c

「アジア別館」トップ・ページへ

「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ   サイト・マップへ

◆◆◆◆◆◆テロ事例
<◆◆◆◆◆テロ問題
<◆◆◆◆戦後の治安問題
<◆◆◆イラク戦争
<◆◆戦史 目次
<◆ Iraq 目次
中近東FAQ目次


(引用元:朝目新聞)


 【質問】
 8/20に起きた,イラクでの国連施設爆破テロについてお聞きします.
 よりにもよって国連施設を爆破,国連事務総長候補にも名を連ねる人物を爆殺というのは,些かやり過ぎの気が致します.
 これが米軍施設やパイプラインのインフラなどなら,厭戦気分を煽ったり,世情不安を作り出して政府の正統性を揺るがせるなどの意図が見えますが,今度のテロはさっぱりです.
 果たして首謀者の意図はどこにあると見るべきでしょうか?

 【回答】
 「現代アラブの社会思想」(池内恵著,講談社)によりますと,中東社会では一般民衆のみならず,知識人階層にまで広く「アメリカ・ユダヤ陰謀論」が信じられており,彼らの脳内では国連もそうした陰謀組織の道具の一つだそうで.
 やれやれ…….

(消印所沢 ◆z3kTlzXTZk)


 【質問】
 イラク,Marez基地自爆テロ事件とは?

 【回答】
 イラクのモスル郊外にある米軍基地が2004/12/21,警備を潜り抜けた自爆犯によるテロ攻撃を受けた事件.
 死者の内訳は米兵14人,米民間人4人,イラク国家警備隊員3人.1遺体は身元不明だが,米国籍ではないという.負傷者は69人.

 22日付ワシントン・ポストによれば,自爆犯の胴体,食堂内備品にボール・ベアリングがぶつかった痕が見つかっている.
 また,犯行を認める声明を出しているイラクの武装勢力「アンサール・スンナ軍」のサイトによると,自爆犯は基地で4月働いていたモスルの男性であるという.


 【質問】
 ヒッラ医療センター自爆テロ事件とは?

 【回答】
 イラク中部バビル県都ヒッラ(バグダッド南約100キロ)で2005/2/28,警察・国家警備隊への就職を求めて医療センター前に並んでいた市民の列に,爆弾を積んだ車が突っ込み,爆発したテロ事件.
 同県警察本部は,反米武装勢力による自爆テロと断定,CNNテレビによると,この爆発で少なくとも125人が死亡,200人が負傷した.

 テロは1月30日の暫定国民議会選挙以降最悪の規模.
 死者数では,昨年3月にイスラム教シーア派の宗教行事を狙ったバグダッド,ナジャフでの同時爆弾テロで 180人以上が死亡して以来の規模.
 1か所でのテロとしては,フセイン政権崩壊後,最大級の犠牲者数.

(読売新聞,2005/2/28)

 保健所は繁華なバザールにあり,警察の新入隊員が身体検査のため集まっていた.公務員になるためには身体検査書をとる必要があった.
 この自爆テロで132人が死亡,120人が負傷した.
 救出作業をおこなった消防士のひとりアル・アアニ(`Ammar Al-`Aani)は,ハンドルに鎖でつながれた両手と,焼けこげたコーランを見つけた,と語っている(2005 年3 月22日付Al-Sharq Al-Awsatロンドン)

 2005年3月11日付紙面で新聞が,テロリストの名はライド(Raid Mansour al-Banna)で,ヨルダンのアル・サルト市出身と伝えた.
 父親によると,ライドは何年間かアメリカで勉強し,「正確にいえば,カリフォルニア州の空港のひとつで」働いていた(2005 年3 月16日付同上).自爆した時は32歳であつた.

 アル・ザルカウィ(Abu Mus`ab al-Zarqawi)の「二つの河の地のアル・カイダ」が犯行を認めている.

(MEMRI, 2005/3/29)


 【質問】
 ヒルラ保健所自爆テロ事件で,イラク・ヨルダンの国家関係が悪化したのは何故か?

 【回答】
 MEMRIによれば,家族のテロへの態度のためであり,その根底にはヨルダンとフセイン政権との癒着に対する怒りがあるという.
 以下引用.

「イラク国民を激怒させたのが犯人の家族の態度である.
 家族は殉教者の結婚式(`irs al-shahid)として知られる饗宴を開いて,自爆を祝ったのである.天国で72人の処女とまじわることを象徴する行事で,家族のもとへ祝い客がかけつけ,お悔みの言葉と共に,殉教に対する祝辞をのべた.
 テレビには,祝賀客用のテントが特別に張られ,食料品を満載したトラックが到着する光景が映しだされた※3.
 家族は,やっつけたのはアメリカ人だからと言って,祝典を正当化した.
 しかし,この自爆テロでアメリカ人は一人も犠牲になっていない.

この『殉教者の結婚式』についてイラクで非難と怒りの声があがると,父親はこの祝賀式はなかった,と否定し始めた.
 4人のイスラミストが家に来て,『殉教おめでとう』と書いたポスターを張らせて貰いたいと言っただけ,と主張するのである.
 自分の息子の場合,殉教の意味をどう考えたらいいのかとたずねると,このイスラミスト達は
『溺死又は異郷の地で死ぬ者は殉教者』
と答えたので,
『私はそれならとポスターを張るのに同意した』
と弁解した.
 更にこの父親は報道機関に対し,自分の息子は(北部)モスールで殺され,遺体はムスリムの儀式に従って埋葬された,と語った.
『もし自分の息子がヒルラの自爆攻撃にかかわっていたら,モスールで埋葬する遺体はなかったことになる』
と父親は強調した※4.

