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 【link】

「an Arms Watcher」◆(2010/07/20)F2追加調達,FX難航

「Togetter」◆(2010/10/07)小川和久氏とJSF氏のF-2に付いての対話とその周辺の見方

「Togetter」◆(2011/02/13)軍事アナリスト・小川和久氏と空幕

「海洋戦略研究」◆(2010/07/19)FX難航F-2追加調達

「数多久遠のブログ」◆(2010/10/11)F-2欠陥機疑惑は空幕の作為か

「週刊オブイェクト」◆(2010年07月19日)F-2戦闘機調達継続の可能性

「週刊オブイェクト」◆(2010年10月03日)F-2戦闘機の機動性は万全~パイロットの証言~

「週刊オブイェクト」◆(2010年10月11日)防衛省航空幕僚監部(空幕)は,小川和久氏のF-2欠陥機説を説明せよ

「週刊オブイェクト」◆(2010年10月25日)J/APG-1(改)のレーダー視程について・その2

「とある軍事マニアの独り言」◆(2019/5/25) テンペスト共同開発の要請する要因にフライ・バイ・ライトの技術の提供?

『主任設計者が明かすF-2戦闘機開発 「平成のゼロ戦」はこうして作られた!」』
(神田國一著,並木書房,2018/12/10)
http://okigunnji.com/url/8/

「はじめからできないと思ったら何もできない.進取の気性を持て」
(増田逸郎・三菱重工元技師長)

「技術者の情熱が名機を作る」
(松宮簾・元空将・防衛庁技術研究本部技術開発官(航空機担当))

「技術者の『やりたいもの』『やれるもの』の設計は顧客から不安をもって見られる.
 『やるべきもの(目標)』を設定し,これを実行するのが設計の基本」
(日根野譲・元三菱重工航空機事業本部長)

●戦闘機開発技術者への遺言

 著者の神田さんは,「おわりに」でこういう言葉を残されています.

<私たちも,FS-Xの日米共同開発において,米国の官民が考えたほど,F-16の技術を尊重したり,ありがたく思って,そのまま利用したということはありませんでした.
 FS-Xの設計は私たちが独自に考えた哲理です.>

 これまで国内外で出たFS-Xにまつわる書は,本著の登場を通じ,相当程度内容を修正する必要が出てくる気がします.

 兵器共同開発の全体像は,具体的な細部の交渉ごとや検討事項,現場でしかわからない様々な問題の解決などで成り立っている.
 部外者がその詳細を知る機会はまずない.
 本書は,そんな稀有な機会を提供する稀有な記録である.
 手にした読者は稀有な機会をモノにできた喜びを,時の経過とともに実感することになろう.

 FS-Xについては,手嶋さんの本が有名です.
 そのためでしょうか,一般的には
「アメリカが,わが国産戦闘機開発を潰した件」
というイメージ「だけ」が伝わっている感を持ちます.
「FS-Xはあの時消えてなくなった」
という認識を持つ人も現実には多くいます.

 独自開発が米の圧力でできなくなったことはもちろん事実ですが,日米共同開発となって,F-2支援戦闘機に結実したんです.
 量産化につながってるんです.
 これによりわが方は,「戦闘機製造技術の継承」という極めて大きな価値を手にしたわけで,必ずしも日の丸お涙頂戴ばなしのみで片付けてはいけない重要なプロジェクトだったことがわかります.

 現場は,日米共同で戦闘機を作る,という前代未聞の取り組みにあたって凄まじい時を積み重ね,越えられないと思われた壁を次々と乗り越えたのです.
 その過程をリーダーの立場からつぶさに記録した本著は,「戦闘機製造技術の継承」の一点に集中.現場で最善を尽くし,立派な果実を結実させた関係者たちの大和魂の結晶ともいうべき作品です.

 景山氏の手になる「解題」でわかる,本著が世に出ることになった経緯も非常に面白いです.

 プロジェクトリーダー自ら記した手記である点も非常に貴重です.
 記述の信頼度がぜんぜん違います.
 数え切れないほど現れる壁に直面した技術者たちが,知恵を出し合い,助け合ってたくましく乗り越えてゆく姿は,誠に爽やか.
 戦闘機に少しづつ結実してゆく過程は感動的です.

 なかでも,本著の総まとめともいうべき第11章は,「開発技術力継承のための三つの要諦」はじめ,そのすべてが読みどころといって差し支えありません.

 わが国が続く限り永遠に残る,いや遺さなきゃいけない「技術者魂」「技術の伝承」に欠かせぬ一冊と断言して差し支えありません.
 名著です.
 「戦闘機技術者」はもちろんですが,「戦闘機技術の恩恵を受けるすべての国民」が読む必要のある書です.

 このF-2開発の経験が,戦闘機ではないにせよP-1やC-2の開発につながったのは間違いなく,今後のわが戦闘機開発につながる「わが宝」といえましょう.

 問題は,F-2後の国産戦闘機製造にめどを立てられない今にありますね.
 防衛費をやたらめったら国外に垂れ流して頬かむりするやり方は,いい加減やめた方がいいのでは?

 西郷どんの従兄弟・大山巌も
『兵器の独立なくして国家の独立なし』
という名言を残しています.
 国が兵器製造技術を失うと,技術の更新や交換・改造・修理等ができなくなり,購入国の技術を通じてその意向に従わざるを得なくなって独立を保ちえなくなることを意味する言葉です.
 常識レベルの話ですが,常識になっていないのが情けない.

 また,今のわが国では,兵器製造は100%民間企業が行ってますが,作った兵器を買うのは自衛隊だけです.
 自衛隊が買う量はたかが知れており,利益がなければ生きていけない企業は,利益を期待できない兵器製造から撤退するケースも出ています.
 武器輸出も,ビジネス的にハードルが非常に高く,政治の後押しが期待できないわが国では,口で言うほど簡単にできる話ではありません.
 それなら工廠を作って国立工場で開発製造すればいいのですが,それもしません.
 防衛産業に対する強力な各種支援を行うかといえば,それもやらず.
 今の我が防衛力発揮の基盤は,軍需産業のボランティアと使命感だけに支えられた儚いものでしかありません.
 各界のエライ人たちが何を考えているのか,非才の私のようなものには,さっぱりわかりません.

 先日紹介した荒谷さんの本にも書いてありますが,「目に見えない価値」こそ重要で守らなきゃいけないものです.
 「兵器を製造する技術」もそのひとつで,未来に受け継がなきゃいけない貴重なわが価値です.
 軍の要求だけではなく,外国政府の要求という不安定なリスクにもさらされる共同開発は,口で言うのは簡単だが,実際やるとなると難しいようです.

 技術者のためにも,わが軍事技術を継続的に維持するには,式年遷宮のように定期的に兵器を新たにし,兵器の開発技術を継続し続ける仕組みを持つ必要がありますね.
 そのためにも,最もハードルが低い独自開発ができる国でありたいものです.

追伸

 あとがきにある神田さんの
<結局,長期的に見て必要な時に合理的な価格で戦闘機を買い揃えるのは,自国に戦闘機を開発し生産する能力がないとできないことになるので,FS-Xは独自開発をすることを計画した点は正しかったと考えられます.>
との言葉,そして,松宮元空将・防衛庁技術研究本部技術開発官(航空機担当)の「開発の教訓」は,日本人必読です.

発行:おきらく軍事研究会(代表・エンリケ航海王子)
http://archive.mag2.com/0000049253/index.html
2019.3.7

『たそがれゆく日米同盟 ニッポンFSXを撃て』(手嶋龍一著,新潮文庫)

 この前,久しぶりに図書館で本を借りました.
 元NHKワシントン支局長で,現在は慶応大学教授の手嶋龍一さんの「たそがれゆく日米同盟」です.
 これはFSXが国産から日米共同開発(つまりF-2)に至るまでの経緯,外交でのぶつかり合いを生々しく書いた書籍です.
手嶋龍一 - Wikipedia

 F-2では日本側が独自のハイテク技術を提供するが,アメリカはF-16の最新のソースコードを提出しないという点が,野党はもとより与党からも「不平等条約」ではないかと指摘されました.
 現在,東京都知事の石原慎太郎運輸相も,怒り心頭の内容でしたが,これには理由があるので後述します.
 そしてそれを取りまとめたのが,当時官房副長官だった小沢一郎・民主党元幹事長でした.
 小沢さんが第7艦隊だけで十分とか,中国寄りになったのは,その事でバッシングされた事によるトラウマなのでしょうか?

 ところでこの手嶋氏の本では,「産軍複合体」とかいう言葉が出てきたり,イスラエルで開発され中止になったラビ戦闘機に関する記述に,やや間違いが見られます.

>「ラビ戦闘機」はフランス製戦闘機「ミラージュ」の生き写しと言われ,
>ヘブライ語で仔ライオンを意味する「クフィール」の後継機となるはずだった.

 確かにラビはデルタ翼や可動式のカナードを組み合わせていますが,インティークの配置などF-16の技術を主に応用したものでもありますから,間違いではありませんが,言葉が足りなかったようです.
 ただ,あからさまな間違いではないから,問題はないでしょう.
F-16

 そのラビが何故,アメリカが財政支援を打ち切ったのかというと,単なる開発費の高騰が原因でした.
 もちろん,アメリカからF-16を買った方が安いという圧力もありましたが,主な原因はアメリカが支援してるのにも 関わらず,開発費が高騰し,アメリカ側がやっていられない,だったらF-16を買えやゴルァーとなったのが実情なのでしょう.
 今もそうなんですが,アメリカは今,双子の赤字を抱えていますからね.

 また,F-2でF-16の最新ソースコードを提供されなかったのは,F-22と同様,自国が独占したい軍事機密を守るだめです.
 どこの国だって,火器管制などのアビオニクスの頭脳にあたるソースコードの最新型提供なんかしません.
 自国の安全保障にかかわりますからね.
 ただ,やはり日本は一方的にハイテク技術を提供したのだから,不平等感は無くはないのですが,当時は日米貿易摩擦が問題となっていた社会背景上,やむを得なかったのかも知れません.

