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<◆陸戦兵器 目次
<兵器FAQ目次


(「かつ丼日記」より引用)


 【質問】
 現代の戦車砲に,ライフリングがないのはどうしてですか?

 【回答】
 ライフリングの効果は,回転を砲弾に与えることにより,回転軸を保とうとするジャイロ効果で弾の姿勢を安定させ,命中率を上げるためです.
現在の120mmクラスの戦車砲は,APFSDS弾やHEAT弾などが主流になっていますが,これらはフィンを使って空力的に砲弾を安定させているので,ライフリングは不要です.
 むしろ回転は,APFSDS弾にとっては,擂り粉木のような動作をするために邪魔になります.
 HEAT弾も,メタルジェットが遠心力で短くなるため,回転しない方が効果的です.

 2003年現在,ライフリングした先進国の120mm砲は実際上英国陸軍だけであり,もし120mmライフルを装備すると,弾薬も英国陸軍仕様を選ぶか,自国で一から生産するしかなくなってしまいます.
 しかも英国で弾薬生産していたRoyal Ordnanceは,予算と効率を理由に弾薬生産から撤退,ドイツだか南アだかの委託生産頼り切りの状態です.
 弾薬も進歩するものであり,それにかかる開発費用は消費者の数で頭割りされます.英国国産弾薬なら国策として少々無理してでも新製品を開発させるでしょうが,他国依頼では損得勘定でしか動いてくれない.
 今後ライフル戦車砲弾は開発費用が乗った,かなり高価格商品になるか,古いものを使い続けるかしかなくなるでしょう.
 これらの理由で英国もようやく本気で滑腔砲化を考え始めたようです.
 歩兵援護のBMP搭載100mm砲などには通常砲弾を安定化しやすいライフルが残されるでしょうが,MBTからはライフル砲は消えてしまいそうなのが現状です.

HN "System"他

 まぁ,実際には飛翔中の弾丸姿勢の安定を図るために,弾丸後部に設けられているフィンで,空力的に秒1回転程度の回転を与えてはいます.

 これは弾丸の侵徹時間内(およそ1ms〜2ms)に1度(DEG.)も 回転しないため,侵徹効果の低下を引き起こすことが少ない(KE弾)領域と,実験的に高速金属流が不安定にならないぎりぎりの領域とをORして回転速度を決定させています.
 これは,誤差が生じる余地がほとんどないのであれば,回転させる利点の方がはるかに大きいからです.

 身近な(本当に身近なのか?とか自分でも思ったりして(^_^;))例をあげれば,和弓(後述しますが,すごいですよ)の矢やアーチェリーの矢なんかも,回転運動を羽根を用いて姿勢安定性を実現させていますね.

 とりあえず簡単に回転運動の必要性を述べると,羽根のついている飛翔体というものは,速度によって空力重心の位置が変動します.
 空力重心というのは,構造重心と似たような概念であり,空気効力等によって変動するダイナミックな重心を指します(大雑把).

 それでは,APFSDS弾にどうして回転運動が必要なのかというと,速度の変動による空力重心の変動がきわめて大きいため (フィンは変化しませんし) ,速度が低い状態においては重心の変動による姿勢不安定化が発生し,ひいては弾道特性に悪影響を及ぼすからです.

 例えば,和弓の矢の様に高速状態や高加速状態では羽根がたたまれ,定常飛翔状態では,速度に応じ羽根が開く (=空力重心移動のキャンセル) のと同時に羽根の捩れにより矢に回転運動を促すといった(経験とはいえ,ここまで機能を付与した職人さんには脱帽です)機構をAPFSDS弾に組み込んだ場合,弾丸の発射時に生ずる加速度に,その機構自体が耐えられないであろうことは容易に想像できます. 誘導砲弾の初速が遅いのはそのせいです

 そんなわけで,APFSDS弾の翼自身の投影断面積及び翼面積は,最大速度に合わせて最適化,そして回転運動を促進させるために最適な取り付け角をもって実装することで,
・高速状態(撃った瞬間から)=>フィンの抵抗で安定化,回転率は低い)
・低速状態(最大射程付近) =>回転が徐々に上がるため,空力重心の変動による影響がキャンセルされる
という状態を実現させるために,設計時にORを行い,最適化を行っていると思ったほうが良いでしょう.

 なお,フィン加工のメリットはこれだけではありません.
 ライフリング加工を行う必要がないため,砲身の高寿命化や砲身の軽量化,ひいては砲身駆動部の軽量化 (砲身停止時等に掛かる機構へのストレス低下) という利点をも同時に兼ね備えることが可能です.

