c

「アジア別館」トップ・ページへ

「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ   サイト・マップへ

◆◆◆◆◆◆普天間移転問題
<◆◆◆◆◆沖縄基地移転問題
<◆◆◆◆沖縄基地問題
<◆◆◆在日米軍
<◆◆集団安保 目次
◆日本 目次
東亜FAQ目次

義理んすむからん

ありん捨ららん

思案てる橋の

渡りぐりしや

比嘉鉄也・名護市長(当時)
『決断』(北部地域振興協議会,2008),p.56-57


 【link】

「2ch.軍事板」◆普天間基地は即座に閉鎖せよ ←レス回収済

「finalventの日記」◆(2010/03/13)まあ,これはメモしときますか,普天間問題
「産経新聞」◆(2010/03/13)【鳩山ぶら下がり】日米合意案容認「そんな事実まったくない」

「Heritage Foundation」:(2009.12.15)U.S. Should Stay Firm on Implementation of Okinawa Force Realignment
(沖縄駐留部隊移設の合意履行を求める姿勢を米国政府は堅持すべし)

 13年にわたる対話の結果生まれた合意をこれ以上膠着させることは,同盟関係を傷つけるばかりでなく,世界や地域の安保環境に悪影響しかもたらさない,としています.
 かなりきつい言葉が使われてます.
 新聞論調等を見ても,間違いなく米はいらだってきています.
 米政府の要人が,「日本は支那の属国になったか」と言ったとも聞きました.
 わが国は,日米同盟の意義にあまりに無知に過ぎる気がします.
 わが国にとっても米にとっても利益があるから,日米同盟は存在しえているのです.

 普通の国になったとしても,日米同盟は変わることなく重要ですし,駐留部隊も必要です.
 わが国益と米の国益に合致するからです.
 この天の恵みを,最大限に活用しなければいけません.

 わが国最大の脅威は支那にほかならないのです.

――――――おきらく軍事研究会,平成21年(2009年)12月21日

「kojii.net」■駐留なき安保?

「mixi 『戦争反対!』コミュニティ」:普天間基地の辺野古移設問題について ← レス回収済

「mixi『戦争反対!』コミュニティ」:普天間基地の辺野古移設問題について 2

MOTORISTA in mixi◆

『逆神』神浦元彰の普天間関連の誤神託まとめ

佐藤正久参議院議員(自民党)の普天間問題に対する発言

下地ミキオ衆議院議員(国民新党)の普天間問題に対する発言

田原総一郎氏の普天間問題に対する発言

福島みずほ 社民党党首の普天間問題に対する発言

普天間移設先を県外または国外でさも決定しているかのように吹聴した著名人のリスト

普天間問題について鳩山首相沖縄訪問後の岩上氏・松田氏・有田氏の発言のまとめ

「RIPS」◆(2010.4.26)普天間問題で漁夫の利を得る中国

「Togetter」◆(2010/08/02)【石破無双】再開された国会で普天間問題に触れた石破茂政調会長の質問がすごいと話題に

「Togetter」◆(2010/10/05)経済関係は戦争を抑止しないという主張に対する反論

「Togetter」◆(2010/10/24)普天間基地問題に関する小林アツシ(@atsukoba) vs JSF(@obiekt_jp)の記録

「Togetter」◆(2010/11/20)中国侵略を待ち望む葉っぱさんの公職選挙法違反ツイート集( #futenma にて)

「Togetter」◆(2010/12/14)葉っぱ@Lew_Chew深夜の暴言集( #futenma )

「Togetter」◆(2010/12/18)火炎瓶監督@toshi_fujiwara領有権に口を出す( #futenma )

「Togetter」◆(2010/12/26)沖縄 #okinawa ネットワークとやらは人を脅迫する組織らしい( #futenma の裏側で)

「Togetter」◆(2010/12/31)ヤメ蚊 @yamebun さんの自爆収め( #futenma )

「Togetter」◆(2011/01/06)沖縄 #okinawa 県議会事務局の試算を査読する

「Togetter」◆(2011/01/09)ハーグ陸戦条約に基づいて #futenma 飛行場の設置が違法と誤解してた

「VOR」◆(2012/04/20)日本 沖縄の米軍基地移転費用28億ドルの支払いに合意

「VOR」◆(2012/04/25)沖縄からの米軍部隊撤退は再び延期か?

「VOR」◆(2012/04/27)日米 沖縄からの米軍移転計画を公表

「沖縄発・何でもあり」:もうどうにでも…なようで

「数多久遠のブログ」◆(2010/10/04)普天間は嘉手納の予備飛行場

「最近の判決」☆(2010/06/22)那覇地裁;普天間土地強制使用は合憲 「米軍へ提供に必要性」

「佐藤守のブログ日記」◆(2010-05-17) 軍事関係者は見ている!

「週刊オブイェクト」◆(2010年05月02日)松田光世さんと学友のDCIA少佐の機密レポート

「週刊オブイェクト」◆(2010年05月23日)そして辺野古(埋立案)に戻る

「週刊オブイェクト」◆(2010年08月06日)菅直人首相「核抑止力必要」

「週刊オブイェクト」◆(2010年08月07日)相互依存は戦争の可能性を減らしても無くす事は出来ない

「週刊オブイェクト」◆(2010年10月19日)MV-22オスプレイが配備された地元紙の報道

「スカーフェイス通信」◆(2010/04/18)普天間基地やらなんやら

「雪斎の随想録」◆(2010.1.28)日米「太平洋」同盟の試練

「ダイヤモンド・オンライン」◆(2010/07/02)普天間よりも東アジアの安全保障を重視せよ! 「新しい中世」を迎える日本が果たすべき使命 ――東京大学 田中明彦教授インタビュー

「地政学を英国で学ぶ」:日米同盟は「試金石」

「とある素人の歴史考」◆(2010-05-05)普天間問題の問題

「リアリズムと防衛を学ぶ」◆(2010/05/05)普天間および在沖米軍について韓国紙の論評

「リベラルタイム」◆(2010年1月18日)鳩山政権が生み出した日米同盟の緊迫(森本敏=拓殖大学大学院教授)

●書籍

『この1冊ですべてがわかる普天間問題』(小川和久著,ビジネス社,2010.4)

『「普天間」交渉秘録』(守屋武昌著,新潮社,2010.7)