 テロリストの兄ナセール(Naseer al Banna)は,弟のために家族が催した祝賀式に飽き足らず,インターネットに手紙をのせ,ライドを褒め称えたうえ,祖父ハサンと一緒に天国で楽しい日々を送ってもらいたい,と書いた.イラク人が何故自分の弟をテロリスト呼ばわりするのか,理解できないとも書いている.
 ナセールはこの手紙の中で,
『シーア派はアメリカとユダヤの手先』とのレッテルをはり,『シーア派の宗教はユダヤ人がでっちあげた』もので,『シーア派は預言者ムハンマドの孫アル・イマム・フセイン(al-Imam Hussein)を殺した』と主張した.
 シーア派はアル・イマム・フセインをイスラム史上最高の殉教者と考える.
この兄は,アメリカ人,ユダヤ人,シーア派に対するジハードに自分も参加するという言葉で,手紙をしめくくっている※5.

 イラクのイスラム革命最高評議会(SCIRI)は,公式の非難声明をだした.
 その中で評議会は,
『無辜の人々数百名を殺した凶悪犯であるのに,その人物を称え,祝賀気分の追悼式が行われる.
 それに対してヨルダンの報道機関,政党,労働組合から全然反対の声があがらない.ヨルダンの宗教関係者は言わずもがなである.
 イラクで起きた凶悪な大犯罪に目をつぶり沈黙している.誠に遺憾である…』
と非難した※6.

 バグダッドではヨルダン大使館の前で「殉教者の結婚式」に抗議する人々が集まった.
 最高評議会の指導者アル・ハキム(abd al-Aziz al-Hakim)は,この抗議集会でヨルダンがテロリストをイラクへ輸出していると述べ,ヨルダン王家がテロリズムを称え支持する新聞社を訪問していると非難した.
 アル・ハキムは,ヨルダン政府にも,ヨルダン国内で起きている反イラク煽動と(テロリスト)募集を防止するように呼びかけた※7.
 アル・ハキムは,ヨルダンに政治亡命中のサッダム政権残党の追放,をヨルダンに求めた※8.

 アル・ハキムは臨時大使との会談で,ヨルダンの国王はヒルラ事件を謝罪し,イラクへのテロ活動を教唆煽動してテロを輸出する者を逮捕せよと求め,イラク国民の財産をイラクへ返済せよと要求した※9.

 バグダッドのヨルダン大使館前で,シーア派のデモ隊がヨルダン国旗とフセイン国王の写真を焼いた.
 これをうけてヨルダンは,正常な外交活動が妨げられるとし,治安状態を理由に駐イラク臨時大使の召還を決めた※10.
 イラクもアル・ワッハブ(Atta abd al-Wahab)駐ヨルダン大使を召還して対抗した.
 その後ヨルダンのアル・ムルキ(Hani al-Mulqi)外相は,相手のジバリ(Hoshyar Zibari)外相へフセイン国王が臨時大使のバグダット復帰を決めた,と伝えた※11.

 ヨルダンは,25年間にわたってサッダム・フセイン体制を無制限に支持した.イラン・イラク戦争でサッダムを支持し,サッダムのクェート侵略も支持した.
 その見返りにサッダムは石油を超低価格で与え,イラク市場への無制限参入を許した.
 そのサッダムの行為でイラクは国連の経済制裁をうけ,国民は次第に疲弊し経済的に苦しくなった.
 一方,サッダムに優遇されたヨルダンは,のほほんとして経済的繁栄を享受している.

 最近もイラク国民はフセイン国王に煮湯をのまされている.
 イラクの選挙前,フセイン国王は,中東を不安定化する『シーア派イスラム』の脅威と,それがもたらす危険がさし迫っている,と警告したのである※12.

イラクのリベラル派週刊誌アル・アハリ(Al-Ahali)は,
『イラク国民は,ヨルダンの報道機関による本事件のとりあげ方に,余り驚かなくなっている.サッダム・フセインの弁護団はヨルダン人で固められているなど,イラク国民をさか撫でする行為が多すぎるからだ』と書く.
『サッダムは,中東全域をとりこんだ”大アラブ国家”を夢想し,自分のつくったスローガンをヨルダン人ジャーナリストが唱えれば,家屋や車或いは現金をご褒美にあげた』
 そして記事は
『我々は(アラブ)国家の子供ではない.我々はイラクの子供であり,イラクだけの子供である』
と痛烈な言葉でしめくくっている※13.

 イラクのジバリ外相は報道機関に対し,ヒルラ事件もあり,イラク国民はヨルダンに対して厳しい気持を抱いており,イラク政府は極力抑えようとはしているが,ヨルダンがこの危機をのりこえるには時間がかかるだろう,と語った※15.

 ヨルダン政府は,難しい立場から抜けだそうとして,アル・ガード紙の記者アル・エンソウル(Hadi Abd Al-Lateef al-Nsour)を逮捕した.殉教者の結婚式に関するニュースを書いた科である.
『本人は事実を偽って伝え,ヒルラ作戦はヨルダン人によって実行されたなどと報道した』
のが,逮捕理由である※16.
 政府は,編集主幹アル・ハムード(Imad al-Hamoud)と編集長ルファイアー(Basil Rufaiah)をアンマンの尋問判事の前にひきだした※17.
 しかし2人は,『調査の延期』で釈放されている※18.

