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◆◆MD(ミサイル防衛)
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東亜FAQ目次


 【Link】

「D.B.E. 32型」【意味不明】プロ市民「PAC3が配備されたら核ミサイルの標的になるから配備をやめろ」 / 情報源移譲記章

「kojii.net」:MD にケチつけるのも大変だ

「kojii.net」:PAC-3 の存在意義を再確認 (2007/5/7)

「Togetter」◆(2011/01/06)JSFさんの初心者向け弾道ミサイル迎撃システム概論
>日本のどこよりも沖縄が安全な気がしてきた

「VOR」◆(2012/04/26)米国 仮想敵を設けてMD実験

「VOR」◆(2012/11/05)日本 ミサイル警戒のための無人飛行機開発へ

「アラスカ物語」:MDはいたちごっこ化するか?

「週刊オブイェクト」:SM-3地上配備型の開発へ

「週刊オブイェクト」:移動式GBI(ICBM迎撃可能な大型ミサイル防衛システムの自走化)

「週刊オブイェクト」:ミサイル防衛という言葉の持つ政治的意味について何も理解していないニューズウィーク

「週刊オブイェクト」:民主党・山口壮議員「ミサイル防衛の撃ち落せる確率は100分の1」・・・しかし数値には何の根拠も無し・・・

「週刊オブイェクト」:民主党・山口壮議員のMD撃墜率1%発言は完全にデタラメであった事が判明

「週刊オブイェクト」◆(2010年02月13日)空中レーザー砲,目標の邀撃破壊に成功!

「週刊オブイェクト」◆(2010年02月10日)先月行われた空中レーザー砲の非破壊試験映像

「週刊オブイェクト」◆(2010年06月13日)二段式GBIの飛行テストに成功

「週刊オブイェクト」◆(2010年07月03日)THAAD迎撃実験に成功

「週刊オブイェクト」◆(2010年10月22日)エアボーンレーザーが2回目の迎撃テストに失敗

「スパイ&テロ」◆(2012/04/12) 核ノドン配備のとき,MDはいかに

「スパイ&テロ」◆(2012/06/29) お詫びと訂正

「東京の郊外より・・・」◆(2013-05-17) 米陸軍参謀総長:ミサイル防衛任務強化を示唆

「ワレYouTube発見セリ」:よく分かるBMD

「ワレYouTube発見セリ」:米,衛星を破壊 迎撃ミサイルを発射・ハワイ沖

『弾道ミサイル防衛入門―新たな核抑止戦略とわが国のBMD』,金田秀昭(著)

『ミサイル防衛―新しい国際安全保障の構図』」(森本敏著)


 【質問】
 MDとは?

 【回答】
 ミサイル防衛(MD)計画は,1998年8月,北朝鮮が日本上空を飛び越える軌道で弾道ミサイルの発射実験をしたのをきっかけに,同年12月に日米共同の技術研究がスタート.
 現在は弾道ミサイルを早期に発見するレーダー網,着弾地点の解析や迎撃ミサイルの管制を行うシステム,陸上・海上発射型の迎撃用ミサイル―の3分野で開発・導入が進められている.
 迎撃のための法的手続きを定めた改正自衛隊法が2005年7月成立.

 多額の費用がかかる上,効果を疑う者も多い.

unknown date

▼ これは2012年5月にYoutubeで公開された,ロッキード・マーティン社のIntegrated Air & Missile Defense Solutions(統合防空・弾道ミサイル防衛手段)を紹介した動画です.

 イスラム過激派組織.ISISによる欧州でのテロが発生している現在ではちょっと考えられませんが,当時はイランから欧州への弾道ミサイル攻撃が想定されており,この動画においてもイランから欧州への弾道ミサイルを発射する場面があります.
 それに対してDDGがイージスシステムで弾道ミサイルを追跡し,大気圏外のミッドコースで弾道ミサイルをSM-3で迎撃します.
 さらに地上配備型イージス(イージスアショア)からもSM-3が発射され,ミサイルを迎撃します.
 イージスアショアは日本でも輸出許可が米議会にも出されましたが,我が国が導入するのはイージスアショアではなくTHAADになりそうです.
 恐らくイージスアショアだと武装工作員の破壊工作を恐れての事なのでしょう.

新迎撃ミサイルの導入検討 防衛相,北朝鮮対処で.:共同通信

 話を戻します.
 イージスシステムでミサイルを探知すると戦術データリンクにより僚艦にも情報が共有され,MD対応ミサイルの数が発射された弾道ミサイルを上回るというのも注目すべきでしょう.
 我が国では空自のC4IシステムであるJADGEが海空自衛隊で共有化されており,SM-3,THHAD,PAC-3での三段階によりBMDを構成する事になります.

 また,コンテナ船に偽装したミサイルプラットフォームから発射された巡航ミサイルを,地上配備のレーダーとAWACSで探知し,データリンクを経てF-35AとPAC-3MSEで迎撃します.
 この動画ではLM社の製品ではないので出てきていませんが,米空軍や我が国の空自でも配備されているF-15CやF-15Jでも迎撃は可能.
 F-35A,F-15CやF-15Jの近代化改修型,E-3AやE-767はリンク16に対応していますから,情報共有も容易です.
 巡航ミサイル防衛にはやはり戦闘機は必要,という事でしょうか.

 さらに,ミサイル防衛は人を殺さず,人を助けるという意味もあるので,運用する自衛官に対する心理的負担も軽減されます.
 その意味からすれば,日本版A2ADだの敵地攻撃だのと粋がるよりはミサイル迎撃し,国民の生命と財産を守る事をまず考えるべきではないでしょうか.

 ちなみにこの動画では,コンテナ船に偽装したミサイルプラットフォームも出てきます.
 旧式の対艦ミサイルを隠してタンカーや商船に攻撃するテロの可能性もあります.
 その意味からしても,この動画で考えさせられる事は多いと思います.▲

ねらっずーり in mixi, 2015年11月29日
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 MDの効果はどの程度?

 【回答】
 射程と射高はBLOCK1の倍以上となります.
 これでノドンを全飛翔過程で迎撃可能となります.
 更にテポドンへの対処も可能となります.

JSF in mixi

 MDによる防御をすり抜けるor圧倒する為に,多数のMIRVもしくは圧倒的多数の弾道弾配備/同時発射能力の獲得を強要させることになる.
 これはそれまでに持っていた核弾頭一個あたりの軍事・政治的威圧効果を減少させつつ,実際にMIRV/弾道弾多数配備に行うと途方も無い数を配備する必要が生じるため,対抗部隊(仮想敵国)の財政に多大なダメージを与えることが期待出来る.
 対抗部隊は財政へのダメージを押さえる為には,短期的にはMDに張り合うことを止めねばならず,中長期的には弾道弾以外への軍事的リソースに対する研究開発や資源の提供を抑えねばならなくなる.

ぉ拓 in mixi


 【質問】
 戦争が始まった場合,必然的にミサイルの発射なんて全て不意討ちでしょう?
 もしかして不意討ちのミサイルって,米国の技術力でも迎撃できないんですか?

 【回答】
 だから何度も言ってるが,普通は戦争が始まる前に緊張が高まる段階があるわけでしょ?
 そうなったら当然,前もってイージス艦やPAC-3を展開させとくわけ.
 ここでいう不意討ちというのは,今この瞬間まで普通に付き合ってた国が,ニコニコしながらいきなりミサイルの発射ボタンを押したような場合.
 こんなシチュエーションなら,そもそも迎撃部隊を展開させてるわけがないんだから,どうしようもない.

 アメリカはアラスカとカリフォルニアの固定式基地に,24時間態勢でGBIを配備しているから,いつ長距離ミサイルを撃たれても対応はできるはずだけど(レーダーやミサイルのオペレーターが寝惚けてたら話は別だが),今の日本のMDは,あらかじめイージス艦やPAC-3を迎撃位置に展開させとくのが前提だから,アメリカのGBIのようなわけにはいかない.

