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◆◆劣化ウラン
総記 目次
兵器FAQ目次


(画像掲示板より引用)


 【link】

「Togetter」◆(2011/01/17)劣化ウラン弾の健康被害からラジウム温泉の正しい入り方まで

「愛・蔵太」■(2007/12/06) [劣化ウラン弾]信州大学の調査結果を待ちたいです

「週刊オブイェクト」◆(2010年07月10日)欧州放射線リスク委員会は何度も妄言を繰り返すトンデモ集団

「駐日米国大使館」◆(2003/10/06) 劣化ウランに関するよく尋ねられる質問


 【珍説】
 アメリカは湾岸戦争で,劣化ウラン弾という核兵器を使い,イラクの大勢の女子供に今なお恐るべき後遺症をもたらした.従軍した米軍兵士も,湾岸戦争症候群に苦しんでいる.
 今度の戦争でも,これを使おうとしているアメリカ政府は,その点からも絶対悪であり,アメリカを支持する「2ちゃんねる」軍事掲示板住人は,悪の手先である.

 【回答】
 第1に,軍事掲示板住人は,アメリカのやることを別に支持しているわけではない.

 第2に,劣化ウラン弾は,核兵器ではない.
「劣化ウラン弾は非常に硬く,かつ重いので,細く弓矢の様にして高速・戦車砲で発射します.すると敵戦車の厚い装甲を撃つ抜くことができます.
 さらに戦車内部に入った弾は,高温を発して激しく燃焼します.この高温で戦車内部の砲弾を誘発させることができます.
 また航空機の20ミリ機関砲弾に劣化ウラン弾を使用して,比較的装甲の薄い戦車上部を撃ち抜いて,敵戦車や装甲車を攻撃する方法もあります」

http://www.kamiura.com/mail.html

 「重い(比重が高い)」という点ではタングステン合金(純タングステンに数%の鉄等を結合材として混ぜ,焼結)弾頭のほうが優れている(燃焼効果はない)が,これは加工費が高価くつくため,米軍は劣化ウランを使い続けている(ちなみに自衛隊はタングステン合金を使用).

 ▼劣化ウラン弾(正確に言えば,劣化ウラン弾頭徹甲弾)


 その有害性についてだが,
(1)有害性が立証されていない(米軍の公式見解)
(2)放射能が有害
(3)重金属中毒になるので有害.
など諸説入り乱れている状態.

 湾岸戦争症候群との関連については,とても放射線障害として解釈できるような内容でも,頻度でも,出現時期でもない.
 基礎的な知識を持つ者であれば,湾岸症候群を劣化ウラン弾の放射性によるものだと主張するどころか,そのような突飛な考えは思いつきもしない.突飛=誤り,とは言わないが,自然法則というものも存在するわけで.

 事実,どこまで信頼できるかは分からないが一応WHO報告では関連性は否定されており,スカッド関与説《ソース未確認》,忌避剤・殺虫剤関与説もあるという.

 以下引用.

――――――
湾岸症候群原因はワクチン 裏付けの報告入手と英紙(リンク切れ)

 12日付の英紙タイムズは,1991年の湾岸戦争に従軍した兵士が体調不良を訴える「湾岸戦争症候群」は,イラク軍による各種の生物兵器使用に備えて,兵士らに接種された混合ワクチンが原因であることを裏付ける,英軍医療専門家の秘密報告の写しを入手したと報じた.
――――――