 その後ヨルダンのアル・ムルキ外相は責任転嫁の一貫として,先週アルジェで開催されたアラブ連盟会議に出席した際,報道機関に
『今回の危機の背後にはイランの匂いがする』
と述べた.
 しかし,ヨルダンのハドル報道官(Asma Khadr)は,週間定例記者会見で外相発言の真意をきかれて,
『アル・ムルキ外相ははっきり(イラン非難を)言明したわけではなく,単に匂いがすると言っただけ』
と答えた※19」

※ 3 2005 年3 月16日付同上

※ 4 2005 年3 月16日付同上

※ 5 2005 年3 月17日付www.aljeeran.net 配信はINCPressBaghdad@Yahoo.com

※ 6 2005 年3 月13日付Karbala News(イラク)

※ 7 2005 年3 月19日付同上

※ 8 2005 年3 月21日付Al-Zaman(バグダッド)

※ 9 2005 年3 月21日付同上

※ 10 2005 年3 月21日付Al-Ra`i(ヨルダン)

※ 11 2005 年3 月23日付Al-Sharq Al-Awsat

※ 12 2005 年3 月23日付  Al-Sabah(バグダッド)

※ 13 2005 年3 月17日付Al-Ahali(バグダッド)

※ 14 2005 年3 月16日付Al-Sharq Al-Awsat

※ 15 2005 年3 月12日付Al-Sabah

※ 16 2005 年3 月15日付Al-Hayat(ロンドン)

※ 17 2005 年3 月17日付Al-Sharq Al-Awsat

※ 18 2005 年3 月15日付Al-Quds Al-Arabi(ロンドン)

※ 19 2005 年3 月22日付Al-SharqAl-Awsat

(MEMRI, 2005/3/29)

 ただし,MEMRIはイスラエル寄りとも言われているので,その点は留意されたし.


 【質問】
 8/17バグダード連続爆弾テロとは?

 【回答】
 2005/8/17朝にバグダード中心部で発生した,車爆弾による連続爆弾テロ.
 最初の爆発から時間を置いて,救急隊員や警官らが多数の負傷者を運び込んでいた病院近くで,次の爆弾を爆発させるという,手口の悪質さに特徴がある.
 以下報道より.

連続テロで40人以上死亡 バグダッド,車爆弾3台

 【カイロ17日共同】バグダッド中心部で17日朝(日本時間同日午後),通勤客らで込み合うバスターミナルなどを狙った車爆弾3台による連続テロがあり,現地の警察によると少なくとも40人以上が死亡,約60人が負傷した.死者数はさらに増える恐れがある.
 イラクでは,起草期限が延期された新憲法の草案をめぐる各派の協議が同日再開される予定で,妨害を狙った可能性がある.
 警察報道官によると,バスターミナル内で午前8時前に車爆弾が爆発.多数の乗客を乗せたバス2台が全焼したほか,多数の車両が破壊された.約10分後には,数百メートル先でパトロール中の警官隊を狙った自爆があった.
 さらに10数分後,救急隊員や警官らが多数の負傷者を運び込んでいた病院近くで車爆弾が爆発,犠牲者数が増えた.

(共同通信,2005/8/17)


 【質問】
 チグリス川転落事件とは?

 【回答】
 2005/8/31に発生した,大勢の巡礼者が,テロに対するパニックにより,圧死または川に転落して溺死した事件.死者965人以上.
 テロリストがパニックを煽動したという説もあるが,現在,真相は不明.
 以下,報道より.

バグダッド 巡礼者816人死亡 「テロ」でパニック

 【カイロ=加納洋人】イラクの首都バグダッド北西部のイスラム教シーア派の聖地ムーサ・カージム聖廟(せいびょう)付近のチグリス川にかかる橋で三十一日,シーア派巡礼者たちが折り重なるようにして倒れ,多数が川に転落.〔略〕
 スンニ派武装組織によるテロが続く旧フセイン政権崩壊後のイラクで,一度の惨劇でもたらされた犠牲者としては最大級となった.
 同聖廟ではこの日,シーア派の宗教行事が行われており,聖廟への道は少なくとも数十万人の群衆で埋め尽くされていた.
 橋の上で何者かが
「自爆テロが起きる!」
と叫び,パニックとなった群衆が連鎖的に転倒し,圧力で橋の鉄さくが崩落,多数が圧死したり,川に転落したとみられる.
 2時間前には,聖廟周辺に迫撃砲数発が撃ち込まれて七人が死亡,周囲は混乱していた.
 事件の時に,迫撃砲が撃ち込まれたとの情報もあるが,確認されていない.

(産経新聞,2005/9/1)

バグダッドで8百人超死亡 テロの声にパニック

 【カイロ31日共同】イラクの首都バグダッド北部で31日,イスラム教シーア派の聖地カドミヤ・モスク(礼拝所)に向かっていた多数の巡礼者が「テロリストが自爆しようとしている」との叫び声でパニックとなり,チグリス川に架かるアエンマ橋の上で転倒して圧死,また約35メートル下の川に転落しておぼれた.〔略〕
 死者のほとんどは女性や子供という.
 英BBC放送によると,保健省当局者は死者が1000人に達する可能性があると述べた.
 イラク戦争後,テロも含めた一度の事件・事故の死者としては最悪の惨事.イラクでは新憲法草案が承認されたばかり.

(共同通信,2005/9/1)

イラク治安当局者は三十一日深夜,ロイター通信に対し,確認された死者が計九百六十五人に達したほか,四百七十五人が負傷したと語った.
 川からの遺体引き揚げにはなお時間がかかるとみられており,死者はさらに増える可能性がある.イラク保健省高官は,すでに死者数が最終的に千人規模に上るとの見方を示している.
 移行政府のジャアファリ首相は三十一日,三日間の喪に服するよう国民に呼びかけた.

 甚大な被害がでたことについて,イラク内務省は,現場にいたテロリストが他人を指差し,
「爆弾を所持している」
などと騒いだことが引き金になり,人々がパニックを起こした可能性が高いとの見方を強めている.
 移行政府のルバイエ国家安全保障問題顧問は三十一日,
「フセイン元大統領の支持者かヨルダン人テロリスト,ザルカウィ容疑者の一派が,(自爆テロの)うわさを流し,人々がパニックを起こした」
との見方を示した.移行政府当局が,今回の事態でザルカウィ容疑者を名指しで非難したのはこれが初めてだ.
 一方,被害者の間からは,シーア派の宗教行事で数十万人の人出があったにもかかわらず,移行政府が十分な警備態勢をとらなかったことに対する批判の声などが強まっている.