自衛隊板,2009/07/08(水)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 本当に安心するにはアメリカのようにGBIとやらが必要なのですね.
 日本でそれをやらないのは,予算と技術的な問題ですか?

 【回答】
 お金の問題もあるだろうけど,北朝鮮の弾道ミサイル相手にはオーバースペックで必要ないからだと思う.
 GBIってのは,弾道ミサイルのブースターに迎撃用の弾頭を組み込んで,迎撃ミサイルに仕立て上げたもんで,対象となる弾道ミサイルも射程数千キロクラスの中~長距離弾道ミサイル.

 北朝鮮が日本に向けて撃ち込んでくると想定されているのは,射程が2000km以下のノドン級の弾道ミサイルで,これはGBIが対象とする長距離弾道ミサイルの半分くらいの速度でしか飛ばないから,迎撃ミサイルにもGBIほどの性能は要求されない.

 また,固定式サイロでの24時間365日態勢は即応性という点では有利だけど,逆にその施設がウィークポイントにもなりうるという諸刃の剣.

 イージス艦だと出港してしまえば,地上の固定施設よりはテロのような破壊活動への対策もしやすいし,何より イージス艦はそれ一隻で迎撃システムとして完結(捜索追尾用のレーダーやコンピュータ,ミサイルの発射機や 誘導装置など全部持ってる)しているという利点もある.
 SM-3も改良型のBlockIIになると,射程が倍増してイージス艦1隻で日本本土全域をカバーできるようになるから,今後MD対応イージス艦が増えてSM-3がBlockIIに置き換われば,後は常に日本海に1隻ローテーションさせとけば,即応性の問題は解決できると思う.

自衛隊板,2009/07/09(木)
青文字:加筆改修部分


 【珍説】
 MDは弾を弾で迎撃するようなもので実現不可能.

 【事実】
 ぶっちゃけると MD の難しさを半分しか理解していないし,技術的な進歩でどうにかできる可能性がある分野を,過去の失敗経験に立脚して批判しているところがトンチンカン.
 SM-3 や PAC-3 の迎撃実験成功率が上がってきていることなど,まるで眼中にはないらしい.
(残り半分の難しさについては,ソフトバンクの「ビジネス + IT」で「【北朝鮮テポドン発射】ミサイル発射の裏側に秘められた軍事技術の攻防 (前編 / 後編)」として書いた)

 ついでに書けば,たいていのウェポン・システムが "spiral development" 方式になっている昨今,最初に配備されたシステムが完成品と思ってはいけない.
 ハードウェアやソフトウェアを段階的に改良して,毎年のように新しくなり,進化していくのが当世のウェポン・システムなのだから.
 MD なんかは,その最たるものだ.
 イージス・システムだって,当初のベースライン 1 と現在のベースライン 7.1 は全くの別物だし.

kojii.net,2006/10/16


 【質問】
 MDの現在の主な開発状況(迎撃段階別)を教えてください.

 【回答】
ミサイル防衛 現在の主な開発状況(迎撃段階別)

■■ブースト段階■■

○ABL(エアボーン・レーザー)
・レーザーで弾体表面にダメージを与えることで,圧力負荷に耐えられないようにする兵器.
・試作機の機体は02年7月に初飛行.
・レーザーモジュールは04年11月に地上試射を実施.その後も数十回の試射が行われている.
・現在,機体は高出力レーザーを積み込まない状態での最終的な艤装,インテグレーション,地上・航空テストを実施中.
 空中発射テストは08年の予定.

○KEI(KineticEnergyMissileInterceptor)
・地上(TEL)発射・海上発射型の3段式迎撃ミサイル.
・大気圏外での初期段階迎撃を目的とし,最高12000mph(秒速約5.36km)まで加速.地上発射式はC-17に搭載可能としている.
・06年1月に1段目,9月に2段目の燃焼実験を成功し,08年に飛翔実験を予定している.

■■中間コース段階■■

○GBI(地上配備迎撃ミサイル)
・ICBMから米本土を防衛する為に開発中の地上発射型3段式迎撃ミサイル.
・現在,アラスカ州フォート・グリーリーとカリフォルニア州ヴァンデンバーグ空軍基地に十数基配備中.
・99年からの実験は6回成功,4回失敗.最新の実験は06年9月1日に行われ,成功した.
・北朝鮮のミサイル発射実験の際に「実戦モード」になったが,テポドン2が発射直後に分解・墜落した事もあり,出番は無かった.

○SM-3(イージス艦搭載)
・迎撃実験は8回中7回成功しており,実戦配備と平行しつつ更なる実験を進めている.
・05年11月のFTM-04-2では「SM-3ブロック1」を用い,初めて中距離弾頭分離型標的(ノドンタイプ)の迎撃を成功させた.
 06年06月23日ののFTM-06-2では「SM-3ブロック1A」を用い,一発目の迎撃が失敗したと想定,別の艦から2発目を発射・成功している.
・米イージス艦は順次MD対応改修中,海自もまず「こんごう」が07年内にもSM-3搭載改修を完了し,
 平成22年までに計4隻がMD対応艦と改修される予定. 北朝鮮情勢の緊迫化に伴い前倒しされる可能性もある.
・ブロック1Aの赤外線センサーを2波長化したブロック1Bを開発中である.
・SM-3ブロック1を発展させたSM-3ブロック2を日米共同で開発中. 06年3月にノーズコーンの分離実験に成功している.

■■終末段階■■

○THAAD
・終末高々度地域防空ミサイル
・95年4月から99年3月まで6回続けて迎撃実験に失敗した後,99年6月10日と,8月2日に迎撃に成功したが,システムを見直し再設計される事に.
・06年7月12日のFLT-03では再設計後初の迎撃実験が行われ,成功.
 06年9月13日にも迎撃実験が行なわれる予定だったが,標的ミサイルの打ち上げが失敗しテストされず.

○PAC-3
・野戦防空および拠点防空用ミサイル
・開発は一段落し,配備・運用が始まっている.迎撃実験は継続中.
・イラク戦争で2発のSRBM(アバビル100)に対して4発のPAC-3を発射,すべて撃墜.
 全体では9発のSRBMに対して計22発のPAC-2(改良型のGEM+)及びPAC3を発射,すべて無力化に成功.
・同戦争では英軍のトーネード戦闘機,米海軍のF/A-18への誤射が発生,更に米空軍のF-16に敵軍のSAMと間違われてHARMを撃たれ,レーダーに被害を受けるという事件も発生した.
・日本は2010年までに3大都市圏の部隊へ18基分・計124発を調達,その後も全国の部隊へ配備する予定.
 一発5億円. 北朝鮮情勢を受けて前倒しされる予定.
・システム一式を完全自走化し発展させたものが,米・独・伊で共同開発中であるMEADSのミサイルとして採用.

■■その他■■

○SM-2ブロックIVA
・01年頃にキャンセル→すべてSM-3へ移行と思われていたが,終末段階迎撃用として復活?
・06年5月,SM-2ブロックIVにて短距離弾道ミサイルの迎撃実験に成功. アローミサイルに似た弾頭システムにしたらしい.

○アローミサイル(イスラエル・アメリカ共同開発)
・イスラエルの短距離~中距離弾道弾用迎撃ミサイル
・00年からアロー2として運用開始,高い迎撃確率を誇るとされ,04年には米国でスカッドの迎撃実験にも成功している.
・直撃による破壊ではなく,爆砕弾頭による破片効果で破壊.

○S-300ミサイル(ロシア開発のMDシステム・中国軍なども装備)
・ロシア製の地対空ミサイル.2つの異なる迎撃ミサイルを同時に運用する.
・MD対応型はその2種類の内,大きい方の迎撃ミサイル.
・弾頭はアローと同じく爆発による破片効果.
・ロシア軍ではより性能を上げた次世代のS-400システムに移行中.
・アローに似たシステムだが,射程はより長い.命中精度についてはデータ無し.