『「普天間」交渉秘録』を読み解く (2013/03/24)◆「国際インテリジェンス機密ファイル」

『普天間の謎 基地返還問題迷走15年の総て』(森本敏著,海竜社,2010/7/17)

■証明された「国民の安保理解,未だ浸透せず」

 あとがきで著者は,鳩山首相が「社民党の離脱,政治と金の問題の責任」をとって辞任した,とされていることについて,そうではないとします.
――――――
 普天間基地問題の迷走に見られる政治指導部の失態が,最も重大な責任であったことは明らかである.
 普天間基地問題の処理が,鳩山政権の命脈を断ち切ったのである.
 今から思うと,「海外,少なくても県外」という鳩山政治の理想が実現しなかった結果である.
――――――
 つづいて
――――――
 政治に理想は必要であるが,この普天間基地問題の背後にある複雑な政治・外交・安保課題の本質を十分理解すれば,この理想を実現することはさほど容易ではないことに気がつくはずである.
――――――
と,普天間基地問題は単なる一基地の移転問題ではなく,戦後日本の安保・外交・政治の本質的課題に直結する課題である,ということへの鳩山指導部の不明を指摘します.

 そして,この問題を騒ぎ立てることにそもそも何の意味があったのか?と,普天間基地移設という考え方そのものへの疑問を呈します.
――――――
 私自身について言えば,普天間基地問題は必然性がある問題だったのかという疑問が,いまだに解けない.
 普天間基地をどこかに代替地を求めて返還するという命題は,間違いではなかったのか.
 なぜ,この問題にこれだけの時間と労力をかけ,リスクを負う必要があったのであろうか.
――――――
 そして,この問題を通じて明らかになったこととして,
――――――
 日米同盟が日本国の安全にとって,真に重要であるという理解はまだ十分,行き渡っていないこともはっきりした.
 米国のイラク戦争以降,米国の武力行使や一国主義に,嫌気がさしている国民感情が反米感となって,基地問題にマイナス効果をもたらしていることもはっきりした.
――――――
とし,最後に重大な問題提起をします.
――――――
 この国の中に,日米安保体制の意義や重要性が浸透するには,まだまだ時間がかかると思われる.
 鳩山政権の普天間基地問題の迷走も,基地問題というより政治闘争という側面から見ている国民が多かったのであろう.

 〔略〕

 安全保障観が成熟していないところに,普天間基地問題という難問を投げかけられると議論が沸騰し,その結果がよい方向に行けばよいが,そうでなければ国論が割れることになる.
 普天間基地とか沖縄米軍基地とか抑止力とかいう言葉が,テレビを通じてお茶の間にはいり,あるいは飲み屋の話題になったのは,鳩山首相の功績だったというのは,ブラックジョークであってほしい.
 本当のところ,国民が真剣に考えるべき問題であったのである.
――――――
■普天間問題(沖縄の基地問題)理解のための理想的な入門基本書

 著者は森本敏さんです.
 森本さんは,防大卒業後空自将校に任官し,その後外務省に移りました.
 外務省退官後はアカデミズムの世界に入り,現在は拓大海外事情研究所所長,同大学院教授をおつとめです.
 安保関連の発言で広く知られ,テレビにもよく出演されているので,おなじみの方も多いでしょう.

 普天間問題の本質について,森本さんはまえがきでこう書いています.
――――――
 より本質的には,この普天間基地問題は,同時に,在日米軍あるいは海兵隊とは何なのか,なぜ海兵隊が日本に駐留する必要があるのか,海兵隊は抑止力になるのか,グアムにすべてが移転すればよいではないか,といった議論がその根底にある.
 これらはすべて,日米安保体制の根幹に関わる問題であり,日本の安全保障に関わる問題である.

 先に指摘したように,これは冷戦後に起こった第2次安保闘争という性格を持っている.
 そのことはすなわち,日米同盟の信頼性や日本の安全保障政策に,深く関係する問題だということであり,また,この問題の舞台が沖縄であることによって生じる特別な意味合いから,本質的に,これは,沖縄問題であるという側面がある.
――――――
 本著はこれらを,国民に伝えるため記された啓蒙書です.
 まえがきの最後の二行で森本さんは,本著を書いた目的について
――――――
 「普天間問題とは一体何か」と素朴な疑問をもっておられる国民の方々に,この問題の本質を理解していただくために書き下ろしたものであることを強調しておきたい.
――――――
と書かれています.
 まさにそのとおりの書です.

 普天間基地問題は,
「極めて複雑で一筋縄ではいかないやっかいな課題」
だろうと思います.

 こんな複雑かつ重要な「普天間基地問題」について,その核心を把握するに必要な,「歴史」「軍事」「政治」を通じ,総合的視点から国民を啓蒙する書は存在しませんでした.

 本著をもって嚆矢とします.

 特筆すべきは,

・綿密な取材が行われており登場人物名はすべて具体名.仮名やふせ名はなく,内容への信頼度が高い.

・問題理解の上で不可欠な在沖米軍の詳細データ,部隊運用の常識,地政学的視点が防大出身,元空自将校だった著者を通じ,余すところなく記されている

・政治的複雑さを有する普天間問題の経緯・歴史記述が,わかりやすく記されている.

・沖縄で何が起きていたのか,がよくわかる.なかでも沖縄の指導者たちが示してきた国防,安保への覚悟,日本国に貢献する姿勢が詳細に記されている.

・わが政治指導部がこの15年,本件でどういう動きをしていたかがつかめる

・付録で詳細な年表がついている

といったところです.

 こういった内容が有機的に統合され,十分な発酵がなされた結果,読みやすくて滋養あふれる,画期的な「普天間(沖縄の米軍)基地問題」啓蒙書に仕上がった感を持ちます.
 これから先,普天間問題を口にする際は絶対に欠かすことのできない基本書になることでしょう.
 古典としての価値ある内容と思います.
 これ一冊あれば,普天間問題に関するすべてが把握できるといって過言ではありません.

■すべては歴史から

 人を採用するときは,履歴書や職務経歴書を通じてその人の歴史を知ろうとつとめます.
 それらなしに人を雇うのは,よほどの特殊事情以外にありえません.

 それと同じで,何か理解しようとするときは,歴史を学ぶことを通じて,何が問題か,何がキモなのかをつかむのが先決です.
 学問でもなんでもそうです.

