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◆◆◆◆潜水艦兵装
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兵器FAQ目次


("PPS"より引用)


 【質問
 核ミサイルをわざわざ潜水艦に積むことのメリットは何なんでしょうか.

 【回答】
 SLBMの話なら,ミサイルを発射する場所を特定できないと言うメリットがあります.
 固定陣地の場合,その場所を特定しやすいので,逆に相手方の標的になりますが,戦略ミサイル原潜なら,そう言った心配をせず,核抑止力として利用できます.

(眠い人 ◆gQikaJHtf2)


 【質問】
 どこかの国が潜水艦から弾道ミサイルを撃った場合,どうやって着弾する前に発射した国を特定するのですか?

 【回答】
 早期警戒衛星が赤外センサーでミサイルの噴炎を感知して通報する.
 そのデータからレーダーを回して軌道をたどる.
 弾道を計算して着地点を得る.

 配達先は分かるが,配達人の出元は発射地点としてしか分からない.
 ただ,ミサイルの射程からある程度の性能は分かるし,その発射地点に弾道ミサイル潜水艦を配備していそうな〜配備する能力のある国も絞り込める.

 それに,発射する意図を持っていそうな国,と考えると,たいていの場合は見当がつきそう.
 もっとも,「見当」だけで核ミサイルをその国に発射する勇者はいないだろうが.

 あとは,到着したミサイルとその中身(核爆発で蒸発したなら,残留生成物の分析から元の核弾頭の見当がつく)から製造元を確定することになる.


 【質問】
 なんで潜水艦には砲を装備しないんですか?
 高価な魚雷より,安価な砲弾で十分な場合もあるんじゃないですか?

 【回答】
 WW2の頃までは装備していました.
 中には30cm砲を1門積んだものまであります.
 WW2の頃はシュノーケルも普及しておらず,原子力機関などもないため,潜水艦は主に水上を進む可潜艦(もぐることも出来る艦)でしかなかったために,備砲もそれなりに意味がありました.
 ただ潜水艦の性質上,大口径であることにあまり意味がなく,シュノーケルの普及や原子力機関の登場で潜り続けることが常態となると,備砲は完全に意味を失いました.

 潜水艦の強みは潜ることで存在を秘匿できることであり,浮上して攻撃することは,現代では潜水艦の利点を失わせる行為でしかありません.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 映画「U571」では潜水艦が砲を駆逐艦にぶっ放していましたが,潜水艦が砲を使っての攻撃は,よくある事なんでしょうか?
 また,太平洋においてはどうでしたか?

 【回答】
 第一次大戦では常態,第二次大戦でも割とよくありました.

 現代的な潜水艦は涙滴型,葉巻型のように水中での抵抗が少ない形状をしています.
 それに対して,その頃の潜水艦の大半は水上抵抗が少ない水上船に似た形状をしています.
 このことからも分かるように,当時の通常動力潜水艦の大半は,
「いつもは水上航行で,でもいざというときは潜れる」
という「可潜艦」とでもいうべきものでした.

 通称破壊戦の場合,商船を浮上して砲撃で撃沈するのはよくあることでした.
 なにしろ魚雷は非常に高価ですから.
 特に必要がない限り,砲を使うのが効率的なのです.

 これの逆手を取って,商船に武装を備え付けた囮船,Qシップというものも考えられました.
 砲撃で撃沈しようと,のこのこ近づいてきた潜水艦を返り討ちにするという考えです.

 しかし第二次大戦で,連合国側が大量の護衛空母,対潜哨戒機,対潜艦艇,および水上捜索レーダーなど,潜水艦対策を全力で打ち出し始めると事情は変わります.
 これら新兵器と新戦術のために,まず潜水艦の浮上航行が非常に危険になってしまいました.
(さらには潜航したままでも非常に危険,といえるレベルにまでなりましたが‥)
 この頃には砲は「念のため」的な装備になります.