軍事板・改

▼ とりあえず個人サイトから,「Lockheed Martin 社のプレスリリースにあった,MD 関連のマイルストーンまとめ」 をはっときますね.

「kojii.net」:今週の軍事関連ニュース (2008/01/11)

BMD Milestones (Lockheed Martin via Defense-Aerospace.com 2008/1/9)
Lockheed Martin 社のプレスリリースにあった,MD 関連のマイルストーンまとめ.
(以下略)

[/quote]

ゆきかぜまる in mixi

 あと,最新の開発状況については〔,2ch.軍事板の〕ミサイル防衛スレのテンプレも充実しとります.
http://hobby10.2ch.net/test/read.cgi/army/1199544861/-100
〔※ 上記URLは古い可能性も有ります〕

唯野 in mixi

 【参考動画】
「ワレYouTube発見セリ」:露地対空ミサイルS400モスクワ配備


 【質問】
 ミサイル防衛システムに使われるミサイル関連のスペックってどこで調べられますか?

 【回答】
http://www004.upp.so-net.ne.jp/weapon/pac-3.htm
http://www004.upp.so-net.ne.jp/weapon/sm-3.htm


 【質問】
 ミサイル防衛がいわれて久しいですが,現在日本のミサイル防衛の研究はどの程度なのでしょうか?
 シナや朝鮮のミサイルを海上で打ち落とすことは出来るのでしょうか?

 【回答】
 どの程度と言っても開発段階としか.

 それと現在進んでいるイージス艦から発射されるスタンダードミサイル3,SM-3を利用した弾道ミサイル防衛(BMD)は海上,と言うか宇宙空間で迎撃するものです.
 「Naval Theater Wide」NTW計画という名前で2段階に分けられて進んでいまして,現在はブロック2,目標目標の弾道ミサイルをミッドコース段階で直撃して迎撃するミサイルであるSM-3の実験が進められています.

 1999年という古い資料になりますが,ペンタゴンが公表した議会宛ての報告書,
「アジア・太平洋地域における弾道ミサイル防衛の構成」
によりますと,日本全土を弾道ミサイルから防衛するにはパトリオット(PAC-3)なら,約100基のシステム(ミサイル8基のランチャー,射撃管制装置,同レーダー,通信装置で1システムを構成)を必要とするが,海上防御のNTW-1では4隻の改良型イージス艦,NTW-2では改良型イージス艦1隻で済む,との事です.
(改良型イージスの1番艦,14DDGはそろそろ進水します)

 新型イージス艦の舞鶴配備は,このミサイル防衛に関連してとの事と思われます.

 また,報道によれば,計11基のレーダーで弾道ミサイルを探知・追尾するレーダー監視網を,2009年度までに実用化する予定だそうです.
 以下引用.

------------
 全国の7カ所の従来型レーダー(FPS-3)を改良して性能を向上させるのが特徴.
 これに加え,試験運用中の将来警戒管制レーダー(FPS-XX)4基を06年度から順次設置し,ネットワークを構築する.
 防衛庁は「弾道ミサイルの脅威の度合いを勘案した結果,多くが日本海側への配備となった」と,監視網の主要な対象が北朝鮮の弾道ミサイルであることを認めている.
 防衛庁によると監視網は,高度300キロ以上からマッハ10前後の超高速で飛来する弾道ミサイルを早期に発見,追尾するのが目的.従来型レーダーでは監視は困難だった.
 関係者によると,FPS-3の改良型では,現在は単一の目標しか追尾できない性能を向上させ,ミサイルなど複数の目標を追えるようにする.

------------(共同通信,2005/9/10)
------------
北海道・当別,
秋田県・加茂,
福島県・大滝根山,
石川県・輪島,
京都府・経ケ岬,
三重県・笠取山,
佐賀県・脊振山
のレーダーを来年度から三年ですべて改良する.

 一方,航空自衛隊のレーダーサイトに配備を計画するFPS―XXは,監視の方向を固定式から可動式に改良.
 設置は当初検討していた七カ所から四カ所に抑え,来年度の
鹿児島県・下甑島を皮切りに,
新潟県・佐渡,
青森県・大湊,
沖縄県・与座岳の順に年一カ所ずつ整備する.

 防衛庁は,弾道ミサイルの早期探知と正確な落下地点の解析をしたいとしている.

------------(西日本新聞(共同通信),2005/9/10)

軍事板,2005/07/04(月)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 パトリオット?ミサイルの車やイージス艦など,迎撃ミサイルを配備しての防空任務は,陸海空のどういった部隊が従事しているのでしょうか?

 【回答】
 イージス艦=海自で機動運用される自衛艦隊隷下の護衛隊群
 ペトリ=空自で防空を司る航空総隊隷下の高射部隊

 なお海自と空自で編成される,弾道ミサイル破壊のための統合任務部隊の指揮は,航空総隊司令官が取る事になってる.

自衛隊板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 イラクがクウェート領内に発射した「スカッド」ミサイル3発の内,2発をパトリオット・ミサイルによって撃墜できたのなら,日本に向けて発射されるノドンテポドンを撃墜することは可能ですよね?

 【回答】
 テポドン,ノドンは,いわゆる弾道ミサイルと呼ばれるもので,砲丸投げの様な軌道を描いて飛ぶミサイルです.
 超高空まで上がり超音速(音速の数倍から十数倍)で落下してきます.
 これらは日本が現在装備するいかなる兵器でも撃墜できません.
 現在,政府が購入を検討している,レイセオン社の 「パトリオット PAC3」 は撃墜能力がありますが,10~30%の撃墜率のようです.
 なお,イスラエルのアロー・ミサイルが高確率で撃墜可能との事ですが,未確認.

 ちなみに,SM-3は短・中距離弾道弾迎撃用.
↓の17ページ目参照.
http://www.mda.mil/mdalink/pdf/bmdsbook.pdf

 しかも,2006年6月末現在,SM-3を搭載しているイージス艦さえ,世界でも米海軍の

シャイロー
レイク・エリー
ポート・ロイヤル

の3隻だけ.
 しかも,シャイロー以外はまだテスト段階.

 ちなみに,これまでにSM-3が実施した試射は,直近の1回を除いて,大気圏外でミッドコース段階の要撃を行ったもの.

 SM-3ブロックIAについては,日本向けのFMS案件が具体化したところですね.
http://www.dsca.osd.mil/PressReleases/36-b/2006/Japan_06-35.pdf

 あと,SM-2ブロックIIIBも.
http://www.dsca.osd.mil/PressReleases/36-b/2006/Japan_06-27.pdf

軍事板 & 井上@Kojii in mixi支隊

 軍事評論家・江畑謙介も,これとほぼ同じ見方で一致している.
 以下引用.

 航空自衛隊が保有しているパトリオット(PAC2)は,落下してくる弾道ミサイルの近くで爆発し,爆発の破片によってミサイルを破壊するタイプ.湾岸戦争時には命中率7割ともいわれましたが,実際にはミサイルの弾頭を完全に無力化できなかったことも明らかになりました.
 現時点で日本に配備されているPAC2によるノドン迎撃は,実戦経験からいえばかなり期待薄といわざるをえないわけです.
 しかも,PAC2は空自の基地(6個高射群17部隊)にしか配備されておらず,迎撃可能な範囲も半径30キロメートル程度で,とても日本全土はカバーできないのです.

(from 週刊ポスト,Jan. 31, '03)

 ただし,アメリカは北を常に見張ってて,ミサイルに燃料を注入しだしたら攻撃すると言っているので,攻められるとおしまいな北韓は,ミサイルを撃とうとする事すら出来ないでしょう.