――――――
湾岸戦争症候群,フランス兵には発症なし
「ガーディアン」紙,Feb. 12, '02

 アメリカ議会への報告によると,湾岸戦争に従軍したフランス兵は,ワクチンや抗生物質による予防接種を受けなかったおかげで,同盟国であるイギリスやアメリカの帰還兵のような体調不良に悩まされずに済んだという.
 国家安全保障調査委員会に提出された証拠から判断すると,生物兵器や化学兵器から従軍兵士を守る試みは,かえって兵士の健康を害する結果となった.
 フランス兵には防護服が配られたが,イギリスとアメリカの兵士が投与されたような混合薬物は与えられなかった.フランスの帰還兵の内,湾岸戦争への従事が原因で健康を害したと報告した者は,2万5千人の従軍兵士のうち,140人に過ぎなかった.
 これに対し,イギリスでは5万2千人の従軍兵士の内,5千人以上が,アメリカでは69万7千人の内,13万7862人が,何らかの体の異常を訴えている.
 また,フランス軍は,アメリカやイギリス軍が使用した有機燐殺虫剤を用いなかった.これは現在では,人体に非常に危険なことが分かっている.
――――――
――――――
湾岸戦争症候群に忌避剤・殺虫剤が関与か(既にリンク切れ)

これを湾岸戦争症候群として,各国でその原因が追及されてきました.
 帰還兵たちにみられる症状は,本人については,記憶力減退,頭痛,疲労感,筋肉痛,呼吸器や消化器系の異常,振せん,皮疹など,さらに,その子供に先天異常の発生率が高いとの報告もありました.
 このほど,アメリカのデューク大学の研究者らが行なった.鶏による実験で,その原因の一端が解明されました.
 湾岸戦争で,兵士らが用いた害虫忌避剤ディート(ジエチルトルアミド)または殺虫剤ペルメトリンと神経系毒ガス兵器の解毒薬剤プロフィラクティック・ピリドスティグミン・ブロマイドという臭素系物質(略称:PB)の複合毒性試験を実施したところ,それぞれ単独での実験では異常がなかった鶏に,人と類似した神経症状が認められました.
(中略)
 特に,三薬剤を投与したもので相乗的な影響の一層高まりがみられます.
 これらのことから,研究者は,投与されたPBが,普通ならディートやペルメトリンの作用を弱めるはずのブチリックコリンエステエラーゼ酵素の働きを阻害してしまうため,後二者が脳や末梢神経系に到達して,健康被害を与えるようになった考察しています.
 ディートは日本でもよく使用されている虫よけのクリーム(リペレントともいう)に 含まれている化合物で,子供たちが野外で使用することも多い薬剤です.
 ペルメトリン は塩素を含むピレスロイド系の物質で家庭用殺虫剤や農薬に使われています.

 〔略〕
――――――

 癌や白血病の原因として放射線の害がすぐ浮かぶのだろうが,石油中に含まれるガソリン,コールタール,ベンゼン環物質等も同様の症例がある.
 「癌」,「白血病」を上記の物質でぐくると詳しい説明が載っている.
 湾岸戦争症候群は,油田火災で空気中にばら撒かれて吸引し,発症したと考える方が妥当.
 科学的に怪しい減損ウランよりも,こちらの方が有力.

 さらに,国民の核アレルギー意識を利用せんがため,意図的に「放射能を出す核兵器」呼ばわりしているとしか思えないグループなどもあるなど,事実究明を離れてプロパガンダの材料にされている状況になっている(劣化ウラン弾が本当に,"放射性物質として"有害な結果をもたらすかどうかは,長期間にわたる疫学的調査の結果を待たないと出てこないだろう.

 重金属中毒であればある程度早期に調査結果は出るが,放射性物質としては体内被曝にしても悪影響が出るのに最小単位10年のオーダーで考えなければならない.
 逆に言えば,数年の話で「これこれの異常があった.劣化ウランの悪影響である」と主張している者がいれば,故意か単なる無知かは別として,信用できるソースではない,少なくとも主張者のレベルを考慮して記述を解釈する必要がある,ということになる(除,重金属中毒症状)).
 ゆえに,事実究明には相当の時間がかかるだろう.


 【質問】
 NHKで劣化ウラン弾は人体に有害だと解説していた人物がおられましたが,軍事素人認定OK?

 【回答】
 No.