 太平洋では日本海軍が船団護衛に力を入れなかったため,独行する小型船を魚雷を使うまでもないと浮上砲撃することは多かったようです.
 どちらにせよ,水上戦闘艦艇と潜水艦でまともに砲撃戦をやれば,確実に潜水艦の負けです.

 ちなみに,大戦間には戦艦クラスの砲を1〜2門搭載した大型潜水艦(イギリスのM級やフランスのシュルクーフなど)が少数建造されました.
 敵艦に忍び寄りいきなり浮上して砲撃するというコンセプトだったのですが,鈍重だったり,主砲を撃つと反動で照準が定まらないなどの欠点が露呈し,すぐに廃れてしまいましたとさ.

軍事板,2004/09/21
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 潜水艦の甲板や艦橋に,小型砲や機関銃を備え付けられていたのは,いつ頃までの話でしょうか?
 最後まで潜水艦に砲や機関銃を取り付けていたのは,どこの国の潜水艦でしょうか?

 【回答】
 建艦思想的には大体,第二次世界大戦直後から1950年くらいまでです.
 米国の場合,1950年代にGuppy改造を受けるまでは,砲を装備していました.
 ソ連の場合も,50年代に建造された所謂W級の初期型は備砲を装備していました.

 最後まで潜水艦に砲や機関銃を搭載していたのは,Peruの潜水艦,DosDeMayo,Abtaoの2隻で,12.7cm砲1門を搭載して,20世紀末まで現役だったと記憶しています.

眠い人◆gQikaJHtf2


 【質問】
 潜水艦に対空ミサイルは積めないんでしょうか?

 【回答】
 対空ミサイル積んでも,発射するには浅深度まで浮上しなければいけないですから,結局見つかり,良くて相打ち,最悪,自艦があぼーんされるだけです.
 潜水艦はまず,隠れることが必要ですから,そう言う装備は(あるものもありますが),実際に使われることは少ないと思います.

(眠い人 ◆gQikaJHtf2)

 潜水艦用対空兵装の例としては,以下のようなものがあります.

 1970年代末,イギリスで建造されたイスラエル向けの通常動力攻撃潜水艦,ガル級3隻(水中排水量600トン,退役済み)にはセイル内部に昇降式の対空ミサイルを装備してました.SLAM,潜水艦発射対空ミサイルを固定兵装として装備した潜水艦は今の所これが唯一のタイプです.
 ガル級のSLAMは歩兵用携帯SAM,「ブローパイプ」の艦載型で,小型の光学照準機の周囲に6連装に配されたランチャーを伸縮式アームの先端に取り付けた物です.
 誘導方式は赤外線/照準機指令,射程3,5km,射高2,500mで,これを使うのは自殺行為に等しい物でした.
 何故なら対潜機を攻撃しようにも対潜機の持つ対戦短魚雷の射程内でしか撃てないからです.

 ソ連/ロシアのSSN,SSKのシエラ型T・U,アクラ型T・U,キロ型などにも対空兵装が搭載されていますが, これは歩兵携帯式SAMがそのまま積み込まれ,セイルの上から乗員が発射機を担いでSAMを撃つようになっています.
 携帯SAMストレラU,ストレラVが配備されており,射程6km,射高5,500mとガル級よりはマシな性能ですが, これを撃つとなると搭載艦はセイルを露出しなければ発射出来ないため,潜望鏡深度で発射出来るガル級よりも自殺行為です.

 この他に独仏共同開発の「トライトン」という魚雷発射管から水中発射出来るSAMシステムが有るには有るのですが,水中発射を行うと水流抵抗で射程が大幅に短くなってしまい,結局は対潜短魚雷の射程と同程度の射程しか得られない為,これもまた相討ちは覚悟しなければならないという,やはり自殺兵器でしかない代物です.