――――――バルセロニスタの一人 in mixi,2010年06月15日14:07

『蘇る翼F-2B』(小峯隆生著,柿谷哲也写真,並木書房,2017.6.5)

 東日本大震災の被害を受け,修理を行っていたF-2Bの第一陣が昨年3月,松島基地に帰還しました.
 このニュースをご覧になった人は多いでしょう.
 しかし多くは「よかったよかった」レベルで,背景事情,ほんとうの意味・意義を理解している人は少ないのが実際ではないでしょうか?

 この本は,東日本大震災時,松島基地で「海水漬け」になったF-2Bの修復プロジェクトを丹念に追跡したドキュメンタリーです.
 複座式のF-2Bは空自にとって戦闘機パイロット育成のため欠かせない機体です.
 しかしF-2の生産はすでに終了しており,壊れたからといって新たに作ることはもうできない.
 このままいくと,わが国防に大きな穴が空いてしまう・・・・

 松島基地を再建し,F-2Bを復活させなければならない.
 そう考えた人々は,震災後ただちに空幕内に「チーム松島」を設置.
 前代未聞の「海水漬け」戦闘機の修復プロジェクトをスタートさせたのです.
 彼らの尽力により,被災した18機のF-2Bのうち13機が修復され,再建中の松島基地に続々と帰還しています.

 精密機械の塊である「戦闘機」.
 津波で大きく損傷してしまった戦闘機を完全修復することなんてできるわけないよ.
 素人でもそのくらいのことはわかります.
 それが常識でしょう.

 しかしわが国には,その常識を乗り越える気概と気魄,洞察力,判断力,実行力を持ち,実現させた政治家,軍人,民間技術者がいたのです.
 そして彼らはいま,あなたと同じ時代を生きています.
 損傷した航空機,施設,すなわち戦力をいかに回復させるか?
 いかに何をなすべきかという「ダメージコントロール」を現実に実践したわが空自.
 そして実際に損傷機体の修復に取り組んだメーカーの「ものづくり魂」.
 彼らを政治・財政面で支援した自民党と各省庁.
 このプロジェクトは「日本」というものが成し遂げた偉業ではないか?とすら感じます.

 本著からは,感動的な舞台裏の報告を通じ,F-2Bの復活劇がいかにすごいことであるかが把握できます.
 戦力回復がいかに困難な事業であるか,国防基盤を支える環境がいかに重要であるか,もわかります.
 こういった目に見えにくい部分も忘れず吸収しておきたいところですね.
 今後の国防軍事ばなし・論に厚みが出るからです.

 地震当日,津波襲来時の松島基地でF-2Bが壊れたことを知る人は多い.
 しかし実際現地がどういう状況になって,その結果F-2Bがどうなったか?を知る人はまずいません.
 当時の松島基地トップ,隊員たちの声を通じて,そのことを直接聞くことはまずできないでしょう.
 しかし本著を読めばそれが手に入るのです.

 たとえば,津波襲来時になぜ航空機を退避させなかったのか?と,その判断力を疑問視する声もあったのですが,当時の判断が正しかったことは,4空団司令兼ねる松島基地司令,基地現役隊員の証言を通じてよく理解できます.
 被災当時に的を射た迅速な対処ができた理由が,当時の4空団司令兼ねる松島基地司令だった杉山さんの訓練方針の賜物といわれている理由もつかめます.

 実戦を想定した訓練を実施しにくいわが自衛隊が,基地の被災,装備の喪失等々に直面したとき何が起こりどう対処するのが妥当か?を把握するケーススタディとしても非常に重要な書物といえます.
 自衛官はもちろん,研究者や政策立案者,意思決定にかかわる人々は目を通す必要のある内容ですし,自衛隊ファンや安保国防と真剣に向き合っている一般国民にも必読の一冊といえましょう.

 歴史の真実を伝える貴重な一次資料であり,本著を元に各種環境整備の修正・立案にもつながりうる優れた報告です.
 とにかく関係者の「ことば」が多く,その話が具体的で感動的で,思わず引き込まれます.そういう本です.

[中略]

心からオススメです.

追伸
 プロジェクトのキーマンへのインタビューを積み重ねるなかで,知られざる快挙の舞台裏を丹念に再現した作品なので,メルマガ「軍事情報」読者のあなたには是非読んでおいていただきたいです.

------------おきらく軍事研究会(代表・エンリケ航海王子)
http://archive.mag2.com/0000049253/index.html
2017.6.5

 【質問】
 支援戦闘機って何?

 【回答】
 「攻撃機」と言うよりは「戦闘攻撃機」といった方がいいかな.

 現行のF-2は制空戦闘も十分こなせるが,先代のF-1は空対空戦闘は「できないこともない」のレベルだった.
(米軍のF-16と模擬空戦して,こちらの方が数が多いのにボコボコにされた,という悲しいエピソードが・・・)

 更に言っとくと,自衛隊の「支援戦闘機」はまずもって,対艦ミサイル抱えて洋上の敵侵攻船団を叩くことが主任務で,「対艦攻撃機」という名前の方が合ってる.
(もちろん対艦攻撃以外何もできないわけではない)

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 なぜ空自は対艦攻撃戦力や対地攻撃戦力を,A-6やA-12のような完全な攻撃機ではなく,F-1やF-2のような支援戦闘機求めるのでしょうか?

 【回答】
 まず,支援戦闘機というのは実質的な攻撃機.
 でもって日本独自の言葉.

 迎撃専門空軍としてできた自衛隊が,数的に余剰,性能的に不足したF-86F飛行隊をどう扱うかを考えたときに,3個飛行隊を選んで対地対艦攻撃任務を付与したのが支援戦闘機の始まりです.
 しかし邀撃飛行隊が主役なわけですから,全部の戦闘機を邀撃任務に回せ,余計なことするなという声は当時からありました.

 なので,対地攻撃,対艦攻撃を任務としながらも,平時には領空侵犯措置,戦時には対空戦闘ができることが必須とされました.
 これはF-1やF-2を開発するときにも要求性能として引き継がれています.

 支援戦闘飛行隊の任務そのものがデュアルロールを志向していたわけです.
 その「支援戦闘飛行隊の任務」にあわせて機種が選定・開発されています.

 日本で対地攻撃能力が必要ということは,日本は専守防衛=日本の国内だけで戦う,つまり,敵陸上戦力が既に国内に上陸を果たしている=制海権・制空権を敵に取られている,あるいは阻止し切れてない状態であり,劣勢,末期的状況.
 その状態では,対地攻撃機が敵の制空戦闘機に食われるのを防げない=持ってる効果・意味が薄い.

 というわけで,対地攻撃「しか」できない攻撃機は,存在意義が薄いというわけ.
 だから空自の支援戦闘機は対艦攻撃を主任務とし,制空戦闘の予備戦力として使うのは,あくまで性能的に,「一応可能だから」でしかない.
 でもって,対地攻撃能力も,対地専用の攻撃機ほどは必要ないというわけ.

 ただ,今後はFI,FSという区分を無くしていくそうなので,全飛行隊がマルチロール化するでしょうし,そうなればなおさらのこと攻撃専任の機体が採用される可能性は低くなるでしょう.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 支援戦闘機は制空戦闘には全く使えないんですか?
 空対空ミサイルもつめるようなことを聞いた覚えがありますが.

 【回答】
 できるが,得意ではない.
 機体そのものがどちらかというと支援攻撃(というか対艦攻撃)向きで,パイロットも,制空ミッションの訓練は制空戦闘機ほどしてないはず.

 例えばF-35攻撃機だが,ヘルメットマウントディスプレイなどを持ち,空対空戦闘能力も十分ある.
 しかし,まったく同じ条件で空対空専用に作られた機体よりは当然能力が劣る.
 相手がそのような機体を制空用に出してきたら苦戦するだろう.

 逆に相手との能力差がさほどでなければ,あるいはこちらにステルス性などの利点があれば,立派に制空戦闘機としても使える.

 それと同じこと.

 まあ,A-10みたいなロックバカ一代的攻撃機だと無理だけど.

軍事板


 【珍説】
◆「航続距離の制約」という表現について
--------------------------------------------------------------------------------
支援戦闘機(戦闘爆撃機)についても,いわゆる「攻撃的兵器」と「防御的兵器」の境界線にあるものではないかとの指摘がなされており,上記の解釈にもとづく配慮が必要な兵器とみなされています.
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山田朗(明大教授) in 『教えて!山田先生-短期集中軍事講座-番外編』

 【事実】
 航空自衛隊の機体で開発当初から航続距離に制限のかかった機体は,輸送機のC-1の方です.
 F-2支援戦闘機で制限されていたのは搭載兵器です.
 対地攻撃用の誘導弾をこれまで装備してきませんでした.(最近,GPS誘導弾JDAMの導入を開始)

「週刊オブイェクト」,2006年12月10日


 【質問】
 何故,航空自衛隊の支援戦闘機は,支援戦闘機を表す「FS(ファイター・サポーター)」表記ではなく,戦闘機を表す「F(ファイター)」表記なのですか?

 【回答】
 近年,要撃と支援の両任務を実効的に果たし得る戦闘機が登場し,今後は戦闘機の柔軟な運用を確保するために,そうした戦闘機を取得していくことも予想されることから,新防衛大綱の別表上の要撃戦闘機部隊/支援戦闘機部隊の区分を廃止した.

[平成17年版防衛白書
→第2章 わが国の防衛政策の基本と新防衛大綱
→第2節 新防衛大綱
→5 新防衛大綱の内容
→防衛力の具体的な体制
→(3)航空自衛隊→【戦闘機部隊などの効率化】
→注釈 4)]
参照のこと.
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2005/2005/html/17225300.html

新防衛大綱,及び新防衛大綱別表
http://homepage3.nifty.com/dsi/library.archive/topix/tpxj.041210.taikou.htm

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 何故,戦後初のFS専用機は,T-2練習機を改造したF-1支援戦闘機になったのでしょうか?

 【回答】
 本屋にいくと,ちょうど『世界の傑作機』がF-1だから,とても気になるなら買うとよい.

 つまるところは
「超音速練習機と派生型の攻撃機をセットで開発・配備すれば予算の効率的な運用ができる」
という大義名分の下で「アメリカは本当にアテになるのか?」
という技術国防政策のちょっとした暴走による.
 実際,航空自衛隊はアメリカに調査団まで派遣してT-38を完成機50機,ライセンス生産60機の計110機を導入する計画を立てており,松野防衛庁長官による「国産計画」には
「パイロット養成に支障が出る」
と反対していた.
 T-2開発に7年かかる間のパイロット養成は,F-Xが複座のF-4になったことから,その後席を利用することで当座をしのぐこととされた.

