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◆◆◆◆B-52
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 【link】


 【質問】
 米軍の爆撃機B-52はbomberでなくshooterだそうですが,本当ですか?

 【回答】

<説1>

 B-52がshooterという話は,現代ではbomber(戦略爆撃機)は時代遅れであり,維持,機能向上に値しない,という意見に対する反論です.
 sensor to shooter という句が一時,今でもか,流行になって予算獲得につながると思われた時期があります.
 この時期,shooterはF-15Eだったり,F-16だったりF-18だったりしたわけですが,そうではなく,搭載量が多く,滞空時間が長い戦略爆撃機も時代にあった使い方ができる,むしろふさわしい,という意味で,bomberではなくshooterという言葉が流れたものと思います.

 実際,その後の展開を見ると滞空時間の長い無人偵察機と,滞空時間が長くたくさん積める爆撃機,というコンビは,敏速な航空機よりもむしろ迅速に目標に対して破壊力を発揮できるという意味で優位にあります.
 もっとも,次の段階はUCAV-52になるでしょうから,B-52ファンにとっては「うれしうて,やがて悲しき優位かな」

 2003年の「イラクの自由作戦」でも,B52はshooter的運用をされています.

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http://www.jfss.gr.jp/jp/new-iraku-boueikiki-soubi-1-j.html

 翼に1000ポンドの衛星誘導爆弾JDAMを,胴体に500ポンドレーザー爆弾GBUと対戦車誘導クラスター爆弾GCBUを搭載したB52爆撃機や,JDAMを搭載したB2爆撃機が飛来して,25,000フィートを超える高度からこれらの目標を次々と攻撃した.
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軍事板,2005/08/21(日)
青文字:加筆改修部分

<説2>

 カクテルのジョークだよ.
 B52という名前の,シューター・スタイルのカクテルがあるの.
 shooterはアメリカで生まれた,いわゆる一気飲みをするスタイルのカクテルで,小ぶりのシューター・グラスを使い,サッカーのシュートのように一気に飲むもの.
 ウオツカやテキーラ,口当たりのいい新しいリキュールをメインに使う.

 B52はプース・カフェ・スタイル(酒の比重の違いで層ができる綺麗なカクテル)で,口の中で初めて混ざってカクテルになる.かなり甘口のカクテル.

(名無し三等兵 in FAQ BBS)


 【質問】
 B-52は核爆弾を積んで敵地深く侵攻することを第一目的に開発されたと聞きます.
 WWUの独・日の時のようにレーダーも未熟,単発戦闘機が主流で機銃しか攻撃手段がなかった時代では,こうした大型の戦略爆撃機の「高高度」「重武装」「重装甲」が有効だったのはわかります.
 しかし高高度に強いジェット戦闘機,レーダー性能の向上,対空ミサイルが主武装になりつつあった50年代では,B-52が(ロシアなど)敵地に侵攻して帰還できる見込みなどほとんど無いと思われるのですが,当時のアメリカはどう考えてB-52を配備していったのでしょうか?

 【回答】
 50年代から60年代の米空軍の核戦術では,まずF104,F105,B47,B58などが戦術核で,B-52の侵入ルートにあるSAM基地や迎撃戦闘機の基地を潰すことになっていた.
 だからB-52は比較的安全に,ソ連の中心部分まて侵攻可能なはずだったのさ.
 露払いの各機は事実上,帰還できる可能性はゼロに近いけどね.
 これが余りに不経済なので,60年代後半辺りからレーダーをかい潜る低空侵攻戦術が検討され,紆余曲折あって低空侵攻万能信仰は廃れ,現在の中高度侵攻作戦多用主義に変わってきた.

軍事板


 【質問】
 B-52がベトナム北爆をした際の搭載例を知りたくお願いします.
 一機あたり通常爆弾を何トンくらい落としたの把握です.
(最大ペイロードとかは,すぐに見つかったのですが,実際の作戦例を知りたく投稿した次第です).

