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中近東FAQ目次

「自衛隊イラク派遣反対」のデモ.「北朝鮮に核兵器を持つ権利を!」ってギャグ?
(こちらより引用)


 【質問】
 自衛隊のイラク派兵はすべきだったのでしょうか? 軍事的観点からのご意見があれば拝聴したいのですが,お願いします.

 【回答】
 軍事的にみれば,米軍ですらそれなりに死傷者を出しているゲリラ戦の最中に部隊を派遣することは,危険だといえる.

 ただ,この派遣は,強力な政治的な要請があって行うもの.
 ですから,軍事的判断がどうあれ,政治が派遣すると言ったら派遣するしかない,ということになるだろう.

 その国家戦略的には,派兵賛成側の論理は以下の通り
・10/16の国連決議によって,イラク復興に協力することが各国に求められている
http://www2.asahi.com/special/iraqrecovery/TKY200310160369.html
・中東の石油に依存している日本にとって,中東の安定は必須
・兵士が共に肩を並べることをしない同盟国は,同盟国としての信頼を失う
・テロの威嚇に屈したという印象を各国やテロリストに与えることになり,
 対外的にマイナス

 以上に対する反対意見
・国連の安保理のロシアもフランスも派兵していないのに,なぜ日本が?
・中東を不安定化させたのはブッシュ
・法律の不備
・国民の8割が反対している

 以上,'03年12/7のTV「サンデー・プロジェクト」より

(プーチンKGB大尉他 in コヴァ板,軍事板出張スレ)

 プロ/セミプロの専門家においては,以下のような肯定意見がある.

 世界の多くの国が,一緒に復興に取り組む中,日本だけが世界に背を向けるわけにはいかない.
 イラクのゴタゴタが,トルコやサウジに広がりつつあり,回復が遅れれば,中東全体に広がる懸念がある.
 他に現実的なやり方があるなら,具体的に提案すべきだ.

 イラクの治安回復・復興を国連主導でやれという意見があるが,国連はボスニア,アフ【ガ】ーンなどで失敗した.国連には統制のとれた強力な治安活動はできない.
 また,米国以外の国も,米国の輸送能力と遠隔地への通信能力の助けがないと,現実に何もできない.

(江畑謙介 from 読売新聞 Dec. 13, '03,抜粋要約)

「ビン=ラーデンの側近ナンバーワンのザワヒリ医師は,「神の主権論」の中で,「主権は唯一,神にあるものであり,立法は神の専権事項である.民主主義は,神から立法権を簒奪するものであり,また,そうすることによって人民を神格化している.まさに偶像崇拝だ」と述べている.
 彼ら〔アルカイダ〕のイスラム〔過激〕原理主義というのは,民主主義に対して決定的に敵対思想を持っている思想だから,我々は立ち上がらなければいけないんです.

 このことは,小泉内閣も曖昧にしてきたから,自衛隊をイラクに派遣するのに,何で派遣するのか,言い訳に困っている.
 どうしてアフ【ガ】ーニスタン,それからイラクに行かなきゃいけないのかという説明ができないのは,このアラブ〔過激〕原理主義とは何かということをわかってない証拠だろうと思います.
『民主主義への挑戦だからやるんだ』と何故言わないのか,僕には不思議です」

(田久保忠衛 from 「反米論を撃つ」 恒文社21,'03,p. 137-139抜粋要約)

「人的貢献は評価される」

 湾岸戦争終了直後,クウェートはアメリカの新聞に,イラク撃退に貢献してくれた諸国への感謝広告を出した.
 僅かでも兵を出した国の国名は全て挙げ,感謝の意を表していたが,増税までして130億ドルの大金を拠出した日本の名はなかった.
 しかし,解放されてから一年後,クウェート市郊外に多国籍軍参加各国の国旗を掲げた
 大壁画が登場し,これにはわが国の掃海艇の派遣が評価されて,日の丸の旗がアメリカ国旗の右上に加えられている.

柿谷勲夫,元防衛大学教授,『自衛隊が軍隊になる日』,1995.3.15

 日米同盟はわが国が現在選択している安保戦略概念のことを指し,日米が緊密 な関係にあることを世界に示すことで国防を達成するというものです.
 概念ですので,情勢の変化にフレキシブルに対応する必要があります.
 条約があるから何もしなくていいという姿勢では,「米国から安保条約を破棄される」という事態がいつ起こっても不思議ではありません.
 日米同盟をあたかも空気のよう に「そこにいつもあるもの」と感じている人も多いようですが,想像以上に脆 いものであることを理解する必要があります.
 そのためにも,米国との関係が 円滑に進むよう常日頃から心がけなければなりません.

 営業マンは,重要得意先をつなぎとめるため,必死になって相手からの注目を得つづけようとする戦略・戦術を練り,実践します.
 それは自社に利益をもたらすためであり,得意先に利益をもたらすことは第二義的なことです.
 日米同盟の本質もそれと同じで,大国ではないわが国が,大国である米国中枢から関心を失われることのないよう,日々努力することが大切と思います.
 見識ある先人たちが,これまでこういう地道な努力をしてきたおかげで,今の わが国の安定と繁栄があります.(不況ではありますが,夜の町を歩けないほど治安は悪化しておらず,国民の多くは携帯を持ち歩き,車を乗り回し,電車 の中で眠りこけることもでき,停電の頻発はなく,餓えも日常になっていません).