? in 軍事板

※ 『軍事研究』 2008年8月号p.70では,一戸氏が
「毎秒数回転から数十回転の旋動を安定翼で与えている」
と書かれています.

VF-22 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」


 【質問】
 戦車砲の主砲は今ほとんど滑腔砲ですよね.
 でも,それ以下のクラスの砲はみんなライフル砲のような気がしますが,なぜですか?
 HEAT弾撃つならライフリングは良くないのに.

 で,さらに妄想炸裂なんですが,未来の小銃が滑腔砲になる,みたいなことはないのですか?
 ライフル砲と滑腔砲のメリットデメリットふまえて教えていただければ幸いです.

 【回答】
 MBTは殆ど装甲車輌を相手にするだけと割り切っているから,HEAT弾やAPFSDSを使用すること前提に滑腔砲に.
 戦車砲は仰角が上がらない上に直接照準だから,旋条を切っても射程距離に大きく差はない.それよりか攻撃力を取ったという訳.
 それ以外の車輌の砲は,他の種類の弾(榴弾とか)も使うから旋条を切っている.

 たとえば滑腔化された小銃から戦車砲のようにサボ(分離装弾筒)をつけた有翼弾を発射した場合.弾薬の製造工程が複雑になりコストも上がる.
 小銃口径程度の軽い有翼弾では風の影響が大きくなり,かえって命中率や貫通力が減少する.
 弾の口径を大きくした場合,携行弾数の減少や銃の重量の増大というデメリットが生じる.
 とまあちょっと考えただけでもこれだけのデメリットがあるわけで.
 小銃を滑腔化するということは,ライフリングに代わる弾道の安定手段が開発されなければならないってことになる.


 【質問】
 今の戦車砲は旋条を削らない分だけ昔より簡単に作れそうですが,実際はどうなんでしょうか?

 【回答】
 そんなことは無い.
 貫通力や命中精度の要求レベルが高くなった分だけ,より高度な技術が求められるようになった.

 ライフル溝が無い分だけ腔圧が高くなり,かつ高初速が必要なAPFSDSを使用する分だけ,相当高度な冶金技術がないと製造が難しい.
 現代の火砲で砲身命数の管理が一番厳しいのは戦車砲だぜ.

 また,行間射撃で初弾必中と言う,昔なら到底不可能な要求を達成する為に,工作精度も高いものが要求される.
 砲腔が歪んでいれば命中率に悪影響が出るし,砲弾の中心軸が進行方向に対して傾いた状態で飛ぶバロッティングが起こりやすくなってしまう.
 弾道を安定させるために回転させられない以上,寸法公差はライフル砲よりシビアになる.
 また,残留応力が変に残っていれば,射撃の際の熱や衝撃で歪みが出て命中精度を落とす事になる.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 滑腔砲の起源っていつ?

 【回答】
 高腔圧のため,砲弾の回転のせいで無駄になる発射ガスのエネルギーと,施条があるせいでそれと砲弾との隙間から漏れる発射ガスが問題になり,これの解決策として砲を滑腔(つるつるってこと)にし,弾に羽を付け,空力的に安定させる方式が旧ソ連でおこなわれた.
 このT-62に採用された55口径115mm滑腔砲U-5が,制式化された世界最初の対戦車滑腔砲.
 ちなみにこれが採用された理由は,イギリス製の105mmライフル砲L7に対抗するためで,特に深くは考えていなかったらしい

 しかしソビエト連邦は,滑腔砲の有用性に気づき,T-62戦車に採用されたU-5と同じく,T-64に採用された55口径115mm滑腔砲,それに続いてT-64とT-72に採用された51口径125mm滑腔砲D-81と,戦車の滑腔砲搭載はソ連が先んじていた.

 西では,ラインメタル社の44口径120mm滑腔砲Rh120の採用が最初.
 当然だがこっちのほうが高性能.

 これが今よく言われる滑腔砲だが,起源は16世紀頃.
 このころ戦争で火砲が普及し始めるが,すべて滑腔砲で弾はよくアニメで出るような球弾.
 幾年もたち,投射重量を増やすために弾が細長い円筒状になり,弾道を安定させるためには弾を回転させる事が有効である事が知られると,火砲は施条砲に切り替わっていき,この強化・改良が続くかと思われたが,意外や意外,近代の技術で復活を遂げたわけだ.