軍事板


 【質問】
 F-1にF119エンジン積み込んで強度さえ持てば,スーパークルーズは可能なのですか?

 【回答】
 それはもう既に別のヒコーキだろ.

 機体形状が違えば空力特性も違う.
 そうなると同じエンジンでも出せるパワーや燃費が違ってくるので,
「この機体でこういう性能が出せるエンジンは,どの機体に積んでも同じ性能が出せる」
って事にはならない.
 Fー1(ダッソーじゃなくてミツビシの方だよな?)の場合はそれ以前に,エンジンが載っけられなさそうだが.

 また,F-1自体の設計がスーパークルーズを前提としてない.
 F-1だと長い間超音速で飛行してると,外板が熱でへたってくる恐れがある.
 何よりも構造材自体がヤバくなる.
 空中分解するかもしれんね,そんな無茶なことをやったら.

軍事板



 【質問】
 素人考えで,機体形状は現状存在する戦闘機であれば当然,技術者が考え抜いたものだから,あとはエンジン推力とそれに耐えうる機体強度さえあれば,スーパークルーズは可能なのかと思っていたのですが違うのですか?

 【回答】
 そのへんはピンキリだから.
 設計思想以前(本当は以後だけどね)に,航空機の設計開発技術ってのは国によって,企業によって相当の開きがあって,均一化されたレベル,というものは今でもない.

 ぶっちゃけ日本は先進国の中でも航空機,それも戦闘機を開発設計する能力はかなり劣ってる.
 個々の技術については世界最先端だったりするが,総合的な開発技術力は先進国の中では最低クラス.

 三菱F-1はそんな日本の,それも航空技術以外でもようやく世界の先端に追いつきかけた頃の技術で設計されているんで,はっきり言うと同世代のアメリカの戦闘機なんかと比べると一世代以上古くて遅れてた.
 なので,エンジンだけ最先端のものにしてもそんな高性能には出来ない,
 というか,最先端のエンジン積んでその性能を100%生かせるような機体のキャパシティがない.

軍事板


 【質問】
 F-4ファントムより新しいF-1の方が,先に退役したのは何故ですか?
 F-4EJ改のように寿命延長しなかったのは何故ですか?

 【回答】
 代替機が有るから.
 自動車でも他の機器でもそうだけど,古い機種を無理して保守整備して使うより,新しいの買った方が安上がりなことは往々にしてあるのよ.
 その時々でケースバイケースでやってるだけだろう.

 そもそも新しいと言ったって,F-4EJの初号機納入が72年.F-1は77年.
 機齢としてはそう変わらん.

 F-1の機体は元々,艦上機として造られたF-4と比べて脆弱で,特別塗装を行う場合にも外板の薄さが問題になってたから,その辺の絡みもあるだろう.
 更に言うなら,F-1の退役時期は,もともと配備開始時に予定されていた事なので.

 また,80年代中盤頃から機体の疲労や損傷を探査する技術が急激に進歩して,それまで理論値+安全係数で算定していた機体の命数が,より実測値に近い形で求められるようになった.
 結果F-4,F-15の機体命数が飛躍的に伸び,戦闘機の機数にかなりの余剰を発生させる事となった.

 そこへFS-X選定問題の煽りで,F-1~FS-X(F-2)の間に,F-4改を中継ぎで投入する案が浮上したという訳.

 要するに,
「戦闘機の全体の機数としては,将来的にだぶつきが予想される」
 ↓
「しかし,要撃機勢力の質的維持の観点からは,今まで通りF-15Jの生産/配備を続けるのが望ましい→F-4余剰」
 ↓
「F-1後継機の開発遅延からFSの減勢が起こるのは確実なので,その間を延命したF-4で補完」

という流れ.

 あと,F-1は機体規模やら構造やらの問題もあるし,そもそもアンダーパワーが問題になってたから,延命工事を行うのは色々と無理がある.

 なお,F-1も寿命延長してる.
 当初予定の3500時間から4050時間になってる.

軍事板,2007/08/07(火)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 自衛隊の陸海空の連携について質問です.
 自衛隊は映画のアメリカ軍みたいに

前線指揮官「上空の飛行機,全弾ここにキボンヌ,俺が責任を取る!」

パイロット( °Д°)つ全弾「AWACS,全弾行きます,タリホー!」

……な感じでパイロットと直通で支援してもらえるんでしょうか?
 それとも

陸自前線指揮官「上空の飛行機,全弾ここにキボンヌ,俺が責任を取る!」

後方基地の陸自無線係「……との依頼が来ておりますが?」

基地の陸自の偉い人「そういうわけで爆撃頼むyo!]

基地の空自の偉い人「んじゃあ二階の空自の無線係のとこ行ってくるわ」

後方基地の空自無線係「だそうですので,伝言お願い」

どこかの航空総隊司令部「よっしゃー,AWACSに電話汁!」

AWACSの中の人「そういう訳で,おまいの下に全弾投下だって」

パイロット( °Д°)つ全弾「AWACS,全弾行きます,タリホー!」

……なんでしょうか?
 教えてください.

 【回答】
 「CAS」は陸自演習でも後者に近いなら「近接航空支援要請書」なる,空自に対する定型書類もあって,「弾種・弾数」の指定もできる.
 ただ米軍並の上空待機となれば,事前の協定を詰める必要もあるだろう.

 現場の例では,CASのコントローラ(空自パイロット)が陸自の空挺某小隊に同行.
 小隊の携帯対空無線機(AM)を使用してファントムの近接航空支援を行った演習例もある.

 陸自単独の演習でもヘリを空自機に見立て,陸自隊員が無線でCAS誘導をやる例もあった.
 やろうとする陸自部隊は限られるが(笑)

 しかし,陸自の現場,前線部隊から空自の現場,最寄の基地までは直通で連絡が出来ないし,指揮系統も要請出せるようになってない.
 これは「意思がない,能力がない」というよりも,自衛隊にそういう事を行う体制が整ってないし,そういう事が必要になる事態が今まで発生しえなかった,あるいは起きないような防衛計画を進めてきたから,と言った方がより正しい.

 というか,陸自が日本国内でCASを必要になる事態というのは,敵の戦闘機が領空に侵入している状況であり,空自が航空優勢を得られているかどうかが怪しい,
 あるいは空自は侵入機に対処で手いっぱいで,陸自の支援なんかに回せる余裕がない.

 だからどちらかというと,陸自が自前で対戦車ヘリ隊にでもCASをやらせた方が良い.

軍事板


 【質問】
 那覇の第6飛行隊のナンバーが一桁なのはなんで?
 他の飛行隊は第201飛行隊だとか三桁ナンバーなのに.

 【回答】
 空自の飛行隊は当初は第1飛行隊から始まる通しナンバーだったの.
 それが後に変更されて,百の位が機種を表す現在の表記に変更された.
 んで,F-86を装備してた一桁表示の飛行隊は,その多くがF-104やF-4の飛行隊に改変されて消滅したが,3個飛行隊は支援戦闘機部隊として残された.
 んで,その後はナンバーを変更することなく,F-1やF-4,F-2が受け継いでいるということ.

軍事板
青文字:加筆改修部分

▼ なお,第6飛行隊は築城(第8航空団)基地であったかと.
 那覇は302飛行隊(<第83航空隊<南西航空混成団)ですよ,確か.
 あと一桁なのは,三沢(第3航空団)の第3と第8だけであったはずです.

鉄底海峡 at 2009年01月15日 08:53,n 「軍事板常見問題 mixi支隊」
青文字:加筆改修部分


◆◆◆◆◆F-2


 【質問】
 もしF-2を日本独力で開発していたら,高性能戦闘機を開発することはできたの?

 【回答】
 1980年代には日本の航空技術力も,なんとか世界と肩を並べるレベルにはなってた.
 1970年代前半の技術で開発されたF-16をベースにしてるんだから当然,そのレベルで純国産すれば,1970年代の設計のF-16を上回るものが出来てもおかしくはない.

 ただ,エンジン技術の蓄積と,超音速風洞の不足で純国産にしたらしたでかなりの苦難の道が・・・.
 また,個々の要素の技術者の実感としては「日本だけでOK」なんだろうけど,戦闘機設計の経験値が少ない日本が,個々の要素を総合的にまとめる点では,まだまだ当時の日本の航空産業未熟だったと思われる.
 そもそもエンジンは輸入という声は当初からあったし・・・.

 しかも,その時アメリカはATF(後のYF-22とYF-23)の開発計画を進めてたことを忘れてはならない.

 もし仮にFSX(F-2)と同じ頃アメリカの戦闘機メーカーに
「いくら金掛かってもいいからアメリカの戦闘機設計技術で作れる最高峰のものを開発してくれ」
と丸投げしたら,(アメリカ議会が最先端技術を他国の以来品に惜しげもなく使うことを許せば,だが)F-2をはるかに凌ぐ性能のものが出来あがっただろう.

 ともあれ,要求されるものが「対艦ミサイル4発積んで行動半径450浬」という時点で,どのみち偏頗な戦闘機になるのは間違いない.

 まあ,次のF-3に期待だな.
 F-2で培った技術は無駄にはなってないはず.
 それまで日本が苦手だった要素技術と,それらをまとめ合わせる統合技術は,F-2の開発で格段の進歩を遂げたはず.
 次のF-3こそは純国産で……と望みをかける価値はあるはず.

軍事板


 【質問】
 アメリカは,フランス,イギリス,イスラエルの核武装は援助したのに,日本の戦闘機開発は妨害したのはどうして?

 【回答】
 なんで核武装の話になるのかはわからんが,イギリスとカナダはアメリカと共同で核開発をしている.
 フランスは,そのアメリカとの対決姿勢をとる中での核武装の選択なので,アメリカの援助は無い.
 イスラエルは公式に核武装を表明していない訳だが,そのイスラエルの核開発においてのパトロンは,スエズ動乱で茶番のシナリオを書いたフランス.

