寺院に駐屯しているカンボジア兵
c
「軍事板常見問題＆良レス回収機構」准トップ・ページへ サイト・マップへ
「Bangkok Post」●（2012/10/15） Govt urged to detail link to Cambodia's nuclear
plan
タイの活動家がタイ政府にカンボジアの原発計画に介入を要請
「Bernama」●（2012/10/12）Thailand Urges
Cambodia To Consult Asean On Nuclear Power
Project
タイの軍長官がカンボジアに対して原発計画をＡＳＥＡＮに出せと
「Global Times」◯（2012/10/29） Cambodia
has no plan to build nuclear power plant
for now
カンボジアはまだ原子力開発の段階に達していないと
Kingdom of Cambodia / Kambodzsának Királyság（英語 Angol）
「South China Morning Post」◯（2012/11/03） Cambodia
approves controversial dam plan
カンボジア，４00ＭＷセサン2水力，中国企業で着工へ
「Togetter」◆（2014-12-01） クメール文字とUnicode
「VOR」◆（2013/03/14） カンボジア ポル・ポトの「第三の兄弟」が死亡
「孤帆の遠影碧空に尽き」◆（2012/02/25）カンボジア特別法廷 裁かれるポル･ポト政権の狂気
「孤帆の遠影碧空に尽き」◆（2012/12/25）カンボジアの過去・現在・未来
「孤帆の遠影碧空に尽き」◆（2013/03/16） カンボジア特別法廷 高齢化で被告死去や運営の資金不足の問題
「ダイヤモンド・オンライン」◆（2012/12/06）【海外レポート・カンボジア】100万人が訪れる世界遺産のすぐ隣にある貧困 観光産業の光と影
「ダイヤモンド・オンライン」◆（2012/11/26）【海外投資の歩き方・カンボジア】議長国カンボジアでのＡＳＥＡＮ会合で感じた ビジネス界から注がれる熱視線と市民意識の差
「ダイヤモンド・オンライン」◆（2012/11/15）中国での対日感情悪化の影響も カンボジアで増える日系企業進出
「ダイヤモンド・オンライン」◆（2012/11/30）【海外投資の歩き方・カンボジア】カンボジア，政治の季節へ フン・セン政権，安泰なのですが……
「ダイヤモンド・オンライン」◆（2013/03/29） 【海外投資の歩き方・カンボジア】「カンボジア産」のプライドを取り戻す 内戦で途絶えた国産生糸，復活への道筋
【質問】
クメール人とは？
【回答】
現在のカンボジアの主要民族で，カンボジア人口の９割程を占めると目される．
東南アジアから，インドのアッサム地方にかけて分布する，モン=クメール諸族の一派．東方モン=クメール諸族の内に数えられている．
モン=クメール諸族は，アウストロアジア語族の一派だが，クメール人はインド文化の受容が濃厚で，語彙にもインド系の単語が多い．
クメール人をカンボジア人と呼ぶこともあるが，タイ王国やベトナム南部にも集住はみられる．
●クメール人の民族史：アウトライン
アウストロネシア語族に数えられている言語の系譜関係は，類推による部分が大きく，文書史料に基づく論証がなされていない部分もある．
そのため，東方モン=クメール諸族に数えられているクメール人の成立経緯はあまり定かではない．
東南アジアの民族の内では比較的早く文明化したと言われ，伝統的基本生業は稲作であるため，華南地方から南下した原アウストロネシアの一群が分化した可能性が考えられている．
１世紀，メコン・デルタ地域に，最初のクメール人国家とされるフーナン国（扶南）建国．
３世紀，扶南，中国に朝貢開始．
５世紀，扶南王，中華王朝から安南将軍に封じられる．
611年，「イーシャナヴァルマン碑文」建立．現伝する最古のクメール語碑文として知られる．
６世紀，メコン川中流域で扶南の属領からカンプチア王国建国（中国史料の真臘）．扶南は首都を南に遷都したが，真臘に征服され滅びる．
６〜８世紀頃は，美術史では，（クメール美術の）先アンコール期とも呼ばれる．（７〜９世紀を「前期クメール美術」とする区分もあり）
７世紀初頭，真臘のジャヤヴァルマン１世，概ね現在のカンボジア全域にあたる地域を統一．しかし，同王の死後，征服地は分裂．
770年頃，アンコール地方にもクメール人の小国成立．
802年，ジャヤヴァルマン２世が登位，分裂していたクメール人諸勢力を再統合．アンコール朝クメール王国建国．この王朝も中国からは真臘と呼ばれる．
12〜13世紀頃，アンコール朝絶頂期を迎え，領土もメナム流域〜南部ラオス〜ベトナム中部に渡り最大に．アンコール・ワットやアンコール・トムが建造される．
14世紀，アンコール朝は，アユタヤ朝の圧迫を受けはじめる．
碑文類で確認される最後のアンコール朝の王は，ジャヤヴァルマン９世で，在位は1327？〜1353？
1432年，アンコール朝，王都を追われ（？），南に遷都．最終的には，プノンペンが王都に．領土も縮退していった．
1474年，カンボジア，アユタヤ朝の宗主権に服す．
1557年，カンボジア，アユタヤ朝に侵攻．タイ東北部を占拠．
1753年，カンボジア，安南黎朝の宗主権に服す．
17〜18世紀，黎朝安南の阮氏，アンコール朝領土に侵攻．1700年にサイゴンを制覇した後，ベトナム人の移民開拓を推進．
18世紀中頃には，コーチシナ地方が割譲されベトナム化される．
1775年タイ（トンブリー朝）の宗主権に服す．
1789年西山党の蜂起で黎朝安南滅亡．
1841年，阮朝越南（ベトナム），カンボジアを属国化．
1845年，クメール人各地で反ベトナム蜂起．
1863年，フランス-カンボジア保護条約調印．