 【質問】
 イージス艦に搭載された艦対空ミサイルではどうなのか?
 【回答】
 現在のままでは,やはり不可能.
 対空用の迎撃ミサイルしか装備されておらず,自前の早期警戒衛星も日本は持っていないため.
 以下,ソース.
------------
 現在,イージス艦には対飛行機用の迎撃ミサイルしか装備されていないので,やはり弾道ミサイルの迎撃能力はほとんどない.
 そもそも弾道ミサイルを北韓から発射された場合,探知,追尾から迎撃に向かうまでの時間的余裕はわずかしかない.
 しかも,自前の早期警戒衛星を持たず,発射されたという情報まで米軍に頼らなければならない現状こそ,最大の課題でしょう.
 在日米軍はリアルタイムで発射情報を入手できても,迎撃兵器を持っていないため,やはり日本は裸同然なのです.


------------(江畑謙介 from 週刊ポスト,Jan. 31, '03)

 【質問】
 自衛隊が持っているパトリオットを改修すれば,パトリオット3みたいな弾道ミサイル迎撃能力を持たせることってできないの?

 【回答】
 パトリオットの1~2と3は全く別物.パッチ当ててもどうにもならん.

 例えば2までに比べて,

・小型化されて射程が短くなった
・ミサイルケースの装弾数が一発から四発に
・スラスター追加で機動力がアップ
・弾道弾迎撃能力の向上

 細かいところもあげてけば,もっと色々違いがある.

軍事板


 【質問】
 パトリオットPAC3は何基配備されることになるのか?

 【回答】
 運用開始時は18基,最終的には32基になる予定だという.
 以下引用.

全国18基で運用開始 地対空誘導弾で 防衛庁

 弾道ミサイルを迎撃する防衛庁のミサイル防衛(MD)計画で,航空自衛隊に配備する地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の導入計画の全容が9日,明らかになった.
 既に選定を終えた埼玉,岐阜,福岡各県の基地に本部を置く高射群に加え,浜松基地(静岡県)の教育訓練部隊にも計4基を配備し,2010年度までに予備を含む18基で運用を開始.
 さらに,11年度以降に北海道,青森,沖縄各県の高射群への追加導入を検討する方針で,実現すれば合計32基の配備となる見通しだ.

 PAC3は,発射された弾道ミサイルを海上自衛隊のイージス艦発射型迎撃ミサイルで破壊できなかった場合に,地上から発射して落下直前に迎撃するMD計画の柱のひとつ.
 空自幹部は
「日本全域の防空には国内24の高射隊すべてに配備するのが理想.予備や教育訓練用も含め計30基以上が必要」
とするが,10年度までで2600億円に上るとされる導入経費の問題などから,当面は18基となる.
 計画では06年度末以降,入間基地(埼玉県)が本部の第1高射群に属する関東地方の4部隊を皮切りに,浜松基地,岐阜基地の第4高射群,春日基地(福岡県)の第2高射群の順で16基を配備.さらに08年度から定期修理や点検時の予備として2基を導入する.
 11年度以降に追加配備を検討する部隊は,千歳基地(北海道)の第3高射群,三沢基地(青森県)の第6高射群,那覇基地(沖縄県)の第5高射群.各高射群内の4部隊に1基ずつの12基と,予備2基の計14基について配備の必要性を判断する.

 ■PAC3 米陸軍が開発した地対空誘導弾「パトリオット」の改良型.
 パトリオットは1991年の湾岸戦争時に,当時のイラクがイスラエルに向けて発射した弾道ミサイルを迎撃し性能を実証,注目された.
 車載型のミサイル発射装置やレーダー,管制装置,電源などで1基を構成する.防衛庁のミサイル防衛計画では,地上から発射して落下直前の弾道ミサイルを迎撃する.

(産経新聞/共同,2005/10/9)

▼九州に初配備のPAC3,報道陣に公開
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1018684&media_id=88

 あれ,なんで春日じゃなくて芦屋に?と思ったら,指揮所が春日で,発射部隊配置は芦屋な訳ですね.
 まあ破片被害を防ぐ為にも,洋上で撃破出来たほうがいいから,玄界灘に面した芦屋なんでしょうが.

 移動展開出来るのが売りですが,福岡市や佐世保を防護する場合は,実際にはどの辺りに配置する予定なのかが気になる所です.

 もっとも,法律きちんと整備しないと,いざと言う時すらマトモに展開も出来ないかもしれませんが(苦笑)

千里独行 in 「軍事板常見問題 mixi支隊」,2009年11月13日 23:37
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 万が一中国,北が核ミサイルを日本に向けて発射する場合,狙うのはやはり東京などの大都市ですか?
 それとも自衛隊駐屯地ですか?

 【回答】
 そんなの,その時の状況と,撃つ方の思惑によるとしか言えん.

軍事板,2009/07/24(金)
青文字:加筆改修部分

 戦略目的で先制核攻撃を行うとして,日米同盟軍を叩きたい場合は,航空基地や軍港が目標になり得るが,有事ともなれば部隊は空中待機・出航してるので,一網打尽になることは無い.
 陸自の駐屯地は有事に引き払うから,正にもぬけの空.
 通常,第一目標になる核サイロは日本には存在しない.
 レーダーサイトなどはわざと僻地に作ってあるので,うまみが少ない.

 そこで日本国の中枢となる,産業集積地や交通節点を攻撃して,確実な出血を狙ってくる場合,それは大都市でもあるという事になるだろうね.
 もちろん,国民をたくさん殺したり住居を奪うこと自体にも,国力を削ぐ意味がある.

 このような事態を避けるために核抑止があり,日本は米の核の傘を借りている.

 ついでにミサイル防衛で相手の核攻撃の確実性を削ぐ事で,ハードルを上げているが,これ
については政府は何度も何度も,
「MDは拒否的抑止の一角として,核の傘を補完するものである」
と言っており,報復による懲罰とは性質が違う.

 なお,戦略原潜から撃つような核ミサイルは,精度が出ないのでもっぱら報復用.
(ただし,さすがにトライデントIIは無視できない)
 大都市を吹っ飛ばして,たくさん人を殺す事を狙う.

モッティ ◆uSDglizB3o(黄文字部分)他 in 軍事板,2009/07/24(金)
青文字:加筆改修部分


 【質問 kérdés】
 イージス・アショア導入のメリットは?

 【回答 válasz】

▼ 防衛省装備施設本部は海自の新型イージス型ミサイル護衛艦である27DDGの建造契約を来月中に締結すると発表しました.

平成27年度調達予定品目(中央調達分):防衛省装備施設本部

 一方,海自の戦略方針はインド洋にまで拡大する方針で,DDGやDDHも海外派遣する必要性があります.
 しかし北朝鮮や中国からの弾道ミサイル防衛(BMD)任務は本土防衛のために必要な以上,DDGの海外派遣はBMDに支障をきたします.

 そこで以前にも提案し,防衛省も導入を検討している陸上配備型イージス「イージス・アショア」の導入と活用すべきではないかと,某マイミクさんの意見がありました.
 当方もこの意見に同意します.

Report: Japan Interested in Aegis Ashore for Ballistic Missile Defense:USNI News

陸上型イージス:「イージス・アショア」による初のSM-3ブロック1B発射実験 : 海国防衛ジャーナル

 イージス・アショアを宮古島・貝島・大湊の各分屯基地に配備し,BMDに任務に付ければ3隻分のDDGを浮かす事が出来ます.
 そうなれば海外派遣用へのDDGの捻出も可能になるでしょう.
 イージス・アショアで運用される地上配備型VLSはSM-3が運用可能で,SM-3は行動範囲が1000km,射高が500~1000kmならば弾道ミサイルのミニマム軌道やロフテッド軌道にも対応は可能でしょう.

 また,地上配備型VLSならばベースライン9システムの導入が条件となりますが,SM-6の運用も可能になりますし,VLSから発射可能なLRASM長距離対艦ミサイルの運用も可能になります.
 そうなれば陸自の離島防衛での野戦防空も長距離から可能になります.
 その意味からすれば,イージスアショアは空自だけ運用するよりも,陸海空自衛隊の共同運用すべきと考えます.
 この場合,陸自の中央警務隊方式で空自所属で陸自と海自の自衛官が出向という形での共同運用すべきと考えます.