名無し上級大将◆80fYLf0UTM


 【質問】
 APFSDS弾がAPDS弾より優れている点は?

 【回答】
 弾道を安定させるのに砲弾自身の回転をもちいない為,砲弾の弾芯部の直径をAPDS弾よりも小さくできる.

 砲口の径が同じで同じ装薬量で撃ちだすなら当然,小さい砲が重量も軽く,高初速で撃ち出すことが可能.
 また砲口を飛び出てからも抵抗面が少ないから空気抵抗も少ない.
 さらに,敵車輌の装甲に食い込んだときも正面積が少ない分,一点にかかる圧力も高く貫通力も高い.

 遠距離で命中精度が落ちるやも知れないが,ロシアとはまた事情が違い,欧米の砲は高性能な電算機を用いて計算されつくし設計された砲と砲弾と射撃管制システムにより,ロシアの戦車砲を圧倒出来たわけやな.

軍事板

APFSDS弾
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 APFSDS弾って単に硬くて細い芯が戦車を貫くだけなんですか? それとも貫通後中で爆発するんですか?
 また,現在の戦車は,APFSDS弾の芯みたいな細いものが貫いただけで,すぐに戦闘不能になるものなんですか?

 【回答】
  現在の主用戦車砲弾であるAPFDSDは高初速化により,着弾時,洒落にならない圧力がかかります.
 そのため,弾丸自身もその形状を保つことができず(擬似流体と化します),消耗しながらも,装甲の中をまるでかき分けて進むように穴を穿ちます.
 高圧で流体になった装甲+弾心の破片が,砲塔や車体内に飛び込むわけです.速度が恐ろしく速いので運動エネルギーは膨大なものになります.車内はグチャグチャになります.
 T72のように,即応弾薬が不適切な位置にある戦車などは簡単に誘爆し,砲塔が数十メートル空を飛びます.
 劣化ウラン弾なら焼夷効果も期待できます.

APFSDS弾芯
(画像掲示板より引用)


 【質問】
「貫通力の向上はAPFSDSの原理上ほとんどない.これはAPFSDS弾の独特な侵徹プロセスの特性によるもの」
だそうですが,その理由が分かりません.

 【回答】
 ある弾速以上でAPFSDSの細い弾頭の先端が,装甲と接触すると,その接点ではものすごい熱と圧力がかかって,弾と装甲が流体として振る舞うようになる.
 APFSDSが溶けながら装甲も溶かして掘り進む感じになる.
 この現象は,一定以上の弾速であれば起きるので,初速を必死に上げても,有効射程が伸びる以上の効果が見込めなくなるということ.

 APFSDSは自身を消耗しつつ装甲を侵徹していきます.
 長砲身化によって砲弾の運動エネルギーが増えると侵徹の速度は増しますが,弾芯の消耗速度も増えてしまいます.
 結果として貫通力はあまり向上しません.
 また,弾芯のL/D比と弾速のマッチングが悪いと侵徹中の弾芯の破損に繋がり,かえって侵徹力は低下してしまいます.
 その為,長砲身化しても無闇に弾速を上げる事は出来ません.
 砲弾側の進化が無い限り,戦車砲の徹甲弾の威力の向上はあまり期待できないでしょう.

 要するに一定速度以上のAPFSDSでは貫徹体の長さで貫通力が決まる.
 自らを削りながら貫徹していくので,削りきったところが最大貫徹長.
 口径が変わらない以上,長さを上げるにはやたら細長い貫徹体にするしかない.
 しかし,直径長さ比がある程度を越えると,貫徹体は折れたり飛行中にたわんで精度が落ちたりするため,これにも限度がある.

 すでに最大長さの貫徹体を押し込むだけの初速が得られているのであれば,長砲身化によってさらに初速を上げても大きな改善は望めない.

 もっとも,エネルギー自体は上がっているので,装甲を貫徹できなくともより大きな損傷を与えられるとか,装甲裏面の剥脱によって殺傷する可能性が多少増えるとかいう理屈はある.
 もっとも後者は,スポールライナーなどで止められてしまうことが多いだろう.

APFSDS弾
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 ウィキペディアのAPFSDSに関する項目には
「弾体の材質にはタンタルが最適である」
とあるのですが,比重が16.65とタングステンの19.3に比べて軽いのに何故適しているのでしょうか?

