c

「アジア別館」トップ・ページへ

「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ   サイト・マップへ

◆◆ミャンマー
<◆東南アジア 目次
東アジアFAQ目次


 【link】

「Asian Correspondent」◆(2011/07/11)Burma’s war in Kachin directly related to Chinese dams?
ミャンマーの北東部,カチン州での戦闘激化,中国企業による3600MWのミトソネ水力標的

AUNG SAN SUU KYI - Only Nobel Peace Prize Winner Imprisoned

「Bangkok Post」◆(2010/12/10)Burma not nuclear, says Abhisit

「Bangkok Post」◯(2012/02/28)Exploring for the long haul
ミャンマーは,原油ガス水力など,ミャンマーの資源に依存することになる

「Bangkok Post」◆(2013/03/23) Myanmar army moves into riot town

「BBC」◆(2010/10/13)Burma's Aung San Suu Kyi 'will not vote'

「BBC」◆(2010/11/13)Burma's Suu Kyi released

Buddhist Monks Protest in Burma Rangoon "LATEST"

BUDDHIST MONKS LEADING PROTEST IN RANGOON BURMA

Burma - Interview with Burma academic (SBS-22/09/07)

D.B.E. ミニ型」:「縦読み」で軍政トップを批判 ミャンマーで詩人拘束(in 自動ニュース作成G)

「Democratic Voice of Burma」◯(2012/02/28)Myitsone evictees begin returning home
ミャンマーのミッソンダムで退去を求められた村人が帰還を始めた

「Democratic Voice of Burma」 in twitter

「Eurasia Review」◆(2011/08/05)Burma: Police Killed In Kachin Rocket Attack

Freedom Song for Free Burma

「FT」◆(2010/11/08)Burma votes in poll that junta allies will win

「FT」◆(2010/11/08)Burma’s voters aim to make a statement

「Global Security」◆Burma Fighting Cools on Thai Border VOA 09 Nov 2010

「Global Security」◆Pro-Military Party Claims ~80%of Votes in Burma Election VOA 09 Nov 2010

「Guradian」◆(2010/11/08)Burma election observers report voter intimidation

「Guradian」◆(2010/11/09)Junta's party wins Burmese election

「Hindustan Times」○(2011/11/10) Myanmar says no to Chinese dam
ミャンマー政府は,中国支援のミッソンダムの建設を棚上げ

「IRIN」◯(2012/02/28) MYANMAR: Humanitarian cost of economic development
ミャンマーの2011年のエネルギー投資は200億ドルに達するも,人権がどう絡むか

「Irrawaddy News」◆(2011/08/24)Deadly Clashes Continue in Northern Burma

Inside Myanmar: The Crackdown - 10 Oct 07 - Part 1

Monks protest: 100000 march in new Myanmar protest

Police Clash with Protesters in Myanmar

Japanese Reporter Shot Dead by Myanmar (Burmese) Police

Myanmar Memory

Myanmar Military cracked down Monks and People

「SINTSUM」◆(2010/06/10)"Nuclear Related Activities in Burma"

「The Nation」◆(2011/07/18)Burmese army's licence to rape is region's shame
ミャンマー正規軍の少数民族への暴力を,,タイ紙ネーションがその社説で厳しく告発

「Togetter」◆(2010/09/06)ミャンマーにおける換金作物としてのそば栽培事業

「The Nation Thailand」●(2012/05/14) Eleven CEO: Amazing changes in Myanmar
ミャンマーの民主化をリードする勇敢なメディア,イレブン,タイのネーションと連携

「voanews.com」●(2011/12/09) As Reform Is Lauded in Rangoon, Conflict Continues in Kachin State
ミャンマーの民主化,ミッソンダム中断から始まったが,問題はカチン州で,いまだ変革の兆しなし

「VOR」◆(2012/01/31)ミャンマー大統領:北朝鮮から核兵器入手していない

「VOR」◆(2012/04/05)中国 対ミャンマー制裁の全面解除呼びかける

「VOR」◆(2012/04/14)英国とミャンマー 英国の戦闘機を共同捜索
>英はミャンマーと,第2次大戦中に旧ビルマ領内に埋めた英戦闘機の共同捜索活動を行う合意を結ぶ.
>英はこの共同捜索活動をミャンマーとの国交改善に役立てる事を意図している.
>1945年,日本軍による戦闘機スピットファイアの破壊・悪用を恐れた英パイロットらは約20機を旧ビルマ領内に埋蔵.
>スピットファイアが埋められた場所は現在不明となっている.

「VOR」◆(2012/04/18)スーチー氏 24年ぶりに出国(4/18)
>ミャンマーの野党NLD(国民民主連盟)党首で,ノーベル賞受賞者のアウンサンスーチー氏が24年ぶりに外国を訪問.

「VOR」◆(2012/04/18)米国 ミャンマーへの制裁一部解除

「VOR」◆(2012/04/22)日本 ミャンマーとの協力を再開

「VOR」◆(2012/04/23)ミャンマー野党 初登院を延期

「VOR」◆(2012/04/30)国連事務局長〔原文ママ〕 ミャンマーへの制裁緩和必要

「VOR」◆(2012/05/02)スー・チー氏 ミャンマー議会議員就任

「VOR」◆(2012/06/02)ミャンマー 核開発計画を完全放棄
>シンガポールでのアジア太平洋安全保障フォーラムで演説したミャンマーのフラ・ミン国防相は,ミャンマーが過去に核開発していた事を認め,現時点までにそれを完全に断念したと述べる.
>フラ・ミン国防相はまた,核開発の目的は純粋にアカデミックな性格の物であって,核兵器製造では無い,と述べ,さらにミャンマーがここ数年間維持してきた北朝鮮との軍事協力も放棄したと伝えている.

「VOR」◆(2012/06/11)ミャンマー政府 ラカイン州に軍部隊派遣
>ラカイン州では地元の仏教徒の女性がイスラム教徒に殺害された後,対立が悪化.
>8日には民族間衝突が激化し,少なくとも7名が死亡しており,非常事態宣言が発令されている.
>ミャンマーのセイン大統領はテレビを通じ,民族・宗教対立は民主改革を脅威に陥れる,と指摘して秩序の維持を呼びかける.

「VOR」◆(2012/06/13)ミャンマー 仏教徒とイスラム教徒の衝突で約25人が死亡

「VOR」◆(2012/06/15)コカ・コーラ ミャンマーで活動再開

「VOR」◆(2012/06/21)ミャンマー西部 宗教対立 約9万人が避難

「VOR」◆(2012/06/23)ミャンマーでの民族間衝突 80名以上が死亡

「VOR」◆(2012/08/30)米国 ミャンマー要人の入国を許可

「VOR」◆(2012/09/20)オバマ米大統領がスーチー氏の世話を焼くわけ

「VOR」◆(2012/10/27)ミャンマーで仏教徒とイスラム教徒が衝突 56人死亡

「VOR」◆(2012/11/19)オバマ大統領 ミャンマーへの歴史的訪問

「VOR」◆(2012/12/31) ミャンマー 半世紀ぶりに民間の日刊紙

「VOR」◆(2013/03/27) ミャンマーの民政移管,進行中

「WP」:Burma's Rising Toll

「WP」:Do Not Forget Burma

「WSJ」◆(2010/11/0)ミャンマーで20年ぶり総選挙の開票=米英など「公正でない」と批判

「Youtube」:ワンカー(高部正樹がミャンマーでの当時の戦いを紹介した映像)

「Youtube」:ワンカー攻防戦(高部正樹がミャンマーでの当時の戦いを紹介した映像)

「カラパイア」:グーグルアース・ミステリー,グーグルの衛星写真がとらえた不可解な6つの建造物
>ミャンマーの核兵器製造施設(?)