 これまでわが国は
「軍事面で貢献できないけど,経済面で貢献します」
との姿勢 で日米同盟の維持に対応してきました.
 基本的にはその路線でいいとおもいま す. 今の憲法がある限り,自衛隊の実力発動機会は減らすべきで,自衛官が死ぬかもしれない状況を極限まで少なくする必要があると考えます.
 しかし,「ここ ぞ」というときは米国中枢向けに「身体を張って友邦を助ける国・日本」との 姿勢を示すことが必要でしょう.
 国際社会の中でわが国が生き残るための戦略である日米同盟を考える際は,このように,国内だけで片がつく問題ではないのだということを理解する必要が あると感じます.

(おきらく軍事研究会)

 憲法論議は日本国内で重要度が増しているし,アメリカの日本専門家の間でも注目度が高いが,一般のアメリカ国民にとっては,日本がアメリカの同盟国として戦後初めて戦闘が続く外国に自衛隊を派遣したことのほうが重要だ.
 コアリションの参加国であると同時に,アメリカにとってはかけがえのない同盟国との認識がさらに強まった.
 その点で,日本が憲法改正をしようがしまいが,実際にイラクに自衛隊を派遣した価値は大きく,同盟関係は一層,強化されたと見て間違いない.

Michael E. O'Hanlon from SAPIO 2004/2/24号,p.24

 私は,日本は自衛隊を「やむなく派遣せざるをえない」という立場です.
 〔略〕

 まず,日本が戦後一貫して掲げてきた憲法の精神,平和主義,国連中心主義などの原理原則に基いて行動しようとするならば,戦争で荒廃したイラクの安定は世界の平和,とりわけテロリストの足場にしないという意味で欠かせないプロセスですから,これに主体的に関与していかなければなりません.
 このことに文句をつける人はあまりいないだろうと,私は思います.

 では,国として崩壊してしまったイラクが再生・復興する手伝いを日本や世界各国が協力してやっていこうというとき,その作業は日本や世界各国の誰が担当するのか.
 復興支援全体の作業量を100とすれば,その大部分の85〜90%までは,民間が主体にならなければできません.
 しかも10年,20年,あるいはそれ以上の長い期間が必要です.
 それを最初から民間でやれるのであれば,やったらよいのです.喜んでイラク復興支援に手を貸したいという日本の民間企業や団体が現れれば,私はそれを支持しますし,日本政府に彼らを採用したらどうかと勧めます.

 しかし,武装勢力と米英軍の衝突やテロリストの自爆攻撃が頻繁に起こる危険なイラクに喜んで行き,復興支援に参加しようという企業や団体などないのです.
 だから私は,イラク復興支援に関しては,やむをえない措置として自衛隊という「軍事組織」を派遣すべきだと主張しています.
 国が崩壊したことで秩序が乱れ,治安も危うい状況にあるイラクには,「戦場」と呼べるかどうかはさておいても,明らかに危険な地域がたくさんある.
 そこに民間人を派遣したら,危険に対応する能力がないわけですから,次々に殺されてしまうかもしれない.
 危険だからと放置しておけば,混乱が拡大してテロリストの拠点になる可能性がある.
 だから,危険に対応する能力を持った軍事組織,つまりは自衛隊を持って行き,危険に耐えながら,一日も早く復興支援の足場を固めるべきなのです.

 台風や自身など大災害の直後に,軍事組織の自衛隊を投入しなければならないケースがあります.
 それと同じように,戦争の直後の復興支援活動にも軍事組織が中心とならなければ役割を果たせない時期があります.
 骨折した時,位置を固定するために一定期間ギプスを嵌めるでしょう.あるいは添え木を当てて一時的に固定したりします.
 あのギプスや添え木を当てるような位置付けで軍事組織を使うのです.
 時期が来ればギプスを外しリハビリを始めますが,ギプスは1ヵ月で取れたがリハビリは1年以上かかる.そんなイメージですね.

 したがって自衛隊の派遣は,イラク復興の初期,治安が回復するまでの避け難い一定期間に限定された任務という事になります.
 そして,できるだけ早く民間主導の復興支援にシフトしなければなりません.

 だからこそ,イラク戦争に反対した国も,イラクの復興支援には軍事組織を出しているとも言えます.
 例えば,カナダはいち早く軍の輸送機3機を派遣しました.
 戦争反対ならば民間機のチャーター機でいいじゃないかと思うかもしれませんが,民間だけでやろうとすると地上のサポート・チームも民間人になる.
 治安が不安定な状況ではそれは無理だから,軍隊と軍の輸送機を持っていく,というのがカナダの考え方です.
 この考え方は先進国に共通しています.
 北アメリカの北半分,1000万平方キロに近く,ロシアに次いで世界第2位の広い国土を占め,人口が約3000万人と関東地方より少ないカナダが,イラクに軍隊を出したからといって,侵略に繋がる恐れがあるから危険だと思う人は,世界中どこにもいないはずです.

「日本の戦争力」(アスコム,2005.12),p.198-200

>危険なイラクに喜んで行き,復興支援に参加しようという
>企業や団体などないのです.

 一部の,自殺志願まがいの超マイナーNGOを除きます(笑)

 ただし小川和久によれば,派遣賛成論に全く問題がないわけではないという.
 以下引用.

 自衛隊のイラク派遣やイラク復興支援に関する日本の議論は,非論理的・非科学的・非現実的な3点セットで,これでは世界に通用しないと私は考え,次のように整理すべきだと提案してきました.