 【回答】
 現代のAPFSDS弾に使用されるタングステン焼結体は,素材特性として強度が高く,延性の低い素材なので,自らの崩壊・変形のために余計に運動エネルギを消費します.
 それ故に強度,密度は劣りますが,容易に変形を起こすタンタルの方が高い侵徹効果が望めます.
 APFSDS弾の弾心は侵徹中は擬似流体なので,純理論的には弾芯は液体のほうが望ましいのです.

 ただし,タンタルは電子部品としての需要が大きく,特にエレクトロニクス技術が進展した21世紀以降では,値段が格段に跳ね上がっている為,砲弾に利用するにはコスト上の問題が大きすぎるでしょう.


 【質問】
 ライフル砲で撃つAPDS弾は高速回転してますので,APFSDS弾が回転しても,特に問題ないのでは?

 【回答】
 問題大です.捩じ切れます.

 APDS弾とAPFSDS弾では,着速も侵徹機構も全く異なります.
 まずはこ のことを念頭においてください.

 APDS弾はいわゆるレガシータイプの弾種であり,着速も1000m/s を超えることはありません(一般的には800m/s程度).
 理由は省きますが,速度を上げすぎると弾丸自身が破砕されてしまい,逆に穴を穿つ能力がなくなってしまうからです.
 侵徹機構としては,釘を木材に打ち込む状況を想像してもらえると助かります.

 しかし,APFDDS弾は前述の弾種とは,着速も侵徹機構も異なります.
 こちらもかなり説明を端折りますが,APFSDS弾は弾芯自身を崩壊させながら,装甲内部を掻き分けて侵入するようにデザインすることで,APDS弾では無し得ない長大な侵徹長を実現した弾種です(同口径).

 レガシータイプの弾種は大体800m/sを境に侵徹長が減少します.
 それに比してAPDSDS弾では1000〜1200m/sを境に侵徹長が急激に増加します.
 逆にこの速度領域以下ではレガシータイプの弾種が侵徹長が長くなります.

 では,なぜ回転が影響するのかといいますと,APFSDS弾の弾丸−装甲相互作用部分(弾丸先端部ですね)では数万気圧レベルの圧力が発生しており,装甲と弾芯がある意味接合した状態になっています (具体的 には粘性抵抗によって支配されているということです).

 ここまで説明したらおわかりいただけると思うのですが,一方(先端)が接合によって固定されている棒を,もう一方から捻った(=回転)場合どうなるでしょうか? その棒はねじ切れますね.
 これと全く同じ事がAPFSDS弾に起こると考えてください.

(? in 軍事板)


 【質問】
 APFSDSの命中率は?

 【回答】
 最新型の120mmAPFSDSは試験場状態で0.1milのばらつきに留まります.これは1km射距離で無風なら10cmの範囲内に着弾することを意味します.
 実世界ではそうはいかず,25cmがありそうな結果であり,35cmまではばらつかない,条件に恵まれれば15cm以内ということのようです.
 ニュースグループのおしゃべりから拾った数字ですが,読めばおわかりの通り,実際のM1A1クルーも書いているところですので,信頼性はそこそこあるでしょう.
http://www.strategypage.com/messageboards/messages/2-5559.asp

 別のサイトでも,ラインメタルDM53 120mmAPFSDSの精度で0.2mil以下という記事があり,最新型で0.1milという数字は信用できそうです.
http://www.defense-update.com/products/digits/120ke.htm


 【質問】
 APFSDSについてなのですが,アレって戦車砲から撃ち出しても質量の大部分はゴミとして捨てられますよね.
 あのゴミの部分には何か意味があるのでしょうか?

 空想なのですが,たとえばレールガンのような感じで,浸轍体だけを高速射出した方が,エネルギーロスが少ないのではないでしょうか?
 それとも浸轍体を高速射出するには,戦車砲を使ってああいう方法で撃ち出すしか,方法がないのですか?
 素人考えでは個人携行火器でも支えさえすれば,なんとか撃ち出せるような気がするのですが.

 【回答】
 そもそも前提が間違い.
 質量の大部分は侵徹体.
 サボは体積比でもそう大きくないし,密度が侵徹体より遙かに小さいので,質量比だと有意な重さではない.

 貫通力だけを求めるなら弾は細く長い方がいい(ただし,あまり長いと,それはそれでまた問題が起きるが)けれど,そうなると徹甲弾以外の弾を使う場合,弾の直径が細すぎると効果が低くなる.
 例えば,榴弾とする場合には弾頭が細ければ,炸薬が充分な量詰められないから,榴弾としての充分な破壊力が得られない.