1884年，フランス-カンボジア協約で，フランスの支配力強化．
1887年，フランス領インドシナ成立，カンボジアも保護領として編入される．
1907年，フランス-シャム条約で，アンコール地方が，タイ王国からカンボジアに返還される．
1954年，ジュネーブ会議にて，カンボジア王国，完全独立．
1970年，ロン・ノル首相のクーデタで国王シアヌーク追放．内戦勃発．
1975年，ポル・ポト派クメール・ルージュ政権掌握．共産主義化を計り，虐殺などで人口激減．
1979年，ベトナム軍侵攻．後，ヘン・サリムを首班にカンボジア人民共和国政権を支援．
1982年，ポル・ポト派はシアヌークを大統領に招聘し３派連合政府を樹立．ヘン・サムリン政権に対しゲリラ活動を展開．
1993年，国連主導で1991年に結ばれた和平協定に基づき，UNTAC（国連カンボジア暫定統治機構）の支援下制憲議会選挙が行われる．
シアヌークの息子ラナリットの率いる民族統一戦線（フンシンペック党）と，フン・セン（旧ヘン・サムリン派）の率いるカンボジア人民党が連立政権を樹立．
新憲法が制定され，シアヌークを国王に新生カンボジア王国誕生．
1997年，内紛が首都での銃撃戦に発展，ラナリット第１首相が追放される．
1998年，総選挙でラナリット復帰．ポル・ポトの死亡が確認される．
【質問】
プレアヴィヒア寺院問題とは？
【回答】
プレアヴィヒア寺院は9世紀末に建設された，ヒンドゥー寺院です．
カンボジア・タイ両国間の国境上にあるため，領有権問題に発展しています．
，1962年にハーグの国際司法裁判所によりカンボジア領であると認められましたが，寺院周辺の土地4.6kmの帰属は未だに確定しておらず，同寺院の西にあるプラサットターモアンという寺院と共に，現在も紛争事案となっています．
【参考ページ】
http://blog.arukikata.co.jp/tokuhain/siem_reap/2008/06/post_15.html
http://cambodia.travel-note.jp/blog/archives/224
http://blog.livedoor.jp/junjih0513/archives/51386095.html
プレアヴィヒア寺院
寺院に駐屯しているカンボジア兵
【ぐんじさんぎょう】，2008/10/4
に加筆．
▼ この付近では，2008年にも銃撃戦が発生している．
以下は，タイ側の見解．
――――――
「タイの地元新聞を読む」：シーサケートの国境線の密林地帯で銃撃戦，タイ軍関係者2人が負傷
2008年10月04日
3日15:00頃，シーサケート県内のカンボジアとの国境線付近で，タイ軍とカンボジア軍との間で約20分間に渡る銃撃戦が発生し，この銃撃戦でタイ軍関係者2人，カンボジア軍関係者3人が負傷を負った．
現場は，カオプラウィハーン西方のカオ・プーマクゥア付近の密林地帯
陸軍本部のサンスゥン報道官によると，カンボジア軍関係者8人が国境線から約1Km入ったタイ領内に侵入しているとの情報に基づき，タイ軍関係者10人を査察の為に現地に派遣したところ，カンボジア軍側が挑発的な言葉を発すると共に銃弾を数発発砲してきた為，タイ軍側が応戦し銃撃戦になったという．
しかし，カンボジア側が誤ってタイ領内に侵入したのか，それとも意図的に侵入したのかに関しては明らかになっていないという．
尚，サンスゥン報道官の発言に先立ち第二地区国軍本部のウィブーン本部長側は，カオ・プラウィハーン西方の国境線周辺を警戒作業中に国境線からタイ領内に約1Km入った密林地帯にカンボジア軍関係者が侵入しているのを発見したタイ軍関係者が，警告の為に空に向け銃弾を発砲した事がきっかけで銃撃戦となったと発表していた．
――――――
▲
▼ 一方，2008年10月4日3時3分付，読売新聞（鶴原徹也）によれば，
＞カンボジア当局の説明では，数十人のタイ部隊がカンボジア領を侵犯したために
＞約１０分間の交戦となり，少なくともカンボジア兵士１人が負傷した．
とされており，主張は食い違っている．
まあ，この手の紛争ではありがちな食い違いだが．▲
▼ また，ロイターのカメラマンが目撃したところによれば，2008/10/15にも銃撃戦が起きている．
同カメラマンによると，交戦は約１０分間続き，ロケット砲と小火器が飛び交ったという．
詳しくは，
2008年10月15日17時55分付，ロイター記事
を参照されたし．▲
【質問】
プレアヴィヒア寺院領有権問題が2008年に再燃したのは何故か？
【回答】
2008年10月4日3時3分付，読売新聞（鶴原徹也）によれば，同年6月，カンボジアが同遺跡を国連教育・科学・文化機関（ユネスコ）の世界遺産登録申請を単独で行ったことがきっかけだという．
タイ政府は当初，この動きを支持していたが，国内の不満の高まりを受けて，国境未画定の同遺跡周辺地帯に兵力を動員し，両国軍計1500人以上の兵士が国境で睨み合いを続けたが，以後は両国部隊の規模は縮小されたという．
「世界遺産ですら国際紛争のタネになる」というのが，どうやら国際社会の現実らしい．
やれやれ．
プレアビヒア近くをパトロールするカンボジア軍の兵士（２００８年 ロイター/Chor
Sokunthea）
【質問】
カンボジア側から見た，この銃撃戦についての見解を教えてください．
【回答】
アンロンベンの司令官（の話では，）
「タイのほうが侵入してきた．
ここの土地が取りたいからだ．
しかし大した問題でなくて，それよりタイのほうがデモがあったりして，恐ろしくもめている．
怖くて行けない」
なんて言ってましたよ．
「『フリーアジア』（によれば），不法就労のカンボジア人が二千人送還されたが，国境は何もなくて静かだ」
と言っていました．
国境は静かで普通だった．
そんな程度の情報しか 流れてないですよ．
それどころかカンボジア側は