 普天間問題も同じです.
 しかしこれまで,総合的な経緯・歴史を一冊にまとめた,良心的かつ有機的な啓蒙書はありませんでした.
 本著の登場をもって,この問題の背景・歴史を国民は知ることになりました.
 今後は,この問題への無知を口にすることはできなくなります.

 普天間基地問題は,現在進行形です.
 本著を一人でも多くの方が熟読し,普天間問題,ひいては在沖米軍基地問題,日米安保,わが国防への視座を培ってほしい.
 沖縄を巡る,お国のためにならない政治闘争に振り回されることのない,「一皮向けた国民」になっていただきたい.
 痛切にそう思います.

■名護市長の言葉

 本著の中で,私が最も心打たれたところを引用します.
 148ページの10行目からはじまるもので,1999年12月27日に名護市長が示した,「祖国の安保に貢献する覚悟」の証拠です.
 ちなみに,この文面を起草した岸本市長(当時)は,前年1988年2月末に行われた名護市長選挙で,「普天間代替施設受け入れ反対」の候補を破って当選しており,1999年12月27日に名護市は,誰かが引かねばならなかった貧乏くじ,「普天間基地代替移設の受け入れ」を自らが行うことを,さまざまの山場を越え,血のにじむような苦渋の決断を通じて,次のとおり宣言しました.
――――――
「沖縄の米軍基地が,わが国の安全保障のうえで,あるいはアジア及び世界の平和維持のために不可欠であるというのであれば,基地の負担は日本国民が等しく引き受けるべきものであります.

 しかし,どの県もそれをなす意志はなく,またそのための国民的合意は形成されず,米軍基地の国内分散移設の可能性はまったくないというのが現状です.

 このような状況で,沖縄県民が基地の移設を自らの県内に求め,名護市民にその是非が問われていることについて,日本国民はこのことの重大さを十分に認識すべきであると考えるものであります.

 名護市には,すでに広大な米軍基地があり,これ以上の軍事施設の機能強化は許容できないという,多くの市民の意見があることも承知しております.

 しかし,沖縄における基地問題の長い歴史と諸般の情勢に鑑み,私はこのたびの普天間飛行場の代替施設の受け入れについて,これを容認することを表明します」
――――――
■沖縄県民はわが同胞である

 軍事合理性に反する,わが国にとってリスクの高い「普天間基地移設」が,何故必要とされるに至ったのか?
 これが,名護市長をはじめとする沖縄の同胞へのさまざまな苦しみと,わが国の国家危機水位底上げを招いた元凶のように思います.

 歴史からの教訓を学ぶ上で,橋本総理時代に発生した「元凶」を徹底的に追求することが,今後の課題になる
と思います.

 あわせて本著を通じて私が感じたのは,
「沖縄の同胞に安保面で負担をかけることを,なんとも思わない戦後日本の本土の人々の安保への鈍感さ,無知,傲慢さ」が,沖縄政治を反日勢力に牛耳らせる結果を招く「隙」を与えたのではないか?ということです.

 これにあたっては,マスコミの「沖縄と本土の疎隔」責任が極めて重大と感じます.

 誰が何といおうと,沖縄県民はわが同胞です.
 中共を脅威とし,日米同盟を通じて祖国を共に護る同胞です.
 この事実を,本土の人と沖縄の人が,本書を通じて再確認したいものです.

 本著は,森本さんの最高傑作だと思います.
 普天間問題のみならず,沖縄の米軍基地,日米同盟,抑止力,わが安保,国防というキーワードに関心を持つ方すべてに手にとっていただきたい名著です.

 心よりオススメします.

■ブックガイド

 本書は時系列で記されていますので,頭から順に読んでいくと,内容に引きずり込まれてゆきます.
 登場人物がすべて具体名で,会話文も多いので,ボリュームの割には負担がありません.
 読み心地はふわりとして,とてもなめらかです.

 まずは軍事的興味を満たしたいという方は,軍事面の記述が多い,第二章,第三章の1,第七章,第八章の4 から読むのがいいと思います.
 在日米海兵隊の抑止力の意味をはじめ,米軍戦略,在日米軍,太平洋地域の米軍部隊・機関に関する資料として活用できる内容です.

 第11章の4が本著の結論であり,せっかちな方はここから読み始めてもよいでしょう.
 しかし,面白みは半減するでしょう.
 本著にはそういうエンターテインメント性もあります.

――――――おきらく軍事研究会,平成22年(2010年)7月17日(土)

 【質問】
 普天間基地とは?

 【回答】
 海兵隊機の基地.
 1945年,爆弾集積基地として開設.
 1960年に航空施設に転用.
 現在では,海兵隊航空団の活動の諸々を支援している.

 詳しくは,公式サイトである
「海兵隊普天間航空基地」
を参照されたし.


 【質問】
 普天間基地は住宅地のど真ん中にありますが,基地が先にできたんでしょうか?
 それとも住民を立ちのかさせて,基地が立てたんでしょうか?
 もし前者だったら,後から来た住民が米軍基地をなくせ!とか言う理由がよくわかりません

 【回答】
 元々あまり人が住んでいない土地→戦後に米軍基地ができる→新興住宅地ができた,という流れ.

 ま,人間,納得づくで最善の選択をしたというつもりでも,実際に住んでみるとやっぱり,いろいろと不満が出てくるもんだ.
 騒音やら治安やら,住んで実感しないとわからないことも多いからな.
 しかも,この場合は原因を基地のせいにしやすい.
 さらに外から,そういう運動をけしかけるやつもいるわけだから,なおさら.

基地設営当時

1970年

2005年

2010年

(画像掲示板より引用)


 【質問】
 こういう話を見つけたのですが.

――――――
http://www.tanakanews.com/091115okinawa.htm

 普天間飛行場は,1945年4月に沖縄本島に上陸した米軍が,日本本土決戦に備え,戦火で焼け野原になった宜野湾市中心部の台地に,急いで滑走路を作ったのが発祥だ.
 日本の降伏後,普天間は戦後5年間,使われない米軍基地として放置され,1950年の朝鮮戦争とともに再び米軍が使い始めた.
 この5年間に,もともと基地内の土地に住んでいた市民が,戦火を逃れた避難先や収容所から戻ってきたが,自宅の土地は米軍に強制的に借り上げられていたので,代わりに基地の周辺に密集して住むようになった.
―――――――

 上記の話だと,戦前から市街地があって,焼け野原になった後に米軍が接収したという事なのでしょうが,これは事実なのでしょうか?
 戦前の普天間周辺がどのような環境だったのかは,簡単にググってみましたが,よく分かりませんでした.