 そもそも海中に潜み,隠密性を身上とする潜水艦が対潜哨戒機に攻撃をしようと考える事自体が間違いと言えると思います.
 上記のSAMは何らかの事故により浮上せざるを得なくなった時のための非常手段として用意されていると考えていいかと.
(ロシア原潜はよく火災などの事故で浮上してしまうが,機密保持などの理由で西側哨戒機に張り付かれるのを極度に嫌っている)

軍事板,2005/07/24(日)
青文字:加筆改修部分

 追記.
 欧州,特にドイツやフランスでも潜水艦発射型の対空ミサイルの研究が始まっています.
 それぞれ空対空ミサイルのIRIS-T,MICAの改良型のようです.
 実用化はまだまだ先のようですが,今後対潜哨戒も危ないお仕事になりそうです.

○軍事研究2007年2月号
「ユーロネイヴァル2006:ヨーロッパ海軍艦船・装備品展示会 欧州海軍主力艦の将来動向」
多田智彦著

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 対空ミサイル分野で注目すべきは潜水艦発射型の開発である.
 近年,艦船での哨戒ヘリコプターの搭載が一般化され,高機能性能化したセンサーや武器を装備したヘリコプターは潜水艦にとって大きな脅威となっている.
 このため潜行中の潜水艦からヘリコプターを攻撃可能な対空ミサイル・システムの開発が進められている.

 その一つは,ドイツが中心になって開発中のIDAS(Interactive Defenceand Armamentfor Submarine)で,
赤外線画像シーカーを持ち水中の発射母艦から光ファイバーで誘導される.
 全長2.5m,直径18cm(前部)〜24cm(後部),発射重量120kg,弾頭重量20kgのIDASは固体燃料で推進され,射距離は約20kmである.
 赤外線画像シーカー,慣性基準装置,誘導電子回路などは,第五世代の空対空ミサイルIRIS-Tのものをベースとしているのでミサイルとしての作動には問題ない.
 しかし,ミサイルをキャニスターに収納して魚雷発射管から発射した後,潜水艦内でディスプレイを介して(manintheloop)光ファイバー経由で誘導する方式に開発要素がある.
 主たる攻撃目標は飛行中またはホバリング中のヘリコプターであり,水上艦船や沿岸近くの陸上目標(陸上設置レーダー基地など)への攻撃も考えられている.
 現在は技術確認の段階であり,2007年には開発フェーズへ進むものと期待されている.

 もう一つの潜水艦発射対空ミサイル・システムとしてDCN社が開発中のものが展示されていた.
 特にシステム名は付けられていないようであるが,水上戦闘艦で運用される対空ミサイルとして計画され発射試験も終了しているMICAを活用するシステムだ.
 対空目標の対象としてはヘリコプターのほか,固定翼哨戒機にも対処可能であるとしているが,魚雷発射管から発射するカプセル入りミサイルや運用構想のパネルを展示する程度のコンセプト検討段階のようで,具体的名数値などは不明である.
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オッポレ in FAQ BBS


 【質問】
 潜水艦で浮上せずに,航空機は撃墜できるんですか?
 どんな武器ですか?

 【回答】
 潜水艦から航空機を攻撃する手段は,肩撃ちミサイル程度です.
 つまり浮上して,セイルに人が出て, 狙い定めておもむろに発射という手順です.
 それすら持っていないのが普通.

 そもそも,隠密性を最大の武器とする潜水艦がSAMを撃つのは,その時点でほぼ「負けている」と言えます.
 潜水艦は場所が分かった時点で基本的には終わりなうえ,場所を知られたかどうか,潜水艦自身にはなかなか分かりません.
 下手にSAMを撃つと,せっかく隠れていたのに自分で場所を教えることになりかねません.
 また,ピン打たれて魚雷でも落とされ,場所を知られたと分かったあとでは,SAMなんか撃ってる余裕あるだろうか疑問.
 よって,高い開発費かけて実用化しても役に立つかどうかはなはだ疑問である,ということで,話はいくらでも出るんだけど,まだ実用化には至っていないようです.