 戦車の砲は,戦車と戦うための徹甲弾だけを撃つ訳ではないので,徹甲弾発射機としての威力と榴弾発射機としての威力,両方を追求しなければならないから,それを両立させるためにあのような構造が開発された.

 少なくとも4kgの弾頭を1,500m/secまで加速する必要があるから,個人携行火としては,システム全部の重量に無理があるんじゃないかな.
 また,ロケット兵器では加速までに距離が必要だから,射程が遠すぎるとおもう.
 レールガンはいいアイデアだと思うけど,陸上では当分実用化されないだろう.

軍事板,2009/05/31(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 APFSDSの発射時に分離する装弾筒は,どれぐらい吹っ飛ぶ物なんでしょうか?
 初速は弾体と同じな訳で結構危ない気がします.

 【回答】
 米軍範では,主砲の前方200〜1000m,幅400mがAPFSDSの装弾筒の破片により死傷する危険領域となってるようです.

アドバンスト杜聖 ◆REH634FRNQ

 装弾筒が即時に展開,離脱することで,弾芯は高初速を実現しますが,形状等の工夫で弾芯の飛行を安定させてるので,装弾筒の飛行経路を制御する事に意味はありません.

三等自営業 ◆LiXVy0DO8s

 ちなみに,120mm砲発射による歩兵の危険範囲は,以下の通りとされている.

[quote]

A 範囲90度,距離200m以内
発砲時の強烈な爆風・爆圧(死の危険)

B 前方200〜1000m,幅400m以内
APFSDS徹甲弾から分離される装弾筒の破片(死傷の危険)

C 戦車の周囲50m 
発砲時の猛烈な爆圧・轟音(危険)

D 戦車の周囲504m
発砲時の発射音(留意)

[/quote]
―――「図説イラク戦争とアメリカ占領軍」(河津幸英著,アリアドネ企画,2005.7),P249

faq25r04.jpg

CRS in FAQ BBS

 なお,装弾筒のsabotは元々フランス語であり,発音を日本語で書くと「サボウ」が近いのではないかと思います.木靴のサボと同じ単語です.最後のtは発音しません.
 同じくフランス語が元のMarine CorpsのCorpsの最後のsと同様です.
 余談ですが,サボタージュのサボは上記木靴のサボから来ています.
 フランスの労働争議において,労働者が織機にサボを投げ込んでぶち壊した事が語源です.

テレフンケン in mixi支隊

装弾筒分離中のAPFSDS弾
(画像掲示板より引用)


+

 【質問】
 120mmAPFSDSの砲口初速は?

 【回答】
ラインメタルDM33:1650m/s
ラインメタルM829:1675m/s
ラインメタルDM38:1700m/s
米M829A1:1573m/s
Olin 120(90式):1588m/s
露3BM9(125mm):1800m/s
中国ノリンコ(125mm):1730m/s

 HEATだと1400〜1000m/sぐらいになります.


 【質問】
 APFSDSの種類は?

 【回答】
 一般的にAPFSDSと呼ばれるカテゴリの徹甲砲弾の中でも,その特性から

・APDSFS
・StandardAPFSDS
・LongLodAPFSDS
・近代化APDS理論
・新世代AP理論(セグメントAPやハイエナジ,ヘビーエロード等々)

くらいには別れる.

 ちなみに今現在世界一アレしてるのは,GIAT砲とOFLシリーズのセット.
 次点にJM.
 そのまた次がアメリカン核廃棄物弾.

|日0TK@おっぱいマイスター ◆Y2ynCgeGhk in 軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 APFSDSが貫徹した部分に爆発する物が何も無い場合,車内はどうなるのでしょう?
 戦車の反対側の装甲も貫徹して突き抜けたりはしないんでしょうか?
 それとも被弾爆発するのは誘爆以外の要因があるのでしょうか?

 【回答】
 APFSDSの弾芯,もしくは折れた弾芯やその破片,装甲を貫通した時にできる砕片が車内を跳ね回る.
 車内にあるものはことごとくそれに切り刻まれることに.
 APFSDSほどでは無いにせよ,徹甲弾で貫通されたら装甲の射出口側(撃ちぬかれた裏側,撃たれた側の内部ね)の周辺の装甲が剥離するので,それが破片として飛んでくる.
 装甲板のように鉄を硬く処理すると,頑丈に且つ硬くなる替わりに強い衝撃が加わった時に砕けて破片が飛ぶ.
 当然,貫通した徹甲弾本体だって車内を跳ね回る.
 これは徹甲弾でなくても,装甲を貫通できれば機関銃の通常弾だって同じ.
 最近のMBTなどは,装甲の剥離片や貫通弾芯の破片が車内を跳ね回らないよう,砲塔の内側に防弾繊維で内張りがしてある事が多い.