2010年05月09日 16:17,OOM-7大佐

 【回答】
 現在の普天間基地の場所には,戦前には,小さな村落がいくつかありました.
 ただし,“市街地”と言えるほど大きな町は,当時は那覇くらいしかありませんでした.
「もともと,多くの人がいるわけではありませんでした」
「小さな村落に,(現在と比べたら)少数の人々が住んでいました」
というのは矛盾しません.

 昔の環境と言うか,戦前の地図は,戦史叢書の沖縄戦を扱った巻の付録にあったと思いました.
 琉球大学図書館には,参謀本部が作った戦前の地図の写しとかも置いてありましたね.

2010年05月09日 19:40,極東の名無し三等兵

各課のページ 教育委員会 教育部 文化課:トップページ > 文化課のページ一覧 > 宜野湾市の歴史

 村落があったらしいですね.

 まあ,飛行場が作れるほどの平地に,人が住んでいないというのは不自然ではないかと.

2010年05月09日 19:48,ゆきかぜまる

以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より
青文字:加筆改修部分

▼ 国土地理院の国土変遷アーカイブに,1945年1月,つまり沖縄上陸直前に米軍が撮影した現普天間基地周辺の空中写真があります.
 たぶんB-29偵察型のF-13あたりが撮影したのだと思います.
 現在の普天間基地エプロンがあるあたりの,1945年1月の写真の暗灰色部分は集落ですね.
 そこを潰して基地中心部にしています.
 ただ,基地周辺に接する土地(1945年12月写真の基地を取り囲んで作られた道路で囲まれた土地)は,農地か原野で,潰した集落以外に人家はほとんどありません.

http://archive.gsi.go.jp/airphoto/ViewPhotoServlet?workname=USA&courseno=M22&photono=27
は1945年12月の普天間基地です.

BMP in FAQ BBS,2010/5/15(土)
青文字:加筆改修部分

▼ jpegノイズがひどいので,念のため国土地理院に写真を閲覧しに行ってきました.
 普天間基地があるあたりは,基本的に農地ですね.
 台地のほぼ中央部を南西-北東方向に走る街道沿いに集落があり,現在のエプロン付近にあった北西-南東方向の街道との交差点に,百戸を超えるくらいまとまっています.
 あとは農地の中に,ぽつぽつと建物が点在する感じです.
 集落の規模としては,国土地理院のあるつくば周辺の農村地帯をイメージすればいいんじゃないでしょうか.

BMP in FAQ BBS,2010/5/20(木) 19:6
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 普天間基地移設問題の本質は?

 【回答】
 今かみつばしくいわれている「普天間移設問題」なるものは,部隊をどこに移せばいいかという点に矮小化された話に思えてなりません.
(県外がいいか県内がいいかという,より矮小化された話になってきてます)

 この問題を考えるに当たっては,どこに移すのか?というはなし以前に,わが地政条件の変化に直結する問題なんだということを知っておく必要があると思います.

 新聞やテレビ等を通じて伝えられている内容には,地政学的見地からのものがまったく見受けられないようです.
 そのため,問題のキモを見落としている気がします.

 ついては,頭に入れておくべき3つのことをお伝えしたいと思います.

 第一に,海兵隊は米の国益のために動く米の軍隊であるということです.
 普天間のヘリ部隊をはじめとする在沖海兵隊の緊急展開は,わが国でなく,米が決定する問題です.
 わが国に部隊を動かす決定権はありません.

 第二に,国際情勢の変化を見落としてはいけないということです.
 近年の支那の国際的影響力の増大,米の国際的影響力の低下,それに伴う米支お互いの歩みより,そして,わが国の米離れの動き・・・

 何か起きた場合,米政権はこれらの情勢を元に,沖縄海兵隊の緊急展開について決めます.
 日米安保があるからすぐに動くというものでは決してありません.

 第三に,わが国防に与える影響です.
 もし普天間のヘリ部隊が硫黄島あたりに移った場合,どういう変化が起きるでしょうか?

 地政的な変化の鍵は,北海道から本州・九州・沖縄・(台湾)に至る「わが国の防衛の弧」から部隊を後退(撤退)させることにあります.
 軍事的に起こるであろう変化は,全てこの点から発生することになるでしょう.
 「わが国の防衛の弧」からの部隊後退という,地政的変化が産むであろう諸課題を克服する覚悟と準備はできているのでしょうか?
 それがわかったうえで移設の話をしているのでしょうか?

 こういうことを論議することなく,移設先はどこがいいかなどの枝葉の話ばかりするのは,あまりに無責任に過ぎると思えてなりません.

エンリケ航海王子 in おきらく軍事研究会,2009.11.30

▼いわゆる普天間問題を考えるに当たっての重要な視点

 小生は,普天間問題に関しては細部にわたる具体的内容を承知しておりませんが,これを考えるにあたっての重要な視点は,次のようなことであると考えております.

(1) 第1は,海兵隊という軍種の特質をよく理解しておかなければ,普天間問題を本質的に理解できないということです.

 まず海兵隊は独立した統合部隊ですが,戦力の中核は陸上戦力です.

 海空戦力は戦力を,他の地域から戦場に迅速に投入しやすいという特性がありますが,これは逆に見れば撤収も容易ということです.
 陸上戦力は戦闘に最後の結を与え得る戦力ですが,遠距離に迅速な展開・投入がし難い戦力です.
 逆に,一度投入されれば簡単に退けません.
 従ってどのような国も,海外に陸上戦力を投入・展開することには慎重にならざるを得ません.
 これを又逆に見れば,ある国が海外のある地域に陸上戦力を投入・展開するということは,その地域に腰を据えてコミットする,戦争になれば及び腰でなく徹底的に戦うという意思表示をすることになります.