 第1に,自衛隊の派遣がイラク復興支援の全てであるかのごとく錯覚され,報道もされてきましたが,こんなバカな話はありません.
 自衛隊や米英軍にせよ,その他の国の軍隊にせよ,軍事組織ができることは極めて限られています.
 自衛隊の派遣はイラク復興支援の初めの一歩に過ぎないのです.
 「派遣すべきである」という主張が,復興支援全体の中での自衛隊の役割を全く意識していないのであれば,それは空虚なスローガンでしかありません.

 〔略〕

 イラク復興支援の最初のステージでは,どうしても自衛隊が必要であること.
 同時に,国際テロの根絶への普段の営みが必要であること.
 その営みの中心にイラクの安定があること.
 これらを科学的・論理的・現実的に考えながら,日本は国際社会で有効な手を次々と売っていかなければなりません.
 そう考えれば,ただ単に「自衛隊を出せばよい」「出さなければよい」と言い合う子供のような議論が意味をなさないことは,明らかではないでしょうか.

「日本の戦争力」(アスコム,2005.12),p.202-205

 一方,反対意見のほうだが,現在までのところ,「戦争に巻き込まれる」だの,「大義がない」だのといった,感情論しか見つからない.
 論理的な反対論を見つけた方は,ご一報を.


 【質問】
 イラク戦争に自衛隊を派遣することにより,日本が得たものはありますか?

 【回答】
 派遣はイラク戦争じゃなくて,復興支援とインド洋ね.

・同盟国としてアメリカの信頼up
・紛争地域での準実戦経験
・米軍との情報共有度が飛躍的に向上,など

 死人も出さず,結果的にメリットばかり.
 反対していた五百籏頭真は,「小泉マジック」と舌を巻いた.

 ただし,同時にこれから失うものでもあります.

戦争・国防板,2009/12/08(火)
青文字:加筆改修部分


 【質問】
 支援活動の安全保障にとっては,武力によるガードではなく,地元の信頼を得ることが最良だ,という意見の是非は?

 【回答】
 国家崩壊し,武装集団が割拠する地域では,信頼確保が安全保障に結びつかないことが多い.
 大抵の事例において,そのような地域では責任の所在が曖昧であり,誰も不法の責任を取らされずに済む場合が殆どだからである.

 各地の人道支援活動地域を飛び回った,作家・ジャーナリストのマイケル・イグナティエフ Michael Ignatieff は,次のように述べる.

 赤十字国際委員会の活動は,ますます危険なものになっている.
 1994年にルワンダだけで赤十字は戦争行為により活動家36名を失い,しかもその一部は,はっきりと攻撃の標的にされたことによるものだった.
 国際委員会の派遣要員の身の安全に関するそうした新たな懸念から,当の組織が,その中立性の根底に触れるジレンマに陥る.
 赤十字の派遣団が国連の護衛に送ってもらったら,国連の武装に守られはするが,独立した組織という声望は傷つくだろう.
 派遣団_防弾チョッキと防弾ヘルメットを支給し,専用車両のランド・クルーザーを防弾仕様にすることさえ,激論を巻き起こしたことがある.
 反対論は,攻撃の標的になるものを強化すれば,標的になる公算が増すだけだと言う論法だった.

 こちらが民兵を信用すれば,相手もこちらを信用するというわけだが,しかし,何人もの派遣要員が,信用したばかりに命を落としている.
 最近の新聞紙上で,オクスフォード大学の国際関係学教授,アダム・ロバーツは,国際委員会がその声望の威力に頼っていることを酷評している.
『安全についての建設的な考察には……人道的活動に不偏不党と中立はつきものとする,それ自体としては立派な伝統は,助けにはならない.
 安全対策上,時にこうした原則から離れる必要があるかもしれない』

 赤十字は原則から離れはしないが,安全対策を変更し始めている.
 今では派遣団の宿舎を防備するための武装警備員を配置しているし,医薬品集積所や食料倉庫の周囲にも,略奪を防ぐための武装警備員がいる.病院・診療所・医療センター・派遣団内部に関しては,武器は御法度だが,周辺警備は行われており,これは武器を装備している.

( 「仁義なき戦場」,毎日新聞社,1999/10/30,p.154-155,抜粋要約)

 また,地元密着型支援は,地元武装勢力に隷従する,一種の腐敗を招き易い.
 アフ【ガ】ーンのペシャワール会の中村医師が,タリバーン指導者オマルの代弁者と成り果てているのが,その代表例であろう.
 武装勢力の「味方」なら攻撃されないだろうが,もはやそれでは援助活動ではなく,間接的な武装勢力への支援活動に過ぎない.

 冷戦時代にも,国連の人道援助対象国は,ソ連の影響下にあった国が多かったことから,
「これではソ連の代理として援助しているに過ぎないのではないか?」
という議論がよく聞かれたが…….


 【質問】
 自衛隊がアメリカ軍と一体で行動することで「中立」でなくなり,それまで安いコストで給水していた日本のNGOが撤退せざるを得なくなったのでは?

ひろむりん in mixi
青文字:加筆改修部分

 【回答】
 目に見えるコストだけを考えていませんか?
 NGOで活動されている方々は,どうやって現地で生活されてます?
 自衛の能力は?
 イラク邦人誘拐の際には,ニュースが伝わっただけで株価が急落しておりますが.
(参考http://www.mitsubishi-sec.co.jp/houjin/s_report/souba/200404/12.pdf
 その辺のコストはいかがでしょうか?

 ところでイラクのテロリストの方々は,国際的に中立の立場である国連の事務所や赤十字国際委員会事務所でもテロしてますが,本当に中立と安全が関係あるんでしょうか.