 アメリカが,意図して日本の「戦闘機開発」を妨害したことはない.
 戦闘機だ開発だと言う以前に,敗戦国に対しての航空禁止が10年あったこと,そのタイミングがプロペラ機からジェットへの転換期だったために,技術格差がより顕著になったことなど,戦後の再スタートで大きく水を開けられてしまっている.
 だからといって日本は,それを埋めるための莫大な投資ができるわけもなく,ことエンジンの遅れは致命的で,T-1も国産予定が間に合わず,PS-1,C-1,T-2/F-1と海外製のエンジンに頼ってきた.

 木村秀政は航空機開発において,
「日本の機構ではアメリカと勝負にならない」
「日本の気候ではアメリカと勝負にならない」
と断言している.
 アメリカがどうこうという陰謀論以前の問題が,山積しているわけだ.

 F-2とてそれは同じで,国産案の時点で海外製エンジンのライセンス取得が大前提だったし,その国産案がF-1の更新に間に合うかといえば,スケジュール的に無理であり,改造開発になったときでもアメリカは,
「好きな飛行機を選んでいい」
と言って,日本は一番新しい技術を使っているF-16を,改造母機に選んでいるのだから,それをして妨害と言えるのかどうか.
 邪魔するつもりなら,完成機しか売らないと言えばいいだけ.

ふみ ◆Y.QUKJBduY in 軍事板,2010/10/30(土)
青文字:加筆改修部分

▼※ 青字で訂正してるけど,「気候」で合ってるよ.
 『航空情報』の連載で,木村自身がそう書いているんだから.

in FAQ BBS,2011/5/6(金) 6:27
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 石原慎太郎氏の「宣戦布告 『NO』といえる日本経済」に,国産支援戦闘機FSXの設計プランを出したら,アメリカがその性能に驚き,圧力をかけて無理やり共同開発にした,と書いてあったのですが,本当でしょうか?

 で,共同開発したFSXはすごいものになったんでしょうか?(初心者改)

 【回答】
 国産FSXとして計画されていたものがどの程度の性能であったかは分かりません.それなりの水準に達していたことは確かでしょうが(また,そう望みますが),正確なところは実機もできていないし,分からない,ということです.

 アメリカが圧力をかけてきた理由は,日本の航空機産業の発展と軍事力の増大を警戒する対日強硬派が中心となって計画を潰しにかかったということのようです.詳細は「ニッポンFSXを撃て」(手嶋竜一著 新潮社文庫)を御覧ください.

 この圧力をはね返せなかったのは,エンジンを人質に取られたのが,大きな要因の一つです.
 日本は当時(今もですが),戦闘機用の高性能なターボ・ファン・エンジンを自主開発出来ませんでした.
 戦闘機の性能の5割方はエンジンの性能で決まってしまいますが,アメリカがエンジンを売らないと言えば,フランスから買うか,自主開発するしか無くなります.
 そうすると,大幅な性能低下を覚悟せねばならなくなる訳でして(仏機が米機の後塵を拝してきたのには,エンジンに足を引っ張られて来た面があります).

 石原慎太郎はFSXが政治問題化していた当時,「エンジンも含め,純国産でアメリカのあらゆる戦闘機の能力を超越した艦載機FNXを日本は開発できる!すべし!」と述べていました.
 その当時,日本にそのようなエンジン開発能力がなかったことは他氏が指摘されている通りです.
 また,艦載機(空母で運用可能な機体)の開発にはそれなりのノウハウが必要であり,ノウハウのない日本が即席で作り上げることができるようなものではありません.
 結論を言えば,石原慎太郎のFSX発言は,事実を調査せずに願望のみから出ているでまかせ発言ばかりです.全てが嘘であると言っても過言ではありません.

 共同開発したFSX(支援戦闘機F-2)についてですが,当初の計画通り完成していれば,一流の戦闘爆撃機機になったのですが,残念ながら,手放しで一流と評価出来る物には成り切れていません.
 まあ,部品は優秀な物を作れるが,全体を纏め上げるシステムが不得手と言うか,経験不足と言うか,日本人の欠点が出た感じです.

<現在指摘されている,F-2の問題点>

1,レーダJ/APG-1の問題
・探知範囲が20nm程度しかなく設計の1/3程度
・探知したターゲットもいきなりレーダから消える事がある
・ターゲットにロックオンするものの急激な機動をするとロックが外れる
下の2つの問題解決のため改修は行われたものの,能力は相当低下したとの事.
大幅な改修が行われるのは予算がついたとしても5年後以降になる可能性が高い.
 現在のところ,原因としてはピトー管とレーダの干渉,プログラムのバグ,根本的な設計ミスなどが挙げられているが,詳細は不明.原因の可能性として僚機のレーダと干渉が原因との見方もある.

2,搭載可能な中距離空対空ミサイルの問題
 短距離の空対空ミサイルに関してはAIM-9およびAAM-3の搭載が可能で問題はないが,中距離空対空ミサイルはAIM-7F(AIM-7Mを搭載してもAIM-7F相当でしか使用できない)のみである.
  アクティブホーミングミサイルであるAAM-4やAMRAAM等の搭載は不可能であり,20年以上前のAIM-7F相当しか使用できない.
 平成15年度からAAM-4およびAAM-5の搭載を可能にするための研究が始まる予定.

3,機体強度の問題
 開発中に発覚した主翼の強度不足の問題は,設計変更により量産機では解決されているとのこと.
 金属による補強を行ったのは試作機のみであり,量産機で使われている新設計の主翼には金属補強はされていないとの事.
 また試作機も量産機仕様と同じ主翼に換装されている.
 その他にも細かいところで様々な強度不足の問題が出た(とはいっても細かいトラブルは機体開発にはつきものですが…)
 水平尾翼・垂直尾翼の強度不足,バフェットなどにより特定の形態で低高度を飛行する際に機体を破壊する可能性のある負荷がかかることが判明.機体制御プログラムの書き換えにより,その特定の形態で,特定の高度を飛行する際機体を破壊する負荷がかからないよう改善した.


 【質問】
 F-2開発当時のアメリカは,一貫して「アメリカからの完成機輸入」を求めていたのでは?

 【回答】
 事実とは異なる.

 日本では完全輸入と国産開発とを』並べてみたが,輸入機はつるしで要求を満たすものが無い.
 だから改造開発という選択肢が出てきた.
 米機だけじゃなくパナビアにも,改造開発の可能性については問い合わせをしている.

 レーガン政権下ではアーミテージ国務次官補などの知日派も
「今ある戦闘機ならなんでも選んでいい」とした上で,「それで能力が足らなかったら,改造開発の便宜をはかるよ.
 ただ,こっちの見積もりだと開発費6000億くらいなんだ.
 1650億なんて無理」
と言っていた.

 F-18が一時優位だったのは,MD(マクダネル・ダグラス社)が改造範囲を大幅に認めていたから.
 しかし技術的には元が艦載機で無駄の多いF-18や,ライセンス生産しているF-15よりも,F-16のほうをやりたかった.

 FBWのソースコードの供与拒否だのエンジンのライセンス拒否だのが出てきたのは,ブッシュ政権になってからで,つまりはF-16の改造開発が決定された後のことである.

 F-2については,被害妄想 and/or 日本万能万歳 的な部分があるからなあ.
 F-16をE/Fにするだけでどれだけの金と努力が必要だったことか.
 それでもクランクドウイングのXL案は結局ぽしゃったし.

「無事飛んで良かったじゃないか > F-2」
ってのが正当な評価じゃないかと.

 余談になった.
 すまん.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 F-2はレーダの性能不足により,アラート待機は日の出から日没までに限定する事を検討された,というのは本当か?

 【回答】
 2004年3月19日から第3飛行隊がF-2による対領空侵犯措置任務の警戒待機につきました.
 この時点で日の出から日没までと言う時間帯を限定したと言う報道及び発表は無く,また北空司令官によるORI(戦闘能力点検)を終えており,時間帯制限の問題は確認されていません.
 むしろ現在では夜間での低空侵攻能力を高めるためのFLIRのインテグレーションも始まっています.

 【参考文献類】○Mitsubishi F-2
http://www10.plala.or.jp/strgzr/aircraft/f2/f2.html

 2004年3月19日から,第3飛行隊がF-2による対領空侵犯措置任務の警戒待機につきました.
 約1年間にわたる錬成訓練を経て,平成16年2月に北空司令官によるORI(戦闘能力点検)を終え,対領空侵犯措置任務が付与されたとのこと.

○航空ファン2004年12月号
 後に強度不足や搭載レーダーなどに問題が生じたが,同団(飛行開発実験団)など関係組織の努力により,諸問題を克服している

○J-Wing2007年2月号
 ナイトフライトへ向かうF-2戦闘機の写真が.

○youtube
 画質は悪いですが,↓のMADの1分20秒~30秒辺りに夜間に離陸するF-2の映像があります.
http://www.youtube.com/watch?v=KkFRbDE1pOM

 やはり具体的かつ信頼のおける資料が無い以上,アラートが昼間限定と言う説には無理があると思われます.

オッポレ in FAQ BBS


 【質問】
 今朝の産経新聞の記事『やばいぞ日本』でF-2について書かれていたのですが,色々疑問に思ったので,ここで質問させてください.

 記事を要約すると
1. F-2は対艦ミサイルを4基搭載すると主翼が大きく振動する欠陥が治っていない
2. それを中国軍幹部にも知られている
3. F-2は支援戦闘機ではなく迎撃戦闘機として使用(運用?)されている
4. F-2はF-15Kには戦闘力で劣るので竹島の制空権は失った
5. F-2は支援戦闘機として完成までにはあと60年かかる

 以上の5点はどれも正しいことなんでしょうか?

“やばいぞ日本” 中国軍に知られたF2の欠陥…失敗認めぬ“官僚風土”
産経新聞,2007/7/14


「F2の弱点は隠しても無駄だ.中国軍幹部にも知られているんでね」
 航空自衛隊元幹部が重い口を開いた.
 F2は総額3700億円以上を投じ,米国の戦闘機F16を土台に日本の誇る先端技術を取り込んだ「日米共同開発」の産物だ.

