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兵器FAQ目次


 【質問】
 戦車の機関としては,ガスタービンとディーゼルってどっちが優れているんでしょうか?

 【回答】
 ガスタービンは小型に出来るし高出力だが,低速回転,加速中の燃費が悪い.出力80%くらいで定常回転する飛行機のエンジンとちがって,戦車のような地上の乗り物の場合は非常に問題になる.
 (逆に,平坦な場所を出力一定で長時間走るような場合は,それほど燃費は悪化しない.クウェートやイラクでM1が意外に足が長かった理由はこれ)
 しかも回転数を維持するため,アイドリング時も燃料を食う.

 その上,吸排気が大掛かりになるし,チリやホコリに弱い.
 よって戦車には向かない,というのが今の結論.
 結局ディーゼルが一番,ということらしい.

 ただし,ディーゼルはディーゼルで
*排気が目立つ
*得られる出力の割にエンジン本体が大きい
*振動が大きい
*大馬力にすると冷却が面倒
といったデメリットがある.


 【質問】
 エンジン前置き戦車には,なんかデメリットあるんかな?

 【回答】
 かなりデメリットはある.

 まず,エンジン交換の際,後部だと後部ハッチ開けて引っ張り出すかパワーパックならそのまま交換できる .
 しかし車体前部にあると,前は装甲なので開けられないので,砲塔をはずして上から交換する等手間がかかる.
▼ 被弾しやすい車体前面に構造的弱点は作れないので,フロント・エンジン型の戦車では,エンジン付近にでかいハッチをつけたりできないからだ.

 また,砲塔は安定した重心位置に置くことを考えると,あまり後ろに配置したくないのだが,そうなるとエンジンハッチを開けるときに砲塔が邪魔になる.
 場合によっては,砲塔を外さないとエンジンが整備できなくなってしまう.
 被弾のことを考えると,エンジンハッチを分厚くしなくてはならないし,ルーバーやグリルが自由に設置できない(車体前面装甲に孔開けるのと一緒なので).
 結果的に重くて厚い一枚板の重装甲ハッチになってしまうため,開けるだけでもひと苦労になる.

 こうした面から重装甲にしたフロントエンジン車輌は整備性が著しく低い.

 エンジン自体,大容量化しにくい.
 重い前面装甲とエンジンが前方に集まってしまってるから,エンジンが大きくなりすぎると重心が取れなくなる.
 バランスを取るために,砲塔をかなり後ろのほうに置くしかなくなり,そうすると重心から離れた位置に砲塔が来て,発砲動揺などで射撃精度が落ちる.
 エンジンを小さいので我慢すれば,当然,出力が落ち,機動性が下がる.▲

 エンジンブロックが車体前方にあっても,APFSDSの前には効果的といえる防御力にはならない.
 空間が多い分HEATに関しての防御力は存在するが,そんなもの第一級の複合装甲を製造できる国にとってメリットとはいえない.

 かさばり,重いエンジン・ブロックを前方にうつすことで,車体後方にドアを付けられる.
 極端に言えば陣地にダックインした状態で動かさずに,人員の出入りや搬入・搬出が出来るため,1メートルたりとも退かない覚悟のIDF的ドクトリンには向く.

 しかし車体の重量バランスとしては,前にエンジンブロック,後ろに空間ということで偏りが生じる.
 これでは主砲の射撃によって生じる反動や動揺,機動時の動揺をを抑えにくく,射撃精度や射撃間隔などに影響を及ぼす.

 74式や90式のような,日本の戦略環境に最適化された戦車を必要とした陸自の観点からすると,フロント・エンジン構造は,メリットは無いのに解決が大変なデメリットをたくさん抱え込む無駄な基本設計に見えてしまう.
 国によって機甲ドクトリンは千差万別だが,正直言ってIDFのそれはかなり独特すぎる.

unknown
軍事板,2009/01/10(土)(2010.5.9追記部分)
青文字:加筆改修部分

戦場での74式戦車の砲身交換や90式戦車のエンジン交換などの演技
陸上自衛隊武器学校の記念祭日にて

よしぞうmaro' in mixi,2007年10月15日02:13
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 スターリング・エンジンを搭載した軍用車輌は有ったのですか?

 【回答】
 スターリング・エンジンは元々が,1816年にスコットランドの牧師が製作した低圧蒸気機関であり,多分それを車輌に応用することは無かったかと思います.
 自動車の実用化が19世紀後半ですから,その前に一旦スターリング・エンジンは廃れていますし.