 開発例としては,確かイスラエルの潜水艦に潜望鏡深度で発射可能(プラットフォームを水面上に揚げる)なSAMが装備された事が有るはずですし, 現在もポリフォムを対空目標に使用する事が研究されているようです.

軍事板,2005/01/20
青文字:加筆改修部分

 最近,米軍でカプセルに入れた対空ミサイルを魚雷発射管から発射するテストが行われました.
 AIM-9Xサイドワインダーがベースのようで,
「従来より優れた熱源追跡能力,より広い検索視野角度などを持つ」
との事から,おそらくは「発射後ロックオン」のような方式だと思われます.
 カプセル毎発射する事で水流抵抗の問題も解決できるかもしれません.
 発射のタイミングを判断する≒自分は発見されたのか否かの判断が難しいところですし,さらに今後使い物になるかどうか判りませんが,潜水艦による有効な対空攻撃に発展する可能性が有ります.

 以下引用.

Sidewinders for Anti-Aircraft Defense  February 10, 2006
ストラテジーページ:潜水艦から対潜哨戒ヘリを攻撃する,ミサイルのテストに成功

 アメリカ軍は,AIM9Xサイドワインダー・ミサイルのテストに成功した.
 これはサイドワインダーの改良型で,従来より優れた熱源追跡能力,より広い検索視野角度などをもつもの.

 このテストの目的は潜水艦から,対潜哨戒ヘリコプターを攻撃する効果的な手段を確立することで,ヘリは通常,潜水艦の追跡と攻撃の為,ソノブイや魚雷を投下する.
 潜水艦は対潜哨戒ヘリのセンサーを有するが,従来は効果的な攻撃手段がなかった.
 原子力潜水艦をヘリの魚雷攻撃から守る攻撃手段として有効と考えられている.

 このミサイルは魚雷発射装置から,カプセルに入れて潜水艦から発射され,カプセルが海面に上昇するとミサイルが発射される仕組みになると見られる.

オッポレ in FAQ BBS


 【質問】
 安価な対空攻撃可能な小型の潜水艇を沢山揃えて,海域にランダムに配置して敵の対潜哨戒機を攻撃する潜水艇,というのはどうでしょう?
 敵はうかつに対潜索敵が出来なくなると思います.

 【回答】
 それが「安価」という時点ですでに間違っているのです.
 一定の効果を挙げるためには一定の「量」が必要です.
 特に洋上では,この種の小型艦は能力を大きく制限されるため,それを補完するためにさらなる量を必要とします.
 ランダムとか海域とかいうけど,海は広いんです.
 水上艦でさえ通常は自衛の近距離対空.
 イージス艦みたいな高性能防空システムは,艇クラスじゃ積めません.
 対艦ミサイル艇でさえ大量生産した国はありません.
 まして対空潜水艇なんて,ゲームでもなければ使えない代物.
 さらにいえば小型の潜水艇は,あなたが思っているほど長時間行動できるわけではありません.

 また,潜水艇は無人だろうが小型だろうが,決して安くありません.
 トン当たりの単価,つまり単位重量当たりのコストでは空母も戦艦も駆逐艦もぶっちぎって,潜水能力を備えた艦艇がバカ高なんです.
 ニミッツ級空母の建造費は45億ドルでシーウルフ級原潜の建造費は21億ドル.
 シーウルフのバカ高ぶりはつとに伝えられる通りなので,単純比較はできませんが,ニミッツ級はシーウルフの10倍以上の図体でありながら,高々建造費は倍でしかありません.
 これほどまでに潜水艦とは金がかかる装備なのですよ.

 さらに,そんなに大量の潜水艇を搭載できる潜水艦はむやみやたらとでかくなり,それだけで発見されやすくなります.
 建造費がバカ高くなるというデメリットもあります.
 そして潜水艇収容が困難で,作業中に発見される危険が大きいです.
 したがって性質上,使い捨てにならざるをえません.
 ミニ潜水艇をぎょうさん使い捨てできる金余り国家ってどこにあるよ?て話ですね.
 アメリカですら無理ぽ.