(加納洋人 from 産経新聞,2005/9/1)

 被害者からは,数十万人の人出が見込まれた巡礼の日なのに,雑踏警備が十分ではなかったことが原因との批判も強まっている.
 ジャビル内相は,パニックの原因となった「テロリストが自爆しようとしている」との情報を,何者かが故意に広めたとの見方を示している.

(共同通信,2005/9/1)


 【質問】
 9/14バグダード連続爆弾テロとは?

 【回答】
 2005/9/14,バグダードのシーア派地区他で,連続11件の自爆テロや攻撃が発生した事件.
 狙われたのは,多くの人が日雇い仕事を求めて集まっていた広場や,ガソリンを求めて並んでいた人々の列などで,合計150人以上死亡.
 新憲法の国民投票の妨害を狙う武装勢力が,イラクの宗派対立をあおることを狙ったと見られる.
 以下引用.

イラクでテロ続発 車爆弾,死者150人超 新憲法国民投票妨害か

 【カイロ=加納洋人】イラクの首都バグダッドのイスラム教シーア派地区で十四日朝,爆弾を積んだ車が爆発し,ロイター通信によると,少なくとも百十四人が死亡し,百五十六人が負傷した.
 さらに,首都やその近郊で自爆テロや攻撃が連続して十一件発生し,合計で百五十人以上が死亡した.
 十月十五日に予定される新憲法の国民投票の妨害を狙う武装勢力が,イラクの宗派対立をあおることを狙った計画的な連続テロとみられる.
 爆発があったのは,バグダッド北西部のカージミーヤ地区で,多くの人が日雇い仕事を求めて集まっていた広場に車が突っ込み,爆発した.自爆テロとみられる.
 一方,首都中心部のシーア派法学者の事務所近くで十四日,爆弾を積んだ自動車による自爆テロがあり,五人が死亡.さらに,首都北方では,ガソリンを求めて並んでいた人々の列を狙った車爆弾による自爆テロで,十一人が死亡した.
 テロの被害としては,七月に首都南方ムサイブで九十八人が死亡した自爆テロ以来最悪で,首都での連続テロとしてはイラク戦争開戦後,最大の犠牲者数となった.

 武装組織「イラク・アルカーイダ聖戦機構」を率いるヨルダン人テロリスト,ザルカウィ容疑者を名乗る人物は同日,ウェブサイト上での肉声テープで,「イスラム教シーア派への全面戦争を宣言する」と語った.真偽は不明.
 駐留米軍とイラク治安部隊は,シリア国境に近いタルアファルで,スンニ派武装勢力に対する大規模な掃討作戦を開始,武装勢力約二百人を殺害している.

(産経新聞,2005/9/15)

 【バグダッド14日共同】イラクの首都バグダッド北部のイスラム教シーア派地区で14日朝,職を求める住民数百人が集まった広場で自動車爆弾が爆発,ロイター通信によると,114人が死亡,156人が負傷した.
 市内や近郊で同日,自爆テロや攻撃が10件相次ぎ,計153人が死亡した.
 死者の大半はシーア派住民とみられる.
 首都でのテロとしてはイラク戦争開戦後,最大の犠牲者数.スンニ派の過激派「イラク聖戦アルカイダ組織」を名乗るグループは,イラク移行政府が北部で実施している武装勢力掃討作戦への「復讐(ふくしゅう)の戦闘が全土で始まった」とする声明をウェブサイト上で発表した.
 声明は特定のテロには言及していない.

(共同通信,2005/9/14)


 【質問】
 ヒッラ・バラド連続爆弾テロ事件とは?

 【回答】
 2005/9/29,バグダード近郊のヒッラやバラドで,連続4件の自爆テロが発生した事件.99人死亡.
 バラドでは繁華街が,ヒッラでは野菜市場が狙われた.宗派対立の激化を狙った無差別テロの可能性が高い.
 以下引用.

自爆テロ 100人超死亡 バグダッド近郊で4件

 【カイロ=加納洋人】イラクの首都バグダッド北方約九十キロのバラドで二十九日夕(現地時間),爆弾を積んだ自動車を使った自爆テロが相次いで三件発生し,フランス通信(AFP)によると,計九十九人が死亡,百二十四人が負傷した.
 さらに首都南方約百キロのヒッラの野菜市場では三十日朝,爆弾を積んだ自動車が爆発し,十人が死亡,十二人が負傷した.
 「イラク・アルカーイダ聖戦機構」を名乗る組織は三十日,バラドで三件の自動車爆弾攻撃を行ったとの声明をウェブサイトに出した.
 ヒッラ,バラドはシーア派住民が多く住む地域.スンニ派のイスラム過激派組織は,移行政府を主導するシーア派に全面戦争を宣言しており,宗派対立の激化を狙った無差別テロの可能性が高い.
 新憲法草案の是非を問う十月十五日の国民投票を前に,テロは激化する様相を見せている.

(産経新聞,2005/10/1)

アルカイダが犯行声明 イラク連続テロ,死者99人

 【カイロ30日共同】「イラク聖戦アルカイダ組織」を名乗る組織は30日,イラク中部バラドで3件の自動車爆弾攻撃を行ったとの犯行声明をウェブサイトで出した.
 声明は攻撃したのは29日朝としている.信ぴょう性は不明だが,バラドで同日夕に起きた3件の連続自爆テロを指している可能性が高い.AP通信によると,同テロの犠牲者は99人となった.
 一方,イラク中部ヒッラーの市場でも30日に車爆弾テロがあり,少なくとも11人が死亡,30人が負傷した.ロイター通信が伝えた.
 バラドはイスラム教シーア派が多い地域.声明は警察など治安部隊を狙ったとしているが,死者のほとんどは商店街などにいた一般市民だった.