 このイージス・アショアの弱点と言えるのはゲリコマ(武装工作員)による破壊工作が挙げられます.
 これは確かにごもっともな意見です.
 そこでイージス・アショアとレーダーサイトを丸ごと要塞化してみてはどうでしょう.
 実際要塞化した建物に特殊部隊が潜入は難しく,全滅の可能性もあります.

要塞 - 航空軍事用語辞典++

 また,北朝鮮軍特殊部隊による破壊工作に成功したケースはごくまれで,1983年のミャンマーのヤンコンでのアウンサン廟に参拝した韓国政府閣僚への爆弾テロ事件や,1987年の大韓航空機爆破事件ぐらいで,武装工作員は韓国に潜入しても逮捕されたり韓国軍に発見され,戦闘の末に死亡する事がほとんどでしたので,破壊工作は確かに注意は必要だと思いますが,必要以上に脅威に思う事はないでしょう.

 もし要塞化するとすれば,旧ドイツ空軍が設置した高射砲塔をモデルとした施設がいいかと思います.
 ゲリコマからの攻撃にも耐えられる強靭性もありますし,台風等天災から人員と装備を守る上では有効と思われます.

 なお,この話を提供して頂いたのは当方の某マイミクさんでした.
 どうもありがとうございました.▲

ねらっずーり in mixi, 2015年08月13日
青文字:加筆改修部分

 政府は北朝鮮の弾道ミサイル迎撃のために陸上配備型イージスシステム「イージスアショア」の導入を本格検討すると発表しました.
 イージスアショア導入により海自のイージスシステム搭載DDGの負担を無くし,東シナ海や従来の任務である艦隊防空に専念させるためです.

> 地上型イージス優先導入 政府,北朝鮮脅威に対処 :共同通信
> https://this.kiji.is/230735631876210692?c=39546741839462401

> 陸上型イージス:「イージス・アショア」とは : 海国防衛ジャーナル
> http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/archives/50788821.html

 防衛省はターミナルフェーズで迎撃可能なTHAADの導入の流れになっていただけに,何故イージスアショア導入に傾いたのか検証してみました.

 まず一つは運用・訓練コストの削減.
 イージスアショアは早い話がイージス艦のイージスシステムを地上に移し替えた装備であり,海自は20年もイージスシステム搭載DDGを運用していたのでイージスシステムのノウハウがある事から,運用と訓練のコストと時間が削減され,即戦力となり得るという点.

 次に地上配備型VLSがSM-3以外の用途にも運用可能だという事.
 つまり弾道ミサイル迎撃以外にめSM-2やSM-6を搭載すれば,戦闘機や巡航ミサイルの迎撃も可能になります.

 最後に考えられるのは中国共産党政府への配慮.
 中国共産党政府は在韓米軍のTHAAD配備を韓国政府が承認した事に怒り狂い,旅行目的の韓国への渡航を事実上禁止するなどの措置を取りました.
 中国国内ではTHAADは禁句,NGワードとなり韓国は憎悪の対象となりました.
 某マイミクさんのお話によると,THAADのXバンドレーダーの探知距離が中国東北部をカバーし,北米へのICBMによる核攻撃が探知され,GBIで迎撃される可能性があるからです.
 以の事から中国共産党政府への配慮があったものと見られています.
 もちろん日本本土や沖縄県にTHAADのXバンドレーダーを配備しても,中国本土まで探知する事は出来ませんが,中国国内でTHAADが禁句になっている以上,北朝鮮情勢から中国共産党政府との対決は避けたいとする政府の意向が見られます.
 もっとも,中国共産党政府系雑誌は日本のイージスアショア配備の本格検討すら批判していますが・・・.

 しかしターミナルフェーズでの迎撃の問題は解決されていませんので,ターミナルフェーズでの迎撃が可能なイスラエルのアローの導入も検討すべきでしょう.
 イスラエルはアメリカとミサイル防衛について共同開発しており,アローを導入しても海自のイージスシステムや空自のAWACSとのデータリンクは可能.
 また,アローはコスパもTHAADに比べたら悪くありません.

 【追記】
 その後,イージス・アショアは用地選定まで進んだものの,すったもんだの末にポシャってしまいましたとさ.

ねらっずーり in mixi, 2017年05月28日
青文字:加筆改修部分


 【質問】
>1 名前:以下,名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/20(月) 20:27:17.20 ID:Jgn0ySKw0

> 現在,岩手・秋田両県にPAC3を配備した日本政府は,
>世界中から『公衆の面前に防衛機密を晒した.
> 日本人は頭がおかしい』と叩かれまくっている.

 ソースも無しに聞くのは無礼だと思ってますが,これは本当なのでしょうか?

2010年07月05日 12:52,Bernoulli

 【回答】
 「悪魔の証明」はできません.
 そう報じたという,主要国の外電なりを複数挙げてもらわないと判断できませんね.

 そもそも,機動的に展開が可能なミサイル防衛部隊を,予測軌道に応じて展開させることがなぜいけないのか.
そしてPAC3の射程からして,人口密集地を守るためには,その近辺に展開しなきゃならんのは自明の理ですし,
加えてあの時は,展開状況を国民に周知することによって,一定の安心感を広める意味もあったのですよ.
 また,もちろんあの時は,米軍と連絡を取りながら,不測の事態への対処計画を進めてましたし.

 ていうか,ちょいとぐぐったら,そのレスのコピペ拡散ばっかりヒットしますがな.
 それだけ見ても,「ミサイル防衛部隊が機動的に展開されたら困る連中」や,「何が何でもMDにケチをつけたいだけの連中」がはしゃいでる感が滲み出てるかと.

 ともかく,そういった報道のソースが挙がってこないことには,どうにもこうにも.
 そして,その挙証責任は,その説を展開して拡散させてる側にある,ということです.
 それまでは「はいはいわろすわろす」のスタンスで.

2010年07月05日 14:52,音木南樹

以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 「エアボス」とは?

 【回答】
 航空機に搭載し,ミサイルの探知・追尾を行うセンサー・システム.
 地上レーダーと合わせ,自衛隊独自のミサイル探知・追尾能力を保有するためのもの.
 以下引用.

防衛庁 エアボス実験成功ミサイルを探知・追尾

 米ハワイ沖で十七日実施された米の弾道ミサイル迎撃実験で,将来センサー・システム(エアボス)を搭載し,性能確認試験に臨んだ海上自衛隊の哨戒機UP3Cがミサイルの探知・追尾に成功した.
 エアボスは防衛庁技術研究本部第二研究所で試作,開発実験中の最新の赤外線探知装置.高高度で滞空警戒する航空機に搭載し,遠距離の航空機やミサイルなどが発する赤外線を円筒形のセンサー(直径約六十センチ)で探知し,追尾・監視する.
 海自の哨戒機P3CをベースにしたUP3Cの機体上部にセンサー,機内には計測装置やデータ処理装置などをそれぞれ搭載し,性能確認試験のためハワイに派遣されていた.
 同庁は今回の成功を受け,UP3Cが収集したデータを詳細に解析し,本格的な実用開発に着手する方針だ.
 日本はこれまで弾道ミサイル探知情報を米の衛星などに依存していた.
 エアボスと実戦転用が決まった新型地上レーダー「FPS-XX」で,独自のミサイル探知,追尾能力を持つことになる.
 エアボスは将来,無人偵察機(UAV)やP3Cをベースとする改造機,航空自衛隊のC130輸送機をベースとした改造機などに搭載されることが予想され,北朝鮮の弾道ミサイルなどの監視任務に当たる.