P.A. in mixi

 当時,武装組織はインフラ破壊によって社会混乱を起こすことを狙っております(これは,現在のイラクが内戦になったことで目的を果たしつつあります)
 警察志願者の行列がしょっちゅう狙われるのも,社会混乱を収めさせたくないからです.
 したがって丸腰で行けば,必ず狙われます.

 また,NGOの場合も区別がないことは,しょっちゅう拉致が行われた――中にはイスラーム教徒を拉致した事例も――ことからも明白です.
 NGOは一般に,一人でも犠牲が出れば,安全性再確保まで活動停止,最悪の場合,撤退もありえます.

 丸腰で行け,ですって?
 黒柳徹子すら,そんなことをしていませんよ.

消印所沢 in mixi


 【質問】
 派兵すると東京でテロをやると宣言してる奴らがいるが,日本国はこいつらの攻撃を防げるのか? 勝てるのか?
 保守派の人達は,勝てる準備もせずに米と開戦した事を否定してたよな?
 じゃー,参戦賛成保守はテロリストに勝てるプランを持ってるのかな?

 【回答】
 まず対テロ特殊部隊は徐々に整えられつつある.
 自衛隊,警察,海保,国土交通省とバラバラにやっているように見えるのが,かなり気になるところであるが.

 また,イラク派兵の有無に関わらず,911の頃から既に日本に対するテロ計画も存在していたことが明らかになっている.

アルカイダ,ドイツのソニービルと日本大使館を狙う
http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/nybomb/200202/01-01.html
アルカイダ,アジアにテロ計画
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt10/20020916D3KI00Y616010001.html
アルカイダメンバーが国外退去処分
http://www.kahoku.co.jp/news/2003/11/2003110401000491.htm

アルカーイダ,W杯狙い日本でテロ計画 最高幹部が供述

 国際テロ組織アルカーイダの最高幹部が,日本と韓国で開催された2002年のサッカー・ワールドカップ(W杯)を狙い,日本でのテロを計画した,と米治安当局の調べに対し供述していたことが14日,分かった.
 米当局から日本側に情報提供があった.日本に支援組織がないことなどから,テロは具体的な計画には至らなかったが,日本の公安当局は,自衛隊のイラク派遣をめぐり昨年末,アルカーイダを名乗る組織から相次いだテロ警告以前にも,日本が標的になっていたとみて警戒を強めている.
 公安当局によると,最高幹部はアルカーイダのナンバー3で,01年の米中枢同時テロでも中心的役割を果たしたとされるハリド・シェイク・モハメド被告.
 モハメド被告は「W杯を狙ったテロを計画したが,実行するためのインフラが日本にはなく,具体的な計画,準備に至らなかった」と供述しているという.
 モハメド被告は1965年ごろの生まれで,クウェート出身.昨年3月,パキスタンで米当局に逮捕された. 87年ごろ,企業研修名目で来日.約3カ月間滞在し,静岡県内の建設機械メーカーで削岩機の使用方法を学んだほか,削岩機約150台を購入したことが公安当局の調べで確認されている.

(産経新聞,2004/2/14)

 2001年9月11日の米中枢同時テロの計画段階で,国際テロ組織アルカイダが日本国内の米国関連施設に対しても,ハイジャックした飛行機を墜落させることを検討していたことが16日,米政府の独立調査委員会事務局が発表した報告書で分かった.
 アルカイダが日本でのテロ攻撃を計画していたことが判明したのは初めて.
 具体的な攻撃目標は明らかでないが,在日米軍基地などだった可能性がある.
 アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン氏が「実行困難」と判断したため,この案は立ち消えになったという.
 報告書によると,アルカイダのナンバー3で,中枢同時テロの計画責任者とされるハリド・シェイク・モハメド容疑者は1999年半ばの時点で,米国とアジアで同時にテロを実行する「二正面攻撃」を計画した.

(共同通信,2004/6/17)

 エジプト・ルクソールで観光客に対してテロ事件 日本人10名を含む観光客58人とエジプト人警官4人の計62人死亡.エジプト観光産業に大打撃を与える.
http://homepage2.nifty.com/hashim/terror4.htm

>オサマ・ビンラディン「ユダヤ人と十字軍との聖戦のための世界イスラーム戦線」を結成し,
>「アメリカ人とその同盟者を民間人,軍人を問わず殺すことは,
>それが可能なすべての国にいるムスリムの個人的義務である」
>とのファトワ(教義判断)を発表する.

 9,11以前にすでに日本も喧嘩売られてるね.

 またWTC自体,世界の優秀な人材が揃った国際都市ビルということは意識しておけ.

 ちなみに,こんなことも知らずに,「その手があったか!」だの「ビンラーディンにはキリストの面影がある」だのと 言っていた小林よしのりと西部邁は,いかがなものか.
 テロを正義に基づいた行為と勝手に定義付けして尻尾を振る.
 小林のいう親米ポチとベクトルが違うだけで,メンタリティは全く同じじゃないか.
 鏡を見て必死に威嚇してる感じがするよ.

エセ保守監視小屋

 さらに言えば,アルカイダの声明文は,英語に訳すと「もしイラクに派兵したらテロを起こす」というものになっているが,アラビア語では,この「条件節」が英語ほど明確ではない,つまりニュアンス的には,
「そーかそーか,イラクに派兵するとかなんとか言っているようだから,テロってやるよーん」
に近い,という話もある.