(共同通信,2005/9/30)

イラク連続テロで85人死亡 繁華街,シーア派狙う

 【カイロ30日共同】イラク中部バラドで29日夕(日本時間同日深夜),買い物客らでごった返す繁華街で自動車を使った自爆テロが3件連続して発生し,フランス公共ラジオが病院当局者の話として伝えたところによると,少なくとも85人が死亡,100人以上が負傷した.死者には多数の女性や子どもが含まれているもよう.
 現場はイスラム教シーア派住民が多い地区.スンニ派武装勢力「イラク聖戦アルカイダ組織」は,移行政府を主導するシーア派に対し全面戦争を宣言しており,宗派間の対立の扇動を狙った無差別テロとみられる.
 10月15日に迫った新憲法草案の是非を問う国民投票を前に,スンニ派とシーア派などの感情対立が先鋭化するのに合わせ,武装勢力は一般市民の犠牲をいとわず活動を拡大,治安は悪化の一途をたどっている.
 一方,駐留米軍によると,中部ラマディでは28日,路上に仕掛けられた爆弾による攻撃で,米兵5人が死亡した.

(共同通信,2005/9/30)


 【質問】
 パレスチナ・ホテル自爆テロ事件とは?

 【回答】
 2005/10/24,バグダッド中心部のパレスチナ・ホテルに自爆車両3台が突入,17人以上が死亡した事件.
 ホテル乗っ取りを企てていたとの説もある.
 以下引用.

車両3台で波状自爆テロ イラク,警護用の爆破

 【カイロ24日共同】バグダッド中心部のパレスチナ・ホテルを狙った24日の爆弾テロは,爆弾を積んだ3台の車両を使った“波状自爆テロ”で,1台目がホテルなどの周囲にある警護用のコンクリート壁を爆破,さらに後続車が突っ込んだことが当時のビデオ映像などで分かった.
フランス公共ラジオによると,テロの死者は治安要員や通行人ら少なくとも計17人に上った.AP通信によると,死者20人との情報もある.ホテル内では5人が負傷したが,死者はなかったという.
 イラク移行政府のルバイエ顧問(国家安全保障担当)は同日,テロについて「ホテルを乗っ取って外国人ジャーナリストらを人質にし,交渉に使うのが目的だった」と説明した.
 同通信によると,1台目がコンクリート壁を爆破.約2分後に2台目がホテルからやや離れた地点で爆発.3台目はミキサー車で,1台目の自爆で壁が壊れた地点から侵入したが先には進めず,米軍の装甲車近くで約1分後に自爆した.

共同通信,2005年10月25日


 【質問】
 ハナキン・モスク自爆テロ事件とは?

 【回答】
 2005/11/18,ハナキンの町のモスク2ヶ所で自爆テロにより,礼拝中のシーア派住民74人以上が死亡した事件.
 以下引用.

モスクで自爆74人死亡 首都のホテル近くでも

 【カイロ18日共同】イラク中部ハナキンのイスラム教シーア派モスク(礼拝所)2カ所で18日,自爆テロがあり,警察当局によると,少なくとも74人が死亡,75人が負傷した.AP通信が伝えた.犠牲者の人数はさらに増える可能性がある.
 イラクでは来月15日の総選挙を前に,多数派のシーア派と少数派のスンニ派の対立が激しさを増している.
 モスクでは金曜礼拝が行われており,内部に多くの市民がいた.ハナキンは首都バグダッドの北東約150キロ.イラン国境に近く,シーア派とクルド人が混在する.
 ロイター通信によると,ハナキンの銀行付近でも爆発があった.
 一方,バグダッドでは同日,外国人記者らが多く滞在するハムラ・ホテル近くで2台の車を使った自爆テロがあり,内務省によると,少なくとも8人が死亡,43人が負傷した.外国人に死傷者はなかった.

共同通信,2005年 11月19日


 【質問】
 長老葬儀テロ事件とは?

 【回答】
 2005/11/19,シーア派の長老の葬儀を行っていたテントで爆発が起き,35人が死亡,約50人が負傷したテロ事件.
 以下引用.

イラクで自動車を用いた自爆攻撃,48人が死亡

 [バグダッド 19日 ロイター] イラクで19日,複数の自動車爆弾が爆発し48人が死亡した.18日には,自爆攻撃で80人以上が死亡している.ブッシュ米大統領は,対テロ戦争への決意をあらためて表明した.
 19日の爆発で最大の被害が出たのは,バグダッドの北東65キロにあるバクーバ近郊の村.シーア派の長老の葬儀を行っていたテントで爆発が起き,警察当局によれば,35人が死亡,約50人が負傷した.負傷者は,バクーバの少なくとも2つの病院に搬送されたという. 
 内務省によるとこの爆発の前には,バグダッド南方のディヤラ・ブリッジ周辺の市場で自動車を用いた自爆攻撃があり,13人が死亡,約20人が負傷している.
 また米軍は,北方の町バイジをパトロール中の米兵5人が爆発により死亡,5人が負傷したと発表した.これにより,米軍の死者は2003年3月以降で2089人に上った.
 18日には,イラク北東部のシーア派のモスクや,記者や契約労働者がよく利用するバグダッドのホテルを標的にした自爆攻撃があり,合計83人が死亡,100人以上が負傷した.

ロイター,2005年11月20日


 【質問】
 キリスト教教会同時爆弾テロとは?

 【回答】
 2006年1月29日,イラクでキリスト教の教会が7ヶ所同時にテロ攻撃をうけた事件.ザルカウィ・グループの関与が疑われている.

 以下引用.
 殆ど報じられないイラクのキリスト教の動静も分かって興味深い.

 6ヶ所は自動車爆弾,残る1ヶ所はバグダッドの金融街にある聖ヨセフ教会で,こちらは仕掛爆弾で攻撃されたが,幸い被害はなかった.
 教会のうち5ヶ所は,バグダット各地に散在し,2ヶ所はイラク北部のキルクークにある.キリスト教徒の間に相当の被害があった.
 通行人のイスラム教徒にも被害が出ている※1.