 さらにまた,潜水艇がうようよしてるということは,居場所をばらしているようなもので,潜水艦のメリットをまるきり帳消しにしてます.

 ならば今までの方法で静粛性を高めた方がいいということになります.

 第4に,それが実用化できる技術レベルの世界なら,対潜哨戒機の索敵能力や攻撃能力はさらに上をいってるはず.

 結論としては,「僕の考えたすごいアイディア」は,全然すごくない素人考えということです.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 潜水艦が艦船に対して魚雷を放つのは深度はどのくらいでしょう?
 第一次大戦〜第二次大戦ごろと現在と両方知りたいです.

 【回答】
 第一次大戦〜第二次大戦なら,目標は基本的に水上艦でしたので,水面すれすれのいわゆる潜望鏡深度での発射が普通でした.
 それと,魚雷を発射するには当時は圧縮空気を用いるしか方法が無かったので,大量の空気が必要な上に深深度の水圧に負けないようにするための圧力をかけられませんでした.
 さらに魚雷そのものが,深深度の水圧に耐えられなかったこともあり,潜航しての深深度発射は30mが限界でした.

 戦後は空気圧ではなく水圧で発射する方式が主流になり,また魚雷そのものが深深度の水圧に耐えられる構造になってきましたので,数百メートルの深度からでも魚雷発射が可能といわれています.

名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE in 軍事板
青文字:加筆改修部分

 詳しいことは秘密です.
 こちらから相手を探知できても相手には探知できない,あるいはしにくい状態で発射するのが望ましい,ということになっています

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 現代の潜水艦って,魚雷の再装填にどれくらいの時間がかかりますか?

 【回答】
 潜水艦による.
 昔の潜水艦は5〜10分で再装填できた.
 下記サイトの 1131. 参照.
http://www.history.navy.mil/library/online/ss-doc-1.htm

 魚雷管を排水し,艦が水平でないと作業が困難だから,バラストに注水して水平を取りなおし,それから作業にかかるわけだが,ロサンジェルス級の原潜の場合は,床の一部をばらして装填メカニズムを取り付け,それから装填を始めるという面倒な手順になっており,結果として全魚雷の再装填には12時間が必要とされている.
 ひどいのになると,ドックでしか再装填できない.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 対潜ロケット,対潜ミサイル,対潜魚雷はそれぞれどう違うんですか?
 また,艦対潜爆雷が消滅したのは,誘導魚雷が開発され,魚雷で爆雷よりも確実な対潜攻撃が可能となったからですか?
 あと,アスロックの弾頭には,対潜ロケット,対潜ミサイル,対潜魚雷のどれが採用されているのですか?

 【回答】
 対潜魚雷は潜水艦攻撃用の魚雷.水中移動する爆弾.
 対潜ロケットは潜水艦攻撃用のロケット推進式の飛行爆弾.
 弾頭に爆雷(水中爆弾)積んでるのと,アスロックみたいに対潜魚雷積んでるのがある.
 空を飛ぶので,対潜魚雷より素早く遠距離目標を叩ける.

 対潜ミサイルは対潜ロケットのうち,誘導装置がついてて空中で方向制御できるやつ.
 例えばアスロックも新型の奴はVLSから撃てるように,誘導装置が付いてる.

 対潜ロケットには,母艦から対潜魚雷を撃つより,目標到達が早く,長距離戦闘できるメリットがある.
 ただ,今度は母艦のセンサー能力の問題があるので,むやみに射程を延ばしても意味が無い.
 それから,対潜ロケットの弾頭を爆雷で済ませた場合,安上がり.対潜魚雷は非常に値段が高い.
 普通に爆雷を落とすのと違って,艦の進行方向などにも撃てるから便利.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 対潜攻撃では,爆雷はもう使われないのか?