 もし最初に装甲を貫通しても,貫通力が有り余ってるなら,反対側の装甲を内部から貫いて車外に出ていく,ということもないとは言えない.
 ただ,現実には装甲貫通時の応力変化などが弾芯に加わるので,よほど薄い装甲でもなければ,「入って反対側からまた出ていく」という事は起きないらしいが.

 あと,劣化ウラン弾芯のAPFSDSはそれそのものに焼夷効果があり,装甲貫通時に発生した粉末状の破片が自然発火するので,例え車内に可燃物が何も無くても火災が起きる.

 大砲や対戦車兵器で撃たれるとどんな感じになるのか?については,以下の優れたサイトを参照すべし.
http://sus3041.web.infoseek.co.jp/contents/armor_brake/armor_brake.htm
「大砲と装甲の研究」より)

軍事板


 【質問】
 常見問題の戦車の砲弾関連で
「貫通力の向上はAPFSDSの原理上ほとんどない.これはAPFSDS弾の独特な侵徹プロセスの特性によるもの」
とありましたが,砲の口径を大きくすることで,APFSDS弾にメリットってあるんですか?

 【回答】
 APFSDS弾には砲口の直径と弾芯の直径(+弾芯の長さ)+装薬の威力と弾芯の重さに,「これがベスト」という関連性があるので,威力(貫通力)を大きくするには,やはり砲口口径を大きくする必要がある.

 仮に120mm砲用の弾芯をそのまま使って105mm砲用のAPFSDS弾を作っても,ベストな貫通力が出せない(むしろ105mm砲用よりも貫通力が落ちる).

 APFSDS弾は120mm砲で長砲身化しても,貫通力があまり上がらなかったりして,最大の威力を効率的に発揮するには,砲身の長さや装薬量にかなりタイトなものが存在し,設計はかなり難しい.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 戦車の砲弾は高速の方が有利とのことですが,現用のAPFSDSの発射薬を爆速の早いオクトーゲンに詰め替えて撃てば,速度を稼げないでしょうか?

 【回答】
 その砲に装薬に適した火薬ってのは爆速以外にも燃焼時間が重要.
 砲を飛び出る前に燃焼が終わると,圧力差で燃焼ガスが逆方向に引っ張られるので,初速が落ちてしまうし,燃焼が終わる前に飛び出てしまったら,その分は無駄になってしまう.爆速が速けりゃいいってものではない.

 後,APFSDS弾は口径に合ったL/D比が求められ,それに適した飛翔速度が定められる.
 過剰な速度は,逆に侵徹の際の弾芯の破損に繋がるので無意味.

 それ以前に爆薬と発射薬は違う.
 発射薬は燃焼によってガスを生成する.
 爆薬は爆轟によって衝撃波と圧力を発生する.
 オクトーゲンでもRDXでも,砲身内で起爆すれば砲身(と戦車)が吹っ飛んで終わり.
 発射薬は燃焼するから生成ガスで砲弾が前進し,さらにガスが生成し,と,制御された発射が可能になる.同時に砲身厚も妥当なものになる.
 どうしてもオクトーゲンでもTNTでも,爆薬で大砲作りたかったら,とんでもなく分厚い砲身と薬室,ブリーチが必要になるし,砲弾も素晴らしく丈夫に作る必要がある.
 しかも,爆轟はけっこう気まぐれなところがあるので,たぶん初速は一定せず,当たらない.


 【質問】
 HEATもAPFSDSも両方積んでるのなら,使い分けはどうやるのでしょう?
 APFSDSがHEATに対して完全優位なら,使い分ける理由が無いと思うのですが.

 【回答】
 対戦車用としてHEATを使う場合は以下の3通り
 1) APFSDSが無い又は残り少ない
 2) 既にHEATが装填してある
(非装甲目標と装甲目標が同時に脅威となる可能性がある場合,両用弾であるHEAT−MPを装填しておく)
 3) 超過・間隙射撃のため,APFSDSが使用できない(サボによる危害防止)

 どのような敵に遭遇するのか分からないときには,砲にHEATを装填しておくという話がある.
 戦車が来ても,軟目標でも対処出来る.APFSDSだと後者にはまったく適さない.
 またAPFSDSの威力は存速に依存するが,HEATの威力は射距離に関係ないので,4000mとかの超遠距離の対戦車射撃にはHEATを使うとも言う.
 さらに,HEATは多目的砲弾として榴弾替わりにも使えるが,軽〜中装甲の車輌に対して大変有効.APFSDSだとあっさり貫通し,かえって破壊力が低下する.