 広島大学平和科学研究センターの武力紛争における 劣化ウラン兵器の使用というページが,分かり易くて良いかと.「ヒロシマ」ですからバイアスはかかってるけど.

 急性毒性に関しては鉛に準じます.
 基本的には腎臓障害ですね.消化管からの吸収率は低いのですが,血行中に移行した場合,肝臓や骨に蓄積される傾向があります.
 良く言われる肺に関しては,数十日から数百日の生物学的半減期で肺から出て,その一部は血液を介して他の臓器,主として骨と肝臓に移行するとされていますが,かなりの部分は腎臓から排出されます.
 一度蓄積された場合の生体半減期は肝臓で20年,骨で50年といわれています.

 湾岸戦争の米兵に関しては,虫除けとして使われたDEETが疑われていますし,油井の火災の影響もあるので劣化ウラン弾が原因だとは言はっきり言えません(肺症状なら火災が原因の可能性大).
 エアロゾル化しても比重が重いので拡散しません(屑鉄取りとかした人に症状があるなら可能性高いですが)し,コソボはデータがあまりないので良く分からんですね.

unknown

▼Preliminary opinion on the environmental and health risks posed by depleted uranium
(劣化ウランによる環境健康リスクについての予備的意見)
http://ec.europa.eu/health/scientific_committees/environmental_risks/docs/scher_o_119.pdf

 湾岸戦争後に懸念が広がった,劣化ウランの環境健康について.

 ヒト健康影響については,劣化ウランの放射能に由来する健康影響はありそうにない.
 また,ウランの化学的毒性についても,暴露量は毒性影響が出る閾値より遙かに低く,健康リスクにはならない.
 湾岸戦争で劣化ウラン弾が使われた地域に配備された退役軍人の子どもに,奇形が多いという主張は実証されておらず,イラク南部やクウェートで奇形が増えているという報告は,科学文献によるものではない.
------

 欧州連合(EU)の行政を担当する欧州委員会(EC)の意見.

2010年03月09日 00:32 JSF

 劣化ウラン弾→白燐弾→(次回作にご期待ください)

 はてさて…

2010年03月09日 09:10,ゆずこせう

 「恐怖のXバンドレーダー」ってのも有りましたね.

2010年03月09日 09:52,遠吠えすいぬ

 今度は
「サーモバリック弾は化学兵器だ!」
とか言い出しそうですな.
 実際,半村良氏の「軍靴の響き」では,CBU-55サーモバリック弾が化学兵器として化学兵器攻撃訓練(?)に使用されたぐらいですし.

2010年03月09日 10:13,バルセロニスタの一人

 対人地雷とクラスター弾が望外のブレイク(本人達的に)だったんで,いろいろ柳の下の泥鰌を捜索中なのだな.
 あれはだから,用兵そのものが変わったからだと何回言えば.

2010年03月09日 11:09,ゆずこせう

以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 ラットの試験結果では,劣化ウラン弾の「放射能」によるガンその他が確認されているそうですが?

 【回答】
 どのような実験かを伏せて実験結果だけをとりあげてDUの発癌性を強調するのはどうかと思うが.
 ラットでの被曝実験では,DUの微細粉末を吸引させる事での内部被曝の影響を観測するものであって,ラットの体重と吸引DU粉末の比率も明らかにされてはいない.

 旅客機のバラストは微細粉末としてではなく固体として存在してるので,ラットのDU内部被曝実験の結果と,バラストの影響を並べて論ずる事はできない.

 ウランやプルトニウムの発がん性は体内被曝で問題になる.
 わざわざ埋め込みでもしない限り,それは肺への微粒子吸入で生じる.
 細気管支より末梢まで入り込むほど細かく,上皮の繊毛運動や喀痰で排出されないほど大きい,
 ちょうどいいサイズの微粒子のみが残留して肺がんの発症原因となる.

 もちろん,ウランのバラストやプルトニウムコア,劣化ウラン弾そのままでは,そのような体内被曝は生じない.
 せいぜいアルファ線による皮膚の放射線火傷程度でご存じの通り,ボール紙一枚で遮蔽できる.