 【回答】
 爆雷とは・・・話が古いですね.(^-^;)
 爆雷は,爆発深度を調定してから敵潜水艦の真上に落とす必要があるのですが,危害半径が20m程度しかないので,命中精度が悪くて実用的ではありません.(心理的威嚇効果は大ですが……)

 現代の武器はホーミング魚雷という,自分で潜水艦を見付けて追いかける「お利口魚雷」を,空から落とします. 哨戒機やヘリから投下する場合や,アスロックというロケット・ブースターで飛ばす方法が普通ですが,敵潜水艦が護衛艦の近距離にいる場合は,映画「亡国のイージス」に出てきたように,舷側の短魚雷発射管から直接に打ち出します.
 なお,自艦には当たらないような仕掛けになっています.

 潜水艦の探知には,ソナーの他にMADという磁気探知機もあります.
 P-3C哨戒機の尾翼の後に突き出た棒の先端に付いていますし,対潜ヘリにも装備されています.
 海中に鉄の塊(潜水艦)がいると反応するので,そこで上記の魚雷を落とすわけです.

(HN「ヨーソロ」 from おきらく軍事研究会)

 ただし,爆雷とは多少違いますが,対潜用の爆弾なら今でも使われています.海上自衛隊の150kg対潜爆弾がそれで,
 今後,領海侵犯した潜水艦への威嚇のための使用が検討されている事からも,まだ暫くは現役かと思われます.

 以下引用.

海上自衛隊装備品 150kg対潜爆弾
P-3Cから潜水艦を攻撃するために使用する爆弾であるが,必要に応じて水上艦艇の攻撃にも使用できる.

http://homepage2.nifty.com/yoyotoru/atge5n.html

潜没潜水艦への爆雷使用検討=領海侵犯防止で自民方針時事通信,2006/2/16

 自民党は16日,昨年11月の中国原子力潜水艦による領海侵犯事件を踏まえ,外国潜水艦が浮上要求に応ぜず日本の領海内で潜行を続けた場合は,対潜爆弾を投下して警告できるよう,自衛隊法などの改正を検討する方針を決めた.
 近く国防部会の中にプロジェクトチームを設置,具体的な検討作業に入る.

オッポレ in FAQ BBS


 【質問】
 現代戦で爆雷なんて必要か?
 アスロックがあるじゃないか.

 【回答】
 例えば沿岸部で,海岸近くで着底している不審な潜水艦を見つけたとする.
(特殊任務潜の類ですな.
 あと,希に,仮想敵国の沿岸部に偵察に来て,浅瀬に突っ込んで身動き出来なくなる,間抜けな潜水艦もいます)
 で,浅海面だとアスロックや短魚雷は使い辛い.
 それに,一撃で沈めちゃちと困る(政治問題になる)から,まずは浮上を促す警告射撃みたいな感じで,爆雷が必要な時もあります.

 ただ,通常のASWでは(特に原潜相手では)殆ど価値ないけど.

軍事板,2002/12/13
青文字:加筆改修部分



 【反論】
 第二次大戦当時の対潜兵器の主力・爆雷は,非常に的中率が低かったよ.
 駆逐艦やら海防艦で潜水艦があると思える水域を包囲して,爆雷を落とす.
 派手に水しぶきが上がり,大量のお魚さんが犠牲になるが,それでも取り逃がすことが多かったそうだ.
 現在の潜水艦は通常型でも,水中速力は二十ノットを超える時代だ.
 条件によっては,水上艦艇より速い.
 これではよほど幸運が無い限り,爆雷では叩けないと思うけど.

 【再反論】
 爆雷の命中率は,確かに泣きたい位低いね.
 百発一中すれば儲けとでもすべきか.
 もっとも,その分,コストの安さと搭載量の多さで補う兵器だからなぁ.