「タイでは内戦がおこっていて，テロとクーデターで，カンボジア人がいると殴る」
というデマ情報が流れてますよ．
カンボジアでは戦闘がおこっても多少の撃ち合い，屁でもないんですよ．
今，土地バブルの崩壊とかで，政府の名前借りて個人の土地取り上げた人が，土地取り上げるのに地主殺して取り上げていたので，多少の撃ち合い屁でもないですよ．
カンボジアは十六大国のなかの一つケンブダイ国ですから，ビルマまでカンボジアだったんですよ．
だからタイには，シャムカメンという人たちがブリラムスリンでカンボジア語話していますよ．
その昔アンコールワットのあったころ，元の僧侶がアンコールワットをたずねたとき，イスラムであるチャムゾクが幅を利かせていたらしいですね．
あそこは昔からタイがほしくて，タイはタイでカンボジアにとられたと思っていて，歴史的にはタイが攻めてきて
，アンコール王朝が川をくだってウドン王朝作って，その時 日本人町もそこにあったそうです．
そこもタイ軍が攻めてきたが，「竹の要塞」（カンボジアの丈にはとげがある）があって進入できなかった．
しかしタイは，銀を竹の林にまいて，あほなカンボジア人はそれがほしくて自分で切ってしまい，滅びたんだそうですよ．
今そこは憲兵隊の部隊がいますよ．
そのあとコンポンスプー王朝，
そのあと今のプノンペンですね．
２００３年の事件ありましたでしょ．
タイの女優が「アンコールワットを差し出せば歌ってやる」と言ったという．
それでコンポントムから始まって，最初は50位のデモが．
ボーディンの強盗団がからみ，タイの会社はすべて強奪焼き打ちにあったんだですよ．
もともと昔はビルマまでカンボジアだったから，タイの企業が盛んななるとこの手の問題が起こって，タイ企業が潰されるんですよね．
パパは金になるらしく，なんか張り切っていますよ．
今，注目のところの司令官ですから．
ほくほくしてますよ．
カンボジアはこの程度の戦闘，いつでも起こっていて，カンボジア人にしたらタイのデモのほうを恐ろしがっていますよ．
また，これを機会に，焼き打ち強奪で儲かる人がでる．
もともと侵入したのはタイだといってますから．
カンボジアのタイ企業はまた散々な目に会うと思いますよ．
風船イスラム男 by mail，2008年10月15日 00時38分
〜2008年10月15日 19時17分
より再構成
【質問】
カンボジアにおけるUNTACの成果は？
【回答】
明石康によれば，以下のような成果があったという．
1. 自由選挙実施の成功．
UNTACは，クメール・ルージュの反対にもかかわらず，当初の予定通りに自由選挙を実施するという賭けに出たが，その賭けは大変うまく行った．
また，カンボジア国当局ｈの嫌がらせのため，反対勢力は選挙ボイコットを行う気になっていたが，UNTACの説得と支援により彼らを現状の流れに留まらせることができた．
2. 王政と特別代表との間の良好な関係が保たれたことで，幾つかの危機の解決に役立った
3. 草の根教育といった下からのアプローチと，国連特別代表から首相へといった上からのアプローチによって，民主主義を浸透させた．
4. 特別代表が鍵となる10人の大使から構成されるコア・グループと頻繁に会談を行うことで，母国に対して状況を伝達し，また，しばしば偏向する外国メディア報道の修正を促すこと_なった．
詳しくは
『グローバルガバナンスと国連の将来』（中央大学出版部，2008.8.10），p.126-130
を参照されたし．
ただし現状を見るに，いささかこれらの「成果」は自我自讃の傾向があるように思われる．
「民主主義を浸透させた」など．
【質問】
UNTACの問題点は？
【回答】
明石康によれば，以下の点で問題があったという．
1. 3300人以上いた文民警察官は，質にばらつきが大きく，不適格者が何人もいた．
また，与えられていた任務は監視および地元警察の訓練だったが，現場の現実は彼らに，武器の使用を伴う事実上の警察活動を求めており，深刻な矛盾があった．
2. 軍事要員は当初，ROEの下でどの程度の武力行使が認められているのか，明確に了解していなかった．
3. ネットを通じた頻繁なやり取りにもかかわらず，ニューヨークの国連本部は，現場における問題の正確な射程を，常に的確に認識できたわけではなかった．
4. しばしばマスメディアの偏向報道の対象とされた．
5. UNTAC後についての計画は，より早期に始められるべきだった．
詳しくは
『グローバルガバナンスと国連の将来』（中央大学出版部，2008.8.10），p.130-132
を参照されたし．
【質問】
日本からカンボジアに派遣された文民警察官，高田晴行警部補（当時33）は，なぜ殺害されたのか？
【回答】
フリー・ジャーナリスト橋田信介によれば，「その前日の敗北の復讐」．
以下引用．
「この時期がカンボジア内戦の最後の山場だった．
高田が殺られる前日の1993/5/3，ポル・ポト軍は，アンコール・ワットを守る政府軍に対し，大規模な最後の戦いを挑んだ．
アンコール・ワットはカンボジアを象徴する巨大遺跡だ．
そこを抑える事は，政治的にも大きな意味があった．ポル・ポト軍は，国連が主導する総選挙前にアンコール・ワットを陥落させたかった．
それが無惨な敗北に終わったので，自暴自棄になっていたのだ」
5/4の昼12時15分．タイとカンボジアの国境，アンピル付近の国道を，6台の車が隊列を組んで移動していた．先頭の車にはオランダ軍の兵士，2台目，3台目の車に日本人警察官7人が乗っていた．
ジャングルで待ち伏せていたポル・ポト軍兵士が，先頭の車めがけてB-40ロケット砲を発射した．
砲弾はそれた．
無装備の警察官を守るべき先頭のオランダ軍は，フル･スピードで逃走した．
その結果，2台目，3台目の車にAK銃が雨霰と撃ちこまれた．
2台目の運転手は高田，助手席に八木一春が乗っていた．