(HN : System他)


 【質問】
 日本の「90式」など最近の主力戦車には2種類のAPFSDSとHEAT-MPが搭載されていると聞きましたが,自動装填装置を用いている戦車では砲弾の切り替えはどうやって行うのでしょうか?

 【回答】
「自動装填システムには,装填する際の弾種を予め入力する事によって戦闘中にAPFSDS弾とHEAT弾をスイッチにより瞬時に選択装填可能である」

http://www.f5.dion.ne.jp/~mirage/hypams01/type90.2.html
より.

 因みに,間違った弾を装填したら,取り出して別なのを装填も出来るが 撃った方が手っ取り早いそうな.

(名無し三等兵 in FAQ BBS)


 【質問】
 90式とかM1A1とかレオパルド2とかはラインメタル社の120mm滑腔砲をつけていますが,全部同じものと考えていいんでしょうか? 砲弾も同じで,どの戦車でも使用できるんでしょうか?

 【回答】
 基本的には全部同じものと考えてよい.
 勿論,砲弾も共有できる.

 ただし,アメリカのM1A1以降が搭載している120mm砲M256はドイツの元祖120mm砲 Rh120のライセンス生産品だし,日本の90式が搭載している120mm砲も日本でライセンス生産したもの.

 なので,それぞれ「全く同じ」ではない.
 性能はみな同一だと言われているが,元祖ドイツ製がやはり一番,という評価もある.

 これは,
日本=技術的に自前は回避.
アメリカ=ガンランチャーにかまけていたら,取り残された.
からドイツに頼んだ,ということに起因する.

 砲弾は補給のため共通化してる.
 自前で開発したフランスも,砲弾はラインメタルの砲弾が使えるとのたまってるし,イギリスのライフル砲もラインメタルの砲弾に管状のケースをつければ使えるとのたまっている.

 なお,旧東側も120mmにすげ替えるところが増えてきている.
 榴弾砲も155mmが国際標準化しつつあり,中国も輸出用だけでなく,国内用に152mmとともに155mmを採用し,ロシアも155mm装備を考えている様子.
 英国の120mmライフルも孤立してしまった結果,互換性を頼って120mm滑腔砲に換装するようだし,近い将来に,戦車砲は120mm滑腔,大口径榴弾砲は155mmで全互換,になりかねない様子.

(system ◆systemVXQ2他)


 【質問】
 120ミリ砲を45度の角度で打ち出したら着はどのあたりになりますか?
 ラインメタル製滑砲で.

 【回答】
 ラインメタル120mm滑腔砲は直射用なので,45度もの仰角を付けて発射できるプラットホームは存在しない.

 さて,砲の仰角を○度にしたとき△m飛ぶ,という情報は「射表」として砲種ごと算定されている.
 角度だけでなく,発射に使う火薬(装薬)の量,発射する弾種などによっても飛距離は異なってくる.
 wikipediaに射表のサンプルがあるので参考にしてみて.
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%84%E8%A1%A8

 その上で「45度で・・・」という疑問が消えないのなら,適当な砲の「射表」を自分で探すなり,具体的な条件を添えて再質問するなりしてね.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 ドイツ(以外も使ってますけど)のレオパルトU戦車の最近の型は,とっても砲身の長い120mm砲を使っていますけれど,あの長い砲身は,下向きになったとき(急坂を下ったり,高めの障害物を乗り越えた時とか)に,地面につっかえたりしないのでしょうか???

 【回答】
 基本的に44口径砲の使用を前提として設計されているため,運用上の負担になっているようだ.
 必要に応じて仰角をとれるから,つっかえたりはさせないようにするだろうけど.

 2005年4月号の「グランドパワー」誌にレオパルド2A6の乗員の話が載ってたが,やぱーりあそこまで改修しちゃうと問題が出る.
 砲身寿命が短いとか,命中率下がったとか,林や市街地だけでなく,平野ですら取り回しが良くないとか,バックすると跳ね上がった泥が砲の先にへばり付いて拭くの面倒臭いとか.
 あの話を読んでアメリカやスウェーデンが55口径砲をスルーしてる理由がわかったような気がする.
 レオ2はA4型がベストバランスという声が.
 新型が開発されてればこんなことには…….
 安易にTK-X批判して,74改修すりゃ充分だろとかぬかす輩に是非読んでほしい.