 つまり,派兵の有無に関わらず,すでにテロのターゲットの一つに日本はなっていると見てよい.

 なお,対テロ対策は,イラク派兵とは無関係に,不断の努力で行われるべきものであり,今までそれが抑圧されてきたほうが不自然なのである.

(プーチンKGB大尉他 in コヴァ板軍事板出張スレ)

「私は今回のテロ事件で,安全と経済はコインの両側であると痛感しました.あのテロで株価は下がり,航空産業が大打撃を受けましたね.
 ビンラディンはアメリカ人を殺戮するのではなく,アメリカという国を倒したいと考えているわけで,一番欲しているのは世界同時不況でしょう.
 世界の経済の柱はアメリカ,EU,そして日本です.アメリカと日本を同時に倒せば,EUはもちません.今までは日本がいい時はアメリカがダメ.アメリカが良ければ日本がだめという補完の構造にあった.
 これを両方一緒にダメにすれば,世界の構造を変えたいという彼らの最終目標にぐっと近付く.
 日本の自衛隊がアメリカ軍の後方支援すれば,テロの対象になるといった議論が国内でありますが,事態はそんな次元を超えているんです.日本が協力をしようがしまいが関係ない.彼らにとっては日本経済こそがターゲットなんです.

 日本経済はふんだんなエネルギーによって支えられている.国内最大のエネルギー源は原子力発電所です.これを1基だけ襲えば,全ての原発は運転を止めるでしょう.そうすると,日本の電力の20%が止まる.
 その他にダム,石油備蓄基地を襲う.その次に新幹線.これを破壊すれば,旅客輸送の殆どが停止してしまう.
 これだけやれば,日本の経済は壊滅的となり,黙っていても日米同時不況が訪れます.何も自衛隊を襲って撃ち合う必要はないんです」

(志方俊之 from 「緊急対談 生物化学兵器の脅威に我々は耐えうるか」,「正論」 Dec. '01)

「自衛隊を派遣すれば日本の心臓部を攻撃する」
といった脅迫メールが中東の放送局に届いたとなると,
「だから自衛隊は派遣しないほうがいい」
という議論が出ます.
 あるいは,不幸にして2度,3度と起こってしまった日本人人質事件を巡っても,
「だから自衛隊は撤退させるべきだ」
という議論が始まります.

 しかし,私はこの手の意見には,では自衛隊を派遣しなければ絶対に日本を攻撃しないということを,誰が保証するのかと問い返したい.
 自衛隊をイラクから撤退させれば,世界中で活動している日本人ビジネスマンや,世界中に遊びに行っている日本人観光客がテロのターゲットにならないという保証を,誰がしてくれるのでしょうか.
 そんな脅迫に踊らされることは,テロリストの思う壺です.
 世界の平和を実現しようという日本国憲法の精神にももとるはずです.

小川和久著「日本の戦争力」(アスコム,2005.12),p.204-205

>保証を,誰がしてくれるのでしょうか.

 アル・カーイダのほうを日本政府より信用できるかのごとく主張している人々がいることが,実に不思議.

 ちなみに,イラク戦争に終始非協力的だったフランスも,にも関わらず記者を拉致され,武装組織の脅しを受けている.
 こうした例を見ても,「派遣すればテロられる」どころか「派遣しようがしまいが,関係ない」と見るのが自然だろう.

「イラク・イスラム軍」がフランス人記者2名拉致-スカーフ禁止の48時間以内撤廃要求

 カタールの衛星テレビ,アルジャジーラは(2004/8/)28日,「イラク・イスラム軍」を名乗る武装組織がフランス人記者2人を拉致し,フランスが公立校で女性イスラム教徒のスカーフ着用を禁止した法律を48時間以内に撤廃するよう,フランス政府に要求したビデオ声明を放送した.
 イラクでは武装組織が記者を含む多くの外国人を拉致し,外国軍や企業の撤退を求めているが,イラクの国内問題と直接関係ない要求は異例.
 同組織はイタリア人記者も拉致,27日に殺害したと発表している.
 拉致されたのは国営ラジオ・フランスのクリスチャン・チェスノ氏と,フィガロ紙のジョルジュ・マルブリュノ氏.フランス外務省は21日,二人が行方不明になったことを明らかにしていた.
 2人はバグダッドから,イスラム教シーア派民兵と米軍の戦闘が続いたイラク中部ナジャフに向かう予定だったという.

 【珍説】
 自衛隊を派遣すれば,米軍と同じ仲間だと見なされる.

 【事実】
 占領軍と,復興支援部隊とは,サドル軍でさえ見分けがついている模様.

 2004/7/12付,毎日新聞によれば,イラク駐留米軍の撤退を要求し,暫定政府を「違法」と主張するイスラム教シーア派反米指導者,ムクタダ・サドル師の代理人,サファ・アルティミーミ師は11日,バグダッド郊外のサドルシティーでの毎日新聞との会見において,
「我々は自衛隊の駐留を歓迎しており,我々の民兵『マフディ軍』が自衛隊を攻撃することはない」
「自衛隊はイラク復興のために来たと宣言し,無意味な住民攻撃などしていない.占領軍(多国籍軍)の一部という形であっても,米軍とは全く別の平和的な部隊だ」
「(迫撃砲が撃ち込まれるなどの行為は)我々と全く関係のない組織の犯行だ.サドル師は民兵たちに『日本軍を狙うな』と指令している」と強調した.さらに「サドル師は日本軍の撤退を要求していない」
と述べている.