乱射される車の中から，2人は転がり出た．
八木は腹部を撃たれていたので立ちあがれなかった．八木は這いつくばったまま腰のポケットの財布を手渡し，それで助かった．
無傷に近かった高田は，両手を上げてホールド･アップした．少年兵はそこを撃った．高田は腹部をやられた．
3台目に乗っていた谷口栄三郎も重傷だった．
12時30分，オランダ軍部隊は本部へ救助ヘリを要請した．
ヘリコプターのパイロットであるロシア人は，怖がって命令を聞かなかった．無理もない．このロシア人は，ベトナムの石油基地で働く民間人だった．ヘリコプターの操縦ができるというので，ヘリも含めて国連に雇われていただけだ．
アルバイトに命をかけるバカはいない．
だが，救助隊は懸命に彼を説得，現地に飛んだ．それが襲撃から約2時間半後の午後3時近くである．
ヘリは現場に到着したが，ホバリングするだけで，軽傷のオランダ軍兵士を収容，そのまま現場を去った．
ただ，現場で日本人3人が倒れていたのを目撃したので，「3人死亡」との連絡をした．生きているのか，死んでいるのか確認もしなかったのだ．
そのとき，高田さんはまだ生きていた．同僚らがティッシュ･ペーパーで，溢れる腹部の血を抑えていた．
だが，やがて死んだ．
結局，日本人警察官が事件現場からタイ側に脱出できたのは，夜の8時頃だった．
〔橋田は，〕ポル・ポト軍に対して最後まで甘かった国連の責任だと思った．
カンボジアは平和ですからと，建前だけを主張する日本政府の責任だとも思った．
国際貢献は，汗を流すだけでなく，血を流すこともある，という当然の常識を無視した，日本の平和主義者の責任だと思った．
そもそも，日本政府はカンボジアが平和であることを力説し，安全なのだから自衛隊と警察官を派遣したいと主張した．
一方，野党側は，軍国主義復活に繋がる海外派兵に反対するとして，派遣される警察官に丸腰であることを強要した．
警察官が無防備であることを主張した，諸々の平和主義者にとっても課題を残した．
車で同行していたオランダ軍兵士は，武器を持っていた．
高田さんは車から降りて両手を上げてホールド･アップした．
そこを射殺された．
象徴的に表現すると，平和憲法を守り抜いたから殺されたのである．
1999年5月12日，倉敷市で高田雅夫（70）が自宅で自殺した．一人息子である晴行を失って6年者間，悩み続けた挙げ句の無駄死にだった．
戦後50年，日本では戦争と平和に関する議論が，まともにされた試しはない．
この時もごまかしと妄想のやりとりだった．
カンボジアでの高田さんの戦死は，今も変わらない，このふやけた論争に落とし前をつける意味のある事件だった．
しかし例によって，事件は検証されなかった．
だから高田さんとその父親の死は，今も無駄死にとなってしまっている．
（橋田信介著「戦場特派員」，実業之日本社，2001/12/20, P.71-89，抜粋要約）
【質問】
高田晴行殺害後，なぜ国連は日本を批判したのか？
【回答】
事件後，日本人警察官が避難したことが，職場放棄と見なされたため．
事件後，日本人警察官はアンコール・ワットの地方本部に避難した．
理由は理解できたが，これでは完全に任務放棄である．
案の定，プノンペンの国連本部は，重軽傷をおった日本人警察官がタイ側に避難し，治療を受けたことを取り上げ，勝手に逃げるのは任務放棄に当たると批判した．
これに対して，日本政府の言い訳は傑作だった．
彼らはタイを経由してカンボジアに戻る予定だったのであり，したがって任務遂行途中だったと応酬した．
この一例でも分かるが，国際社会は極めて厳しいものだ．
さらに厳しく言えば，日本の平和勢力が主張する絶対平和主義を貫徹するとすれば，彼等日本人警察官は踏み止まるべきだったろう．
その結果，殺されても文句は言えない．それがスジだからだ．
言換えれば，「朝日新聞」的世論が主張する
「日本の平和憲法は，世界に高く評価されている」
ということを実践的に証明するチャンスだったのだ．
平和主義や非武装中立は，戦争をするよりも遥かに強い勇気を必要とする．
北朝鮮のテポドンごときを恐れては，平和憲法の精神は守れない．
（橋田信介著「戦場特派員」，実業之日本社，
2001/12/20, P.86，抜粋要約）
【質問】
なぜポル・ポト派を国連は野放しにしたのか？
【回答】
明石康は，ポル・ポト派を説得できる，と見込み違いをしたため．
以下引用．
国連事務総長特別代表，明石康は，ポル・ポト派を説得できると考えていた．
その根拠は，明石に2度ばかりインタビューしたことと，「第3文明」という雑誌に載った彼の文章を読んだからだった．
しかし，ポル・ポト派は最後まで武装解除には応じなかった．
カンボジア国連軍の中でも意見が割れた．ポル・ポト派を叩くべきだという意見と，なし崩しに選挙に持ち込めという意見の対立である．
前者の意見を持っていた，フランスの軍事部門の代表者は結局，辞任した．
明石が両者の対立で悩んだのは，容易に想像できる．
この頃，雑誌「アエラ」に，明石の特集記事があった．
その中で明石は，性善説と性悪説との間で揺れ動いている，という趣旨のコメントを語っている．
結果としてポル・ポト派を野放しにしたので，選挙は妨害され，国連軍にも10人近い死者が出ることになった．
カンボジアの後，明石は旧ユーゴスラビアの戦場で国連保護軍最高責任者の任務に就いた．
色々あったようだが，最後は辞任に追い込まれた．
暫くして明石は，NHKの「世界わが心の旅」という番組の中で，
「人間は生まれながらに争いを好むものかもしれません．
だから，その争いが大きな戦争にならないための工夫――システムなどが必要だと思います」
と呟いた．
（橋田信介著「戦場特派員」，実業之日本社，
2001/12/20, P.91-92，抜粋要約）
【質問】
カンボジア復興に対する，日本の支援についての評価は？
【回答】