 これは対抗する勢力に対しては,一番重みのある抑止力になります.
 米国陸軍は日本には第一線戦闘部隊を駐屯させていません.
 従って現時点では,海兵隊が米軍の日本駐留部隊の中で,最も抑止力を発揮する部隊になります.
 まさに中国の脅威にさらされている日本の南西諸島の核心である沖縄に,海兵隊の陸上戦力が展開しているということは,日本にとっては,この地域で紛争が起れば,米国が腰を据えて介入するという保証です.
 海兵隊が東南アジアや中東に展開するのに,沖縄の方が日本本土より近くて有利等ということは,日本に
とっては重要なことではありません.

 従って,日本の国益から考えて,沖縄を含む南西諸島地域に対する中国等の脅威を排除するための抑止力を維持するためには,米国が他に移したいと言っても,絶対に反対し残すべき戦力です.

 軍事専門家としての私見ですが,この抑止力の重要性は一部の沖縄県民の迷惑等という問題をはるかに超えています.
 全国民に影響する国益に関する事項です.
 従って現在の政治に責任を有する政府から,県外移設の話が出るのは狂気の沙汰であり,そのような軍事音痴集団に政権を任せては,日本は滅びると思います.

 自民党政権時代に普天間移転問題がクローズアップされたのは,平成7年の沖縄における米兵の少女暴行事件がきっかけであったことを振り返れば,米軍の再配置計画で沖縄に駐留する海兵隊員8千人を,グアムに移転させる案に日本政府が反対しにくかったのは理解できますが,この移転計画は日本の国土防衛のための抑止力維持という点では,大きなマイナスでした.

 しかし辺野古に海兵隊の独自の基地が残れば,情勢が緊迫した際に,海兵隊司令官独自の判断で訓練名目等で,グアムから沖縄に地上戦力を展開することは容易です.
 米軍内部の手続きも簡単でしょう.
 逆に海兵隊基地がなければ,空軍等の基地を空けて貰う等の調整が必要で,且つ,共通の上級司令部である太平洋軍司令官の認可を得る必要があり,太平洋軍としての状況判断もありますから簡単ではありません.

 従って,政権与党から,抑止力の要である残存海兵隊基地までグアム移転せよとの論が出るのを聞けば,軍事が全く分かっていないと思わざるを得ません.
 10月に訪日したゲーツ国防長官は
「普天間移設がなければ,海兵隊のグアムへの移転は無い.
 米議会はグアム関連予算を認めない」
と明言したそうです.
 民主党の普天間見直しが,日本防衛の抑止力維持のために,海兵隊をグアムに返さず日本に残すための偽装迂回作戦なら大したものなのですが・・・.
 沖縄県民には迷惑かも知れませんが,社民の悪あがきと民主の迷走が,そんな大ヒットにつながれば,中国は顔をしかめ,台湾は安心するでしょうけれど・・・.

(2) 第2の視点として,普天間を名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部に移設するという施策は,日米両国が長年にわたり多面的に検討し,沖縄県民の同意も得た,同盟国としての約束であることを忘れてはならないということです.

 平成21年度「日本の防衛」(防衛白書)資料38及び41参照
(防衛省ホームページで閲覧可)

 オバマ大統領が迅速な実行あるのみという態度をとるのは当然で,鳩山首相の口先でごまかし内容で裏切るという態度は,米国民から見れば明らかな同盟国に対する裏切りに見えるでしょう.
 日米安保の信頼性を深刻に損ねたという点で,今回の普天間問題の蒸し返しは,政府民主党の軍事・外交・安全保障面での幼稚さを暴露した以上の,日本国としての失点であると思います.

(3) 硫黄島に移るという点は,色んな問題があります.

 抑止力・軍事バランスの変化以外にも,米海軍の空母への離発着訓練(タッチ・アンド・ゴー訓練)場が他に求め得るのか,硫黄島で共用できるのか等の問題があり,それ以前に,硫黄島にまともな米軍基地を作り得るかという問題があります.

 米国は,海外に展開する兵士に基本的に本国と同レベルの生活環境を与えることを,基本的ポリシーとしています.
 地積,要する費用,現地の生活インフラの欠除,他の部隊・基地と共用できていた兵站機能等の独立保持による無駄等を考えれば,硫黄島に本格基地を作るくらいなら,沖縄沖に浮かぶ洋上基地を考えた方が良いくらいで,案にもならないと思います.

(4) グアムへの完全移設になれば,既に述べたとおり,日本の防衛に果たす米国の抑止力は大幅に低下します.
 米国が移設を承知するということは,もう日本の防衛に積極的にコミットする気はありませんよということで,また,台湾防衛の可能性も大幅に低下しますから,中国等は狂喜するでしょう.

洗 尭(元陸将 元東北方面総監) in おきらく軍事研究会,平成21年(2009年)12月7日

●普天間飛行場移転問題がよくわかって無い脳内花畑の人へ

・そもそも移すのは普天間飛行場の海兵隊ヘリ(約60機)の5〜6割の飛行場のみ,
 沖縄の在日米軍の基地や居住区は動かさないまま.
・20分以内に基地から乗り込めること,台湾までの距離が400海里であることが条件
・480haの平地があり,2000m級の滑走路を作れないとダメ

軍事板,2010/04/21(水)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 普天間基地移転問題は,どのような側面を持っているのですか?

 【回答】
 あくまでも私見とのご了解をいただきまして一言申し上げます.

 普天間基地移転問題には,各種側面がございます.
1 世界戦略上の側面
2 海兵隊運用上の側面
3 日米安保上の側面
が主たる側面かと思います.
 それらを順を追って考察してみたいと思います.

1 世界戦略上の側面

 この場合,側面というより本質と言うべきでしょう.
 米国の世界戦略は,以前のような「世界の警察」としてではなくなり,現在は「米国の国益」を主目的として構築されています.
 そのため海兵隊は,あくまでも「米国の世界戦略の先兵」として,米国及びその同盟国に重大な損害があるか,またはその恐れがある場合に運用されます.

 問題は,同盟国に対しての運用でしょう.
 米国だけの国益では「同盟」は成り立ちませんが,一方,「同盟国」に対して過度な加担もまた均衡がとれません.

 結論的には,
「米国の世界戦略の中で,同盟国の安定が維持される」
と考えることになります.

 そのため「米国の世界戦略」が,海兵隊運用の基本となるのは当然です.
 そして米国の世界戦略における軍事戦略としては,
「米国の国益を阻害し,安定を損なう事態が世界の2正面で生じた場合に対処し,安定を回復,維持し得る軍事能力を維持する.」
とされています.