「国際情報センター」◆(2010/09/12)タンシュエ議長の訪中

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/01/06)ミャンマー  テインセイン大統領の改革路線

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/02/27)ミャンマー  「制裁解除後」にらんで,大型開発と海外からの企業進出

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/04/05)ミャンマー  スー・チーさんのNLD圧勝 注目される今後の議員活動

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/04/22)ミャンマー  民主化・制裁緩和の流れを止めない「憲法宣誓拒否問題」対応を

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/05/07)ミャンマー  期待される民主化・社会安定へ向けた堅実な取り組み

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/06/03)ミャンマー  スー・チーさんの外交デビュー “国民の生活向上につながる”海外投資を促す
>国防相:「時期が来れば軍推薦枠が減らされることもあり得る」

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/06/10)ミャンマー  民主化の試金石 “存在を否定された民族” ロヒンギャ族への対応

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/06/14)ミャンマー  ロヒンギャ問題への,スー・チーさんら民主化運動関係者の積極的関与を望む

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/08/19)ミャンマー  イスラム教徒ロヒンギャ族問題で強まる海外からの圧力

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/08/28)ミャンマー  制裁緩和で勢いづく経済開発 急増する外国企業進出 民主化との調和が必要

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/09/18)ミャンマー  抵抗はあるものの進展する変革の動き スー・チー氏訪米 民主化運動の象徴から政治家へ

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/09/20)ミャンマー  訪米中のスー・チー氏,制裁緩和を容認

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/10/26)ミャンマー  西部ラカイン州でのロヒンギャ族と仏教徒の衝突が再燃拡大

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/11/08)ミャンマー  ロヒンギャ問題でスー・チー氏 “支持することはできない”との発言

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/11/20)ミャンマー  オバマ大統領訪問で民主化プロセスを後押し

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2012/11/30)ミャンマー  銅山開発抗議の住民を強制排除,負傷者多数 民主化・開発について思うこと

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2013/03/12) ミャンマー  スー・チー氏率いる「国民民主連盟(NLD)」 結党以来初の本格的な党大会

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2013/03/15) ミャンマー  スー・チー氏 住民抗議を退け,銅山開発続行を報告

「孤帆の遠影碧空に尽き」◆(2013/03/23) ミャンマー  イスラム教徒との衝突,中部メイッティーラにも飛び火

「産経」○(2011/11/23) ミャンマーの「春」はすぐ「夏」へ 宮野弘之
> ,ミャンマーの民主化の動きを評価したものとしているが,実際はもっと現実的な理由がある.

「人民網」◆(2013/02/06) ミャンマー政府とカチン独立軍が雲南省で会談

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2010/12/01)北朝鮮問題の陰に隠れたアジアのもうひとつの不安 スー・チー氏解放後も続くミャンマー軍政の視界不良  〜ブルッキングス研究所シニアフェロー,レックス・リーフィールに聞く

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2012/10/04)【ミャンマー その投資ブームは本物か】政治・経済分野に比べて進む労働者の“民主化” マニーが気を使う当局との絶妙な距離感(3)

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2012/11/29)【ミャンマー その投資ブームは本物か】クーデターに超インフレ,3度の廃貨政策も克服 時代に翻弄され生き抜いた食用油会社の事業家魂

「大陸浪人のススメ」◆「俺の従弟はミャンマーから来たらしい…」 中国・ミャンマー国境の大変な事情

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2012/08/30)【ミャンマー その投資ブームは本物か】投資加速のカギを握るティラワ経済特別区 国家プロジェクトの裏で丸紅が直面する苦労

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2012/11/15)【ミャンマー その投資ブームは本物か】混沌とした国だからこそ正確な情報が明暗を分ける 世界各国政府から信頼される市場調査会社MMRD

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2012/12/20)現地支援歴28年!日本ミャンマー協会関専務理事 戦直後のミャンマー米の恩を忘れてはいけない(1)

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2012/12/27)ミャンマー議連も一つに結集,経団連も動き出した 政財界一体で動くインフラ投資に期待大!(2)

「大陸浪人のススメ」◆(2010/07/31)中国人学生「ミャンマーの武装勢力の街に行ってきた」〜もうひとつの『アヘン王国潜入記』〜

「ニューズウィーク日本版」◆(2011/12/05)ヒラリーのビルマ訪問は中国へのけん制?

「日経」◯(1012/01/12)最古の少数民族勢力と停戦合意 ミャンマー政府

「日経」◯(1012/01/14)ミャンマー,国際社会も動き急に

「日経」◯(1012/01/14)ミャンマーに貿易保険 8年ぶり再開 ,インフラなど5億ドル

「日経」◯(2012/01/27) ミャンマー「少数民族と停戦」

「日経」◆(2012/10/11) ミャンマー民主化で変わる中国との蜜月関係 重慶支局・多部田俊輔

「日経」●(2012/11/03) バンコクポスト]ミャンマー衝突,ASEANは行動を

●書籍

『黄金の地球』(ノーマン・ルイス著)
 カプランによれば,こういう本があるらしいのだが,詳細不明

『戦友』(高部正樹著,並木書房,2008.5)

 今回ご紹介する本は,著者の高部さんがカレン民族解放戦線で活動していたときの「戦友」について書かれています.
 これまで出されてきた内容とは少し毛色が違います.

 これまでは,ご自身の経験談を中心に,いってみれば「傭兵とは何か」を客観的に表現されてきたように感じますが,この本は,題名通り「戦友」のメモワールです.
 三名の「戦友」の言葉,行動,考えていたことを高部さんが回想する形で話は展開します.
 いずれの方もすでに今は故人で,驚くほどの若さで亡くなられています.

 〔略〕

 強く感じたことですが,登場する「戦友」の方々があたかも隣にいるような錯覚をたびたび覚えました.
 現地の匂い,臨場感,リアルさをここかしこで感じました.

 戦友の人物描写に関する「歪み」をまったく感じ取れなかったことにも驚いています.
 自分以外の他者を表現するにあたっては,よほど誠実な人でも,どうしても主観に基く歪みが投影されるものです.

 しかし本著には,人物のアンバランスさが見受けられないのです.
 激しい性格の人は最初はちゃめちゃに見えますが,通読してみると,自然でリアルな,バランスの取れた人間として描きだされていることに気付きます.

 なんでだろうな,と思っていましたが,本著に同封されていた高部さんのお手紙のなかに回答はありました.

<(前略)
 今日まで彼らのことを書かなかったのは,彼らの記憶があまりにも鮮明で,思い出すのが辛かったのがその理由ですが,10年以上の時をへてようやく少し距離を置いて見られるようになりました.
 そして,あのとき彼らがそこでどんなことをしたのかを知るのは自分しかいないという思いが強まりました.

 彼らはカレン族の大義に賛同し,カレン族の将来のため,じつに勇敢に戦いました.
 そのことはカレン族の人々の中で今も語りつがれています.
 この本で私は,彼らが何を思い,何を語り,何をしたのか,できるかぎり忠実に再現したつもりです.
 (後略)>

■疑問は氷解しました.

 命を分け合った戦友.それも,見ず知らずの外地で何の後ろ楯もないなかで共に戦った同胞.
 そのことが高部さんと本著で紹介されている方々との間に,どれだけ深い絆を育んでいたか.そして彼らを失ったことが高部さんにとってどれほど辛い出来事であったか.
 百千万の言葉よりも,全体を通じた戦友描写を通じこのことがビシビシ伝わってきました.

 高部さんは,少しでも実際の姿を歪めるようなことだけはしたくなかったのでしょうね.

 全編を通じて,戦友を深く追悼する高部さんの思いが伝わってきます.
 印象をひとことで言い表せば「無限の友情」ということになるでしょう.

「たまたま生き残ったから,お前らのことは代わりにきちんと記録に残しておくぞ.
 お前達が帰りたかった祖国の人々に伝えておくからな.見ておいてくれよ」
 こういうメッセージを感じました.

 その意味で本著は,西岡,岩本,高部,今田の四氏による共著といえるのかもしれません.

 〔略〕

――――――おきらく軍事研究会,平成20年(2008年)5月16日

『ミャンマーの国と民 日緬比較村落社会論の試み』(橋昭雄著,明石書店,2012/11/14)


 【質問】
 ビルマはなんで改名したんですか?

 【回答】
 今の軍事政権が改名を宣言したから

 ただ,国家の名称については自称がミャンマーだというなら,そう呼ぶだろうが,別に政権の評価がどうのとはかかわり無く,ビルマ語はビルマ語でビルマ史はビルマ史.国際的な歴史的呼称は簡単にはかわらない.

 もっとも,あの政権は間違ってるといって昔の国名を使う教授もいる.
 以下引用.

 ところで,このHPで「ミャンマー」という国名を使わずに「ビルマ」という国名を使う理由について述べておく必要があるでしょう.
 ビルマ政府は,1989年6月18日の法律によって,英語の対外呼称をBurmaからMyanmarに変更しました.
 これに従って,日本でも,ビルマをミャンマーと呼ぶことが多くなりました.