【日刊 アジアのエネルギー最前線】カンボジアの発電所に残る深い懺悔の念（2009.7.21）
によれば，観念だけが発達し，目の前の具体的な悲惨しか目に入らず，我々が戦後に経てきた経済復興の経験を，殆ど活かすことが出来なかったという．
日本が，農村に小水力を造るためには全国の調査が２年必要だ，とか，カムチャイ水力をやるならば，その前に数年間，全国マスタープランが必要だ，とか，観念をこねくり回すだけで，日本人が造ってあげる，造ってあげる，と言いながら結局何もしてくれなかった発電所を，カンボジア人の目の前で，中国企業は難しいことを言わずに，どんどん造ったという．
「人生をやり直したい気持ちだ」
とまでサイト主は述べている．
詳しくは同メール・マガジンを参照されたし．
【質問】
カンボジアの徴兵制復活は，どういう理由からか？
【回答】
兵員構成の大きな歪みを是正するため．
2004年9月4日，平和が確立して国民が忘れてしまってから10年経って，カンボジアは国民に徴兵の義務を課すことになった．
ソー･ケーン副首相兼内務大臣・首相代理出席のもとで行われた9月3日の第4回閣議で，政府は国民の徴兵義務に関する法律草案について審議を行った．
カンホジアの軍隊は およそ12万人．養うのも困る，この人数．
長年の戦闘で，男の仕事は強盗か兵隊．女は娼婦．選択の余地が無い状態でした．
平和になり，銃器の取り締まりも1999年には行い，兵隊は減らし続ける方針でした．
退職はバイク一台もしくはそれと同等のお金．
「それを元手に商売しろ」
しかしながら，兵隊以外に職の無かったこの国の男つぶしがききません．
やめたところで職もありません．
やはり軍隊経験をいかして強盗になるしかない．
しかし，若い世代は高学歴化があっという間に進み，誰も兵隊になりたい人もいなくなったようです．
プノンペンはもとより地方都市でも，カンボジアは空前の学校ブームなんですよ．
兵隊になりたいのは年寄りばかりなり．
軍隊はそんなこもあり，無職の人や，刑務所帰りの犯罪者の溜まり場と化しつつあったようです．
結局カンホジアが，今までやめさせる手段として採ったのが，
「もしこの仕事にとどまりたかったら350ドル払え!」
払えない人は泣く泣く辞める．
また，一平卒ではメリットは無いのでやめる．
しかし，今まで利権を得ていたお偉いさんに属する人はやめない．
払う金もある．
そして麻薬ビジネスに精を出し，軍艦で大麻やらヘロインやら運び出す．
その結果 おかしな富の偏りが生じ，また政権が不安定になっているようです．
また，その結果，なんと今のカンボジア軍は下士官がなく，上官ばかりになってしまったそうです．
要するに，犯罪をおかして刑務所から出てきた人と，三十歳以上の人たちばかり．
一平卒がいない状態．
若い人は，英語学校や，にわかに雨後のたけのこのようにできた大学で，いんちき学士号取得に熱心です．
「大学は商業許可でできる．貴方も明日から大学をつくれます」
そうすると，泥だらけになり，どつかれたいという人はいない
そんないやな軍隊でも，新しく入りたいというと，金を150ドル払えと言われる．
金持ちの息子は憲兵隊に入る．
憲兵隊は人気．入隊時に1500ドル必要．
フンセンの親衛隊で2500ドルといわれています．
そして金で階級を上げてしまう．
一万ドル親父に寄付させれば一階級特進です．
いるのは上官のみ．下士官なしのカンホジア国軍でした．
ということで 今回の徴兵制復活となったそうです．
しかし，なぜカンホジアは軍隊を強化するのか?
東南アジアのこの弱小国は，つねに国土を二つの国から脅かされ，今でもベトナムのタイニン県に接しているところやタイに接しているところには紛争が絶えません．
また，麻薬マネーが各勢力に金を配り，つねに政権を揺るがすことを考えいてます．
外部の敵もさることながら，内部の敵がつねにいるカンホジアでは無理も無いことでしょう．
貧乏な人が常に兵隊になる
志願制先進国と最貧国カンボジアの徴兵制の差を考えますと，もしカンホジアで徴兵制をしたら，平等に兵役になるかいうと，やはり金持ちの子はテーブルマネーで兵役は任意でしょう．
これは間違いありません．
やはり，テーブルマネーの払えない農民の息子や田舎の人が兵隊さんになり，五十キロの石を担いでマラソンとなることでしょう．
地方の駐屯地など，沼の水飲んで暮らすわけですから，行きたい人なんかいません．
もしお金持ちの息子が兵隊になれば，プノンペンのエァコンのオフィスで楽しく時々でてくる．
あとは，ほかの人にお金を払い，代わってもらう．
一日の支払いは上司に十ドル相場らしいですよ．
貧乏人はつらいですね．
なお，選挙前に肝炎とエイズ検査が公務員全体で行なわれたそうです．
どうやらエイズと肝炎の公務員はリストラ対象となるそうです．
兵隊ほとんどリストラかもしれませんね．
（風船君「背徳の日記」，2004/9/9）※リンク切れ
【質問】
現在のカンボジア軍の兵士の生活状況は？
【回答】
ポルポト時代には重湯とごま塩．米粒など入っていない．
畑の作物をぬすんでかじる．
みつかれば処刑される．
そんな青春を送ってきたカンホジアの兵隊さんたちは，とにかくたべるたべる．
レストランに誘おうとすれば，レストランごと食ってしまう勢いだ．
そんな彼らの青春の思いでは，恋なんかじゃない．
「食い物とにかく食い物」
彼らはほとんど家族とはくらしていない．要するに常に駐屯しているのである．
それでは カンボジア国軍の食卓はどんなものなんでしょうね．
軍隊では 食事は一日二回
朝は各自外食
金なんか無いから，いろいろな知り合いのレストランにたかりにいく．
もしくは上司のおごり．
ですから朝早くレストランに行くと，いかにもいかにもたかりという感じの人がご飯を食べています．みんな軍服をピシッと着て．
いってみれぱ 臨時ボディーガード．
そういう人たちがひしめいていれば，強盗も遠慮しています．
朝食の定番は クィティオ というそば．