 1990年に開発を始め,対地・対艦用の支援戦闘機として設計されたが,対艦ミサイル四基を搭載すると主翼が大きく振動する欠陥が直らない.
 支援戦闘機としては失格でも,爆弾を積まなければ自由自在に舞うことはできるとの理由で,迎撃用戦闘機用 として航空自衛隊三沢基地などに配備されている.
 しかし,戦闘能力についても
「F2は韓国のF15Kに劣る.竹島の制空権は失った」
と空の勇者たちは嘆く.

 2004年当時,石破茂防衛庁長官は
「国民に説明できないものは買わない」
と調達打ち切りを言明した.
 防衛省は当初予定141機だった総調達計画数を最終的に94機まで削減し,今年度を最後に購入は終了する.
 だが,いまなお「失敗」を認めようとしない.

 防衛省技術研究本部の秋山義孝事業監理部長は
「航空幕僚からのより高度な要求を満足させるため,今でも改良を重ねている.失敗だとは思っていない」
と強調すれば,航空幕僚幹部は
「置かれている条件からすれば妥当な成果を出せた」
と慎重に言葉を選ぶ.

 F2の悲劇はミスを取り繕うことから始まった.
 1990年代,防衛庁とメーカーの技術陣は「ニュー零戦」の野望に燃えていた.
 日本の技術である炭素繊維複合材を主翼に採用する挑戦が始まった.
 ところが強度不足で,所定の超音速で飛行すると主翼が付け根からはがれてしまう.設計が悪かったのだ.

軍事板

 【回答】
 1 開発が難航したのは事実だし,量産化後も不具合が次々発覚して,そのたび改修されている(新型機はみんなそうだけど).
 機動制限はあるが.

 2 1は公開情報なので,当然中国軍の情報担当者は知ってるだろう.
 普通に当時の新聞に出てるので,知らない方が不思議.

 3 第3航空団の任務には対領空侵犯措置も含まれている,F-4EJ改やF-1と同様,F-2もアラート任務に(も)就いている.
 といってもスクランブルに使われてるだけ.
 イギリスではホーク練習機ですらスクランブルしてる.

 4 仮に空自戦力が三沢のF-2しか残されていないなら,戦闘能力以前に作戦半径的に竹島上空でのCAPは困難だねぇ.
 でも,それはF-15Kのほうが深刻な問題だし,小松,新田原,築城にはF-15も居るよ.

 5 意味不明..すでに実戦配備されている.
 もっとも,この先F-4EJ改のように,時代に応じた改修を重ねて機体寿命の限界までこき使われれば,最終形が完成するのは60年後かもね.
 それって,超傑作機であるって意味だけど.

 なお,産経は特亜の脅威を煽る傾向があるので注意を要す.

軍事板

 ※ この項,今後も回答文増強予定.


 【質問】
 『図説世界の「最悪」航空機大全』という本を立ち読みしてチェックしてきました.
 F-2は双発のF-15と重量が同じなのに,エンジンは一基だけ,というデタラメが記載されていて,すぐに本を閉じました.
 F-2は空虚重量9.5トン,F-15は12.7トンなんだが・・・

 調べてみると,F-2の空虚重量を12トンとデタラメを紹介するサイトが,日本語権にも英語圏にも幾つか見当たりました.
 Wikipediaの記述は日米とも正常でした.

 一体,何処の誰がデマの元凶なんだろう?

JSF in 「軍事板常見問題 mixi支隊」,2009年06月08日 02:28

 【回答】
平成20年度LCC管理年次報告書(防衛省装備施設本部):空虚重量約10t
朝雲装備年鑑06-07(朝雲新聞):空虚重量約10t
日本の軍用機(イカロス):自重12,000kg
航空自衛隊F-2(イカロス):空虚重量9,517kg
戦闘機年鑑05-06(イカロス):空虚重量9,527kg
航空機名鑑ジェット時代編下(KOEI):自重12,000kg
自衛隊装備年鑑(KOEI):自重12000kg

 イカロス二つ目から推測するに,12tという数字は空虚重量+機内燃料重量と思われるモサリ.
 勿論そんな数字を自重=empty weightと呼べる訳が無いモサリよ.
 そして,この手の趣味誌で書いてるライターが元凶と推測するには,十分過ぎるほどの根拠が,オイラの知ってるだけで幾つもあるモサリ.
 何処かの技官さんや,大きなもっさりさんなら,更に多数挙げられる筈モサリね.

モッサー=ハルゼー in 「軍事板常見問題 mixi支隊」,2009年06月08日 19:47

――――――
756 名無し三等兵[] 投稿日:2009/06/20(土) 22:18:35 ID:0iEWcBb3

 今日発売された航空情報にキヨの記事が出ていたが,
・F-2はアメリカから,ベトナム戦争時の空戦データーの提供を拒否されたので,まともに開発できるわけがない,
・対艦ミサイル4発搭載という機能は,国産開発にするためのごり押しの設定だ,
・対艦ミサイル4発搭載して実戦に即したミサイル発射訓練をしていない,
・フェイズドアクティブレーダーは規定の性能に達していない,しているならF-15改修型に搭載されているはずだ,
・F-2を改修していくより最新型のF-16を購入した方がいい,
と言うようなことが書いてあった.
 キヨの書いたものがそのままジェーン年鑑に載ると思うと憂鬱になった.


760 名無し三等兵[sage] 投稿日:2009/06/21(日) 00:45:57 ID:???

 ネットのつっこみに涙目で反論してるのか.

――――――軍事板

 今月の『航空情報』と『エアワールド』は,某氏(笑)が寄稿しているようだから買わないと.
 某氏の活躍を見ると,この擬似軍事評論家の劣化具合は素晴らしいですねー

CRS@空挺軍 in mixi,2009年06月21日01:07

 上記の擬似軍事評論家を元凶とする意図は毛頭ありませんが,参考までに.


 【質問】
 F-2はASM-1/2を4発搭載可能なはずであるが,試験飛行が専門の岐阜では4発積んだ姿が目撃されているが,実戦部隊のある三沢では,ASM-1/2を4発積んだ目撃例が皆無.
 練習はすべて2発積んだ状態で行なわれている.
 4発搭載には何らかの問題があるのでは?

 【回答】
 517号機(三沢),519号機(三沢→築城)等がASM-2を4発搭載して飛行しているのが確認されています.

 常に最大負荷で連日訓練すれば少なからず寿命にも影響するでしょうし.
 いずれにせよこれをもって何か問題が有ると判断するのは早計では.

 以下,ソース.

○TAC Photography
http://www.tac-photo.com/top.htm
より

517号機,519号機
http://www.tac-photo.com/photo/f2-3sq-001.jpg
http://www.tac-photo.com/photo/f2-3sq-003.jpg

○F-2戦闘機と飛行機に関する情報
http://www.f2-supporter.net/
より,築城基地配備の519号機
http://www.f2-supporter.net/F2info/F2A/pict/F2A_pict_519_05.jpg

○軍事研究2006年10月号別冊 新兵器最前線2 「空自F-Xとスーパーマルチ戦闘機」 より
12ページにASM-2を4発搭載し飛行中の洋上迷彩F-2の写真
(型番は判別不明.一緒に映っているもう一機は521号機なので三沢所属と思われる)

 なお,平成15年度からAAM-4およびAAM-5の搭載を可能にするための研究が始まる予定.

アクティブ・電波・ホーミングミサイル搭載に関する研究が進行中.
http://www.jda.go.jp/j/info/hyouka/15/jizen/youshi/10.pdf
http://www.jda.go.jp/j/info/hyouka/15/jizen/honbun/10.pdf

 平成20年度に試射を予定.

オッポレ in FAQ BBS

 ASM4発と600gal増槽を積んだいわゆるFS形態だと重量は20トン超.
 これだと"着陸"重量を余裕でオーバーしちゃって,離陸直後にトラブった場合は色々と投棄せざるを得ないので,通常の訓練時は積まんのではねーかしら?,というのがFSスレッドで出ていた.
 そら,平時じゃ増槽落っことしただけでも大量の書類書かされるし,訓練弾だってシーカーは本物で高いしで,そんなリスク抱えて飛びたくは無いだろうなぁ.

 あと何時だかの「ASM4本と増槽2本抱いて水平旋回するF-2」の映像
http://www.youtube.com/watch?v=v5l3eDoyqLA

CHF in FAQ BBS


 【質問】

――――――
 アメリカ海軍のF-14トムキャットも,AIM-54フェニックス対空ミサイルを6発フル装備だと重くなり過ぎて,空母の甲板強度の問題から着艦できなくなるので,通常時は4発以下を携行して任務を行っていました.
 F-2も同様な運用制限があったとして,もおかしくはありません.

http://obiekt.seesaa.net/article/48394774.html
――――――

 F2は艦載機だったのか.自衛隊に空母があったのか知らなかった.
 JSFは物知りだな.

>>対艦,対空とも実戦能力に乏しい,しかも価格は高い.

>対艦・・・「対艦ミサイル4発と増槽2本を抱いて大バンク角での旋回を行うF-2支援戦闘機の映像」

> 対空・・・「USFJ Commander takes a spin in Japan's new F-2 fighter」

> 対地・・・「日米共同「コープ・ノース・グアム」終わるF-2初の対地実爆」

> 何処が実戦能力に乏しいのですか?
> 具体的に指摘してください.

 実際に4発の対艦ミサイルを搭載したミッションの演習もしたことなく,ましてやミサイルを発射することもなく,米軍高官のリップサービスを「公式見解」と捏造しておいて,それが実戦能力を証明してると強弁している.
 タダの国産虫だな.

 【回答】
 揚げ足取りにもなってねえし…

 お前さぁ…もう黙っとけよ…

 最大着陸重量ってのがあってな,旅客機でさえ国際線で燃料満タンにしてたら,そのまま降りることは出来なくて,緊急時は上空で燃料捨てる.
 戦闘機や攻撃機でも,兵装が最大着陸重量を過ぎた重量で降りれる訳ないじゃん.

 F-14の例は,フェニックスミサイルの値段が当時の西側空対空ミサイルの中でもトップクラスで,それを海に捨てるっていう,軍オタのなかではとてもよく知られた事例なわけで,それを例に挙げてるに過ぎない.

>実際に4発の対艦ミサイルを搭載したミッションの演習もしたことなく

 ASM4発+増槽2本積んで,派手な機動してるがな.