犯行組織はどこか

 政府機関や多国籍軍をターゲットにするテロリズムと違って,教会を狙ったテロは誰も犯行声明をださなかった.
 従って犯行組織は不明のままである.
 しかし,イラクで狙われているシーア派モスクの攻撃と教会攻撃には,類似性がみられる.つまり,アル・ザルカウィ(abu-Mus`ab al-Zarqawi)の指揮下にある両河川の地のアル・カイーダ”(al-Qa’ida Organization in the Land of the Two Rivers)が,背後組織として考えられる.
 これまでこの組織は,イラクのシーア派と十字軍(キリスト教徒)に対する排撃キャンペーンをやってきた経緯があるからである.

 注目すべき人物に,イマムのアブ・アブダッラー(Imam abu Abdallah, 偽名)という男がいる.
 スンニ派都市のファルージャにムハンマドの軍(Jeish Muhammad)と称する武装集団が拠点をおいており,アブ・アブダッラーは,これにつながるテログループとかかわっており,預言者風刺漫画に対し(キリスト教徒に)復讐すると,脅しをかけていた.
 ファルージャのモスクのひとつにいるアル・ハティブ(khalid al-khativ)というイマムも,同様に
「背教徒の社会はどこも同じ.デンマークだろうが,フランス或いはイギリスだろうが,変りはない」
と宣言していた※2.

犯行動機は何か

 キリスト教社会のスポースクマンは,爆弾テロの背後に治安妨害(fitna)とその拡散を狙った煽動の動機がある,と指摘する.
 これによって,内戦へもちこもうとする.アル・ザルカウィの明言するゴールのひとつが,この内戦である.
 更にキリスト教社会のスポクスマンは,アラブの狂信≠指摘する.狂信者の手になる連日の爆弾テロ,誘拐,脅迫そして差別は,「キリスト教社会をイラクから駆逐する」のが目的というのだ※3.

 キリスト教社会のスポークスマンのなかには,デンマークに端を発し,ノルウェーその他ヨーロッパ諸国で掲載された預言者風刺漫画と,一連の爆弾テロとは関連がある,と指摘する人達がいる.
 しかし,その関連を疑問視する教会関係者もいる.
 例えば,アマディアとエルビル(クルディスタン)のカルデア派主教アル・カス猊下(Msgr. Rabban al-Qas)はそのひとりである※4.
 このような同時攻撃の計画と自動車爆弾の準備には,数週間の時間を要するからである※5.

キリスト教聖職者の反応

 キリスト教聖職者は,教会に対する爆弾テロを当然非難する.イラクのカルデア派長老の補佐役をつとめる主教ワルダナ師(Shlemon Wardana)は,「イラクにはさまざまな社会があり,平和裡に共存してきた.
 今回の一連の事件は,これに不和,分裂の種をまくもの」とし,その暗躍者達を非難した.
 バグダッドに本部をおく福音派系のプロテスタントの指導者といわれるメハニ師(Msgr. Ikram Ikrahim Mehani)は,表現は少し違うが,同じように非難している.
 ちなみにメハニ師を福音派プロテスタントの精神的指導者と評価しているのは,アッシリア人思想家カザンチ教授(Yusuf Qazanchi),アッシリア系カトリック教会の副主管クタイミ猊下(Msgr. Raphael Qutaimi)である※6.
 それはそれとして,イラクの政治指導部が教会攻撃に沈黙し,非難の一言も発し得ないのは,驚きである.

 〔略〕

結び

 イラクのキリスト教徒,そして恐らくはアラブ諸国のキリスト教徒全体が,ほかの宗教,宗派に対して寛容を一切示さない暴力的イスラミストの圧力を,ひしひしと感じ始めている.

 アッシリア国際通信社が報道したように,
「町の通りでは,彼等(ムスリム)がいつも我々を十字架の不信仰者共≠ニ叫び,罵詈雑言を浴びせる.
 我々が親しくしているムスリムと一緒の時でも,我々はこの罵詈の圧力を感じている」
のである※9.
 キルクークの教師エルダ(Asher Yelda, 50歳)は,
「私は通りに出るのが恐ろしい.何故なら私はキリスト教徒だから」
と語っている※10.

※1 イラクのキリスト教徒が直面する問題については2005年3月22日付 
  MEMRI Inquiry and Analysis 213を参照

※2  2006年2月4日付 Al-Quds-Al-Arabi (ロンドン)

※3  2006年2月1日付 Assyrian International News Agency

※4  名前は音声を文字化したもので,必ずしも正確な綴りではない

※9  2006年2月8日付 Assyrian International News Agency

※10 2006年2月4日付 Al-Quds Al-Arabi 

ニムロッド・ラファエリ博士はMEMRIの中東経済研究プログラムの主任研究員

MEMRI, 2006/2/26


 【質問】
 サマラ・シーア派聖廟(せいびょう)爆破事件とは?

 【回答】
 2006年2月下旬,イラク中部サマラで発生したテロ事件.イラクにおける宗派対立激化の発端となった.
 同年6月,実行犯としてイラク聖戦アル・カーイダ組織のメンバーが逮捕された.
 以下引用.

聖廟爆破でアルカイダ逮捕 イラク,宗派対立の発端

 【カイロ28日共同】イラク政府のルバイエ国家安全保障担当顧問は28日,中部サマラで2月下旬に発生し,宗派対立激化の発端となったイスラム教シーア派聖廟(せいびょう)爆破事件の実行犯として,イラク聖戦アルカイダ組織のメンバーを逮捕したと発表した.
 数千人の市民が命を落とす治安の泥沼化につながった聖廟爆破事件では,宗派対立の扇動を狙ったとされる聖戦アルカイダの関与が指摘されていた.

共同通信,2006年6月28日20時12分


 【質問】
 バグダッド・パレスチナ人襲撃事件とは?