もしくは 豚飯 鳥飯 おかゆ．
安いところ高いところいろいろあります．
昼から 軍隊の食堂は にぎやか
飯はたべ放題
それと トラクンという水草と 脂身のスープ
それが すっぱいやつとか 小魚のスープそういったものが主流
将軍以上ももちろん 同じ
しかし幹部は みんな いろいろなところから弁当が届いているそうです．
みなさんおかずをもちよって楽しそうです．
大将クラスになると いろいろなところから付け届けが多くて，かにやらえびやらも豊富
大将の中国製シロキーを町でみかけると，大抵 子分がぞろぞろ
親分になるのも経費がかかりそうですね．
しかし 軍隊は男同士で なんとも楽しそうです．
夜もみんなでテレビをみたり，上司との付き合いでカラオケに行ったり
これで戦闘が無ければ楽しい世界
しかし 家族は常に怒っています．
軍人の夫は家にはいない
生活費なんてもちろん入れません．給料なんて無いがごとき
ときどきお上さんが
「ほかにおんなができたかー!!」
とがなりこみ
部隊は なかなかにぎやかです．
（風船君「背徳の日記」，2004/12/12）※リンク切れ
【質問】
この記事の話は本当なんですか？
日本で言う「交通安全のお守り」のような縁起担ぎ程度の話ではないのですか？
――――――
「AFP」：タイ軍の近代兵器に魔除けグッズで対抗，カンボジア兵士
2008年11月10日 18:52 発信地:プレアビヒア/カンボジア
【11月10日 AFP】世界遺産「プレアビヒア（Preah Vihear）寺院」遺跡周辺の領有権をめぐるカンボジア，タイ両軍の対峙が銃撃戦へと発展して数週間が経つが，カンボジア軍の兵士たちは，
「装備はタイ軍が勝るが，自分の身はピンク色の『魔法のスカーフ』が守ってくれる」
と自信たっぷりだ．
「タイ軍は近代兵器を持っているが怖くない．お守りがあるから」
と話すのは，頭に魔除けのスカーフを巻き，お守りの入ったベルトを締め，小さな仏像2体を携帯する28歳の兵士．
「旧ポル・ポト派（クメールルージュ，Khmer Rouge）の残党と数え切れないほどの戦闘をしたけれど，危険な目に遭ったことは一度もないよ」
と魔除けの力に信頼を寄せる．
7月に国境沿いで始まったタイ軍とのにらみ合いでは，装備で圧倒的に優位に立つタイ軍に対し，カンボジア軍兵士らは自国の護身の風習にならって仏像を身に着け，魔除けの呪文を体に入れ墨した．
カンボジア軍では司令官からも，仏僧がまじないをかけたという魔除けの印を描いたスカーフが配られた．
お守りや護符を持つ習慣や迷信は，世界中の兵士に共通して見られるものだが，1998年まで何十年も続いた内戦で戦闘に慣れきったカンボジア軍兵士たちが，絶対的に信用するのは護身の入れ墨と魔法のシンボルだ．
タイ軍が野営する丘の下で待機していた別の兵士は
「戦闘中，こうした魔法がぼくの命を救ってくれると100％信じている」
と語った．
〔略〕
10月の戦闘中に自分の司令官を亡くした38歳の兵士は，それ以来，いっそうお守りの力を信じるようになったと言う．
「司令官も魔除けを持っていたが，仮眠を取ろうとしてそれを外したんだ．
銃撃戦が突然始まったときには，魔除けを着けなおしている暇はなかった．
だから，死んでしまったんだ」．
駐留するカンボジア軍兵士のため，これまで数え切れないほどの魔除けベルトを作った，紛争地域内にある寺院の院長は，
「お守りに弾除けの効果があるかどうかは分からない」
と首を傾げる．
しかし，10月の戦闘中に，奇跡のようなことが起きたのは確かなようだ．院長は続けてこう言った．
「（10月に）戦闘が始まったとき，わたしは僧たちの寝所にいたが，まるで脱穀するときのもみ殻のように寺院中を弾が飛び交っていた．
それでもわたしたちのいた寝所には，一発も当たらなかった」．
――――――
【回答】
本気なんですよ．
死んじゃったりするので政府の広報でやってますよ．
「だいじょうぶだぁこの魔除けがあるから 」
「どかーん」
像の牙が自然に木にささったものとか，トラの牙とか，高い値で売れるんですよ．
風船くん by mail，2008年12月11日 02時33分
【質問】
シアヌーク国王って誰？
【回答】
「うちは世界一不幸な国王や…」
と呟いたかどうかは知らないが，ノロドム・シアヌーク（シハヌーク）は，おそらく「不幸な国王」ランキング入りすること間違いなしの，前のカンボジア国王．
1922年，カンボジア王族ノロドム・スラマリットとシソワット・コサマック妃の息子としてプノンペンで生まれ，ベトナム・サイゴン（現ホーチミン市）に留学中の1941年，祖父のシソワット・モニヴォン国王（コサマック妃の父）の崩御に伴い，請われて帰国し，18歳で即位．
とはいえ，当時のカンボジアは，フランスの保護領であり，国王といっても傀儡だった．
第2次大戦後，強硬姿勢によって1953年，フランスから完全独立を勝ち取り，「独立の父」と呼ばれたころが，たぶん絶頂期で，1955年に自ら退位して，「王制社会主義」なる意味不明な政治運動に深入りしてから迷走．
たしかに選挙には圧勝して，国会の全議席を制覇するという，「小泉劇場」でもありえなかったようなことを達成したが，「シハヌーク翼賛体制」と呼ばれる政治体制の下，都合に応じて左派を弾圧したり重用したりを繰り返し，ポル・ポト派が武力闘争に走るきっかけを用意．
一方，右派からはロン・ノル将軍のクーデターに遭って，北京に亡命．
同地で亡命政府を旗揚げし，ロン・ノル打倒のためにポル・ポト派と手を結ぶという，禁じ手を使ってしまう．
シハヌークのおかげで農村部に支持者を増やしたポル・ポト派は，1975年にロン・ノル政権を打倒．
シハヌークはピョンヤンから帰国して，国家元首に祀り上げられたが，実質幽閉状態に置かれ，5人の子供と14人の孫は虐殺．
北京からポル・ポト派への圧力がなかったら，シハヌーク自身も処刑されていただろうと言われている．