 ウランの場合であれば,命中飛散,特に燃焼して灰になった場合に発がんのリスクとなるサイズの微粒子が発生すると考えられている.
 したがって,被弾した車両内に入ったりするのは危険.
 それとは別に,水などに溶けて腎炎などの重金属障害の原因にもなるが,これは別の話.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【反論】
 劣化ウラン弾は,ほとんどウラン238の塊って言って良いモノでしょ?.
 湾岸戦争でイラクとクウェートに撒き散らした放射能の量って,何年か前に読んだ湾岸戦争症候群関連の本(正確な書名は忘れたけど)では,確か被害救済団体の人の話として,旧大戦中の広島の原爆による放射能被害の36000倍(この数字の根拠は書いてなかったけどたぶん放射線量を重量比から計算してるんじゃないかと,,,.)って話だし,,,.
 例えるなら,1000km四方に広島並みの汚染されたようなモノ.

 劣化ウラン弾は,着弾によるウラン弾自身の高温化によってミストとなったモノが,最も微粒子になると最悪40km四方に飛び散るそうなので,半減期が45億年であることを考慮に入れると,真綿で首をジワジワ締めるような陰湿な被害が未来永劫続く可能性もありますね.
 イラク軍の残骸や砲弾の破片ならともかく,広範囲に薄く広がってしまった微粒子(しかも一番タチが悪い)は,除去のしようがありませんから.

 メガトン級の水爆使われた方が,数段マシだったような気がする.
(このレスの元ネタは,後段はhttp://home.hiroshima-u.ac.jp/bngkkn/hlm-society/MishouDU.htmlと思われる)

 【再反論】
 確かに劣化ウランは大量に(一説には300トン以上)イラク,クウェート国土に散らばり,そこに含まれるU238の半減期は45億年であるが,これは同時に放射活性が低いことも意味し,外部被曝に関する限り,おそらく住民が受ける放射線の線量率は非常に低いと思われる.
 短期的には,確定的影響が統計上有意と認められることは,ありそうにない.

 ただし,エアロゾルの土壌および水源汚染による内部被曝に関しては,イギリスのRoyal Society等でも懸念されており,これについてはまだ調査中であって,長期的な確率的影響に関して,確実なことは何もいえない.


 【質問】
 劣化ウラン装甲を米軍戦車が用いている理由は?

 【回答】
 それは,アメリカには大きな高強度セラミックスの製造法が確立していないためと,セラミックスの材料特性を最大限に生かす装甲の設計ノウハウが存在しないためです.
 逆に劣化ウランでしたら,アメリカにはその合金化ノウハウがあります.それだけのことです.

 その証拠に,DARPAでは'96年頃から,セラミックスの研究に資金をつぎ込みはじめました.

 劣化ウランを用いた装甲の利点は,比較的容量が少なく納まるというだけで,単位重量あたりの防御力という点では遥かに及ばないことも理論的に明らかにされています.

 例えば,現在一番流通しているセラミックスであるアルミナの圧縮強度は約10GPa(9万8692気圧)に対して,劣化ウランはどの程度かと言うと約1GPa(9869気圧)程度であると言われています.

 そして,密度ですがアルミナは約4.0(g/cm^3) に対して劣化ウランは約18(g/cm^3)です.

 これから単位密度あたりの圧縮強度を概算してみますと,アルミナと劣化ウランでは単位重量あたりで,理想的な状態で25倍近い開きが生まれますね.

 実際は,これだけで評価できるものではありませんが,この数値はセラミックス系装甲が優れているという評価の一部をなすに足りうる数字であると思います.

 情報源ですか? それは例えばBallisticSymposium等の前刷り集や,海外の技術書を読むだけでも十分推測できる範囲だと思いますよ.

 その気になれば誰にでも手に入る資料だけでも,推測するに十分な質があります.