小牧基地C-130,UH-60,U-125A,F-2‐ニコニコ動画(ββ)
対艦ミサイル4発と増槽2本を搭載したF-2が,離陸直後の捻りやハイレートクライムでベイパーを曳いている場面がある.

>タダの国産虫だな.

 だから当時,世界のどこに自衛隊の要求を満たす機種があった?
 F/A-18Cは対艦ミサイル4発積めないし,行動半径短すぎ.
 トーネードも同じ.

軍事板,2009/04/11(土)
青文字:加筆改修部分

> 実際に4発の対艦ミサイルを搭載したミッションの演習もしたことなく,
>ましてやミサイルを発射することもなく,米軍高官のリップサービスを

 あのな,何で4発搭載がF-2導入の必須だったか理解してないだろ.
 当時の既存機で,対艦ミサイルを4発も搭載できる機体が無いってのが,国産を始めた理由.
(搭載量のほかに,べらぼうな航続距離もあった)
 つまりこの条件を満たせなければ,国産化は失敗,海外既存機の輸入orラ国になってたはず.

 ちなみに対艦ミサイルを4発できるからと言って,常に4発積む訳じゃないのに注意.
 原則としてF-2がミサイルを4発搭載するのは,「目標が基地から近場の場合」.
 実戦でも目標が遠い場合は,2発搭載が標準になるはず.

たいちょー翼が取れました!@職探し ◆colbOqlL7. in 軍事板,2009/04/11(土)
青文字:加筆改修部分



 【珍説】
>http://www.nicovideo.jp/watch/sm5146626
>対艦ミサイル4発と増槽2本を搭載したF-2が離
>陸直後の捻りやハイレートクライムでベイパー
>を曳いている場面があります.

 アクロバットと実戦が違うことが,分かっていない.

 【事実】
 実戦よりアクロバットの方が,激しい機動をするんだけど.
 ・・・まさかこんな基本的な事が分かっていない?
 ミサイル4本に増槽を2個も積んで,アクロバット機動できる事の方が驚愕だぞ?

 もう一回動画を見て考えを直せ.
 これからも笑われ続ける気か?

小牧基地C-130,UH-60,U-125A,F-2‐ニコニコ動画(ββ)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm5146626
>対艦ミサイル4発と増槽2本を搭載したF-2が離陸直後の捻りや
>ハイレートクライムでベイパーを曳いている場面があります.

軍事板,2009/04/12(日)
青文字:加筆改修部分



 【質問】
>4発積んで飛んでる画像があるのに

4発積んで飛んでる=ミッションに沿った訓練ですか.そうですか.

まあ君たちがいくら強弁しても,F2が4発の対艦ミサイルを抱いて,
実戦的な条件でミサイルを発射する訓練を行ったことがないのは事実だ.

つまり想定されたミッションをこなせることは証明されていない.
そのF2を親分のJSFは成功作と褒め称えているわけだが.

 【回答】
 4発積んで,実戦より激しい機動を行って見せてるんですが何か?

小牧基地C-130,UH-60,U-125A,F-2‐ニコニコ動画(ββ)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm5146626
>対艦ミサイル4発と増槽2本を搭載したF-2が離陸直後の捻りや
>ハイレートクライムでベイパーを曳いている場面があります.

 対艦ミッションで,激しい機動を行うと思ってるんだろうか?


244 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 2009/04/12(日) 01:01:24 ID:???

 あれだ,例えばAD-1スカイレイダーで魚雷3本積んだまま戦闘機と戦うつもりなんだよ,>>236は.

軍事板,2009/04/12(日)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 空自の三菱F-2のユニットコストは一機当たり120~130億円と聞きましたが,それだけの価値や持つ意味はあるのでしょうか?
 同じだけの金額を出せば,他国からそれ以上の性能の機体を手っ取り早く購入できないでしょうか?

 【回答】
 『中国的天空』という本があるんですが,日本と中華民国と上海から南京,重慶と日本海軍航空隊と中華民国空軍(だったと思う)が航空戦やって日本が勝利を収めるに至った根本的理由は,日本には基礎工業力でまだまだのところがありながらも一応,航空機を自国内で設計,開発,量産する体制が整っていたのに対して,中国はまだまだ工業がその段階に達せず予算が組まれても外国から の輸入に留まっていたことがあげられています.

 F-2やF-1自体が非力であろうと,レーダーがぼろでコンクリをかわりにのっけてたほうがましであろうと,(これはイギリスのトーネードで実例があります,レーダーの開発が追いつかなかった時期があった),自国開発の意義は大きいのです.

 それに,空自のほかに対艦ミサイル4発積んで戦闘行動半径450浬などという機体を要求した国がなかったということもあります.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 F-2が生産中止になっちゃった理由は,性能の割に高価だったから?

 【回答】
 でもF-16の最新型Block60を購入した場合と,さほど変わらないのですよ.
 まぁ,こちらは不具合の心配をしなくてもいいわけですが・・・

 さて,それではF-2について以下の記事を見てもらいましょうか.
 米軍準機関紙「Stars & Stripes」(星条旗新聞)に載った,F-2対F-16によるDACT(異機種間戦闘訓練)についての記事です.

――――――
■USFJ Commander takes a spin in Japan's new F-2 fighter [July 8, 2004 Stars & Stripes]

The U.S. commander said he was impressed with the F-2, which is designed and built by the Japanese. The aircraft has some capabilities “that our aircraft does not,” Waskow said, mentioning the Active Electronically Scanned Array radar, which has three times the range of a conventional antenna.

 アメリカ第5空軍司令ワスコー中将は
「日本が設計したF-2に感動した.
 我々の(F-16)には無い幾つかの能力を持っている」
と,AESA(Active Electronically Scanned Array radar)を優位点とし,それは従来のレーダーに比べ3倍の捜索範囲を持っていると言及しました.
――――――

 ベタ褒めしてるね.

 でもレーダーの不具合は,日本国内で確認出来る範囲では,直ってるという話を聞かないんですよね・・・〔2005年2月現在〕

 元々レーダーそのものは悪くないのです.
 機体に載せてみたら具合が悪くなったと言う事なので,何処かが干渉しているんでしょう.


<以下,コメント欄>

 実際,対艦攻撃機としては優秀だと思いますよ.
 地上目標を爆撃するには空自の弾薬庫のバリエーションが足りないから,多少能力不足かな?とは思いますけど.
 てゆーか,JDAMやGBUが弾薬庫にいっぱいあるのは米軍だけでしょうけど.
 〔略〕
(2005年02月14日 22時13分06秒)

774三等水兵

「週刊オブイェクト」,2005年02月13日
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 F-16の利点ってコストパフォーマンスのはずなのに,何で空自はわざわざF16を改造してF2なんて馬鹿高いものを調達したのですか?
 F2揃えるくらいなら,より高性能のF-15をもっとたくさん揃えられるんじゃないでしょうか?

 【回答】
役割が違う.F-2は支援戦闘機で,迎撃任務の他に対艦ミサイルによる攻撃が可能なことが求められる.
F-15Jは基本的に単能戦闘機なので,いくら揃えてもF-1やF-2の代わりにはならない,
F-15CやEなら対地攻撃能力はあるが,対艦ミサイルを積めないので,改修費用でそれなりに価格は上がるだろう.

 また,FSX開発の目的は,新鋭支援(攻撃)機の入手の他に,国内航空産業の育成と言う目的も有りましたので,既にで勝手知ったるF-15の改造機より,F-16を改良した方が得られる物が多い,との判断でした.
 実際,FSX計画の最終段階ではF-15改造案ってのも有ったが,コンフォーマルタンク付けてFCSを弄るだけでOKなので,「技術水準の向上に繋がらない」って理由で却下.

 尚,価格の件ですが,F-15Eがアメリカ空軍に納品されている80億円という価格で日本が購入出来る訳ではありません.FSX選定時に日本に提示されていた価格は,約150億円との事.F-2よりも高いです.


 【質問】
 F-2は,なんでF-16を素材に選んだんでしょう?
 F-16以外を基にすることは考えてなかったんでしょうか?

 【回答】
 日米共同開発するとした時点での母機の候補は,F-15・F-16・F/A-18でした.
 民間側(日本メーカー側)での調査報告ではF/A-18を母機として適当としていましたが,最終的にF-16が選定された理由は,コスト(F-15改造に比べ)と改造範囲が広く日本の技術を多く盛り込めるとの事でした(まあ苦労を金出して買ったとも言えなくも有りません).

 また,F-15が選ばれなかった理由にはライセンス生産である程度技術蓄積があるからと判断した為.航空技術を蓄積する為に敢えてF-16を選んだとも.

 F/A-18は比較的小型で双発である,と言う以外では空力的素質が悪く(抵抗が多い),防衛庁の航空族や空自幹部に嫌われていた,と言う面も有ります.
 F/A-18はE/Fに成っても,エンジンのパワーアップで何とか誤魔化している状態で,改造しても思うように航続距離は伸びず,加速性能もダメダメなのは,この素質の為です.
 ひるがえって,離陸してすぐ音速近くまで加速出来るF-2はその点優秀と言えるでしょう.


 【質問】
 F2の調達が中途で終わってしまいましたが,そもそも性能要求はSAM4発運用と作戦行動半径の2点だったと思うのですが,当時はF16のCFT仕様という発想がなかったのでしょうか?
 まぁ政治的判断なんでしょうけど.

 【回答】
 あったよ.実際アメリカ側,というかメーカー側から提案もされてる.

 でもその時は
「F-16は小型過ぎてどう改修してもダメだ」
という扱いだった.
 まぁ,これは日本側が
「できれば国産で.完全でなくとも設計は国産のオリジナルで.
 アメリカ機をベースにするにしても機種選定と設計は何とか日本主導で」
という事にこだわってたせいでもあるけど.

 結果,「アメリカのF-16を,日本側の要求に従って,日米共同で改修設計」というところに落ち着く.


 【質問】
 FSXのベース選定時に,F/A-18は候補には挙がらなかったのでしょうか?
 住宅密集地の上を飛ぶことが日常化している空自の機体である以上,エンジン・ストール時のことも考えると,単発機より双発機のほうがよいように思ったのですが,素人考えでしょうか?

