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東亜FAQ目次


 【質問】
 日本が,スイスのような武装中立国を目指すことは可能か?

 【回答】
 スイスは,一番の資源が人という国ですから,徴兵制で,
「いざという時は,国民全てが,侵略者に立ち向かう」
という姿勢を見せる事によって,侵略者にとって,侵略する事にうまみがなくなる(人的資源を利用できない)ようにしているものです.

 しかし日本は,大陸の国から見ると,太平洋への蓋なわけで,日本列島という土地ににうまみがあるわけですから,スイスの真似をしても,同じようにはいかないでしょう.

 「怖がりな超大国」である米国の軍事的な同盟国が,太平洋,大西洋を越えた先にあり,軍事基地もある事が,米国を安心させている部分もありますから,中立よりは,今の同盟関係の方が,ええのではないかと思います.

(軍事報道を考えるスレッド in マスコミ板)


 【珍説】
 安全保障の哲学については,国の規模や方法は違いますが,スイスやスウェーデンの中立主義は良い参照事例となりましょう.

タケル in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)

 【事実】
 おっしゃるとおり,その二カ国は独自防衛を目指していました.独自防衛を目指すと言うことは,装備体系も独自に揃えると言うことです.
 装備を他国からの輸入に頼ると言うことはそれだけで輸入もとの国と安全保障上の強い関係を持たざるを得ないからです.

 それを嫌って,複数の国から兵器を輸入する国もありますが,この方法はコストパフォーマンスがよろしくない.

 で,スイス・スウェーデンはどうしたか.スイスは工業力が伴わないのでオオモノ(戦車や戦闘機等)は輸入しました.

 しかし,スウェーデンは,日米独と言った一流工業国には劣るものの,工業力はなかなかのものです.このことは,ボルボ・サーブといったスウェーデン車が日本にも輸入されていることからお分かりかと思います.

 それなりの工業力を持ち,中立政策-国防を他国に頼らないという方針を採った結果,装備も自国で生産しよう,という事になっています.現に戦闘機/軍艦/戦車といった正面装備を長い間自国生産しています.まあ,最近になって新型戦車はドイツから輸入することになったようですが.また,自動車で名を挙げましたが,もともと,「サーブ」という名前は「スウェーデン航空機会社」の略称であり,しかも,軍用機製作のための国営会社だったんです.
 で,スウェーデンは中立国とは言え,経済形態は資本主義です.いくら国策会社とはいえ,放漫経営で赤字がかさむことは許されません.しかし,スウェーデン一国だけでは売り上げは限られた物になります.また,兵器開発にかかるコストは増大するばかり.

 なのでどうしたかと言うと,製品,つまり兵器の積極的な輸出を行うことになります.現在でも最新型戦闘機の売り込みが続いています.それに,自国だけではなく,他国へ輸出するほど生産数を増やすことができれば,量産効果に寄り価格を下げることができます.これは国防費の圧縮につながります.
 また,スイスも兵器輸出国です.戦車/戦闘機といったオオモノは輸出していませんが,機関砲などが有名です.

 というようなことを綺麗にまとめたサイトが存在しますのでご一読ください.

意外な兵器輸出国 (2005/9/19)
http://www.kojii.net/opinion/col050919.html

 さて,中立政策を維持するにはそれなりの軍備は必要であると言うことはタケル殿もお認めになっています.

 しかし,それを維持する努力についてはどうですか?

 中立国は自国独自の装備体系を維持するためにも兵器の輸出を行っています.日本でそんなことが可能でしょうか?

ゆきかぜまる in mixi

 装備面というより政治面の努力になりますけれど,こんな本もありますね.

「中立国の戦い」(飯山幸信著,光人社NF文庫)

井上@Kojii.net in mixi支隊


 【珍説】
 スイスが専守防衛に徹してることだけを見本にすればよいと思います.
 戦場になるとしたら国内だけと想定してるところがすごいです.
 徴兵,軍事訓練などはマッピラゴメンです.これは日本の方が良い.
 スイスの国境地帯に行くと,山腹などにトーチカなどが配置されているのが伺える.

 【事実】
 スイスの国境と日本の国境がわかる世界地図を見てください.
 スイスの国境は統べて他国と陸地上の国境線で接しています.
 自国防衛の為に国境を出るということは,当然のことながら,他国へと歩を進めたことになります.
 こういう地理的条件の国の場合,自ずと「国内」に限定せざるを得ません.
 こちらの意志(平和と自由自治)を省みず,こちらの国へと武力浸透する相手から国民の生命財産を守る為には,相手の意志をくじかせることが必要です.
 従い,スイスは国境地帯の山腹などにトーチカなどが配置されているのです.

 一方,日本の場合は四方が海です.
 日本も自国の意志(自由と平和)を守るために他国の領土に入らない地域でトーチカで防衛しています.
 当然トーチカという陸上防衛設備は海上ではつくれませんから,護衛艦だとか飛行機がスイスのトーチカと同じ位置付けで運用され
るのです.

 スイスが自国内という表現は正しくありません.
 正確には「他国へ進出しない範囲」です.
 日本も同じく「他国へ進出しない範囲」という意志でやってるでしょ.

自由と平和愛好家 in 軍事板

 小川和久も,「 日本が同盟関係を結ぶにはアメリカが最も良い相手であることを,否定する人はいないでしょう」と述べ,非同盟の限界にも言及している.
 以下引用.