 【回答】
 2006/6/26,バグダッド南西部アル=バラディヤ地区で,武装集団がパレスチナ人居住区を襲い,パレスチナ人3人を殺害,3人を負傷させた事件.
 続報なく,背後関係不明.

 以下引用.

バグダッドでパレスチナ人居住区襲撃されて6人が死傷 自治政府代表が保護要請

 【アルジャジーラ特約26日】26日,バグダッド南西部のアル=バラディヤ地区で武装集団がパレスチナ人の居住区を襲い,パレスチナ人3人を殺害,3人が負傷した.
 パレスチナ自治政府のダリル・アル=カスス・イラク駐在代表はアルジャジーラに対して,
「この事件はイラクにおける治安悪化という文脈で起きたものだ.素性のわからない武装集団がアル=バラディヤ地区のパレスチナ人居住区を襲撃し,住んでいる民間人に発砲した」
と語った.
 同代表はイラク政府に対して,イラク在住のパレスチナ人を保護するよう要請した.

 サダム・フセイン政権の崩壊以後,多くのパレスチナ人がイラクを離れて,シリアに移った.

 マリキ・イラク首相は25日,国内の宗派間の暴力事件をやめるよう国民和解計画を発表していたが,26日にも暴力事件が相次いだ.

 ▼バグダッド南方40キロにあるアル=イスカンディリアでは,武装分子が乗用車に発砲,警察官2人と民間人1人が殺害された.

 ▼バクバ市の市場で武装分子の襲撃があり,別々の場所で3人が殺された.1遺体を収容に向かった警察官1人が商店の前で起きた爆発で死亡し,他に5人が負傷した.

 ▼イラク北部では,武装分子の車両への発砲事件があり,警備員1人が死亡,他に6人が負傷した.

 ▼北部のキルクーク市では,同市西部アル=ハウィジャの市場で3回の発砲があり,4人以上が殺された.

 ▼バグダッドでは,スンニ派の政治家,アドナン・アル=ドゥライミ氏の警護員が路上に立っていて,射殺された.

 ▼モスル市では,警官と反政府分子との間で交戦があり,警察官1人が殺され,警察官2人と反政府分子2人が負傷した.

 ▼同市では別に,パトロール中の警察官のそばで爆弾がさく裂,警察官1人,民間人1人の2人が負傷した.(翻訳・ベリタ通信=日比野 孟)

アルジャジーラ,2006年06月27日15時40分


 【質問】
 2007/1/16のバクダード連続爆弾テロについて教えられたし.

 【回答】
 AP通信によると,16日午後,市東部にある名門ムスタンシリヤ大学の正門付近で,自動車爆弾が爆発し,帰宅途中の学生や職員ら少なくとも65人が死亡,138人が負傷.
 ロイター通信は大学当局者の話として,死亡した学生の大半は,帰宅のため,出迎えの車を待つ女子学生だったと伝えた.
 また,AP通信によると,市中心部にある市場近くでは自動車爆弾が爆発し,少なくとも15人が死亡,74人が負傷.
 その他,少なくとも3件のテロがバグダードで起き,死者は計100人以上,負傷者は270人以上となったという.

 【参考ページ】
2007年1月17日5時5分,読売新聞(by 岡本道郎)
2007年1月17日15時3分,読売新聞(by 柳沢亨之)


 【質問】
 アスカリ聖廟再爆破テロ事件とは?

 【回答】
 2007.6.13午前,シーア派聖地「アスカリ聖廟」が爆破されたテロ事件,
 AP通信によると,2つの塔が崩壊した.
 同聖廟は2006年2月にも爆破され,それを機にシーア派とスンニ派の宗派対立が一気に激化,内戦状態となっ た象徴的な施設.
 駐イラク米国大使館の声明によれば,アル・カーイダの犯行だという.
 この事件に関し,イラクのシーア派宗教権威,シスタニ師は自制を呼びかけている.
 また,スンニー派のサドル師も,3日間のモスク破壊の服喪を呼びかけ,施設の保護に充分でなかったとして政府を非難した.

 【参考ページ】
2007年6月13日19時48分,共同通信
http://www.iht.com/articles/2007/06/13/africa/iraq.php
http://nahrain.com/d/news/07/06/13/nhr0613n.html


 【質問】
 バグダード・シーア派モスク自爆テロ事件とは?

 【回答】
 2007.6.19,バグダードで,イスラム教シーア派のモスクにトラックが突っ込み,爆発したテロ事件.
 事件は,米軍1万人がバクダードの北方,ディヤラ州のバクバ周辺で大規模なアルカイダ掃討作戦を開始してからわずか数時間後に起こった.

 トラックを運転していたのは,アルカイダのメンバーとみられている.
 目撃者によると,壁の一つが破壊されたほか,モスクの内部も一部損傷したという.

 警察によると,爆発で少なくとも9人の女性を含む78人が死亡,224人が負傷した.

 マリキ首相は声明で,爆発はアルカイダの犯行とし「宗派間抗争に火をつけようとする(アルカイダの)決意を示している」と表明した.

 【参考ページ】
2007年6月20日8時6分,ロイター

faq02iq03f.jpg
ロイター/Ali Jasimより引用)


 【質問】
 スンニ派部族会合自爆テロ事件とは?

 【回答】
 2007.6.25,バグダード中心部のマンスール・ホテルのロビーで,爆弾を身に着けた男が自爆したテロ事件.
 同ホテルは外国人にもよく利用される.

 AFP通信によれば,国民議会の世俗会派「イラク国民リスト」所属議員(イスラム教シーア派)1人を含む12人が死亡,21人が負傷した.
 この日は西部アンバル州のイスラム教スンニ派部族指導者の会合が開かれており,死者のうち数人はこうした部族指導者という.
 同州では,地元部族の一部が駐留米軍やイラク治安部隊に協力,国際テロ組織アルカイダ系武装組織と対立しており,今回の事件はアルカイダ系組織が会合を標的としたテロの可能性が強いと推測されている.