 反米強硬派として知られるサドル軍ですらこうであるのだから,他は推して知るべし.


 【珍説】
 自衛隊の海外派遣は,国際貢献という任務を突破口にして,自衛隊の海外派兵をできるようにするための布石だ.

 【事実】
 小川和久によれば,非論理的・非科学的だという.
 以下引用.

自衛隊は戦力投射能力を持っていないという,要するに外国に侵攻できない「専守防衛」の構造を持っています.
 〔略〕
 そんな自衛隊の実態も理解せずに,海外に出れば「海外派兵」だ,それは「侵略」につながりかねないというのは,自ら掲げてきた専守防衛を理解しない,極めて無責任な空理空論ではないでしょうか.

 また,イラク復興支援はどうしても必要だが,危なくて民間は出せないから,やむをえず自衛隊という軍事組織を暫定的に出すという考え方が理解できないのであれば,何のために自衛隊を置いているのでしょう.
「自衛隊を海外に出せば,将来,外国を侵略するかもしれない」
というのであれば,
「自衛隊を国内に置いておいても,将来は国民を弾圧するかもしれない」
と心配しなければならないのではないですか.
 しかし,これは明かにおかしな考え方です.
 私はそのような主張を聞く時,私達は,税金の使い道を通じて民主主義のシステムをちゃんと機能させているのだろうか,あるいは国民が軍事組織の暴走をコントロールするという本来的な意味でのシビリアン・コントロールを放棄していることになりはしないか,と思わざるをえません.

「日本の戦争力」(アスコム,2005.12),p.203-204

 骨折した時,位置を固定するために一定期間ギプスを嵌めるでしょう.あるいは添え木を当てて一時的に固定したりします.
 あのギプスや添え木を当てるような位置付けで軍事組織を使うのです.
 時期が来ればギプスを外しリハビリを始めますが,ギプスは1ヵ月で取れたがリハビリは1年以上かかる.そんなイメージですね.

 したがって自衛隊の派遣は,イラク復興の初期,治安が回復するまでの避け難い一定期間に限定された任務という事になります.
 そして,できるだけ早く民間主導の復興支援にシフトしなければなりません.

 だからこそ,イラク戦争に反対した国も,イラクの復興支援には軍事組織を出しているとも言えます.
 例えば,カナダはいち早く軍の輸送機3機を派遣しました.
 戦争反対ならば民間機のチャーター機でいいじゃないかと思うかもしれませんが,民間だけでやろうとすると地上のサポート・チームも民間人になる.
 治安が不安定な状況ではそれは無理だから,軍隊と軍の輸送機を持っていく,というのがカナダの考え方です.
 この考え方は先進国に共通しています.
 北アメリカの北半分,1000万平方キロに近く,ロシアに次いで世界第2位の広い国土を占め,人口が約3000万人と関東地方より少ないカナダが,イラクに軍隊を出したからといって,侵略に繋がる恐れがあるから危険だと思う人は,世界中どこにもいないはずです.

同,p.200-201

 まあ,いわゆる「ハンガリーの貴族」にとっては,現実など最初から眼中にないのだろうが.


 【珍説】
 ご参考までに転載します.

 〔略〕

市民の意見30の会・東京

 航空自衛隊の輸送機C130は今後,バグダッドにも米軍兵士や米軍需物資を運びますが,バグダッド空港では昨年1月,英軍の同型機が離陸直後に撃墜されています.
 そのバグダッド,連日多くの人が殺されているイラクの首都を麻生外相は「非戦闘地域」と強弁しています.

あつこば(小林アツシ) in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)

 【事実】
 確かそれ,C-130がレーザー誘導の大型対戦車ミサイルで撃墜されたという,とても珍しい事例です.
 対地攻撃用ミサイルを対空に使用したわけですから,本来の使い方ではありません.
 この事から分かる事は,現地武装勢力は対空兵器を射耗しつくしていると言う事です.

JSF in mixi

 武器がなくては「戦闘地域」になりようがないですね.


 【珍説】
 2004年2月,なぜ若者達は,絶叫に近い反対を圧してまで,劣化ウランの粉塵が舞い,米英侵略強盗の共犯者として刻印されるイラク・サマワに送り込まれたのか?
http://esashib.hp.infoseek.co.jp/kenpo05.htm
「軍需省の腐敗は言語に絶する」
 昭和19年 7月22日〜昭和20年 2月10日に文部大臣を務めた二宮治重が言った例で皇軍官僚,参謀本部の出鱈目な腐敗のことです.

 ある会社の重役が会社設立のために釘の配給を軍需省に申し出たら,軍需省は配給した半分を「軍需省に持って来い」と言った.その釘を横流しして贅沢品を山分けする資金にするためである.
 国体の護持という究極の利権にしがみついたゼニ亡者どもが,人生経験少ない若者を煽り,騙し,お涙遺書を書かせて次々に特攻させていた,まさにその時昭和19年,軍事官僚は特高警察の暴力を背景に不正の限りを尽くしていたのだ.