 【回答】
 上がりましたが,作戦行動範囲が最大の弱点とされた様でした.
 双発の利点も当然検討されました.
 F-16改とすることが選ばれた時には,「スターファイター・ウィドー」の逸話(F-104戦闘機が,西ドイツで多くの事故を起こし,パイロットの未亡人を生んだが,米国でそのような事は起きて無いので,西ドイツで行われている爆撃訓練が原因と言われ,単発のジェット戦闘機を爆撃に使うと事故を多発すると言う話が広まった.実際は,米国が徹底調査した結果,ドイツパイロットがミスをした結果と判明.爆撃高度が低すぎるとか,機種転換訓練をしなかったとか.それらの改善で終息したそうな.とっぺんぱらりのぷう)を引っ張りだす阿呆もおりました.


 【質問】
 F-2支援戦闘機調達中止の理由に,レーダーの性能不足が指摘されています.
 地上試験やC-1での性能試験での結果は上々だったと聞き,小型の機体に積む際の他のシステムとの擦り合わせに問題があるのではないかと思うのですが,F-4やF-15でのレーダー搭載試験は行われたのでしょうか?

 【回答】
 F-4やF-15にJ/APG-1を積むと言うことは,換装作業と言うことになります.つまりF-4なりF-15なりの機体側と,J/APG-1自体に設計変更が必要になります.
 そしてその結果がどうあれ,F-2にそのままこの「F-4またはF-15搭載仕様のJ/APG-1」を載せることは出来ません.
 従って,F-2に搭載するための予備試験としては全く無意味です.

 大型のC-1であればF-2に搭載するのと同じ状態のままJ/APG-1を搭載して試験することが可能ですので,予備試験として意味を持ちます.

 こう書くと,
「F-4もF-15も,F-2よりは太い機首を持っているからF-2用をそのまま載せられるのでは?」
と思うかもしれませんが,戦闘機のレーダー換装はそんな楽な作業ではありません.

(TFR ◆ItgMVQehA6)


 【質問】
 支援戦闘機=腐っても攻撃機だろう?
 ASM-2の運用母機に徹するという見上げた割切り方(税金の無駄使い)にせよ,何にせよ,21世紀の軍用機にステルス性は必須.
「見つからずに敵を征圧する」というこの一言を実現する為に,無数の貴重な人命と機体が,超低空をはいつくばって失われてきたんだから.
 F-2の就役(ほんとにするのか?)とほぼ時を同じくするF-22ラプターが,戦闘機でありながら最優先でステルスを考慮しているのに,攻撃機がこれでいいのか?

 【回答】
 それは考え方の違いですね.

 ラプターは長距離侵攻もそのミッションに含まれています.
 当然犠牲にされているものがありますね?
 犠牲にされているものがあるが為のステルス性の付与です.

 F2はASM-2の発射母機です.ASM-2の射程はどの程度でしょう?
 その発射高度は?(シースキマーである事は知っていますよね?)

 確かにステルス性の付与はあったほうが良いでしょうね.
 が,その装備重量に対する効果はどの程度なのでしょう?数%?
 攻撃機はVulnerabilityは最大限に考慮されるべきでしょうが,ステルス性を付与するまでの必要性はどの程度あるでしょう?
重量を増やしてまでです.

(軍事板)


 【質問】
 三菱F-2に発生した不具合と,不具合解決までの経緯をご教授ください.

 【回答】
 ざっと調べたところ,この辺りでしょうか.
http://www10.plala.or.jp/strgzr/aircraft/f2/f2.html

これまでの問題点
 ・低空高速でのロール時に,水平尾翼と後胴部が設計荷重を超過しないよう,飛行制御プログラムが改修されたため,一部の飛行領域でロール・レートの低下があった.
 ・シミュレーション試験によって,一部の搭載形態では高迎角時に不安定な運動が発生する可能性が判明したため,これを防止する飛行制御プログラムを設定.この措置で,一部の飛行領域でロール・レートの低下があった.
 ・翼下,胴下のドロップタンクの燃料搭載量が多い場合,低高度高速での急激なロール時に,設計荷重を上回る荷重が機体にかかる可能性が判明.このため,ドロップタンク燃料搭載量に若干の制限が生じていた.

改善策
 ・飛行制御プログラムを調整して,ロール・レートの低下を防ぎつつ,上記問題を改善できる見込みを得た.
 ・胴下ドロップタンクについては,地上強度試験で設計荷重を拡大した.

http://www.wdic.org/?word=F-2+%3AMILI

 ・主翼下に対艦ミサイルを装着した場合,想定よりも低い速度域でフラッターが発生する発生する可能性
 ・抵抗度を遷音速で飛行中に180度左旋回を行なったところ,垂直尾翼に予測以上の負荷が観測
 ・特定条件下における横転性能の改善の必要性,補助翼付け根部付近など主翼の一部強度不足
 ・垂直尾翼へと荷重超過,発電機の過電圧検査センサーの誤作動,予備発電機内の故障など

 APAR関連の記述もありますね

 レーダー関連は詳しい人におまかせします.


 【質問】
 XF-2B一号機のことで質問.
 昔の写真と最近の写真を見比べると垂直尾翼後方が短くなっていますが,他の三機の試作機は今も昔も同じ状態なのに,何故この機だけはこんなことになっているのでしょうか?
ttp://www.f2-supporter.net/F2info/F2B/pict/F2B_pict_101_02.jpg
http://www.f2-supporter.net/F2info/F2B/pict/F2B_pict_101_42.jpg

 【回答】
 F-2試作3号機はスピンテストに用いられたため,スピン回復用のドラッグシュートを取り付ける必要がありました.
 空力や重心位置を大きく変えてしまってはテストの意味がないため,制動用ドラッグシュートが普段入っている部分が切り落とされ,そこにスピン回復用ドラッグシュートのケースが取り付けられました.

ttp://hotnyan.web.infoseek.co.jp/hama014-031116v3403-07up1.jpg

名無しAPG●◆yvNqrnvsYY


 【珍説】
『教えて!山田先生 -短期集中軍事講座-第1回』

 〔略〕
 しかし,このF2にも現状では「専守防衛の縛り」がきいています.
 F2はアメリカのF16(航続距離4,000km)を改良した戦闘機ですが,航続距離をF16の約半分(2,000km)にしています.
 つまり,F2は少しの改良で対地攻撃ができるので,航続距離を短くすることで,それをできないようにしているのです.
 〔略〕

 【事実】
 そんなの初耳だよ,ティーチャー.

 「航続距離をF16の約半分(2,000km)にしています.」なんて事実は存在しません.
 山田先生,一体どんな資料を読んだのですか・・・?
 護憲派の皆にこんな嘘を教えてしまったら,護憲派にとって凄く損です.
 F-2の航続距離はF-16に劣るなんて事はありません.
 これは明確な間違いです.間違いを全くしない人間などこの世には居ませんが,これは信じられないミスです.
 少なくとも,素人相手に軍事学講座を開く人間が行って良いレベルでは,ありません.

 ・・・この部分が書かれた周辺の内容も間違いが多いですが,突っ込みを入れる気力が涌きません.
 連載第1回目からこれでは,先が思いやられます.
 これって,編集部に教えて上げるべきなのでしょうか・・・・.
 信じられない事に今現在,検索で「F-16 航続距離」「F-2 航続距離」と入れてみると,「教えて!山田先生」がトップに来るんですよ.あまりにも拙い状況です.

「週刊オブイェクト」,2006/9/11


 【質問】
 F-2の改修計画はないの?

 【回答】
 既に研究がなされてます.
 09年までにAAM-4(新型空対空ミサイル)の搭載研究が終了しますし,10年から改修が始まるでしょう.
 具体的に全部で何機が改修されるかは知りませんが.

(F-2の)アクティブ・電波・ホーミングミサイル搭載に関する研究

 F-2にはあと他に,XGCS-2(新型誘導爆弾)の運用能力が付加される予定です.
(2005年02月14日 14時48分06秒)

ゾラック in 「週刊オブイェクト」コメント欄,2005年02月13日付
青文字:加筆改修部分


 【質問】
>F-2はF-16よりも一回り大きく重たいが,改良されたインテイクによって
>その加速性はF-16を上回る~ 
みたいな話がありますが,これはどうなんでしょうか?
 F-16とF-2は現実にインテイクの形状が違いますし,その後,戻す気配がない所を見ると,加速性どうこうとは別で,何かしらの恩恵があると思うのですが.

 F-16よりも,より低空を飛ぶための処置とかそういう感じなんでしょうか?

ナッシュ平蔵

 【回答】
 ソースがウィキなんでアレなのですが,J/APG-1搭載に伴う,機首のレーダードームが大型化した事が発端だったとかで.
 LM社は“そのままでOK”と言ったのですが,日本側は“改設計の要有り”で,独自に改善案を送り,LM社に審査してもらって採用されたとの事.
 結果,効率が良くなったのかは,薮の中ですが.

新所沢の三等兵◆Uk

以上,「軍事板常見問題mixi支隊」より


 【質問】
 J/APG-1の視程てタイフーンに比べたら短いんですか?

 【回答】
 「同時に10以上の目標を処理でき,対空目標と対地・水上目標の同時捜索も可能で,艦船を約180km,戦闘機を約65kmで探知できるという」らしいですが.

 タイフーンのCAPTORは大型機を300km,戦闘機サイズを160kmで探知でき,20のターゲットを同時追尾し,6個のターゲットと同時交戦できるそうです.
 タイフーンにはCAPTORの後継として,さらに高性能な,AESA化したCAESARが開発されています.

 J/APG-1の要求仕様ではなく,現実の性能が明確でないので,どうも議論になりにくいものがあります.

 J/APG-1がアクティブ・フェーズド・アレイなのだからと言っても,どこまでS/N比を稼いでいるか,素子が安定した発振/受信状態を保てるかが問題です.
 FMラジオはAMより音質がいいと言っても,安物FMは高性能AMより劣ることもよくあるわけで.

 特にAESAでは信号処理,廃熱処理が非常に重要になってきます.
 格闘戦に強いと言っても,それは高速で確実に信号を処理してビームを操作できるからであって,そのあたりのアルゴリズム,ソフトウェア,CPUの性能がネックになると機能は発揮できません.