 その後,スターリング・エンジンが復活したのは1937年で,これも元来は蘭印奥地の資源調査に際して,徐で持ち運びできる小型発電用エンジンとして,Philipsが開発したものが起源です.
 従って,最初は車輌用ではありませんでした.

 その後は米国やスウェーデンなどで自動車用に研究が為されています.
 しかし,残念ながら,当初挙げられていた,燃費の良さは,ある一定の温度を超えると急激に悪化することが判明.
 しかも騒音も,エンジン単体では無音に近いですが,補機の騒音を含めれば,ディーゼルよりも大きくなると言う欠点があり,その間,ディーゼル・エンジンなども静音技術が発達しています.
 更に,普通のディーゼルよりも容積は大きく,ラジエーターはディーゼルの2.5倍の容量が必要でした.
 最大の欠点は,外燃機関ですから,ある程度の暖機運転が必要です.
 こうした欠点が出てくるにつれて,余り顧みられなくなりました.

 上記の欠点,燃費が悪い,騒音が大きい,容積がでかい,冷却能力の大きいのが必要,始動性が悪い,全ては軍用車輌では致命的なものです.
 従って,スターリング・エンジンは,軍用車輌にとっては魅力が無く,実際に搭載されたものはありません.

 ちなみに,蒸気機関というものであれば,蒸気エンジンのトラクターというのがありましたし,米国では1910年代に至っても,蒸気エンジン戦車等というものを数種類試作しています.

(眠い人 ◆gQikaJHtf2)

米陸軍蒸気戦車「アメリカ」
(画像引用元:"Tanks and Armor Photos"


 【質問】
 今,ディーゼルやガスタービンで発電し,電気を使って走行するAFVってありますか?
 また,このシステムにはどんな長所or短所がありますか?

 【回答】
 その昔,ドイツにエレファント駆逐戦車というのがあった.
 ガソリンエンジンで発電,電気モーター駆動だったが,発動機・発電機・モーターと全体の機構が複雑化し,機動力と整備性は最悪,重量・容積面で不利にもなり,キツい坂になると火災を起こすことも.
 以後,同様のシステムを採用したものはない.

 ハイブリッドであればハンビーの類ですでに試験使用はされており,AFVにも燃費向上,バッテリーのみ走行による静粛化などが期待されています.
 電動モーター走行オンリーは,今のところ十分な出力で小型軽量のモーターがなく,存在しません.
 発電機とモーターという荷物が増えますが,各駆動輪にモーターを直結あるいは内蔵可能になれば,レイアウトが俄然自由になり,車内空間も取れます.

軍事板

 現在ではGeneral Dynamics UK が,英陸軍の FRES 計画向けに AHED (Advanced Hybrid Electric Drive,画像下) なる 8×8 装輪シャシーのデモンストレーターを開発してます.
 MTU のディーゼルで発電して,ハブに内蔵したモーターで走るんだとか.

井上@Kojii in mixi支隊

faq25h02.jpg
(画像引用元:「Armed Force」


 【質問】
896 名前: 名無し三等兵 投稿日: 2008/11/06(木) 23:09:19 ID:4943E41N

 戦車の燃費って悪そうだし,ハイブリットにしないの?

897 名前: 名無し三等兵 投稿日: 2008/11/06(木) 23:11:25 ID:4943E41N

 オレのIDすげえ.

 【回答】
 広い意味でのハイブリッドは昔からある.
 燃費も含めた新しいハイブリッドは開発中だけど,なかなか難しい,

 まず馬力が足りない.
 その点で候補以前の問題.
 60tもの巨体を動かす能力と言うのが前提で,ガスタービンかディーゼルじゃないと,今のところ無理.
 それくらいパワーが出せるハイブリットエンジンが出て初めて,選択肢に挙がるかと.

 また,乗用車,商用車のハイブリッド化にメリットがあるのは,フルパワーを出さずに部分負荷で走る割合が高いため.
 部分負荷時は燃費率が悪いので.
 全開率の高いAFVでは,ハイブリッド化のメリットはあまり無い.

 それをクリアしても,整備性とかの問題でまたアウトだと思われるが.

軍事板,2008/11/06(木)〜11/07(金)
青文字:加筆改修部分

 米軍が開発中のMCSはハイブリッド.
 FCS自走砲に関して言えば既に試作されてる.
 ディーゼルで発電してモーターで走るという,潜水艦みたいな形式だが.

 整備性に関してはトランスミッションが無くなる分,ディーゼル電気駆動式ハイブリットの方がむしろ向上するとされてる.
 結構な重量を喰ってるトランスミッション系をなくすことで軽量化が図れるのが,ハイブリット戦車の利点の一つ.