 20ノットも出したら,潜水艦サイドもソナーが効かなくなるし,ディーゼル潜だったら数時間でバッテリーが空になってあぼーん.
 とはいっても,シュノーケル深度まで浮上したら,対潜艦艇のいいカモ.
 ついでに浅海域でその速力を出したら,そのまんま岩礁にランデブー間違いなし.

 だから今でも潜水艦(特にディーゼル潜)の基本戦術は,魚雷ぶっ放したら無音潜行&沈底か,微速航行で敵の哨戒網からコソーリ逃げ出すしかないのでは.

 そんな状況下で,かつ浅海域だったら,爆雷が大いに役立ちそう.
 もちろんブルーウォーターでのASWでは,爆雷は過去の遺物だけど.

 場合によっちゃぁ,大いに役立つということで.

軍事板,2002/12/13
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 爆雷と魚雷の違いは?

 【回答】
 自ら水中を進んでいく(魚雷)か,いかない(爆雷)かが,最大の違い.
 海軍における爆雷は,水中で爆発させ,爆発時の水圧によって水中の敵(潜水艦)に損害を与えようという兵器で,基本的には艦艇や航空機から,海中へ投下される.
 ドラム缶のような形のものが,よく知られているが,沈降速度の向上と一定化を図るため,形状を流線形にして,細くなった尾部にフィンを付けた爆雷も,後には登場している.

 魚雷は,海面近くの水中を進んでいって,敵艦に当たって損害を与えようという兵器で,細長く,尾部にスクリューがついている形が一般的.
 最近ではスクリューの代わりに,ポンプジェットで推進する魚雷も登場している.

 【参考ページ】
http://beachcombersalert.org/HazardousFlotSAM.html
http://hnsa.org/doc/depthcharge6/

【ぐんじさんぎょう】, 2013/08/03 20:00
を加筆改修

▼ これの冒頭部分がいわゆる爆雷
https://www.youtube.com/watch?v=cGI4DoKkHd4

 火薬で飛ばして投下してるけど,駆逐艦にはあれは別に爆雷投下軌条(レール)が標準装備されてて,どかどか何十個と怪しい海域に落としていく.
 水中は衝撃波を伝えやすいので,至近弾でもダメージが行く.
 爆発した爆雷の近くに潜水艦がいると,殴られてダメージを受ける.
 一箇所でも水圧に耐えられなくなると,圧壊して一巻の終り.

ブラウザ・ゲーム板,2013/08/04(日)
青文字:加筆改修部分

米海軍のMk.8爆雷
(こちらより引用)

日本海軍の九三式酸素魚雷
ガダルカナル島で米軍に鹵獲されたもの
(こちらより引用)


 【質問】
faq38j01s02.jpg
http://homepage3.nifty.com/tompei/a022P-3C.jpg

 150kg対潜爆弾だそうですが,おしりのプロペラは一体なんでしょうか?
 着水後に水の抵抗で回転して,回転数で深度を計って起爆させるものかな?と思ったんですが,確証ないんで誰か教えてください

 【回答】
 安全装置.
 投下すると風圧でこれが回転して,一定数回転すると信管の安全装置が外れる.

 普通の爆弾の場合,これは先端についてるが,これは対潜爆弾なので信管は尾端にある.
 ちなみに赤い丸みたいなのが安全ピン.
 機体に搭載するまでは差しといて,搭載したらこれを抜く.

軍事板


 【質問】
 なんでアスロックや対潜魚雷が開発されたの?

 【回答】
 対潜兵器が,艦尾から投下し自然沈降する爆雷から,アスロックや対潜ヘリの短魚雷などに進化する前に,まず前投兵器なる対潜兵器が存在する.
 これは爆雷にロケットを付けて,艦前方に投射する兵器と思えばよろしい.