 従いまして,沖縄駐留の海兵隊は,世界の2正面の不安定事態のうちの1正面を担当することになるのでしょう.
 この1正面が,どこになるのか,仮想敵国はどこかが問題です.
「イラン,イラク,アフガニスタン,パレスチナ,中国,北朝鮮,ロシア」
でしょう.
 台湾海峡は,中国問題に含まれていると思われます.
 欧州,アフリカは,別の海兵隊が対応するのではないでしょうか.

 一方,沖縄という「世界地図上の位置」が,これら仮想敵国に対して迅速に展開し得る,最高の位置関係にあることは明白です.
 フィリピンから米軍が撤退した後の最適地は,沖縄になります.

 フィリピンから米軍が撤退した直後に中国が,南西沙諸島に軍事基地を建設したことはあまりにも有名です.
 フィリピン駐留米軍からの抑止力が無くなったためです.
 そのためにも,硫黄島,グァム,その他への移転は,米国の世界戦略の迅速な実行という観点では,不適当といえるでしょう.

 展開能力が飛躍的に向上した現状を見ましても,やはり「迅速さ」を主要な要素とする海兵隊には,沖縄以外の地は,徐々に抑止力を鈍くすることでしょう.
 こうした世界戦略から海兵隊運用構想が策定されているため,沖縄県民の苦情や心情を汲んだとしても,沖縄駐留を変えることは出来ないと思います.

2 海兵隊運用上の側面

 海兵隊は,空母,戦闘機,爆撃機,空挺,上陸,等々の機能を有しています.
 ただ,規模は大きくなく少数精鋭で,「作戦当初の橋頭堡構築」が主任務です.
 そのため,ヘリ部隊機能のみではなく,多種多様な機能を最高度に利用します.
 普天間基地には,ヘリ部隊が駐留していて,ヘリによる「急襲」を任務にしていると思われます.

 ヘリ部隊運用の場面は多様で,何も上陸作戦主体というわけでもありません.
 たとえばベトナム戦争でも,ヘリ部隊の急襲は,各所で行われました.
 そしてその訓練には,各種天象地象の場面が要求されます.
 硫黄島では,その環境が偏っていて,恐らく訓練に偏重を来たすでしょう.
 その観点では,沖縄県が最高の訓練環境といえるのでしょう.

 特に,湿潤な海洋気象と,乾燥気味の大陸気象の混在した極東,中東地域を模した訓練環境は,沖縄が最適です.
 そして,この海兵隊が,平素の訓練で精鋭を維持してくれることが,米国と日本の安定を阻害する侵略行為への抑止力となっているのです.

 さらに,整備,補給の視点でも,沖縄という地は最高の環境です.
 硫黄島,グァムでは,整備,補給にも時間と手間がかかります.
 従いまして,普天間基地所在海兵隊は,沖縄という地理的に最高の位置を離れることは考えられないと思います.

3 日米安保上の側面

 沖縄県民感情,一部のマスコミの論調では,
「海兵隊は,米国の世界戦略のなかで運用され,日本を守る部隊ではない.」
と主張しています.

 たしかに,日米安保条約第4条には,
「・・・日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が・・・.」
とあり,「極東」が条約の範囲とされています.
 つまり,米国の世界戦略で運用される海兵隊は,「極東」の範囲を超えて運用されます.
 日米安保条約の範囲を超えるので条約違反,と主張しているのです.

 しかし前述したように,世界戦略の中で,安定が維持されるのであれば,それは日米安保の範囲内と考えられるのです.

 以上,これら側面の他にも,
「有事の信頼性」「政権構成」「参院議員数」「環境」「財政」「住民の安全」
等々の側面があるでしょう.
 問題は,どの側面を重視して考えるかです.
 それによって議論が左右されます.
 議論する場合は,議論する側面を明確にすることが必要です.
 これらの側面を混同して議論しても,決して結論を見ることはできません.

 以上の考察から,海兵隊の沖縄駐留は,米国にも日本にも極東にも,そしてその他の世界にも,その安定維持のための抑止力として有効であると言えます.

 結論としては,従前の「日米合意案」どおりに実行することが,日本のためにも,米国のためにも,そして世界のためにも,最も有効な移転策と思われます.
 当然そのために沖縄県民の負担が増加するのであれば,その補償はしっかりとしなければなりません.
 沖縄県民の負担の上に,日本も極東も世界も安定するのですから.

 条約の条文を守って締結国が滅びては条約の意味がありません.
 条文も重要ですが,その趣旨こそが重要です.
 要は条約は,その趣旨が有効に機能するよう,その環境をしっかりと整備することが肝要なのです.

 枝葉末節の議論に惑わされることなく,どの側面を重視するのかを明確に認識すべきでしょう.

OB−K in おきらく軍事研究会,平成21年(2009年)12月7日


 【珍説】
――――――
 〔公約の"5月末決着"について,〕もちろん未処理はダメです.
 でも,方向性を決めて,こういう処理になりますと示せればいいんだと思いますよ.
 徳之島案,種子島案,宮古島というのもあるし,岩国だってある.
 いずれにしても,最終的にはグアムに移転するまでの過渡的な措置なんです.
 ですからアメリカに対して,
「私の責任において地元を説得しますから,もうしばらく私に政権を任せて見ててください.
 13年もかかりません.
 1〜2年で処理しますから」
と言えば済む問題ですよ」

――――――石井一・民主党選対委員長(当時)(インタビュー) in 『週刊現代』,2010/5/8-15号

 【事実】
 「過渡的な措置」などと誤った認識をしているから,あのザマになったわけで.

 もちろん,全然それでは済まなかったのは,既に周知のとおり.


 【質問】
 なぜ普天間基地の米軍を沖縄県の外に出すことができないのか?

 【珍説】
 普天間基地の機能もグアム,その他県外に移転できたはずだ.

小林よしのり in 『SAPIO』 2005/3/23号,p.64

 【回答】
 海兵隊の性格に起因する.
 以下引用.

――――――
 海兵隊は,陸上部隊,航空部隊,任務支援部隊の3つが一体となって作戦を展開する統合軍の性格を持っており,したがって戦闘能力を発揮するためには,平時の訓練段階からこの3つの機能が緊密に結合していなければなりません.
 普天間基地の機能を県外に切り離すことができなかったのは,このためです.