 【参考ページ】
2007年6月26日1時3分,時事通信

自爆テロが起きたホテル
こちらから引用)


 【質問】
 ヒッラ野外市場連続自爆テロ事件とは?

 【回答】
 2007.2.1夕,イラク中部ヒッラの野外市場で1,爆弾を体に巻いた男2人が相次いで自爆した事件.
 警察によれば,買い物客ら61人が死亡,150人が負傷した.

 同市はシーア派信徒が多く,同派を標的としたテロの可能性がある.

 また,バグダードでもこの日,マリキ首相が米国の支援を得て秩序回復に努めると表明しているにもかかわらず,シーア派地区など市内各地において,爆弾の爆発や迫撃砲の攻撃で11人が死亡したほか,路上に30体の遺体が放置されているのが見つかっている.

 【参考ページ】
2007年2月2日11時38分,ロイター
2007年2月2日12時32分,読売新聞(カイロ=柳沢亨之)

バグダッドの自爆攻撃の現場
(2007年 ロイター/Ceerwan Aziz)


 【質問】
 トゥズ・フルマト市場トラック爆弾テロ事件とは?

 【回答】
 2007/7/7,イラク北部の町トゥズ・フルマト近郊の市場で7日に起きた,大型トラックを使った爆弾テロ事件.
 多くの人が買い物をしているときにトラックが爆発.
 小規模店舗約50店と住宅50棟が崩壊した.

 地元当局者によると,死者は8日までに130人に達した.負傷者は250人.
 警察によれば,さらに20人の身元が不明となっており,死亡が推定されている.
 負傷者は近くのトゥズフルマトゥやキルクークの病院だけで収容しきれず,約100キロ北のスレイマニヤにも搬送される事態となった.

 現場は,イスラム教シーア派のトルクメン人が多く住む地区で,同派信徒の大量殺傷を狙ったものとみられる.

 イラク当局者は今回の攻撃について,スンニ派イスラム教過激派のアルカイダの関与を指摘している.

 【参考ページ】
2007年7月8日1時27分,読売新聞(カイロ=福島利之)
2007年7月8日8時0分,産経新聞(カイロ=村上大介)
2007年7月8日12時55分,ロイター
2007年7月8日18時3分,ロイター
2007年7月8日21時43分,読売新聞(カイロ=長谷川由紀)

faq02iq05.jpg
こちらより引用)


 【質問】
 ハスワ近郊自爆テロ事件とは?

 【回答】
 2007/7/8,バグダード南方ハスワ近郊で,爆発物を仕掛けたトラックが,イラク軍の新兵を乗せたトラックに突っ込み,爆発したテロ事件.
 ロイター通信によると,少なくとも23人が死亡した.
 新兵らは,西部アンバル県出身のイスラム教スンニ派信徒で,地元スンニ派部族と対立する国際テロ組織アル・カーイダ系勢力の犯行の可能性がある.

 【参考ページ】
2007年7月8日21時43分,読売新聞(カイロ=長谷川由紀)


 【質問】
 アジアカップ祝勝市民連続自爆テロ事件とは?

 【回答】
 2007/7/25,バグダードでサッカーのアジア・カップ準決勝での同国代表の勝利を祝っていた市民らが,自動車爆弾を使った2件の自爆攻撃を受けた事件.
 警察によると,最初の爆発はマンスール地区で発生.
 路上に繰り出した人々の近くで自動車爆弾が爆発し,30人が死亡,75人が負傷した.
 その直後,市中心部に近い軍の検問所近くでも自爆テロがあり,付近にいたサッカーファン20人が死亡し,60人が負傷した.
 犠牲者の多くは,アジア・カップ準決勝で韓国を破り,決勝進出を決めた同国代表チームの活躍を喜ぶサッカーファンだったという.
 地元警察当局者は,2件のテロが同国チームの勝利を祝う人々を狙ったのは明らかとの見方を示した.

 なお,フランス通信(AFP)によると,各地の街頭では,祝砲の代わりに自動小銃などの実弾を空に向けて撃つ音が響き渡り,バグダッドでは市民少なくとも2人が流れ弾に当たって死亡した.

 【参考ページ】
2007年7月26日10時24分,ロイター
2007年7月26日11時25分,産経新聞(村上大介)


 【質問】
 バグダード・ペット市場爆弾テロ事件とは?

 【回答】
 2007/11/23朝,バグダード中心部のペット市場で,爆弾が2発続けて爆発した事件.
 地元警察によると,爆弾は小動物を運ぶ箱に仕掛けられたという.
 AP通信によると,付近にいた買い物客ら13人が死亡,60人が負傷した.
 治安を混乱させようとするイスラム過激派勢力による犯行の可能性がある.

 このペット市場では1月にも爆弾テロで15人が死亡するなど,何度もテロの対象となっている.

 【参考ページ】
2007年11月23日21時13分,読売新聞(カイロ=福島利之)


 【質問】
 イラク政府関係者(?)誘拐・殺害事件とは?

 【回答】
 2007/11/24,アルカイダ系のグループが,イラク政府関係者9人を殺害したと主張し,銃殺の場面を撮影した動画をインターネット上に掲載した事件.
 グループは殺害したイラク政府関係者について,首都バグダッド北方のサラフディン州で,米軍とイラク治安当局が先に行った攻撃の最中に誘拐したとしている.
 動画では,目隠しをされて手を後ろに縛られた複数の男性が,屋外で武装グループに銃で撃たれる様子が写っていた.
 内容の真偽については定かではないが,動画はイラクの反政府勢力が使うウェブサイトに掲載された.

 【参考ページ】
2007年11月25日14時32分,ロイター


目次へ

「アジア別館」トップ・ページへ

「軍事板常見問題&良レス回収機構」准トップ・ページへ   サイト・マップへ

inserted by FC2 system