 【回答】
 たとえば,オペレーション・ラインバッカーUで出撃した,ビッグ・ベリー改修を受けたB-52Dの搭載のパターンとして,胴体内の爆弾倉に750ポンドのMk-117爆弾42発,さらに外部パイロンに500ポンドのMk-82爆弾24発と言う組み合わせがありました.
 500ポンド爆弾だけだと実に108発が搭載可能でした.
 あとは1000ポンド爆弾を機外に24発,爆弾倉に27発というパターンもあります.

 ヴェトナムにおけるB-52は,南爆・北爆合わせて124,532ソーティーをこなして2,674,745tの爆弾を投下しています.
 つまり,一機あたりの平均投下量は21.5tにも及びます.

名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE :軍事板,2005/09/17(土)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 軍事板で
「 ベトコンが低空飛行中のB52にAK47を撃ったらコックピットの窓に命中し パイロットが死んでそのまま墜落した」
という話を見ましたが,本当でしょうか?

 【回答】
 神話の可能性が高いです.

 B-52はヴェトナム戦争が始まってからローリングサンダー作戦やアークライト作戦といった 作戦に参加していますが,これらの作戦で損失を記録したことはありません.
 B-52の初の損失は1972年11月22日のビン周辺への爆撃任務で,一機がSA-2対空ミサイル によって撃墜されました.
 そのすぐ後に開始されたラインバッカーU作戦で,B-52は15機が撃墜されています.
 これらの損失もすべてSA-2によるものでした.

名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE


 【質問】
 B-52最後尾に機銃がついてますが,これの操作方法を教えてください
 B-17のような直接狙う感じなのでしょうか?
 それともカメラ越しなのか直接操作ではないものの,別の場所から肉眼で見てそれを操作なのでしょうか?
 あとこの機銃の大体の射程を教えてください.

 【回答】
 B-52はF型までが12.7mm4連装機銃を搭載し,尾部に専任の銃主席を持つ.
 機銃手は照準レーダーを併用して全天候で操作が可能.
 G型からは銃手席は廃止され,操縦室からTVカメラの画像とレーダーを用いて照準するリモコン操作式になった.
 現行のH型はさらに機銃を20mmガトリング砲(通称バルカン砲)に換装している.

 照準用レーダー併用.といってもCIWSのように火器管制装置が自動で索敵,照準してくれるようなものではなく,距離を正確に計ったり夜間に目標を捉えるためのあくまで補助的なもの.
 第二次世界大戦の夜間戦闘機の装備してるレーダーを想像すると解りやすいと思う.

 ベトナム戦争では迎撃してきたミグを,B-52の尾部銃座で撃墜した猛者がいたが,基本的に索敵は目視,目標を発見したら目測で機関砲をそちらに向けて・・・ってな感じで,あくまでレーダーは補助だったようだ.

 ついでにB-52の初期型の尾部銃座の画像が見つかったので貼っておく.
http://www.aviation-fr.info/guide/images/b52/gun.jpg

 最上段の小さな透明の奴が光学照準機,
 その下が索敵レーダ,
 中段は索敵レーダーというか後方警戒装置としての意味合いがある.

 ベトナムに実戦投入されてたころは
http://www.cris.com/~rsimon/info/turret.jpg
こんな風になってて,角が生えている.
 これはECM装置のアンテナだ.

 あとB-52の尾部銃手席はこれだけ独立した区画にあって,離陸前に乗り込んだら着陸するまで他のクルーとは直接顔を合わすことはない.
 ベトナム戦争の時にはこの配置は「孤独を愛する男の特等席」と呼ばれた.
 一応飲料水や食料は備えられてるし,トイレもある(簡易式だけどね)

 それと尾部銃手が脱出するときは,この銃座部そのものを切り離してから,銃手が脱出・・・というか空中放出される.


 【質問】
 B-52が北爆した際「一機あたりの平均投下量は21.5tにも及びます」とありますが,それだけの爆弾を積み込むのにどのくらい時間が掛かったのでしょうか?

 【回答】
 B-52 weapons "loading time"でぐぐると幾つか数値が出てきます.
爆弾倉の扉を開閉するのに20-30分
機能チェックに10-15分
積み込みと爆弾等のチェックに20-30分

 ですが,これは通常の任務での話でドンだけ爆弾を積んでいる状態なのかは不明.
 別の資料では45発から51発のS00ポンド爆弾の搭載に1-2時間と書かれています(S00は原文ママ).