(HN: ?)

▼ 昨年の「軍事研究」8月号に劣化ウランが戦車砲弾(APFSDS)に用いられる理由が挙げられています.

 有り余る劣化ウランを,効率よく消費するためというのがまず一つ.
 劣化ウランの貯蔵には相当のコストがかかり,射撃後は回収しないで済む砲弾は,劣化ウランの貯蔵量を減らす方法としてもってこいというわけです.

 そして,タングステンの埋蔵量が少ないことが一つ.
 これは,各国の埋蔵量がグラフになって添えられていました.
 米国は中国の1/6の埋蔵量しかなく,世界規模の戦争が起きた場合タングステンの入手が困難になることが考えられます.
 また,タングステンは工業の基幹に関わる部分で用いられる貴重な金属ですので,砲弾として消費したくないということもあるようです.

 そしてタングステン弾芯のAPFSDSよりやや大きい貫徹力.それに加えて劣化ウラン弾芯の場合,貫徹後に浸徹体の破片による焼夷効果も期待出来ます.

 劣化ウラン弾をつつかれて一番困るのは,最初に挙げた二点ではないかと思われますが,三番目にあげた貫徹力や焼夷効果も運用する側(軍)としては魅力的でしょう.

EAST in mixi
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 戦車の搭乗員は劣化ウランで被爆しないの?

 【回答】
http://www.fas.org/man/dod-101/sys/land/docs/chapter6.html
によれば,

The M1A1HA tank contains DU armor. With a full combat load mix of ammunition, the tank commander, gunner and loader each receive a radiation dose of 0.01-0.02 mrem/hr. The driver receives a radiation dose of 0.13 mrem/hr to his head if armor is overhead or 0.03-0.05 mrem/hr if ammunition is overhead. The same exposure exists for the M60A3 tank driver and the M1 and M1A1 (non-DU armored) tank driver when ammunition is overhead (ARDEC, 1990; Parkhurst and Scherpelz, 1993, 1994; Wilsey et al., 1993). []

 M1A1HA戦車はDU(劣化ウラン)装甲である.戦闘可能なように劣化ウラン弾を含む弾薬全数搭載時において,戦車長,砲手,装填手は各々,毎時0.01-0.02ミリレムの放射線線量を浴びる.操縦手は,装甲が頭上の位置にある場合は毎時0.13ミリレム,弾薬が頭上にある場合は毎時0.03-0.05ミリレム浴びる.M60A3やM1,M1A1(非劣化ウラン装甲)戦車の操縦手にも,弾薬が頭上にある場合には,同じ線量を浴びるとされている.(ARDEC,1990年;ParkhurstおよびScherpelz,1993年,1994年:Wilseyら,1993年)[]

 ちなみに,我が国の法令で定められた,放射線作業従事者の年間許容被曝量は500ミリレム.

 なお,【被爆】は「(1)爆撃をうけること.(2)特に,原水爆の被害をうけること」であり, 【被曝】(放射線や化学物質に曝されること)とは意味合いが異なるので,表記上,注意されたし.


 【質問】
 バンカー・バスターは劣化ウラン弾使ってるって本当ですか?

 【回答】
 バンカー・バスター(GBU-28)は,203mm榴弾砲の余剰砲身を弾殻として利用して作成された誘導爆弾であり,弾殻の材質および炸薬の内容物として劣化ウランが使われているということはない……はずだった.
 ところで,GBU-28に使われてる弾頭BLU-109ではいずれ能力不足となることが予見されたので,米空軍は改良プランを始めた.
 その結果できた改良弾頭の一つが,BLU-109/B(BLU-116)だが,国防省は,この弾体はスチール製だと公表した.

 ところがアフ【ガ】ーニスタンでこの新型が使われた際,ターゲットからDUらしい放射能が検出された.
 ラムズフェルド国防長官は,これはアルカイダの劣化ウラン弾によるものだ,と言い訳したんだが,それを怪しむ人たちは,新型弾頭にDUが使われてるんじゃないか,と検証を始めた.

