディアラビア諜報機関の工作員だったという.[8]
 工作員潜入作戦は,サウディの対テロ責任者であるナエフ王子の指揮の下で行われ,「AからZまで」サウジ当局が関わっていたという.[8]
 この工作員はまずサウジ国内のイスラム系過激主義者の仲間に入り,その後AQAPに迎え入れられたという.[8]
 ある時点で工作員は,爆破装置が製造中であることを報告.[8]
 その後,工作員は爆破装置について,AQAPから訓練を受けたという.[8]
 サウディ当局は,アシリの居場所に関する情報を得ようとしたが,工作員自身が同容疑者に会う機会はなかった.[8]

 また,別の米政府高官は,「今回の犯行もアラビア半島のアルカイダの仕業」との見方を示し,
「爆弾は09年クリスマスのテロ未遂で使われたものと似てはいるが,重大な違いがある.
 アラビア半島のアルカイダが09年の失敗を繰り返さないため,爆弾技術に手を加えているのは明らかだ」
と語った.[2][7]
 国土安全保障省のナポリターノ長官は8日,この爆弾について,09年に使われた「下着爆弾」を進化させたものだと語った.[7]

 【参考ページ】
[1]時事通信,2012年5月8日(火)7時43分
[2]CNN,2012年5月8日(火)10時21分
[3]読売新聞,2012年5月8日(火)10時59分 【ワシントン=山口香子】
[4]産経新聞,2012年5月8日(火)12時20分 【ワシントン=佐々木類】
[5]ロイター,2012年5月8日(火)12時26分
[6]時事通信,2012年5月9日(水)9時13分
[7]CNN,2012年5月9日(水)9時51分
[8]CNN,2012年5月10日(木)12時51分


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