 1996年,沖縄の普天間基地から固定翼機部隊である第12海兵航空群を山口県の岩国基地に移しましたが,それはジェット戦闘機部隊であるから可能だったのです.
 しかし,ヘリコプター部隊ではそうはいかず,米海兵隊はあくまで普天間の代替基地を沖縄本島に求めてきました.

――――――森本敏著『米軍再編と在日米軍』(文春新書,2006/9/20),p.153

 つまり,理屈抜きで「何が何でも普天間基地を沖縄県外に移転しろ!!!!11」と叫んでいる連中は,海兵隊の戦闘能力を奪え!と叫んでいるに等しい.

▼ また,以下のブログを見ても,県外移転は無理っぽい.
 以下,元空自幹部自衛官,数多久遠さんのブログより引用.

――――――
http://kuon-amata.cocolog-nifty.com/blog/cat21465825/index.html

 民主党は,単に別の飛行場を用意すれば良いと思っているようですが,米軍は軍事的合理性に則ってモノを考えている訳で,それに拠れば,これらの案はいずれも論外です.

 軍事的な観点で言えば,普天間飛行場には大きく2つの意味があります.
 一つは,海兵隊戦力の投入拠点です.
 そしてもう一つは,嘉手納に所在する航空機が,緊急時に利用する飛行場としての意味です.

 海兵隊の投入拠点としては,飛行場さえあれば何処でも良いと思うかもしれませんが,海兵隊と言えど重装備もありますし,実際の戦闘には大量の物資を必要とします.
 つまり,近隣に使用可能な後方のインフラと港湾があることも重要です.
 この点で,下地島や伊江島は不適切です.

 キャンプ・シュワブ沿岸であれば,シュワブの施設が使えますし,ホワイトビーチ(勝連)が近く,那覇港へも車両で簡単に移動できます.
 また,もちろん位置も重要で,回転翼機(ヘリ)が台湾に空中給油なしで到達できる場所でなければ,空港を置く意味がありません.
 この点で沖縄県外は論外です.

 逆に,近すぎてもリスクが高くなります.
 下地島は,中国沿岸からSRBM(DF-11A,DF-15)が到達するほどですし,防空戦力も展開しないと航空攻撃を受ける可能性も高くなります.

 一方,嘉手納統合案は,嘉手納所在機の緊急飛行場という観点でアウトです.
 もし嘉手納に統合されてしまえば,気象状況や攻撃による被害で嘉手納に航空機が降りれなくなった際,近隣には那覇くらいしか飛行場がありません.
 そしてその那覇は超過密です.
 そうなると,岩国や新田原に向かうことになりますが,距離がありすぎ,到達できない航空機が多くなる可能性があります.

 まとめて言うと,米軍とすれば軍事的な観点から,沖縄本島内に嘉手納以外の飛行場が絶対に必要ということです.
――――――

軍事板,2009/12/13(日)
青文字:加筆改修部分

▼ それに,沖縄の海兵隊は台湾防衛用なんだわ.
 ヘリコプターで直接,台湾に降りる為にな.
 こうすりゃ強襲揚陸艦を呼び寄せる時間を省ける.

 台湾政府は,中国の特殊部隊が政府中枢を確保しに来る可能性を極度に恐れているので,もし台湾軍の指揮系統が麻痺した時に,即座に外から介入してくれる米海兵隊が居ないと困るんだわ.
 こういうのは即応性が凄く大事なんでな.

 まぁそういうわけなんで,沖縄以外への配備は何の意味も無い.

JSF in mixi,2009年12月16日 20:11
青文字:加筆改修部分

 対北朝鮮ならすでに優勢な韓国軍がいる.
 米本国から増援を持ってきても間に合うため,緊急展開の必要はあまり無く,韓国の基地も使える.

 だが台湾防衛だと,まさかアメリカが台湾に部隊置くわけにもいかないわけで.
 既成事実作られる前に早期に介入するためには前方展開が必要.
 じゃあ,選択肢は県内しか,残念ながら無い.

くるりん★ポポフ in mixi,2009年12月16日 20:04
青文字:加筆改修部分


 【珍説】
普天間基地県内移設に合理性は皆無 - モジモジ君の日記.みたいな.
--------------------------------------------------------------------------------
 だから,日米安保を支持し,純粋に軍事の観点からのみ議論し,負担を押しつけられる地域住民に一切の思いをはせないとしたならば,海兵隊の移転先はとりあえず「九州」と言うべきでしょう.
 もちろん,僕はこの案にも賛成しないけども,それでも,「九州」と言うなら額面通り「純軍事的に」考えたのだろうなぁ,とは思える.
 しかし,「純軍事的な理由で沖縄」というのは,単にモノを知らないのか,あるいは,連綿と続けられてきた沖縄社会に対する差別構造を隠蔽するためか.
 いずれにせよ妄言以外ではない.
--------------------------------------------------------------------------------

 【事実】
■議論を噛み合わせる為に

 いいえ,mojimoji氏の主張は私が唱えた前提条件(近い内容をアメリカ側も提示している条件)をまるきり無視していて,会話のキャッチボールが,そもそも冒頭から成り立っていません.
 九州では大型強襲ヘリコプターの台湾海峡有事への即応投入(場合によっては時間単位での対応が求められる)が不可能です.
 mojimoji氏は,
敵味方双方に置けるヘリコプターの進化の歴史を理解せず,
台湾海峡有事と朝鮮半島有事の,作戦上に置ける決定的な違いを理解せず,
揚陸艦配備の歴史も使い方も把握しておらず,
海兵航空団の固定翼機の運用方法も,ヘリコプターの運用方法も理解していないように見えます.

 mojimoji氏の唱える九州移転案は,以上の点で台湾海峡有事への対応に問題点があり,朝鮮半島危機でも現行の沖縄配備と差が見い出せません.
 そして九州へのヘリコプター部隊移転のみならず,地上部隊の移転が可能かと言うと,非現実的な話と言わざるを得ないでしょう.

「週刊オブイェクト」,2010年01月03日付
青文字:加筆改修部分

「日本の○○(一地方)は独立しろ!」
って言い出す奴に何故か共通してるのは,日本から独立した後も周辺国がそれ以前と同様に扱ってくれるっていう前提を持ってるところだよな.
 独立国なんだから,輸出入には関税かけるし,人の出入りには制限かかるし,当然地方交付税なんて物は出ないのに.