 で,計算によって,弾体がスチールで出来てるとすると矛盾がある,という論文が出たりもしたんだが,実はBLU-109/Bについてはロッキードが特許を申請していたので,その内容が公告で出てきた.
 そこにはオプションとして,penetrating body is formed of depleted uranium.と書かれていましたとさ.

 米特許&意匠局のサイト⇒http://www.uspto.gov/patft/
 劣化ウランの根拠となる「米の特許公告」は,1997年にロッマクーティンが取ったUS Patent 6,389,977ですが, ここには貫通体をタングステン「あるいは」劣化ウランのケースに包んで改良,という記載になっているようです.(また,これがイラク戦争時にはともかく,湾岸戦争時には使われなかったことになります)

 これがバンカーバスターに劣化ウラン「または」タングステンのケース,という特許の内容
http://www.eoslifework.co.uk/pdfs/Uhaziraq1summary.pdf

 オリジナルはこちら.


 【質問】
 巡航ミサイル「トマホーク」に劣化ウランが使われてる,って本当ですか?
http://homepage2.nifty.com/mekkie/peace/iraq/nuclear/003.html
「ミサイル自体の振動を押さえる為や重心位置の調整の為,ダンパーと呼ばれるおもりが先端に付けてありますが,このダンパーに,劣化ウランが使われているからです」

 【回答】
 通常型トマホークには劣化ウランは使用されていない,と1999年に米国防省は明言していますし,使用する意味もあまり無いと考えられます.
 ただし,タクティカル・トマホークの貫通力向上型には,使用を考えられていた可能性がありますが,まだ配備されていない〜準備段階のはずです.
http://www.princeton.edu/~globsec/publications/pdf/8_2liolios.pdf
http://www.xs4all.nl/~stgvisie/VISIE/du-afghanistan.html

system :軍事板,2003/03/30

▼ これはSLAMの解説だが,トマホーク貫通タイプへの記述もある.

http://www004.upp.so-net.ne.jp/weapon/slam.htm
>弾頭をトマホーク巡航ミサイルBlock3弾頭の派生型,
>チタニウム製WDU-40/B弾頭に変更して,貫通力を強化した.

 要するに殻を軽くて強いチタニウムで強化して,遅延信管で起爆させる.
 貫通タイプといっても地下貫通用ではなく,ビルなどの構造物突入用.

 劣化ウランなんて使ったら,重くて飛ばない上に,トマホークの速度では,どのみち地下貫通など劣化ウランを使っても無理.
(高空から落とす爆弾は凄まじい速さになるが,巡航ミサイルは遅い上に低く飛ぶ)
 なので,やはりどのみち劣化ウランを使う意味が無い.

Posted by 名無しT72神信者 at 2006年08月27日 21:07:50

「週刊オブイェクト」コメント欄,2006年08月21日付


 【質問】
 ボーイングの旅客機のバラストには劣化ウランが使われているそうですが,他にはどういった分野で劣化ウランは民間利用されているんですか?

 【回答】
 米では政府のDU有効利用政策を背景に,エレベーターやクレーンのカウンターウエイトや工事用大型車両のバラスト等に使われています.
 また,一時期はレース用車両のウエイトにも使われていました.
 他の国でも同様ですが,使用例はそれほど多くないです.

 ただ,旅客/貨物機については一連の墜落事故で未回収DUが発生し,健康被害の報告(未確定)や賠償請求・世論の拒否反応があったことから,多くの航空会社でタングステン等への転換が進めれています.
 それ以外の分野でも,特に火災時の懸念から規制する国が増えており,米国でも市郡レベルで規制を図る動きがあるようです.


 【質問】
 マンガ『汚れた弾丸』の信頼性は?

 【回答】
 以下のような記事や書き込みもあり.同書の信憑性をゼロとはしないが,それのみに情報を頼るのは危険.