(産経新聞,2005/11/19)


 【質問】
 ミサイル防衛についてレーダの基本的なことを教えていただけないでしょうか.
 FPS-5もFBX-TもBMを探知できるんですよね?
 イージスにもフェーズドアレイレーダが積んであるんでしょう?
 なのになんで,AIRBOSSとかいう航空機搭載のBM探知用赤外線センサが必要なんでしょうか?

Posted by 暇人 at 2007年02月16日 16:19

 【回答】
 自衛隊のエアボスもそうだが,アメリカ軍のDSP衛星,そしてその後継のSBIRS-LowとSBIRS-Highといった赤外線探知衛星群が何故存在するかというと,「ミサイル上昇時の膨大な熱」を探知することで,瞬時にして敵ミサイルの存在を察知できるからだ.
 だから早期警戒となる.

 これがレーダーだと,弾道ミサイル以外の別の目標との識別に時間が掛かる.
 ある程度上昇してくれないと,弾道ミサイルかどうか分からない.
 解析にも時間が掛かる.

 しかし赤外線探知ならば,本来其処にあるはずの無い異様な熱の存在だけですぐに弾道ミサイルだと判明する.

 また敵ミサイルの赤外線探知は,上昇中及び終末段階でも戦闘機搭載用のIRST(Infrared Search and Track)の利用を積極的に図る計画だ.
 これはパトリオットPAC3をF-15戦闘機に搭載し,敵ミサイルの上昇中に叩き込みに行ったり,敵ミサイルが落ちてくる段階(大気との再突入時に断熱圧縮で高温になっている)で迎撃する計画.
 これは機体に搭載するレーダーにあまり頼れないから.AWACSみたいなレーダーならば上方への電波指向も簡単だが,戦闘機の機首にあるレーダーは,例えAESA(アクティブフェイズドアレイレーダー)であっても,あまり極端な角度には向けられない.
 だがIRSTならば,真上であっても探知できる.

 簡単に説明したけど,これで分かって貰えましたか?

Posted by 名無しT72神信者 at 2007年02月16日 17:23

「週刊オブイェクト」コメント欄


 【質問】
 THAADミサイルがハワイで迎撃実験をしたみたいですが,ニュースでは(自分で調べた限りでも),THAADミサイルは短・中距離の弾道ミサイルを迎撃する戦域防衛用のミサイルと一言っていました.
 そこで疑問に思ったのですが,北朝鮮が発射しようとしているテポドン2は大陸間弾道ミサイルですよね?
 仮にハワイに打ち込まれたとして,THAADミサイルで迎撃できるんですか?
 後,短・中距離の弾道ミサイルしか迎撃できないTHAADミサイルを,なぜハワイに配備してるんでしょうか?
 日本とかだったら分かるんですが・・・

 【回答】
 試験場がハワイにあるだけのこと.
 何でハワイかというと,弾道ミサイルの飛距離を考えれば数千キロの広大な空間が必要だから.
 さらにハワイなら海上・陸上・宇宙配備のあらゆる兵器と,あらゆる射程の弾道弾を取り扱える.
 以下,引用.

――――――
The Pacific Missile Range Facility (PMRF) is world's largest instrumented, multi-dimensional testing & training range.
PMRF is the only range in the world where subsurface, surface, air and space vehicles can operate and be tracked
simultaneously. This capability allows range users extraordinary flexibility in planning and conducting realistic
multi-participant, multi-threat freeplay operations to train crews, evaluate tactics, and test weapon systems.
Western Kauai is blessed with an ideal climate, averaging 361 sunny VFR flying days per years.

http://www.globalsecurity.org/military/facility/pmrf.htm
――――――

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【珍説】
■米,戦域高高度ミサイル防衛実験に成功
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20060713AT2M1300Z13072006.html

 〔略〕

 THAADシステムって,JSFさんが「XバンドはTHAADシステムの一部の廃物利用」というニュアンスで書かれていましたよね.
 6年間,凍結されていたシステムを再び実験し始めたという事は,日本がミサイル防衛に参加し,北朝鮮が「テポドン2」その他を撃ってくれたので「チャンス!」だと思ったのでしょうね.

あつこば(小林アツシ) in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)

 【事実】
 いいえ,THAADの開発が今になって再開されたのは,6年前に実験が中止された時に既に決定されていた事ですから,最近の情勢や日本がMD導入を決めた事とは全く無関係です.
 THAADはこの間,設計を根本的にやり直しており,飛行テストは1年前から再開しています.
 今回の迎撃実験も予定スケジュール通りです.

JSF in mixi

どうせなら,これの開発も希望.パイロット込みで
(画像掲示板より引用)



 【珍説】
 問題のコミュ読みましたが,アメリカの事しか配慮しておらず,日本人や沖縄人は「格下」にみているのがJSF氏の主張な訳ですね.
 つまり,JSF一派はアメリカに日本を売ることこそ良きこと.と言う売国奴集団であり,アメリカ一辺倒の日本の現状を憂いている我々「愛国者」の議論を破壊するためにのみ常駐している「言論テロリスト」に他ならないと考えます.
 よって,本コミュから永久追放するのが妥当だと思いますが,良識ある皆さん,如何でしょうか?

人類皆兄弟 in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)

 【事実】
 私は愛国とか憂国とか売国とか,そういう言葉を恥ずかしげも無く使う人の神経が良く分からないですね.
 その人の立場が右だろうが左だろうが真ん中だろうが,「何を自分に酔っているんだか」と思ってしまいます.

>問題のコミュ読みましたが,アメリカの事しか配慮しておらず,
>日本人や沖縄人は「格下」にみているのがJSF氏の主張な訳ですね.

 何処にもそんなことは書いてない.
 ただ単に,「単座機を飛行移動する為にはどの時間に飛び立てば良いか」しか書いてないはず.

 ハワイ経由で米本土に行くには,嘉手納を早朝に出るしかない.
 長距離飛行後の夜間着陸は事故を起こす確率が高い.
 事故発生率を少なくする為の入れ替えなのに,そんなことをしていては本末転倒.
 そしてハワイまでは7000km以上ある.
 当然,F-15の航続力では足りず,途中で空中給油するしかない.
 空中給油機の会合で時間を取られるし,もし夜間空中給油をする場合は非常に危険が多い.
 すると嘉手納を夕方出ることもできない.

 これが複座機ならばもう少し融通が利くんだけどね.ストライクイーグルなら夜間飛行能力も高いし二人乗りだし・・・
 でも入れ替えはC型だから.

 で,私の解説に文句をつけている人は,米空軍にどうして欲しいわけです?
 事故発生率を低くする為に,住民の要望で嘉手納の古いF-15を米本土のMSIP-2相当の近代化改修を済ませた機体と入れ替えるんでしょう?
(実は住民の要望で嘉手納の戦力がUPされるという事に)
 入れ替えをするな,と言いたいわけですか.
 それとも早朝以外に発進して,事故を起こせと言われるんですか.

 文句をつけるなら代替案を示してください.

>つまり,JSF一派はアメリカに日本を売ることこそ良きこと.と言う売国奴集団であり

 まるで冷戦期の共産主義者みたいな主張ですね.

>我々「愛国者」の議論を破壊するためにのみ常駐している
>「言論テロリスト」に他ならないと考えます.

 「言論の自由」と「議論」,この意味について考えてみることだ.
 「我々愛国者の議論」とはなんだ.
 賛成意見だけで凝り固まった者同士での馴れ合う事を指すのか.
 そういうことをしたければ,「誰でも参加できる」状態にすべきではない.承認制にしなさい.
 でも,管理人氏は承認制にはする気が無い以上,異論反論を言う者が出てきて当然.

 そして,反論があればこそ議論が活性化する.
 言論の自由とは,意見を表明する自由もあれば,その意見に反論する自由もあるということを,忘れてはいけない.

 「言論テロリスト」とはなにか.荒らしの事か.
 するとあなたの基準では,異論反論は荒らし行為なのか.そして発言者を排除せよ,と.
 それは対話の拒絶に他ならない.
 戦争を対話で回避することの否定に他ならない.
 ましてや私は武力を用いているのではない,話し合いに来ているのに,話し合いを拒否するというのであれば.