 特攻させられた若者達だけではなく,当時の国民の多くはそんなことを知る由もなかった.
http://members.at.infoseek.co.jp/YaYa/isihara.htm

 現在の防衛産業は,その戦前戦中の「旨味の構造」をそのまま引き継いで来た.
 日本の現代先端工業は「濡れ手で粟」の軍需工業に擦り寄って楽をしてボロ儲けしたい欲求が,いま,極度に高まっている.
 基礎経済の弱体化が,究極の「甘え経済」である軍需産業転換に誘惑されているのだ.
 経済倫理は地に堕ち,産業そのものも弱って腐敗が満ちて来ている証拠である.
 経団連が自民党と民主党を「献金」で買い取り「操縦」するなどと公言する浅ましい時代になってしまったのである.
http://www.tcxpress.com/intv_01.html
 「ゼニ儲け」のためなら日本の若者たちに強盗の前科が付こうが,奇形児が産まれようが構ってはおれない.
http://www.modern-korea.net/column/sonota/beikoku.html
http://www.yukyutushin.com/2001/08/17.html

 【事実】
 ありもしない脳内軍需産業を批判している.

 第1にに,軍需工業は,「楽してボロ儲け」できる業種などではない.
 もしそうだというのなら,対GNP比で数十パーセントをつぎ込んだソ連が経済的に崩壊した理由を教えてほしいね.「楽してボロ儲け」出来る分野に集中して投資を行った国が,何故潰れるのだ?
 最近のボーイングの業績なんか見たことないんだろうね.
 ここ10年くらい,アメリカでもヨーロッパでも軍需産業の合併が続いているのも,軍需が儲からないからだしな.イラク戦争でも極端に兵器発注が増えたわけじゃない.

 自衛隊の装備品を担当しているメーカーは,さらに儲かっていない.自衛隊の装備品なんて,予算などの制約から,少数生産にしかならないにも関わらず,ラインや専従人員は維持しなきゃいけないから大変だしね.
 イラク派遣で日本の軍需工業に大量の発注があったわけでもないし,将来発注が増加する見込みもない.それは,派遣人数や持ち込んだ機材の数を考えれば,すぐに分かることのはずだが…….

 ちなみに,引用されている一番上のサイトには,
「この八月に日産自動車がアメリカの兵器産業のマーチソ社と「軍事提携」したのなんか,その露骨な例だ.いよいよ自動車会社が,ミサイルをつくるのだ」
などと書かれているが,日産はずっと前からロケット兵器を自衛隊に納入している.
・75式自走ロケット発射機
 製作:小松製作所(車体),日産自動車(発射装置,ロケット弾)
http://www15.tok2.com/home/lttom/military-powers_jgsdf/other/75rocket.htm

 そもそも,ニッサンやスバルは,中島飛行機が母体.中島飛行機は1945年まで,日本の代表的軍用機メーカーだ.

 むしろ兵器を作っていない自動車会社の方が珍しい.サーブなど,車のCMに自社の戦闘機まで出していた.おまけに,サーブ製の戦闘機のエンジン作ってるのはボルボ.

 理屈の上では,戦争が長期化し,増産体制が強化されれば,軍需産業が儲かることはありうる.
 でも現実には,どこも受注量が減って,そのなかで競争が激化している.
 戦争のせいで軍需産業が儲かるという話には,実際どの程度発注量が増えたのかという証拠がまず出てこない.

(軍事報道を考えるスレッド in マスコミ板)

 【質問】
 その儲からないはずの自衛隊機の導入に関し,中島洋次郎代議士が自殺のリスクを犯してまで動いたのはなぜ?
 【回答】
 基本的に不採算部門だからだよ.
 技術,生産ラインの維持には金がかかるけど,それを維持できるだけの発注規模はない.競争が激化している中で,少ない発注を争っているから.

 「戦闘機王国,中島(現・富士)」復活の悲願もあっただろう.

(軍事報道を考えるスレッド in マスコミ板)


 【珍説】
 イージス艦と,イラク派兵だけで既に就業者1人当たり6万円/年の負担になっています.

イラク負債の消失(3386億)
イージス艦3積分(3600億)
戦費(515億)
合計 7501億円

 庶民の感覚では,子供2人に,嫁さん,親4人分食わせているつもりだが.それで8掛けして6万円
 健全なサラリーマンはみなこう考えている.

(矢野)

 【回答】
 それは一体どう言う計算ですか?

 私の知る限りでは,02年4月〜03年3月インド洋派遣の直接費用138億円,今年度のイラク派遣費用は総額377億円.
 インド洋派遣の方の資料,今年度の見付からなかったのでとりあえずこれで足して計算します.
 すると1年で合計515億円.
 日本の就業人口が約6000万人.すると一人当たり・・・千円もいかないんですけど.

 ・・・・・ちょっと『就業者1人当たり6万円/年の負担』を掛け算して逆算して見ます.

6000万人×6万円=3兆6000億円/年.

 ・・・・・なにか計算,間違えてませんか??? 海上自衛隊の年間予算の3倍以上じゃないですか」

>イラク負債の消失(3386億)

 これは自衛隊を派遣していなくても負担している金額であり,「イラク“派遣”」の要項で加算するのは間違っています.
 負債放棄は,ヨーロッパ諸国はおろかロシアですら応じています.
 ちなみに日本は,今年度のイラク資金援助の費用を,対中国ODAを削ることで捻り出しています.

>イージス艦3隻分(3600億)

 インド洋派遣に廻すのは1隻です.
 しかも,DDHを中心に廻している間は,その1隻も日本近海に存在しているので,「インド洋“派遣”」という括りの予算にイージス艦3隻の建造予算を入れるのは間違っています.
 そもそもイージス艦は30年は使用するフネであり,年当たりで換算するなら建造予算は30年で割らないと駄目です.
 加えて,イージス艦はインド洋派遣だけが任務ではない.
 それなのに,インド洋派遣の費用にイージス艦建造費用を入れるのはおかしいでしょう.