カンボジア国内では大虐殺が行われる中，1979年，ヴェトナム軍がカンボジアに侵攻．
ポル・ポトはシハヌークに，国連安保理にてヴェトナムの不当性を訴えるよう命令し，ようやくシハヌークは国外に脱出．
その後，カンボジアは4つどもえの内戦に突入し，カンボジアにようやく曲がりなりにも平和が戻り，彼が国王に返り咲いたのは1992年のことだった．
それまでに大虐殺によって300万人（人口の2割）が死亡，内戦でさらに多くの人が死亡し，既に国土は荒廃しきっていた．
彼は2004年，息子のシハモニ王子に王位を譲り，癌治療に専念．
2012.10.15，療養先の北京にて，心不全のため逝去した．
85歳だった．
【参考ページ】
http://ja.wikipedia.org/wiki/ノロドム・シハヌーク
http://www.ffortune.net/social/people/world-today/sihanouk.htm
http://kaji20.blog14.fc2.com/blog-entry-2.html
http://www5a.biglobe.ne.jp/~asia-mt/aiueo/sagyo.htm
【関連リンク】
「VOR」◆（2012/10/15）カンボジア シアヌーク前国王 90歳の生涯を終える
「人民網」◇（2012/10/15）カンボジアのシアヌーク前国王が死去
若いころのシハヌーク国王
（こちらより引用）
5000リエル紙幣に描かれているシアヌーク国王肖像
（こちらより引用）
【ぐんじさんぎょう】，2012/10/21 20:12
を加筆改修
【質問】
シハモニ新国王とはどんな人物か？
【回答】
教養豊かな人物で，元ユネスコ大使．
政争からは遠い立場にあり，「君臨すれども統治せず」が原則の立憲君主制における国王としては適任だという．
以下引用．
カンボジア独立の父と慕われたシアヌーク国王（81）が，この10月14日に退位した．
〔略〕
新国王となったのは，モニネアック王妃の王子，ノロドム・シハモニ殿下（51）で，シアヌーク前国王は以前から書簡を通じて
「シハモニ殿下がふさわしい」
と表明し，根回しを続けてきた．
カンボジア憲法では国王は終身制となっていて，次期国王を指名する権限もないのだが，上下院は国王選出法を改正して国王存命中の王位移譲を認め，新国王を選出する王冠会議は，前国王の意思を尊重したかのように全会一致でシハモニ殿下を選んだ．
若干強引なやり方であり，懸念を表明するメディアもあった．
しかし，これは極めて現実的な選択だったと私は考える．
実際のところ，150人ほどいる王族を見渡しても，他にシハモニ殿下より適任と考えられる人材がいないのは事実である．
今までに何度か会ったことがあるが，彼は演劇や音楽，舞踏，文学などに精通した，教養豊かな人物で，93年からユネスコの大使を務めた．
これまで国内の政争に関わったことが一度もなく，政治的には非常に中立な立場に居る．
「君臨すれども統治せず」
が原則の立憲君主制における国王としては適任と言える．
元カンボジア大使・今川幸雄 in SAPIO, 2004/11/10号
◆カンボジア大虐殺
【質問】
カンボジアのロン・ノル政権前後の流れが複雑でよくつかめないんだけど，
1970年にロン・ノルがクーデターで政権建てた後，1975年プノンペン陥落でロン・ノル政権崩壊．
翌年1976年にできた「民主カンプチア」の代表はキュー・サムファン．
すぐに左右勢力対立でキュー・サムファンが辞任して，クメール・ルージュ（赤色ルージュ）のポル・ポトの政権誕生，大量虐殺．
1978年にヴェトナムのカンボジア侵攻開始・・・・
現代東南アジア史の細かい年表が無いから色々合わせて見ながらまとめたんだけど，流れあってる？
特に「民主カンプチア」を建てたのは解放勢力（クメールルージュ）って書いてあるのに，wikiだと初代大統領はキュー・サムファンらしいから，
解放勢力の中心はポル・ポトなのに，最初からポル・ポトにしないのか，と思って混乱してるんだけど，この辺詳しい人教えてください(´⌒｀；)
あと，ポル・ポト政権誕生時の，左右勢力って何vs何？親中国派と親米派？
【回答】
1970.3.18
Sihanouk国家元首が外遊中に，Lon Nol首相兼国防相が右派勢力を結集してクーデターを決行．
首相並びに三軍司令官兼参謀長として全権掌握．
この時，国家元首には，前政権で農相だったChen
Hengが就任．
Sihanoukは中国の勧めで他の解放勢力と組んで王国民族連合政府を北京に樹立．
Sihanoukは戦線議長兼国家元首，王族のPenn
Nouthが首相（Sihanoukの右腕），Khieu Samphanが副首相兼国防相に就任．
1970.10
Lon Nolは共和国を宣言し，Chen Hengに代わり，大統領に就任．
しかし，対外的に米国の支援でようよう息をついている状態．
1971.2
Lon Nol，脳卒中で倒れ，右下半身が不自由になる．
以後，Lon Nol政権内部での権力闘争は苛烈に，ベトナム社会主義共和国の攻撃と解放勢力の攻撃で，政権そのものが弱体化していく．
1971.6
Khieu Samphan最高司令官にも就任．
1973.
Khieu Samphan首相代理に任命．
1975.4.17
Lon Nol政権崩壊．国内組では表向き，Khieu
Samphanが最高位にあるが，連合政府の国家元首はSihanouk．
王国民族連合政府が統治したが，基本的には共産党統治．
1976.1.5
民主Cambodia発足．
国家元首はSihanouk．
1976.4.上旬
Sihanoukは国家元首を辞任．後任の国家元首は，Khieu
Samphan国家幹部会議長．
1976.4.14
Pol Pot首相に就任．（但し，9.27に一旦首相辞任）
1977.