 以上を踏まえて妄想するに,大体2時間前後で終わるようです.
 ところで二つめの資料にはB-1Bに84発500ポンド爆弾積むのに作戦テストでほぼ40時間掛かったと書かれているんですね.
 これがちょっと引っ掛かります.


 【質問】
 B-52で高空爆撃を行うときは,事前に(前日か数日前に)敵の対空火器や迎撃機を完全に戦闘機や攻撃機で排除してから,AWACSで慎重に周囲を監視して行うのでしょうか?

 【回答】
 対空火器と迎撃機の事前の完全排除は無理(ジャングル等に潜んでて見えない対空火器は殺しようがない)なので,基本的には同時進行 護衛機が接近する気配のある物を迎撃しながら,動きのあった対空火器のレーダー波を発見して,根元に対レーダー・ミサイル叩き込んだり,その周辺に爆弾ばら撒いてみたりしながら,B-52が進む 
 これの監視をAWACSの前身(名前忘れた)がやってた.
 ナム戦の時はこんな感じ.
 B-52に限らず,こんな感じでナム戦の時は攻撃部隊の編成をしてた.

 湾岸戦争以降は,制空権の取れた所で,遠距離が飛べて大量の爆弾を搭載できる近接支援機みたいな使い方がされてる.
 爆弾の搭載量は普通の戦闘機と比べ物にならないくらい多いし,航続距離も長い=滞在時間もながい みたいな感じで重宝されとる.


 【質問】
 B-52は,あと何年くらい使われる見込みですか?

 【回答】
 現存機のほとんどは1961〜1962年に作られたはず.つまり平均45年程度使用されている.
 機体寿命からは(適切な補修を行えば)これまでと同程度の飛行時間使用できるはずで,理屈の上では2040年を過ぎても使用可能.
 ただしエンジンの換装が必要となり,それさえ行えば,大規模な補修なしでも2025年までは十分使えるといわれている.
 このエンジン換装案は何度も出たり消えたりしている.

 詳しくは,
http://www.globalsecurity.org/wmd/systems/b-52-life.htm
http://www.globalsecurity.org/wmd/systems/b-52g.htm
http://www.globalsecurity.org/wmd/systems/b-52h.htm

B-52試作型のXB-52
背景に写っている自動車のクラシックさからも,B-52の原型がいかに古いか分かる

(画像掲示板より引用)


 【質問】
 B-52関連の記事でよく見る「おとりミサイル」って,なんのことでしょうか?

軍事板

 【回答】
 McDonnell GAM-72 Quail囮ミサイルですね.
 敵防空網に突入するときに戦略爆撃機から空中発射され,身代わりになってくれるデコイ・ミサイル,つーか無人機です.
 B-52に搭載されて,B-52と同じ動きと反射波を返すものでした.
 “爆撃機になりすます”んですね.
http://www.fas.org/nuke/guide/usa/bomber/adm-20.htm
>The Quail simulated the bomber in a number of ways.

 当時の戦法では,脅威の大きい地域じゃクエイル(囮)を飛ばし,レーダー・サイトや飛行場の様な固定的な脅威はSRAM(核攻撃)で潰しながら進む.
 最後に戦略拠点にメガトン級の核兵器投下,と実に豪快さん.


 1958年に生産契約が結ばれ,1961年に実戦化されてます.
 エンジンはF-5と同じJ85.
 1978年に退役してます.


 また,武装クエイルとして開発が始まったのが,空軍のALCMに発展します.

 詳しいことは,B52,クエイルでぐぐれば出てくると思いますよ.

眠い人 ◆gQikaJHtf2in 「軍事板常見問題 mixi支隊」(青文字),
BMP in FAQ BBS(緑文字),
えればす by mailform(紫文字),
G_Tomo in 軍事板(黄文字),
軍事板

 ただしカタカナではなく,「Quail」でぐぐること.
 カタカナでぐぐっても,軍事板のスレッドしか出て来ない.

写真1
写真2
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