マンガ『汚れた弾丸』をめぐって
バランス感覚失ったジャーナリズム

〔略〕
 また,森住氏は劣化ウランの保有国として,アメリカ,ロシア,フランス,日本の四カ国を名指ししているが,中東ではヨルダン,イスラエル,サウジアラビア,アラブ首長国連邦,クウェート,バーレーンが,アジアではパキスタン,タイ,韓国,台湾が保有しているのだ.
 ここにも意図的なものを感じてしまう.
(略)
 マンガの中で,「取材の原動力は?」と問われた森住氏は,
「アメリカに対する怒り,ブッシュに対する怒り,虫けらみたいに人が殺されていくことへの怒りかな…」と答えているぐらいだから,それは森住氏自身が望むことなのだろうが….

(産経新聞)

 森住は,中国のウイグル自治区にある核実験場の被害のレポートをいつの間にか自分のHPから削除してたんだよな.放射能の影響で,生まれつきお化けみたいに頭が大きい女の子の写真があったページだった.
 もっとも,本当にその被害が中国の核実験のものだったか不明だが.
 あれ以来,「ああ,こいつって単なる糞サヨクだったのね」と納得してるよ.

(マスコミ板)

 ちなみに日本は,劣化ウランを核燃料物質と分類し高速増殖炉の燃料の親物質として保管しているが,原子力基本法第二条により兵器利用はできない.

「一般産業分野での利用を述べたが,わが国では劣化ウランはウラン濃縮工程の副産物であり,「原子炉等規制法」により核燃料物質としての規制を受ける.」
http://sta-atm.jst.go.jp/atomica/04020111_1.html

「劣化ウランは,高速増殖炉の燃料の親物質として使用できるので,廃棄物になるわけではない.」
http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/dic_0853_01.html

原子力基本法
第二条
原子力の研究,開発及び利用は,平和の目的に限り,安全の確保を旨として,民主的な運営の下に,自主的にこれを行うものとし,その成果を公開し,進んで国際協力に資するものとする.
http://aec.jst.go.jp/jicst/NC/kihonhou.htm


 【質問】
 重金属である劣化ウラン弾の粉塵を吸い込むと不幸になるそうですが,同じ重金属であるタングステンも対戦車砲弾として使用されていますよね?
 じゃあ,タングステン合金を用いたAPFSDSを使用する自衛隊も非難されるべきなんでしょうか?

 【回答】
 タングステンもそれ自体は重金属毒性を持つが,DUとちがって貫徹後に燃焼して粉塵になったりはしない.
 しかもDUのように放射能を持っていない.
(DUの内部被曝については該当項目参照.まだ決定的な意見は出ていない.)

 よって,タングステン合金製の徹甲弾は特に非難に当たらないと思われる.


 【質問】
「DUよりタングステンのほうが融点が1千℃近く高く,加工しづらい.また,原材料もDUのほうが安価」と聞くが?

 【回答】
 確かに原材料としてみれば,タングステン合金よりもかなり安いが,加工がやや大変なので,完成品のコストを見ると,そうとも言えない.
 2004年8月のグランド・パワー」誌に「大砲と装甲」サイトの管理人の装甲講座が載ってて,そにAPFSDS弾の価格一覧が載っていたが,それによれば,
・アメリカが調達しようとしてるM829E3の単価
約55万円(5000$),
・タングステン弾は,
独のDM53が2001年だと
34万(3048$),
仏のOFL120F1が2001年だと
52万(4000ユーロ),
日本のJM33が1999年だと
95万.
豪の105mmAPFSDSとTPDSが2003年だと両者を平均して
51万(4605$)

 タングステンは一般には粉体焼結で加工する.減損ウランも同じ.
 これは,抜気して高温高圧下において高周波加熱が普通のやり方で,大きいのを欠陥無しに作るのは難しい.
 どの程度の構造欠陥が許容されるかで,製造コストは大きく違ってくる.