>就業人口

 こちらの資料の真ん中辺り,「1.5 産業」の項目をご覧下さい.
 日本の就業人口は2002年で6330万人となっています.

(「週刊オブイェークト」,2004/12/7)


 【珍説】

北海道新聞
米軍「イラク空自は戦闘地域で活動」 米軍サイトに記述 鳩山氏が指摘
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20060729&j=0023&k=200607288847
------------------------------------------------------ここから引用----
 民主党の鳩山由紀夫幹事長は二十八日の記者会見で,イラク派遣の陸上自衛隊撤退の一方で拡大される航空自衛隊の活動地域について,米空軍の公式ウェブサイト「エアフォースリンク」が「戦闘地域」と明記していることを指摘し,「明らかに憲法違反の活動をしようとしている」と批判した.

 同サイトは,世界の空軍を紹介するニュースの中で,空自の活動拡大について「一九五四年の創設以来初めて,航空自衛隊の隊員が戦闘地域に積極的に配備される」と記載している.
-------------------------------------------------------引用ここまで---

あつこば(小林アツシ) in mixi
(軍事学的考察上の必要性に鑑み,
引用権の範囲内で引用しています)

 【事実】
 んー,でも対空ミサイルの脅威は殆ど無いですけど.
 武装勢力はロシア製の携行型地対空ミサイルを射耗し尽くしてしまいましたから.

 どの辺が戦闘になるんでしょうか.

 JSF in mixi


 【質問】
 名古屋高裁のイラク違憲判断について質問があります,
 あれは「傍論であり,違憲判断ではない」と言う主張を良く見かけ,私もそうなんだと思っておりました.
 ところが,上記について某所で議論をしたのですが,判決文によれば,違憲確認請求については
「控訴人・池住みらの現在の権利または法律関係に関するものということはできないから,同請求は確認の利益を欠き,不適法(下記PDFのP23,「4控訴人らの請求について」「(1)控訴人池住みらの本件違憲確認請求について」を参照)」
と言う事で却下されたわけであり,
「違憲性は確かにある.
 ただ,君たちの具体的な権利を侵害してない.
 だから訴訟にはそぐわない」
と言う理由で棄却された模様.

 件の傍論といわれる部分については,以下リンクの
P21の下から3行目「(4)よって,現在イラクにおいて行われている」
〜P22の2行目「憲法9条1項に違反する部分が認められる」
までだと思います.
 これが傍論であると言うのは,何故でしょう?
 辞書を見る限り,
「判決における裁判官の意見のうち,判決理由を構成しない部分」
なのですが,傍論の正式な定義はどのようなものなのでしょうか?
 P24の19行目「本件派遣は,前記のとおり意見違法な活動を含むものであり」とする箇所を読む限り,判決理由に無関係とも思えないのですが,どうなんでしょうか?

◎判決文P1〜12
http://www.haheisashidome.jp/hanketsu_kouso/p1_12.pdf

◎判決文P13〜26
http://www.haheisashidome.jp/hanketsu_kouso/p13_26.pdf

2010年06月11日 11:47,鉄底海峡

 【回答】
 ちょっと調べてみましたけど,すげーぐだぐだしてる(笑)

 まず,この傍論(オビタ・ディクタム)というのは英米法の概念なんですね.
 英米法は判例法主義,つまり判決文が法的拘束力をもつので,判決文のうち,法的拘束力を持つ核心部分(レイシオ・デシデンダイ)と,そうではない部分(傍論)を明確に区別する必要があるのですね.

 問題の名古屋高裁判決の主文は,「控訴棄却」です.
 その理由を述べた部分(原告には派遣差し止めと損害賠償を請求する資格がない)というのが,レイシオ・デシデンダイに当たります.
「航空自衛隊のイラク派遣が違憲である」
という部分は,たとえこの部分がなかったとしても,控訴棄却という主文に変わりはない,つまり主文の直接の理由ではないので,傍論ということになります.

 それで,こういう解釈は合理的だと思うのですよ.
 というのも,国は勝訴しているので上告することができない.
 つまり,違憲判断については異議申し立てする機会が奪われているのだし,法的拘束力は認められないと.

 こちらのモトケンブログのエントリ(本文はただのゴシップですが),コメント欄が参考になります↓

違憲判決
>法律家としては,すでに識者の方たちが指摘しているように,
>傍論で判断すべきでないことを判断していると思います.

 具体的に誰が何と指摘しているのか分かればよいのですが.

 ちなみに,政府の公式見解はこちら↓
名古屋高裁イラク派兵違憲判決確定に対する政府の見解に関する質問主意書
名古屋高裁イラク派兵違憲判決確定に対する政府の見解に関する質問に対する答弁書

 話がややこしくなるのは,日本は大陸法であって成文法主義.そもそも判例には原則として法的拘束力はない.
 だから,レイシオ・デシデンダイと傍論という区別も意味がない,という説もあるのです.
 そこいらあたりはウィキペディアに,ぐだぐだと「独自研究」っぽく書いてあります.
傍論

 おおや先生に質問するといいかもです.

2010年06月11日 14:59,バグってハニー

以上,「軍事板常見問題 mixi別館」より

▼ 【関連リンク】
「おおやにき」◆(2010/06/25)傍論(1)
「おおやにき」◆(2010/06/26)傍論(2)
「おおやにき」◆(2010/06/27)傍論(3)
「おおやにき」◆(2010/07/03)傍論(4)
「おおやにき」◆(2010/07/06)傍論(5・完)


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