 【質問】
 何故ドイツ・・・というかレオパルトUだけ,あんなに砲身の長い型を作ったのでしょう?

 【回答】
 初速向上による射程の向上を意図した.
 貫通力の向上はAPFSDSの原理上ほとんどない.これはAPFSDS弾の独特な侵徹プロセスの特性によるもの.
 さらに,長砲身化で長射程での命中精度は下がったと言われていて,意図したほどの効果はないらしい.

 改良には限界があると言う典型的な例だな.



 【質問】
 現代の戦車は皆長い砲身を持っていますが,市街地や森林,起伏の多い地形を移動する時に砲身が異物と衝突しそうに思えます.
 ちょっとやそっとでは大丈夫と思いますが,どの程度まで問題なく行動できるのでしょうか?
 【回答】
 普通に操縦してて砲身ぶつけたって話は,陸自では聞かないがな.

 あ,でも富士学校の戦車は,幹部学生(特にBU)が操縦するから,土手に砲身ずぶって刺したり,砲旋回させて太っとい木にぐわんってぶつけたりってのはしょっちゅうだがな(笑)

緑装薬4◆8R14yKD1/k


 【質問】
 同じ頃の弾道計算機をつけた戦車ですら,射距離1500mにおける初弾命中率が50%程度だったのに,たかが基線長測距器のみのレオパルド1が,1000mで初弾命中率85%なのはおかしいのでは?

 【回答】
射程 250,,500,750,1000,1250,1500,2000,2500,3000
A   94 88 78  64  49 35 17   7    1
B   97 90 83  73  62 50  30  19   13
C  100  96 90 79  73  57 40  28   21
D  100  98 93 83  68  62 43  33   26

A,光学機器のみの射撃
B,光学機器と機械式計算機による射撃
C,レーザー測量機と電子計算機による射撃
D,理論的に完全な測量による射撃

http://www.bekkoame.ne.jp/~bandaru/deta0221.htm

 ここを見る限りレオパルド1の命中率の件については捏造だろうね.
 射距離1000mにおける命中率が85%というのは理論的最高値を超えている.
 この頃は冷戦の真っ最中だから,旧西ドイツも捏造せざるを得なかったのだろう.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 90式戦車の120mm砲に空砲がないのはなぜでしょうか?
 模擬戦つまらないのですが.
 M1やレオパルド2,チャレンジャーもそうなんですか?

 【回答】
 ラインメタルの120mm滑腔砲は燃焼薬莢式(薬莢は発砲すると燃えてなくなる)なので,空砲は作れない.
 一応非燃焼式薬莢にした訓練用空砲はあるが,どこの国も使ってない模様.
 90式は自動装填装置がある都合上それも使えません.

 チャレンジャーの120mmライフル砲用の空砲は存在はしていたはず.
 使ってるかどうかは知らないけど.

 アメリカをはじめ120mm滑腔砲を使っている国は,訓練時には訓練用の専用弾(ある一定距離までは普通の弾と同じに飛び,一定距離を飛ぶと急速に速度が落ちる.演習場の外に飛んでく心配がなくてウマー)を使います.

 ただ射撃訓練以外では,砲身の上に発煙弾のカートリッジを並べたものを載せて,それを発火させて「主砲を撃ったつもり」として訓練してますが.

 イスラエルなんかでは砲身の上に50口径の機関銃を載せて,それを代用にして実弾射撃訓練をしています(日常射撃訓練する近距離であれば砲と機銃の弾道は同じなので)


 【質問】
 XM360って何?

 【回答】
 2007年末現在,ARDEC(武器工学・技術センター)で開発中であり,MCSに搭載予定の軽量化120mm滑腔砲.
 重量わずか1,860kgで,44口径と推定される.
 初速度不足が懸念されるため,その点を補う意味でも新たな専用の中射程誘導砲弾も開発中.

 【参考ページ】
http://fas.org/man/dod-101/sys/land/fcs.htm
http://www.globalsecurity.org/military/systems/ground/fcs-blos.htm
http://www.fcs.army.mil/systems/mcs/
http://en.wikipedia.org/wiki/XM1202_Mounted_Combat_System
http://ja.wikipedia.org/wiki/MCS
http://obiekt.seesaa.net/article/147866750.html

【ぐんじさんぎょう】,2011/02/04 20:50
を加筆改修

XM360とXM360E1の違い

http://twitter.com/obiekt_JP/status/25183501066174464


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