 端的に言って,独立した国家が安全と繁栄を実現するには,「非同盟」を選ぶか,「適切な同盟関係」を選ぶか,2つに一つの道しかありません.
 第2次世界大戦後に登場したインドをはじめ多くのアジア・アフリカ諸国は,東西どちらの軍事同盟にも加わらず,平和の実現や南北格差の解消を目指し,前者の「非同盟」を選びました(永世中立国として世界が認めているスイスやオーストリアが,どの国とも同盟を結んでいないことは言うまでもありませんが).
 もっとも,非同盟を標榜する国では,その後,大国に軍事基地を提供したり,大国と軍事協力条項を含む有効条約を結んだりする国が増え,さらに非同盟諸国間の対立や紛争も激化,戦後の一時期に勢いがあった非同盟主義は,すっかり色あせてしまいました.

 一方,ヨーロッパの国々は後者の「同盟」を選びました.
 西ヨーロッパの主要国はアメリカと北大西洋条約を結びNATO諸国として,東ヨーロッパの主要国はソ連とワルシャワ条約を結びWTO諸国として,それぞれ米ソを中心とする同盟に参加しました.
 先の大戦後,非同盟を貫かないのであれば,西側(アメリカ側)か東側(ソ連側)か,いずれかの同盟に加わる以外に選択肢はなかったわけです.

 敗戦で米軍を中心とする連合国軍に占領された日本も,その延長線上で日米安保条約を結び,日米同盟を選択しました.
 1960年当時の安保闘争など国論を二分するかのような混乱もありましたが,結局,日本はアメリカと「適切な同盟関係」を結ぶという選択をし,国民もこれを支持してきたのです.
 東西冷戦の終結でソ連が崩壊し,ソ連の衛星国だった東ヨーロッパの国々がこぞってEU入りを目指したことを振り返れば,日米同盟という選択は間違っていなかった.
 日本が同盟関係を結ぶにはアメリカが最も良い相手であることを,否定する人はいないでしょう.

小川和久著「日本の戦争力」(アスコム,2005.12.5),p.89-90

(画像掲示板より引用)


 【珍説】
 スイスの防衛力も20年位前に勉強したことがありますが,それとあんまり変わってなければ,そんなべらぼうな金を掛けちゃいないはずです.
 今調べてみたら41億ドルっていう数字があった(何か当てになりそうに無いサイトだけど・・・).

タケル in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)

 【事実】
 ヒント:【スイス海軍,ホントマジ貧弱】

ぉ拓 in mixi

 日本とスイスの国土面積・海岸線延長etc.を比較して同じ額で可能だと考えてるんですか?

ゆきかぜまる in mixi

 あの,スイスは内陸国なんですが・・・・.海軍に掛ける金が掛からないわけなんですが・・・.全く同じなわけ無いでしょう.

 で,算定のお話.
 基本的に中立国は有りとあらゆる侵略に耐えなければなりませんから,一番の脅威であるアメリカを想定した編成を考えなければなりません.
その場合せめて第7艦隊を追い払う位の海軍力は欲しいですから,
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B1%B3%E7%AC%AC7%E8%89%A6%E9%9A%8A
上記の編成を基に現在の自衛隊に無い装備を考えると,正規空母,戦略原潜,イージス巡洋艦,戦略爆撃機等が必要になってきます.
 それに関する費用(イージス護衛艦(巡洋艦級)は,もう自衛隊にありますが)
 戦闘機もアメリカからライセンス購入なんて出来っこないから,独自の国産機の開発しなければならないですし.(ちなみに日本は航空機のジェットエンジン開発のノウハウが殆ど無い)この費用も必要かな.
 またアメリカの核の傘から外れるために,MADなりMDなりの独自の安全保障システムを0から構築しなければなりません(スイスは核開発をしようとしてたが,冷戦が終わったので止めた)から,
 それに掛かる費用を考えると,どうも「べらぼう」な額になりそうですよ?

あぶ4 in mixi
OOM-7大佐 in FAQ BBS(青文字)

スイス連邦(外務省サイト)

12.軍事力
(95年に軍改革を実施)
(1)予算 約47.9億スイスフラン(02年)
(2)兵役 徴兵制
(3)兵力 22万人(戦時動員数)
(4)民間防衛 12万人(スイス連邦国防省,司法・警察庁数値)

スイス(wikipedia)

面積
-総計
-4.1万km2

人口
-総計(2004年)
-745万人

GDP(自国通貨表示)
-合計(2005年)4,552億スイス・フラン
GDP(MER)
-合計(2005年)3,846億ドル

●日本国(wikipedia)

人口
-総計(2004年)
-12,733万人

面積
-総計
-37.7万km2

GDP(自国通貨表示)
-合計(2005年)504兆9,180億円
GDP(MER)
-合計(2005年)4兆7,990億ドル

 それと,スイスの軍事予算には海軍予算はほとんど含まれていないでしょう.
 よって,日本の場合には,これに海上自衛隊の為の予算を追加する必要があります.

 「海上自衛隊の予算」(海上自衛隊サイト)によると,海上自衛隊関係費は防衛庁関係費の約23%を占めています.その分を増やさねばなりません.
 計算が面倒なのでこれ以上はやめておきます.

 GDPだけではなく,人口比,面積比等で計算しても,興味深い結果が出ると思います.

ゆきかぜまる in mixi

 ちなみにスイス政府は『民間防衛』(編著:スイス政府 訳:原書房編集部 出版:原書房)で,「武器を捨てよう,軍隊を無くそう」と訴える人々をこう切り捨てました.

「暴くべき敵の欺瞞行為」
「われわれは,にせ平和主義者たちが武装するのをやめないでいることを確認している」

 確かに・・・そう書いてあるのです.

JSF in mixi


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