 実を言うと,ビルマ語の現地音を尊重するという意味においては,「ミャンマー」を用いたほうが良いのです.
 ビルマ語ではビルマのことを[ミャ(ン)マー]あるいは[バマー]と発音します.
 日本語の「ビルマ」は,,[バマー]の古音に基づくヨーロッパ語(おそらくオランダ語)から江戸末期に入ったもので,発音としては現代ビルマ語の[ミャ(ン)マー]とも[バマー]とも大きく異なります.
 だから,現地音を尊重するという意味では,ビルマよりミャンマーを用いたほうがはるかに良いのです.

 ではなぜミャンマーを使わないかというと,ビルマ政府が,ビルマ語の[ミャンマー]は国内に住むすべての民族を含む呼称であるかのように説明しているからです.
 この説明は嘘なのです.
 本当は,[ミャンマー]という呼称はビルマ族のことしか指しません.
 [ミャ(ン)マー]と[バマー]は,前者が文語的,後者が口語的という違いくらいしかないのであって,両方ともビルマ族を指す言葉です.
 政治史的には逆に[バマー]をビルマ国内のすべての民族を指す呼称として用いようとする動きさえありました.

 ところがビルマ政府は,ビルマ語にビルマ族を指す言葉が2つあったのを良いことに,他民族国家の呼称としてはMyanmarのほうがふさわしいですよ,と説明したのです.
 この主張は,少数民族の立場を考えると受け入れがたいものです.
 もしここで,日本語のビルマをわざわざミャンマーに変更するなら,我々はビルマ政府の無理な主張を受け入れることになってしまいます.
 それならばむしろ,従来の日本語としての「ビルマ」を,現地音とは違うという憾(うら)みはありますが,使っていこうじゃないかということなのです.
 そもそも,ビルマ政府が変更したのは英語呼称のBurmaなのですから.
http://www.osaka-gaidai.ac.jp/~burmese/

世界史板


 【質問】
 軍事専門家の間で,アジアの次の「ならず者国家」になる可能性があるのでは,といわれているのはミャンマー(ビルマ)だそうだが,その理由は?

 【回答】
 同国の軍事政権はミサイル,化学爆弾,原子力エネルギー開発などに強い興味を示し,軍備増強の路線を変えていないため.

 ミャンマーは国内の少数民族,カレン族との紛争に化学爆弾を使用した実績があるとの疑いがもたれている. この場合は化学砲弾など比較的小規模なもので,ミサイル搭載のものではないが,その運搬手段であるミサイルにもミャンマーは興味を示し,北朝鮮と中国からの技術導入に熱心に挑戦してきた.
 アメリカ議会で国務省は,ミャンマーが北朝鮮からスカッド・ミサイルの商談に関わった確かな情報があると述べた.

 ミャンマーは国内の少数民族問題の他にインドとタイの大国に挟まれ,其の独裁政権は軍事力強化を大きな目標にしてきた.タイがアメリカから買ったF16に対抗してロシアのMIG-29を持っているなど.
 アメリカの軍事諜報機関がミャンマーについて特に気にしているのは化学爆弾だが,過去2−3年間には中国がミャンマーへの化学爆弾の支援を止めているとされている.
 CIAは北朝鮮のWMDの販売先としてミャンマーを警戒している.
 ロシアはミャンマーに10kwの実験用原子炉を輸出したが,支払いの不備でこの原子炉に関連したロシアのミャンマーへの技術支援は中止されているようだ.

 軍事諜報筋が警戒するのは,中国が戦略的な見地から対インドなどの目的でミャンマーの軍事政権を支援し,北朝鮮のWMD輸出の仲介者になることである.
 しかし現在,北朝鮮への西欧諸国の圧力が高いので,中国はそういう動きを控えている.

Alan Boyd from "Asia Times")

ミャンマー国家元首は既に独裁者ワースト3にランク入り
(画像掲示板より引用)


 【質問】
 ミャンマーの核兵器開発疑惑について教えられたし.

 【回答】
 2010.6.4,ノルウェーを拠点とする,亡命したミャンマー人による反軍政メディア「ビルマ民主の声」が,ホームページに公開した報告書によるもので,これには核兵器の開発に関わったミャンマーの元陸軍幹部・サイ・テイン・ウィン少佐が,亡命する際に持ち出した書類や,部品などを写した写真が,核兵器開発の証拠として掲載されているという.
「私は核兵器開発などのほとんどの秘密計画に関わりました.(ミャンマー軍政は)核爆弾の製造を熱望していて,それこそが一番の目的です」
と,サイ・ティン・ウィンは述べている.
 報告書は,「核兵器の完成にはほど遠い」としながらも,軍事政権が北朝鮮の協力を得ながら核兵器の開発と長距離ミサイルの製造に着手していると指摘.
 この報告書の作成に携わったIAEA=国際原子力機関の元査察官,ロバート・ケリー氏,写真などを分析した結果,
「原子力発電などの民間利用ではなく,核兵器開発計画が目的だ」
と結論づけている.

「The Huffington Post」◆(2010/06/13)Matthew Smith: Oil Companies Financing Nuclear Threat in Burma, Refusing Transparency
は,ミャンマーの核開発の可能性についての詳細レポートだが,ヤナダガス田に関係しているトータル,シェブロン,タイ石油,などが80億ドルにも上るガス売り上げの内容を,明らかにしていないという.
 この金で軍事政権は,北韓の技術を得て,ウラン精製に励んでいるという.

 【参考ページ】
2010/06/06 08:07,TBS

▼ 【追記】
 マイミクの井上Kojii.netさんのHPを見ていたら,こんな記事を見つけました.
Myanmar Nuclear Arms Drive Underway:Defence News

 ミャンマーが北朝鮮の協力を得て核開発に乗り出していると,ノルウェーに本拠地を持つミャンマーの反体制組織「Democratic Voice of Burma」が報じています.
 これが事実とすれば,北朝鮮の核問題はついに東南アジアにまで広がった事になります.

 とはいえ,ミャンマーが核開発をするとしても,一体どこの国を仮想敵国としているのでしょうか?
 実際ミャンマーは,隣国のタイとは友好関係を維持しています.
 考えられるとすればバングラデシュでしょうか.
 ミャンマーの少数民族・ロヒンギャ族はイスラーム教徒で,多数を占めるミャンマーの上座部仏教徒とは対立関係にあります.
 当然,軍事政権も仏教徒ですから,国民と双方から迫害を受けており,難民となって同じイスラーム教徒で民族的にも近い関係にあるバンクラデシュに逃れています.
ロヒンギャ - Wikipedia

 ロヒンギャ族は亡命先のタイでも迫害されている事から,マレーシアやバングラデシュが保護に乗り出していますが,軍事政権にしてみれば,バングラデシュがミャンマーにロヒンギャ保護を名目に侵攻するのではないかという被害妄想に憑りつかれたとしてもおかしくはありません.

 しかしバングラデシュは現在,インドとは国境紛争を抱えており,とてもミャンマーと事を構える事など出来ません.
速報@バングラデシュ軍,インド軍と交戦

 また,国内も政情不安を抱えており,とてもロヒンギャどころではないでしょう.

 もう一つ理由があり得るとすれば,軍事政権が敵視している欧米かも知れません.
 軍事政権はアメリカから批判されている事から,アメリカがミャンマーに侵攻してくるかも知れないという誇大妄想により,首都をヤンゴンからネピドーに移転したと言われています.
 軍事政権がアメリカ対策のために,核開発に乗り出したとしても不思議ではありません.

 しかし誇大妄想のために,国民の人権や経済的裕福を犠牲にし,しかも北朝鮮の協力を得て核開発に乗り出すミャンマーは,日本にとっても危険な国家になりつつあるように思えます.

バルセロニスタの一人 in mixi,2010年06月08日14:46


 【質問】
 ミャンマー軍事政権は今も鎖国しているのか?

 【回答】
http://www.nytimes.com/aponline/world/AP-Myanmar.html?ref=world&amp;pagewant<BR>ed=print
によれば,1990年代初頭から社会主義的経済運営を止め,外国からの投資と観光客を呼び込むねらいで経済開放政策をとっているが,軍部内で反対意見が根強くあるため,その政策は不充分なものとなっているという.
 1997年にASEANにも加盟している.
 しかしNLD弾圧が欧米諸国による経済制裁(1990年〜)を呼び込んでいる.


 【質問】
 ミャンマー軍事政権が,軍政を続ける動機は?