 何か,それと同じようなベクトルを,
「沖縄県民の事を考えれば,県内移転はありえない」
って頑なに主張する人から感じるんだよね.
 米軍基地が本当に全部なくなったらその後どうなるか,マトモにシミュレーションした事が無さそうな所とか,国から支払われる土地の使用料と補助金が無くなったらどうなるんだろうってところね.

Posted by 名無しT72神信者 at 2010年01月04日 14:38:44

「週刊オブイェクト」コメント欄,2010年01月03日付より
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 沖縄県民の中には県内移設に賛成している人はいるの?

 【回答】
 基地反対ではない人の中で一番多いのは,「条件付き容認」でしょうね.
 「積極的に誘致」は,そう多くないでしょう.

 辺野古に基地がくればベトナム戦争のころのようににぎわう,とか考えている人の話が,前トピぐらいに上がっていますが,ベトナム景気というのは,自棄になって散財する兵士が多かったからであって,現状では夢の見すぎ,としか思えないのです.

くるりん★ポポフ in mixi,2009年12月08日 16:06
青文字:加筆改修部分

 補足.
>「辺野古に基地がくればベトナム戦争のころのようににぎわう,とか考えている人の話が,
>前トピぐらいに上がっていますが」
は,この記事をさしています.

――――――
「普天間」の現場 辺野古ルポ 米軍と育ち,恩恵を受けた
2009.11.12 10:33
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091112/plc0911121039006-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091112/plc0911121039006-n2.htm

 ◆アップルタウン

 那覇から北へ約60キロ.

 県道329号線から辺野古地区に入ると,「WELCOME APPLETOWN」と書かれた看板が目に飛び込んでくる.

 「キャンプ・シュワブ」開設から間もない昭和33(1958)年,丘陵地帯だったこの地域を民政府土地課長のアップル中佐が中心となって開発したことから,米軍と辺野古住民との友好の証しとして「アップルタウン」と呼ばれるようになった.

 街は区画整理されていて,15分ほどで一周できる.スナックやクラブなどの看板が目につくが,人けがない.飲食店が入っているとみられるビルも英語のロゴが消えかかり,外壁が崩れ,朽ちている.

 53年前に移り住んだという金城秀夫さん(59)=仮名,自営業=は,米軍統治時代からの辺野古を身近に見てきた.

 「ベトナム戦争(1965〜75年)のころは,スナックやクラブなどの飲食店が60軒近く並ぶ米兵相手の繁華街で,ホステスも1千人は超していた.当時の辺野古の人口は1500人ぐらいだったから,合わせると3千人近い人が住んでいたことになる」

 ◆「1晩で3千ドル」

 金城さんは,当時を思いだすように話し始めた.

 「街全体が活気に満ちていた.どの店にもホステスが7,8人はいて,1日の稼ぎも3千ドルはあった.当時,私の家は25坪の瓦ぶきの一軒家だったが,2千ドルで建てられた.それが1晩で3千ドルのあがり.25セントあれば,子供とバスで名護(市中心部)まで行き,そばを食べて帰れた時代に,ですよ」

 ベトナム戦争が終わると同時に,米兵の数も減って,街は急激に寂れていった.

 「辺野古はこれといった産業がない.米軍基地相手の商売しかない.基地と一緒に育ったわれわれは,トラブルもあったが,同時に大変な恩恵を受けながら生きてきた」
――――――

くるりん★ポポフ by mail,2009年12月16日 00時34分
青文字:加筆改修部分

▼ つうか,規模のおおきな公共工事には,反対運動はつきものなんだよね.
 ダムとかもそう.
 成田のような非合法な手段でなくても,議会や首長の選挙もあるし,埋立や環境評価に知事の手続きがいるから,リコールや住民訴訟という手段も可能.
 プロセスや工期が長くなればなるほど,その機会は増える.

 だから,埋立空港新設という大規模公共工事にしてしまった自民党が,失敗だったと思う.
 自民政権がそのまま続いても,予定通りいくことはなかったのではないか.
 10年以上かけて着工にも至ってないでしょ?,普天間の危険性除去というのが第一の目的だったのに.

 どこに持っていっても反対はある.
 ただ既存の施設であれば,ある程度の合意があればできてしまう.

軍事板,2009/12/12(土)
青文字:加筆改修部分

▼ ちなみに,民主党政権によって「県民の総意」扱いされてきた,2009.11.8に宜野湾市内で開かれた「辺野古への新基地建設と県内移設に反対する県民大会」(同実行委員会主催)辺野古反対集会だが,主催者側発表では2万1千人とされた参加人数は,2009.12.18付の産経新聞報道によれば,警察関係者や内外の情報関係者の話を総合すると,参加者の実数は8千人から,多くても1万人以下だった可能性が高いという.

――――――
 名護市の関係者は
「県の人口は138万人余り.
 そのうちの1万人弱.
 しかも,県外からの参加者もたくさんいた.
 大会決議が沖縄県民の総意かどうか,考えればすぐに分かることだ」
と自嘲(じちょう)気味に話した.
――――――

と同記事では報じられている.

 匿名の「関係者」であるという点と,産経新聞の普段のスタンスを考えると,信頼性には疑問の余地もあるが,一方,呉智英が『バカにつける薬』で指摘しているように,「主催者発表」は警察発表とは異なり,水増しされていることがほとんどだという.▲


 【質問】
 日米同盟を堅持しつつ,米軍基地整理縮小を求めれば良いのでは?
 他のアメリカと同盟結んでいる多くの国々に比べて,日本の異常な基地の多さが問題なんだが.

 【回答】
 だから米軍基地の整理縮小は,自民政権下で進んでいただろうが.
 普天間基地返還は,海兵隊員8000人削減とセットだから,
 基地が存続する場合には,縮小再編計画そのものが壊れる.
 縮小したくともアメリカが協議を拒否し,鳩山はオバマと会談さえ出来ない.
 完全にアメリカは民主を見限っているのだ.

 それと現行計画ってのは,グアム協定に明示されている条約だからな.
 日本では憲法で条約順守を謳っている.
 だから戦後,一度も条約を破った事はかったのだが……

軍事板,2010/04/09(金)
青文字:加筆改修部分


目次へ

「アジア別館」トップ・ページへ

「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ   サイト・マップへ

inserted by FC2 system