 DUの加工コストが安いというのは,バルクを作るときの話.
 バルクを作るときには,融点と強度の問題からDUの方が低コスト.
 問題は最終的な仕上げである切削,研磨加工.
 鉄も削れば火の粉が散るが,DUではシャレにならんのでその対策が大変..

 タングステンは産出国が限られている戦略物資だから,原子力発電所があったり,核兵器を生産してるような国なら,劣化ウラニウムの方が安価で安定して入手できる.
 価格面よりもそっちのメリットの方が大きい.

 とはいえ,
「DUは廃棄物だし融点が低いから加工しやすくて破格のお値段」
というのが間違いだというだけであって,DUの方が安いのは確かだし,10〜20%程度とはいえ,貫徹力に勝る.
 世論を気にしないのならDUを使った方がいいのは確か.
 タングステン産出国の中国でさえ,劣化ウラン弾を開発・製造している.

 しかも,中国はDU弾の製造に死刑囚使ってるから2重にお得.
 原子力関係の汚れ仕事作業員確保が目的で,軽い罪でも死刑判決連発してアムネスティから非難されてるお国柄だし.


 【質問】
 劣化ウラン弾を使うと普通の砲弾と比べ,どれほどの威力の差があるのでしょうか?

 【回答】
 劣化ウラン弾は120mmAPFSDSについては,英国の実験では,タングステン合金に対して10〜20%の貫徹力増が認められていたと思います.
 また,微粉は高温になると着火しやすいので,貫徹後の焼夷効果もあるとされています.

system ◆systemVXQ2


 【質問】
 劣化ウラン弾は厚さ5mのコンクリート貫通するとか,以前テレビで見たのですが本当でしょうか?
 またそれ程の威力をもった劣化ウラン弾を,人間一人だけで持ち運びが可能で,撃てる銃はあるのでしょうか?

 【回答】
 そりゃ,M1戦車で撃った場合.
 M1戦車の主砲をひとりで抱えて撃てる人をあなたが知ってるなら,そのとおりでしょう.
 普通はいないと思いますが.

 劣化ウラン弾と一口に行っても,120mm滑腔砲から撃つものから,25mm機関砲で撃つものまで様々なので,
「劣化ウラン弾ならこれだけの貫徹力がある」
という認識はあまり適当でないです.
 物によって全然変わってきますので.

 それと,米軍のM1A2戦車などで使用されるM829A3の貫徹能力は,RHA換算で530mmほどと言われています.
 その番組中でどのような検証を行ったのかが定かでないので断言は出来ませんが,5mのコンクリートを確実に抜けるかどうかは怪しいと思いますよ.

 ちなみに,ただの徹甲榴弾でも戦艦大和の主砲なら,5Mくらい撃ち抜けます.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
「劣化ウランは粉末状になると自然発火する」
という記述を見たのですが,他のサイトでは,
「命中した時の摩擦熱で燃え上がる」
「命中時の摩擦熱により,1100度以上になると発火する」
という記述がありました.

 一体どれが正しくて,どのような反応で焼夷作用が発生するのでしょうか? どなたかご教授下さい<(_ _)>

 【回答】
 粉末状のウランは,空気中の酸素と結びついて,自然発火することがあります.
 しかし,この作用は常に起きる訳ではないので,兵器として使うには確実性に欠けます.

 一部のウラン化合物,たとえば水素化ウラン(UH3)などは容易に自然発火をおこしますが,弾薬庫の中で発火したときのことを考えると,こんなものは砲弾には使えません.

 劣化ウラン弾の焼夷作用は,摩擦熱により,ウラン弾心が発火することによるものです.
 常温では他の酸化する金属同様,ゆっくりした反応しか起きません.
 高温の微粉は空気中の酸素で着火します.グラインダーにかけると,ライター石みたいにハデに火花が出るそうです.

(system ◆systemVXQ2他)


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