 【回答】
http://www.nytimes.com/aponline/world/AP-Myanmar.html?ref=world&amp;pagewant<BR>ed=print
によれば,軍政でなくなれば,少数民族が独立してしまい,ミャンマーは崩壊すると考えているからだという.
 少数民族武装勢力との間には,1980年代末から1990年代初頭にかけて,休戦協定が次々に締結されているものの,基本的には変化はないという認識なのだという.

 ……同じような理屈で,サダム・フセイン政権を擁護していた奴らがいたなあ.小林よしのりとか.


 【質問】
 ミャンマー軍事政権の指導者は,どんな人たちなのか?

 【回答】
Reclusive junta chief firmly in control
(FT)ビルマの軍事政権では,孤立化した指導部が頑固に支配を続ける

By Amy Kazmin, South-east Asia Correspondent Published: September 28 2007 15:48

という記事によれば,

While the public is fascinated with him, Gen Than Shwe, a 74-year-old psychological warfare expert, has shown little concern with the reality of his people’s lives or the suffering his policies are inflicting.
 74歳のThan Shwe将軍は心理作戦の専門家で,国民の生活や苦労の実態には殆ど関心がない.

Within the ruling junta, Gen Than Shwe and his number two, Gen Maung Aye, are the last original members of the State Law and Order Restoration Council, which grabbed power in September 1988.
 軍事政権内部ではThan Shwe将軍と,そのNo2であるMaung Aye将軍が国家秩序回復評議会のオリジナル時からのメンバーで,1988年の政権掌握時からの生き残りである.

But Zaw?Oo said a younger generation of leaders “might be free of that kind of psychological baggage. They will not be weighed down by the black history we have experienced”.
 ビルマのエコノミスト,Zaw?Ooに拠れば,ビルマの新世代の指導者は過去の権力闘争に関わる心理的な拘束には無縁で,ビルマの過去の暗い歴史の重圧に打ちひしがれると言う事は無いのだという.

 しかし……

“When you look at the mid-level and senior military leaders, they don’t really trust each other,” said Kyaw Yin Hlaing, a City University of Hong Kong professor. “After witnessing what happened to Khin Nyunt, they don’t talk about anything that might suggest they are not happy with the situation, or the top guys.”
 香港市立大学教授のKyaw Yin Hlaingは
「軍事政権の中間層,および高位の指導者を見ると,彼等は相互に全く信頼関係が無い」
という.
「Khin Nyuntでおこった(政権闘争)事件を見ているので,彼等は上層部に不満を抱いていると見なされるような発言は一切しないのだ」

 なお,
Singapore bank laws threaten EU pact
(FT)EU議会と,シンガポールが,銀行の情報開示を巡って諍い

By John Burton in Singapore
Published: October 2 2007 19:20

という記事には,軍事政権首脳の多額の個人資産がシンガポールの銀行にあるとされていることに触れている.
 同記事によれば,EU議会がシンガポール政府に求めている銀行の機密保護規制〔緩和〕について,シンガポール政府はEUの要求を拒否しているという.
 シンガポールの銀行の,(個人の口座情報の)機密保護は世界一厳しいもので,これはシンガポールがアジア地域のプライベート・バンキングのセンターになるとする政策目標に関連している.
 EUはシンガポールに対して金融の透明性確保の規律を受け入れるように求めていて,その目的は脱税回避などの捜査の可能性確保である.
 シンガポール政府は,EUの要求がプライベート・バンキング・ビジネスを脅かすものになるとして抵抗している.

 現時点では,ミャンマーの軍事政権首脳の多額の個人資産がシンガポールの銀行にあるとされている為に,民主化運動への軍事政権の弾圧に関連して,このテーマが政治性をおびてきている.
 EUはシンガポール政府が,ミャンマーへの制裁のために,軍事政権首脳の個人資産を凍結すべきと主張している.

ニュース極東板


 【質問】
 ミャンマーの首都移転先がタン・シュエの出身地って本当?

 【回答】
 これだが,Than Shwe上級大将の名誉が関わるので一応弁護しておこう.

 ヤンゴンからピンマナの新都市Naypyidawに遷都したのは,内陸の要地に移り海浜からの上陸と航空攻撃に対処する為.
 また,ヤンゴン都市部の高学歴な住民層による市民革命の勃発を恐れ,各階層の連絡を寸断する為敢えて移住を強いたという側面もある.

 決して駄目なトップの上級大将閣下が,お抱えの占星術師の
「自分の出身地に移転しろ」
と言う占いに頼った,だけでわない……かも.
 だといいな.まぁちょっとは覚悟しておけ,みたいなー.

 やー,これぢゃ弁護しようが無いよー(ぉ

ゆりりん ◆tx8IiMF52M in ニュース極東板


 【質問】
 アウンサン・スーチーとは?

 【回答】
 ミャンマー独立の父,アウンサン(Aung San.1915〜47年)の娘.母親は高級公務員.
 1960年,駐インド大使となった母に連れられてインドに赴き,現地の大学で学び,ガンジーの思想に傾倒.
 1964〜67年,オックスフォード大学留学.
 卒業後,ネウィン(Ne Win.1910?〜2002年)将軍の独裁体制下にあったミャンマーには帰国せず,1969年,ミャンマー出身のウタント(U Thant)が事務総長をしていた国連事務局で働く.
 1972年,チベット学者のイギリス人と結婚.
 男児2児を出産.
 1985年,ロンドン大学からミャンマー文学でPH.Dを授与.
 1988年,経済危機に端を発する民主化運動の中にあって,母親の看病のために帰国していたスーチーは,アウンサン将軍の再来として民主化運動の象徴へと祭り上げられる.
 1989年以降,断続的に軟禁状態に.
 1990年,総選挙において,スーチーを書記長とする政党・民主化同盟が大勝するも,軍事政権によって「無効」とされる.
 1991年,ノーベル平和賞授与.
 1999年,夫と死別.

 詳しくは太田述正コラム#2081(2007.9.23)を参照されたし.
 同記事は
http://www.atimes.com/atimes/Southeast_Asia/II01Ae02.html
http://en.wikipedia.org/wiki/Aung_San_Suu_Kyi
http://www.e-myanmar.jp/kihon/history_1.htm
New York Times
をソースとしており,平均的な信頼性はあるものと愚考する.


 【質問】
 何故ミャンマーの軍事政権はスーチー氏を自宅軟禁にしているのですか?
 殺すか国外追放すれば,民主主義運動のリーダーとして活動されずにすむと思うのですが.

 【回答】
 海外に出るということは,政府の手の届かない所で自由に動き回られることと略同.
 でもって,彼女は建国の父アウンサン将軍の娘でもあるから,それを追放してしまうと,軍事政権はアウンサン将軍の正当な後継者を名乗れなくなる.

軍事板


 【質問】
 警察や裁判所でなく,なんで軍がスーチーさんを軟禁しているのでしょうか?

 【回答】
 ミャンマーの政権は軍事独裁政権.
 軍の命令がすべてに優先する状態で,立法・司法・行政の三権が分立していない.
 法律の元になる憲法を作りましょうというので,憲法を制定する代表者を決める選挙を行ったら,アウンサン・スーチーの率いる政党「国民民主連盟」が一番大量の票を集めたが,軍はこの結果を認めず,政党に政権を渡していない.
 憲法が無いから法律が無く,軍の命令が実効性を持っている状態.

 あとは,政治板あたりでもっと詳しく聞いてください.

軍事板


 【質問】
 ミャンマーが貧しいのは,アメリカの制裁のせい?

 【回答】
 正確には「自滅した」んだけどね.>ビルマにあった輸出産業

 米やチーク等木材,第一次産業の輸出が主だったが,独立後の外貨のやりくりが上手く行かず悪化.1952年以降ガタガタ.

 さらに1962年以降の軍事政権による主要産業の企業・貿易管理の国有化と土地接収が輪をかけた.
 そら人員の整理や配置転換,教育すら認めなければ競争力喪失して腐るわな.

 これで独立直後のビルマ/ミャンマーの利点だった識字率等教育水準も低下し,周辺諸国に追い抜かれた.
 更にクーデター後,ヒモ付きな半官半民の国有企業主体の輸出主導型成長モデルで1988年以降停滞し,国内の人権問題等で制裁されて競争力の喪失に輪をかけた.

 今に至る前,1950〜62年に自爆してその後ずっと長い坂道を下り落ちている,こう見たほうが良い.