 ヘッジボックやリンボー,ボフォース対潜ロケットに代表されるが,前投兵器が開発されたきっかけは,通常の爆雷攻撃では,目標直上を通過する段階で,一時的に潜水艦はソナーの死角に入り,かつ,爆雷の爆発直後は海中の乱れで,ソナーは一定時間は効力を失うので,この間に敵潜との接触が失われ逃げられる事があり,特に水中で15kt以上出る水中高速潜が登場してからは,いちいち直上に乗り込んで爆雷投下していたんでは追っつかなくなった.
 この爆雷攻撃時の欠点を補う為に,ソナーで敵潜を探知したまま,距離を置いて攻撃出来る前投兵器が登場したわけだ.

 そして,潜水艦のより高速化(原子力動力によって,時間的制限も無くなった)により,自然沈降任せの爆雷から,積極的にターゲットを追尾する誘導魚雷に,攻撃手段が替わり,これを無誘導のロケットで遠距離に投射するアスロックや,自ら探知手段を持ち,水中の潜水艦に比べれば,ずっと高速に移動出来て攻撃も出来る対潜ヘリに発展したの.

軍事板,2002/12/26
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 第二次世界大戦型じゃない現代の魚雷で,敵潜水艦が深く潜りすぎて攻撃不能ってことはあるの?
 それとも,機械しか詰まっていない魚雷が圧壊する深度は,潜水艦よりも深い?

 【回答】
 対潜魚雷の潜航深度は,概ね(第1世代)300m->(第2世代)450m->(第3世代)600m->(第3.5世代)900mと,段階的に進化して来ました.
 これは潜水艦の潜航深度の増加に対応したものです.

 対して潜水艦の方は,チタン合金の様な高価な素材を用いずとも,高張力鋼の高性能化(HY130,NS110)で通常潜で400m,原潜では600mの安全潜航深度を得られるようになっています.
 つまり,Mk44の様な旧式の対潜魚雷を装備している中小国海軍では,深々度に潜った高性能なSSNを攻撃出来ない様な事態も想定されます.
 たとえば,いまだ各国で使われている,西側の代表的な短魚雷Mk46の最高深度が1500フィート.
 最新のMk48 ADCAPで3000フィート.
 SSN-21 Seawolfが2,000フィート潜れますから,旧型の短魚雷だと届きません.

 それから質問者は誤解していますが,内部に機械が詰まっている魚雷よりも,容積が大きく,沢山空気が詰まっている大型の潜水艦の方が,水圧に耐え深く潜る点では有利です.
 何故なら限られたサイズ,重量の中に誘導装置,炸薬,燃料,推進器を詰め込む魚雷より,艦内容積に余裕のある(つまり浮力に余裕のある)潜水艦の方が,それだけ水圧に耐える頑丈な船体を作れるって事です.
 深々度魚雷の開発は,それなりにノウハウと高度な技術が必要で,おいそれとは作れません.

軍事板,2003/01/16
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 SOSUSってどういう場所に敷くものなのですか?
 領海の大部分に設置してはダメなのですか?

 【回答】
 監視したい国の潜水艦が通るであろうところ.
 要はアメリカが,ソビエト(当時)の潜水艦を監視するために作ったシステムなので,千島列島に沿ってのオホーツク海と太平洋の境界,グリーランドとスカンジナビア半島の間など,「ソビエトの潜水艦が必ず通るであろうところ」を中心に設置されている.

 確かに自国領海の境界線に沿って,SOSUSを「フェンス」のように張り巡らせれば,自国領海を潜水艦から守るには最適かもしれない(実際アメリカはそうしてる)が,海洋国家の場合,必ずしも自国の領海だけ守れば敵国の潜水艦の脅威を防げるわけではない
(日本の場合なら,どんなに日本の周辺海域を守っても,太平洋/東西シナ海航路が遮断されたら干上がってしまう)
ので,フェンスのように張り巡らせるよりは,海峡や大洋の境に位置する弧状列島などの
「必ず監視対象国の潜水艦が通らなければいけないところ」
に設置しておいた方が効率的.

 配置を密にすれば,ログを重ねていくことで目標艦の行動が読めるので持っておきたいのは事実だが,あとは金と手間の問題.

軍事板


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