 まだまだ経験の浅い日本のAESAが,十分練れているCAPTORよりアクティブだから優れているはず,とは言えないでしょう.
 現代のレーダーは発振受信素子システム,電力供給廃熱処理システム,レーダー信号処理システム,戦術目的に合わせた高次の判断システム,パイロットとのインターフェースなど,システムを統合したシステムですから,一部を取り上げても正しい評価は出来ません.

軍事板
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 自称専門家が調達中止の理由として,「F-2は拡張性がない」なんていってましたけどどうなんでしょう?

幽メイト in 「週刊オブイェクト」コメント欄,2005年02月13日付
青文字:加筆改修部分

 【回答】
 ・元から有る高い対艦攻撃能力.
 ・今後の改修で付与されるAAM-4(新型空対空ミサイル)運用能力による,おそらくF-15J改ほぼ同等の対空戦闘能力
 ・今後の改修で付与されるXGCS-2(精密誘導爆弾)運用能力による対地能力向上

 これで不満なら,確かに「拡張性が無い」ですな.
 あと思いつくのは,平壌・北京爆撃に必要な対地ミサイル運用能力くらいですが.
(2005年02月14日 18時43分10秒)

ゾラック in 「週刊オブイェクト」コメント欄,2005年02月13日付
青文字:加筆改修部分


 【質問 kérdés】
 もしF-2生産が継続していたら?
Mi lenne, ha az F-2 gyártása folytatódna?

 【回答 válasz】
>主要装備 F-2A/B|防衛省 [JASDF] 航空自衛隊
>  http://www.mod.go.jp/asdf/equipment/sentouki/F-2/index.html

 2004年の防衛大綱により98機で生産が終了した空自のF-2.
 もしこのF-2が予定通り生産されていたらどうなっていたかを検証してみました.

・ブルーインパルスや飛行教導群の機体が更新されていた

 第4航空団第11飛行隊「ブルーインパルス」はT-4の後継としてF-2に更新する予定でしたが,1995年に見送られました.
 もっとも,見送られただけで計画は存続していました.
 生産が存続していたらF-2ブルーインパルが見られて,曲芸飛行も迫力満点だったはず.
 さらに空中給油も可能だから海外公演も可能だったでしょう.
 また,飛行教導群もF-15DJからF-2Bに更新した事で,少なくともF-15JとはDACT(異機種間模擬空戦)も行えたはずです.

・東日本大震災の時に第4航空団の再建がスムーズに進んだ

 東日本大震災では松島の第4航空団の第21飛行隊のF-2Bが,津波の被害により全機130億円をかけて修理しました.
 F-2の生産が存続していれば,39機の在場/減耗予備機から18機を捻出して,第21飛行隊を早期に再建できていたはずでした.
 在場/減耗予備機の18機をさらに生産すればいいだけの話ですから.

・海外輸出も可能だった

 F-2が生産可能ならば,ロッキード・マーティンはF-2に「F-16〇〇」という名前で海外輸出出来た可能性もあります.
 ロッキード・マーティン社によるアメリカ主導になりますが,日本には初の武器輸出が出来たかも知れません.
 現在そうりゅう型潜水艦やP-1での輸出に苦戦していますが,F-2をF-16〇〇で輸出出来ていたら日本製兵器も注目され,その後の武器輸出にも弾みがついたはずです.

・F-4EJの早期退役を行えた

 F-2要撃型はF-2が生産していればF-4の後継となり,F-4の早期退役が行われていたでしょう.
 今頃F-4は浜松や所沢の航空博物館にひっそりと第二の人生を歩んでいたでしょうし,第四次F-Xの時のような迷走劇も起きなかったかも知れません.
 F-15SJの後継として迷走せず,当時対外輸出が禁止されていたF-22にこだわらず,F-35を早期に選定していた事は間違いありません.

・F-2の2030年退役もなかった

 F-2は2030年に退役が始まる予定ですが,生産が存続していてロッキード・マーティンによる輸出が行っていれば2030年退役開始の必要はなく,改修されながら50年以上は現役でいられたでしょう.
 生産中止で部品製造も縮小されれば,退役が進むのは無理もありません.
 現在第五次F-X選定が始まっていますが,第四次の時のような迷走が予想され,それによるコストと時間の無駄遣いが予想されます.

 このように,緊縮財政を理由にした安易な装備調達中止は,現場に無用な混乱を招くだけでなく,かえって総合的に見てコストすら上げてしまう結果に繋がりかねません.
 政府はコストを理由にF-35をアメリカから直接調達し,小牧のFACOをMRO&Uに改編する事を決定しましたが,アメリカならF-35を派生しながら製造ラインを維持していくでしょうし,必要な整備等兵站支援は日本で行えるのなら問題はないでしょう.

 この2つの事実を踏まえて,第四次F-Xの失敗の轍を二度と踏まないようにしなければなりません.

ねらっずーり in mixi, 2019年03月21日
青文字:加筆改修部分


 【質問 kérdés】
 F-2後継機はどのようなものになりそうですか?

 【回答 válasz】

 防衛省は空自のF-2の開発費の計上を2020年度から始める方針を固めました.
 純国産ではコストが上がるので外国の技術の導入を図る方針で,日本主導とは言いながらも国際共同開発を模索していく事になります.
> F2後継戦闘機,「事項要求」で開発費計上へ : 政治 : 読売新聞オンライン
> https://www.yomiuri.co.jp/politics/20190821-OYT1T50130/

 このうち米ロッキード・マーティン社が提示する,F-22にF-35のセンサーを搭載し,エンジンは国産のXF9を搭載する案は,開発と機体単価のコストが上昇する事から防衛省や空自では否定的な意見がある一方で,英BAEシステムズが提案するテンペストの共同開発では日英防衛当局者が協議を行っています.
 さらにこのテンペスト計画に米ボーイング社も興味を持つなど,状況はテンペスト有利の方向に傾きつつあります.
 テンペストには瑞サーブ社も開発に参加を示しており,F/A-XXでは開発コストを抑えたいボーイング社としては,テンペストに共同開発する可能性は皆無とは言えません.
 また,F-22は輸出禁止がまだ公式には解かれていない以上,テンペスト共同開発以外に道はないというのが現状です.

 テンペストはF-22に破れたYF-23に酷似したステルス機なだけに,YF-23が時空を乗り越えて復活した,という事でしょうか.

ねらっずーり in mixi, 2019年08月24日
青文字:加筆改修部分

 余談ですが,去年英BAEシステムズがユーロファイター・タイフーンの後継機種としてテンペスト構想を発表したのは知っている方も多いでしょう.
 このテンペスト開発にBAEシステムズは日本企業の参加を呼びかけた他,米ボーイング社や瑞サーブ社も接近していると言われています.

> 英次世代機「テンペスト」どんな戦闘機? YF-23似のシルエット,そのコンセプトとは | 乗りものニュース
>  https://trafficnews.jp/post/81063

> 英テンペスト構想に早速ボーイングが関心を示す:航空宇宙ビジネス短信・T2: 軍事航空,海軍関係,安全保障,地政学,ISR
>  https://aviation-space-business.blogspot.com/2018/07/blog-post_21.html

> Boeing wants in on the UK's 'Tempest' next-generation fighter jet - Business Insider
>  https://www.businessinsider.com/r-boeing-would-be-thrilled-with-role-on-new-uk-fighter-defence-ceo-2018-7

 ロッキード・マーティンのF-22にF-35のアビオニクスを搭載し,国産のXF9エンジンの量産型を搭載する案が想定以上のコストがかかる事から,防衛省では難色を示しています.
 この事情からテンペストが注目され始めたわけです.
 このテンペストの開発に日本企業の参加を呼びかけたり,防衛装備庁が資料提供を要請しています.
 BAEシステムズとしては日本からの資金を目当てとしていますが,どうもそれだけではないかも知れません.
 BAEシステムズとしては資金だけでなく,P-1で既存技術としたフライ・バイ・ライトをテンペストの飛行制御装置として導入する可能性もあります.

> フライバイライト - 航空軍事用語辞典++
> http://mmsdf.sakura.ne.jp/public/glossary/pukiwiki.php?%A5%D5%A5%E9%A5%A4%A5%D0%A5%A4%A5%E9%A5%A4%A5%C8

 フライ・バイ・ライトとはそれまでの航空機の飛行制御装置であるフライ・バイ・ワイヤーで用いられてきた電線ではなく,光ファイバーを用いるもので情報転送量の増加と雷や核爆発などによる電磁パルスの影響を受けなくするというメリットがあります.
 実際フライ・バイ・ワイヤーを採用しているF-35では情報量が過多になり,タッチアップディスプレイがフリーズする不具合もある事から,EODASやETOSの搭載による情報量増大に備えて各国ではフライ・バイ・ライトの開発を行っていますが,日本ではP-1でこれを実現させました.

 そうなるとこれは仮定になりますがもしボーイング,サーブ,そして日本企業がテンペストの開発に参加するとなれば,
機体設計:BAEシステムズ
機体構造体・アビオニクス・エンジン:ボーイング
飛行制御:日本企業
整備性:サーブ
という形になるかも知れません.
 また,エンジンは米GEやP&Wの他にも,国産のXF9や英国産のロールスロイス,瑞のボルボのエンジンが搭載されるフリーな構造になる事も予想されます.

 軍事アナリストの小川和久氏によると,純国産のF-1は英仏共同開発のジャギュアのデッドコピーと言われ,空自では11人の殉職者を出した事から,純国産には否定的な見解を示しています.

> 「F-2後継機」の国産は厳しい.軍事のプロが明かした意外な理由 - まぐまぐニュース!
>  https://www.mag2.com/p/news/353541/

 残念ながらこれは正しいと言わざるを得ません.

 一方,日米共同開発のF-2にもかなり辛辣な発言をされていますが,当方個人はそうは思っていません.
 F-2開発は難航したのは確かですが,墜落事故は2件だけで,うち1件は空自の任務中によるものではなく,オーバーホール後に三菱重工のテストパイロットが機体の整備ミスにより墜落したもので,何より死者は今現在1人もおりません.
 F-2は安全性に関しては証明されたと言えます.

 安全性を抜きに軍事作戦は出来ませんし,人命は尊いものである以上,共同開発はやむを得ない判断と言えるのではないでしょうか.

ねらっずーり in mixi, 2019年05月25日 13:24
青文字:加筆改修部分


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