 原因をアメリカ様に押し付けて本来の問題点から目を逸らし,思考停止してはいけないね.

ゆりりん ◆tx8IiMF52M in ニュース極東板

 2002年まで日本政府のミャンマー特命全権大使を務めた津守滋の証言も,上記記述を裏付けるものとなっている.

[quote]

津守:建前では市場主義経済だ.
 ただ,市場のメカニズムが上手く働いておらず,国の関与が非常に強い.

 経済発展が中産富裕層の政治参加につながるというのは,タンシュエ議長も理解している.
 小渕元首相との会談でも,それについて発言をしていた.

 しかし,ミャンマーの場合,治安や権力の維持が政権にとって最大の目的であり,そのためには経済論理も無視する.
 そもそも,今の軍政自身が経済発展に重きをおいていない.

 周辺国は日の出の勢いで発展をしているが,それもミャンマーにはほとんどインパクトを与えていないのではないか.
 洗練されたやり方で国を動かしていく意志を軍政が持っているとは感じられない.


[/quote]
―――2007年10月30日 ビデオニュース・ドットコム

 【珍説】
 あまいあまい 先生方
 あのねえ スーチーってのは白人毛唐と結婚した裏切り者どすわ
 だから亭主がイギリス人ってことで欧米は人権人権と騒ぐ
 このアマはほとんどイギリスに故郷を捨てて住んでいた売国奴でっせえ
 これを応援してたから,こないなことになったんどす
 日本は軍事政権を徹底的に支持すべきだったんどす
 それを戦後民主主義の馬鹿どもが,軍服に嫌悪感をもってスーチーなる売国奴を,一緒になって応援した
 これこそが間違い
 シナは賢いから軍事政権に手を伸ばしたのです
 お陰で日本は虻蜂取らず
 あほですわ

By 日本解放戦線 In 佐藤守ブログ,コメント欄

 【事実】
 とりあえず「このアマはほとんどイギリスに故郷を捨てて住んでいた売国奴でっせえ」の部分に反論します.

 スーチー氏が英国で教育を受け英国人と結婚し子供をもうけたことは事実ですが,売国奴のはずがありません.
 スーチー氏は母親の看病のために,家族を残してビルマに一人帰り,そのまま民主化運動のリーダーに祭り上げられ,その後は軍事政権によって軟禁状態に置かれたことは,周知の通りです.

 スーチー氏の夫マイケル・アリス氏は別離後,前立腺がんを患い,死の床から最期に一目妻に会いたいと切望しましたが,スーチー氏はこの願いを拒絶しました.
 それはなぜか?
 ガーディアン紙の記事はそのときの経緯が詳しいです.
http://www.guardian.co.uk/international/story/0,,708819,00.html
・ビルマ軍事政権によるとスーチー氏の英国訪問後のビルマ再入国を確約したが,スーチー氏はこの申し出を拒絶した.
・軍事政権が逆にアリス氏にビザを発行しないのは氏の健康状態を深く憂慮しているからであり,スーチー氏が夫を訪問するほうが理に適っていると提案した(※).
・しかし,スーチー氏の外国滞在中,その行動には厳しい制約(一切の政治的発言の禁止など)が課されることは明白である.
・また,スーチー氏側はスーチー氏がどう行動しようが軍事政権が難癖をつけビルマ再入国を拒むことを恐れている.

 つまり,スーチー氏はビルマに再び帰ることができなくなることを恐れるあまり,夫の死に際にも駆けつけなかったわけです.
 英国での家族(夫と息子二人)との自由な生活よりも,母国ビルマで単身戦い続けることを選択したわけで,彼女を愛国者と呼ばずになんと呼ぶのでしょうか.

(※)軍事政権の言い分は詭弁にしか過ぎないことは以下のBBCの記事からも見て取れます.
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/305487.stm
・アリス氏は健康状態が悪化する前に何度もビザの申請をしたが,軍事政権はそのたびに引き伸ばした.

バグってハニー in FAQ BBS

発信元は高山正之の可能性が高いですね.
http://kaz1910032-hp.hp.infoseek.co.jp/130120.html

半虚人 in FAQ BBS

 高山先生,すでに珍説一つを披露してくれていますが,この記事でも珍説モード全開で飛ばしています.

>そういう過去があるからビルマは,独立するとすぐに英国のにおいのするものはすべて排斥した.
>ヤンゴンの外語大も,英語を教科から外し,日本語を入れた.
>交通ルールもそのときに英国流の左側通行から右側通行に変えた.

 英国嫌いというのはそうでしょうが,旧宗主国の影響を「すべて排斥」するというのはありえないでしょう.
 エマ・ラーキンという米国人女性によるビルマ旅行記があるのですが,その中に,月収4ドルのビルマの人々が紅茶に入れるクリームと砂糖のちょうどよい好みの量を注文するという描写があります.
 これ英国風の飲み方ですよねえ.
 著者によると,ビルマの人々はそうやって,自分たちにもささやかな自由と尊厳があるのだと確認するんだそうです.

>国父アウンサンの暗殺後,英国に渡ったきりの一人娘スー・チーが
>三十年もたって英国人の妻になって戻ってきたとき,ビルマ人は正直,戸惑った.
>彼女は英国人になりきっていたからだ.
>「政治集会やデモの場合,どこの国もそうだが,ここも届け出制にしている.
>しかし,彼女は故意にそれを無視する.
>政府がたまりかねて規制すると『民主主義を弾圧した』と騒ぎ立てる」(山口洋一前ミャンマー大使).
>骨の髄まで嫌みな英国人なのである.
>“英国人スー・チー”に屈するのか,嫌いな中国の援助を受けるのか,
>究極の選択を強いられたビルマ人は結局,中国を選んだ.

 ここまで見事に1990年の総選挙(スーチー氏の率いる国民民主連盟が地滑り的大勝を収めた)をスルーされると,天晴れとしかいいようがないですね.

>その窮状に援助の手を差し伸べたのがほかならない中国だった.

 ものは言いよう.

>これ(註:共産ゲリラ)を掃討したのが今の政権を担当するタンシュエである.

 こちらはそのタンシュエの娘の結婚式の模様(2006年7月).
http://www.youtube.com/watch?v=a3_boc9Z_Pc
 頭と首に飾られた宝石の数々を,とくとご覧あれ.
 5000万ドルに相当する結婚祝いをもらったそうです.
 ちなみに,ビルマの一人当たりの平均所得は年200ドル.
http://www.guardian.co.uk/international/story/0,,2178992,00.html

>だから生活は貧しく不便だったが,国民は我慢した.
>それが自分の国を取り戻すためだと知っていた
>ネ・ウィンと国民が死ぬ思いで耐え

 はあ?!
 この記事が書かれたのは2001年で,タンシュエの娘の結婚式のずっと前ですけどね.

 ちなみに,この記事は高山先生のビルマ三部作のエピソードIIIのようです.
http://miko.iza.ne.jp/blog/entry/321413

>宮崎正弘氏の解説
>スーチー・・・土着のウルドゥ語を満足に喋れず,夫は外国人

 ウルドゥ語ってパキスタンのブットのことでしょ?

 高山コラムのエピソードI(『「米=国連」のらち外 “張り子”が立派な脅威に』)では,このコラムでスルーされた総選挙の,はちゃめちゃな講釈をたれています.
 エピソードII(『真珠湾を見た男 世界はみんな腹黒い』)は,アウンサン将軍暗殺にまつわる陰謀論です.
 もう私はお腹いっぱいなので,今日はここまで.

 この高山コラムを紹介しているサイトでは,週刊新潮に載った山口洋一・元ビルマ大使の記事も紹介されていますが,さすが高山先生のお仲間,これもいい感じです.
 山口先生に対する反論はこれ↓が一番よかったです.
http://www.ayeyarwady.com/blog/archives/186

 前から不思議に思っているのですが,頼まれもしないのに独裁政権の言い分を真に受けて,それが真実だと宣伝する人が必ず出てくるでしょう.
 この元ビルマ大使とか,
「アフマディネジャドがそう言ってるんだからイランには同性愛者はいない!」
とか主張するんですかね.

バグってハニー in FAQ BBS


 【質問】
 保守系の論客で,えらくミャンマーの軍政をかばってる人がいますが,どういう縁があってのことなんでしょうか?