 結局戦争など,永久に無くならないだろうよ.

JSF in mixi


 【珍説】
 たしかに,対抗手段はないよりあった方がよいだろうが,それならば,ロシアからS-300と呼ばれる迎撃ミサイルを買ってきて,日本各地のレーダーサイトやイージス艦とデータリンクできるよう,管制装置を改良した方が,ずっと安価で即効性がある.
 実は,韓国が一時期,ロシアとの対韓債務とバーターする形で,このミサイルの導入を検討していたが,米国からの政治的横槍が入って,断念した事実がある.
 このことと,前述の,イージス艦導入の過程などを併せて考えれば,BMDが日本の防衛のためと言うより,米国の軍需産業の利益を追求しているのだと,容易に想像がつくのではないか.

林信吾著『反戦軍事学』(朝日新聞社,2006/12/30),p.104

 【事実】
 兵器体系の全く異なる物同士でデータリンク,相互運用しろと?
 無茶を言わないで下さい.
 システムのインテグレーションだけ見ても凄まじい手間が掛かりますし,勿論費用も天文学的なものになりますよ.
 どうして「安価で即効性がある」だなんて無責任な事が言えるのです?
 そんな面倒な作業をするくらいなら,全く新しい迎撃システムを一から作り上げた方が早く安くできますよ.

 第一,仮にそういったシステムが構築されたとして,アメリカがそんな代物に向けて早期警戒衛星(DSP衛星)のデータを送ってくれる筈が無いでしょうに.

 S-300には確かに,対弾道ミサイル迎撃能力を持ったモデルも存在します.
 ですが通常型は対航空機用です.
 これはパトリオットのPAC-2とPAC-3の関係に似ています.
 ただし直撃方式の為に小さなパトリオットPAC-3とは逆に,S-300のMDモデルは近接信管を持つ大型の爆砕弾頭方式で,ミサイル自体も通常型よりかなり大きいです.
 これはイスラエルのMD,アロー2と同様のコンセプトです.

 韓国が導入を検討したS-300は通常モデルです.
 基本的には対航空機用で限定的な弾道ミサイルの迎撃能力もありますが,専用モデルと比べればオマケ程度の扱いです.
 実はパトリオットPAC2でも改良型のPAC2GEMから,限定的な弾道ミサイル迎撃能力を付与されています.
 そして・・・実はアメリカからの横槍など入っておらず,ロシアとの商談は進み,韓国はロシアから技術支援を受けてコピー・モデルを共同開発する仲にまでなりました.

KMSAM(韓国中距離地対空ミサイル計画) - 日本周辺国の軍事兵器

 モックアップを見れば分かる通り,どう見てもS-300そのままです.本当にありがとうございました.
 韓国はこれを単独の兵器システムとして使うつもりで,弾道ミサイル防衛として全体のシステムに組み込むつもりが無いのです.
 単純に野戦防空ミサイルとして使うのであったら,別にそれでもよいわけですから.

 ・・・以上のように,著者・林信吾氏のミサイル防衛に関する知識は滅茶苦茶で,S-300を導入しろという意見に至っては子供の思い付きレベルと言ってよく,とてもではありませんが参考になるような記述ではありません.
 そもそも技術的な説明が一切無いのですから.

「週刊オブイェクト」,2007年03月30日付

 【珍説】
 イージス艦問題にしても,日本が独自のミサイル防衛網を構築した場合,米軍がデータを寄越さないだろう, という指摘は,正しいと思います.
 しかし私は,現状のミサイル防衛構想に対して,税金の無駄遣いだと批判しているのであって,JSFによる批判は,
「それとこれとは,別でしょう」
でオシマイです.

イケメン作家@本人 in 社会学板

 【事実】
 あたりまえです.現在のミサイル防衛構想はアメリカとの協力を前提として計画されているのですから.
 アメリカの協力が得られないのなら,まったく別の計画を立案・実行しなければならないのは当たり前です.
 だから貴方の論理展開は,「為にする」ものだと私は批判しているのですよ.

蘇るベルナドッド隊長 in 社会学板


 【質問】
 もし仮に偵察衛星の防衛が出来ないとして,MDが破綻してしまったらそれまでの費用は水泡に帰す可能性も有ると思うのですが違いますか?

なりけん.in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)

 【回答】
 偵察衛星の破壊は困難であり,またそれを防衛する事も可能です.
 万が一衛星が破壊されても,偵察機に早期警戒システムを積んで代替出来ます.
 DSP衛星が無くても,偵察機にAIRBOSSを乗せれば代替は出来ます.

 たった一つの手段が潰されたら全てが水疱と帰す,そんな脆弱なシステムではありません.

 なお,中国の実験のような方法では,DSP衛星撃破は不可能です.
 この衛星破壊実験は静止軌道に達せていないので,DSP衛星破壊は出来ません.

JSF in mixi


 【質問】
 弾道ミサイル防衛に対するアマチュア無線の影響は?

 【回答】
 CQ ham radio 2008.5によると,DoDはARRLに対し,米国内で運用されているPAVE PAWSに,アマチュアの440MHzレピータ局が妨害を与えている旨を通告し,レピータ局を監督するARRLは自らを含む無線局のオーナーらと共に,出力の制限や電波の放射方向の変更等の対応をとったと報じている.

 なお,アメリカ国内では440MHz帯のアマチュア業務は二次業務であるため,一次業務である防衛システムに影響を与えないよう対応する必要がある.

(でも,同じ周波数帯を使っているかどうかは,資料を調べてみないと分からない.
 たとえアマチュア業務が一次業務であったとしても,同一周波数帯の競合でなく,TVI等のように別の周波数帯の業務に影響を与えている場合は,一次二次の別無く対処を求められると考えられる.)

クローム・ツァハル in mixi,2009年06月03日12:12
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 故・江畑謙介さんの本を読んでた時に,F-15Eに空中発射型PAC-3が搭載が検討されると書いてありましたが ,空中発射型ミサイル防衛システムの開発状況はどうなっているのでしょうか?

バルセロニスタの一人,2010年01月22日 19:27

 【回答】
 何もしてません.
 NCADEが進行中です.

 ちなみに,あれは日本にとって大して意味が無いので〔略〕

JSF,2010年01月22日

 NCADEの話は自己解決しました.

http://www004.upp.so-net.ne.jp/weapon/ncade.htm
 これじゃ,テポドン撃ってからすぐに発射しないといかんシロモノだから,確かに日本には大した意味はなさそうですな.

バルセロニスタの一人,2010年01月26日 00:39

以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
青文字:加筆改修部分


 【珍説】
 日本の戦闘機パイロットを留学させ,戦闘機中心の航空作戦の考え方が,急速に陳腐化していることを学ばせてはどうでしょうか?
 米空軍も4軍種の中では,思考が硬直化している方なので,「脅威の変化」への対応が不十分でしょうが,それでも,日本の環境で現在の防衛態勢を続けることの,虚しさには気付くでしょう.

http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-21-1

 【事実】
 弾道ミサイルや巡航ミサイルを迎撃する,ミサイル防衛の教育部隊に,全く分野が違う戦闘機のパイロットを留学させて,何がしたいんでしょう.
 また,弾道ミサイル迎撃の教育には,「戦闘機中心の航空作戦の考え方が,急速に陳腐化していること」を学ぶ事は含まれていないはずですが.

 ちなみに我が国は,10年以上も前から,ミサイル防衛に関する装備と教育を行っており,既に空自のPAC-3や海自のSM-3が,実戦配備されています.

バルセロニスタの一人 in 「軍事板常見問題 mixi別館」
2012年12月09日 13:33
青文字:加筆改修部分


◆◆◆専守防衛とMD


 【質問】
 ミサイル迎撃は,仮に日本領空に入ってなくて公海上であれば問題ないと思いますが,北朝鮮も含めて他国の領空内だとすれば,集団的自衛権以前に専守防衛から外れませんか?