Poｌ Potによって共産党の存在が明らかに．
以後の権力は彼にゆだねられるが，Khieu Samphanは崩壊まで国家幹部会議長の職に止まる．
……つう流れ．
Khieu Samphanが表に出てたのは，Phnom Penhの知識人たちに人気のある，左翼知識人たちで，Khieu
Samphan自体は，共産党の中の序列では，中央委員にしか過ぎない．
また，当時，共産党は秘密の存在であり，Sihanoukを立てないと，各国の支援（特に武器）を得ることが出来なかったし，既存勢力（特に仏教寺院）の力も得る必要があったので，出来るだけKhieu
Samphanなり，Sihanoukを立てた．
Pol Potは変名でSaloth Saｒと言う名前で活動していた．
表に出たのは，1971.9.末に発表された，「解放区の知識人の声明」の知識人91名中にやっと出てきたに過ぎない．
政治家としては，1976.4.14に民主カンボジア政府閣僚の首相就任で表舞台に出たが，3.20.に実施された人民代表議会選挙で選出された250名の中で，ゴム園労働者代表として選出された中に名前がある．
共産党の内部対立については，まず，米国との和平協定の絡みでベトナム共産党と対立し，各解放勢力同士の戦闘や，反ベトナム（元々，カンボジア人には反ベトナム感情が強い）デモなどが発生し，ハノイから派遣されてきた古参幹部の粛清が行われた．
次いで，米軍の爆撃により，穏健派幹部が粛清され，急進派幹部が勢力を増し始めた．
これは，爆撃で身内を失った人民が解放軍に加わったこと，その爆撃に対する警戒心や怒りを梃子にすれば
，比較的容易に急進的政策が出来たことが挙げられる．
そして，1976年に毛沢東が死去し，四人組追放が行われたことで，四人組派（Pol
Potはどちらかというとこちらの傾向が強い）とそれ以外の一派の争いが起きる．
Pol Potは，その殆どを親ベトナム派，親ソ連派（ソ連はベトナムを支援している），CIAの手先として粛清した．
パイリン監獄
プレィソー監獄
コンポンチャム監獄
【質問】
ポルポト派は最終的に，幹部５００人を残してカンボジアの全国民を抹殺しようと計画していたそうですが，なぜですか？
【回答】
北朝鮮の革命理論の如く，以前から解放勢力地域にいた農民を「基幹住民」とし，そのうち，身内に新人民や処刑された者がおらず，普通に働いている者を，「完全な人民」と言います．
都市住民や農民以外の者は新住民と呼ばれ，新人民と基幹住民の中でも経歴の良くない者が，「預けられた住民」と言われ，これが最下層になり，中間に，「準完全人民（あるいは完全人民候補）」がいました．
中間層には，幹部によって「完全な人民」から降格，あるいは「預けられた人民」から昇格した者もいました．
こういった，預けられた住民，特に新人民に対しは，「お前たちは生かしておいても何の得にもならない．お前たちが死んでも何の損にもならない」という考えが，幹部の中にありました．
つまり，「敵達は要らない」という訳です．
特に，Pol Potは夜郎自大な考えの持ち主で，
「Cambodiaを解放したのは俺たちだ．しかも，あの米帝を「独力」で追放した．
だから，他に怖いものなどありはせぬ．
さぁ，Vietnamでも中国でも掛かってきなさい」
という妄想に加え，
「反革命の黴菌に汚染された者は，あくまで廃棄，根絶しなければならない」
と言う，「黴菌論」が自分の頭の中に合わさっていますから，
虐殺に拍車が掛かり，それを修正する術を持ち合わせていなかったのが，悲劇に繋がりました．
眠い人 ◆gQikaJHtf2 in 軍事板
【質問】
なぜカンボジア大虐殺は初期の段階で騒がれなかったの？
【回答】
ポルポトがやったことは，その情報自体は近隣国にそういう話があると広く伝わっていたんだけど，あまりに突飛過ぎた話だったために，信じられなかったんだよ．
ポルポトの立場を危うくするような思想の持ち主が現れ無いように，教養のある人間は全員処刑され，念を入れて，外国へ移住していたインテリ達が国外で反ポルポト活動を行わないうちに，国作りへの協力を求める形で，国へ呼び寄せて処刑し，教育を廃止し，宗教を廃止し，貨幣を廃止した．
そして，人々が連帯しないよう，家族という社会の最小単位を破壊する為に，自由恋愛を禁止され，国家によって知らないもの同士で結婚させられ，子供が生まれたら親の元から引き離されて，ポルポトを崇拝するように洗脳教育を施され，将来のポルポト軍兵士として子供達は育てられた．
密告を推奨され，隣人同士や，親兄弟の間でさえ信頼する事ができず，疑心暗鬼となり密告しあう社会……．
そんなことが実際に行われている国があると言われても，なかなか信じられないよね．
ちなみに，ポルポトがそういう妄想を抱いたのは，パリ留学中にフランスの毛沢東主義と称する過激派左翼に吹き込まれたのが元．
サルトルとかああいうフランスのインテリ連中にも責任があるな．
そういや当時，ベ平連なんていう糞組織がでかいツラしてたが…
【参考画像】
「虐殺などない」と伝える当時の新聞
【珍説】
本多勝一はクメール・ルージュの大虐殺をスクープしたためにバッシングを受けた．
本多勝一著「カンボジア大虐殺」朝日文庫
【事実】
ホンカツはクメール・ルージュを擁護し，
大虐殺を事実無根とし， 或いは「綺麗な殺戮」とし，
ピュリッツァー賞を受賞したシドニー・シャンバーグ記者の大虐殺ルポは「白人記者のアジア人への蔑視」としたため
バッシングを受けた．
そのためホンカツは，クメール・ルージュが崩壊して大虐殺の証拠が続々と出てきた時に立つ瀬が無くなったが，当時彼は朝日新聞を代表する大看板．
自分で出している全集からクメール・ルージュを擁護する記述を削除し，大虐殺をいち早くスクープしたかのような記述を付け加え，すっかり被害者ヅラを決め込んでいる．
これはクメール・ルージュに関することのみならず，自身の主張が誤りであったことが証明された時に，ホンカツが常用する手口である．
詳しくは「本多勝一研究会」でgoogle検索して見られたし．
大学時代はホンカツに半ば洗脳されていたネオ筑摩屋松坊堂 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」