(JRと三セクの中古車がだいぶミャンマーに売りとばされていますが,DMH17/DMF15/DML30といった国鉄時代の糞エンジンは回避して,DMF13とかの民営化世代の直噴エンジン積んでるのばっか上手に買ってますね.
 日本のDCの特性を理解している,日本側で手引きしている関係者がいそうなのですが,知らないところで日本の民間と,先方の政府関係者のつながりが見えてきそうで・・・)

2010年07月22日 13:35,憑かれた大学隠棲

 【回答】
(1)反欧米系の人:
「スーチーは旦那がイギリス人だし,ビルマのこと何にも知らない.
 人権を盾にして利権あさりを狙う,欧米の手先じゃ」

(2)ビルマの民度低いよor開発独裁擁護の人:
「民主主義とか人権とかウルせーよ.
 ああいう国はちょっと荒っぽい手法使ってでも,政治的に安定させないと発展なんぞ無理.
 政治ど素人のスーチーがリーダーになって,なんちゃって民主主義導入しても,衆愚政治か大混乱の2択」

(3)ビルマ人は軍政支持してるよの人:
「軍政の下で貧困と抑圧に苦しむ庶民達とか想像してるおまいらはアホ.
 ビルマ行ってみろよ.
 日本よりは貧しいけど,みんなそこそこ満足してるし,スーチーとかうさん臭がられてるぞ.
 それに軍政無ければ,少数民族の反乱どうすんのよ」

 だいたい,この辺のミックスかな.

2010年07月22日 16:25,HASU

 もひとつ.
 戦時中の南機関以来の因縁がががが.
 バ・モーとかアウンサン(スーチーの父)とか,大東亜共栄圏関係で日本の,特に陸軍系には,ビルマは手下あるいはシンパと看做す人もいた.
 戦後もそれを引きずってる人も多い.

2010年07月22日 19:57,ゆずこせう

以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 ミャンマーの最大援助国は?

 【回答】
 中国.

Echoes of Tiananmen Square
(WaPo寄稿)ミャンマーに,天安門広場のエコーが聞こえる

By Yang Jianli Sunday, September 30, 2007; Page B07

という記事によれば,ビルマの軍事政権を支援して生き永らえさせてきたのは中国で,それは中国がビルマの石油,ガス,木材資源に興味があるからだという.
 軍事政権との通商を殆どの国が拒否しているので,中国はその資源を安価に手にすることが出来るという.
 中国はビルマ軍事政権の武器の90%を提供し,軍事支援を含む経済支援($1.6B)を与えている.
 ビルマ軍事政権はベトナムについで東南アジアでNo2の40万人の軍隊を擁するのだが,中国の軍部への支援なしには,是は不可能だろうという.

 しかし同氏によれば,中国のビルマへの関心は,その資源や地政学的位置にあるので,軍事政権を必ずしも必要としていないという.
 ビルマに民主政権が誕生すれば,中国はその政権との友好関係を築くに違いない,と彼は予測している.

 そして彼は言う.

 1989年6月4日の夜明けに,中共軍が天安門広場の学生に向かって発砲をはじめ,多くの死者が出た.
 その場にいた私は逃げ出して命拾いしたが,その日のことは昨日の事のように私の記憶に焼きついている.

 ビルマの僧侶や市民の抗議行動を軍事政権が抑圧している映像を見ていると,私には天安門事件のエコーが聞こえる.
 私たち中国民主化運動の参加者は,ビルマの民主化運動を進める市民たちに全面的な支持と連帯を表明する.

 〔略〕

 国連安保理とアメリカはじめ民主主義国は中国に要求を突きつけるべきである.
 それは中国が軍事政権に対して有する影響力を行使して問題解決を促すか,それともそうした責任を回避する(国際社会の無責任な)国であるとみとめるのか,の選択を,である;

ニュース極東板・改

 その後の報道では,ミャンマーへの制裁に対して中国は「内政干渉だ」として反対していたりする.

 例えば,
Myanmar Hunts for 4 Activist Monks 1 hour ago YANGON, Myanmar (AP)
(AP)ビルマ軍事政権は,残る4人の反政府・僧侶を捜索中

という記事によれば,国連安保理では中国とロシアが,ビルマへの如何なる制裁にも反対と述べているという.

▼ また例えば,ダム・プロジェクトが15も,中国の支援の下,推進中であるという.

――――――
 中国がミャンマーにとっては唯一のダム支援国,と言っても良く,15のダムプロジェクトが現在も推進中である.
 これらが全部完成すれば,10400MWと言われており,現在の,1,690MWに比べて,大変な数字である.
 また,ガスと石油のパイプラインの問題であるが,中国側によると,国境横断のルートで両国が合意し,署名が行われた,と報じている.
 このパイプラインは,全延長2,000kmで,国境を越え,雲南省の瑞麗(注10)から昆明に達し,更に中国南西部の重慶(注10)まで繋ぐという.これは,マラッカ海峡(注11)を通らずに,原油ガスを輸送できることから,中国にとっても,ミャンマーにとっても重要なプロジェクト,としている.
 ミャンマー側のパイプラインの始点は,南西部のラキン州のチャウピュ(注12)の深海港湾である.
 工事は,2009年前半にスタートする.
 このラキン州沖合のA1ブロック(注13)に位置するシュエ天然ガス田(注19)のガス包蔵は,4〜6兆立方フィートTCFと見られている.
 ミャンマー全体では,ガス包蔵が90兆立方フィート,原油が32億バレル,これが19の内陸部と主要3カ所のガス田に分布している.
 タイへの輸出統計では,2007年度が,25.3億ドル,2006年度が,20.3億ドルとなっている.
 今年度の9ヶ月で既に,17.8億ドルに達している.

(注)A (1) 090401A Myanmar, news.alibaba,(2) title: Myanmar gets China's help for hydropower project,(3) http://news.alibaba.com/article/detail/energy/100077635-1-myanmar-gets-china%2527s-help-hydropower.html
,(4) YANGON, March 30 -,(5) River Irawaddy,(6) Kachin State,(7) Malikha river,(8) Maykha river,(9) Myitkyina,(10) Ruili 瑞麗 and Kunming 昆明 in Yunnan province to Chongqing 重慶 municipality in southwestern China,(11) Strait of Malacca,(12) Kyaukphyu Township in Rakhine State,(13) A-1 block off Rakhine,(14) http://bnionline.net/feature/narinjara/3106-chinese-inspector-dies-in-myitsone-hydro-power-project-site.html
,(15) photo source: Malikha and Maykha rivers,www.tourismmyanmar.com/myitkyina.htm,(16) map source,off Rakine gas field,mprlexp.com/Offshore-Detail.htm,(17) Myitosone hydro,(18) Shwe gas field,

Myanmar gets China's help for hydropower project
【日刊 アジアのエネルギー最前線】,2009/4/1付
――――――

 なお,ミャンマーは江沢民派の利権だとする話もあるが,現在,拙作サイトでは裏づけデータを採取できてはいない.▲


 【質問】
 ミャンマーに関し,どのような利害関係が他国にあるのか? 

 【回答】
 以下の記述によれば,天然ガス資源がミャンマーには豊富であり,ミャンマーの外貨収入の柱になっているという.
 また,中国は地政学的理由によりミャンマーを支援しているという.
 さらに,ロシアはミャンマーに対して原子炉開発を支援しているという.
 以下引用.

[quote]

神保:ミャンマーは天然ガス資源が豊富だ.
 ミャンマー国内にある,イェタグン・ガス田にはマレーシア,タイ,日石と日本政府が共同出資し,政府の外貨収入は年間1億ドルになる.
 ヤダナ・ガス田にはユノカル社(シェブロンが買収)とトタル社が出資し,年間2.5億ドル超.アジア有数のガス田であるシュウェ・ガス田は韓国,インド系の出資が多い.これらを合わせるだけでミャンマー政府の外貨収入は500億円になる.
 各国がエネルギーを手に入れたいのは分かるが,その収入は軍事政権のものになる.
 それが市民に行き渡っているとは考えにくく,武器になっている可能性もないとは言えない.
 また,タイはミャンマーの天然ガスへの依存度が高い.
 そのため,タイはミャンマーへの非難もかなり慎重だ.

 インド洋に抜ける通路で地政学上重要だとして,中国もミャンマーとの関係を大事にしている.

 ロシアとはどのような関係があるか.

津守:ロシアはミャンマーにミグ(ロシアの軍用航空機)を売っている.
 また,ミャンマーが実験用原子炉も作りたいということで,約300人のミャンマーの技師らがロシアへ研修留学にも行っている.