 そもそもWW1中のサン=シャモン戦車が既にその方式のハイブリッド.
 モーターは変速機がいらないため,燃費効率や軽量化の上で有利だから,戦車に搭載するという発想は何度もされてるんだが.

神゛聖\(^o^)/オワタ帝國 ◆u8nX3fKy0k in 軍事板,2008/11/06(木)
青文字:加筆改修部分

 MCSや一部の偵察車輌の試作車などは確かにハイブリッドだが,車重を考えると,今のMBTの数十トンにはおよばない.
 MCSでやっと20トンを越えているところ.
 だから,上の回答にある「馬力が足りない」というのは間違いとはいえないです.

 艦船とかだとディーゼルエレクトリックのような機関を採用した船も,過去にはあるのですが,こと話は装甲車輌だけに,容積寸法が小型でかつ整備性が高いものが求められていますし.

軍事板,2008/11/06(木)
青文字:加筆改修部分



 【質問】
 サンシャモン戦車ハイブリッドじゃなくて,ただのディーゼルエレクトリックじゃない?

 【回答】
 サンシャモンはガス・エレクトリックだったかと.

 さて質問についてだが,wikiで悪いが.
「ハイブリッドカー ( Hybrid Car ) とは,作動原理が異なる二つ以上の動力源をもち,状況に応じて単独,あるいは複数と,動力源を変えて走行する自動車のこと.」

 ディーゼル/ガソリン・エンジンでは走行できず,モーターでしか走行できないディーゼル/ガス電気駆動は,「狭義」のハイブリッドカーには当てはまらない.
 シリーズハイブリッドの一種とは思うけど,工業的には別扱いらしい.
 バッテリーでモーター回すパラレル式だけがハイブリッドじゃない.

 以前はシリーズ式がハイブリッドカーの主流だったんだ.
 エンジンやモーターの片方を止めたり動かしたりってのは,プリウスが出てからやっと主流になったんよ.
 90年代初めまでは,ハイブリッドカーの試験車輌と言えばほとんどシリーズ式で,エンジンを定速回転させて燃費を抑え,その電力でモーター回して走る方式だったのよ.
 なのでシリーズ式でも燃費は良かったが,モーターだけでは出力不足だったんで,エンジンでも走れるパラレル式のメリットは理解されてたものの,複雑高価になるとして,なかなか実用化がされなかった.
 だからこそプリウスは,革新的自動車として熱狂的に迎えられたわけで.

 なので,「燃費が考慮されてないから,シリーズ式は狭義のハイブリッドじゃない」という考え方はマチガイ.

 ちなみに燃費だからってハイブリットエンジンだけとは限らない.
 ハイブリットボディとかも燃費に関係してくる.

軍事板,2008/11/06(木)〜11/07(金)
青文字:加筆改修部分

 つまり要は,ハイブリッドの定義の問題.
 確かにプリウスその他のハイブリットカーみたいな,エンジンとモーターを両方推進力に使うというハイブリッドエンジンではないが,
「異なった動力機関を組み合わせて推進力を得る」
という定義なら,立派なハイブリッド推進.
 即ちディーゼル電池潜水艦は十分ハイブリッドと言える.

神゛聖\(^o^)/オワタ帝國 ◆u8nX3fKy0k in 軍事板,2008/11/06(木)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 ジェット・エンジンで走る自動車ってあるんですか?

 【回答】
 あります.
 音速突破記録を持ってます.
 公道は走れませんし,実際上,直進しかできませんが.

system :軍事板,2003/11/08
青文字:加筆改修部分

 速度記録用のやつが,アメリカの塩湖突っ走ってます.
 軍用ジェットエンジンの中古に,自作アフターバーナーとか,謎の世界でけっこう面白い.
 あと,ドラッグレースにジェットエンジンクラスがあります.
 日本国内でも走ったことあったような.

 ドラッグレース関連で検索すれば出てきますよ.
 あとはジェットエンジン搭載自転車とか.
 ネタ用ワンオフですけど.
http://www.rintendo.com/Products/PowerAssist/firetrickbob.htm

 実用車でとなると無いですね.

 ガスタービンの市販車もコンセプトカーだけで,実用車は無かったような.
 軍用だと,米国とロシアの戦車にあります.
 ガスタービンとジェットエンジンは,ちょっと違いますけれど.
(ジェット・エンジンは排気を推力として使う.
ガスタービンは,軸回転を出力として使う)

軍事板,2003/11/08
青文字:加筆改修部分

ジェット列車
faq070418jt.jpg
faq070127r.jpg
faq070608e.jpg
(画像掲示板より引用)


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