 【回答】
 常識のある国は(かつてのソ連でさえ),弾道弾実験をする際は落下点の海域の危険範囲を告示します.
 これをしないで,近隣国の方角に向けて弾道弾を発射しようとすれば,それだけで反撃の対象たりえます.これは銃口を相手に向けることに相当するからです.
 これは西部劇の決闘シーンと同じで,拳銃を抜けば殺意ありとみなされますし,現代ではFCレーダー(目標に狙いを付けるレーダー)の電波を向けるだけで狙いを付けたとみなされて撃墜されても文句が言えません.
 その意味で,前回の北鮮のミサイル発射は我が国が完全に舐められている何よりの証拠ですし,あの時に先手を打って,我が国が北鮮ミサイル基地を攻撃していたとしても,世界の大勢は正当防衛の大義名分を認めただろうと考えられます.

(おきらく軍事研究会,2005/1/19)


 【質問】
 まさかとは思いますが,一発食らってからでないと反撃しないとかって考える防衛庁内局とか外務省の役人,閣僚はいませんかね?

 【回答】
 そういうアホは,さすがに最近は少なくなったのではないでしょうか.
(化石のような社民党などにはいるかも知れませんが……)
 但し,反撃下令時に遅疑逡巡してタイミングが遅れる可能性は大有りですね.

(おきらく軍事研究会,2005/1/19)


 【質問】
 「これは人工衛星の打ち上げだ」と言い張られれば,ミサイル迎撃はできないの?

 【回答】
 仮に本当に宇宙開発用のロケットであったとしても,事前に当事国の漁民と周辺住民,および周辺国へのコンセンサスをとらないまま打ち上げれば,迎撃されても文句は言えない.

 衛星打ち上げの場合,周辺諸国に対して打ち上げの事前通告はもちろんのことだが,ブースターなどの落下位置に他国がある場合,原則として事故等で他国に被害を与える危険性があるので避けるのが普通だ.
 例えばイスラエルは敢えて不利を承知で西側の地中海側(地球の自転と反対方向)に打ち上げざるを得ない等,神経を使っている.
 また,韓国も東に打つのが衛星打ち上げにとって極めて理想的なのにも関わらず,日本を横切るため,現在建設を進めている宇宙センターは日本列島を横断しないよう,南方向に打ち上げる予定にしている.

 だから,例え衛星打ち上げだとしても,諸外国はブースト段階で他国を横切るような傍若無人な打ち上げは先ずしない.
 領土的にややこしい位置にあるヨーロッパも,海外植民地領で打ち上げているしな.(まあ赤道に近くてロケット打ち上げに適している,という点もあるが・・・・・)

 そんな訳で例え衛星打ち上げであっても,日本列島を横断するような場合,それだけで日本は北朝鮮に対し国際的な非難を上げるだけの正当性を持つ,といえるだろうな.

軍事板

(画像掲示板より引用)



 【質問】
 よく批判される「1発だけなら誤射かもしれない」というのが,あそこまで批判される理由が分かりません。

 明らかに自国に対するミサイル攻撃が行われてきたなら別ですが、1発ミサイルが飛んできて、それ以後何もないようでしたら、軍事的に報復するより、政治的に相手国を追い詰めていった方が、ずっと効率的だと思うのですが・・・。
 たとえ事故を装った挑発だとしても、そこで軍事的に報復したら、それこそ相手の思う壺なのでは・・・?

 もちろんその「事故」で発射されたミサイルに核弾頭でもついていた日には,壮烈な損害が出るでしょうけれど、もしそれで国家機能が失われるとしたら、たった1発の核ミサイルで国家機能が失われるようなバックアップ体制の無さの方こそが問題だと思うのですけれど・・・。

「何がなんで即座に軍事的報復」というのは、上策とは思えないのですが・・・。

 【回答】
 一言でいうと「それを許容すると舐められるから」
「1発だけなら誤射かもしれない」
と言う発言は、とどのつまり「政治的に相手国を追い詰めていく」ことさえも放棄して居ると解釈して相応な訳です。

 即座に最大限の軍事的手段で報復するわけではありません。
 おっしゃるとおり、冷静に、タイミングを失せず対応するべきです。

 批判されているのは、上記の考えが誰でも分かるような話なのに,わざわざ不自然な融和・譲歩主義を表しているからです。
 誤射であっても問題なのに、誤射なら大丈夫とするのは,空気読めというかマヌケというか。

 即時報復されるかもしれない、という可能性が核抑止の基本です。
 一発目で報復されないとわかってたら、最大限の「一撃目」を使おうとするかもしれません。
 即時報復という選択肢を持たないと高々と宣言しちゃうのはマヌケです。

 なお,アメリカでさえワシントンに融合弾頭が落ちれば国家(機能)中枢は吹き飛びます。
 自国領土から弾道ミサイル命中させようが、沿岸部10kmまで近づいて艦砲射撃しようが
「明確な攻撃意思を持って攻撃した」
とみなされると小官は解釈しますが。

 こーゆーのはね、本屋に
「万引きはただちに警察に通報します」
とか書いてあるのと同じ。実際にはやらないかもしれないが、事前に
「1冊くらいなら出来心ということで叱るだけで済ませますよ」
なんて言っていたら、万引きを誘発するようなものだということが分かるだろう。

 【珍説】
「ある意味で,彼の残りの人生は,贖罪(しょくざい)のようなものだった」
 第二次世界大戦中, 米国の原爆開発計画に加わった物理学者ウィリアム・シャークリフさんが先月,97歳で死去した際, 息子のアーサーさんが述べた.
「広島と長崎への原爆投下の後,彼はそれを自分が支援してしまったことに,ほとんどぞっとするほどの恐ろしさを感じていた」(ニューヨーク・タイムズ紙).

 あのアインシュタインは,ルーズベルト米大統領に対して原爆開発を促す手紙に署名したことを, 後に深く悔やんだ.
 シャークリフさんは技術情報グループ長などを務めた.
 実際に開発に携わった人が抱いただろう「取り返しがつかないことをした」という悔恨がうかがえる.

 シャークリフさんは,80年代にレーガン政権が掲げた戦略防衛構想(SDI,スター・ウォーズ計画)に反対していた.敵から飛来するミサイルを迎撃する構想だ.

 その現代版とも言えるミサイル防衛(MD)システムの前倒しの配備を,防衛庁や在日米軍が検討しているという.
 北朝鮮のミサイル発射がきっかけだが,有効性だけでなく,憲法が禁じる集団的自衛権の行使との絡みなど課題も多い.

 確かにミサイル発射は脅威ではある.「たたかれる前にたたけ」といった思いもあるだろう.
 しかし「必ずたたかれる」と,誰がどう判断するのかすら不明だ.専守防衛という戦後日本の基本姿勢が崩れる恐れもある.

 戦争は,自衛の名目で繰り返されてきた.脅威に憤るあまり国の針路をあやまっては,それこそ取り返しがつかない.

asahi.com,2006/07/12
(既にリンク切れ)

 【事実】
 MDは「たたかれる前にたたけ」といった用途に使うことは全くできませんので,安心してください.
 ゆえに,「自衛の名目で」戦争を繰り返すために使うことも当然できません.

 シャークリフがどのような理由でSDIに反対したのか,このコラムでは述べられていませんが,彼がSDIを原爆投下と同一視したのなら,シャークリフの見識を疑わざるをえません.
 SDIは原爆が投下されないように物理的に阻止しようというものだったのですから.

 もし同一視していないのなら,そもそも原爆投下とSDI,そしてMDは,全くベクトルの違う話ですので,同じ人物の行為だからといって,同列に並べて論じるのは不適当です.
 例えば,ビタミンBに関する森鴎外の言動を引き合いに出して,彼の文学作品を論じても無意味なのと同じことです.


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