神保:旧首都のヤンゴンでも1日のうち5時間しか電気が通らないとのことだから,そういう状況だとロシアの原発は魅力的かもしれない.
 
津守:しかし,実験用原子炉の段階であり,医学目的の原子炉だとミャンマー政府は説明している.

 また,私の印象ではユノカル社やトタル社は,アメリカやフランスの経済全体から見たらピーナツほどの小さな権益でしかない.
 両政府がその小さな権益のために外交政策を決めるということはないのではないか.
 また,それに気兼ねをして日本政府が政策を緩めるということもないと思う.

[/quote]
―――2007年10月30日 ビデオニュース・ドットコム

 地下資源については統計的事実として確認でき,また,中国にとっての地政学的重要さは地図を見れば昭かである以上,上記文章を疑う理由は特にないと愚考する.

 また,以下はインド人ジャーナリストの書いている,ミャンマーの天然ガスを,自国のエネルギー戦略に取り込もうとするインドと中国の努力についての記事からの抜粋.
 国内メディアも,アメリカのメディアもこの手の事情は余り報道しないけれど,国境を接するインド,タイ,中国のメディアには欧米とは異なる類の情報が;

India bends over for Myanmar's generals
By Sudha Ramachandran, Nov 6, 2007


[quote]

The Sino-Indian contest for access to Myanmar's gas reserves has gone in favor of China.
A couple of months ago, Myanmar announced that it was withdrawing India's status of "preferential buyer" on the A1 and A3 blocks of its Shwe gas fields off its Arakan coast and said it intended selling gas to China.
 ミャンマーの天然ガス開発計画はインドと中国が競合していて,中国有利で進行している.
 数ヶ月前にミャンマー政府は,Shweガス田のインドのA1とA3地区の優先購買権を回収していて,それを中国に売却したいといっている.

"India is unable to match what China is willing to offer the generals - supply of whatever military equipment they demand and use of the veto in their defense in the Security Council. Over a decade after it began engaging the junta,
India is still not as comfortable with the generals as China is," the official pointed out.
 インド高官は
「インドは中国に対抗できない.何故なら中国は軍事政権の将軍の望むもの(軍備)を何でも提供できるし,安保理の拒否権を使うこともできる.
 軍事政権と10年前にのエンゲージメントを始めて,インドは今だに中国に及んでいない」
という.

[/quote]

ニュース極東板


 【質問】
 ミャンマー沖合の天然ガスについて教えられたし.

 【回答】
 「日刊 アジアのエネルギー最前線」,2009/6/26付によれば,西部沖は包蔵が90兆立方フィートとも言われているが,この西部沖は寧ろ後発で,タイの国家石油PTTによって東部のガス田,ヤダナ及びイエタグンのガス田開発が,早くから開発されているという.
 また,この2つの既開発のブロックの丁度中間に当たるM9ブロックについて,2005年からタイは探査にかかっているという.
 一方,ミャンマーが中国などと天然ガスを掘っている当たりの一部は,バングラデシュ領海内だ,と言ってバングラデシュ海軍が哨戒しているという.

 詳しくは同メール・マガジンを参照されたし.

 まあ,中国とバングラデシュとでは軍事力において比較にもならないので,バングラデシュがインドとの連携を強めない限りは,最終的には中国の意向に押し切られる可能性が高いと愚考する.


 【質問】
 ミャンマーのパイプライン計画とはどんなものか?

 【回答】
 中国には,パイプラインによってミャンマーを,中東やアフリカからの原油ガス中継地として使うという構想があるという.
 中国はアラカン沿岸,ラムリー島のチャウクピューに,スーパー・タンカーを接岸できる高深度港湾を建設中,と言われている.
 このことは中国メディアも,
「マラッカ海峡のみに頼る必要のないルートをミャンマーが提供してくれる」
との表現で,これを認めているという.
 また,中国国有巨大エネルギー企業CNPCは,原油パイプラインとは別に,ミャンマーのガスを運ぶパイプラインを,10億ドルを投じて敷設する予定だという.
 regional energy industries analyst-consultant のSar Watanaは,これらのパイプラインは,ミャンマーの石油ガス公社を隠れ蓑にして,実質は中国のCNPCが進めている,と述べている.

 詳しくは
China’s Burma Oil Conduit an ‘Abuse Threat’
および
【日刊 アジアのエネルギー最前線】,2008/11/23付
を参照されたし.

▼ ミャンマー政府は2007/4/17までに,同国西部ベンガル湾沖合いにある天然ガス田のガス購入権と,ミャンマー国土を横断するガス・石油パイプライン建設をシナの国営企業に認可することを決めました.
 このパイプラインはシナの雲南省・四川省とミャンマー西部の港湾都市チャオピューを結ぶものです.

 認可内容の詳細は以下のとおりです

 ミャンマー政府は,シナ国営の中国石油天然気集団に対し

 1.西部ラキン州沖合いで開発中の天然ガス田「シュエ・ガス田」のA−1,A−3鉱区のガス購入権
 2.同州西部の港湾都市チャオピューとシナの雲南省・四川省を結ぶ全長約2000kmのガスパイプラインのうち,ミャンマー国内を通る約900kmの建設と管理運営企業の株式過半数の保有
 3.同州西部の港湾都市シッテから雲南省までの原油パイプラインの建設
の三点を許可する事を決定しました.近いうちに正式文書に署名する予定です.

 シュエ・ガス田では現在韓国やインドの企業が開発を行なっており,なかでもA−1鉱区は推定埋蔵量が4兆〜6兆立方フィート(約1100〜1600億立方メートル)の規模をもつアジア有数のガス田とされます.

 シナがずっと提案していたパイプライン敷設計画を,「シナ軍の介入を招く」として一度は退けたミャンマーでしたが,国際的孤立が続く中,背に腹は変えられなくなったのでしょう.
 国民の保護という名目でシナが軍を送り込むことは明白で,ミャンマーは今後シナの衛星国になり,インドとの反目を強めるものと思われます.
 インド洋地域で対立構造が新たに誕生しそうです.

おきらく軍事研究会,2007/4/23


 【質問】
 ミャンマー−中国間の原油ガス・パイプラインの問題点は?

 【回答】
 中国国家石油 China National Petroleum Corporation (CNPC) 主導の,ミャンマーの原油ガス・パイプラインは,2009年8月,建設のための現地での活動を開始したようだが,ミャンマー国外,バンコクなどで活動する,「シュエ・ガス運動 Shwe Gas Movement」によれば,
・電気も十分にない軍事政権下で生活する,ミャンマー国民の福祉を全く無視して,ミャンマーの資源を中国のために活用とする,この原油ガス・パイプラインは暴挙である.
・このプロジェクトの収益はすべて,軍事政権高官の懐に入っている.
という.
 ちなみに世界人権グループERIの報告書によれば,軍事政権は公式レートと闇レートで政府予算を操作して,シンガポールの中国系銀行の,ミャンマーの将軍達の個人口座に,50億ドル相当がため込まれているという.
 それに協力しているのが,仏籍のTOTALだという.

 また,最近,ミャンマー北部のコーカン自治区に於ける少数民族とミャンマー正規軍の戦闘で,少数民族の武装勢力は中国領内に逃げ込んだが,この地域には中国からの支援が入っており,またパイプラインがミャンマーの国境を越す重要なポイントであることから,果たして治安が保たれてパイプラインの安全が保証されるのか,複雑な情勢の動きがあると言う.

 詳しくは
CHINA Dual Pipelines in Burma to Push Ahead Amid Criticism
http://my.reset.jp/adachihayao/index090911C.htm
http://www.ipsnews.net/news.asp?idnews=48381

Danger of border skirmishes escalating
および
「日刊 アジアのエネルギー最前線」,11 Sep 2009付
を参照されたし.


 【質問】
 ミャンマー軍事政権と,麻薬密売組織との繋がりは?

 【回答】
 同政権はタイ・ザ Tay Za やロ・ジン・ハンとの関係が深く,その関係は個人的な贈収賄の問題を越え,核武装をも含む武器の売買にも関与しているという.

 タイ・ザは表向きシンガポール籍でトー貿易会社 Htoo Trading Company Ltd,を経営しつつも,ミャンマー軍事政権の将軍達への便宜の供与を行って,ミャンマー内での幅広いビジネスに手を染めているとされている.
 そして軍事政権との結びつきを最大限に使って,ロシアからの武器の調達,核武装のための北韓との取引を行っており,ゴルフなどの遊び仲間にはイランの核関係者も含まれているという.

 一方のロ・ジン・ハン Lo Hsing Han は,ミャンマーで唯一公認された建設企業であるアジア・ワールドを経営する傍ら,コーカン特別地区 Kokang region などとの麻薬取引を仲介してタイで逮捕され,死刑を免れてミャンマーに国外追放された人物.

 いずれも米国財務省のブラック・リスト入りしているという.

 詳しくは
On the march to do business in Myanmar
http://my.reset.jp/adachihayao/index090826D.htm
http://www.atimes.com/atimes/Southeast_Asia/KH26Ae01.html
および
「日刊 アジアのエネルギー最前線」 2009.8.26付
を参照されたし.


 【質問】
 ミャンマー軍事政権によるメディア規制の状況は?

 【回答】
 太田述正コラム#2091(2007.9.28)によれば,ミャンマーでは原則,ジャーナリストの入国を禁止しており,2007/9/27に治安部隊兵士に至近距離から撃たれて殺害された長井健司も,観光ビザで入国していたという.
 また,2007/9/26日1500を期して,ミャンマー当局は反政府活動に関する情報や映像をアップロードしたウェブサイトやブログへのアクセスをブロックしたり,インターネットカフェを閉鎖したり,僧院や反政府政治家や学生運動のリーダー達への電話線や携帯電話の通信を遮断したという.

 同ブログの該当箇所については,ライブドア・ニュースロサンゼルス・タイムズ報道が元ソースとなっているため,C(普通)レベルの信頼性はあると愚考する.


 【質問】
 ミャンマー軍事政権による,インターネット規制の状況は?

 【回答】
 太田述正コラム#2087(2007.9.26)によれば,2007年の抗議行動がリアルタイムで全世界に伝えられてきたのは,インターネットカフェに飛び込んでは全世界に発信しているためだという.
 ミャンマーは2005年時点でインターネット人口は全人口の0.56%でしかなく,Eメールアドレスを持っている人はわずかに約2,500人,プロバイダは国営の2社しかなく,パソコン保有者はこの2社のどちらかに登録しなければ15年以下の懲役刑が課されるという.
 しかし,インターネット・アクセス規制の技術は,中共ほどは高くなく,情報将校あがりのKhin Nyunt首相が失脚して以降,規制・監視はより穴だらけになっており.
http://www.rsf.org/rubrique.php3?id_rubrique=542
のようなサイトが,この規制・監視のかいくぐり方を教えているという.

 同ブログのこの箇所については,CNN報道が元ソースとなっているため,C(普通)レベルの信頼性はあると愚考する.
 事実,YouTubeなどには最新動画がしばしばupされている.

 【関連リンク】
http://ko-htike.blogspot.com/


 【質問】
 ミャンマー難民に対し,どのような人権侵害が起きているのか?

 【回答】
 米国務省が公表した2009年の人身売買報告書によれば,ミャンマーから漂着した難民をマレーシア政府が保護しないため,彼らは売り飛ばされているという.
 売買されたミャンマー難民の多くがタイ国内で売春や低賃金の単純肉体労働に従事させられ,深刻な人権侵害が起きているという.
 ただしマレーシア政府は,報告書に不快感を表明,米国務省に説明を求めるとしている.

 同報告書を疑うだけの材料は特にないが,こと欧米発の人権報告というやつは,しばしば原則主義過剰となり,いらぬ波風を立てるだけの存在だったりするので,その点は注意が肝要.

 【参考ページ】
『フォーサイト 2998号8月号』:NEWS PROBE


 【質問】
 ミャンマー軍事政権は,カレン族に対してどのような作戦を行っているのか?

 【回答】
http://www.time.com/time/world/article/0,8599,1666734,00.html
および
http://www.nytimes.com/2007/09/29/world/asia/29satellite.html?ref=world&pagewanted=print
が,商業用偵察衛星情報として伝えるところによれば,ミャンマー東部のカレン族地域において,村々を焼き討ちし,住民を強制移住する作戦に出ているという.
 詳しくは太田述正コラム#2101(2007.10.3)を参照されたし.

 これは,ゲリラが人民の海に潜伏することができないよう,「人民の海」そのものを枯らそうとする,共産圏ではおなじみの作戦である模様.

▼ 一方,カレン武装集団は2010年11月には,国境の町ミャワディを占拠した.
 同月に行われるヤラセ選挙に抵抗しての行動だという.

――――――
A new phase in Burmese politics

On Nov 7, the date of Burma's first "election" in 20 years, Brig Gen Saw _ also known as Na Kam Mui _ thrust himself into the limelight when his troops seized the Burmese border town of Myawaddy and engaged in fighting with the Burmese army the following day.Border Guard Force (BGF) State Peace and Development Council (SPDC),formed in 1994,Christian-dominated Karen National Union (KNU),Manerplaw,Mae Sot,Na Kam Mui,Shan State Army-South, led by Lt Gen Yawd Serk
――――――



 【質問】
 サルウイーン河ダム開発問題とは?

 【回答】
 サルウィーン Salween 河最下流部,左岸支流,タイ領内から流れ込むモエイ川との合流点より33km下流,ハッチ・ダム Hat Gyi Dam 建設をめぐる問題.
 タイ・ミャンマーの共同事業.
 タイ政府は,ダムを高くして,洪水期のサルウイーン河の水をユアム Yuam 川に導いて,マエ・ラマ・ルアン Mae Lama Luang にダムを造って,トンネルで既設のブミポン・ダム Bhumipol Dam へ導こうとする案を懐に入れているという.
 だが,この調査工事にあたって,5,000〜6,000人のカレン族が強制移住させられて,避難民としてタイ領に流れ込み,厳しい生活を強いられているという.
 詳しくは
The politics of dam construction along the Salween
および
「日刊 アジアのエネルギー最前線」,2009.8.18付
http://my.reset.jp/adachihayao/index.htm
を参照されたし.

 上述の「村の焼討」は,このダム問題に関係している模様.

 カレン族は2008年現在,組織が三分裂している状態にあり,政府軍側に寝返る組織も出ているが,本件の状況如何では,政府との対立が再度深刻になりかねない.

 また,2010年の,現場でのタイ紙の報告によると,ミャンマーの軍隊によって数千の住民が虐待を受けている模様であり,現地には大規模な軍隊が駐留して,軍事的な攻撃もあったという.
http://my.reset.jp/adachihayao/index100218A.htm
および
http://bit.ly/9c2kOY


 【質問】
 ワ族特別自治区およびモングラ族特別自治区における,ダム建設問題とは?

 【回答】
 この地域の反政府勢力は強硬で,ミャンマー軍事政権も扱いかねている.
 また,中国にとってはパイプラインを安定的に運営するため,中国・ミャンマー国境地域の治安は重要.
 そこでこの地域へのダム建設を通じて,軍事政権は,中国企業を送って反政府勢力を懐柔しようとしているという.
 2010年2月8日の中国の報道によると,ミャンマー政権は,2つの中国企業と協力の上,中国との国境近くの,ワ地区とモングラ地区 Wa and Mongla areas に7つのダムの建設を計画している.
 だが,この2つの地域とも,その武装グループをミャンマー正規軍に入れると言う政府の計画に反対している.
 モングラ地区のリーダーは,ミャンマー軍事政権が,中国の力を借りて我々を追い出そうとしている,と見ている.

 他方で,反体制派のリーダーの一人が暗殺されており,正規軍は戦わずして征服できる,と見られている.

 【参考ページ】
http://my.reset.jp/adachihayao/index100212D.htm
http://bit.ly/anKw8m


 【質問】
 ミャンマーの2010年予定のやらせ「民主化」選挙について,中国はどう考えているのか?

 【回答】
「順調に実施され,民主化と発展が継続して推進されることを望む」(姜瑜外務省副報道局長)
としており,選挙の結果を直ちに承認する模様.
 一方で中国は,軍事政権の世代交代に,極めて神経質になっているという.
 なぜならミャンマーの軍事政権でも,若手の勢力の中には,余りにも中国への依存度が高い,と考えている軍人がいるらしいからだという.

 詳しくは,
「日刊 アジアのエネルギー最前線」,2010/9/5付
を参照されたし.


目次へ

「アジア別館」トップ・ページへ

「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ   サイト・マップへ

inserted by FC2 system